特許第6100714号(P6100714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100714
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】床用目地プレート
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20170313BHJP
【FI】
   E04B1/68 100A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-35464(P2014-35464)
(22)【出願日】2014年2月26日
(65)【公開番号】特開2015-161081(P2015-161081A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2015年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−064441(JP,A)
【文献】 特開平11−166285(JP,A)
【文献】 特開平11−100907(JP,A)
【文献】 特開2003−171998(JP,A)
【文献】 実開昭60−104486(JP,U)
【文献】 実開昭59−167880(JP,U)
【文献】 実開昭61−147806(JP,U)
【文献】 特開2011−157722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62−1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材製の四角浅皿形状の目地プレート本体と、この目地プレート本体の内底面にスポット溶接で前後方向に所定間隔で固定され、上部が該目地プレート本体内に位置するチャンネル状あるいは上部が拡開する台形状の輪郭形状で、複数個の補強バー挿入溝が形成され、かつ、複数個の補強バー支持部が形成された複数個の補強バーホルダーと、この複数個の補強バーホルダーの複数個の前記補強バー挿入溝に挿入され、前記目地プレート本体の前後方向に位置し、該複数個の補強バーホルダーの複数個の補強バー支持部の上部と溶接固定された複数個の補強バーと、前記目地プレート本体内に前記複数個の補強バーホルダーおよび複数個の補強バーを覆うように充填されたコンクリートとを備えたことを特徴とする床用目地プレート。
【請求項2】
複数個の補強バーホルダーに形成された複数個の補強バー挿入溝の間隔は、コンクリートの骨材が入り込む90mm以上に形成されるとともに、該複数個の補強バーホルダーの上部位置が、複数個の補強バーの中央部に位置する高さ寸法であることを特徴とする請求項1記載の床用目地プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた左右の床躯体間の目地部を、車両等の走行が可能に覆う床用目地プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の床用目地プレートは金属材製の四角浅皿形状の目地プレート本体と、この目地プレート本体内に平鋼あるいはI型バーを28.3mm間隔で並列し、上辺を複数個のバー部材で固定された格子状の補強体を挿入あるいは格子状の補強体の所々を前記目地プレート本体の底面とを溶接固定し、該格子状の補強体が埋まるように目地プレート本体内にモルタルを充填して構成されていた。
【0003】
しかしながら、目地プレート本体内に格子状の補強体を収納して構成した床用目地プレートは、目地プレート本体内にモルタルを充填すると、その荷重によって目地プレート本体の中央部が下方へ撓み、雨の時に撓んだ所の上面に雨がたまるという不具合があった。
【0004】
また、格子状の補強体の所々を目地プレート本体の底面に溶接固定すると、十分な補強効果が得られるが、溶接によって目地プレート本体の底面に焼け跡が付き、錆の原因となる欠点があるとともに、平鋼あるいはI型バーを28.3mm間隔で並列させた格子状の補強体を用いているため、コンクリートの骨材が格子状の補強体内へ入らないため、砂とセメントからなるモルタルしか目地プレート本体内へ充填することができず、十分な補強が得られないという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−157722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、目地プレート本体内にコンクリートを充填しても骨材が入り込み、十分な強度が得られるとともに、複数個の補強バーホルダーをスポット溶接で目地プレート本体に固定することにより、複数個の補強バーで中央部が撓んだりすることなく、かつ目地プレート本体が錆付いたりするのを効率よく阻止することができる床用目地プレートを提供することを目的としている。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は金属材製の四角浅皿形状の目地プレート本体と、この目地プレート本体の内底面にスポット溶接で前後方向に所定間隔で固定され、上部が該目地プレート本体内に位置するチャンネル状あるいは上部が拡開する台形状の輪郭形状で、複数個の補強バー挿入溝が形成され、かつ、複数個の補強バー支持部が形成された複数個の補強バーホルダーと、この複数個の補強バーホルダーの複数個の前記補強バー挿入溝に挿入され、前記目地プレート本体の前後方向に位置し、該複数個の補強バーホルダーの複数個の補強バー支持部の上部と溶接固定された複数個の補強バーと、前記目地プレート本体内に前記複数個の補強バーホルダーおよび複数個の補強バーを覆うように充填されたコンクリートとを備えて床用目地プレートを構成している。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1により、複数個の補強バーホルダーを目地プレート本体の底面にスポット溶接により固定しているので、目地プレート本体の底面にスポット溶接による焼け跡が付きずらく、錆の原因になりずらく、長期間錆が付かないきれいな状態で使用することができる。
(2)前記(1)により、目地プレート本体の内底面にスポット溶接により固定した複数個の補強バーホルダーに複数個の補強バーを溶接により固定しているので、複数個の補強バーによって目地プレート本体の中央部が撓んだりするのを確実に阻止して、中央部に雨水がたまったりする不具合を確実に防止することができる。
(3)前記(1)により、複数個の補強バーホルダーの補強バー挿入溝に補強バーを挿入し、該補強バーを補強バーホルダーの補強バー支持部とを溶接により固定するので、複数個の補強バーは目地プレート本体に強固に固定することができる。
したがって、複数個の補強バーの間隔をコンクリートの骨材が挿入できる大きさに設定しても、十分な強度が得られるので、目地プレート本体内にコンクリートを充填して、十分な強度が得られる状態にできる。
(4)請求項2も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、目地プレート本体内に骨材を含むコンクリートを均一に充填することができ、かつ複数個の補強バーが撓むことなく複数個の補強バーホルダーに溶接固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明を実施するための第1の形態の使用状態の平面図。
図2図1の2−2線に沿う断面図。
図3】本発明を実施するための第1の形態の目地プレート本体の説明図。
図4】本発明を実施するための第1の形態の補強バーホルダーの説明図。
図5】本発明を実施するための第1の形態の複数個の補強バーホルダーを目地プレート本体に取付けた状態の説明図。
図6】本発明を実施するための第1の形態の補強バーを取付けた状態の平面図。
図7図6の7−7線に沿う拡大断面図。
図8】本発明を実施するための第1の形態の目地部が狭くなった使用状態の説明図。
図9】本発明を実施するための第1の形態の目地部が広くなった使用状態の説明図。
図10】本発明を実施するための第2の形態の使用状態の平面図。
図11図10の11−11線に沿う断面図。
図12】本発明を実施するための第2の形態の補強バーホルダーに補強バーを取付けた状態の正面図。
図13】本発明を実施するための第2の形態の補強バーホルダーに補強バーを取付けた状態の側面図。
図14】本発明を実施するための第3の形態の使用状態の平面図。
図15図14の15−15線に沿う断面図。
図16】本発明を実施するための第3の形態の補強バーホルダーに補強バーを取付けた状態の平面図。
図17】本発明を実施するための第3の形態の補強バーホルダーに補強バーを取付けた状態の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0012】
図1ないし図9に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた左右の床躯体3、3間を車両等の走行ができるように覆う床用目地装置で、この床用目地装置1は前記左右の床躯体3、3の目地部側の一方の床躯体3に形成された、反目地部側が傾斜面4に形成された目地プレートスライド支持凹部5と、この目地プレートスライド支持凹部5と対応する前記左右の床躯体3、3の目地部側の他方の床躯体3に形成された目地プレート支持凹部6と、この目地プレート支持凹部6に後端部が支持され、先端部が前記目地プレートスライド支持凹部5にスライド移動可能に支持された本発明の床用目地プレート7と、この床用目地プレート7の先端部が上方へ回動できるように、後端部を前記目地プレート支持凹部6に支持させる目地プレート支持装置8とで構成されている。
【0013】
前記床用目地プレート7はステンレス等の金属材製の四角浅皿形状の目地プレート本体9と、この目地プレート本体9の内底面にスポット溶接10で、前後方向に所定間隔で固定された複数個の補強バー挿入溝11、11、11、11が形成された複数個の補強バーホルダー12、12、12、12と、この複数個の補強バーホルダー12、12、12、12の複数個の補強バー挿入溝11、11、11、11に挿入され、該複数個の補強バー挿入溝11、11、11、11の上端部との補強バー支持部12a、12aと溶接X、X、X、Xで固定された複数個の補強バー13、13、13、13と、前記目地プレート本体9内に前記複数個の補強バーホルダー12、12、12、12および複数個の補強バー13、13、13、13を覆うように充填されたコンクリート14と、前記目地プレート本体9の先端部の上部にヒンジ部材15を介して取付けられたカバープレート16と、前記目地プレート本体9の後部両側部に取付けられた下端部が開口し、該目地プレート本体9の後部両側部に形成した係合ピン挿入孔17、17と連通する、前記目地プレート支持装置8の一部を構成する支持ピン挿入筒18、18とで構成されている。
【0014】
前記複数個の補強バーホルダー12は図4に示すように、前記目地プレート本体9の高さ寸法のほぼ半分以下、例えば4分の1の高さ寸法の上部が拡開する台形状の輪郭形状の金属材製で、コンクリートの骨材が入り込む90mm以上の間隔となるように両側板12a、12aに前記補強バー13の厚さ寸法とほぼ同じ大きさの複数個の補強バー挿入溝11、11、11、11が形成されたものが使用されている。
【0015】
前記複数個の補強バー13は図6に示すように、前記目地プレート本体9の高さ寸法のほぼ半分の高さ寸法で、前記補強バー挿入溝11の溝幅とほぼ同じ厚さ寸法の断面長方形状の平鋼が使用されている。
【0016】
前記目地プレート支持凹部6には前記床用目地プレート7の支持ピン挿入筒18、18内へ頭部が挿入される、前記目地プレート支持装置8の一部を構成する支持ピン19、19が固定されている。
【0017】
上記構成の床用目地プレート7は、目地プレート本体9内に位置する複数個の補強バーホルダー12、12、12、12はスポット溶接10で目地プレート本体9の底面に固定されているため、目地プレート本体9の底面には溶接による焼け跡が、スポット溶接であるため小さく、錆の発生を効率よく阻止できる。
【0018】
また、複数個の補強バーホルダー12、12、12、12の複数個の補強バー挿入溝11、11、11、11に補強バー13、13、13、13を挿入し、補強バー支持部12a、12aの上部と補強バー13、13、13、13を溶接X、X、X、X固定しているので、複数個の補強バーホルダー12、12、12、12と複数個の補強バー13、13、13、13とを強固に固定することができるとともに、複数個の補強バーホルダー12、12、12、12と複数個の補強バー13、13、13、13の溶接X、X、X、Xでの固定の焼け跡が目地プレート本体9の底面に現れることがない。
【0019】
さらに、目地プレート本体9内に充填されたコンクリート14の骨材14aは複数個の補強バーホルダー12、12、12、12と複数個の補強バー13、13、13、13の間にも入り込むため、コンクリート14で目地プレート本体9の補強も図ることができる。
【0020】
このように構成された床用目地プレート7は、後端部の支持ピン挿入筒18、18内に目地プレート支持凹部6の支持ピン19、19が入り込むように床用目地プレート7の後端部を目地プレート支持凹部6に支持させるとともに、先端部を目地プレートスライド支持凹部5に支持するように取付けることにより、前記左右の床躯体3、3の上面と目地プレート7の上面がほぼ同一面となり、車両の走行ができる。
【0021】
地震で目地部2が狭くなるように左右の床躯体3、3が揺れ動くと、図8に示すように床用目地プレート7の先端部が目地プレートスライド支持凹部5の傾斜面4に沿って押し上げられるが、カバープレート16の先端部が床躯体3と当接した状態を保つため、傾斜の突出面20にはなるが、車両等の走行を安全に行なうことができる。
【0022】
地震で目地部2が広くなるように左右の床躯体3、3が揺れ動くと、図9に示すように床用目地プレート7の先端部が目地プレートスライド支持凹部5上をスライド移動して、その揺れ動きを吸収する。
【0023】
この時、カバープレート16の先端部が目地プレートスライド支持凹部5内へ侵入すると凹部21が生じるが、比較的に小さな凹部21であるため、車両等の走行が可能である。
【0024】
なお、前記本発明の実施の形態では目地プレートスライド支持凹部5および目地プレート支持凹部6に床用目地プレート7を設置したものについて説明したが、本発明はこれに限らず、目地プレートスライド支持凹部5を金属材製の目地プレートスライド支持凹部下地材で覆ったり、目地プレート支持凹部6を金属材製の目地プレート支持凹部下地材で覆ってもよい。
【0025】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図10ないし図17に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0026】
図10ないし図13に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、他方の目地部側床躯体3に床用目地プレート7Aの後端部を支持するアングル材を用いた目地プレート支持部材22を固定し、該目地プレート支持部材22に形成された透孔23、23と、この透孔23、23を貫通して、下端部にストッパー24、24が形成された支持ピン19A、19Aを床用目地プレート7Aの後端両側部の底面に固定した目地プレート支持装置8Aを用いるとともに、チャンネル状に形成された複数個の補強バーホルダー12A、12A、12A、12Aを用いた床用目地プレート7Aを用いた点で、このような床用目地プレート7Aを用いて床用目地装置1Aを構成してもよい。
【0027】
図14ないし図17に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、断面正方形状の複数個の補強バー13A、13A、13A、13Aが入り込む複数個の補強バー挿入溝11A、11A、11A、11Aが形成された複数個の補強バーホルダー12B、12B、12B、12Bを用いるとともに、目地プレート本体9の上面にレンガやタイル等の床化粧板25を敷設した床用目地プレート7Bにした点で、このように構成した床用目地プレート7Bを用いて床用目地装置1Bを構成しても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は目地部を介して設けられた左右の床躯体間の目地部を、車両の走行が可能に覆う床用目地装置の床用目地プレートを製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0029】
1、1A、1B:床用目地装置、2:目地部、
3:床躯体、 4:傾斜面、
5:目地プレートスライド支持凹部、
6:目地プレート支持凹部、
7、7A、7B:床用目地プレート、
8、8A:目地プレート支持装置、
9:目地プレート本体、 10:スポット溶接、
11:補強バー挿入溝、 12:補強バーホルダー、
13、13A:補強バー、 14:コンクリート、
15:ヒンジ部材、 16:カバープレート、
17:係合ピン挿入孔、 18:支持ピン挿入筒、
19、19A:支持ピン、 20:傾斜の突出面、
21:凹部、 22:目地プレート支持部材、
23:透孔、 24:ストッパー、
25:床化粧板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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