特許第6100618号(P6100618)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6100618二重筒構造の充填筒を備えた製袋充填包装機、及び製袋充填包装機における製袋充填二重筒の内側筒脱着方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100618
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】二重筒構造の充填筒を備えた製袋充填包装機、及び製袋充填包装機における製袋充填二重筒の内側筒脱着方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 59/04 20060101AFI20170313BHJP
   B65B 9/22 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   B65B59/04
   B65B9/22
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-114680(P2013-114680)
(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公開番号】特開2014-234165(P2014-234165A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108567
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 式範
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第1814389(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 59/04
B65B 9/00−9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定フレームと、当該固定フレームに取り付けられる充填筒とを備えており、
前記充填筒は、外側周面を持ち且つ筒状包装材が当該外側周面の周りに筒状に囲みつつ筒軸方向に紙送りされる外側筒と、包装すべき包装物が内部通路を通して充填される内側筒とが重ねられて二重筒に構成されているとともに、前記内側筒が前記外側筒に対して係脱可能な係合手段によって取り付けられており、
前記充填筒から紙送りされた前記筒状包装材に対して、前記内部通路を通じての前記包装物の充填と、前記筒状包装材を横断方向に封鎖するエンドシールとを順次繰り返して袋包装体を製造する製袋充填包装機において、
前記充填筒は、垂直に配置された縦型位置と下端が手前上方に撥ね上げられた少なくとも一つの傾斜位置との中から選ばれた包装運転位置において、前記外側筒が前記固定フレームに対して固定手段によって脱着可能に固定されることで、前記固定フレームに取り付けられ、
前記充填筒が前記傾斜位置から選ばれた特定の脱着位置を占めるときに、前記係合手段による係合を解除して、前記内側筒を前記外側筒の下端側から取り出し可能としたことを特徴とする製袋充填包装機。
【請求項2】
前記製袋充填包装機は、前記充填筒が内部を貫通して配置されており、且つ紙送りされてくる帯状包装材を略筒状に曲成するとともに曲成された前記包装材を前記充填筒の前記外側筒との間の隙間を通して案内するフォーマを備えており、
前記係合手段は、前記フォーマよりも上方に突き出ている前記充填筒の上部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の製袋充填包装機。
【請求項3】
前記係合手段は、前記充填筒の周方向に少なくとも二つの異なる位置において、それぞれ、前記外側筒の外側からねじ込まれるねじ軸を備えており、前記各ねじ軸が内側筒に対応して形成されているねじ穴にそれぞれねじ係合されることを特徴とする請求項2に記載の製袋充填包装機。
【請求項4】
前記係合手段は、前記充填筒の周方向に少なくとも二つの異なる位置において、それぞれ、前記外側筒の外側からねじ込まれるねじ軸を備えており、前記各ねじ軸の軸端が前記内側筒に形成されている凹部にそれぞれ嵌入係合されることを特徴とする請求項2に記載の製袋充填包装機。
【請求項5】
前記充填筒を含む製袋充填筒ユニットは、前記縦型位置にある前記充填筒の高さ方向の略中間で且つ前記充填筒の後方位置に設けられた回動支軸の回りに回動可能であり、前記製袋充填筒ユニットが前記回動支軸の回りに回動することによって前記充填筒は前記傾斜位置を占めることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の製袋充填包装機。
【請求項6】
前記傾斜位置は、前記縦型位置から連続して広がる傾斜角度範囲、又は前記縦型位置から所定の角度を跳ね上がった傾斜角度から連続して広がる傾斜角度範囲の中で任意の傾斜角度位置に設定され、
前記脱着位置は、前記傾斜角度範囲内の最も跳ね上がった傾斜角度位置に設定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の製袋充填包装機。
【請求項7】
前記傾斜位置は、前記縦型位置から異なる傾斜角度で跳ね上がった複数の離散的な傾斜角度位置の中から設定され、
前記脱着位置は、最も跳ね上がった傾斜角度位置に設定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の製袋充填包装機。
【請求項8】
固定フレームと、当該固定フレームに取り付けられる充填筒とを備えており、
前記充填筒は、外側周面を持ち且つ筒状包装材が当該外側周面の周りに筒状に囲みつつ筒軸方向に紙送りされる外側筒と、包装すべき包装物が内部通路を通して充填される内側筒とが重ねられて二重筒に構成されているとともに、前記内側筒が前記外側筒に対して係脱可能な係合手段によって取り付けられており、
前記充填筒から紙送りされた前記筒状包装材に対して、前記内部通路を通じての前記包装物の充填と、前記筒状包装材を横断方向に封鎖するエンドシールとを順次繰り返して袋包装体を製造する製袋充填包装機において、
前記充填筒は、垂直に配置された縦型位置と下端が手前上方に撥ね上げられた少なくとも一つの傾斜位置との中から選ばれた包装運転位置において、前記外側筒が前記固定フレームに対して固定手段によって脱着可能に固定されることで、前記固定フレームに取り付けられ、
前記充填筒が前記傾斜位置から選ばれた特定の脱着位置において、前記充填筒の前記外側筒を前記固定フレームに取り付けた状態とし、
当該取付け状態において前記係合手段による前記内側筒の前記外側筒に対する係合を解除し、
前記内側筒を前記外側筒の下端側から取り出すこと
を特徴とする製袋充填包装機における二重筒構造の充填筒の内側筒脱着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外側周面の周りに筒状包装材が筒状に囲みつつ走行する外側筒と、包装すべき包装物が内部通路を通して充填される内側筒とが重ねられて二重筒に構成された充填筒が固定フレームに取り付けられており、前記充填筒から送り出され且つ前記充填筒の前記内部通路を通じて前記包装物が充填された前記筒状包装材にエンドシールを施して袋包装体を製造する製袋充填包装機、及び製袋充填包装機における製袋充填二重筒の内側筒脱着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、袋を製造しながらその袋内に包装物を包装する製袋充填包装機として、包装材の送り及び包装物の供給を縦方向に行う縦型製袋充填包装機がある。縦型製袋充填包装機は、縦方向に送られる帯状包装材が製筒器により湾曲状に曲成され、製袋充填筒の外側周面に沿って走行案内されることにより略筒状となり、その略筒状に成形された包装材の合わせ目にセンターシールを施して筒状包装材に成形し、エンドシールを施すことで袋底部を形成し、該袋底部が形成された筒状包装材内に製袋充填筒内を通路として包装物を投入又は充填し、袋口部に相当する部分にエンドシールを施すことで包装物を袋に包装した袋包装体の製造を行う。上記の工程(包装材の送り、筒の形成、袋底部の形成、包装物の投入又は充填、袋口部の封鎖)を繰り返すことで、袋包装体が連続的に製造される。
【0003】
本出願人は、リクライニング機能を備えた製袋充填包装機、即ち、製筒器及び製袋充填筒の下方を前側に傾斜させており、当該傾斜した製袋充填筒の外周面を筒状に囲みつつ紙送りされる筒状包装材から成形した袋内に、当該製袋充填筒内に投入した包装物を充填することで、袋包装体を得る製袋充填包装機を提供している。製筒器及び製袋充填筒の傾き角は、通常、包装機の固定フレームに対して固定されている。
【0004】
この種の製袋充填包装機においては、製袋充填筒内に投入された包装物は、当該製袋充填筒の傾斜した内面に案内されながら滑り降りることによって、筒状包装材から成形した袋内に充填されるので、製筒器及び製袋充填筒が縦方向(垂直)に配置されている縦型製袋充填包装機の場合と比べて包装物の降下速度が低く、袋内へ充填されるときの衝撃が緩やかであるので、包装物にとって優しい包装機となっている。
【0005】
しかしながら、包装物が粉粒体である、或いはスナック菓子のような壊れやすい物である場合には、粉粒や菓子の破片が製袋充填筒の内面に付着しやすい。また、包装物が食品である場合、その素材によっては、摂食するとアレルギー発症の原因になるものがある。したがって、同じ製袋充填包装機において包装物を変更する場合には、変更前の包装物の破片等が製袋充填筒内に微量でも残留するような事態を完全に回避しなければならない。特に、上記のように包装物が粉粒体やスナック菓子のような壊れやすく、製袋充填筒に付着しやすい物であった場合には、製袋充填筒を念入りに清掃・洗浄する必要がある。
【0006】
通常の縦型製袋充填包装機、或いは傾斜角(垂直に垂らした状態の製袋充填筒を基準として撥ね上げた角度)が小さい場合、製袋充填筒内の清掃・洗浄を実施するには、製筒器及び製袋充填筒を包装機の固定フレームに固定していた締結具を弛めて、製筒器及び製袋充填筒を固定フレームから取り外して、製袋充填筒を清掃・洗浄している。製袋充填筒の下方には、エンドシール機構や袋包装体の搬出機構等が配設されており、製袋充填包装機を設置している床面との間に充分なスペースが無い。製筒器は、通常、製袋充填筒よりも上方に位置するとともに製袋充填筒よりも横方向に広がる構造を有している。したがって、製筒器及び製袋充填筒の固定フレームからの取外しは、両者を製袋充填包装機から上方に抜き出すようにして行われる。製袋充填筒は、筒軸方向に細長い形態を備えた筒体であるので、上方への引抜きの行程が長くなる。この取外し作業は、作業員が製袋充填包装機に登って製袋充填筒を上方に引き抜いて行うので、作業性が非常に悪く、作業時間が長くなる等の問題もある。
【0007】
傾き角を調整できる包装機の例として、特許文献1に傾斜式自動包装機が開示されている。この傾斜式自動包装機は、フィルムの端縁部をセンターシールされたフィルムについてトップシール(エンドシールに相当)をするトップシール機構を受け台の傾斜面に前進後退可能に設け、更に受け台の傾斜角度を調整可能としており、包装物の形状の変更又は重量の増減に応じてその傾斜角度を変更し、包装物が製袋器を経て包装袋へ降下するスピードを調整して、包装袋に大きな衝撃力が作用することを防止することを図っている。
【0008】
本出願人は、また、二重筒構造の製袋充填筒を提案している(特許文献2)。この縦型製袋充填包装機における充填筒構造は、外側筒体と内側筒体との二重筒構造となっており、外側筒体の外側周面が帯状包装材を湾曲状態で走行案内させつつ筒状包装材を形成するのに用いられ、内側筒体の筒状内部が筒状包装材から形成される袋内に前記包装物を投入するのに用いられており、外側筒体と内側筒体との間に、内側筒体をその外側から内側に窪ませて長手方向に延びる態様で形成した縦溝を外側筒体の内面で覆うことでガス通路が形成されている。したがって、ガス通路は包装物が投入される充填筒の投入通路の外に置かれ、充填筒の筒状内部は包装物の投入通路としてのみ用いられる。充填筒の筒状内面には包装物やその破片が付着し難くなり、たとえ填筒の投入通路の内面に包装物やその破片が付着したとしても、充填筒の投入通路内面は清掃・洗浄しやすく、投入通路内面を常に清潔に保つことができる。食物アレルギーの観点からも、異なる食品製品を包装する際にそれまでに包装していた食品製品を微量でも充填筒に残存させないことを図っている。
【0009】
帯状のフィルムをフォーマによりチューブ状に曲成して包装袋を形成しながら物品を投入する製袋包装機において、フォーマの着脱作業の作業性を一層向上させたものが提案されている(特許文献3)。フォーマを着脱自在に支持する支持部材が備えられていると共に、該支持部材は、フォーマを、包装作業が実行される第1の位置から、該第1の位置より低い第2の位置へ移動可能に支持するようにし、フォーマユニットの上部が手前下に傾斜した前傾姿勢を取るように構成されている。重量物であるフォーマの交換時等において、フォーマユニットの着脱作業を相対的に低い位置で行うことが可能となり、該フォーマの着脱作業の作業性を向上させることを図っている。
【0010】
従来の二重筒構造を有する充填筒の例として、図7に示すものがある。図7に示される充填筒50は、上端部に鍔53を有する外側筒51と、上端部に鍔55を有しており外側筒51内に上方より装填される内側筒52とを備えている。外側筒51の鍔53の上面には浅い凹部54が形成されており、上方より装填される内側筒52の鍔55が当該凹部54に嵌まり込む構造となっている。
【0011】
図7に示す充填筒について、内側筒52を包装機に装着された外側筒51内に装填する様子が、フォーマ65及び充填筒50とフレーム60との関連構成とともに、図8に示されている。製袋充填包装機のフレーム60は、下段のフレーム板61と、上段のフレーム板62とが連結棒63,63で連結して構成されている。下段のフレーム板61には、製袋充填包装機の製筒器であるフォーマ65が取り付けられている。また、上段のフレーム板62には充填筒50の外側筒51が取り付けられており、外側筒51はフォーマ65内を通って下方に延びている。充填筒50の内側筒52が、製袋充填包装機の上方から外側筒51内に装填される。こうした二重筒構造を有する充填筒50の場合、内側筒52の洗浄・清掃のためには、内側筒52を外側筒51から上方に引き抜く態様で取り外す必要があるので、製袋充填包装機の上方に引き抜き用のスペースが必要である。また、内側筒52の洗浄・清掃後、内側筒52を包装機の上方から、外側筒51内に装填させる必要があり、総じて、取付け・取外しの作業が複雑で時間を要するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開昭49−044886号公報
【特許文献2】特許第5033445号公報
【特許文献3】特開2011−136714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、固定フレームと、当該固定フレームに取り付けられる充填筒とを備えており、前記充填筒は、外側筒と内側筒とが重ねられて二重筒に構成されているとともに前記内側筒が前記外側筒に対して係脱可能な係合手段によって取り付けられており、充填筒から紙送りされた筒状包装材に対して、充填筒の内側筒内の内部通路を通じての包装物の充填と、筒状包装材を横断方向に封鎖するエンドシールとを順次繰り返して袋包装体を製造する製袋充填包装機において、二重筒に構成されている充填筒の内側筒を製袋充填包装機の下方側から脱着させて、外側筒に対する内側筒の脱着の作業性を向上させる点で解決すべき課題がある。
【0014】
この発明の目的は、上記課題を解決することであり、製袋充填包装機において、外側筒と共に二重筒に構成されている充填筒の内側筒を製袋充填包装機の下方側から脱着させることで、充填筒の内側筒を上方に引き上げて脱着させる場合と比較して、脱着のために確保すべきスペースを省スペース化し、外側筒に対する内側筒の脱着の作業負担を軽減させてメンテナンス性を向上させる製袋充填包装機、及びそうした製袋充填包装機における二重筒構造の充填筒の内側筒脱着方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するため、この発明による製袋充填包装機は、固定フレームと、当該固定フレームに取り付けられる充填筒とを備えており、前記充填筒は、外側周面を持ち且つ筒状包装材が当該外側周面の周りに筒状に囲みつつ筒軸方向に紙送りされる外側筒と、包装すべき包装物が内部通路を通して充填される内側筒とが重ねられて二重筒に構成されているとともに、前記内側筒が前記外側筒に対して係脱可能な係合手段によって取り付けられており、前記充填筒から紙送りされた前記筒状包装材に対して、前記内部通路を通じての前記包装物の充填と、前記筒状包装材を横断方向に封鎖するエンドシールとを順次繰り返して袋包装体を製造する製袋充填包装機において、前記充填筒は、垂直に配置された縦型位置と下端が手前上方に撥ね上げられた少なくとも一つの傾斜位置との中から選ばれた包装運転位置において、前記外側筒が前記固定フレームに対して固定手段によって脱着可能に固定されることで、前記固定フレームに取り付けられ、前記充填筒が前記傾斜位置から選ばれた特定の脱着位置を占めるときに、前記係合手段による係合を解除して、前記内側筒を前記外側筒の下端側から取り出し可能としたことを特徴としている。
【0016】
この二重筒に構成されている充填筒を備えた製袋充填包装機によれば、充填筒は、垂直に配置された縦型位置と下端が手前上方に撥ね上げられた少なくとも一つの傾斜位置との中から選ばれた包装運転位置に置かれた状態で固定フレームに取り付けられ、その包装運転位置において、通常の製袋充填包装の動作が行われる。即ち、外側筒の側周面の周りに筒状に囲みつつ筒軸方向に紙送りされそして充填筒の先に出て行く筒状包装材に対して、内部通路を通じての包装物の充填と、筒状包装材を横断方向に封鎖するエンドシールとが順次繰り返されて、袋包装体が連続して製造される。充填筒のメンテナンスのため、充填筒は、傾斜位置から選ばれた特定の脱着位置に置かれる。脱着位置に置かれた充填筒は、下端が手前上方に撥ね上げられた状態にあるので、係合手段による係合を解除して内側筒と外側筒とが分離されると、内側筒は充填筒の下端側から手前側に向けて外側筒より取り出し可能となる。
【0017】
この製袋充填包装機において、前記製袋充填包装機は、前記充填筒が内部を貫通して配置されており、且つ紙送りされてくる帯状包装材を略筒状に曲成するとともに曲成された前記包装材を前記充填筒の前記外側筒との間の隙間を通して案内するフォーマを備えており、前記係合手段は、前記フォーマよりも上方に突き出ている前記充填筒の上部に設けることができる。充填筒は、フォーマ内を貫通しているので、充填筒を傾斜位置に置く場合、フォーマは充填筒とともに傾斜される。フォーマを備える製袋充填包装機においては、係合手段をフォーマよりも上方に突き出ている充填筒の上部に設けることで、係合手段は、フォーマにおいて略筒状に曲成される帯状包装材と干渉することが無くなり、製袋充填包装機による包装の動作を妨げることがない。また、係合手段による内側筒と外側筒の係合又はその離脱の操作についても、フォーマによって妨げられることがない。
【0018】
この製袋充填包装機において、前記係合手段は、前記充填筒の周方向に少なくとも二つの異なる位置において、それぞれ、前記外側筒の外側からねじ込まれるねじ軸を備え、前記各ねじ軸を内側筒に対応して形成されているねじ穴にそれぞれねじ係合させるものとすることができる。また、前記係合手段は、前記充填筒の周方向に少なくとも二つの異なる位置において、それぞれ、前記外側筒の外側からねじ込まれるねじ軸を備え、前記各ねじ軸の軸端を前記内側筒に形成されている凹部にそれぞれ嵌入係合させるものとすることができる。係合手段は、充填筒の外側からの操作によって、外側筒と内側筒とを係合させる又は係合解除させることができるのが好ましい。ねじとねじ孔の係合は、こうした要請に応える手段として、構造簡単なものである。ねじ軸の先端を内側筒に形成されている凹部に嵌入係合させる場合には、ねじ孔を形成する場合と比べて内側筒の内部に異物が侵入する事態を確実に回避することができる。
【0019】
この製袋充填包装機において、前記充填筒を含む製袋充填筒ユニットは、前記縦型位置にある前記充填筒の高さ方向の略中間で且つ前記充填筒の後方位置に設けられた回動支軸の回りに回動可能であり、前記製袋充填筒ユニットを前記回動支軸の回りに回動することによって前記充填筒は前記傾斜位置を占めることができる。このように配置された回動支軸の回りに製袋充填筒ユニットを回動可能にすることにより、充填筒が脱着位置を占めるときには、充填筒(外側筒)の下端が手前側に跳ね上がっており、外側筒の下方で且つ手前側のスペースが脱着スペースとして充分に広がっており、内側筒を外側筒から取り外し易くすることができる。
【0020】
この製袋充填包装機において、前記傾斜位置は、前記縦型位置から連続して広がる傾斜角度範囲、又は前記縦型位置から所定の角度を跳ね上がった傾斜角度から連続して広がる傾斜角度範囲の中で任意の傾斜角度位置に設定され、前記脱着位置は、前記傾斜角度範囲内の最も跳ね上がった傾斜角度位置に設定することができる。また、前記傾斜位置は、前記縦型位置から異なる傾斜角度で跳ね上がった複数の離散的な傾斜角度位置の中から設定され、前記脱着位置は、最も跳ね上がった傾斜角度位置に設定することができる。この製袋充填包装機において、傾斜位置は、縦型位置から連続して広がる傾斜角度範囲の中で任意の傾斜角度位置に設定することができ、また、縦型位置から所定の角度を跳ね上がった傾斜角度から連続して広がる傾斜角度範囲の中で任意の傾斜角度位置に設定してもよい。更に、傾斜位置は、縦型位置から異なる傾斜角度で跳ね上がった複数の離散的な傾斜角度位置の中から設定することもできる。充填筒の内側筒の脱着位置については、垂直位置から最も跳ね上がった傾斜が緩い角度位置とすることが好ましいので、傾斜位置が連続する傾斜角度範囲内にあるときには最も跳ね上がった傾斜角度位置に設定することができ、傾斜位置が複数の離散的な傾斜角度位置の中から設定されるときには最も跳ね上がった傾斜角度位置に設定することができる。
【0021】
この発明による製袋充填包装機における二重筒構造の充填筒の内筒脱着方法は、固定フレームと、当該固定フレームに取り付けられる充填筒とを備えており、前記充填筒は、外側周面を持ち且つ筒状包装材が当該外側周面の周りに筒状に囲みつつ筒軸方向に紙送りされる外側筒と、包装すべき包装物が内部通路を通して充填される内側筒とが重ねられて二重筒に構成されているとともに、前記内側筒が前記外側筒に対して係脱可能な係合手段によって取り付けられており、前記充填筒から紙送りされた前記筒状包装材に対して、前記内部通路を通じての前記包装物の充填と、前記筒状包装材を横断方向に封鎖するエンドシールとを順次繰り返して袋包装体を製造する製袋充填包装機において、前記充填筒は、垂直に配置された縦型位置と下端が手前上方に撥ね上げられた少なくとも一つの傾斜位置との中から選ばれた包装運転位置において、前記外側筒が前記固定フレームに対して固定手段によって脱着可能に固定されることで、前記固定フレームに取り付けられ、前記充填筒が前記傾斜位置から選ばれた特定の脱着位置において、前記充填筒の前記外側筒を前記固定フレームに取り付けた状態とし、当該取付け状態において前記係合手段による前記内側筒の前記外側筒に対する係合を解除し、前記内側筒を前記外側筒の下端側から取り出すことを特徴としている。
【0022】
この製袋充填包装機における二重筒構造の充填筒の内側筒脱着方法によれば、充填筒が傾斜位置から選ばれた特定の脱着位置において、充填筒の外側筒を固定フレームに取り付けた状態とするので、充填筒は下端が手前側に跳ね上がった傾斜状態にある。当該傾斜した取付け状態において、係合手段による内側筒の外側筒に対する係合を解除するので、内側筒は外側筒に対してフリーとなる。内側筒は、外側筒が傾斜した案内の役割を果たすので、重力の作用によって真下に自由落下することなく、外側筒の内面に案内されながら緩慢に降下する。したがって、内側筒を外側筒の下端側から手前側に向けて安全に取り出すことができる。また、内側筒を外側筒に装填する場合には、逆の操作手順を辿ることで二重筒構造の充填筒を得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明は、上記のように構成されているので、充填筒が垂直位置を占める通常の縦型と、充填筒が傾斜位置を占めるリクライニング状態の縦型とが兼用可能である。即ち、充填筒は、垂直に配置された縦型位置と下端が手前上方に撥ね上げられた少なくとも一つの傾斜位置との中から選ばれた包装運転位置に置かれた状態で固定フレームに取り付けられ、その包装運転位置において、通常の製袋充填包装の動作が行われる。製袋充填包装の動作においては、外側筒の外側周面の周りに筒状に囲みつつ筒軸方向に紙送りされそして充填筒の先に出て行く筒状包装材に対して、内側筒の内部通路を通じての包装物の充填と、筒状包装材を横断方向に封鎖するエンドシールとが順次繰り返されて、袋包装体が連続して製造される。
しかも、充填筒のメンテナンスのため、充填筒は傾斜位置から選ばれた特定の脱着位置に置かれ、脱着位置に置かれた充填筒は下端が手前上方に撥ね上げられた状態にあるので、係合手段による係合を解除して内側筒と外側筒とが分離されると、内側筒は充填筒の下端側から手前側に向けて取り出し可能となる。製袋充填包装機を通常の縦型としてのみ用いるときでも、傾斜位置を内側筒の脱着位置として使用できるので、充填筒が傾斜位置を取ることで、二重筒構造をした充填筒の内側筒の脱着作業を容易に行うことができる。
充填筒の内側筒を充填筒の下端側から脱着させることによって、充填筒の内側筒を上方に引き上げて脱着させる場合と比較して、脱着のために確保すべきスペースが省スペース化され、内側筒の脱着の作業負担が軽減されて、メンテナンス性が向上した製袋充填包装機、及びそうした製袋充填包装機における二重筒構造をした充填筒の内側筒脱着方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明による製袋充填包装機が、充填筒を床面に対して垂直に配置した縦型製袋充填包装機として用いられている状態を示す側面図である。
図2図2は、図1に示す製袋充填包装機において、充填筒の内側筒の脱着を説明する図である。
図3図3は、二重筒に構成されている充填筒において、内側筒を外側筒に対して係脱可能とする係合手段の一例を示す図である。
図4図4は、二重筒に構成されている充填筒において、内側筒を外側筒に対して係脱可能とする係合手段の別の例を示す図である。
図5図5は、本発明における製袋充填包装機の充填筒について、包装機が縦型製袋充填機として用いられるとき又は傾斜式の製袋充填包装機として用いられるときの充填筒の角度位置と、充填筒の内側筒が外側筒から脱着される脱着位置との関係を説明する図である。
図6図6は、二重筒に構成されている充填筒の別の形態を示す斜視図である。
図7図7は、従来の二重筒構造の充填筒の例を分解した状態で示す図である。
図8図8は、図7に示す充填筒の内側筒を包装機にセットされた外側筒内に装填する様子を示す斜視図である。
図9図9は、製袋充填包装機が縦型製袋充填包装機として用いられている状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による二重筒に構成された充填筒を備えた製袋充填包装機、並びに製袋充填包装機における製袋充填二重筒の内側筒脱着方法の実施例を説明する。図1は、本発明による製袋充填包装機が、充填筒を含む製袋充填筒ユニットを床面に対して垂直に配置した縦型製袋充填包装機として用いられている状態を示す側面図であり、図2は、図1に示す製袋充填包装機において、製袋充填筒ユニットの二重筒に構成された充填筒(以下、「二重筒構造の充填筒」という)について外側筒からの内側筒の取外しを説明する図である。
【0026】
先ず、製袋充填包装機が、充填筒を床面に対して垂直に配置した縦型製袋充填包装機として用いられるときの当該製袋充填包装機の一例について説明する。図9は、製袋充填包装機が、かかる縦型製袋充填包装機として用いられている状態を示す斜視図である。図9に示す製袋充填包装機100においては、ウェブ状包装材を巻き取った原反ロールFrから繰出し機構101によって帯状包装材Fwが繰り出される。繰り出された帯状包装材Fwは、適宜の貯留部で留め置かれるとともに適宜の張力が付与されて、フォーマ104に供給される。供給途上の適宜位置に印刷装置等の付属装置102を配設して、包装に関する内容についての印刷をすることが可能である。また、レジマークセンサ103が帯状包装材Fwに印刷されたレジマークRMを検出し、帯状包装材Fwの送りについて制御装置に情報を与えている。
【0027】
帯状包装材Fwは、フォーマ104によって両側縁部分Fe,Feが接近した略筒状に曲成される。フォーマ4内には充填筒105が嵌入されており、曲成された包装材が両者の隙間(フォーマ104の内周面と充填筒105の外周面との間に隙間)内を通過する。充填筒105の上方には、菓子等の食品のような包装物Pを投入するためのホッパ106が配置されている。フォーマ104内を貫通した充填筒105の外周を筒状に囲むように送られた包装材は、向かい合う二つのヒータバー108,108の構成とされ且つ充填筒105の外周側方に充填筒に沿って配置された縦シール手段107によって両側縁部分Fe,Fe同士にセンターシール部Scが施されて、筒状包装材Ftに形成される。
【0028】
充填筒105の側方には、筒状包装材Ftを挟んでベルト式の紙送り手段109が配設されており、充填筒105の外周面とベルト110,110との間で筒状包装材Ftを挟み付けることで、ベルト110,110の走行により筒状包装材Ftを下方に向かって紙送りする。ホッパ106から投入され充填筒105を通じて落下する包装物Pが、筒状包装材Ftから形成された袋内に投下・充填される。横シール手段111が筒状包装材Ftに横断方向のエンドシール部Seを施して、先行して形成されている袋の上開口部を封鎖するとともに、後続の袋の底部を形成する。横シール手段111は、前側ヒータブロック112と後側ヒータブロック113とを備えている。両ヒータブロック112,113は、図において矢印で示すように、筒状包装材Ftに接近して挟み込むことで筒状包装材Ftとともに移動しつつ加圧加熱しながらエンドシール部Seを施し、シール形成後には互いに前後方向に離れる方向の動作をし、その後、筒状包装材Ftの送り逆方向に戻って、次の包装サイクルで再び筒状包装材Ftに接近するという公転動作を繰り返す。
【0029】
このように、袋の形成とタイミングを合わせて充填筒105を通して食品を袋内に投下・充填し、エンドシール部Seによって封鎖するという各動作を繰り返すことで、袋包装体Bpを連続して製造することができる。横シール手段111にはカッタ機構を組み込んでおいて、筒状包装材Ftに対してエンドシール部Seを施す際に、筒状包装材Ftを連続する袋間で切断・分離することができる。
【0030】
図1においては、図9に示した縦型製袋充填包装機100が簡略化されて製袋充填包装機1として示されている。製袋充填包装機1の右側が正面側、左側が裏面側を示している。製袋充填包装機1の主要な構成である、フォーマ(製筒器)4、包装材が外側周面の周りに筒状に被せられつつ筒軸方向に紙送りされる外側筒7(図2図4参照)と包装すべき包装物が内部通路を通して充填される内側筒8(図2図4参照)との二重筒構造の充填筒5、及び横シール手段11が取付けベース20に取り付けられて、製袋充填筒ユニット3を構成している。フォーマ4と充填筒5とを取付けベース20に取り付けるには、例えば図8に示したフレーム60の構造を介して取り付けることができる。これら主要部分から成る製袋充填筒ユニット3は、ケース(包装機の固定フレーム) 2内に収容されている。取付けベース20は、ケース2内に配設されている傾斜機構22によって、回動支軸21の回りに回動可能に設けられている。
【0031】
回動支軸21は、充填筒5の高さ方向中央付近であって且つ充填筒5の後方の位置に設けられている。傾斜機構22は、ケース2に取り付けられたモータ23、モータ23の出力軸に取り付けられたレバー24、及びレバー24の先端部に枢着されたロッド25を備えており、ロッド25の先端部が取付けベース20の下隅部に枢着されている。このように配置されている回動支軸21の回りの回動によって、製袋充填筒ユニット3は、図1に示す垂直位置と図2に示す傾斜位置(脱着位置)との間で姿勢変更可能である。脱着位置では、充填筒5の全体が跳ね上がるように回動しており、しかも充填筒5の下端は手前側に回動しているので、外側筒7の下方で且つ手前側に充分な広さのスペースが確保され、外側筒7から内側筒8の引出しによる内側筒8の取外しを容易にしている。
【0032】
図1に示す垂直位置においては、取付けベース20(製袋充填筒ユニット3)が縦長の正立姿勢に固定されており、二重筒構造の充填筒5は垂直な縦型位置を占めている。ホッパ6から投入された包装物は、かかる縦型位置を占める充填筒5内を通じて落下して筒状包装材内に充填され、横シール手段11によってエンドシールが施される。
【0033】
図2に示す製袋充填筒ユニット3が占める傾斜位置は、充填筒5の内側筒8についての脱着位置である。取付けベース20に取り付けられた製袋充填筒ユニット3は、垂直位置から、傾斜位置(脱着位置)まで傾斜角度を変更可能に構成されており、選択されたその傾斜角度で固定される。図2に示す状態では、ロッド25が水平状態にあり、製袋充填筒ユニット3は機構的に取り得る最大傾斜状態ではないが、製袋充填包装機の製袋充填筒ユニット3として設定された傾斜角度範囲内の最大傾斜位置にある。モータ23又はその出力伝達経路、或いは取付けベース20に適宜のロック手段を設けて、停止した傾斜位置(脱着位置の場合も)でその傾斜姿勢を保持することが好ましい。図2に示す脱着位置においては、製袋充填筒ユニット3が傾斜されていることで、充填筒5は下端側が手前側に出るように傾いており、図1に示す垂直位置の場合に外側筒7の真下方向に延びるスペースに比べて、外側筒7の筒軸方向下方で且つ手前側に、内側筒8の長さ以上の充分長いスペースを確保することができる。
【0034】
この位置において、二重筒構造の充填筒5の内側筒の脱着は、下方向且つ手前側において行われる。図2に示す充填筒5においては、外側筒7については取付けベース20に取り付けられた状態そのままであるが、内側筒8は、外側筒7から取り外されて、外側筒7の筒軸方向下方へ引き降ろされる。内側筒8は、ストレートな円筒体として形成されており、鍔等の出っ張りが無いので、係合手段による係合を解除した状態では外側筒7内をフリーに移動可能である。外側筒7も円筒体であって、外側筒7と内側筒8とは両筒間の隙間は狭くなるように寸法管理されており、且つ内側筒8の引き降ろしは傾斜した外側筒7に案内されて行われる。内側筒8は、重力によって直接に真下に落とされることはなく、重力の傾斜方向成分の力でゆっくりと外側筒7に沿って引き降ろされるので、内側筒8の取外し作業は安全側の作業となる。従来、内側筒8を外側筒7から上方へ引き出していた場合と比べて、作業員が高所に登る必要もなく、また上方へ引き上げる力作業の必要もなく、引き上げ中の内側筒8が途中で落下すると衝撃が大きくなる等の懸念もなく、内側筒8の脱着作業が格段にし易くなっている。内側筒8は、外側筒7の下端側から手前側に向かって引き降ろされ、全体が露出した状態で取り上げて回収することができる。
【0035】
内側筒8の外側筒7内への再装填は、内側筒8の取外しの操作を逆の手順に辿ることで行われる。回収した内側筒8については、清掃や洗浄を施すことで、衛生状態を保ち、またアレルギー源の混入を回避することもできる。清掃や洗浄が終了した内側筒8については、図2に示す傾斜角度位置にある製袋充填包装機1において、内側筒8を、外側筒7の下端手前側から上内方へ押し上げながら装填する。内側筒8については、真上に押し上げるのではなく、傾斜した外側筒7内へ押し上げるので、大きな押上げ力が必要ではない。また、内側筒8の先端の一部が外側筒7内へ入れられた状態で、内側筒8の重さの一部が外側筒7で支持されるので、その後の内側筒8の押上げの負担が軽減される。装填が完了した内側筒8は、外側筒7に対して係合手段によって取り付けられる。製袋充填筒ユニット3は、傾斜機構22によって取付けベース20の角度を調整することで、縦型製袋充填包装機として又は傾斜した製袋充填包装機として運転される。
【0036】
図3は、二重筒構造の充填筒において、内側筒を外側筒に対して係脱可能とする係合手段の一例を示す図である。図3(a)は内側筒を外側筒に対して装填前の分解状態を示す断面図であり、同(b)は係合手段で係合された状態を示す断面図である。係合手段は、ねじとそれがねじ込まれるねじ孔とから構成されている。充填筒5の外側筒7は上端部に、固定フレームへの取付け用の鍔30が形成されており、その鍔30の直下の部分に外側筒7を内外方向(径方向)に貫くねじ孔31,31が形成されている。鍔30の直下の部分は、充填筒5をフォーマ4と組み合わせたときに、フォーマ4よりも上側に突き出た部分の範囲内で選択される。このようにねじ孔31,31の位置を選定することで、包装材をフォーマ4や充填筒5にセットしたときに、ねじ孔31,31にねじ込まれる係合手段が包装材と干渉することがない。また、包装材をフォーマ4と充填筒5にセットした状態でも、製袋充填包装機1を傾斜させて、ねじを弛めることで内側筒8を外側筒7から取り外すことができる。
【0037】
図3に示す例では、ねじ孔の個数は対称位置に形成された二つであるが、これに限らず、外側筒7の周方向に少なくとも二つの異なる位置に形成されていればよい。ねじ孔の個数を一つとすると、ねじ孔にねじを係合させても内側筒8の外側筒7への固定が定まらず、内側筒8のぐらつきを防止できないが、外側筒7と内側筒8との間の隙間は非常に狭く設定されているので、二つ以上とすることで、内側筒8の外側筒7への固定を定めてぐらつきを事実上防止することができる。好ましくは、三つの位置でねじ係合させることで、外側筒7と内側筒8との安定した係合を得ることができる。
【0038】
充填筒5の内側筒8には、内側筒8が外側筒7に対して装填されたときに外側筒7のねじ孔31,31に対応することになる位置に、ねじ孔32,32が形成されている。内側筒8を図示のように外側筒7に対して装填した状態で、充填筒5の外側から、ねじ33,33を、外側筒7のねじ孔31,31とそれに位置が対応した内側筒8のねじ孔32,32とにねじ込むことで、内側筒8を外側筒7に対して取り付けることができる。ねじ孔32,32はねじ33,33で塞がれるため、製袋充填包装機1の運転中において、異物が二重筒構造の充填筒5を通して入り込むことはない。
【0039】
図4は、二重筒構造の充填筒において、内側筒を外側筒に対して係脱可能とする係合手段の別の例を示す図である。図4(a)は内側筒を外側筒に対して装填前の分解状態を示す断面図であり、同(b)は係合手段で係合された状態を示す断面図である。図4に示す例においては、ねじを用いる点、及び外側筒7の構造について、図3に示す例と異なるところはないので、同じ要素及び部位には図3について用いた符号と同じ符号を用いることで、再度の説明を省略する。内側筒8においては、図3の例では孔32,32として形成されたものの代わりに、外周面から窪んだ凹部35,35が形成されている。内側筒8が外側筒7に対して装填されたときに、外側筒7の外側からねじ33,33を外側筒7のねじ孔31,31にねじ込み、ねじ33,33の先端34,34を内側筒8に形成されている凹部35,35に嵌入係合させることで、内側筒8を外側筒7に対して取り付けることができる。ねじ33,33の先端34,34を凹部35,35の底面に突き当てることで、両筒7,8の係合が確実になる。
【0040】
図4に示す例の場合には、内側筒8に孔(図3の例に示すねじ孔32に相当するもの)が形成されていないので、孔を通して、ゴミ等の異物が内側筒8の内部に侵入することがなく、高い衛生状態を確保することができる。
【0041】
図3及び図4に示した例は、内側筒8を外側筒7に対して取り付ける係合手段の例を示すもので、本発明による製袋充填包装機、又は製袋充填二重筒の内側筒脱着方法においては、別の係合手段を用いることができることは明らかである。例えば、ねじ33に限らず、ピンや他の締め付け力を伴う手段であってもよい。ただし、係合手段としては二重筒構造の充填筒5において、外側筒7の外側からの操作で内側筒8を脱着可能であることが好ましい。また、係合手段を設けるために、二重筒構造の充填筒5を通して異物が内部に侵入することのないものとすることも必要である。
【0042】
製袋充填筒ユニット3を傾斜させる傾斜機構22は、モータ23とレバー24及びロッド25を備えたものとして説明したが、これに代えて、例えば、流体シリンダ機構、或いはハンドルで操作した回動量で直線状の変位に変換するジャッキ等の機械機構を用いることもできる。
【0043】
図5には、本発明における製袋充填包装機の充填筒について、包装機が縦型製袋充填機として用いられるとき又はリクライニング(傾斜式)の製袋充填包装機として用いられるときの充填筒の角度位置と、充填筒の内側筒が外側筒から脱着される脱着位置との関係が説明されている。製袋充填筒ユニット3の傾斜は、充填筒5の傾斜と対応しているので、以下、充填筒5の傾斜に代表させて説明する。
【0044】
図5(a)に示す位置関係においては、傾斜位置は、縦型位置から連続して広がる傾斜角度範囲内に設定されている。即ち、充填筒5が垂直位置にあるときが縦型位置Lであり、充填筒5の傾斜位置Iは、この縦型位置Lから連続して広がる傾斜角度範囲Aの中で、任意の傾斜角度位置に設定可能である。この例では、充填筒5の傾斜位置は、縦型位置Lから傾斜角度範囲A内の傾斜角度αで跳ね上がった傾斜角度位置である傾斜位置Iに設定されており、充填筒5についての脱着位置Dは、傾斜角度範囲A内において最も跳ね上がった傾斜角度、即ち、最大傾斜角度βとなる傾斜角度位置に設定されている。傾斜角度範囲Aについては、縦型位置Lから所定の角度を跳ね上がった最小傾斜角度γから連続して広がる傾斜角度範囲Bとすることも可能である。
【0045】
図5(b)に示す位置関係においては、傾斜位置は、縦型位置から異なる角度で跳ね上がった複数の離散的な傾斜角度位置の中から設定されている。即ち、充填筒5が垂直位置にあるときが縦型位置Lであり、充填筒5の傾斜位置Iは、この縦型位置Lから異なる角度で跳ね上がった複数の離散的な傾斜角度δ1,δ2,δ3,…δnを有する傾斜角度位置の中から、傾斜角度δkとなる傾斜角度位置に設定されている。充填筒5についての脱着位置Dは、最も跳ね上がった傾斜角度、即ち、最大傾斜角度δnとなる傾斜角度位置に設定されている。
【0046】
図6には、二重筒に構成されている充填筒の別の形態が斜視図として示されている。上記の実施例においては、充填筒5は、外側筒7も内側筒8も共に円筒体であるとして説明したが、図6に示す形態の充填筒40については、内側筒42は円筒体であるが、外側筒41は角筒体から構成されている。内側筒42を外側筒41に対して係脱可能とする係合手段については、図3又は図4に示すねじ33,33を用いる構造と同様のものを適用することができる。その場合、ねじ33,33で示すように、ねじ孔や凹部は、角筒体である外側筒41と円筒体である内側筒42とが最も接近する対称な部位に設けるのが好ましい。
【符号の説明】
【0047】
1 製袋充填包装機 2 ケース
3 製袋充填筒ユニット 4 フォーマ(製筒器)
5 充填筒 6 ホッパ
7 外側筒 8 内側筒
11 横シール手段
20 取付けベース 21 回動支軸
22 傾斜機構 23 モータ
24 レバー 25 ロッド
30 鍔 31 ねじ孔
32 ねじ孔 33 ねじ
35 凹部
40 充填筒 41 外側筒
42 内側筒
L 縦型位置 I 傾斜位置
D 脱着位置 A,B 傾斜角度範囲
α,δ1,δ2,δ3,δk 傾斜角度
β,δn 最大傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9