(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100735
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】アンダーランプロテクタ用ビーム部材
(51)【国際特許分類】
B60R 19/56 20060101AFI20170313BHJP
【FI】
B60R19/56
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-131552(P2014-131552)
(22)【出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2015-44572(P2015-44572A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年1月29日
(31)【優先権主張番号】特願2013-158378(P2013-158378)
(32)【優先日】2013年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】布野 和信
(72)【発明者】
【氏名】久々江 岳文
【審査官】
田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】
実開平05−054106(JP,U)
【文献】
特開平11−139226(JP,A)
【文献】
特開2003−072590(JP,A)
【文献】
特開2002−370594(JP,A)
【文献】
特開2011−201513(JP,A)
【文献】
特開2009−090796(JP,A)
【文献】
特開2004−237878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックの車両フレームに取り付けるアンダーランプロテクタ用のビーム部材であって、
ビーム部材のビーム本体部はアルミ押出材で製作された上下の横壁と前後の縦壁とからなる中空断面形状からなり、
前記横壁と縦壁との内側各コーナー部の全長にわたって凹部形状のビスホールを有し、
前記ビーム本体部の縦壁内側にナットを配置するための固定具を前記上下のビスホールに沿って挿入し、
車両フレーム側の取付部からボルトを挿通し、前記ナットに螺合することでビーム部材を車両フレームに取り付け、前記ビーム本体部の端部に端末カバー部材が前記ビスホールを用いてビスにより取り付けられていることを特徴とするビーム部材。
【請求項2】
前記ビーム本体部の端部は下端部が斜めにカットされた略L字端面形状になっており、当該端部に略L字形状の端末カバー部材を取り付けたことを特徴とする請求項1記載のビーム部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトラックと乗用車等とが衝突事故を起こした場合に、乗用車等がトラックの下に潜り込むのを防止するためのアンダーランプロテクタに関し、特にアンダーランプロテクタ装置に用いるビーム部材に係る。
【背景技術】
【0002】
例えば、乗用車がトラックの後部に追突したような場合に乗用車がトラックの車体の下に潜り込むと、重大な人身事故になりかねないので乗用車のバンパーに当接し、乗用車の潜り込みを防止したアンダーランプロテクタ装置が採用されている。
アンダーランプロテクタ装置は、乗用車のバンパー高さに合致するようにビーム部材がトラックの車体(車両)フレーム側に取り付けられている。
従って、ビーム部材には乗用車等と衝突した際の衝撃に耐えるだけの強度と衝撃吸収性が要求される。
例えば、特許文献1にはアルミニウム合金押出形材からなる略矩形断面のビーム部材を開示する。
しかし、同公報に開示するビーム部材は衝突側フランジ(車両外側に位置するビーム部材側面)にボルトの取付作業穴を形成することでビーム部材を車体側にボルト、ナットで締結したものである。
このために取付作業穴を設けることで、その分だけビーム部材の強度が低下するのみならず、この取付作業穴が外部から見え、外観見栄えに劣るものである。
また、取付作業穴を廃止するためにビーム全長にわたり、ナット挿入取付用のレールを設けたものも考えられるが、強度的に不要な部位に余肉が生じ軽量化に反するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−273271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、強度の向上を図るのに有効で軽量で外観意匠性に優れたアンダーランプロテクタ用ビーム部材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るビーム部材は、トラックの車両フレームに取り付けるアンダーランプロテクタ用のビーム部材であって、ビーム部材のビーム本体部はアルミ押出材で製作された上下の横壁と前後の縦壁とからなる中空断面形状からなり、
前記横壁と縦壁との内側各コーナー部の全長にわたって凹部形状のビスホールを有し、前記ビーム本体部の
縦壁内側にナットを配置するための固定具を
前記上下のビスホールに沿って挿入し、車両フレーム側の取付部からボルトを挿通し、前記ナットに螺合することでビーム部材を車両フレームに取り付け、前記ビーム本体部の端部に端末カバー部材が
前記ビスホールを用いてビスにより取り付けられていることを特徴とする。
ここで、固定具は当該固定具を取り付けた縦壁と対向する縦壁の内側に近接した突出部を有するのが好ましい。
なお、近接とは突出部の先端が縦壁の内側の近くまで突出している態様のみならず、内側の面に接している態様も含む。
この突出部は、縦壁の変形を防止する。
ここで、アルミ押出材の強度アップ方法として、対向する前後の縦壁間を1つ以上の横リブで連結した複数の中空部を有する中空断面形状からなり、横リブと縦壁との連結部にレール状の凹部を形成してもよい。
レール状の凹部とは、押出材の押出方向に沿って形成した凹部をいい、ビスが螺入するビスホール形状を含む。
【0006】
このようにビスホール等のレール状の凹部を有する中空断面形状からなるアルミ押出材を用いると、中空断面形状の内側の上下のレール状の凹部間に、ナットを有する固定具を挿入することでビーム本体の内側に固定具を配置することもできる。
【0007】
本発明に係るビーム部材は、前記ビーム本体部の端部は下端部が斜めにカットされた略L字端面形状になっており、当該端部に略L字形状のカバー部材を取り付けてもよい。
このようにすると、押出材からなるビーム本体の端面開口部がカバー部材でふさがれるので外観見栄え向上するだけでなく、トラックの旋回時に車体がロールにより傾くが、ビーム本体の端部の下端側が斜めにカットされているので地面に擦れるのが抑えられる。
この場合に、カバー部材の下端斜辺部に突起部を形成してもよい。
このように突起部を形成すると、地面と擦れた場合に突起部が優先的に擦れ、擦れキズを小さく抑えることができる。
【0008】
本発明に係るビーム部材にあっては、前記ビーム本体部の上面部に滑り止め手段を設けてもよい。
トラックにおいてビーム部材は、荷物を乗せたり降ろしたりする際に足を掛けるステップとして使われることがあるが、ビーム本体部の上面部に滑り止めの手段を設けると安全である。
滑り止め手段としては、押出材の上面に突起を形成する方法や滑り止めテープを貼り付ける方法等が例として挙げられる。
この場合に、ビーム本体部の上下面の一方は滑り止めの凹凸部を形成してあり、他方の面は平滑面に滑り止めテープを貼り付けることが可能になっており、上下反転自在に使用可能になっていてもよい。
【0009】
本発明に係るビーム部材にあっては、前記ビーム本体部の外側の側面に上部から下部に向けて間隔を徐変させた水平方向の複数の意匠線を形成してもよい。
このようにすると、ビーム部材の外側の側面が仮に平面状にあっても意匠線の間隔に変化をもたせることで奥行き感に目の錯覚が生じ、立体的な外観見栄えを与えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るビーム部材は、中空断面形状からなるビーム本体部の内側にナットを配置するための固定具を有するので、従来のようなボルトの取付作業孔が不要である。
また、中空断面形状からなるアルミ押出材の縦壁と横壁のコーナー部や横リブとの交差部にビスホール等のレール状の凹部を形成し、この凹部を用いてビーム本体の端末開口部をふさぐことができるだけでなく、この部位に凹部を配置したことにより、荷重負荷時に稜線が崩れにくくなり、軽量で高強度が得られる。
また、曲げ強度に対する断面係数が有効に向上する。
ビーム本体部の内側に配設した固定具により取付面の座面抜けや座屈変形を抑えることができ、突出部にて縦壁間の変形を防止し、全体としてビーム部材の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ビーム部材をトラックの車両フレームにスティ部材を用いてボルト等の連結部材で取り付けた状態を示す。(a)はL字形状のスティ部材を用いた例を示し、(b)は略三角形状のスティ部材を用いた例を示す。
【
図2】ビーム本体部のビスホールを用いて固定具を挿入し、端部に端末カバー部材を取り付ける例を示す。(a)は組立前、(b)は組立後を示す。
【
図4】ビーム本体部の内側に固定具を挿入する例を示し、(a)は挿入前、(b)は挿入後の断面図を示す。(c)は固定具のプレート側から見た図を示し、(d)は固定具をナット側から見た図を示す。
【
図5】(a)は固定具をビーム本体部にリベット止めする説明図を示し、(b)はリベット止めした断面図を示す。
【
図6】固定具にバルクヘッド部を設けた例を示し、(a)はビーム部材の全体図、(b)は端部から挿入する説明図を示す。
【
図7】固定具の配置図を示し、(a)はビーム本体部の裏面図、(b)は斜視図を示し、(c)は単品図を示す。
【
図9】(a)はビーム本体部の端部側外観図を示す。(b)はビーム本体部の上面部、(c)は側面部の部分拡大図を示す。
【
図11】端末カバー部材を示し、(a)は外側斜視図、(b)は内側斜視図を示す。
【
図12】(a)はビーム本体部の上面に条状の凸部を形成してあり、(b)はビーム本体部の平滑な下面が上面になるように反転させた例である。
【
図13】ビーム本体部の平滑面に滑り止めテープを貼り付けた例を示す。
【
図14】ビーム本体部の断面形状として日字断面形状を採用し、ビスホールの無い例を示す。(a)は端末カバー部材側から見た斜視図、(b)は内側から見た斜視図を示す。
【
図15】ビーム部材を車両フレームに取り付けた状態の側面視を示す。
【
図16】車両フレームに取り付ける前のビーム部材を示す。
【
図17】ビーム本体部に固定具及び端末カバー部材を組み込む構造例を示す。(a)は端末カバー部材側から見た斜視図、(b)は内側から見た斜視図を示す。
【
図19】取付断面構造例を示す。(a)はビーム本体部、(b)は端末カバー部材の連結構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るアンダーランプロテクタ用ビーム部材の構造例を以下図面に基づいて説明する。
ビーム部材10は
図1に示すように、トラックの後部又は前部の車両フレーム1〜3にスティ部材4,5を用いて車両幅方向、略水平に取り付ける。
図1(a)は側面視で略L字形状のスティ部材4の上部側を車両フレーム1,2の側面にボルト等で固定し、下部側をボルト等の連結部材4aを用いて
図2に示すようにビーム本体部11の内側に配設したナットを有する固定具12と締結連結する。
図1(a)の略L字形状型スティ部材4は、アルミ押出材の中空断面形状からなる斜め上下方向の部材と同じくアルミ押出材中空断面形状からなる水平方向の部材を嵌合連結した例である。
図1(b)に示すスティ部材5は、略三角形状の中空断面形状からなるアルミ押出材を短尺に切断して製作した例を示し、車両フレーム1の下面にビーム部材10をボルト等の連結部材5aを用いて固定取り付けした例である。
本発明に係るビーム部材10は、これらの取付方法に限定されずボルト等で車両フレームに直接固定する場合も含まれる。
【0013】
ビーム部材10は、アルミニウム合金のアルミ押出材からなるビーム本体部11と、内側に挿入するナット12a付の固定具12及び端末カバー部材13からなる。
図3にビーム本体部11の断面形状例を示す。
上下の横壁11a,11aを前後方向の一対の縦壁11bでつないだ矩形形状の中空断面形状からなる。
矩形中空断面形状であれば口字形状、日字形状、目字形状等中空形状に制限はないが、本実施例は縦壁11b間の中央部を1本の横リブ11cでつないだ断面形状例を示す。
横壁11aと縦壁11bとのコーナー部にレール状の凹部の例として、ビスホール11dを形成し、本実施例では上下のビスホールの間に固定具12を引掛け挿入すべく、スティ部材との連結側であって、縦壁11bと横リブ11cの交差部にもビスホール11dを設けてある。
【0014】
固定具12は
図4に示すようにナット12aを溶接等にて取り付けてあり、
図4(c)はスティ部材との締結側から見た状態、
図4(d)はナット12aの取付側から見た状態の固定具12の外観図を示す。
本実施例に示した固定具12はプレート状であり、
図4(b)に断面を示すように上下のビスホール11d,11dの間に挿入する。
ビーム本体部11の内側の所定位置に固定具12を取り付けるために、固定具12には位置決め用の切欠部12cとリベット止め孔12bを設けてある。
図5(a)に示すようにビーム本体11の位置決め孔11gにピン30を差し込み、固定具12の切欠部12cが当接するまで固定具を挿入し、リベット孔11fを介してリベット21にて固定具12をビーム本体部11に固定する。
リベット止めした状態を
図5(b)に示す。
ビーム部材10は
図1に示すようにスティ部材4,5側からボルト等の連結部材4a,5aを挿入し、ボルト等の先端をビーム本体11の固定孔11eを経由し、固定具12のナット部12aに螺合させ連結する。
【0015】
図6,7にバルクヘッド部112aを形成した固定具112の例を示す。
固定具112は、両側のナット12aの取付面112b,112cから略U字形状に折り曲げて中央部を突出させたバルクヘッド部112aを形成した例になっている。
一方のナットの取付面112bの上下の端部をビーム本体11の上下のビスホールの沿って内側に挿入し、所定の位置にリベットにて固定する。
その状態を
図7(b)に示す。
なお、バルクヘッド部の形成方法は、この固定具112に限定されず、例えば
図8に示すように突出部の内側にナット12aが位置するようにバルクヘッド部を形成した固定具212でもよい。
【0016】
次に、端末カバー部材13の構造例を説明する。
図2に示すようにビーム本体部11の端末部の下端側を斜めにカットし、この端面形状開口部をふさぐように側面視で略L字形状の端末カバー部材13に形成してある。
端末カバー部材13は垂直辺部13aと下部側が斜辺部13bとからなり、斜辺部13bには突起部13cを形成してある。
また、ビスホール11dの位置に合せてビス孔13dを設け、ビス等の締結部材22にてビーム本体部11の端末に固定してある。
なお、ビーム本体部11の端面形状及び端末カバー部材の形状は、これに限定されるものではなく、
図10,11に示すようにビーム本体部11の端面は垂直端面形状であって、端末カバー部材113のみが垂直辺部113aと斜辺部113bに形成され、斜辺部113bに突起部113cを形成してもよい。
【0017】
図9にビーム本体部11の外観図を示す。
ビーム本体部11の上面部には
図9(b)に示すように、突条状の突起部11hを形成し、ステップとして使用時の滑り止めとなっている。
ビーム本体部11の外側の側面には意匠線として横方向に複数のノッチ11iを形成し、上部のノッチ間隔d
1に対して下側に行く程度ノッチ間隔dnが小さくなっている。
これにより、ビーム本体部11の側面が立体的に感じる。
また、ビーム本体部は
図12,13に示すように反転させて、平滑面11jが上面になるようにステイ部材に取り付け、平滑面11jに滑り止め用のテープ11kを貼り付けてもよい。
【0018】
次にビーム本体部11aの断面にビスホールを設けないビーム部材10Aの例を説明する。
図14及び
図17に示すようにビーム本体部11Aは、上下の横壁11Aの前後方向の端部を一対の縦壁11Cでつなぎ、縦壁11Cの中央部を中リブ11Eでつないだ日字形状であり、本実施例はレール状の凹部(ビスホール)を有しない例である。
本実施例では、
図17及び
図18に示すようにアルミ押出形材で形成した固定具12Aの例である。
固定具12Aは、ナット12Fを挿入保持する断面略コ字形状のナット挿入レール部12Dを有し、このナット保持部から略L字状に対向する縦壁11Cの内側の側面に近接させた突出部112Aを有する。
突出部112Aは、中空部12Eを2つ有する略日字形状になっている。
それぞれのビーム本体部の中空部11Dに対応して、固定具12Aをビーム本体部11Aの断面開口端部から挿入し、
図17に示すようにビーム本体部11Aの裏面からリベット21Aを取付孔11Gを介して固定具12Aの締結孔12Cに挿入、リベット締めする。
次に車両フレーム側の取付部材であるステイ部材5からボルトからなる連結部材5aを取付孔11Fに挿入し、さらにボルトの先を固定具12Aのボルト孔12Bを介してナット12Fにボルト締めする。
その断面構造を
図19(a)に示す。
【0019】
本実施例における端末カバー部材13Aは、垂直部13Bの下側が内側に向けてL字状になった斜面部13Cを有し、ビーム本体部11AのLカット端部に固定片13Eを挿入し、側面のリベット孔11H,13Fにリベット22Aを挿入し、リベット締めした例になっている。
その連結構造を
図19(b)に示す。
また、端末カバー部材13Aの下端側には水抜き孔13Dが形成されている。
【符号の説明】
【0020】
1 車両フレーム
4 スティ部材
4a 連結部材
5 スティ部材
5a 連結部材
10 ビーム部材
11 ビーム本体部
12 固定具
13 端末カバー部材