(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に係る従来例では、仮に前記灯具が前記壁部から外れたときに、前記灯具の重量が前記コネクタに作用する。このとき、前記灯具が重い場合には、前記プラグと前記レセプタクルとの接続が外れて、前記灯具が道路上に落下するおそれがある。
【0006】
このような事情に鑑み、本発明は、壁部に設置される灯具を壁部に布設される電力ケーブルにコネクタを介して接続した構造において、万一、前記灯具が前記壁部から外れても地面への落下を回避可能とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、壁部に設置される灯具を前記壁部に布設される電力ケーブルにコネクタを介して接続した構造であって、前記コネクタは、雄端子を有する第1部材と、前記雄端子に電気的に接続される雌端子を有する第2部材とを対とする構成であり、前記第1、第2部材のうち、いずれか一方が前記灯具に取り付けられており、また、残り他方が前記電力ケーブルに取り付けられており、前記灯具と前記電力ケーブルとに、前記灯具の重量を支えるだけの耐荷重能力を備える紐状体が架け渡されている、ことを特徴としている。
【0008】
この構成では、前記第1部材と前記第2部材とを接続した状態において、仮に前記灯具が前記壁部から外れることに起因して前記灯具の重量が前記紐状体に作用したときに、前記灯具が前記紐状体に吊り下がった状態で支えられることになる。これにより、万一、前記灯具が前記壁部から外れたとしても、当該灯具が地面に落下せずに済むようになる。
【0009】
好ましくは、前記紐状体は、前記灯具と前記電力ケーブルとに弛まない状態で架け渡されたものとすることができる。
【0010】
この構成では、前記灯具の重量が前記紐状体に作用した場合に、前記第1部材と前記第2部材との接続が外れずに済むようになる。これにより、前記灯具を例えば点灯したままの状態を保つことが可能になる。
【0011】
好ましくは、前記灯具には、前記紐状体の一端側が引っ掛けられる係止部が設けられており、前記紐状体の他端側は、前記電力ケーブル内に内部配線と共に挿入されて、当該電力ケーブルにおいて前記壁部への設置部分寄り領域に締結されており、前記係止部および当該係止部に対する前記紐状体の引っ掛け部分は、前記灯具の重量を支えるだけの耐荷重能力を備えたものとされたものとすることができる。
【0012】
この構成では、前記紐状体が前記電力ケーブルの補強用芯材となるので、当該電力ケーブルの強度が向上する。これにより、前記電力ケーブルの強度が向上するとともに、前記紐状体に前記灯具の重量が作用したときに、当該紐状体が前記電力ケーブルから分離しにくくなるので、前記紐状体および前記電力ケーブルによる前記灯具の支持強度を高めることが可能になる。
【0013】
好ましくは、前記灯具には、前記紐状体の一端側が引っ掛けられる係止部が設けられており、前記紐状体の他端側は、前記電力ケーブルにおいて当該電力ケーブルの取り付け対象となる部材寄りの領域の外周に取り付けられており、前記係止部および当該係止部に対する前記紐状体の取り付け部分は、前記灯具の重量を支えるだけの耐荷重能力を備えたものとされたものとすることができる。
【0014】
この構成では、前記紐状体を前記電力ケーブルに外付けしているから、前記コネクタや電力ケーブルを既存品を使用することが可能になるので、設備コストの上昇を抑制することが可能になるとともに、既設の灯具や電力ケーブルに前記紐状体を簡単に後付けすることが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、壁部に設置される灯具を壁部に布設される電力ケーブルにコネクタを介して接続した構造において、万一、前記灯具が前記壁部から外れても地面への落下を回避することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1から
図7に、本発明の一実施形態を示している。図中、1は灯具、2は電力ケーブルの幹線、3は電力ケーブルの分岐線、4はコネクタである。
【0019】
灯具1は、適宜の壁部5に設置される。この灯具1には、壁部5に布設される電力ケーブルの幹線2が分岐線3およびコネクタ4を介して接続されている。
【0020】
コネクタ4は、第1部材20と、第2部材30とを対とする構成である。第1部材20は雄端子21を有し、また、第2部材30は雌端子31を有し、第1部材20の雄端子21と第2部材30の雌端子31とが合致嵌合されることによって電気的に接続されるようになっている。
【0021】
次に、
図2および
図3を参照して、第1、第2部材20,30の構成を詳細に説明する。
【0022】
第1部材20は、「レセプタクル」と呼ばれるものであって、灯具1のケース1aの1辺の内外に貫通する状態で取り付けられる。この第1部材20は、ボディ22、中子23、締め付けリング24を備えている。
【0023】
ボディ22と中子23とは、素材が異種とされていて、それらは例えばインサート成形などにより一体に形成されている。なお、これらは、同一素材で形成することが可能であり、また、一体物として形成することも可能である。
【0024】
中子23は、複数の雄端子21が取り付けられるものであって、灯具1のケース1aの外側に突出する外側領域23aと、灯具1のケース1aの内側に突出する内側領域23bと、外側領域23aと内側領域23bとの間に設けられる中間領域23cとを有している。
【0025】
この中子23の内側領域23bおよび中間領域23cには、複数の雄端子21が個別に収納される貫通孔(符号省略)が設けられている。当該各貫通孔内で複数の雄端子21に灯具1の複数の配線1bがそれぞれ対応して電気的に接続されている。
【0026】
ボディ22は、中子23の外側領域23aおよび中間領域23cの外径側に一体に結合されている。このボディ22は、筒部22aと、筒部22aの軸方向一端側に設けられる径方向外向きの2段鍔部22bとを有している。
【0027】
締め付けリング24は、第1部材20を灯具1のケース1aに固定するために用いられるものである。この締め付けリング24は、中子23の内側領域23bの外周に螺合されることで、この締め付けリング24とボディ22の2段鍔部22bの大径部分とでケース1aの1辺を挟むことにより第1部材20を灯具1のケース1aに固定するようになっている。
【0028】
第2部材30は、例えば「プラグ」と呼ばれるものであって、電力ケーブルの分岐線3の先端に取り付けられる。この第2部材30は、ボディ32、ハウジング33、防水キャップ34、ロックキャップ35を備えている。
【0029】
ボディ32内に固定されるハウジング33には、複数の雌端子31が個別に収納される貫通孔(符号省略)が設けられている。当該各貫通孔内で複数の雌端子31に分岐線3の複数の内部配線3bがそれぞれ対応して電気的に接続されている。
【0030】
ボディ32は、外径が一方向に大、中、小と段階的に縮径された円筒部材からなる。このボディ32の大径部32aの中心部分には、軸方向中央へ向けて凹む凹部32dが設けられていて、この凹部32d内にハウジング33が嵌合固定されるようになっている。ボディ32の小径部32bの中心部分にも、軸方向中央へ向けて凹む凹部32eが設けられていて、この凹部32e内に分岐線3の先端が合致嵌合された状態で固定されるようになっている。ボディ32の中径部32cには、分岐線3の内部配線3bが個別に挿通される貫通孔(符号省略)が設けられている。
【0031】
ハウジング33は、複数の雌端子31が取り付けられるものであって、複数の雌端子31が個別に取り付けられる貫通孔(符号省略)が設けられている。このハウジング33の各貫通孔内で複数の雌端子31に分岐線3の複数の内部配線3bがそれぞれ対応して電気的に接続される。そして、ハウジング33の外形は、第1部材20の中子23の外側領域23a内に合致して嵌め入れられるような形状とされている。
【0032】
防水キャップ34は、電力ケーブルの分岐線3が挿通されるもので、外形が異形の円筒部材とされている。この防水キャップ34は、ボディ32の小径部32bおよび中径部32cの外径側に嵌合装着されることによってハウジング33の雌端子31と分岐線3の内部配線3bとの接続部分を外部から覆い隠すようになっている。
【0033】
ロックキャップ35は、第2部材30を第1部材20に連結するために用いられるものである。このロックキャップ35は、ボディ32の大径部32aの外径側に軸方向ならびに円周方向に相対変位可能に取り付けられていて、第1部材20のボディ22の2段鍔部22bの小径部外周に係合されることにより第2部材30を第1部材20に連結する。
【0034】
この係合の方法としては、ロックキャップ35の内周面の円周数ヶ所(例えば2ヶ所)に設けられる突起35aを、2段鍔部22bの小径部外周面の円周数ヶ所(例えば2ヶ所)に設けられるロック溝22dに係入させる形態とされる。
【0035】
つまり、ロックキャップ35の突起35aをロック溝22dの入口に位置合わせしておいて、ロックキャップ35を2段鍔部22bの小径部外周に軸方向から嵌め入れてから、ロックキャップ35を所定方向に所定角度回転させるように操作することで、第1部材20と第2部材30とが連結された状態で非分離にロックされる。
【0036】
そして、第1部材20と第2部材30とを分離するときには、ロックキャップ35をロック時と逆向きに回転させてから、軸方向に引き抜くように操作すればよい。
【0037】
ところで、前記突起35aとロック溝22dの入口との位置合わせは、ロックキャップ35と第1部材20のボディ22の2段鍔部22bの大径部分とに設けられる位置合わせマーク35b,22eにより目視にて簡単に行えるようになっている。
【0038】
この実施形態では、万一、灯具1が壁部5から外れたときに、当該灯具1が地面に落下することを回避するように工夫している。
【0039】
要するに、灯具1と電力ケーブルの幹線2とにワイヤ(紐状体)6を架け渡すようにして、灯具1が壁部5から外れたときに、当該灯具1をワイヤ6を介して幹線2に吊り下げる状態で支えるようにしている。
【0040】
具体的に、灯具1には、ワイヤ6の一端側を引っ掛けるための係止部7が設けられている。この係止部7は、ループ状のフックとされている。この係止部7のループ内にワイヤ6の一端側を通してから折り返してワイヤ6の途中部分所定位置に寄り添わせ、そこを適宜の加締め具8で加締めるようにしている。
【0041】
また、ワイヤ6の他端側は、第2部材30の内部に挿入されているとともに、電力ケーブルの分岐線3にその外皮3a内に内部配線3bと共に挿入されて、さらに電力ケーブルの幹線2に適宜の加締め具9で加締められている。これにより、ワイヤ6が第2部材30および電力ケーブルの分岐線3と一体化されている。
【0042】
ワイヤ6、係止部7ならびにワイヤ6において係止部7に対する引っ掛け部分は、灯具1の重量を支えるだけの耐荷重能力を備えるものとされる。ちなみに、この補強体6の耐荷重能力としては、灯具1の重量などに応じて適宜設定すればよいのであるが、灯具1の重量を例えば40kgとする場合には、それが落下するときの衝撃荷重が約500kgになるので、補強体6の耐荷重能力については例えば破断強度で約500kg以上に設定することが好ましい。
【0043】
具体的に、ワイヤ6は、例えばステンレス鋼などの撚線または単線を芯材6aとして合成樹脂製の外皮6bで覆ったものとされる。そして、このワイヤ6の一端縁(幹線2側の端縁)および他端縁(係止部7側の端縁)は、外皮6bあるいはその他の耐水性部材で覆い隠すように処理されることにより芯材6aと外皮6bとの間に水分が入ることを防止する状態にされている。
【0044】
以上説明したように本発明を適用した実施形態では、灯具1と電力ケーブルの幹線2とにワイヤ(紐状体)6を架け渡したうえで、ワイヤ6、係止部7ならびにワイヤ6において係止部7に対する引っ掛け部分を灯具1の重量を支えるだけの耐荷重能力を備えるものとしているから、第1部材20と第2部材30とを接続してワイヤ6を灯具1の係止部7に引っ掛けた状態において、例えば灯具1が壁部5から外れることに起因して灯具1の重量がワイヤ6に作用したときに、当該灯具1がワイヤ6を介して電力ケーブルの幹線2に吊り下がる状態になって支えられることになる。これにより、万一、灯具1が壁部5から外れたとしても、当該灯具1が地面に落下せずに済むようになる。
【0045】
しかも、上記実施形態では、ワイヤ6を電力ケーブルの分岐線3の外皮3a内に内部配線3bと共に挿入して電力ケーブルの幹線2に締結しているので、ワイヤ6が分岐線3そのものの補強用芯材となる。これにより、分岐線3の強度が向上するとともに、ワイヤ6に灯具1の重量が作用したときに、当該ワイヤ6が分岐線3および幹線2から分離しにくくなるので、ワイヤ6および電力ケーブルによる灯具1の支持強度を高めることが可能になる。
【0046】
ところで、この実施形態において、ワイヤ6を灯具1側の係止部7に引っ掛けた状態で弛まないように当該ワイヤ6の長さを設定することが可能である。つまり、ワイヤ6を所定の張力を持つような状態にして弛みの無い状態にした場合には、前記のように灯具1の重量がワイヤ6に作用した場合に、第1部材20と第2部材30とが分離せずに済むようになるので、灯具1を例えば点灯したままの状態を保つことが可能になる。
【0047】
ちなみに、上述した灯具1の設置場所については、例えば
図6および
図7に示すように、上記壁部5を道路41のトンネル42内の内壁部とすることができる。その場合、万一、灯具1が壁部5から脱落したときでも、この灯具1がワイヤ6にぶら下がることになって、道路41上に落下することを防止できるようになる。
【0048】
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲内で適宜に変更することが可能である。
【0049】
(1)上記実施形態では、ワイヤ6を電力ケーブルの分岐線3の外皮3a内に複数の内部配線3bと共に挿入した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
【0050】
例えば
図8および
図9に示すように、ワイヤ6を電力ケーブルの分岐線3において第2部材30寄りに締結することが可能である。具体的に、
図9に示すように、ワイヤ6を電力ケーブルの分岐線3の外周に巻き付けてからワイヤ6の途中部分所定位置に寄り添わせ、そこを適宜の加締め具10で加締めるとともに、当該加締め部分を適宜の保護材11で覆い隠すようにする。
【0051】
このようにした場合、第2部材30については、既存品そのままを使用することが可能になるので、設備コストの上昇を抑制することが可能になるとともに、既設の灯具1および電力ケーブルにワイヤ6を簡単に後付けすることが可能になる。
【0052】
(2)上記実施形態では、ワイヤ6を電力ケーブルの分岐線3の外皮3a内に複数の内部配線3bと共に挿入した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
【0053】
例えば
図10および
図11に示すように、ワイヤ6を電力ケーブルの分岐線3において第2部材30寄りに取り付けることが可能である。具体的に、
図10に示すように、ワイヤ6を電力ケーブルの分岐線3の外周に固定具12を取り付け、当該固定具12の両端の重ね合わせ部分をボルト13およびナット14で締結するようにする。
【0054】
このようにした場合、第2部材30については、既存品そのままを使用することが可能になるので、設備コストの上昇を抑制することが可能になるとともに、既設の灯具1および電力ケーブルにワイヤ6を簡単に後付けすることが可能になる。
【0055】
(3)上記実施形態では、ワイヤ6について芯材6aに外皮6bを覆い被せた例を挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、例えば図示していないが、外皮6bを無くしたタイプを用いることが可能である。
【0056】
(4)上記実施形態では、ワイヤ6の自由端を係止部7のループ内に通して加締め具8で加締めるようにした例を挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、例えば
図12に示すように、ワイヤ6の自由端に高強度な引っ掛け具(例えばカラピナなどと呼ばれるフック)15を取り付け、この引っ掛け具15を係止部7に引っ掛けるようにすることが可能である。
【0057】
(5)上記実施形態で説明した第1、第2部材20,30の構成は、特に限定されるものではなく、図示しないがいろいろなタイプを利用することが可能である。