(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
(実施形態)
図1は、実施の形態に係る半導体装置SDの構成を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置SDは、チップ搭載部DPの第1面に第1半導体チップSC1及び第2半導体チップSC2を搭載した構成を有している。チップ搭載部DPは、例えばリードフレームのダイパッドである。第1半導体チップSC1は、ボンディングワイヤWIR1を介して第1端子TER1に接続しており、第2半導体チップSC2はボンディングワイヤWIR2を介して第2端子TER2に接続している。第1端子TER1及び第2端子TER2は、例えばリードフレームのリード端子である。そして第1半導体チップSC1と第2半導体チップSC2は、ボンディングワイヤWIR3を介して互いに接続されている。ボンディングワイヤWIR1,WIR2,WIR3は、例えば金ワイヤであるが、他の金属(例えば銅)によって形成されていても良い。
【0012】
チップ搭載部DPの第1面、第1半導体チップSC1、第2半導体チップSC2、及びボンディングワイヤWIR1,WIR2,WIR3は、封止樹脂MDRによって封止されている。本図に示す例において、半導体装置SDはQFN(Quad For Non-Lead Package)である。このため、第1端子TER1及び第2端子TER2の端面は、封止樹脂MDRの端面と同一面を形成している。また、チップ搭載部DPのうち第1面とは逆側の面(第2面)、並びに第1端子TER1及び第2端子TER2の一面は、封止樹脂MDRの底面からと出しており、封止樹脂MDRの底面と同一面を形成している。ただし、半導体装置SDは、他の封止構造を有していても良い。
【0013】
図2は、半導体装置SDの平面図である。本図では、封止樹脂MDRは説明のため省略されている。また
図1は、
図2のA−A´断面に対応している。
【0014】
第1半導体チップSC1の平面形状は矩形、例えば正方形、又は縦横比が1.5以下の長方形である。第1半導体チップSC1は、第1辺SID1、第2辺SID2、第3辺SID3、及び第4辺SID4を有している。第1辺SID1は第2半導体チップSC2の第5辺SID5に対向している。第2辺SID2は、第1辺SID1に対向する辺であり、第3辺SID3及び第4辺SID4は残りの2辺である。
【0015】
第1半導体チップSC1は、複数の電極パッドPAD1を有している。複数の電極パッドPAD1は、第1半導体チップSC1の4辺に沿って配置されている。半導体装置の高集積化が進んでいるため、第1半導体チップSC1の1辺の長さは、例えば1.5mm以上2.0mm以下になっている。また、複数の電極パッドPAD1は、互いに等間隔に配置されている。隣り合う電極パッドPAD1の間隔は、例えば75um以下である。ただし、第1半導体チップSC1の4つの角の隣に位置している8つの電極パッドPAD1は、その隣に位置している電極パッドPAD1から少し離れて配置されている。
【0016】
第1辺SID1に沿って配置されている電極パッドPAD1(第1電極パッドPAD11)は、ボンディングワイヤWIR3を介して第2半導体チップSC2に接続している。また、第2辺SID2、第3辺SID3、及び第4辺SID4に沿って配置されている電極パッドPAD1は、ボンディングワイヤWIR1を介して第1端子TER1に接続している。
【0017】
なお、本図に示す例では、第1半導体チップSC1は、汎用のマイコン(マイクロコントローラ(MCU:Micro Control Unit)またはマイクロプロセッサ(MPU: Micro-Processing Unit ))である。このため、第1半導体チップSC1には、いずれのボンディングワイヤにも接続されていない電極パッドPAD1(空電極パッドUCPAD1)が設けられている。本図に示す例では、空電極パッドUCPAD1は、第1半導体チップSC1の4辺のすべてに設けられている。ただし、第1半導体チップSC1の少なくとも1辺は、空電極パッドUCPAD1を有していなくても良い。
【0018】
第2半導体チップSC2は、例えばアナログ回路及び電流制御用のトランジスタ(後述するパワートランジスタPTR)を有しており、その平面形状は第1半導体チップSC1よりも大きい。具体的には、第2半導体チップSC2は長方形であり、その縦横比は2.0倍以上である。また、第2半導体チップSC2の長辺の長さは6.0mm以上6.5mm以下であり、第1辺SID1よりも長い。また、第2半導体チップSC2の短辺の長さは、2.0mm以上3.0mm以下である。
【0019】
第2半導体チップSC2は、第5辺SID5、第6辺SID6、第7辺SID7、第8辺SID8を有している。第5辺SID5は、第1半導体チップSC1の第1辺SID1に対向している。第6辺SID6は第5辺SID5に対向している。本図に示す例では、第5辺SID5及び第6辺SID6は、第2半導体チップSC2の長辺である。また、第2半導体チップSC2の残りの2辺(第7辺SID7及び第8辺SID8)は短辺である。
【0020】
第2半導体チップSC2は、複数の電極パッドPAD2を有している。複数の電極パッドPAD2は、第2半導体チップSC2の4辺に沿って配置されている。電極パッドPAD2の間隔は、その電極パッドが、第2半導体チップSC2内のいずれの素子に接続しているかによって、異なる。このため、電極パッドPAD2の間隔は、電極パッドPAD1の間隔と比較して不ぞろいである。このため、電極パッドPAD2の間隔の分散は、電極パッドPAD1の間隔の分散よりも大きい。
【0021】
第2半導体チップSC2の第5辺SID5に沿って配置されている電極パッドPAD2のうち、第5辺SID5の延在方向において第1半導体チップSC1の第1辺SID1と重なっている部分に位置する電極パッドPAD2の大部分(第2電極パッドPAD21)は、ボンディングワイヤWIR3を介して第1半導体チップSC1に接続している。また、第5辺SID5に沿って配置されている電極パッドPAD2のうち、第5辺SID5の延在方向において第1半導体チップSC1の第1辺SID1と重なっていない部分に位置する電極パッドPAD2の大部分は、ボンディングワイヤWIR2を介して第2端子TER2に接続している。また、第6辺SID6に沿って配置されている電極パッドPAD2、第7辺SID7に沿って配置されている電極パッドPAD2、及び第8辺SID8に沿って配置されている電極パッドPAD2も、ボンディングワイヤWIR2を介して第2端子TER2に接続している。
【0022】
なお、第2半導体チップSC2も、ボンディングワイヤに接続していない電極パッドPAD2(空電極パッドUCPAD2)を有している。ただし、空電極パッドUCPAD2の数は、空電極パッドUCPAD1の数よりも少ない。
【0023】
本図に示す例において、チップ搭載部DP、第1端子TER1、及び第2端子TER2はリードフレームである。このため、チップ搭載部DPの4隅には、吊りリードSLが取り付けられている。
【0024】
このリードフレームは汎用のリードフレームであるため、チップ搭載部DPは正方形となっている。チップ搭載部DPの一辺の長さは、例えば7.0mm以上7.5mm以下である。また、チップ搭載部DPの一辺の長さと、第2半導体チップSC2の長辺の長さの差は、1.0mm以上1.5mm以下である。このため、チップ搭載部DPの一辺の長さと、第1半導体チップSC1の第2辺SID2の長さと第2半導体チップSC2の第7辺SID7の長さの和と、の差は、ある程度大きくなってしまう。ボンディングワイヤWIR3の長さを短くするためには、第1半導体チップSC1と第2半導体チップSC2を互いに近づければよい。しかし、このようにすると、ボンディングワイヤWIR1及びボンディングワイヤWIR2の長さの和が大きくなってしまう。このため、半導体装置SDが有するボンディングワイヤの全長を短くすることを目的として、第1半導体チップSC1の第1辺SID1と第2半導体チップSC2の第5辺SID5は、ある程度離れている。このため、ボンディングワイヤWIR3もある程度長くなっている。第1辺SID1と第5辺SID5の距離は、例えば1.0mm以上1.5mm以下である。
【0025】
図3は、
図2の点線αで囲んだ領域を拡大した図である。上記したように、第1半導体チップSC1の第1辺SID1には、複数の電極パッドPAD1(第1電極パッドPAD11)が並んで配置されており、第2半導体チップSC2の第2辺SID2には、複数の電極パッドPAD2(第2電極パッドPAD21)が並んで配置されている。そしてこれら第1電極パッドPAD11は、ボンディングワイヤWIR3を介して互いに異なる第2電極パッドPAD21に接続されている。なお、第1辺SID1に直角な方向において、第1電極パッドPAD11と第2電極パッドPAD21の間隔は、例えば1.0mm以上である。
【0026】
詳細には、複数のボンディングワイヤWIR3には、第1ボンディングワイヤWIR31、第2ボンディングワイヤWIR32、第3ボンディングワイヤWIR33、及び第4ボンディングワイヤWIR34が含まれている。これら4つのワイヤは、第1辺SID1に沿ってこの順に配置されている。具体的には、第1ボンディングワイヤWIR31、第2ボンディングワイヤWIR32、第3ボンディングワイヤWIR33、及び第4ボンディングワイヤWIR34は、第3辺SID3から第4辺SID4に向かう方向に、この順に並んでいる。
【0027】
また、第1ボンディングワイヤWIR31に接続している第1電極パッドPAD11(第1電極パッドPAD111)と、第2ボンディングワイヤWIR32に接続している第1電極パッドPAD11(第1電極パッドPAD112)の間隔は、第1電極パッドPAD112と、第3ボンディングワイヤWIR33に接続している第1電極パッドPAD11(第1電極パッドPAD113)の間隔にほぼ等しい。また、第1電極パッドPAD112と第1電極パッドPAD113の間隔は、第1電極パッドPAD113と第4ボンディングワイヤWIR34に接続している第1電極パッドPAD11(第1電極パッドPAD114)の間隔にほぼ等しい。また、第1電極パッドPAD111から第1電極パッドPAD114の間、すなわち第1ボンディングワイヤWIR31と第4ボンディングワイヤWIR34の間には、空電極パッドUCPAD1が設けられていない。
【0028】
これに対して、第1ボンディングワイヤWIR31に接続している第2電極パッドPAD21(第2電極パッドPAD211)と、第2ボンディングワイヤWIR32に接続している第2電極パッドPAD21(第2電極パッドPAD212)の間隔は、第2電極パッドPAD212と、第3ボンディングワイヤWIR33に接続している第2電極パッドPAD21(第2電極パッドPAD213)の間隔よりも広い。また、第2電極パッドPAD212と第1電極パッドPAD213の間隔は、第2電極パッドPAD213と第4ボンディングワイヤWIR34に接続している第2電極パッドPAD21(第2電極パッドPAD214)の間隔よりも広い。
【0029】
このため、チップ搭載部DPに垂直な方向から見た場合において、第1ボンディングワイヤWIR31と第2ボンディングワイヤWIR32の間隔の最大値は、第2ボンディングワイヤWIR32と第3ボンディングワイヤWIR33の間隔の最大値よりも大きい。また、第2ボンディングワイヤWIR32と第3ボンディングワイヤWIR33の間隔の最大値は、第3ボンディングワイヤWIR33と第4ボンディングワイヤWIR34の間隔の最大値よりも大きい。なお、これらボンディングワイヤの間隔は、例えば第1辺SID1に平行な方向における間隔として定義される。
【0030】
このようにすると、第3辺SID3から第4辺SID4に向かう方向に封止樹脂MDRを流し込んだ場合において、
図4に示すように、ボンディングワイヤWIR3にワイヤ流れが生じ、ボンディングワイヤWIR3(特に第1ボンディングワイヤWIR31)が、第4辺SID4に向けて凸になる方向に湾曲した場合においても、隣り合うボンディングワイヤWIR3が互いに短絡することを抑制できる。
【0031】
また、本図に示す例では、第2電極パッドPAD212よりも第8辺SID8側に位置する少なくとも4つの第2電極パッドPAD21において、ある第2電極パッドPAD21と、その第2電極パッドPAD21の第8辺SID8側の隣に位置する第2電極パッドPAD21との間隔は、第8辺SID8に近づくにつれて、少しずつ(例えば5μm以上15μm以下)狭くなっている。このため、隣り合うボンディングワイヤWIR3が互いに短絡することを、さらに抑制できる。
【0032】
なお、本図に示す例では、第1ボンディングワイヤWIR31、第2ボンディングワイヤWIR32、第3ボンディングワイヤWIR33、及び第4ボンディングワイヤWIR34は、平面視において、第5辺SID5側の端部が第7辺SID7側に近づく方向に傾いている。
【0033】
本図に示す例では、最も第4辺SID4の近くに位置するボンディングワイヤWIR3(第5ボンディングワイヤWIR35)と、第5ボンディングワイヤWIR35の隣に位置する第6ボンディングワイヤWIR36の間隔の最大値は、第1ボンディングワイヤWIR31と第2ボンディングワイヤWIR32の間隔の最大値よりも小さい。
【0034】
また、最も第3辺SID3の近くに位置するボンディングワイヤWIR3(第7ボンディングワイヤWIR37)と、その隣に位置するボンディングワイヤWIR3(本図に示す例では第1ボンディングワイヤWIR31)の間隔は、第1ボンディングワイヤWIR31と第2ボンディングワイヤWIR32の間隔よりも広い。
【0035】
なお、本図に示す例では、第7ボンディングワイヤWIR37に接続する第1電極パッドPAD11(第1電極パッドPAD117)と第1電極パッドPAD111の間には、少なくとも一つの空電極パッドUCPAD1が設けられている。このため、第2電極パッドPAD211と、第7ボンディングワイヤWIR37に接続する第2電極パッドPAD21(第2電極パッドPAD217)の間隔を、第2電極パッドPAD211と第2電極パッドPAD212の間隔よりも狭くしても、第1ボンディングワイヤWIR31と第7ボンディングワイヤWIR37の間隔の最大値を大きくすることができる。
【0036】
図5は、第2半導体チップSC2の平面図である。
図6は、第2半導体チップSC2が有する回路や素子のレイアウトを示す平面図である。
図7は、第2半導体チップSC2が有する回路の一部を示す回路図である。
【0037】
図6に示すように、第2半導体チップSC2の第5辺SID5及び第8辺SID8の近傍には、アナログ回路CIRが設けられている。そして第5辺SID5に沿って設けられた電極パッドPAD2、および第8辺SID8に沿って設けられた電極パッドPAD2は、いずれもアナログ回路CIRに接続している。
【0038】
また、
図6に示すように、第6辺SID6及び第7辺SID7の近くには、複数のパワートランジスタPTRが設けられている。具体的には、パワートランジスタPTR1,パワートランジスタPTR2が、第6辺SID6に直交する方向に沿って並んで配置されている。そして、第6辺SID6及び第7辺SID7の付近においては、この2つのパワートランジスタPTR1,PTR2の間に位置する領域の上方に、パワートランジスタPTRに接続する電極パッドPAD2が位置している。このため、第6辺SID6に沿って配置された電極パッドPAD2と第6辺SID6の距離は、第5辺SID5に沿って配置された電極パッドPAD2と第5辺SID5の距離よりも大きい。同様に、第7辺SID7に沿って配置された電極パッドPAD2と第7辺SID7の距離は、第5辺SID5に沿って配置された電極パッドPAD2と第5辺SID5の距離よりも大きい。
【0039】
詳細には、パワートランジスタPTRには、電極パッドPAD221,PAD222,PAD223が接続している。そして
図7の等価回路図に示すように、電極パッドPAD221には電源電圧Vccが印加されており、電極パッドPAD223には接地電位Vsが印加されている。そして電極パッドPAD222が、パワートランジスタPTRの出力端子となっている。
【0040】
そして、第6辺SID6に沿って配置された電極パッドPAD2と第6辺SID6の距離が、第5辺SID5に沿って配置された電極パッドPAD2と第5辺SID5の距離よりも大きいため、ボンディングワイヤWIR2と、そのボンディングワイヤWIR2が接続する第2端子TER2の隣に位置する第2端子TER2との距離を大きくすることができる。従って、ボンディングワイヤWIR2が、本来接続すべきでない第2端子TER2と短絡することを抑制できる。この効果は、第7辺SID7に沿って配置された電極パッドPAD2に接続するボンディングワイヤWIR2においても、得ることができる。
【0041】
次に、
図8〜
図10を用いて、半導体装置SDの製造方法を説明する。
【0042】
まず、第1半導体チップSC1及び第2半導体チップSC2を準備する。第1半導体チップSC1及び第2半導体チップSC2は、例えば以下のようにして製造される。
【0043】
まず、半導体基板に素子分離膜を形成する。これにより、素子形成領域が分離される。素子分離膜は、例えばSTI法を用いて形成されるが、LOCOS法を用いて形成されても良い。次いで、素子形成領域に位置する半導体基板に、ゲート絶縁膜及びゲート電極を形成する。ゲート絶縁膜は酸化シリコン膜であってもよいし、酸化シリコン膜よりも誘電率が高い高誘電率膜(例えばハフニウムシリケート膜)であってもよい。ゲート絶縁膜が酸化シリコン膜である場合、ゲート電極はポリシリコン膜により形成される。またゲート絶縁膜が高誘電率膜である場合、ゲート電極は、金属膜(例えばTiN)とポリシリコン膜の積層膜により形成される。また、ゲート電極がポリシリコンにより形成される場合、ゲート電極を形成する工程において、素子分離膜上にポリシリコン抵抗を形成しても良い。
【0044】
また、第2半導体チップSC2については、上記した工程において、パワートランジスタPTRが形成される。なお、パワートランジスタPTRのゲート絶縁膜は、他のトランジスタのゲート絶縁膜とは異なる工程で形成されていても良い。
【0045】
次いで、素子形成領域に位置する半導体基板に、ソース及びドレインのエクステンション領域を形成する。次いでゲート電極の側壁にサイドウォールを形成する。次いで、素子形成領域に位置する半導体基板に、ソース及びドレインとなる不純物領域を形成する。このようにして、半導体基板上にMOSトランジスタが形成される。
【0046】
次いで、素子分離膜上及びMOSトランジスタ上に、多層配線層を形成する。最上層の配線層には、電極パッド(電極パッドPAD1又は電極パッドPAD2)が形成される。次いで、多層配線層上に、保護絶縁膜(パッシベーション膜)を形成する。保護絶縁膜には、電極パッド上に位置する開口が形成される。
【0047】
また、
図8に示すチップ搭載部DPを準備する。本図に示す例において、チップ搭載部DPはリードフレームである。そして複数のチップ搭載部DPは、所謂MAPタイプとなっており、枠を介して互いに繋がっている。
【0048】
次いで、
図9に示すように、複数のチップ搭載部DPのそれぞれに、第1半導体チップSC1及び第2半導体チップSC2を搭載する。第1半導体チップSC1及び第2半導体チップSC2は、銀ペーストなどのペースト材を用いてチップ搭載部DPに搭載されても良いし、DAF(Die Attachment Film)を用いてチップ搭載部DPに搭載されても良い。
【0049】
次いで、
図10に示すように、第1半導体チップSC1の電極パッドPAD1を、ボンディングワイヤWIR1を介して第1端子TER1に接続する。また、第2半導体チップSC2の電極パッドPAD2を、ボンディングワイヤWIR2を介して第2端子TER2に接続する。また、第1半導体チップSC1の第1電極パッドPAD11と第2半導体チップSC2の第2電極パッドPAD21を、ボンディングワイヤWIR3を介して互いに接続する。
【0050】
次いで、封止樹脂MDRを用いて、複数のチップ搭載部DP、これらの上に位置している第1半導体チップSC1、第2半導体チップSC2、及びボンディングワイヤWIR1,WIR2,WIR3を一括して封止樹脂MDRで封止する。その後、半導体装置SDを個片化する。
【0051】
図11は、封止樹脂MDRによる封止工程を行う装置の構成を示す平面図である。本図に示す例において、封止樹脂MDRは樹脂保持部PT内に保持されている。そしてMAPタイプのチップ搭載部DPが保持されている空間Sと、樹脂保持部PTは、流路FCを介して繋がっている。そして、樹脂保持部PTから封止樹脂MDRが押し出されると、押し出された封止樹脂MDRは、流路FCを介して空間Sに流れ込む。これにより、チップ搭載部DP等は、封止樹脂MDRによって封止される。このように、封止工程において、封止樹脂MDRは、チップ搭載部DPの一方向から流れ込む。
【0052】
図12は、ワイヤ流れの原因となる封止樹脂MDRの流れを説明するための図である。上記したように、封止工程において、封止樹脂MDRはチップ搭載部DPの一方向から流れ込む(矢印β方向)。本実施形態では、MAPタイプのチップ搭載部DPは、第1半導体チップSC1の第3辺SID3側から封止樹脂MDRが流れ込むように、言い換えると第3辺SID3が流路FCに対向するように、
図11に示した空間S内に配置される。このため、平面視において、ボンディングワイヤWIR3が、第4辺SID4に向けて凸になる方向に湾曲する。ただし本実施形態では、ボンディングワイヤWIR3の間隔は一部で広がっているため、平面視においてボンディングワイヤWIR3が湾曲しても、隣り合うボンディングワイヤWIR3が互いに短絡することを抑制できる。
【0053】
また、第4辺SID4側のボンディングワイヤWIR3の間隔は、第3辺SID3側のボンディングワイヤWIR3の間隔よりも狭くなっている。従って、第1半導体チップSC1の第1電極パッドPAD11の間隔の平均値及び第2半導体チップSC2の第2電極パッドPAD21の間隔の平均値が大きくなること、すなわちこれらの半導体チップが大きくなることを抑制できる。
【0054】
特に本実施形態では、第2半導体チップSC2は長方形である。このため、チップ搭載部DPとして汎用のリードフレームを使用した場合、チップ搭載部DPの一辺の長さと、第1半導体チップSC1の第2辺SID2の長さと第2半導体チップSC2の第7辺SID7の長さの和と、の差は、ある程度大きくなってしまう。このため、半導体装置SDが有するボンディングワイヤの全長を短くするためには、第1半導体チップSC1の第1辺SID1と第2半導体チップSC2の第5辺SID5をある程度離す必要が出てくる。この場合、ボンディングワイヤWIR3はある程度長くなってしまうため、上記したワイヤ流れの問題が生じやすくなっている。しかし、この場合においても、ボンディングワイヤWIR3が湾曲しても、隣り合うボンディングワイヤWIR3が互いに短絡することを抑制できる。
【0055】
(変形例1)
図13は、変形例1に係る半導体装置SDの平面図である。
図14は、
図13の領域αを拡大した図である。
図13は実施形態における
図2に対応しており、
図14は実施形態における
図3に対応している。本変形例に係る半導体装置SDは、第1電極パッドPAD11及び第2電極パッドPAD21の配置を除いて、実施形態に係る半導体装置SDと同様の構成である。
【0056】
詳細には、本図に示す例では、第1ボンディングワイヤWIR31、第2ボンディングワイヤWIR32、第3ボンディングワイヤWIR33及び第4ボンディングワイヤWIR34は、平面視において、第5辺SID5側の端部が第8辺SID8側に近づく方向に傾いている。このため、第1辺SID1に沿う方向において、第1辺SID1の両端の近くのそれぞれに、複数の空電極パッドUCPAD1が並んで設けられている。
【0057】
また、第1辺SID1には、電極パッドPAD1が複数列設けられている。ただし、中心側(内側)の電極パッドPAD1の全ては、空電極パッドUCPAD1となっている。
【0058】
本変形例によっても、実施形態と同様の効果が得られる。
【0059】
(変形例2)
図15は、変形例2に係る半導体装置SDの平面図である。
図16は、
図15の領域αを拡大した図である。
図15は実施形態における
図2に対応しており、
図16は実施形態における
図3に対応している。本変形例に係る半導体装置SDは、以下の点を除いて、実施形態に係る半導体装置SDと同様の構成である。
【0060】
まず、第1半導体チップSC1の平面形状も長方形である。そして、第1辺SID1及び第2辺SID2は第1半導体チップSC1の長辺であり、第3辺SID3及び第4辺SID4は第1半導体チップSC1の短辺である。
【0061】
また、ボンディングワイヤWIR3は、2つのグループGR1,GR2に分けられる。グループGR1に属するボンディングワイヤWIR3は、平面視において、第1辺SID1に対して同じ方向に傾いている。またグループGR2に属するボンディングワイヤWIR3は、平面視において、GR1に属するWIR3とは逆方向に傾いている。詳細には、平面視において、グループGR1に属するボンディングワイヤWIR3は、第2電極パッドPAD21側の端部が第8辺SID8側に近づく方向に傾いている。また、平面視において、グループGR2に属するボンディングワイヤWIR3は、第1電極パッドPAD11側の端部が第4辺SID4に近づく方向に傾いている。
【0062】
そして、グループ1に属している複数のボンディングワイヤWIR3、並びにこれらボンディングワイヤWIR3に接続する第1電極パッドPAD11及び第2電極パッドPAD21は、実施形態に示したとおりの関係になっている。また、グループGR2に属しているボンディングワイヤWIR3、並びにこれらボンディングワイヤWIR3に接続する第1電極パッドPAD11及び第2電極パッドPAD21も、実施形態に示した通りの関係になっている。
【0063】
本変形例によっても、実施形態と同様の効果が得られる。
【0064】
(変形例3)
図17は、変形例3に係る半導体装置SDの構成を示す断面図である。本図に示す半導体装置SDは、第1半導体チップSC1および第2半導体チップSC2の封止構造がQFP(Quad Flat Package)である点を除いて、実施形態又は変形例1,2のいずれかに係る半導体装置SDと同様の構成である。
【0065】
詳細には、チップ搭載部DPの第2面は封止樹脂MDRによって覆われている。そして第1端子TER1及び第2端子TER2はリード端子であり、封止樹脂MDRの外部に延在している。
【0066】
本変形例によっても、実施形態と同様の効果が得られる。
【0067】
(変形例4)
図18は、変形例4に係る半導体装置SDの構成を示す断面図である。本図に示す半導体装置SDは、第1半導体チップSC1および第2半導体チップSC2の封止構造がBGA(Ball Grid Array)である点を除いて、実施形態又は変形例1,2のいずれかに係る半導体装置SDと同様の構成である。
【0068】
詳細には、チップ搭載部DPはインターポーザであり、ボンディングワイヤWIR1,WIR2は、いずれもインターポーザの第1面上のフィンガに接続されている。そしてこれらのフィンガは、インターポーザ内の配線及びスルーホールを介して、インターポーザの第2面に設けられたはんだボールSBに接続している。
【0069】
また、封止樹脂MDRの端面は、インターポーザ(チップ搭載部DP)の端面と同一面を形成している。ただし封止樹脂MDRの端面は、インターポーザの端面よりもインターポーザの内側に位置していても良い。
【0070】
本変形例によっても、実施形態と同様の効果が得られる。
【0071】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。