(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、グロープラグのヒータ部に電力を供給するため、このヒータ部に導通する中軸に電流を流すと、中軸の径方向外側には、右ねじの法則によって同心円状の磁界が発生する。しかも、ヒータ部への通電は、PWM制御等、パルス駆動を行うため、通電のオンオフに同期して磁界がオンオフする。
これに対し、燃焼圧センサ付きグロープラグでは、圧力センサのダイアフラムが中軸の径方向外側に配置されているため、通電によって中軸の径方向外側に発生する磁界の影響を受けて、強磁性体の金属材からなるダイアフラムが変形する。この結果、ダイアフラムの歪みを検知素子で検知する圧力センサ部のセンサ出力が影響され、燃焼圧の検知に誤差を生じることがあった。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、中軸への通電によって生じる磁界の影響により燃焼圧の検知に誤差が生じるのを抑制した燃焼圧センサ付きグロープラグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その一態様は、軸線方向に延びる筒状のハウジングと、自身の先端部を上記ハウジングの先端から突出させて、上記軸線方向に変位可能に上記ハウジング内に配置され、通電により発熱する棒状のヒータ部と、上記ハウジング内に挿通され、自身の先端部で上記ヒータ部に電気的に接続し、上記軸線方向後端側に向けて延びる棒状の中軸と、燃焼圧を検知する圧力センサ部であって、上記ハウジング内で、上記中軸の径方向外側に配置され、上記燃焼圧の変化に伴う上記ヒータ部の上記軸線方向の変位が伝達されて歪む強磁性体の金属材からなるダイアフラム及び、上記ダイアフラムに接合され、このダイアフラムの歪みの度合いを検知する検知素子を有する圧力センサ部と、上記圧力センサ部の上記ダイアフラムと上記中軸との間に介在し、上記中軸に通電することにより生じる磁界を遮蔽して、この磁界により上記ダイアフラムが変形するのを防止する防磁材と、を備える燃焼圧センサ付きグロープラグである。
【0007】
この燃焼圧センサ付きグロープラグでは、圧力センサ部のダイアフラムと中軸との間に介在する防磁材を有しており、この防磁材は、中軸に通電することにより生じる磁界を遮蔽して、この磁界によりダイアフラムが変形するのを防止している。したがって、通電によって中軸のまわりに磁界が発生しても、防磁材の存在により、強磁性体の金属材からなるダイアフラムが磁界の影響を受けて変形しにくい。これにより、磁界によるダイアフラムの変形で圧力センサ部のセンサ出力が影響を受けて、燃焼圧の検知に誤差が生じるのを抑制し、適切に燃焼圧を検知可能な燃焼圧センサ付きグロープラグとすることができる。
【0008】
なお、防磁材としては、例えば、軟鉄、純鉄、ケイ素鉄、パーマロイ、スーパーマロイ、パーメンジュール、アモルファスなどの高透磁率の軟磁性金属材を用いると良く、これらをシート状に形成したものや、その片面に感圧接着剤を設けたものが挙げられる。また、上述の軟磁性金属材をあらかじめ筒状に形成して中軸に被せたものや、これらの軟磁性金属材をスプレー塗布や蒸着などにより中軸の径方向外側に積層したものでも良い。純鉄やパーマロイなどの高透磁率の軟磁性金属材は、防磁材として高い防磁性能を有しており、中軸のまわりに磁界が発生しても、その磁束の殆どを自身に集めるので、防磁材の外側に磁界が届くのを遮蔽して、ダイアフラムが変形するのが防止される。
【0009】
さらに、上述の燃焼圧センサ付きグロープラグであって、前記防磁材は、比透磁率が3000以上の軟磁性金属材からなる燃焼圧センサ付きグロープラグとすると良い。
【0010】
この燃焼圧センサ付きグロープラグでは、防磁材として、比透磁率が3000以上の軟磁性金属材を用いている。このような軟磁性金属材としては、前述の軟鉄、純鉄、ケイ素鉄、パーマロイ、スーパーマロイ、パーメンジュール、アモルファスなどが挙げられる。前述したように、これらの高透磁率の軟磁性金属材は、防磁材として高い防磁性能を有しており、防磁材の外側に磁界が届いてダイアフラムが変形するのを適切に防止することができる。これにより、ダイアフラムが磁界の影響で変形して燃焼圧の検知に誤差が生じるのを適切に抑制することができる。
【0011】
さらに、上述の燃焼圧センサ付きグロープラグであって、前記防磁材の前記軟磁性金属材は、純鉄、パーマロイまたはスーパーマロイである燃焼圧センサ付きグロープラグとすると良い。
【0012】
軟磁性金属材の中でも、純鉄、パーマロイ、スーパーマロイは透磁率が極めて高く、防磁材として好適である。このため、防磁材としてこれら純鉄、パーマロイまたはスーパマロイを用いることにより、ダイアフラムが磁界の影響で変形して燃焼圧の検知に誤差が生じるのをより適切に抑制することができる。
【0013】
さらに、上述のいずれかの燃焼圧センサ付きグロープラグであって、前記防磁材は、シート材であり、前記中軸の径方向外側に巻き付けてなる燃焼圧センサ付きグロープラグとすると良い。
【0014】
シート材の防磁材を用いて、中軸に巻き付けることにより、防磁材を簡易に中軸に取り付けることができる。
なお、このようなシート材の防磁材としては、例えば、パーマロイなどをシート状に形成したもの、さらにその片面に感圧接着剤を設けたものなどが挙げられる。
【0015】
さらに、上述のいずれかの燃焼圧センサ付きグロープラグであって、前記圧力センサ部の前記ダイアフラムと前記中軸との間に介在して、これらの間を絶縁する絶縁材をさらに備える燃焼圧センサ付きグロープラグとすると良い。
【0016】
この燃焼圧センサ付きグロープラグでは、防磁材に加えて、絶縁材をさらに備えているので、防磁材を介して圧力センサ部と中軸とが短絡しないように、これらの間が絶縁材で絶縁される。
なお、絶縁材としては、例えば、高い絶縁性能と耐熱性を有するPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やポリイミドをシート状にしたもの(PTFEシートやポリイミドシート)のほか、これらの片面に粘着材を塗布したもの(PTFEテープやポリイミドテープ)などを用いることができる。
【0017】
さらに、上述のグロープラグであって、前記絶縁材と前記防磁材とは、両者を層状に重ねた一体のシート材であり、前記中軸の径方向外側に巻き付けてなる燃焼圧センサ付きグロープラグとすると良い。
【0018】
絶縁材と防磁材とを層状に重ねた一体のシート材を用いて、中軸に巻き付けることにより、絶縁材及び防磁材を簡易に中軸に取り付けることができる。
なお、このような絶縁材と防磁材とを重ねたシート材としては、例えば、パーマロイなどをシート状に形成した防磁材の片面または両面にシート状の絶縁材を貼り合わせたり、シート状の絶縁材の片面にパーマロイなどの軟磁性金属材を蒸着して防磁材を形成するなどして、絶縁材と防磁材とを層状に重ねた一体のシート状に形成したものが挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。まず、
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る燃焼圧センサ付きグロープラグ1の構造について説明する。
図1は、グロープラグ1の全体を示す部分破断断面図である。また、
図2は、そのうち、圧力センサ部200付近を拡大した部分拡大断面図である。なお、
図1及び
図2において、グロープラグ1の軸線AXに沿う軸線方向HJのうち、ヒータ部130が配置された側(図中下側)を先端側GSとし、これと反対側(図中上側)を後端側GKとして説明する。
【0021】
グロープラグ1は、例えば、ディーゼルエンジンの燃焼室に取り付けられ、エンジン始動時の点火を補助する熱源として利用される。このグロープラグ1は、主にハウジング100と、ヒータ部130及びこれに導通する部材と、圧力センサ部200と、端子アセンブリ250とからなる。具体的には、ハウジング100は、主体金具110、内筒190のフランジ部191及び先端部190s並びに先端キャップ150を含む。また、ヒータ部130は、これと一体とされた中軸120、及び端子アセンブリ250の内側に配置された図示しない外部接続端子に導通している。なお、ハウジング100とヒータ部130とはメンブレン170で弾性的に連結されている。圧力センサ部200は、センサ本体210のほか、伝達スリーブ220及び、センサ本体210をハウジング100(主体金具110)の内側に固定する内筒190の内筒本体192を含む。また、端子アセンブリ250は、端子カバー260で覆われている。
【0022】
さらに具体的には、このグロープラグ1のヒータ部130は、自身のヒータ先端部130sを先端キャップ150の先端150sから突出させて、軸線方向HJに変位可能にハウジング100である主体金具110、内筒190のフランジ部191及び先端部190s並びに先端キャップ150内に配置されている。ヒータ部130のヒータ先端部130sは燃焼室(図示しない)内に露出され、燃焼圧の変化に伴って、ヒータ部130が軸線方向HJに変位すると、この変位がヒータ部130に接合された伝達スリーブ220を介して、主体金具110内の内筒本体192に固定されたセンサ本体210に伝達される。これにより、グロープラグ1は、ディーゼルエンジン(内燃機関)の燃焼室の燃焼圧を検知することができる。
【0023】
ハウジング100の一部をなす主体金具110は、金属材からなり、軸線方向HJに自身の金具先端部110sから金具後端部110kまで延びる筒状をなす。この主体金具110内には軸孔110hが形成されている。また、主体金具110の軸線方向HJ後端側GKの外周面には、取り付け用の雄ネジ部111が形成されている。
【0024】
内筒190のうち、内筒本体192は、略円筒状をなし、主体金具110の軸孔110h内のうち軸線方向HJ先端側GSに、同心状に配置されている。この内筒本体192の軸線方向HJ先端側GSには、径方向外側に突出して、主体金具110の金具先端部110sと同外径でハウジング100の一部をなす鍔状のフランジ部191が形成されており、このフランジ部191は、主体金具110の金具先端部110sに溶接されている。また、内筒190の後端部190kには、環状をなすセンサ本体210の外周部212が溶接されている。
【0025】
先端キャップ150は、金属材からなり、その後端側GKには、円筒状の円筒部151が設けられている。この円筒部151は、内筒190の先端部190sに外嵌され、内筒190のフランジ部191に溶接されている。
なお、円筒部151の内側には、内筒190の先端部190sとヒータ部130のシースチューブ131とを連結する連結部材であるメンブレン170が収容されている。すなわち、先端キャップ150は、ヒータ部130、中軸120及び圧力センサ部200を、主体金具110及び内筒190内に収容し、さらに、メンブレン170を内筒190の先端部190s及びヒータ部130のシースチューブ131に溶接により連結した後に、内筒190の先端部190sに外嵌され、フランジ部191に溶接されている。
また、先端キャップ150の先端側GSには、先端150sに向かって縮径する形状のテーパ部152が形成されている。グロープラグ1を内燃機関に取り付けた際には、テーパ部152が、内燃機関のプラグ取り付け孔の所定のシート面に密接し、燃焼室内からの気密が確保される。
以上のように、主体金具110、内筒190のフランジ部191及び先端部190s並びに先端キャップ150は一体とされて、グロープラグ1のハウジング100をなしている。
【0026】
ヒータ部130は、シースチューブ131、発熱コイル132及び制御コイル133を備え、図示しない絶縁粉末を封入したシースヒータである(
図1参照)。
シースチューブ131は、ニッケル合金やステンレス鋼等によって形成され、軸線方向HJに自身のチューブ先端部131sからチューブ後端部131kまで延び、チューブ先端部131sが半球状に閉塞した筒状チューブである。
また、シースチューブ131内の先端部分には、チューブ先端部131sに接合された発熱コイル132と、この発熱コイル132の後端に直列接続された制御コイル133とが配置され、これらの周囲に酸化マグネシウム粉末等の絶縁粉末が充填されている。さらに、シースチューブ131内には、次述する中軸120の軸線方向HJ先端側GSの略半分が挿入され、その先端の中軸先端部120sは、制御コイル133の後端に導通している。
【0027】
中軸120は、炭素鋼またはステンレス鋼材からなり、自身の中軸先端部120sから軸線方向HJ後端側GKに延びる棒状をなす。この中軸120のうち、中軸先端部120sを含む軸線方向HJ先端側GSの略半分は、発熱コイル132、制御コイル133と共にシースチューブ131内に挿入され、図示しない絶縁粉末によって固定されて、ヒータ部130と中軸120が一体にされている。なお、シースチューブ131のチューブ後端部131kと中軸120との間は、環状ゴム140により間隔が保たれ絶縁されると共に、気密に封止されている(
図2参照)。
【0028】
メンブレン170は、ステンレス鋼やニッケル合金等によって形成された軸線方向HJに弾性を有する部材であり、その先端部170sが径小とされ、後端部170kが径大とされた二段円筒状をなす。この径大の後端部170kは、内筒190の先端部190sに溶接され、一方、径小の先端部170sは、伝達スリーブ220のスリーブ先端部220sよりも軸線方向HJ先端側GSでシースチューブ131の外周面に溶接されている。
これにより、メンブレン170を介して、ヒータ部130のシースチューブ131とハウジング100(内筒190の先端部190s)とが導通される。加えて、ヒータ部130と内筒190の先端部190sが、メンブレン170で弾性的に連結されることで、ヒータ部130は、ハウジング100に保持され、かつ、このメンブレン170の弾性によって、軸線方向HJの変位が許容されている。そして、次述するように、ヒータ部130の軸線方向HJの変位は、ヒータ部130と一体とされた伝達スリーブ220によってセンサ本体210に伝達される。
【0029】
圧力センサ部200のうち、伝達スリーブ220は、金属材によって形成された略円筒状をなし、ヒータ部130のシースチューブ131に外嵌すると共に、中軸120のうちシースチューブ131の外部に露出した略中央部分まで延びている。伝達スリーブ220は、その先端のスリーブ先端部220sで、シースチューブ131の外周面に溶接され、ヒータ部130と一体にされて、このヒータ部130と共に、ハウジングの内筒190内に収容されている。また、伝達スリーブ220の後端部220kは、環状をなすセンサ本体210の内周部211に結合されている。ヒータ部130の軸線方向HJの変位は、この伝達スリーブ220によってセンサ本体210の内周部211に伝達される。
【0030】
センサ本体210は、ピエゾ抵抗型素子からなる圧力検知素子215を、高強度を有するステンレス鋼からなる環状のダイアフラム体214のダイアフラム部213上に配設してなる。なお、このダイアフラム体214に用いたステンレス鋼は、強磁性体の金属材である。そして、センサ本体210は、伝達スリーブ220によって伝達されたヒータ部130の軸線方向HJの変位によってダイアフラム体214のダイアフラム部213を撓ませることにより燃焼圧の検知を行う。
このセンサ本体210のダイアフラム体214は、略円筒状をなす内周部211及び外周部212とこれらの間に架け渡され薄肉とされた環状のダイアフラム部213とからなり、内周部211の内側には、中軸120のが環状の隙間を介して挿通されている。また、外周部212は内筒190の後端部190kに結合され、内周部211は伝達スリーブ220の後端部220kに結合されている。
【0031】
また、環状のダイアフラム部213上には、複数の圧力検知素子215が貼設されている。この圧力検知素子215は、ダイアフラム部213が撓むことにより歪み、その歪みの度合いによって自身の抵抗値が変化する。
【0032】
また、ハウジング100のうち主体金具110の金具後端部110kには、筒状をなす金属製の端子カバー260が溶接され、この端子カバー260の内側には、端子アセンブリ250が、その一部を端子カバー260の後端部260kから軸線方向HJ後端側GKに突出させた状態で収容されている。
端子アセンブリ250内には、その形態を詳述しないが、圧力検知素子215より出力される信号を外部回路に出力するための図示しない出力端子部及び配線が設けられている。また、端子アセンブリ250の内側には、前述したように、ヒータ部130及び中軸120に導通する外部接続端子(図示しない)が配置されている。
【0033】
ところで、グロープラグ1のヒータ部130に電力を供給するため、中軸120に電流を流すと、中軸120の径方向外側には、右ねじの法則によって同心円状の磁界が発生する。しかも、ヒータ部130への通電は、PWM制御等、パルス駆動を行うため、通電のオンオフに同期して磁界もオンオフする。
これに対し、グロープラグ1では、圧力センサ部200のうちダイアフラム体214及び圧力検知素子215からなるセンサ本体210が中軸120の径方向外側に配置されているため、通電によって中軸120の径方向外側に発生する磁界の影響を受けて、強磁性体の金属材からなるダイアフラム体214のダイアフラム部213が変形する。その結果、このままでは、ダイアフラム部213の歪みを検知した圧力センサ部200のセンサ出力が影響され、燃焼圧の検知に誤差を生じることがある。
【0034】
しかるに、本実施形態のグロープラグ1では、次述する絶縁材291及び防磁材292を含む絶縁防磁部材290で、中軸120のうち、センサ本体210の内側に位置する部位の径方向外側を包囲している。
この絶縁防磁部材290は、
図3に示すように、高透磁率の軟磁性金属材であるパーマロイをシート状に形成した防磁材292の両面に、ポリイミドからなるシート状の絶縁材291を貼り合わせて、絶縁材291と防磁材292とを層状に重ねた一体のシート状に形成したものである。なお、絶縁材291に用いたポリイミドは、高い絶縁性能と耐熱性を有している。そして、この一体となった絶縁防磁部材290が、
図4の横断面図に示すように、中軸120のうち、軸線方向HJ先端側GSのセンサ本体210(ダイアフラム体214のダイアフラム部213及び圧力検知素子215)の内側に位置する部位に巻き付けられている。
これにより、絶縁防磁部材290のうち、絶縁材291は、圧力センサ部200のうちダイアフラム体214及び圧力検知素子215からなるセンサ本体210と中軸120との間に介在して、これらの間を絶縁している。また、防磁材292は、中軸120への通電により生じる磁界を遮蔽して、この磁界がダイアフラム体214のダイアフラム部213に届いてダイアフラム体214のダイアフラム部213を変形させるのを防止している。
【0035】
パーマロイなどの高透磁率の軟磁性金属材は、高い防磁性能を有しており、中軸120のまわりに磁界が発生しても、その磁束の殆どを自身に集めるので、防磁材292の外側に磁界が届くのを遮蔽し、この磁界でダイアフラム体214のダイアフラム部213が変形するのが適切に防止される。特に、軟磁性金属材の中でも、パーマロイは透磁率が極めて高く、防磁材292として用いるのに好適である。
したがって、通電によって中軸120のまわりに磁界が発生しても、防磁材292の存在により、強磁性体の金属材からなるダイアフラム体214のダイアフラム部213が磁界の影響を受けて変形しにくい。また、その一方、防磁材292を介して圧力センサ部200と中軸120とが短絡しないように、これらの間を絶縁材291で絶縁している。これにより、磁界によるダイアフラム体214のダイアフラム部213の変形で圧力センサ部200のセンサ出力が影響を受けて、燃焼圧の検知に誤差が生じるのが抑制される。
【0036】
なお、本実施形態では、絶縁防磁部材290の防磁材292としてパーマロイを用いたが、この他に、軟鉄、純鉄、ケイ素鉄、スーパーマロイ、パーメンジュール、アモルファスなどの高透磁率(具体的には、比透磁率が3000以上)の軟磁性金属材を用いても良い。また、これらの軟磁性金属材の中でも、パーマロイのほか、純鉄、スーパーマロイは透磁率が極めて高く、防磁材292として好適であるので、これらを用いるのがより好ましい。
【0037】
また、本実施形態では、絶縁防磁部材290の絶縁材291としてポリイミドを用いたが、絶縁材291としては、この他に、ポリイミド同様、高い絶縁性能と耐熱性を有するPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)なども用いることができる。
【0038】
以上で説明したように、本実施形態のグロープラグ1では、絶縁材291及び防磁材292を含む絶縁防磁部材290で、中軸120の径方向外側を包囲しており、この絶縁防磁部材290の防磁材292によって、中軸120への通電により生じる磁界を遮蔽して、この磁界によりダイアフラム体214のダイアフラム部213が変形するのを防止している。したがって、通電によって中軸120のまわりに磁界が発生しても、防磁材292の存在により、強磁性体の金属材からなるダイアフラム体214のダイアフラム部213が磁界の影響を受けて変形しにくい。また、その一方、防磁材292を介して圧力センサ部200と中軸120とが短絡しないように、これらの間を絶縁材291で絶縁している。これにより、磁界によるダイアフラム体214のダイアフラム部213の変形で圧力センサ部のセンサ出力が影響を受けて、燃焼圧の検知に誤差が生じるのを抑制し、適切に燃焼圧を検知可能なグロープラグ1とすることができる。
【0039】
また、本実施形態のグロープラグ1では、絶縁防磁部材290の防磁材292としてパーマロイを用いている。前述したように、パーマロイなどの高透磁率の軟磁性金属材は、高い防磁性能を有しており、特にパーマロイは、軟磁性金属材の中でも透磁率が極めて高く、防磁材292として用いるのに好適である。
このため、ダイアフラム体214のダイアフラム部213が磁界の影響で変形して燃焼圧の検知に誤差が生じるのをより適切に抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態のグロープラグ1では、絶縁材291と防磁材292とを層状に重ねた一体のシート状に形成した絶縁防磁部材290を用いている。このような絶縁防磁部材290を用いて、中軸120に巻き付けることにより、絶縁材291及び防磁材292を簡易に中軸120に取り付けることができる。
【0041】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施形態では、グロープラグ1は、ヒータ部130として、シースヒータを備えたいわゆるメタルグロープラグを例示した。しかし、グロープラグとしては、これに限られず、ヒータ部として、セラミックヒータを備えたいわゆるセラミックグロープラグを用いても良い。
また、実施形態では、圧力検知素子215としてピエゾ抵抗型素子を用いたが、圧力検知素子としては、圧電素子等を用いることもできる。
【0042】
また、実施形態では、防磁材292(パーマロイ)の両面に絶縁材291(ポリイミド)を貼り合わせた絶縁防磁部材290を用いたが、例えば、圧力センサ部200のセンサ本体210と中軸120との間の距離が離れていることなどにより、防磁材292を介在させても、圧力センサ部200のセンサ本体210と中軸120との間の絶縁が別途確保されているものについては、絶縁材は省略することができる。ただし、通常、圧力センサ部200のセンサ本体210と中軸120の距離は近いので、実施形態のように、絶縁材を備えるのが好ましい。
【0043】
また、実施形態の絶縁防磁部材290に代えて、ポリイミドなどのシート状の絶縁材の片面にパーマロイなどの軟磁性金属材を蒸着して防磁材を形成して、絶縁材と防磁材とを一体のシート状に形成しても良い。
また、防磁材及び絶縁材は、シート状のものを中軸120に巻き付けたものに限られず、例えば、パーマロイなどをスプレー塗布や蒸着などにより中軸120の径方向外側に積層して防磁材を形成しても良い。