【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例により説明する。
【0051】
1.睡眠誘発効果の評価(実施例1−1および比較例1−1:マウス行動量測定)
トネリコ属植物の抽出エキスの睡眠誘発効果を確認するために、表1に示す各サンプルを用いて以下の試験を行った。
【0052】
セイヨウトネリコエキス(実施例1−1のサンプル)は、NATUREX社製の「fraxipure(商品名)」を用いた。コントロールとしては、0.5質量%メチルセルロース水溶液(比較例1−1のサンプル)を用いた。
【0053】
サンプルが睡眠を誘発する機能を有する場合、サンプルを投与すると必ず行動量が低下する。そのため、サンプル溶液をマウスに投与して行動量が低下するか否かを確認することにより、サンプルの睡眠誘発効果を評価した。
【0054】
8週齢または9週齢雄性C57BL/6マウスを日本SLC株式会社より購入し、3〜6日馴化した。馴化中の行動量より、投与群分けを実施した。暗期開始直前に、セイヨウトネリコエキスマウス体重当たり3g/kg(実施例1−1)、0.5質量%メチルセルロース水溶液マウス体重当たり10mL/kg(比較例1−1)を経口投与し、投与後24時間行動量を測定した。各投与群は8匹とした(n=8)。
【0055】
行動量を以下の条件で測定した。ケージにマウスを個別に飼い、その上方に赤外線カメラを設置した。赤外線カメラの撮影範囲を64区画に分け、この区画を横切った回数を測定した。この回数を30分毎に集計した。
【0056】
表1に、実施例1−1および比較例1−1のサンプルの種類および投与後8.5時間の累積行動量(回/8.5時間)を示す。
図2に、各実施例および比較例における、サンプル投与後8.5時間のマウスの累積行動量を示す。
図2中「**」は、p<0.01において有意差があることを示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1および
図2から、以下のことが分かる。
【0059】
サンプルとしてセイヨウトネリコエキスを用いた実施例1−1は、コントロール溶液を投与した比較例1−1に比べ、投与後8.5時間の累積行動量が有意に低下していた。
【0060】
この結果は、セイヨウトネリコエキスは睡眠誘発効果を発揮することを示している。
【0061】
2.睡眠の質改善効果の評価(実施例1−2および比較例1−2:マウスの脳波測定)
セイヨウトネリコエキスが睡眠の質に与える効果を確認するために、以下の試験を行い脳波を測定した。すなわち、マウス頭部に電極を装着し、記録用チャンバー内において自由行動下のマウス脳波を記録し、「覚醒」「レム睡眠」「ノンレム睡眠」の各時間を測定した。
【0062】
日本SLCより購入した8週齢雄性C57BL/6マウスに、脳波および筋電用の電極を装着した。電極装着後、回復チャンバーにて10日間回復させた。その後、記録用チャンバーに移し、ケーブルを接続した。脳波解析ソフトであるSleepSign(登録商標) Ver 3.0(キッセイコムテック株式会社)にて脳波判別可否を確認後、3日間馴化させた。その後、脳波を24時間測定し、睡眠覚醒リズムが維持されているかどうかを確認し、投与群分けを実施した。各投与群は6匹とした(n=6)。暗期開始直前に、セイヨウトネリコエキスを0.5質量%メチルセルロース水溶液に懸濁して調製し、セイヨウトネリコエキスとして3g/kgまたはコントロール溶液を10mL/kg経口投与し、24時間脳波を記録した。コントロール溶液は、0.5質量%メチルセルロース水溶液である。記録後、脳波をSleepSign(登録商標) Ver 3.0により自動解析を行い、評価実施者がその自動解析の結果を確認して、覚醒、レム睡眠およびノンレム睡眠の各睡眠ステージに分類した。脳波測定時間(9時間)全体に対する各睡眠ステージの時間の割合を、百分率として算出し、投与直後9時間の睡眠ステージの割合とした。6匹の平均値を算出した(表2および
図3)。
【0063】
【表2】
【0064】
表2および
図3から、以下のことが分かる。サンプルとしてセイヨウトネリコエキスを用いた実施例1−2は、コントロール溶液を投与した比較例1−2に比べ、覚醒時間が減少し、ノンレム睡眠が増加していた。
【0065】
この結果は、セイヨウトネリコエキスの投与により、睡眠時間全体に占めるノンレム睡眠時間の割合が増加しているので、睡眠の質が改善されることを示している。また、中途覚醒を減少し、睡眠時間を持続することができることが示される。
【0066】
3.睡眠の質改善効果の評価(実施例1−3および比較例1−3:ヒトの脳波測定および睡眠感調査)
セイヨウトネリコエキスがヒトの睡眠の質に与える効果を確認するために、表3に示す各サンプルを用いて以下の試験を行った。
【0067】
実施例1−3のサンプルとして、セイヨウトネリコエキスを配合した錠剤(2カプセル中のセイヨウトネリコエキス含有量:500mg)を用意した。また、比較例1−3のサンプルとして、セイヨウトネリコエキスを含まないプラセボのカプセルを用意した。各組成の詳細は、表3に示すとおりである。
【0068】
【表3】
【0069】
あらかじめピッツバーグ睡眠調査表で調査し、比較的睡眠状態の良くない成人男女12名をパネラーにした。これら12名のパネラーに上記実施例1−3のサンプルを就寝1時間前に経口摂取してもらい、2電極方式の携帯型脳波測定器を装着し、就寝中の脳波を測定した。また、同様にして、同じパネラー12名に比較例1−3のサンプルを就寝1時間前に経口摂取してもらい、2電極方式の携帯型脳波測定器を装着し、就寝中の脳波を測定した。翌朝、パネラーが睡眠感調査票および疲労感VAS検査用紙に回答した。各サンプルの投与および測定の実施回数は、パネラー各一人につきそれぞれ4回とした。なお、各パネラーの平均睡眠時間は、6.5時間であり、最も睡眠時間の短いパネラーの睡眠時間と最も睡眠時間が長いパネラーの睡眠時間の差は、2時間であり、大差はなかった。
【0070】
(脳波解析)
脳波はスリープウェル(株)に依頼して解析した。就寝(脳波測定開始)からノンレム睡眠出現までの時間を入眠潜時とした。睡眠の深さは睡眠中脳波のデルタ波パワー値によって知ることができ、デルタ波パワー値が大きいほど睡眠の深さは深い。就寝直後にノンレム睡眠が出現し、その後レム睡眠が出現する。レム睡眠が出現するまでの就寝直後のノンレム睡眠中のデルタ波パワー値を、睡眠初期のデルタ波パワー値とした。
【0071】
入眠潜時の値は、個々人により異なる。そこで、入眠潜時をパネラーごとに4回測定し、4回の測定値の平均値を算出し、パネラーごとのプラセボ摂取に対する入眠潜時の変化率(%)を下式(1−1)により算出した(表4および
図4)。
【0072】
〔式(1−1)〕
入眠潜時の変化率(%)=
{(セイヨウトネリコエキス摂取後の入眠潜時の平均値)/(プラセボ摂取後の入眠潜時の値の平均値)}×100−100
【0073】
デルタ波パワー値も、入眠潜時と同様個々人により異なる。そこで、デルタ波パワー値をパネラーごとに4回測定し、4回の測定値の平均値を算出し、パネラーごとのプラセボ摂取に対するデルタ波パワー値の変化率(%)を下式(1−2)により算出した(表4および
図5)。
【0074】
〔式(1−2)〕
デルタ波パワー値の変化率(%)=
{(セイヨウトネリコエキス摂取後のデルタ波パワー値の平均値)/(プラセボ摂取後のデルタ波パワー値の平均値)}×100−100
【0075】
(睡眠感調査)
睡眠感の調査には、OSA睡眠調査票MA版(山本由華吏,田中秀樹,高瀬美紀,山崎勝男,阿住一雄,白川修一郎:中高年・高齢者を対象としたOSA睡眠調査票(MA版)の開発と標準化.脳と精神の医学 10:401−409,1999.)を用いた。OSA睡眠調査票MA版は、20項目の質問から構成されており、因子I:起床時眠気(すなわち起床時の眠気のなさ)、因子II:入眠と睡眠維持(すなわち良い寝つきと熟眠感のよさ)、因子III:夢見(すなわち夢見のよさ)、因子IV:疲労回復(すなわち疲労感のなさ)、因子V:睡眠時間(すなわち睡眠時間の満足感)を評価するための評価法である。
【0076】
各因子の点数を計算し、各パネラーについて、摂取サンプル別に4回の平均値を算出した。パネラーごとのプラセボ摂取に対する各因子の点数の変化率(%)を下式(1−3)により算出した。パネラー12名の変化率の平均値を算出した(表5、
図6〜10)。
【0077】
〔式(1−3)〕
各因子の点数の変化率(%)=
{(セイヨウトネリコエキス含有酵母摂取後の値の平均値)/(プラセボ摂取後の値の平均値)}×100−100
【0078】
(疲労感調査)
疲労感の調査には、日本疲労学会が特定保健用食品の抗疲労臨床評価における疲労感の評価方法のガイドラインに示している日本疲労学会推奨のVisual Analogue Scale(VAS)検査用紙を用いた。すなわち、一定の長さの水平な直線の左端を「疲れをまったく感じない最良の感覚」、右端を「何もできないほど疲れきった最悪の感覚」とし、パネラーが朝起きたときの感覚を、直線の左右両端に示した感覚を参考にこの直線上に×印で回答した。
【0079】
直線の左端から×印までの距離を測り、距離の数値が小さいほうが疲労を感じていないと判断した。それぞれのパネラーが摂取サンプルごとに、4回の測定を行いそれらの平均値を算出した。パネラーごとのプラセボ摂取に対する変化率(%)を下式(1−4)により算出した。パネラーごとの変化率について、パネラー12名の平均値を算出した(表6および
図11)。
【0080】
〔式(1−4)〕
疲労感の変化率(%)={(セイヨウトネリコエキス摂取後の値の平均値)/(プラセボ摂取後の値の平均値)}×100−100
【0081】
(脳波解析の結果)
【0082】
【表4】
【0083】
表4、
図4および
図5から、以下のことが分かる。サンプルとしてセイヨウトネリコエキスのカプセルを経口摂取させた実施例1−3では、プラセボカプセルを経口摂取させた比較例1−3に比べ、入眠潜時が短縮した。また、睡眠初期のデルタ波パワー値が大きくなり、睡眠初期のノンレム睡眠が十分深くなった。
【0084】
この結果は、セイヨウトネリコエキスの投与により、入眠潜時が短縮し、睡眠初期のノンレム睡眠が深まり、睡眠の質が効果的に改善されることを示している。
【0085】
(睡眠感調査の結果)
【0086】
【表5】
【0087】
表5、
図6〜10から、以下のことが分かる。サンプルとしてセイヨウトネリコエキスのカプセルを経口摂取させた実施例1−3では、プラセボカプセルを経口摂取させた比較例1−3に対する因子I(起床時の眠気のなさ)の変化率が高かった。また、因子II(入眠と睡眠維持)の点数の変化率、因子III(夢見の状態)の点数の変化率、因子IV(疲労回復)および因子V(睡眠時間の長さ)の点数の変化率も同様であった。この結果は、セイヨウトネリコエキスの投与により、睡眠の質改善効果が発揮され、起床時の眠気を改善したことを示している。また、睡眠の質改善効果が発揮され、寝つきと熟眠感を改善したことを示している。また、睡眠の質改善効果が発揮され、夢見の状態を改善したことを示している。さらに、睡眠の質改善効果が発揮され、疲労回復感を増加させたことを示している。そして、睡眠の質改善と合わせて、睡眠時間の長期化効果も発揮される(睡眠時間の満足感を得ることができる)ことが分かる。
【0088】
(疲労感調査の結果)
【0089】
【表6】
【0090】
表6および
図11から、以下のことが分かる。サンプルとしてセイヨウトネリコエキスのカプセルを経口摂取させた実施例1−3では、プラセボカプセルを経口摂取させた比較例1−3に対する疲労感の起床時の眠気のなさ)がマイナスに変化していた。この結果は、セイヨウトネリコエキスの投与により、睡眠の質改善効果が発揮され、疲れを感じなくなった(疲労感が軽減した)ことを示している。
【0091】
本発明の睡眠の質改善剤および睡眠の質改善組成物の処方例を以下に示す。
【0092】
(処方例1−1:錠剤(1−1))
セイヨウトネリコエキス10mg、乳糖60mg、結晶セルロース80mg、カルボキシメチルセルロース−Ca5mg、ショ糖脂肪酸エステル5mgを常法どおり打錠し錠剤を製造した。
【0093】
(処方例1−2:錠剤(2−2))
セイヨウトネリコエキス250mg、結晶セルロース40mg、カルボキシメチルセルロース−Ca5mg、ショ糖脂肪酸エステル5mgを常法どおり打錠し錠剤を製造した。
【0094】
(処方例1−3:錠剤(2−3))
以下の原料を用いて、常法により錠剤を製造した。
【0095】
造粒品(108mg)、セイヨウトネリコエキス(20mg)、ソルビトール(110mg)、部分α化でんぷん(15mg)、リン酸マグネシウム(75mg)、ステアリン酸カルシウム(3mg)、メントール粒子(40mg)、アスパルテーム(5mg)を常法どおり打錠し錠剤を製造した。
【0096】
上記造粒品は、エリスリトール(1935g)およびコーンスターチ(300g)に、ヒドロキシプロピルセルロース6質量%水溶液(4000g)を加えることにより製造した。造粒品の平均粒径は290μmであった。
【0097】
(処方例1−4:ソフトカプセル)
以下の原料を用いて、常法によりソフトカプセルを製造した。
【0098】
まず、以下の原料を混合して内容物を調製した:セイヨウトネリコエキス(20mg)、植物油脂(110mg)、グリセリン脂肪酸エステル(10mg)、蜜蝋(10mg)
【0099】
上記内容物と、豚ゼラチンとを用いてソフトカプセルを製造した。
【0100】
4.睡眠誘発効果の評価(実施例2−1、実施例2−2、比較例2−1および比較例2−2:マウス行動量測定)
シベリアカラマツエキスおよびジヒドロケルセチンの睡眠誘発効果を確認するために、表7及び表8に示す各サンプルを用いて以下の試験を行った。
【0101】
シベリアカラマツエキス(実施例2−1のサンプル)は、フラビール社製の「ジクベルチン(商品名)」を用いた。また、ジヒドロケルセチン(実施例2−2のサンプル)は、試薬(MPバイオ社)を用いた。コントロールとしては、0.5質量%メチルセルロース水溶液(比較例2−1および2−2のサンプル)を用いた。
【0102】
サンプルが睡眠を誘発する機能を有する場合、サンプルを投与すると必ず行動量が低下する。そのため、サンプル溶液をマウスに投与して行動量が低下するか否かを確認することにより、サンプルの睡眠誘発効果を評価した。
【0103】
8週齢または9週齢雄性C57BL/6マウスを日本SLC株式会社より購入し、3〜6日馴化した。馴化中の行動量より、投与群分けを実施した。暗期開始直前に、シベリアカラマツエキスマウス体重当たり3g/kg、ジヒドロケルセチンマウス体重あたり2.7g/kg、0.5質量%メチルセルロース水溶液10mL/kgを経口投与し、投与後24時間行動量を測定した。各投与群は、実施例2−1および比較例2−1は8匹(n=8)、実施例2−2および比較例2−2は4匹(n=4)とした。
【0104】
行動量を以下の条件で測定した。ケージにマウスを個別に飼い、その上方に赤外線カメラを設置した。赤外線カメラの撮影範囲を64区画に分け、この区画を横切った回数を測定した。この回数を30分毎に集計した。
【0105】
表7に、実施例2−1および比較例2−1のサンプルの種類および投与後6時間の累積行動量(回/6時間)を示す。
図12に、各実施例および比較例における、サンプル投与後6時間のマウスの累積行動量を示す。
図12中「**」は、p<0.01において有意差があることを示す。
【0106】
【表7】
【0107】
表7および
図12から、以下のことが分かる。
【0108】
サンプルとしてシベリアカラマツエキスを用いた実施例2−1は、コントロール溶液を投与した比較例2−1に比べ、投与後6時間の累積行動量が有意に低下していた。
【0109】
この結果は、シベリアカラマツエキスは睡眠誘発効果を発揮することを示している。
【0110】
表8に、実施例2−2および比較例2−2のサンプルの種類および投与後6時間の累積行動量(回/6時間)を示す。
図13に、各実施例および比較例における、サンプル投与後6時間のマウスの累積行動量を示す。
図13中「**」は、p<0.01において有意差があることを示す。
【0111】
【表8】
【0112】
表8および
図13から、以下のことが分かる。
【0113】
サンプルとしてジヒドロケルセチンを用いた実施例2−2は、コントロール溶液を投与した比較例2−1に比べ、投与後6時間の累積行動量が有意に低下していた。
【0114】
この結果は、ジヒドロケルセチンは睡眠誘発効果を発揮することを示している。
【0115】
5.睡眠の質改善効果の評価(実施例2−3および比較例2−3:睡眠感調査)
シベリアカラマツエキスがヒトの睡眠の質に与える効果を確認するために、表9に示す各サンプルを用いて以下の試験を行った。
【0116】
実施例2−3のサンプルとして、シベリアカラマツエキスを配合した錠剤(6錠中のシベリアカラマツエキス含有量:60mg)を用意した。また、比較例2−3のサンプルとして、シベリアカラマツエキスを含まないプラセボのカプセルを用意した。各組成の詳細は、表9に示すとおりである。
【0117】
【表9】
【0118】
あらかじめピッツバーグ睡眠調査表で調査し、比較的睡眠状態の良くない成人男女12名をパネラーにした。これら12名のパネラーに上記実施例2−3のサンプルを就寝1時間前に経口摂取してもらった。また、同様にして、同じパネラー12名に比較例2−3のサンプルを就寝1時間前に経口摂取してもらった。翌朝、パネラーが睡眠感調査票および疲労感VAS検査用紙に回答した。各サンプルの投与および測定の実施回数は、パネラー各一人につきそれぞれ4回とした。なお、各パネラーの平均睡眠時間は、6.5時間であり、最も睡眠時間の短いパネラーの睡眠時間と最も睡眠時間が長いパネラーの睡眠時間の差は、2時間であり、大差はなかった。
【0119】
睡眠感の調査には、OSA睡眠調査票MA版(山本由華吏,田中秀樹,高瀬美紀,山崎勝男,阿住一雄,白川修一郎:中高年・高齢者を対象としたOSA睡眠調査票(MA版)の開発と標準化.脳と精神の医学 10:401−409,1999.)を用いた。OSA睡眠調査票MA版は、20項目の質問から構成されており、因子I:起床時眠気(すなわち起床時の眠気のなさ)、因子II:入眠と睡眠維持(すなわち良い寝つきと熟眠感のよさ)、因子III:夢見(すなわち夢見のよさ)、因子IV:疲労回復(すなわち疲労感のなさ)、因子V:睡眠時間(すなわち睡眠時間の満足感)を評価するための評価法である。
【0120】
各因子の点数を計算し、各パネラーについて、摂取サンプル別に4回の平均値を算出した。パネラーごとのプラセボ摂取に対する各因子の点数の変化率(%)を下式(2−1)により算出した。パネラー12名の変化率の平均値を算出した(表10、
図14〜18)。
【0121】
〔式(2−1)〕
各因子の点数の変化率(%)=
{(シベリアカラマツエキス含有酵母摂取後の値の平均値)/(プラセボ摂取後の値の平均値)}×100−100
【0122】
【表10】
【0123】
表10、
図14〜18から、以下のことが分かる。サンプルとしてシベリアカラマツエキスのカプセルを経口摂取させた実施例2−3では、プラセボカプセルを経口摂取させた比較例2−3に対する因子I(起床時の眠気のなさ)の変化率が高かった。また、因子II(入眠と睡眠維持)の点数の変化率、因子III(夢見の状態)の点数の変化率、因子IV(疲労回復)および因子V(睡眠時間の長さ)の点数の変化率も同様であった。この結果は、シベリアカラマツエキスの投与により、睡眠の質改善効果が発揮され、起床時の眠気を改善したことを示している。また、睡眠の質改善効果が発揮され、寝つきと熟眠感を改善したことを示している。また、睡眠の質改善効果が発揮され、夢見の状態を改善したことを示している。さらに、睡眠の質改善効果が発揮され、疲労回復感を増加させたことを示している。そして、睡眠の質改善と合わせて、睡眠時間の長期化効果も発揮される(睡眠時間の満足感を得ることができる)ことが分かる。
【0124】
本発明の睡眠の質改善剤および睡眠の質改善組成物の処方例を以下に示す。
【0125】
(処方例2−1:錠剤(2−1))
シベリアカラマツエキス10mg、乳糖60mg、結晶セルロース80mg、カルボキシメチルセルロース−Ca5mg、ショ糖脂肪酸エステル5mgを常法どおり打錠し錠剤を製造した。
【0126】
(処方例2−2:錠剤(2−2))
以下の原料を用いて、常法により錠剤を製造した。
【0127】
造粒品(108mg)、シベリアカラマツエキス(20mg)、ソルビトール(110mg)、部分α化でんぷん(15mg)、リン酸マグネシウム(75mg)、ステアリン酸カルシウム(3mg)、メントール粒子(40mg)、アスパルテーム(5mg)を常法どおり打錠し錠剤を製造した。
【0128】
上記造粒品は、エリスリトール(1935g)およびコーンスターチ(300g)に、ヒドロキシプロピルセルロース6質量%水溶液(4000g)を加えることにより製造した。造粒品の平均粒径は290μmであった。
【0129】
(処方例2−3:ソフトカプセル)
以下の原料を用いて、常法によりソフトカプセルを製造した。
【0130】
まず、以下の原料を混合して内容物を調製した:シベリアカラマツエキス(20mg)、植物油脂(110mg)、グリセリン脂肪酸エステル(10mg)、蜜蝋(10mg)
【0131】
上記内容物と、豚ゼラチンとを用いてソフトカプセルを製造した。