(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定のアクセスポイントの通信可能エリアにおいて、携帯端末が測定した、前記所定のアクセスポイントとは異なる他のアクセスポイントの電波強度と、前記他のアクセスポイントが使用するチャネルと、前記携帯端末が取得した前記他のアクセスポイントの識別情報とを含む電波強度情報を前記携帯端末から受信するステップと、
受信した前記電波強度情報を記憶部に記憶させるステップと、
前記電波強度情報に含まれる前記識別情報の変化に基づいて、前記他のアクセスポイントが前記所定のアクセスポイントに及ぼす影響の変化を検出するステップと、
前記変化を検出したことに応じて、当該変化の検出前に比べて前記携帯端末における電波強度の測定頻度を上げて、電波強度を測定することを指示する指示情報を生成するステップと、
生成された前記指示情報を前記携帯端末に送信するステップと、
を備える測定制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
[電波情報収集システムSの構成]
図1は、第1の実施形態に係る電波情報収集システムS及び当該電波情報収集システムSの外部環境を示す図である。電波情報収集システムSは、インターネット等のネットワークNを介して複数の外部サーバ3に接続されている。電波情報収集システムSは、端末1と、電波情報収集装置として機能する所定のアクセスポイント2とを備える。
【0021】
端末1は、所定の住宅の住人等が使用するスマートフォン等の携帯電話機、タブレット、及びゲーム機等の携帯端末である。なお、端末1は、デスクトップ型のパーソナルコンピュータのように固定端末であってもよい。
【0022】
所定のアクセスポイント2は、所定の住宅に設置されており、端末1と無線により通信を行う。所定のアクセスポイント2は、例えば、ケーブルテレビ放送等の放送信号を受信し、映像及び音声等の信号に変換して出力したり、インターネット上の外部サーバ3が提供するコンテンツを取得して端末1に無線送信したりすることができるセットトップボックスである。なお、所定のアクセスポイント2は、上述した機能を有していない無線LANのアクセスポイントであってもよい。以下、所定のアクセスポイント2を単にアクセスポイント2という。
【0023】
複数の他のアクセスポイント5は、アクセスポイント2が設置されている所定の住宅の近隣の住宅等に設置されており、当該近隣の住宅等のユーザの端末(不図示)と無線により通信を行う。以下、図においてアクセスポイントをAPとも表現する。
【0024】
図2は、第1の実施形態に係るアクセスポイント2が無線により通信可能なエリアを示す通信可能エリアと、複数の他のアクセスポイント5の通信可能エリアとの関係例を示す図である。
【0025】
図2に示すように、ユーザ宅100では、リビングにアクセスポイント2が設置され、無線LAN環境が整備されている。一方、ユーザ宅100の近隣の近隣宅101−1、101−2及び101−3には、それぞれ他のアクセスポイント5−1、5−2及び5−3が設置される。
【0026】
図2において破線で示される複数の楕円は、各アクセスポイントのそれぞれが発した電波の電波強度が等しい地点を示しており、当該楕円の内側のエリアは、当該アクセスポイントを介して通信可能なエリアであることを示している。ここで、電波強度とは、各アクセスポイントが発信する電波の受信信号強度(RSSI)をいう。
【0027】
例えば、
図2では、アクセスポイント2を中心として3つの楕円が表示されている。この3つの楕円のうち、最も内側の楕円は、第1の電波強度の地点を示しており、次に内側の楕円は、第1の電波強度よりも弱い第2の電波強度の地点を示しており、最も外側の楕円は、第2の電波強度よりも弱い第3の電波強度の地点を示している。ここで、端末1は、最も外側の楕円よりも内側のエリアでアクセスポイント2と無線通信が可能であるものとする。
【0028】
また、ユーザ宅100には、他のアクセスポイント5−1、5−2及び5−3から発信した電波が到達し、ユーザ宅100の無線LAN環境に干渉する。このとき、ユーザ宅100のリビング、寝室、子供部屋では、干渉の度合いがそれぞれ異なる。すなわち、リビングでは近隣宅101−1の他のアクセスポイント5−1が強く干渉し、寝室では近隣宅101−2の他のアクセスポイント5−2が強く干渉し、子供部屋では近隣宅101−3の他のアクセスポイント5−3が強く干渉する。
【0029】
この点、電波情報収集システムSでは、他のアクセスポイント5の電波強度に基づいて、アクセスポイント2のチャネルを、ユーザ宅100のどこにいても無線LAN環境を安定して使用可能なチャネルに設定する。しかしながら、他のアクセスポイント5との干渉状況は、時間の経過にしたがって変化しうる。例えば、近隣の住宅において宅内のレイアウトが変更されたり、住人が引っ越し等により入れ替わったりして、近隣の住宅内に設置されている他のアクセスポイント5の設置位置が変化したり、チャネルが変化したりする。
【0030】
これに対し、電波情報収集システムSでは、他のアクセスポイント5の電波強度の変化を検出したことに応じて、端末1における電波強度の測定頻度を増加させることにより、端末1における電力消費量の増加を抑制しつつ、他のアクセスポイント5の電波強度の状態を精度良く把握する。以下、電波情報収集システムSを構成する端末1及びアクセスポイント2の機能構成について説明する。
【0031】
[端末1の構成例]
図3は、第1の実施形態に係る端末1の機能構成図である。
端末1は、入力部11と、表示部12と、無線部13と、記憶部14と、制御部15とを備える。
【0032】
入力部11は、例えば、ボタンや、表示部12に重畳して配置される接触センサ等により構成されており、端末1のユーザから操作入力を受け付ける。なお、端末1がデスクトップ型又はノート型のパーソナルコンピュータ等である場合には、入力部11は、マウスやキーボードより構成されていてもよい。
【0033】
表示部12は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等により構成される。表示部12は、制御部15の制御に応じて文字や図形等を表示する。
【0034】
無線部13は、制御部15から出力された信号を変調してRF(Radio Frequency)信号を生成し、アンテナ(不図示)を介して当該RF信号をアクセスポイント2に無線送信する。無線部13は、アンテナを介してアクセスポイント2から受信したRF信号を復調し、復調により得られた信号を制御部15に出力する。ここで、無線部13は、例えば、IEEE 802.11b、IEEE 802.11g及びIEEE 802.11nで使用する2.4GHz帯において規定されている13チャネルのうちのいずれかのチャネルによりアクセスポイント2と通信を行うものとする。なお、無線部13は、IEEE 802.11a及びIEEE 802.11nで使用する5GHz帯の周波数で通信を行ってもよい。
【0035】
記憶部14は、例えば、ROM及びRAM等により構成される。記憶部14は、端末1を機能させるための各種プログラムを記憶する。例えば、記憶部14は、端末1の制御部15を、後述する測定部151、端末送信部152、コンテンツ取得部153として機能させるためのコンテンツ取得用プログラムを記憶する。記憶部14は、外部メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムを読み取って記憶してもよく、ネットワークNを介して外部機器からダウンロードされたプログラムを記憶してもよい。
【0036】
制御部15は、例えば、CPUにより構成される。制御部15は、記憶部14に記憶されている各種プログラムを実行することにより、端末1に係る機能を統括的に制御する。制御部15は、測定部151と、端末送信部152と、コンテンツ取得部153とを備える。
【0037】
測定部151は、アクセスポイント2の通信可能エリアにおいて、アクセスポイント2の電波強度と、アクセスポイント2とは異なる他のアクセスポイント5の電波強度と、他のアクセスポイント5が使用するチャネルとを測定する。測定部151は、測定時に、他のアクセスポイント5の識別情報であるMACアドレス及びESSIDを取得する。
【0038】
測定部151は、例えば、コンテンツ取得用プログラムが実行されたことに応じて電波強度の測定を開始する。また、測定部151は、アクセスポイント2から、電波強度の測定を指示する指示情報を受信すると、当該指示情報に基づいて電波強度を測定する。ここで、指示情報は、端末1における電波強度の測定頻度を規定する規定情報を含んでおり、測定部151は、当該規定情報において規定されている測定頻度で電波強度を測定する。
【0039】
ここで、測定部151は、コンテンツ取得用プログラムが実行されている場合に、定期的(例えば、1週間に1回)に測定を行うものとする。また、測定部151は、コンテンツ取得部153が外部サーバ3からコンテンツを取得している場合、すなわち、端末1のユーザが当該コンテンツを閲覧している場合にバックグラウンドで測定を行うようにしてもよい。
【0040】
端末送信部152は、アクセスポイント2の電波強度と、他のアクセスポイント5の電波強度を示す情報と、他のアクセスポイント5が使用するチャネルを示す情報と、他のアクセスポイント5のMACアドレス及びESSIDと、測定した日付及び時刻とを含む電波強度情報をアクセスポイント2に送信する。
【0041】
コンテンツ取得部153は、入力部11によりコンテンツの取得操作が行われたことに応じて、アクセスポイント2を介して外部サーバ3からコンテンツを取得する。コンテンツ取得部153は、取得したコンテンツがテキスト情報、画像情報、又は映像情報である場合、表示部12に表示させる。コンテンツ取得部153は、取得したコンテンツに音声情報が含まれている場合、当該音声情報に基づいた音声を端末1が備えているスピーカー(不図示)から出力させてもよい。
【0042】
[アクセスポイント2の構成例]
続いて、アクセスポイント2の機能構成について説明する。
図4は、第1の実施形態に係るアクセスポイント2の機能構成図である。アクセスポイント2は、無線部21と、通信部22と、装置記憶部23と、制御部24とを備える。
【0043】
無線部21は、制御部24から出力された信号を変調してRF信号を生成し、アンテナ(不図示)を介して当該RF信号を端末1に無線送信する。無線部21は、アンテナを介して端末1から受信したRF信号を復調し、復調により得られた信号を制御部24に出力する。ここで、無線部21は、2.4GHz帯において規定されている13チャネルのうちのいずれかのチャネルにより端末1と無線通信を行うものとする。なお、無線部21は、5GHz帯の周波数で無線通信を行ってもよい。
通信部22は、有線により外部機器と通信を行う。具体的には、通信部22は、ネットワークNを介して外部サーバ3と通信を行う。
【0044】
装置記憶部23は、例えば、ROM及びRAM等により構成される。装置記憶部23は、アクセスポイント2を機能させるための各種プログラムを記憶する。装置記憶部23は、ネットワークNを介して外部機器からダウンロードされたプログラムを記憶してもよい。
【0045】
制御部24は、例えば、CPUにより構成される。制御部24は、装置記憶部23に記憶されている各種プログラムを実行することにより、アクセスポイント2に係る機能を統括的に制御する。制御部24は、装置受信部241と、記憶制御部242と、変化検出部243と、指示情報生成部244と、装置送信部245と、チャネル選択部246と、チャネル設定部247と、コンテンツ送信部248とを備える。
【0046】
装置受信部241は、アクセスポイント2の通信可能エリアにおいて端末1が測定した、アクセスポイント2の電波強度と、他のアクセスポイント5の電波強度と、他のアクセスポイント5が使用するチャネルと、他のアクセスポイント5のMACアドレス及びESSIDと、測定した日付及び時刻とを含む電波強度情報を端末1から受信する。
【0047】
記憶制御部242は、装置受信部241が端末1から電波強度情報を受信すると、電波強度情報に、取得した日時及び場所を識別するNo、及びアクセスポイント2の電波強度から他のアクセスポイント5の電波強度を減算したときの値を付加して装置記憶部23に記憶させる。
図5は、装置記憶部23に記憶される電波強度情報の一例を示す図である。
図5に示すように、電波強度情報には、No、日付、時刻、アクセスポイント2の電波強度(RSSI_0)、他のアクセスポイント5のMACアドレス、他のアクセスポイント5のESSID、他のアクセスポイント5が使用しているチャネル、他のアクセスポイント5の電波強度(他APのRSSI)、アクセスポイント2の電波強度から他のアクセスポイント5の電波強度を減算したときの値(RSSI_0−他APのRSSI)が含まれている。これにより、装置記憶部23は、装置受信部241が受信した電波強度情報を記憶する。
【0048】
変化検出部243は、装置記憶部23に電波強度情報が新たに記憶されると、当該電波強度情報に基づいて、他のアクセスポイント5がアクセスポイント2に及ぼす影響の変化を検出する。なお、変化検出部243は、定期的に装置記憶部23に記憶されている電波強度情報を参照し、影響の変化を検出してもよい。
【0049】
具体的には、変化検出部243は、電波強度情報に含まれる他のアクセスポイント5の識別情報であるESSID又はMACアドレスに対応する他のアクセスポイント5のチャネルの変化に基づいて、影響が変化したことを検出する。
【0050】
例えば、変化検出部243は、装置記憶部23に記憶されている電波強度情報から、同一のESSID毎に、所定期間以内の他のアクセスポイント5のチャネルを抽出する。そして、変化検出部243は、同一のESSIDに関連付けられている複数のチャネルが一致していない場合、当該ESSIDの他のアクセスポイント5のチャネルが変化し、当該他のアクセスポイント5がアクセスポイント2に及ぼす影響が変化したと判定する。
【0051】
他のアクセスポイント5のチャネルが変化すると、アクセスポイント2が現在使用しているチャネルに対して干渉するおそれが生じる。アクセスポイント2は、他のアクセスポイント5のチャネルの変化を検出することによって、他のアクセスポイント5がアクセスポイント2に及ぼす影響の変化を精度良く検出することができる。
【0052】
また、変化検出部243は、装置記憶部23に記憶されている電波強度情報から、同一のMACアドレス毎に、所定期間以内の他のアクセスポイント5のESSIDを抽出する。そして、変化検出部243は、同一のMACアドレスに関連付けられているESSIDが変化すると、当該他のアクセスポイント5がアクセスポイント2に及ぼす影響が変化したと判定する。例えば、他のアクセスポイント5のESSIDが変化した場合、当該他のアクセスポイント5のユーザが、アクセスポイントの設定変更を行ったことにより、アクセスポイント2に及ぼす影響が変化する可能性が高いと考えられる。よって、アクセスポイント2は、他のアクセスポイント5のESSIDの変化を検出することによって、他のアクセスポイント5がアクセスポイント2に及ぼす影響の変化を精度良く検出することができる。なお、変化検出部243は、他のアクセスポイント5のESSIDの変化を検出したことに応じて、さらに、当該他のアクセスポイント5のチャネルや電波強度が変化したか否かを判定してもよい。そして、変化検出部243は、チャネルや電波強度が変化したと判定したことに応じて、他のアクセスポイント5がアクセスポイント2に及ぼす影響が変化したものとしてもよい。
【0053】
また、変化検出部243は、電波強度情報に含まれるESSIDの変化に基づいて、影響の変化を検出する。具体的には、変化検出部243は、新たに装置記憶部23に記憶された電波強度情報に含まれるESSIDが、既に取得しているESSIDとは異なる場合、影響が変化したことを検出する。
【0054】
例えば、変化検出部243は、装置記憶部23に記憶されている、所定期間以内に測定された電波強度情報を参照し、所定期間以内に検出された他のアクセスポイント5のESSIDを特定し、装置記憶部23に予め記憶しておく。そして、変化検出部243は、新たに装置記憶部23に記憶された電波強度情報に含まれる他のアクセスポイント5のESSIDの中に、先に特定されたESSIDと一致しない新たなESSIDが存在するか否かを判定する。変化検出部243は、新たなESSIDが存在すると判定すると、新たに他のアクセスポイント5が設置され、アクセスポイント2に及ぼす影響が変化したと判定する。
【0055】
ESSIDの変化や、新たなESSIDの検出は、他のアクセスポイント5が変更されたり、新たに設置されたりしたことを意味する。このように他のアクセスポイント5の設置状況が変化すると、アクセスポイント2が現在使用しているチャネルに対して干渉するおそれが生じる。よって、アクセスポイント2は、ESSIDの変化を検出することによって、他のアクセスポイント5がアクセスポイント2に及ぼす影響の変化を精度良く検出することができる。
【0056】
指示情報生成部244は、変化検出部243が変化を検出したことに応じて、電波強度の測定を指示する指示情報を生成する。具体的には、指示情報生成部244は、端末1における電波強度の測定頻度を規定する規定情報を含む指示情報を生成する。ここで、規定情報が規定する電波強度の測定頻度は、コンテンツ取得用プログラムが実行されている場合に測定部151が測定を行う頻度(例えば、1週間に1回)に比べて大きい(例えば、6時間に1回)ものとする。
装置送信部245は、生成された指示情報を端末1に送信する。
【0057】
このようにすることで、端末1では、変化検出部243が影響の変化を検出すると、変化検出部243が影響の変化を検出しない場合に比べて、高頻度で電波強度を測定するので、他のアクセスポイント5の電波強度の状況について精度良く把握することができる。
【0058】
チャネル選択部246は、複数のチャネルそれぞれについて、他のアクセスポイント5の電波強度に基づいて、アクセスポイント2が発する電波に対する干渉度を算出し、当該複数のチャネルそれぞれの干渉度に基づいて、アクセスポイント2が使用するチャネルを選択する。
【0059】
具体的には、チャネル選択部246は、変化検出部243が影響の変化を検出した後に測定された電波強度情報を参照し、複数の他のアクセスポイント5のそれぞれの電波強度のうち、アクセスポイント2に対する影響が相対的に強い電波強度を選択する。ここで、チャネル選択部246は、他のアクセスポイント5のそれぞれについて、装置受信部241が取得した他のアクセスポイント5の電波強度のうち、最も高い電波強度を選択する。なお、チャネル選択部246は、他のアクセスポイント5のそれぞれについて、アクセスポイント2の電波強度から他のアクセスポイント5の電波強度を減算した値が最小となる電波強度を選択してもよい。
【0060】
続いて、チャネル選択部246は、装置記憶部23に予め記憶されている、チャネルの周波数間隔による電波干渉の影響度及び他のアクセスポイント5のそれぞれについて選択された電波強度に基づいて、複数のチャネルのそれぞれに対応する他のアクセスポイント5それぞれの電波強度を推定する。
図6は、チャネルの周波数間隔(Δchi)による電波干渉の影響度ω(Δchi)を示す図である。ここで、Δchiの「i」は、離れている間隔を示す値である。
【0061】
図6では、2.4GHz帯におけるチャネルの周波数間隔による電波干渉の影響度と、5GHz帯におけるチャネルの周波数間隔による電波干渉の影響度とを示している。
図6のように、電波干渉の影響度は、無線通信の周波数帯によって異なる。例えば、2.4GHz帯では、チャネルが1離れると、電波干渉の影響度ω(Δch1)は、−2dBmとなり、チャネルが2離れると、電波干渉の影響度ω(Δch2)は、−5dBmとなる。また、5GHz帯では、チャネルが1離れると、電波干渉の影響度ω(Δch1)は、−100dBmとなる。
【0062】
例えば、
図5に示す他のアクセスポイント5の電波強度のうち、「OtherAP1」について、最も高い電波強度は「−40」であり、「OtherAP1」に対応するチャネルは「6」であることから、チャネル選択部246は、チャネル「6」に対応する電波強度を「−40」とする。
【0063】
続いて、チャネル選択部246は、チャネル「6」から周波数間隔が1離れているチャネル「5」及び「7」の電波強度を、チャネル「6」に対応する電波強度「−40」に影響度「−2」を加算した「−42」と推定する。同様に、チャネル選択部246は、チャネル「4」及び「8」に対応する電波強度を、チャネル「6」に対応する電波強度「−40」に影響度「−5」を加算した「−45」と推定し、チャネル「3」及び「9」に対応する電波強度を「−50」と推定し、チャネル「2」及び「10」に対応する電波強度を「−68」と推定し、チャネル「1」、「11」、「12」及び「13」に対応する電波強度を「−140」と推定する。
【0064】
続いて、チャネル選択部246は、複数のチャネルのそれぞれについて、推定した他のアクセスポイント5それぞれの電波強度に基づいてアクセスポイント2が発する電波に対する干渉度を算出する。具体的には、チャネル選択部246は、キャリア対干渉波の電力比(CIR)からアクセスポイント2の電波強度(RSSI_0)を減算した値(CIR−RSSI_0)を干渉度として算出する。この干渉度は、以下の式で求められる。ここで、Nは、他のアクセスポイント5の台数である。
【数1】
【0065】
ここで、(1)式により算出された値(CIR−RSSI_0)が大きい場合、アクセスポイント2に対する他のアクセスポイント5の干渉度合いが小さく、(1)式により算出された値が小さい場合、アクセスポイント2に対する他のアクセスポイント5の干渉度合いが大きい。
【0066】
チャネル選択部246は、算出された複数のチャネルそれぞれの干渉度に基づいて、アクセスポイント2のチャネルを選択する。具体的には、チャネル選択部246は、アクセスポイント2に対する他のアクセスポイント5の干渉度合いが最も小さいチャネル、すなわち、複数のチャネルのうち干渉度を示す値(CIR−RSSI_0)が最も高いチャネルを選択する。
【0067】
図7は、複数のチャネルのそれぞれの他のアクセスポイントの電波強度、及び干渉度の一例を示す図である。
図7に示す例では、チャネル1に対応する干渉度を示す値が最も大きいことから、チャネル選択部246は、アクセスポイント2に対する他のアクセスポイント5の干渉度合いが最も小さいチャネルとしてチャネル1を選択する。
【0068】
チャネル設定部247は、チャネル選択部246がチャネルを選択したことに応じて、無線部21が使用するチャネルを、チャネル選択部246が選択したチャネルに設定する。チャネル設定部247は、コンテンツ送信部248がコンテンツを送信していない場合にチャネルを設定するようにしてもよい。
【0069】
コンテンツ送信部248は、端末1の入力部11によりコンテンツの取得操作が行われたことに応じて、通信部22を介して外部サーバ3からコンテンツを取得する。コンテンツ送信部248は、外部サーバ3から取得したコンテンツを、無線部21を介して端末1に送信する。
【0070】
[電波強度の測定に係るシーケンス]
続いて、端末1において電波強度を測定する処理に係るシーケンスについて説明する。
図8は、第1の実施形態に係る端末1において電波強度を測定する処理に係るシーケンス図である。ここで、装置記憶部23には、電波強度情報が記憶されているものとする。
【0071】
まず、端末1の測定部151は、例えば、コンテンツ取得用プログラムが実行されたことに応じて、電波強度を測定する(S10)。続いて、端末送信部152は、アクセスポイント2の電波強度と、他のアクセスポイント5の電波強度を示す情報と、他のアクセスポイント5が使用するチャネルを示す情報と、他のアクセスポイント5のMACアドレス及びESSIDと、測定した日付及び時刻とを含む電波強度情報をアクセスポイント2に送信する。
【0072】
続いて、記憶制御部242は、装置受信部241が電波強度情報を受信すると、電波強度情報に、取得した日時及び場所を識別するNo、及びアクセスポイント2の電波強度から他のアクセスポイント5の電波強度を減算したときの値を付加して装置記憶部23に記憶させる(S20)。
【0073】
続いて、変化検出部243は、装置記憶部23に電波強度情報が新たに記憶されると、当該電波強度情報に基づいて、他のアクセスポイント5がアクセスポイント2に及ぼす影響が変化したか否かを判定する(S30)。
変化検出部243が、当該影響が変化したと判定すると、指示情報生成部244は、電波強度の測定を指示する指示情報を生成する(S40)。その後、装置送信部245は、生成された指示情報を端末1に送信する。
【0074】
続いて、測定部151は、アクセスポイント2から、電波強度の測定を指示する指示情報を受信すると、当該指示情報に基づいて電波強度を測定する(S50)。続いて、端末送信部152は、測定された電波強度を示す情報等を含む電波強度情報をアクセスポイント2に送信する。
【0075】
[第1の実施形態における効果]
以上のとおり、第1の実施形態に係る電波情報収集システムSのアクセスポイント2は、電波強度情報に基づいて、他のアクセスポイント5がアクセスポイント2に及ぼす影響の変化を検出したことに応じて、電波強度の測定を指示する指示情報を生成し、生成された指示情報を端末1に送信する。端末1は、アクセスポイント2から指示情報を受信すると、当該指示情報に基づいて電波強度を測定する。
【0076】
このようにすることで、端末1では、アクセスポイント2が影響の変化を検出すると、影響の変化を検出しない場合に比べて、高頻度で電波強度を測定するので、他のアクセスポイント5の電波強度の状況について精度良く把握することができる。また、端末1は、アクセスポイント2が影響の変化を検出した場合に限定して高頻度で電波強度を測定するので、端末1における電力消費量の増加を抑制しつつ、最新の電波強度の状況を把握することができる。
【0077】
また、アクセスポイント2は、端末1における電波強度の測定頻度を規定する規定情報を含む指示情報を生成するので、他のアクセスポイント5がアクセスポイント2に及ぼす影響の変化を検出した後に測定する頻度を自由に規定することができる。
【0078】
<第2の実施形態>
[端末1の位置情報に基づいて影響の変化を検出する]
続いて、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、チャネルの変化及びESSIDの変化に基づいて、他のアクセスポイント5がアクセスポイント2に及ぼす影響の変化を検出した。これに対し、第2の実施形態では、端末1が自身の位置情報をアクセスポイント2に通知し、アクセスポイント2が、当該位置情報に基づいて同一位置における他のアクセスポイント5の電波強度の変化を監視することで、他のアクセスポイント5がアクセスポイント2に及ぼす影響の変化を検出するようにした点で第1の実施形態と異なる。また、第2の実施形態では、端末1が所定位置において所定時間以内に電波強度を測定している場合、当該位置において電波強度を新たに測定しない点で第1の実施形態と異なる。
【0079】
図9は、第2の実施形態に係る端末1の機能構成図である。
端末1の制御部15は、位置情報取得部154をさらに備える。この位置情報取得部154は、測定部151が電波強度を測定したことに応じて端末1の位置を示す位置情報を取得する。これにより、位置情報取得部154は、測定部151が電波強度を測定した際の端末1の位置を示す位置情報を取得する。
電波強度を測定した際の端末1の位置情報を位置情報取得部154が取得すると、端末送信部152は、当該位置情報をさらに含む電波強度情報をアクセスポイント2に送信する。
【0080】
変化検出部243は、装置受信部241が電波強度情報を受信すると、当該電波強度情報に含まれる位置情報が示す位置における、当該電波強度情報に含まれる他のアクセスポイント5の電波強度を特定する。続いて、変化検出部243は、装置記憶部23に記憶されている電波強度情報を参照し、当該位置に対応する他のアクセスポイント5の電波強度を特定する。続いて、変化検出部243は、受信した電波強度情報から特定した電波強度と、装置記憶部23に記憶されている電波強度情報から特定した電波強度との変化量に基づいて影響の変化を検出する。
【0081】
ここで、変化検出部243は、複数の他のアクセスポイント5の電波強度が測定されている場合、それぞれの電波強度の変化量を検出する。そして、変化検出部243は、複数の変化量の少なくともいずれかが所定量を超えている場合に、他のアクセスポイント5がアクセスポイント2に及ぼす影響が変化したことを検出する。
【0082】
その後、指示情報生成部244は、変化検出部243が変化を検出したことに応じて、電波強度の測定を指示する指示情報を生成し、装置送信部245は、生成された指示情報を端末1に送信する。
【0083】
測定部151は、アクセスポイント2から、電波強度の測定を指示する指示情報を受信すると、当該指示情報に基づいて電波強度を測定する。ここで、測定部151は、測定した時間と、測定した位置情報とを関連付けて測定履歴情報として記憶部14に記憶させておき、当該測定履歴情報に基づいて、電波強度を新たに測定するか否かを制御する。具体的には、測定部151は、測定を開始する際に位置情報取得部154が取得した位置情報が示す位置において、所定時間以内に電波強度を測定している場合、測定を中止する。これにより、測定部151は、当該位置において電波強度を新たに測定せず、電力消費量の増加を抑制することができる。
【0084】
[電波強度の測定に係るシーケンス]
続いて、端末1において電波強度を測定する処理に係るシーケンスについて説明する。
図10は、第2の実施形態に係る端末1において電波強度を測定する処理に係るシーケンス図である。ここで、装置記憶部23には、電波強度情報が記憶されているものとする。
【0085】
まず、端末1の測定部151は、例えば、コンテンツ取得用プログラムが実行されたことに応じて、電波強度を測定する(S10)。続いて、位置情報取得部154は、測定部151が電波強度を測定した際の端末1の位置を示す位置情報を取得する(S11)。
【0086】
続いて、端末送信部152は、アクセスポイント2の電波強度と、他のアクセスポイント5の電波強度を示す情報と、他のアクセスポイント5が使用するチャネルを示す情報と、他のアクセスポイント5のMACアドレス及びESSIDと、測定した日付及び時刻と、端末1の位置情報とを含む電波強度情報をアクセスポイント2に送信する。
【0087】
続いて、装置受信部241が電波強度情報を受信すると、電波強度情報に、取得した日時及び場所を識別するNo、及びアクセスポイント2の電波強度から他のアクセスポイント5の電波強度を減算したときの値を付加して装置記憶部23に記憶させる(S20)。
【0088】
続いて、変化検出部243は、受信した電波強度情報及び装置記憶部23に予め記憶されている電波強度情報を参照し、同一位置における他のアクセスポイント5の電波強度の変化量を検出し、当該変化量に基づいて他のアクセスポイント5がアクセスポイント2に及ぼす影響が変化したか否かを判定する(S30)。変化検出部243が、当該影響が変化したと判定すると、指示情報生成部244は、電波強度の測定を指示する指示情報を生成し(S40)、装置送信部245は、生成された指示情報を端末1に送信する。
【0089】
続いて、測定部151は、アクセスポイント2から、電波強度の測定を指示する指示情報を受信した後、指示情報に基づいて電波強度の測定を行う。ここで、測定部151は、位置情報取得部154が取得した位置情報が示す位置に基づいて、測定位置において所定時間以内に電波強度を測定したか否かを判定する(S51)。
【0090】
測定部151は、測定位置において所定時間以内に電波強度を測定していると判定した場合(判定がYesの場合)、当該指示情報に基づいて電波強度を測定しない。また、測定部151は、測定位置において所定時間以内に電波強度を測定していないと判定した場合(判定がNoの場合)、当該指示情報に基づいて電波強度を測定する(S50)。続いて、端末送信部152は、測定された電波強度を示す情報及び位置情報等を含む電波強度情報をアクセスポイント2に送信する。
【0091】
[第2の実施形態における効果]
以上のとおり、第2の実施形態に係る電波情報収集システムSのアクセスポイント2は、同一の位置において測定された電波強度の変化量に基づいて、他のアクセスポイント5がアクセスポイント2に及ぼす影響の変化を検出する。このようにすることで、アクセスポイント2は、他のアクセスポイント5のチャネル及びESSIDが変化せずに、他のアクセスポイント5の設置位置の移動等により電波強度が変化した場合であっても、他のアクセスポイント5がアクセスポイント2に及ぼす影響が変化したことを検出することができる。
【0092】
また、測定部151は、位置情報取得部154が取得した位置情報が示す位置において所定時間以内に電波強度を測定している場合、当該位置において電波強度を新たに測定しないので、電力の消費量の増加をさらに抑制することができる。
【0093】
<第3の実施形態>
[他の端末1にも電波情報を測定させる]
続いて、第3の実施形態について説明する。第1の実施形態では、他のアクセスポイント5がアクセスポイント2に及ぼす影響の変化を検出すると、1台の端末1に対して指示情報を送信した。これに対し、第3の実施形態では、アクセスポイント2が影響の変化を検出すると、指示情報生成部244が電波強度を送信した端末1とは異なる他の端末1に対する指示情報をさらに生成し、複数の端末1に対して指示情報を送信して複数の端末1に電波強度を測定させることにより、測定頻度を高める点で第1の実施形態と異なり、その他の点では同じである。
【0094】
以下に、端末1において電波強度を測定する処理に係るシーケンスについて説明しながら、第3の実施形態に係る電波情報収集システムSについて説明する。
図11は、第3の実施形態に係る複数の端末1(端末1A及び端末1B)において電波強度を測定する処理に係るシーケンス図である。ここで、装置記憶部23には、電波強度情報が記憶されているものとする。なお、
図8に示すシーケンスと同様の処理については説明を省略する。
【0095】
装置送信部245は、S40において生成された指示情報を、電波強度情報を送信した端末1Aに送信するとともに、電波強度情報を送信していない端末1Bに送信する。
【0096】
続いて、端末1A及び端末1Bの測定部151は、アクセスポイント2から、電波強度の測定を指示する指示情報を受信すると、当該指示情報に基づいて電波強度を測定する(S50、S60)。続いて、端末1A及び端末1Bの端末送信部152は、測定された電波強度を示す情報等を含む電波強度情報をアクセスポイント2に送信する。
【0097】
ここで、端末1Bは、端末1Aが所定時間以内に電波強度を測定している位置において、電波強度を新たに測定しないようにしてもよい。具体的には、端末1Aの端末送信部152は、S10において電波強度を測定した後、電波強度情報に端末1Aを識別する識別情報を含めてアクセスポイント2に送信する。装置送信部245は、
図11に示すように、装置受信部241が電波強度情報を受信すると、当該電波強度情報を送信した端末1Aとは異なる他の端末1Bに電波強度情報を送信する。
【0098】
なお、装置送信部245は、装置受信部241が電波強度情報を受信したタイミングで、他の端末1Bに電波強度情報を送信したが、これに限らない。例えば、装置送信部245は、端末1Aにおいて変化を検出したことに応じて、変化検出時の端末1Aの電波強度情報と、指示情報とを送信するようにしてもよい。また、端末1Bが、指示情報を受信したことに応じてアクセスポイント2に電波強度情報の取得要求を送信し、装置送信部245が、当該取得要求に応じて、端末1Aの電波強度情報を端末1Bに送信してもよい。
【0099】
端末1Bは、受信した電波強度情報を記憶部14に記憶しておく。端末1Bの測定部151は、電波強度を測定する際に、記憶部14に記憶されている電波強度情報を参照し、位置情報取得部154が取得した位置情報が示す位置において他の端末(端末1A)が所定時間以内に電波強度を測定しているか否かを判定する。端末1Bの測定部151は、所定時間以内に電波強度を測定していると判定した場合、当該位置において電波強度を新たに測定しない。このようにすることで、端末1Bは、他の端末が所定時間以内に電波強度を測定した位置において、新たに測定を行わないので、電力消費量の増加を抑えることができる。
【0100】
[第3の実施形態における効果]
以上のとおり、第3の実施形態に係る電波情報収集システムSのアクセスポイント2は、影響の変化を検出すると、複数の端末1に対して指示情報を送信して複数の端末1に電波強度を測定させる。このようにすることで、影響の変化があった場合、複数の端末1において電波強度を測定するので、測定頻度をさらに高め、複数の位置における電波強度を短時間で把握することができる。
【0101】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、本実施形態に記載されたアクセスポイント2の制御部24が備える機能を、無線LANのアクセスポイントとは異なる他の装置に実装させるようにしてもよい。ここで、他の装置は、例えば、自身をアクセスポイントとして機能させるテザリング機能を有するスマートフォンやタブレット等の携帯端末であってもよい。