(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100746
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】携帯用タクタイル電子物品
(51)【国際特許分類】
G04G 21/08 20100101AFI20170313BHJP
G04G 17/06 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
G04G21/08 Z
G04G17/06
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-210481(P2014-210481)
(22)【出願日】2014年10月15日
(65)【公開番号】特開2015-78984(P2015-78984A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2014年10月15日
(31)【優先権主張番号】13189341.4
(32)【優先日】2013年10月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】マルタン・ジュフェル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・シュヴェクラー
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァン・ヘルフェンシュタイン
【審査官】
藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−163294(JP,A)
【文献】
実開昭60−156625(JP,U)
【文献】
実開昭54−166872(JP,U)
【文献】
実開昭52−132075(JP,U)
【文献】
特開昭58−148994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 17/00,21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏蓋及びガラス(13)によって閉鎖された中央部分(11)並びに前記中央部分に固定されたベゼル(14)を有するケース(10)を備えた携帯用電子物品(1)であって、
前記ケースは、データを表示手段(30)に送信する少なくとも1つのマイクロコントローラ(23)が固定されたプリント回路基板(22)で形成された少なくとも1つの電子モジュール(20)を有し、
前記物品は、少なくとも2つの電極(52)が構成された複数のベース要素(51)を含むタクタイル制御手段(50)を更に有し、
前記電極は、前記ベース要素上に設けられている導電経路(53)によって前記マイクロコントローラに電気的に接続された携帯用電子物品において、
前記ベース要素は、前記携帯用物品の形状に適合するために変形でき、及び前記プリント回路基板(22)に直接接続できるように、可撓性であり、
各前記ベース要素(51)は、両端部のうちの一方を介して前記電子モジュールに接続された主要セクション(51a)、及び前記主要セクションの自由端部の両側に延在する2つのアーム(51b)を有し、
前記電極は前記アーム上に設けられている
ことを特徴とする、携帯用電子物品(1)。
【請求項2】
前記ベース要素(51)はプラスチック製であり、
前記電極(52)は、前記ベース要素上に蒸着された導電性材料の層である
ことを特徴とする、請求項1に記載の電子物品(1)。
【請求項3】
前記タクタイル制御手段(50)は、前記ベゼル(14)上に設けられていることを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載の電子物品(1)。
【請求項4】
前記ベゼル(14)は、固定ベゼル(14b)であることを特徴とする、請求項3に記載の電子物品(1)。
【請求項5】
前記ベゼル(14)は、回転ベゼル(14c)であることを特徴とする、請求項3に記載の電子物品(1)。
【請求項6】
前記中央部分(11)及び前記ベゼル(14)は単一部品であり、これにより中央部分とベゼル(14a)とを形成していることを特徴とする、請求項3に記載の電子物品(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏蓋及び風防によって閉鎖された中央部分並びに前記中央部分に固定されたベゼルを含むケースを備える携帯用電子物品に関し、前記ケースは、データを表示手段に送信する少なくとも1つの制御回路が固定されたプリント回路基板で形成された少なくとも1つの電子モジュールを有し、前記物品は、少なくとも1つの電極が蒸着された少なくとも1つの基材を含むタクタイル制御手段を更に有し、前記電極は導電経路によって制御回路に電気的に接続されている。
【背景技術】
【0002】
電子デバイス等の携帯用電子物品、又は例えば携帯用時計は、一般に裏蓋及びガラスによって閉鎖された中央部分で形成されるケースを有する。ケース内部には、電気機械式又は完全に電子式である時計ムーブメントが設けられる。この時計ムーブメントは時刻情報を提供するために設けられ、前記時刻情報はアナログ式又はデジタル式表示手段によって表示される。時計は更に、ユーザが前記時計と対話できるようにする制御手段を有する。
【0003】
制御手段は、一般に前記時計ムーブメントに対して機械的に作用するプッシュボタン又はクラウンの形態をとる。これらのプッシュボタン及びクラウンには、タッチインタフェースを追加できる。このタッチインタフェースは、時計の対話機能性を向上させるため、及び特に時計が多数のメニューや機能を提供する場合に操作を簡略化するために使用される。
【0004】
タッチインタフェースは、抵抗性タッチインタフェース又は容量性タッチインタフェースであってもよい。容量性タッチインタフェースの場合、これはガラスの下面に配置される電極の形態をとっており、ガラスは非導電性要素である。電極は電場にさらされる。ユーザがインタフェースを作動させたい場合、ユーザは、好ましくは指でガラスの外面上に接触力を加える。これは接触力がタップ又は軽いタッチになることを意味する。この接触により、前記電極と導電性要素である指との間に形成される追加の静電容量が生じる。この静電容量の変動は、プログラミングに従って作動する電子式時計ムーブメントによって検知される。このタッチインタフェースは、ケース上ではなく腕時計用ガラス上に形成されるが、これはケースが一般に金属製であり、従って導電性であるためである。ケースは静電容量を発生させることができない。
【0005】
しかしながら、時計のガラス上に設けられるタッチインタフェースは、データの最適な視覚的表示ができないという欠点を有する。実際、時計のガラス上に設けられたタッチインタフェースを有するということは、ユーザが指をガラス上に定期的に置かなければならないことを意味する。結果として、文字盤上のデータの視覚的表示は、ユーザの指によって一般的に狭められる。従って、ユーザにとって、時計が提供するデータを読むのがより困難となる。
【0006】
更に、これらのタッチキーは、一般にガラス等の基材上にインジウム‐スズ‐酸化物(ITO)層等の金属層を蒸着することにより作製される。このタイプのITO層をガラス上に適用することの1つの欠点は、これが複雑かつコストのかかる作業である点である。結果として、良好な生産収率を得るためには極めて厳密な製造が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、生産がより簡単であり、安価であり、かつより柔軟に使用できる携帯用電子タクタイル物品を提供することを提案することにより、従来技術の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って本発明は、裏蓋及びガラスによって閉鎖された中央部分並びに前記中央部分に固定されたベゼルを含むケースを備える携帯用電子物品であって、前記ケースは、データを表示手段に送信する少なくとも1つのマイクロコントローラが固定されたプリント回路基板で形成された少なくとも1つの電子モジュールを有し、前記物品は、少なくとも1つの電極が構成された少なくとも1つのベース要素を含むタクタイル制御手段を更に有し、前記電極は導電経路によってマイクロコントローラに電気的に接続される携帯用電子物品に関し、ベース要素は、携帯用物品の形状に適合するために変形できるように、及びプリント回路基板に直接接続できるように可撓性であることを特徴とする。
【0009】
第1の有利な実施形態では、ベース要素はポリアミド等のプラスチック製であり、電極は前記ベース要素上に蒸着された導電性材料の層である。
【0010】
第2の有利な実施形態では、タクタイル制御手段は複数のベース要素を含み、各ベース要素上には1つの電極が設けられる。
【0011】
第3の有利な実施形態では、タクタイル制御手段は複数のベース要素を有し、各ベース要素上には少なくとも2つの電極が設けられる。
【0012】
別の有利な実施形態では、各ベース要素は、両端部のうちの一方を介して電子モジュールに接続された主要セクション、及び前記主要セクションの自由端部の両側に延在する2つのアームを有し、電極は前記アーム上に設けられる。
【0013】
別の有利な実施形態では、タクタイル制御手段は、複数の電極が設けられるベース要素を有し、前記ベース要素は補助的セクションによって電子モジュールに接続された周縁セクションを有し、電極は前記周縁セクション上に設けられる。
【0014】
別の有利な実施形態では、ベース要素の前記周縁セクションはケースと同一の形状を有する。
【0015】
別の有利な実施形態では、タクタイル制御手段はベゼル上に設けられる。
【0016】
別の有利な実施形態では、ベゼルは固定ベゼルである。
【0017】
別の有利な実施形態では、ベゼルは回転ベゼルである。
【0018】
別の有利な実施形態では、中央部分及びベゼルは単一部品であり、これにより中央部分−ベゼルを形成する。
【0019】
本発明による携帯用電子デバイス又は物品の目的、利点及び特徴は、単に非限定的な例として挙げる添付した図面に図示した本発明の少なくとも1つの実施形態に関する以下の詳細な説明において、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明による携帯用電子物品の概略断面図である。
【
図2】
図2は、本発明による、回転ベゼルを有する代替的な携帯用電子物品の概略断面図である。
【
図3】
図3は、本発明による、ベゼル−中央部分を有する代替的な携帯用電子物品の概略断面図である。
【
図4】
図4は、本発明によるタクタイル制御手段の概略的な変形例を示す。
【
図5】
図5は、本発明によるタクタイル制御手段の概略的な変形例を示す。
【
図6】
図6は、本発明によるタクタイル制御手段の概略的な変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明による携帯用電子デバイス1又は携帯用電子物品を示す。この携帯用電子物品は、携帯電話若しくは携帯電話用GPSデバイス若しくは携帯用コンピュータ若しくは感圧式タブレット、スポーツ用心拍計若しくは携帯音楽プレーヤ、又は時計であってよい。
【0022】
この電子デバイスは、裏蓋12(
図1では図示していないが、
図2で見ることができる)及びガラス13によって閉鎖された中央部分11で形成されたケース10を含む。電子モジュール20はケース10内に設けられている。この電子モジュール20は、表示手段30に表示する必要がある少なくとも1つの情報を提供するように構成されている。この電子モジュール20は、例えば電子式時計ムーブメント11である。
【0023】
モジュール20は、また特にセルバッテリである電気的エネルギアキュムレータを受承するよう設けられた区画又はハウジングを有する地板21を有する。
【0024】
モジュール20は、また前記地板に固定された少なくとも1つのプリント回路基板すなわちPCB22を有する。このプリント回路基板22上には、データの少なくとも1つの項目を提供するよう構成された少なくとも1つのマイクロコントローラ23が配置されている。マイクロコントローラ23は、特定用途向け集積回路(ASIC)であってもよい。このデータは、手動等のアナログ式、又はLEDスクリーン等のデジタル式であってもよい表示手段30に送信される。これらの表示手段はガラス13と電子モジュール20との間に位置し、スペーサ又はフランジ31がガラス13と表示手段30との間に設けられている。
【0025】
モジュール20は、また高度又は深度又は気象データを提供するために例えば圧力センサ等の様々なセンサを備えていてもよい。温度センサ又はコンパス機能用のセンサを設けてもよい。更に、複数の電子モジュール20をケース10内に設けることも想定でき、各モジュールは少なくとも1つのデータ項目を表示手段30に提供する。
【0026】
携帯用電子デバイスが時計である場合、モジュール20又はモジュール20のうちの1つは電子式時計ムーブメントである。
【0027】
時計1は、更にユーザが前記モジュール20と対話できるようにするために使用される制御手段40を有する。これにより、ユーザは様々な機能を選択して作動させることができる。制御手段40は少なくとも1つのタクタイル制御手段50を有する。制御手段は、また中央部分11に設けられるプッシュピース又はボタンを備えていてもよい。
【0028】
本発明によると有利には、これらのタクタイル制御手段50は、電子モジュール20に固定された可撓性ベース要素51を含み、電子モジュール20上には少なくとも1つの電極52が設けられ、この電極52は前記可撓性ベース要素51上に形成されている。この可撓性ベース要素51は、有利には可撓性プリント回路基板、すなわちポリアミド(カプトン)又はポリエステル等の高性能なプラスチック基材である。蒸着された電極52は接続点を形成する導電性材料の層の形態をとっている。例えば、ベース要素として機能する可撓性プリント回路基板51はポリエステル上に銀でスクリーン印刷してもよく、又は可撓性プリント回路基板51はカプトン上に銅でスクリーン印刷してもよい。電極52は円形、平行6面体、又は三角の形状を有する。
【0029】
電極52をマイクロコントローラ23に電気的に接続するために、タクタイル制御手段50は、更に前記可撓性ベース要素51上に設けられた少なくとも1つの接続経路53を有する。この接続経路53は、前記マイクロコントローラに接続されたプリント回路基板22の少なくとも1つの導電経路23aと協働する。電気的連続性を保証するために、プリント回路基板22上及びベース要素51上の接続点を使用できる。可撓性ベース要素51をプリント回路基板22に固定するために接着剤を用いてもよい。
【0030】
これらの可撓性ベース要素51すなわち可撓性プリント基板を使用することの1つの利点は、これらが、回路が特定の形状に適合すること又は使用中に屈曲することを可能にしながら、従来のプリント回路基板に用いられる構成部品に組み付けることができる点である。
【0031】
可撓性プリント回路基板51を使用することの別の利点は、このタイプのプリント回路基板が、腕時計のガラス等の基材上へのITO層の蒸着よりも低コストである点である。
【0032】
最後に、別の利点は、可撓性プリント回路基板51が簡素である点である。実際、可撓性プリント回路基板51の使用は、使用できる構成部品を制限しないだけではなく、本発明により、電極52のためのベース要素として機能しかつ電極52を制御回路に接続する単一部品を得ることができる。
【0033】
タッチガラスを有する既存の腕時計に近い使用を達成するために、複数の電極52を有することが不可欠である。有利な配置では、タクタイル制御手段50は12個の電極52を有し、これらはそれぞれ可撓性ベース要素51上に設けるために、12個のベース要素が必要である。これらの電極52は、ユーザがこれらを操作できるように、中央部分上に位置する。当然、電極52の個数は選択でき、例えば電極52を1つだけ又は6若しくは7個有することができる。
【0034】
よってケース10は、電極52を配設するためにベゼル14を有する。このベゼル14は中央部分11上及びガラス13の周りに位置する。これは回転ベゼル14c又は固定ベゼル14bであってもよい。ベゼル14は、また中央部分11及びベゼル14が単一部品、すなわち中央部分−ベゼル14aを形成するよう配設してもよい。中央部分11及びベゼル14は、ユーザから見える面である外壁と、内壁とを有する。タクタイル制御手段50の電極52を高効率なものとするために、このベゼル14は、容量効果をもたらすことができるように非導電性材料で作製される。ベゼル全体を非導電性材料で作製せず、ユーザが操作する領域のみを非導電性とすることもできる。システムの感受性は低下するが、電極52のサイズが適切であれば、すなわち十分に大きければ依然として機能する。
【0035】
可撓性ベース要素51及び電極52は、好ましくは操作が容易になるように、時間を示す円(hour circle)上に配設される。よって、これらの電極52はベゼル14上、すなわち中央部分−ベゼル14a、固定ベゼル14b、又は回転ベゼル14c上に設けられる。
【0036】
電極52が中央部分−ベゼル14a上に設けられる代替例では、
図3に示すように、可撓性プリント回路基板51は屈曲し、これにより電極52が中央部分−ベゼル14aと接触する。内壁を中空にして、可撓性プリント回路基板51をその中で楔留めすることも想定できる。また、前記可撓性プリント回路基板51を内壁に接着することもできる。
【0037】
図1に示す固定ベゼル14bを有する別の代替例では、ベゼルは環状部分140の形態をとる。
図1に示す例では、固定ベゼル14bの環状部分140はU字形の断面を有し、U字の基部はユーザから見える部分となる。ガラスと対向して位置するこの環状部分のアームは、アームの自由端部から延伸する前記アームに垂直な突起141を備えている。この突起141は、ガラス13及び固定ベゼル14bを組み付ける際に使用され、固定ベゼル14bはフランジ31を部分的に圧迫するようにガラス13に予備組み付けされている。ガラス13を組み付ける際に、ガラスは固定ベゼル14bの環状部分140の突起141を圧迫する。このようにして、固定ベゼル14bはガラス13と中央部分11との間に楔留めされる。この配置は、中空の内部空間を有する固定ベゼル14bを得ることができることを意味する。
【0038】
電極52を固定ベゼル14b上に設ける際に、電極はベゼル14bの中空部分にある。この目的のために中央部分11は中空であり、これにより
図1に示すように、電子モジュール20とベゼルの中空内部空間との間に通路が存在する。可撓性プリント回路基板51をベゼルの中空内部空間において保持するために
図1で採用した解決策は、楔54の使用からなる。この楔54はベゼルの中空内部空間に配置されている。楔54は、可撓性プリント回路基板51と中央部分11との間に位置するよう設けられる。このようにして、楔54はプリント回路基板51に作用し、これにより電極52はベゼル14bの内壁と接触する。
【0039】
回転ベゼル14cを有する別の変形例では、ベゼルは環状部分150の形態をとる。
図2に示す例では、固定ベゼル14bの環状部分150は3つの部分からなるセクションを有する。このセクションは、ガラス13に垂直に延在する第1の部分151、ガラス13に平行に延在する第2の部分152並びに第1の部分151及び第2の部分152を接続する傾斜した第3の部分153を有するフランクを回転ベゼル14cに設けるように構成されている。第1の部分151の自由端部及び第3の部分153の自由端部に、取り付け手段160を設ける。取り付け手段160は、メス型部分として機能する中央部分11における溝162に挿入するフック161等のオス型部分である。よって中央部分11は、その上にメス型部分が設けられる2つの垂直壁で形成された肩部を有する。回転ベゼル14cの環状部分150及び中央部分11の肩部は内部空間を形成している。
【0040】
電極52を回転ベゼル14cに設ける際に、電極はベゼル14cの中空部分内にある。この目的のために中央部分は中空であり、これにより
図2に示すように、電子モジュール20と回転ベゼル14cの中空内部空間との間に通路が存在する。可撓性プリント回路基板51を回転ベゼル14cの中空内部空間において保持するために
図2で採用した解決策は、楔55の使用からなる。この楔55は回転ベゼル14cの中空内部空間に配置されている。楔55は、可撓性プリント回路基板51と中央部分11との間に位置するよう設けられる。このようにして、楔55は可撓性プリント回路基板51を支持し、これにより電極52は回転ベゼル14cの内壁に近づくが、回転ベゼル14cに接触することはなく、ベゼル14cの回転が可能となる。回転ベゼル14cの環状部分150及び中央部分の肩部で形成される内部空間に位置するフレームを想定することもできる。このフレームによりプリント回路基板51を支持できる。
【0041】
図4に示す第1の変形例では、1つのベース要素につき、すなわち1つのプリント回路基板51につき1つ以上の電極52を設けることができる。これを達成するために、プリント回路基板51は適切な形状を有する。この適切な形状はT字の形態をとり、すなわち可撓性プリント回路基板51は主要セクション51aを有する。この主要セクション51aは、その端部のうちの1つによって電子モジュールに接続され、2つのアーム51bがその自由端部の両側に延在する。この構成により、可撓性プリント回路基板51の端部及びアーム51b上に位置する様々な電極52を設けることができる。次に導電経路53が主要セクション51aの方へ向かい、マイクロコントローラ23に電気的に接続される。アーム51bは、好ましくはベゼル14の形状に適合する形状を有するよう湾曲した形状を呈する。このアーム51bのこの湾曲により、前記可撓性プリント回路基板51のより良好な集積が可能となる。
【0042】
よって、12個のタッチキーを有する電子物品に関して、
図4に示すように、本発明による4つの可撓性プリント回路基板51を有することを想定できる。各可撓性プリント回路基板51は、3つの電極52及び円の弧を形成するプリント回路基板51のアーム51bを支持する。4つの可撓性プリント回路基板51の円の弧の総体は、ベゼル14で形成される円と同様の円である。
【0043】
図5に見られる第2の変形例において、タクタイル制御手段50は、全ての電極52を支持するよう配設された可撓性プリント回路基板51を1つだけ有する。これを達成するために、可撓性プリント回路基板51は周縁セクション51cを有し、その上に様々な電極52が作製される。この周縁セクション51cはケース10の形状と同一の形状を有し、すなわち周縁セクション51cは環状、又は正方形、又は樽形であってよい。周縁セクション51cは、環状セクション51cに対して径方向に延在する少なくとも1つの補助的セクション51dによって、マイクロコントローラ23に接続される。導電経路53は補助的セクション51dの方へ向かい、これにより電極52をマイクロコントローラ23に電気的に接続する。
【0044】
図5に見られるこの第2の変形例の好ましいバージョンでは、可撓性プリント回路基板51は2つの補助的セクション51dを有する。これらの補助的セクション51dは直径を挟んで対向している。この好ましいバージョンは、電極52とマイクロコントローラ23との間の電気的接続を簡素化するという利点を有する。よって導電経路53は2つのグループに分割され、それぞれ補助的セクション51の方へ向かう。90°以下の角度で補助的セクション51から角度的に離間した導電経路53は、前記補助的セクション51dの方へ向かうことが理解される。
【0045】
この第2の変形例の1つの利点は、作製されて電子モジュール20に固定されるプリント回路基板が1つしかないため、製造プロセスが簡略化されるという点である。
【0046】
添付の請求項で定義した本発明の範囲から逸脱しない限りにおいて、当業者には明白な様々な変更及び/又は改良及び/又は組み合わせを、上述の本発明の様々な実施形態に行ってよいことが明らかである。
【0047】
従って、
図6に示すように、導電経路53の形態をとる電極52を想定でき、この導電経路53はその自由端部において巻かれており、導電経路は導電経路自身には接触しない。
【符号の説明】
【0048】
1 電子物品
10 ケース
11 中央部分、電子式時計ムーブメント
12 裏蓋
13 ガラス
14 ベゼル
14a 中央部分‐ベゼル
14b 固定ベゼル
14c 回転ベゼル
20 電子モジュール
21 地板
22 プリント回路基板
23 マイクロコントローラ
30 表示手段
31 フランジ
40 制御手段
50 タクタイル制御手段
51 ベース要素、可撓性プリント回路基板
51a 主要セクション
51b アーム
51c 周縁セクション
51d 補助的セクション
52 電極
53 導電経路
54 楔
55 楔
140 環状部分
141 突起
150 環状部分