(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記多孔質・生体組込可能な材料の生体組込比率が、前記多孔質・生体組込可能な材料の中心におけるよりも前記多孔質・生体組込可能な材料の外周で高くなるように設定されている、請求項1又は2に記載の装置。
損傷した心臓組織と接触するための多孔質中間材料を含み、前記多孔質中間材料が前記多孔質・生体組込可能な材料と接触した状態で配置され、さらに前記多孔質・生体組込可能な材料と当該損傷した心臓組織の間に配置されるように構成されたものである、前記請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
前記カバーが、前記真空源から大気圧未満の圧力を受けるために前記真空源とガス連通状態で配置される真空ポートを有している、前記請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
前記カバーが、損傷した心臓組織を取り囲んでいる心臓組織に対して前記カバーを接着させ且つシールさせるための接着シールを備えている、前記請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
前記真空源が、損傷した心臓組織において大気圧を下回る50mmHgの大気圧未満の圧力を維持させるように構成されている、前記請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
前記真空源が、損傷した心臓組織において大気圧を下回る50〜125mmHgの間の大気圧未満の圧力を維持させるように構成されている、前記請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
前記多孔質・生体組込可能な材料が、コラーゲン,キトサン,ポリカプロラクトン,ポリグリコール酸および/またはポリ乳酸を含んでいる、前記請求項1〜15のいずれか一項に記載の装置。
前記多孔質・生体組込可能な材料が、多孔質シートおよび柔軟なシート状メッシュのうちの少なくとも一方の形態で構成されている、前記請求項1〜18のいずれか一項に記載の装置。
前記多孔質・生体組込可能な材料が、損傷した心臓組織に隣接配置される面に、前記多孔質・生体組込可能な材料の内部での組織の成長を防止するのに十分小さい孔を有している、前記請求項1〜20のいずれか一項に記載の装置。
【背景技術】
【0002】
心筋虚血は、心臓の一部がその要求を満たすのに十分な酸素及びエネルギ基
質を受けないときに起こる。これは、通常、アテローム硬化性プラーク又は血
栓形成に起因する動脈の閉塞により生じる。心筋梗塞では、血流不足に起因し
て細胞が即座に死んでしまう損傷領域が存在する。それに隣接して、血行静止
に匹敵する血流低下が存在し且つより多くの周辺非罹患域が存在する層がある。
残念ながら、梗塞した心臓は、適切に機能していない心臓の領域を補償するた
めに、拘縮速度及び全体の働きを高めようとする。その結果、「血行静止」にあ
る領域は、より多くの働きをするよう喚起され、それにより、それらの領域に
必要なエネルギ要件が増大し、その後、更に進行して、死に至る。治療されな
いままの場合には、この虚血は、最終的に心室の厚さにわたって経貫壁的に広
がる場合がある梗塞域の拡張をもたらす。
【0003】
心筋虚血に起因する梗塞の度合いを制限することは、患者における短期転帰
と長期転帰の双方を改善することよりも優先されるべき事柄である。したがっ
て、この心筋組織を守るために、組織の適時の再かん流(冠状動脈血流の回復)
が行なわれなければならない。虚血域内において守ることの可能な組織の量は
再かん流の適時性に依存する。再かん流は、酸素および栄養素(エネルギ基質
を含む)を供給することにより虚血プロセスを停止させるが、このプロセスは、
損傷を悪化させる一連の事象およびカスケードも急速に動かし始め、そのため、
虚血の間においてのみ危険に晒される領域を超えて壊死領域を広げてしまうこ
ととなる。この再かん流傷害の大部分は、性質的に炎症性であるように思われ
るが、異物ではなく宿主組織へと不適切に向けられる。この再かん流傷害を減
少できるようにすることにより、最大量の心筋を守ることが可能となる。
【0004】
再かん流傷害は、それ自体、心筋機能障害(心筋気絶),不整脈,及び致命的
な再かん流傷害をもたらす一群の事象を含む多くの態様で発現する。現在、再
かん流不整脈を治療するための有効な薬理学的療法が存在し、また、心筋気絶
は、一般に、一定の時間で自然に消散し、そのため、虚血再かん流組織である
が生存できる組織を保護しようとして、致命的な再かん流傷害のメディエータ
が論理ターゲットとして残る。
【0005】
カルシウム過負荷、酸素ラジカル、浸透勾配(および、その後の細胞膨張)
の変化、ミトコンドリア透過性転移孔、および、炎症(それ自体、補体活性化、
白血球浸潤、および、炎症性サイトカインおよびメディエータを含むカスケー
ドおよびメディエータの複合セット)を含む致命的な再かん流傷害の多くの想
定し得るメディエータが存在する。更に、心筋虚血再かん流のアニマルモデル
における抗酸化物質,ナトリウム−水素交換抑制因子,抗炎症剤(アデノシン、
接着分子抗体、および、補体抑制因子を含む)を含むこれらの現象のいずれか
及び全ての選択的抑制の心臓保護作用も知られている。しかしながら、これら
の治療学が事象のカスケード内の一点で或いは非常に複雑で多面的なプロセス
の一面で選択的に作用するという事実におそらく起因して、ヒトにおける臨床
的成功の度合いが殆ど実証されていない。したがって、傷付けられた皮膚及び
皮下組織に対する負圧(または、大気圧未満の圧力)治療を施すことは、従来
の方法(内容を参照することにより本願に組み入れられる特許文献1〜7に記
載されている方法)に比べて治療速度が高まることを実証しているが、心筋虚
血を処理するための器具及び方法の技術において必要な事柄が残されている。
皮膚外傷および皮下外傷のようなこの種の損傷では、多くの場合、スクリーン
/包帯を、治療組織に対する大きな破壊を伴うことなく、決まりきった所定の
間隔で容易に且つ非侵襲的に交換することができる。しかしながら、上皮が無
傷の組織または臓器を治療するために技術が使用される場合には、当初から負
傷した組織または臓器を露出するために、上側組織を貫通する創傷部の慎重な
形成によって上皮を外科的に分断しなければならない。傷付いた組織を露出す
るために分断された当初から健全な上側組織は、傷付いた組織上で縫合して閉
じることができる。これにより、超損傷組織の回復を伴う負傷組織の負圧治療
が可能になる。負圧包帯およびカバーの現在商業的に利用できる実施形態は、
生体分解性または生体吸収性のものではない。生体分解性/生体吸収性が欠如
していることは、縫合された切開部の再開放、包帯およびカバーの除去、新た
な包帯およびカバーの配置、および、切開部の再度の縫合閉塞を必要とする。
このシーケンスは、当初の負傷組織が治癒されるまで繰り返されなければなら
ず、それは、包帯およびカバーを除去するための切開部の一回の最終的な再開
放を伴う。包帯およびカバーを交換または除去するために切開部が開放される
度に、その部位が感染するという危険が高まる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、大気圧未満の圧力(又は負圧)を用いた治療により、虚血段階ま
たは初期の再かん流段階にある心筋梗塞などの損傷した心臓組織を治療するた
めの装置および方法に関するものである。本発明の装置および方法を用いる治
療は、血行静止域の細胞を救い、それにより、梗塞のサイズを減少させること
ができる。そのような治療は、バイパスまたはステント植込み術が不可能な末
期の心筋症において特に有効である。また、この治療は、左大動脈損傷等を伴
う状況において心停止後に心臓を休ませるためのECMO(体外膜型酸素付加)
の助けとなるものとしても有用である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の典型的な負圧治療装置は、治療されるべき組織上にわたって配置す
るための真空包帯、例えば多孔質材料を含んでいてもよい。真空包帯は、除去
のための第2段階が必要とされないように性質的に生体組込可能であってもよ
い(本明細書中で使用される用語「生体組込可能」とは、患者の中に永久に残
されてもよく且つ除去され、再吸収され、溶解され、および/または、さもな
ければ同化または改質され得る材料を意味するものとして定義される)。本発明
の装置は、シール囲繞部を形成するために真空包帯上にわたって配置するため
の生体組込可能な被覆カバーを含んでいてもよく、シール囲繞部内においては、
大気圧未満の圧力が真空包帯および治療されるべき組織に対して与えられて、
該大気圧未満の圧力が維持される。被覆カバーは、包帯に対して付着させると
共に、周囲の損傷していない心臓組織に対する被覆カバーの取り付けを可能に
するために真空包帯を越えて延びていてもよい。被覆カバーは、心臓に合わせ
て輪郭付けするべく性質的にゼリー状であってもよく、また、心臓機能を妨げ
ないように十分に柔軟であってもよい。被覆カバーは、フィブリン接着剤,ミ
ニステープル又は縫合糸を用いて心筋に対して固定してもよい。
【0009】
使用時、本発明の装置は、梗塞を有する筋肉の領域上にわたって及びうっ血
の隣接域上にわたって経胸腔鏡的に配置してもよい。本発明による装置は、胸
壁に形成されて心膜を貫通して穿孔された小さい切開部を通じて配置してもよ
い。真空包帯は、胸腔鏡チューブを通じて挿入するのに十分小さくなるように
巻き上げられ或いは折り畳まれるように構造的に潰れることができるものであ
ってもよい。下側にある虚血心筋を露出させるために、CO
2または同様のレー
ザまたは他の切断器具を用いて心外膜に孔をあけてもよい。その後、真空包帯
をこの虚血領域に直接的に或いは間接的に配置してもよい。また、被覆カバー
は、周囲の心臓組織に対しても経内視鏡的に配置して固定してもよい。その後、
真空チューブ、例えば小さいカテーテルを、大気圧未満の圧力が囲繞部と治療
されるべき組織に対して供給されるようにするために真空チューブの先端が被
覆カバーの下側の囲繞部とガス連通するように導入させてもよい。その後、大
気圧未満の圧力を生成するために真空チューブの他端を真空源とガス連通状態
となるように配置して、損傷した心臓組織の負圧治療を行なうために真空源を
作動されせることができる。また、大気圧未満の圧力は、心拍に一致する速度
で断続的に供給してもよい。
【0010】
本発明によれば、心筋細胞死の安定した領域が既に存在する心筋梗塞の遅延
治療を行なう方法が提供される。この場合にも、内視鏡と胸壁の小さい切開部
とを介して、生体組込可能な真空包帯を梗塞した領域に配置してもよい。また、
上記したと同様に、関連する心筋および隣接する心筋を露出させることが必要
とされ、CO
2または同様の切断装置を用いて心外膜に孔があけられる。真空包
帯は、心筋細胞または周辺筋肉細胞の格子がその中に組み込まれ得るように修
正してもよい。また、真空包帯は、その後の連続する時間に更なる心筋細胞、
多能性前駆細胞又は周辺筋肉細胞を再注入できる能力を有する小さいカテーテ
ルを組み込んでもよい。損傷した心臓組織における、ほぼ完全な細胞死が存在
する領域、あるいは、筋肉細胞の収縮が殆ど無い又は全く無い領域では、損傷
した心臓組織の収縮機能を回復させるべく、新たな収縮性細胞を接種させるこ
とができる。最初に、培養によって成長された周辺筋肉または周辺筋肉細胞を
使用できる。これらの細胞は、限られたライフサイクルを有しており、経時的
に疲労すると考えられる。心筋は、初期治療の治療時間に生検することができ、
多量の成長可能な細胞を作るために、心筋細胞を除去し培養する。採取された
心筋細胞は、培養液中に保存し、以前の梗塞の領域を覆う心筋パッチを作り上
げるためのその後の周期的な注入のために使用できる。また、前駆細胞を採取
して損傷した心臓組織の領域へ断続的に注入することができ、あるいは、前駆
細胞を培養液中で成長させ、それらが心筋細胞中で成長するのを期待して前駆
細胞を損傷した心臓組織の領域へ周期的に注入することができる。経時的に、
導入された細胞は、有糸分裂または自己再生を起こすように誘導され、それに
より、心臓の機能的な部分が増大される。次第に血管新生化されることになる
細胞を徐々に加えることができる能力は、1枚の細胞だけが生き残ると現在予
期され得る再生医療における主要なステップである。
【0011】
より具体的には、本発明は、その態様の1つにおいて、大気圧未満の圧力を
使用して損傷した心臓組織を治療するための方法を提供する。この方法は、多
孔質材料を損傷した心臓組織と直接的に或いは間接的に接触した状態で配置し
て、多孔質材料の1つ以上の孔と損傷した心臓組織との間にガス連通をもたら
す工程を含んでいる。この多孔質材料は、エレクトロスピニングされた材料,
鋳造材料,オープンセル発泡体及び印刷された材料のうちの少なくとも1つを
含んでいてもよい。これに代えて或いはこれに加えて、多孔質材料は生体組込
可能材料であってもよい。多孔質材料は、例えば、コラーゲン,キトサン,ポ
リカプロラクトン,ポリグリコール酸、ポリ乳酸及びこれらの組み合わせを含
んでいてもよい。また、多孔質材料は、損傷した心臓組織と直接接触して配置
されるポリビニルアルコール発泡体であってもよい。
【0012】
多孔質材料を損傷した心臓組織上にわたってインサイチュでシールして、損
傷した心臓組織で大気圧未満の圧力を維持するための領域を損傷した心臓組織
の周囲に設けてもよい。多孔質材料は、損傷した心臓組織に大気圧未満の圧力
を生成するために、真空源と作動的に接続し、真空源を作動させて、損傷した
心臓組織に大気圧未満の圧力を与えてもよい。大気圧未満の圧力は、浮腫を減
少させ(したがって、収縮性および伸展性を回復させ)、間質圧を減少させ、炎
症性メディエータを除去し、炎症性増殖子を除去し、細胞内メディエータを調
整し、再かん流および微小血管血流を増大させ、微小血管閉塞を減少させ、お
よび/または、損傷した心臓組織内の炎症細胞の保有を減少させるのに十分な
時間にわたって損傷した心臓組織で維持させてもよい。治療されるべき心臓組
織の微視的または巨視的な変形は、脈管形成、または、虚血組織内の新たな血
管の形成を増大させる。これは、心臓細胞の生存可能性を高めるとともに、最
終的に心臓の虚血部の機能を向上させる。また、心臓に既に存在する小さい細
動脈の巨視的および微視的な変形は、虚血組織の領域へ向けたそれらの物理的
な再配向をもたらし、したがって、かん流を増大させ、最終的に機能を高める。
【0013】
例えば、大気圧未満の圧力は、大気圧を下回る約25−125mmHgに維
持させてもよい。また、本発明による方法は、生体組込可能なカバーなどのカ
バーを損傷した心臓組織上にわたって位置決めするとともに、損傷した心臓組
織に隣接する組織、例えば損傷していない心臓組織に対してカバーをシールし
て、損傷した心臓組織において大気圧未満の圧力を維持させる工程を含んでい
てもよい。カバーは、損傷した心臓組織上にわたって位置させて、粘着シート
の形態を成して設けられてもよい。そのような場合、カバーをシールするステ
ップは、損傷した心臓組織を取り囲む組織に対して粘着シートを接着シールし
て付着させて、損傷した心臓組織を取り囲む組織とシートとの間にシールを形
成することを含んでいてもよい。
【0014】
本発明の別の形態によれば、損傷した心臓組織を治療するための装置が提供
される。この装置は、損傷した心臓組織を治療するための多孔質材料を含み、
この多孔質材料は、この多孔質材料の1つ以上の孔と治療されるべき心臓組織
との間でガス連通を可能にするべく形成される孔構造を有している。多孔質材
料は、エレクトロスピニングされた材料,鋳造材料及び印刷された材料のうち
の少なくとも1つを含んでいてもよい。これに代えて或いはこれに加えて、多
孔質材料は生体組込可能材料を含んでいてもよい。そのような場合、それは、
多孔質材料の外縁が内部よりも急速に再吸収され或いは分解されるような態様
で編成される多孔質材料にとって有益である。多孔質材料の除去(再吸収/分
解)の速度は、新たな組織の形成速度に適合させることができる。分解または
再吸収の速度を制御するための1つの方法は、多孔質材料に導入される架橋の
数を変えることである。
【0015】
また、本発明による装置は、大気圧未満の圧力を生成するための真空源を含
んでいてもよく、この真空源は、大気圧未満の圧力を心臓組織へ分配するため
に多孔質材料とガス連通した状態で配置してもよい。多孔質材料は、多孔質材
料の少なくとも選択された表面に、その内部での組織の成長を防止するのに十
分小さい孔を有してもよい。また、多孔質材料は、多孔質材料の少なくとも選
択された表面に、線維芽細胞および心臓細胞のサイズよりも小さい孔径を有し、
線維芽細胞および心臓細胞のサイズよりも大きい孔径を選択された表面以外の
場所に有していてもよい。多孔質材料の孔径は、孔を通じたアルブミンのサイ
ズのタンパク質移動を可能にするべく十分大きくてもよい。また、多孔質材料
は、この材料を通じた大気圧未満の圧力の伝達を防止するようにシールされる
少なくとも1つの表面を含んでいてもよい。また、本発明による装置は生体組
込可能なカバーなどのカバーを含んでいてもよく、このカバーは、損傷した心
臓組織を覆って、カバー下の損傷した心臓組織において大気圧未満の圧力を維
持させるように構成される。
【0016】
生体組込可能な多孔質材料および/またはカバーは、ポリグリコール酸,ポ
リ乳酸又はポリ−o−クエン酸塩などの合成材料から構成されていてもよく、
あるいは、コラーゲン,エラスチン又はプロテオグリカンなどの自然発生する
分子から構成することもできる。合成分子の組み合わせ,自然発生する分子の
組み合わせ又は合成分子と自然発生する分子との組み合わせは、多孔質材料お
よびカバーの材料特性を最適化するために使用することができる。
【0017】
多孔質材料を形成するために使用することのできる材料の一例は、ポリカプ
ロラクトン(PCL)である。1つの典型的な製法において、ポリカプロラク
トンを、塩化ナトリウムと混合して(割合10の塩化ナトリウムに対して割合
1のカプロラクトン)、成分を溶解するのに十分な量のクロロホルム内に入れる。
その溶液を、適切に寸法付けられて形成された容器内に流し込んで、12時間
にわたって乾燥する。その後、塩化ナトリウムを水中に浸出させる。
【0018】
多孔質材料のための第2の典型的な鋳造形成体は、2%酢酸中に1.33%
(重量/容積)で入れられたキトサンである。その溶液(20ml)を、適切
に寸法付けられた容器に流し込んだ後に、−70℃で2時間にわたって冷凍さ
せ、その後、凍結乾燥機へ移送されて、24時間にわたって真空が加えられる。
その冷凍乾燥された包帯は、2.5%〜5%グルタルアルデヒド蒸気によって
12〜24時間にわたって架橋される。
【0019】
このように、本発明は、病的過程の進行を最小限に抑え、生理学的な心臓の
完全性の乱れを最小限に抑え、および、栄養障害および心臓血流障害を最小限
に抑えて血管新生および既存の血管の再配向によって心臓の虚血領域の血管再
開通を向上させるための装置および方法を提供する。心臓性浮腫および間質圧
を減少させることにより、心臓細胞死の危険および障害を最小限に抑えること
ができる。また、本発明は、損傷した心臓組織における炎症反応および病態生
理学的反応を促進するメディエータ,分解性生物及び毒素の除去を容易にする。
【0020】
上述した発明の概要および本発明の好ましい実施形態についての後述の詳細
な説明は、添付図面を参照することにより最も良く理解することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、全体を通して同様の要素には同様の参照符号が付された図を参照す
ると、本発明は、損傷した心臓組織を治療するために大気圧未満の圧力(また
は、負圧)を使用する装置および方法に関する。ここで、「損傷した」組織とは、
例えば、外傷,疾患,感染,外科的合併症又は他の病的プロセスに起因する損
傷の如き、負傷した、損なわれた、あるいは、何らかの別の態様で害された組
織を含むものとして定義される。より具体的には、本発明の装置および方法は、
心筋梗塞の治療を行なうことができるものである。
【0023】
本発明の減圧心臓治療装置100の典型的な構成は、損傷した心臓組織7と
直接的に或いは間接的に接触して配置される、生体組込可能な多孔質材料の如
き多孔質材料10へチューブ20を介して、大気圧未満の圧力を供給するため
の真空源30を含んでいてもよい(
図1〜4)。ここで使用される「間接的な接
触」なる表現は、損傷した心臓組織7と多孔質材料10との双方と接触した状
態で大気圧未満の圧力を伝えるための中間材料を配置することにより間接的に
接触することを意味するものとして定義される。これに関連して、多孔質材料
10は、大気圧未満の圧力を損傷した心臓組織7へ供給して分配するように構
成されていてもよい。また、多孔質材料10は、大気圧未満での治療が施され
た後に取り除く必要のある材料から成っていてもよく、その場合、2回目の外
科的処置が必要とされ得る。心臓治療装置100は、多孔質材料10の1つ以
上の孔と損傷した心臓組織7との間にガス連通をもたらすように多孔質材料1
0を損傷した心臓組織7と接触させた状態で位置決めすることにより患者に対
して適用することができる。チューブ20は、このチューブ20の先端22で
多孔質材料10に接続させてもよく、また、多孔質材料10は、大気圧未満の
圧力を維持するための領域を損傷した心臓組織7の周囲に設けるために、皮膚
1および皮下組織2内において縫合糸8によりインサイチュでシールしてもよ
い(
図4)。多孔質材料10を真空源30に作動可能に接続して真空源30の作
動時に損傷した心臓組織7で大気圧未満の圧力を生成させるために、チューブ
20の基端24を真空源30に取り付けてもよい。随意的に、生体組込可能な
被覆カバーの如き被覆カバー40を、損傷した心臓組織7上にわたって位置決
めさせて、損傷した心臓組織7で大気圧未満の圧力を維持させるべく損傷した
心臓組織7に隣接してシールさせてもよい。
【0024】
図1〜4を更に詳しく参照すると、本発明の減圧心臓治療装置100の典型
的な構成は、多孔質材料10が損傷した心臓組織7と接触した状態の部分断面
図で示されている。被覆カバー40は、多孔質材料10を覆っており、健康な
心臓組織6へと延びて囲繞空間48を形成してもよい。フィブリン接着剤また
は他の材料などの接着剤41を被覆カバー10と健康な心臓組織6との間に配
置してもよい。これに加えて或いはこれに代えて、漏れを防止するために接着
剤41を被覆カバー10の周囲に配置してもよく、また、チューブが被覆カバ
ー10から抜け出る貫通口52の周囲にも接着剤41を配置して漏れを防止す
うようにしてもよい。
図1は、大気圧未満の圧力の付加される前の装置100
を示している。
図2は、大気圧未満の圧力が付加されている時の装置100を
示しており、流体およびガスが囲繞空間48から排出されるにつれて囲繞空間
48の容積が減少して、被覆カバー40が多孔質材料10に密着する。
図3は、
被覆カバー40の形状が多孔質材料10の形状と一致した状態を示した、大気
圧未満の圧力が付加された後の装置100を示している。
【0025】
特に
図4を参照すると、本発明の減圧心臓治療装置100の典型的な構成が、
周辺組織が部分断面で示された状態の患者内のインサイチュで示されている。
図示された組織は、皮膚1および皮下組織2,筋肉3,骨4,心膜5,損傷を
受けていない健康な心臓組織6,損傷した心臓組織7及び胸膜組織12を含ん
でいる。損傷した心臓組織7にアクセスできるようにするため、外科的切開ま
たは負傷によって心膜5の一部が欠けていてもよい。オープンセルコラーゲン
材料などの多孔質材料10は、損傷した心臓組織内の細胞蘇生または生存能力
に悪影響を与える場合がある浮腫および間質圧,酸素ラジカル,炎症性メディ
エータ及び他の分子を減少させて例えば生理学的機能を高めるために大気圧未
満の圧力により治療されるべき心臓組織7と(直接的又は間接的に)接触した
状態で皮下空間内に配置してもよい。チューブ20の先端22は多孔質材料1
0に接続していてもよく、また、チューブ20は切開部を通して身体から出て
いてもよい。チューブ20は、多孔質材料10と接触するチューブ20の部分
に1つ以上の穿孔23を有してもよい(
図6)。心臓組織7から皮膚1までの間
の皮膚1を含む組織が、例えば縫合糸8により閉じられて、真空を維持できる
気密シールが形成される。大気圧未満の圧力が付加されると、切開された組織
1〜5の縁が一緒に引っ張られ、真空を維持するのを助けるべく胸膜組織12
が多孔質材料へ向けて引き寄せられる。チューブの基端24を真空源30に接
続させて、大気圧未満の圧力のレベルをコントローラ32によって制御しても
よい。真空源30は、除去される何等かの流体を収集するための容器を含んで
いてもよい。
【0026】
カバー40は、大気圧未満の圧力が維持される損傷した心臓組織7の周囲の
領域を更に閉じ込める役目を果たすものであってもよい。すなわち、
図1〜3,
7〜9に示したように、カバー40,50は、カバー40,50の下側の損傷
した心臓組織7の周囲に、カバー40,50の外部の組織が損傷した心臓組織
7に付加される大気圧未満の圧力に晒されないようにする役目を果たすことが
できる囲繞空間/領域48,58を形成している。一方、
図4に示したように、
被覆カバーがない場合には、多孔質材料10および損傷した心臓組織7に付加
される大気圧未満の圧力によって、心膜5および胸膜組織12等の周囲の組織
が
図4中に示した矢印の方向に沿ってチューブ20および多孔質材料10の方
へと内側に向けて引き込まれる。これに関連して、心膜5および胸膜組織12
などの引き伸ばされた及び/又は移動された組織は、付加された大気圧未満の
圧力を心膜5と損傷した心臓組織7との間の領域へ閉じ込めるのに役立つ。ま
た、カバー40,50は、多孔質材料10と、縫合された皮膚1および皮下組
織2とによって既に齎されている保護を越える外因性感染および汚染から損傷
した心臓組織7を更に保護することができる。同様に、カバー40,50は、
損傷した心臓組織7を周囲組織からの感染(心臓の膿瘍および縦隔炎等)の広
がりから更に保護することができる。
【0027】
損傷した心臓組織7で大気圧未満の圧力を維持するのに役立つように、柔軟
な被覆カバー40(
図7)または自己粘着性の柔軟な被覆カバー50(
図9)
を損傷した心臓組織7上に提供し、それにより、大気圧未満の圧力を維持でき
る領域48,58を損傷した心臓組織7の周囲に提供するようにしてもよい(図
7及び8)。具体的には、
図7,8及び9を参照すると、損傷した心臓組織7に
隣接する心臓組織に対してカバー40,50を接着することにより、被覆カバ
ー40,50を損傷した心臓組織7および多孔質材料10上にわたって設けて、
損傷した心臓組織7および多孔質材料10の周囲に囲繞領域48,58を区画
するようにしてもよい。例えば、カバー40は、フィブリン接着剤の如き接着
剤41を使用して心臓組織に接着してもよい。接着剤41は、自動重合接着剤
を含んでいてもよく、および/または、望ましくは、接着剤41が接触する不
規則な場合がある表面の形状に接着剤41が適合できるようにする十分な体積
を接着剤41に与えるべくフィラーを含んでもよい。接着剤41は、別個の要
素として或いはカバー40の一部として設けてもよい。柔軟な被覆カバー40
に関しては、柔軟な被覆カバー40の外側エッジまたは縁部は、損傷していな
い心臓組織6から離れるように丸め(または、平らに横たえ)或いは損傷した
心臓組織7の下側で(または、この組織へ向けて)丸めてもよい(
図7及び8)。
接着剤41は、気密シールを促進するために被覆カバー40の縁と健康な心臓
組織6との間に配置してもよい。接着剤41は、チューブ20が被覆カバー4
0を貫通して抜け出ている場合にはチューブ20の周囲に施してもよい。ある
いは、自己粘着性の柔軟な被覆カバー50は、カバー50の下面(多孔質材料
10に面する側の面)が周囲の損傷していない心臓組織6と接触するように、
損傷した心臓組織7から離間させて外側に曲げてもよい(
図9)。
【0028】
オープンセルコラーゲン材料に加えて、多孔質材料10は、ポリグリコール
酸材料および/またはポリ乳酸材料,合成ポリマー,柔軟なシート状メッシュ,
オープンセルポリマー発泡体,発泡片,多孔質シー,ポリビニルアルコール発
泡体,ポリエチレンおよび/またはポリエステル材料,または、例えば、エレ
クトロスピニング,鋳造又は印刷によって作ることのできる他の適切な材料で
あってもよい。そのような材料は、キトサンの溶液(2%酢酸中に1.33%
重量/容積、20ml総量)を含んでいて、該溶液は、適切に寸法付けられた
モールド内に流し込んでもよい。該溶液は、その後−70℃で2時間にわたっ
て冷凍された後、凍結乾燥機へ移送され、24時間にわたって真空が加えられ
る。その材料を、鋳造多孔質材料を形成するために2.5%〜5%グルタルア
ルデヒド蒸気(glutaraldehyde vapor)によって12〜
24時間にわたって架橋させてもよい。
【0029】
また、多孔質材料10は、ポリカプロラクトン(PCL)を成型することに
より作ってもよい。ポリカプロラクトンは、塩化ナトリウムと混合して(割合
10の塩化ナトリウムに対して割合1のカプロラクトン)、成分を溶解するのに
十分な量のクロロホルム内に入れる。所望量、例えば8mlの溶液を、適切に
寸法付けられて形成された容器内に流し込んで、12時間にわたって乾燥して
もよい。その後、塩化ナトリウムを24時間にわたって水中に浸出させてもよ
い。
【0030】
被覆カバー40は、生体組込可能なものであってもよく、タイプIコラーゲ
ンとポリ1,8−オクタンジオールクエン酸塩(POC)(80%:20%重量
/重量)とのエレクトロスピニングされた混合物から成るものであってもよい。
溶液濃度は、9.5mlの総量でヘキサフルオロ−2プロパノール(HFP)
中に溶解される15%であってもよい。その後、溶液を、18ゲージニードル
を介してシリンジから1−3ml/時の流量で排出させてもよい。電圧は、2
0−25cmの作動距離をもって25kVであってもよい。その後、フィルム
は、80℃で48時間にわたって(または、90℃で96時間にわたって)熱
重合され、24時間にわたって2.5%〜10%グルタルアルデヒド蒸気中で
架橋されてもよい。
【0031】
また、多孔質材料10に関してエレクトロスピニングされた材料を使用し、
被覆カバー40に関して鋳造材料を使用することもできる。エレクトロスピニ
ングされた多孔質材料10を形成するための処方および方法の1つの実施例は、
コラーゲンタイプI:コンドロイチン−6−サルフェート(CS):ポリ1,8
−オクタンジオールクエン酸塩(POC)を76%:4%:20%の重量比率
で組み合わせることである。コラーゲン/CS/POCに関しては2つの溶媒
を用いた。CSは水中で溶解し、コラーゲンおよびPOCは2,2,2−トリ
フルオロエタノール(TFE)中で溶解した。その後、20%水/80%TF
E溶液(容積/容積)の溶液を使用した。エレクトロスピニングにおいて、コ
ラーゲン:CS:POC混合物を含む溶液は、18Gaニードルに取り付けら
れる3mlシリンジ内に入れた。溶液を2.0ml/時の割合でニードル先端
へ供給するためにシリンジポンプ(New Era Pump System
s,Wantaugh,ニューヨーク州)を使用した。高電圧電源(HV P
ower Supply,Gamma,High Voltage Rese
rch,Ormond Beach,フロリダ州)により10−20kVの電
圧が与えられ、この電圧は、15−25cmの距離を伴うニードル(陽極)と
接地コレクタ(陰極)との間に印加された。その後、その包帯は、グルタルア
ルデヒド(グレードII、25%溶液)と架橋され、48時間にわたって熱重
合された(80℃)。また、初期濃度が80mg/mlの、1,1,1,3,3,
3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFP)中のコラーゲンから始まる
コラーゲンタイプI包帯をエレクトロスピニングした後に、コラーゲン:CS:
POC複合体と同じエレクトロスピニング状態を使用することもできる。
【0032】
鋳造被覆カバー製法の実施例は、1,8ポリ(オクタンジオール)クエン酸
塩(POC)、または、例えば1,6ヘキサンジオールまたは1,10デカンジ
オールであってもよいジオールクエン酸塩の他の組合せを用いることを含んで
いる。鋳造被覆カバー40を作るために、等モル量の無水クエン酸と最適なジ
オールとを丸底フラスコ内で組み合せてもよい(一例として:38.4gクエ
ン酸と29.2gオクタンジオール)。溶液を、油槽内で溶けるまで10分間に
わたって165℃で加熱し、その後、140℃で45分間にわたって加熱し続
けてもよい。この形態では高分子を使用してもよいが、未反応のモノマー
も存在する。未反応のモノマーを除去するために、等モル量の高分子および1
00%のアセトンを、フラスコに加えて、高分子が完全に溶解されるまで振動
させ、その後、適切に形成されたモールドに流し込んでもよい。アセトンは、
室温のケミカルフード内で一晩中にわたって蒸発させてもよい。フィルムを8
0℃で36時間にわたって重合させた後に、110℃で18時間にわたって重
合させてもよい。
【0033】
あるいは、キトサンの被覆カバー40を鋳造するために、2%酢酸の水溶液
を1%キトサン重量/容積に加えてもよい(例えば、400μlの酢酸を20m
lの水に加えた後に、200mgのキトサンを加える)。その混合物を直接にモ
ールドへ流し込んで溶液を一晩中にわたって乾燥させることによってフィルム
を調製してもよい。クロロホルム中で溶解されたポリL(乳酸)またはポリD,
L(コグリコール乳酸)の鋳造被覆カバー40は、溶液をモールドに流し込ん
で溶媒(クロロホルム)を蒸発除去することにより形成することもできる。
【0034】
多孔質材料10および被覆カバー40を形成するための更なる方法は、熱イ
ンクジェット印刷技術を使用することである。コラーゲン,エラスチン,ヒア
ルロン酸,アルギン酸塩及びポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体の如き生体
組込可能材料を印刷しもよい。一例として、0.05%酢酸中に溶解された後
に水中で1mg/mlまで希釈されるタイプIコラーゲン(Elastin
Products Co.,Owensville,ミズーリ州)を印刷するこ
とができ、また、アルギン酸ナトリウム(Dharma Trading C
o.,San Raphael,カリフォルニア州)の1mg/ml水溶液を印
刷することもできる。タイプIコラーゲン(0.05%の酢酸中の2.86m
g/ml)とポリ乳酸/ポリグリコール酸(PURAC America,B
lair,ネブラスカ州)(テトラグリコール中の14.29mg/ml(Si
gma Aldrich,St. Louis,ミズーリ州))との混合物を印
刷することもできる。Hewlett Packard 660cプリンタか
らのハードウェアを、層状に印刷するために高さを調整することのできるプラ
ットフォームに取り付けることができる。ハードウェアに対する変更を最小限
に抑えれば、ソフトウェアを変更する必要はない。
【0035】
図5を参照すると、多孔質材料10が複数の層を含んでいる。この場合、層
112は、損傷した心臓組織に最も近くに位置し、その内部での組織の成長を
防止するために多孔質材料110と損傷した心臓組織7との間の界面に十分に
小さい孔を含んでおり、その孔寸法は、例えば、線維芽細胞および心臓細胞の
サイズよりも小さい。さもなければ、多孔質材料10は、損傷した心臓組織7
に固着してしまい、多孔質材料10を除去する際に出血または外傷を引き起こ
す場合があり、場合によっては、心室壁の断裂を引き起こすことさえある。ま
た、多孔質材料110内で組織が成長すると、多孔質材料110が患者内に残
される場合には、これらの組織に対する多孔質材料110の絶え間ない移動お
よび摩擦で、心室壁または胸膜組織を最終的に侵食してしまう結果となる場合
がある。また、多孔質材料110内で組織が成長すると、多孔質材料110が
患者内に残される場合には、多孔質材料110内での非収縮性瘢痕形成または
多孔質材料110内の組織の想定し得る石灰化が齎される可能性がある。更に、
多孔質材料10,110と損傷した心臓組織7との間の界面の孔径は、心臓の
生理学的機能を妨げる場合がある肉芽または瘢痕組織の過剰な生成が損傷した
心臓組織7でなされることを回避するために十分小さなものであってもよい。
同時に、多孔質材料10,110の孔径は、メディエータ,分解生成物及び毒
素等の望ましくない化合物を除去できるようにするために孔を通じたアルブミ
ンのサイズのタンパク質移動を可能にするべく十分に大きいものであってもよ
い。
【0036】
しかしながら、多孔質材料10,110は、多孔質材料10,110の内部
または心臓組織7と接触しない多孔質材料10の何らかの他の位置に大きな孔
径(例えば、線維芽細胞および心臓細胞のサイズよりも大きい孔径)を有して
もよい。例えば、多孔質材料110は、内部での組織の成長を防止するのに十
分小さい孔径を有する、心臓組織7に配置するための非内方成長層112を伴
った多層構造を備えていてもよく、また、非内方成長層112と接触する比較
的大きい孔径を有する異なる材料の付加的な層114を有してもよい。
【0037】
あるいは、
図6に図示されているように、多孔質材料210は、組成および
/または形態において均一であってもよい。損傷した心臓組織との界面から離
れた位置で、多孔質材料210は、心臓の分裂が生じている領域での肉芽組織
の促進など、損傷した心臓組織を取り囲む空間内の他の組織での肉芽組織の形
成を促すのに十分大きい孔径を有していてもよい。また、多孔質材料210は、
多孔質材料210の1つ以上の側または面212がシールされ、それにより、
そのようなシールされた面212を通じた大気圧未満の圧力の伝達を防止する
と同時に、大気圧未満の圧力を伝えることができる少なくとも1つの面214
を備えたような構造を有してもよい。多孔質材料210のそのような構造は、
多孔質材料210の一方側の組織の処置を優先的に行なうことができる一方で、
他方側の組織を処置しない。例えば、多孔質材料210の一方側214のシー
ルされていない界面により損傷した心臓組織を処置することができる。
【0038】
また、多孔質材料10は、多孔質材料10がインサイチュにある間にMRI
を行なうことができるように非金属材料を含んでいてもよい。多孔質材料10
は、それが心臓機能を妨げないような十分に柔軟な材料を含んでいてもよい。
同時に、多孔質材料10は、多孔質材料10が潰れて心臓機能を妨げる場合が
ある心臓組織6,7の引張または歪みを引き起こさないように十分に堅い材料
を含んでいてもよい。
【0039】
図7を参照すると、大気圧未満の圧力を多孔質材料10に供給して損傷した
心臓組織7へ分配するために、チューブ20は、このチューブ20の先端22
が多孔質材料10とガス連通状態で直接的に或いは間接的に接続されていても
よい。例えば、チューブ20の先端22は、多孔質材料10中に埋め込んでも
よく、または、多孔質材料10上に配置してもよい。また、チューブ20の先
端22は、大気圧未満の圧力を多孔質材料10および損傷した心臓組織7へ供
給するのに役立つように1つ以上の穿孔23を含んでいてもよい。チューブ2
0は、皮膚1および皮下組織2の開口を貫通して伸びていてもよく、それら皮
膚1および皮下組織2は、チューブ20の周囲にシールを形成するのに役立つ
ように縫合糸8を用いてチューブ20の周囲に固定してもよい。チューブ20
の基端24は、チューブ20を介して多孔質材料10および損傷した心臓組織
7へ提供される大気圧未満の圧力を供給するために真空源30(例えば、V.
A.C.,Model 30015B,Kinetic Concepts,I
nc.,San Antonio.,テキサス州)に作動的に接続させてもよい。
【0040】
真空源30は、大気圧未満の圧力の生成を調整するためにコントローラ32
を含んでいてもよい。例えば、真空源30は、大気圧未満の圧力を連続的に或
いは断続的に生成するように構成してもよく、例えば、真空源30は、大気圧
未満の圧力の生成周期と非生成周期とが交互に到来するように周期的にON/
OFFしてもよい。生成と非生成との間のデューティサイクルは、1〜10(O
N/OFF)および10〜1(ON/OFF)であってもよい。また、断続的
な大気圧未満の圧力を、正弦波などの周期的な或いは循環的な波形によって付
加してもよく、または、心拍等のより生理学的な状態を模倣するように、初期
治療後に循環させてもよい。また、大気圧未満の圧力は、損傷した心臓組織7
内の圧力をモニターすることによって決定されるように、必要に応じてON−
OFF循環させてもよい。一般に、真空源30は、毛細血管および小さい血管
の狭窄に起因する或いは損傷した心臓組織7中のうっ血(充血)に起因する或
いはさもなければ損傷した心臓組織7に有害となる局所的な血流の減少を大気
圧未満の圧力がもたらし得る機会を最小限に抑えるために、大気圧と大気圧を
下回る200mmHgとの間の大気圧未満の圧力を供給するように構成しても
よい。そのような大気圧未満の圧力の付加は、損傷した心臓組織7から浮腫を
除去する働きをすることができ、それにより、心臓機能が保たれ、より生理学
的に保護された状態で回復および生存する可能性を高められる。
【0041】
図10を参照すると、大気圧未満の圧力を、カバー50とチューブ20との
間の協働によってカバー50の下側に供給してもよい。具体的には、柔軟な被
覆カバー40(または、自己粘着性の柔軟な被覆カバー50)は、損傷した心
臓組織を覆う柔軟な被覆カバー40下の空間とチューブ20との間でガス連通
をもたらすべくチューブ20の先端22が貫通する貫通口52を含んでいても
よい。
【0042】
本発明の別の態様によれば、一例として
図1〜4に示した装置によって大気
圧未満の圧力を用いて損傷した心臓組織を治療するための方法が提供される。
特に、この方法は、損傷した心臓組織7に隣接させて多孔質材料10を位置決
めして、多孔質材料10の1つ以上の孔と損傷した心臓組織7との間にガス連
通を確実にさせるための工程を含んでいてもよい。多孔質材料10は、損傷し
た心臓組織7で大気圧未満の圧力を維持するための領域を損傷した心臓組織7
の周囲に設けるために、損傷した心臓組織7に隣接したインサイチュでシール
してもよい。これに関連して、チューブ20が皮膚1および皮下組織2から出
て且つ皮膚1および皮下組織2を縫合して閉じた状態で、筋肉3および骨4を
多孔質材料10の上側に再び軽く接近させもよい。場合により、気密シールを
促進するために、更なる気密包帯を縫合部位上にわたって配置してもよい。損
傷した心臓組織7で大気圧未満の圧力を生成するために多孔質材料10を真空
源30と作動的に接続させて、真空源30を損傷した心臓組織7で大気圧未満
の圧力を与えるべく作動させるようにしてもよい。例えば、大気圧未満の圧力
は、大気圧を下回る約25〜125mmHgに維持させてもよい。大気圧未満
の圧力は、損傷した心臓組織7で浮腫を減少させるのに十分な時間にわたって
損傷した心臓組織7で維持させてもよい。また、大気圧未満の圧力は、心臓組
織7を整備して浮腫および炎症性メディエータまたは増殖子の治療および減少
の段階を達成するのに十分な時間にわたって損傷した心臓組織7で維持させて
もよい。本発明による方法は、少なくとも2時間にわたって実施してもよく、
あるいは、数日間にわたって実施してもよい。真空治療の最後に、縫合糸8が
除去されて、皮膚1,皮下組織2,筋肉3及び骨4を再び開放してもよい。そ
の後、多孔質材料10を除去して、皮膚1,皮下組織2および/または筋肉3
を再び縫合して閉じてもよい。
【0043】
また、本発明による方法は、生体組込可能なカバーの如き被覆カバー40,
50を損傷した心臓組織7上にわたって位置決めするとともに、損傷した心臓
組織7で大気圧未満の圧力を維持させるために、損傷した心臓組織7に隣接す
る組織に対して被覆カバー40,50をシールする工程を含んでいてもよい。
損傷した心臓組織を取り囲む組織に対して被覆カバー40,50をシールする
ステップは、損傷した心臓組織7を取り囲む組織に対して被覆カバー40,5
0を接着シールして付着することを含んでいてもよい。被覆カバー50は自己
粘着性シートの形態で設けられていてもよく、その粘着性シートは損傷した心
臓組織7上にわたって位置させてもよい。そのような場合には、被覆カバー5
0をシールするステップは、損傷した心臓組織7を取り囲む損傷していない心
臓組織6に対して粘着性被覆カバー50を接着シールして付着させて、損傷し
た心臓組織7を取り囲む損傷していない心臓組織6と被覆カバー50との間に
シールを形成することを含んでもよい。また、真空源30を多孔質材料10と
ガス連通した状態に作動的に接続するステップは、カバー140の真空ポート
42に取り付けられるチューブ20に対して真空源30を接続することを含ん
でいてもよい(
図11)。
【0044】
本発明の更なる別の態様では、負傷した組織および臓器に加えて、病変した
或いは損傷した臓器の機能およびサイズを増大させるために、上記装置および
方法が使用される。例えば、機能する腎臓301を1つしか持っていない患者
において観察されるような残りの腎臓301のサイズの増大など、部分的に機
能する腎臓のサイズが、全体の濾過能力を通常のレベルまで戻すのに十分なサ
イズまで増大させてもよい(
図12〜14)。そのような状況では、血管茎のた
めの、開口305を有する硬質または半硬質の二枚貝状の囲い体304を腎臓
301の周囲に配置してもよい。その二枚貝状の囲い体304を閉じると、2
つの半体が合わさる領域が気密シールを形成する。血管茎は、開口305を通
じて、動脈302に入って静脈303から出る。気密シールを形成するために、
開口305の部位の動脈302および静脈303の周囲にフィブリン接着剤3
06またはその他の生体適合性封止剤を施してもよい。囲い体304は第2の
開口またはニップル308を含んでいてもよい。チューブ309を第2の開口
に挿通し或いはニップル308に取り付けてもよい。チューブ309は、皮膚
を通して抜け出て、収集容器に接続させた後に、真空源に接続してもよい。1
25mmHgまでの大気圧未満圧力に制御された真空は、最大5分の「O
N」タイムと最大10分の「OFF」タイムとなるように断続的にしてもよい。
あるいは、真空を正弦波などの周期的な或いは循環的な態様で付加してもよく、
この場合には、付加される真空の低い(大気圧に最も近い)値の絶対値は、血
液が治療される臓器から流出できるように拡張期血圧よりも小さい。付加され
る真空が拡張期血圧よりも(絶対値で)大きくなっている時間は最大で5分で
あってもよく、この場合には、付加される真空が拡張期血圧よりも(絶対値で)
小さくなっている時間は最大で10分である。この技術は、治療される臓器が
所望の機能レベルに達するまで或いは容器を満たすまで続けられる。更なる実
施例として、この装置および方法は、肝臓の肝葉に関して或いは膵臓のサイズ
を増大させるために使用してもよい。
【実施例1】
【0046】
豚の心臓は、左右の冠状動脈から成る主要な脈管構造を有する、ヒトの心臓
に類似する生体構造を有している。左主冠状動脈は、冠動脈回旋枝と左前下行
枝(LAD)冠動脈とに分かれている。LADは、前中隔に沿って下方へ延び、
対角枝を有する左心室の前部をかん流する。これらの研究においては、心臓の
前部に虚血領域を形成するためにLADの2−3本の対角枝の仮結紮を含んだ
虚血再かん流の豚モデルを使用した。虚血/再かん流傷害が発現し得るように、
これらの冠状動脈を、75分間にわたって閉塞した後、3時間にわたって再か
ん流させた。臨床的に関連する治療窓をシミュレートさせるため、実験の再か
ん流段階中にのみ負圧治療を適用した。
【0047】
研究を始めるため、そのアニマルに鎮静剤を与えて、手術室へ運んだ。最初
の13匹のアニマルについては、開胸術によって心臓を露出させ、それ以降の
全てのアニマルについては、胸骨切開によって心臓を露出させた。心臓の前部
に虚血領域を形成するために、LADの2−3本の対角枝を結紮させた(縫合
糸を用いて閉塞させた)。これらの冠状動脈は、再かん流傷害が発現し得るよう
に、75分間にわたって閉塞した後、3時間にわたって再かん流させた。臨床
的に関連する治療窓をシミュレートさせるため、実験の再かん流段階中にのみ
負圧治療を適用した。研究の最初の13匹のアニマルから5匹の対照アニマル
を形成した。
【0048】
研究デザインの正当性を立証するための対照アニマルがうまく完成した後、
それ以降の5匹の成功(胸骨切開)アニマルを、再かん流時間中に3時間にわ
たって心臓の虚血領域に対して負圧治療処置を施した。最初の5匹のうまく治
療されたアニマルに関しては、真空包帯は、約1mm厚にカットされて虚血領
域に適合するようにトリミングされたポリビニルアルコール多孔質材料(Ve
rsafoam,KCI,San Antonio,テキサス州)を含んでい
た。真空引きチューブを、多孔質材料にカットされたスリット内に埋め込み(2
匹のアニマル)、あるいは、多孔質材料の外面に縫合した(3匹のアニマル)。
その後、この真空包帯を、生物学的に得られた被覆カバーで覆った。これらの
生物学的な被覆による治療として、E・Z DERM(登録商標)(穿孔されて
いない豚の生合成創傷包帯、Brennen Medical,St.Pau
l,ミネソタ州)を用いて1匹のアニマルを治療し、ウシ心膜を用いて1匹の
アニマルを治療し及びAlloDerm(登録商標)(ヒトの真皮)(Life
Cell)を用いて3匹のアニマルを治療した。被覆カバーは、真空包帯の外
周のカバー材料の比較的大きい「エプロン」に起因して、3つの手段、すなわ
ち、縫合、フィブリン接着剤、および、粘着シールによって心臓に取り付けた。
真空引きチューブは、被覆カバーの「エプロン」の縁の下側から退出させた。
フィブリン接着剤は、縫合およびセルフシーリング適用のためのスポットシー
ルと併せて使用された(例えば、真空引きチューブが抜け出る皺部において)。
その後、再かん流期間中に、テキサス州,San AntonioのKine
tic Concepts,Inc.,のV.A.C.,Model 3001
5Bを使用して、125mmHgの負圧(すなわち、大気圧を下回る125m
mHg)を3時間にわたって付加した。
【0049】
虚血/再かん流の効果を決定するために、3時間の再かん流期間の終わりに
縫合糸を再び結合した。青色色素(パテントブルー、Sigma−Aldri
ch Inc,St.Louis,ミズーリ州)を右心房内に注入した。これ
は、正常にかん流された心臓の領域を着色した。左心室を心臓の残りの部分か
ら切り取って重さを量った(表中のLV)。更に、虚血領域(非青色領域)を左
心室から切り取った。その後、左心室の青色領域の重さを量った(表中のBl
ue)。その後、虚血領域(非青色組織)を、生細胞を赤に着色する色素(2,
3,5−塩化トリフェニルテトラゾリウム、Sigma−Aldrich I
nc,St.Louis,ミズーリ州)で着色した。赤色領域を、虚血領域か
ら切り取って重さを量り(表中のRed)、血の気のない死細胞(壊死領域−表
中のAN)を残し、これらの血の気のない組織サンプルの重さを量った(表中
のPale)。Red領域とPale領域との組合せ領域は危険に瀕している領
域を構成する(表中のAAR)。AN/AARは梗塞のサイズ(虚血/再かん流
期間中に死んだ組織の割合)である。
【0050】
5匹の対照アニマルに関する結果は以下の通りであった。
[表1]対照アニマル
【0051】
5匹の治療アニマルに関する結果は以下の通りであった。
[表2]125mmHg治療アニマル
【0052】
したがって、対照アニマルおよび治療アニマルにおける梗塞の平均サイズ(A
N/AAR;虚血/再かん流期間中に死んだ組織の割合)は以下の通りであっ
た。
対照 26.43±2.12%(平均±SEM)(n=5)
治療 11.87±1.24%(平均±SEM)(n=5)
T検定は、梗塞サイズに関してP<0.001、危険に晒された領域に関して
P<0.625という結果を示した。
【実施例2】
【0053】
前記実施例1からの当初の対照アニマルとの比較のために、治療用の50m
mHg真空を使用して別の実験を行なった。この実験における外科技術は、実
施例1の実験で使用した外科技術に類似している。アニマルに鎮静剤を投与し
て手術に備えた。心臓を正中線胸骨切開によって露出させた。左前下行枝の枝
を75分間にわたって結紮した。ポリビニルアルコール真空包帯を虚血領域上
にわたって配置し、AlloDerm(登録商標)カバーを、真空包帯上にわ
たって配置して、縫合とフィブリン接着剤との組み合わせによって所定位置に
シールした。50mmHgの負圧を3時間にわたって付加した。この時間の最
後に、心臓について、危険に晒された領域を着色して除去した後、壊死領域が
対比着色した。これらの5匹の50mmHg負圧治療アニマルの梗塞サイズ結
果は、対照アニマルにおけるよりもかなり小さかった(P<0.001)。50
mmHg治療されたアニマルにおける梗塞サイズは、125mmHg治療され
たアニマルにおける梗塞サイズよりも小さかったが、著しく小さくはなかった。
**対照アニマルと比較してp<0.001
【0054】
3つの全てのグループ(対照、−125mmHg、−50mmHg)におけ
るアニマルの平均動脈圧および心拍は、これらの実験の経過中に比較すること
ができた。
【0055】
15ミクロン中性子放射化ミクロスフェア(BioPAL,Inc,Wor
cester,マサチューセッツ州)を、ベースラインで、虚血端部で、再か
ん流への30分で、および、再かん流の180分(実験の最後)で左心房に注
入した。動脈血の基準サンブルを同時に7mL/分の割合で90秒間にわたっ
て大腿動脈から引き出した。梗塞サイジング処理後に、非虚血領域(Blue
組織)、虚血非壊死領域(Red組織)および、虚血壊死領域(Pale組織)
からの組織サンプルを収集して、血流解析のために製造メーカ(BioPAL,
Inc,Worcester,マサチューセッツ州)へ送った。血流は、[(F
R×CPMT)/CPMR]/組織重量(グラム)として計算した。ここで、F
R=基準サンプル流量(7mL/分)、CPMT=組織サンプル中の1分当たり
のカウント、CPMR=基準血液サンプル中の1分当たりのカウントである。
血流は、mL/分/グラム組織として報告されている。
【0056】
血流の解析は、両方の治療グループが3つの全ての領域で同様のベースライ
ン血流を有することを明らかにした。正常にかん流された非虚血域において、
血流は、実験の全体にわたって比較的一定のままであり、著しいグループ差ま
たは時間関連の差は伴わなかった(表3)。虚血域、非虚血域(Red)、およ
び、虚血壊死域(Pale)において、虚血は、3つの全てのグループ間での
血流の同等のほぼ完全な損失によって特徴付けられた。また、これらの域は、
通常の反応性充血(再かん流後30分)を呈するとともに、3時間の再かん流
時間の最後までにほぼベースライン流レベルに戻る血流を示した(表4)。
[表3]ミクロスフェア解析からの血流(ml/分/グラム組織)
[ベースライン]
[閉塞中]
[再かん流30分]
[再かん流180分]
[表4]局所心筋血流(mL/分/100g組織)
*p<0.05対、期間中での組織領域内での対照、†p<0.05対、グルー
プおよび組織領域内でのベースライン
【実施例3】
【0057】
吸収性真空包帯および被覆カバーを検査するための研究をその後実施した。
1匹のアニマルに鎮静剤を投与して、上述したような手術に備え、心臓を正中
線胸骨切開によって露出させた。LADの枝を90分間にわたって結紮した。
包帯を凍結乾燥によって調製した。キトサンの溶液(2%酢酸中の1.33%
重量/容積、20ml総量)を適切に寸法付けられたモールドに流し込んだ。
その溶液を、2時間にわたって−70℃の温度で凍結し、その後、24時間に
わたって凍結乾燥機へ移送した。多孔質材料を提供するために、その包帯を2.
5%グルタルアルデヒド蒸気によって12時間にわたって架橋させた。被覆カ
バーは、タイプIコラーゲンとポリ1,8−オクタンジオールクエン酸塩(P
OC)(80%:20%重量/重量)とのエレクトロスピニングされた混合物で
あった。溶液濃度は、9.5mlの総量でヘキサフルオロ−20プロパノール
(HFIP)中に溶解される15%であった。溶液を、18ゲージニードルを
介してシリンジから3ml/時の流量で排出した。電圧は、25cmの作動距
離をもって25kVであった。その後、フィルムを、80℃で48時間にわた
って熱重合させ、24時間にわたって2.5%グルタルアルデヒド蒸気中で架
橋させた。被覆カバーは、実験の継続期間中にわたって真空を維持させること
ができた。しかしながら、真空包帯は、真空下での材料の潰れ及び流れに起因
して真空を包帯全体にわたって等しく分配しなかった。
【実施例4】
【0058】
被覆カバーの変形例をテストするために更なる研究を実施した。3匹のアニ
マルに鎮静剤を投与して、それらの心臓を正中線胸骨切開によって露出させた。
梗塞を形成しなかった。被覆カバーは、実施例3と同様に形成したが、電圧,
流量、および、架橋のためのグルタルアルデヒド蒸気の濃度を変化させた。こ
れらのアニマルに関しては、多孔質材料の真空包帯は、8.5mlHFIP中
の12%全濃度における80%タイプIコラーゲン/20%POCの溶液から
形成した。流量は2ml/時であり、この場合、流体は、25cmの作動距離
をもって35kVで18ゲージニードルを介して排出させた。フィルムを、8
0℃の温度で48時間にわたって熱重合させ、その後、24時間にわたって5%
グルタルアルデヒド蒸気に晒された状態で架橋させた。真空引きチューブを薄
いポリビニルアルコール包帯に対して縫合させた。包帯を、左心室の一部上に
わたって配置して、2−4本の縫合糸を用いて所定位置に仮縫いした。被覆カ
バーを包帯上にわたって配置し、フィブリン接着剤を被覆カバーの縁の周囲に
施して真空シールを確保した。50mmHgの真空を包帯に対して連続的に付
加した。2匹のアニマルに関しては、約2時間後に僅かな空気漏れが生じ、そ
の漏れの原因は、原因の入念な調査にもかかわらず特定されなかった。例えば、
漏れの原因は、被覆カバーの皴の部位にあった可能性があり、縫合材料の末端
が被覆カバーに穴を開けた可能性があり、心膜嚢に集まる流体がカバーの小さ
な部分を心臓組織から「浮かせた」可能性がある。3匹のアニマルに関しては、
研究の継続期間中(負圧を4時間付加)にわたって負圧が維持された。
【実施例5】
【0059】
包帯を検査するために2匹のアニマルを用いた。外科技術は先に使用したも
のと同様のものとした。これらのアニマルに鎮静剤を投与して手術に備え、そ
れらの心臓を正中線胸骨切開によって露出させた。左冠動脈前下行枝の枝を7
5分間にわたって結紮させた。ポリカプロラクトン(PCL)を鋳造すること
により包帯を作成した。ポリカプロラクトンを、塩化ナトリウムと混合させ(割
合10の塩化ナトリウムに対して割合1のカプロラクトン)、成分を溶解させる
のに十分な量のクロロホルム内に入れた。8mlの溶液を、適切に寸法付けら
れて形成された容器内に流し込んで、12時間にわたって乾燥させた。その後、
塩化ナトリウムを24時間にわたって水中に浸出させた。包帯を虚血領域のサ
イズにカットした。真空引きチューブを包帯に縫合し、包帯を虚血領域上にわ
たって配置して所定位置に仮縫いした。虚血の75分の最後に、組織が再かん
流された。包帯をAlloDerm(登録商標)で覆い、AlloDerm(登
録商標)の縁の周囲にフィブリン接着剤を施した。50mmHgの真空を3時
間にわたって付加した。この時間の最後に、心臓は、危険に晒された領域につ
いて着色し除去した後、実施例1,2において前述したように壊死領域を対比
着色した。最初のアニマルについては、危険に晒された領域(虚血領域、AA
R)は、左心室(LV)の7.9%でかなり小さかった。梗塞サイズ(壊死領
域を危険に晒された領域で割る(AN/AAR×100%))は危険に晒された
領域の2.6%で非常に小さかった。2番目のアニマルに関しては、危険に晒
された領域は、14.3%(AAR/LV)で大きく、梗塞サイズは11.5
2%(AN/AAR)であった。
【0060】
本発明のこれらの利点およびその他の利点は、前述した明細書を参照するこ
とにより当業者にとって明らかになるであろう。従って、当業者であれば分か
るように、本発明の広範な発明概念から逸脱することなく前述した実施形態に
対して変更又は改良を加えることができる。そのため、本発明は、前述した特
定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明
の要旨および思想の範囲内にある全ての変更および改良を含むものであること
は言うまでもない。