【実施例】
【0078】
例1:カルボン酸の影響
HMFの合成を、100mlのオートクレーブ中で行う。以下の量を、反応器内に導入する:
60gの水溶液、0.6gのフルクトース。
【0079】
使用する水溶液は、純粋なもの(pure)、またはカルボン酸を含むものである。カルボン酸水溶液は、以下の組成を有している:
−48gの蒸留水に加えた12gの乳酸;または
−48gの蒸留水に加えた12gの酢酸;または
−48gの蒸留水に加えた12gのギ酸。
【0080】
2MPa(20バール(bar))のヘリウムを、オートクレーブ内に導入する。反応媒体を、磁気スターラで攪拌する。150℃にセットされた電気抵抗により、反応媒体を反応温度に至らせる。150℃、2時間の反応の後、オートクレーブを氷浴により冷却する。フルクトース転化率およびHMF選択性を、HPLCRID分析により測定する(カラム:コレゲル(COREGEL)87C)。
【0081】
得られた結果を、
図1に示す。該結果は、カルボン酸の添加がフルクトース転化率およびHMF選択性を増大できることを示す。該結果は、ギ酸によりフルクトース転化率が完全(complete)であり、そして、酢酸により、転化率およびHMF選択性の間における最高の折衷(compromise)が得られることを示す。
【0082】
例2:不均一系酸触媒の添加の影響
HMFの合成を、100mlのオートクレーブ中で行う。以下の量を、反応器に導入する:
48gの蒸留水、12gの酢酸、0.6gのフルクトース、30mgの触媒。
ヘリウムの2MPa(20バール)を、反応媒体に導入する。反応媒体は、磁気スターラにより攪拌する。150℃にセットされた電気抵抗により、反応媒体を反応温度に至らせる。2時間の反応の後、オートクレーブを氷浴により冷却する。触媒を、濾過により分離する。フルクトース転化率およびHMF選択性を、HPLC−RID分析により測定する(カラム:コレゲル 87C)。
【0083】
上記方法を、触媒の不存在下において、異なる触媒、すなわちタングステン酸(tungstated)ジルコニア(ZrW)、リンタングステン酸の酸性セシウム塩(Cs
2H:Cs
2HPW
12O
40)、二酸化チタン(TiO
2)、スルホン化されたカーボン(C/Sulfonated)、ニオブ水酸化物(NbOH)、およびジャベル(Javel)水で酸化した後、カルボキシル基により官能基化したカーボンの存在下で行う。
【0084】
得られた結果を、
図2に示す。該結果は、触媒の添加がフルクトース転化率を増大できることを示す。該結果は、転化率およびHMF選択性の間で最高の折衷が、特にスルホン化されたカーボンまたは官能基化されたカーボンにより得られることを示す。
【0085】
例3:カルボン酸含有量の影響
HMFの合成を、100mlのオートクレーブ中で行う。以下の量を、反応器に導入する:
60gの蒸留水、または5%、10%、20%、30%〜50重量%のカルボン酸を含むことができる60gの水溶液、または60gの純粋なカルボン酸、および0.6gのフルクトース。
ヘリウムの2MPa(20バール)を、オートクレーブ内に導入する。反応媒体を、磁気スターラにより攪拌する。150℃にセットされた電気抵抗により、反応媒体を反応温度に至らせる。150℃、2時間の反応の後、オートクレーブを氷浴により冷却する。フルクトース転化率およびHMF選択性を、HPLC−RID分析により測定する(カラム:コレゲル 87C)。
【0086】
上記方法を、カルボン酸を異なる割合(proportions)で含むもの、すなわち、フルクトースを含み、5%、10%、20%、30%および50重量%のカルボン酸を含む水性反応媒体、およびカルボン酸を含まないものにより行った。該方法を、カルボン酸およびフルクトースのみを含むだけ反応媒体によっても行った。
【0087】
得られた結果を、酢酸およびギ酸含有量の影響を示すために、それぞれ
図3と
図4に示す。これらの結果は、大量のカルボン酸に対して、フルクトース転化率が増加するが、HMF選択性が減少することを示す。このように、反応を100%のカルボン酸により行うとき、HMFの非常に少ない量しか得られない。
【0088】
フルクトース転化率およびHMF選択性の間の最高の折衷は、20%のカルボン酸、酢酸および10%ギ酸に対して得られる。
【0089】
同じ方法を、フルクトースの量に関して、5%の水酸化ニオブで行った。得られた結果を、
図5で表す。これらの結果は、大量のカルボン酸に対して、フルクトース転化率が増加するが、HMF選択性が減少することを示す。このように、反応が80%を超えるカルボン酸により行うとき、少量のHMFしか得られない。
【0090】
フルクトース転化率およびHMF選択性の間の最高の折衷は、20%の酢酸に対して得られる。
【0091】
例4:開始時(starting)反応媒体のpHの影響
HMFの合成を、100mlのオートクレーブ中で行う。以下の量を、反応器に導入する:
pHを3と1の間で精細に調節するためのHClと0.6gのフルクトースを加えた60gの蒸留水。ヘリウムの2MPa(20バール)を、オートクレーブ内に導入する。反応媒体を、磁気スターラにより攪拌する。150℃にセットされた電気抵抗により、反応媒体を反応温度に至らせる。50℃、2時間の反応の後、オートクレーブを氷浴により冷却する。フルクトース転化率およびHMF選択性を、HPLC−RID分析により測定する(カラム:コレゲル 87C)。
【0092】
反応開始時のpHの影響を検討した。このために、開始時のpHを、HClを加えることにより調節した。
【0093】
結果を
図6に示す。これらの結果は、低いpHにおいて、フルクトース転化率が増加するが、HMF選択性が減少することを示す。これらの結果は、1.5〜2.15のpH範囲で、特に20%の酢酸を含む媒体に対応する1.71のpHにおいて、フルクトース転化率およびHMF選択性の間の良好な折衷が得られることを示す。
【0094】
例5:HMFの安定性
水性媒体の組成の関数(function)としての150℃におけるHMF安定性を、100mlのオートクレーブ中で行う。以下の量を、反応器に導入する:
60gの蒸留水、またはHClを加えることによりpH1.71に調整した60gの蒸留水、または12gの酢酸を加えた48gの蒸留水。
これらの溶液に対して、0.6gのフルクトースを加える。ヘリウムの2MPa(20バール)を、オートクレーブ内に導入する。反応媒体を磁気スターラにより攪拌する。150℃にセットされた電気抵抗により、反応媒体を反応温度に至らせれ。反応媒体のサンプルを、反応の開始時、次いで毎時(for every hour)、分析のために採取する。フルクトースの転化率およびHMF選択性を、HPLC−RID分析により測定する(カラム:コレゲル 87C)。
【0095】
水中、20%酢酸を含む水性媒体中、水中20%酢酸にpHが等価になるようにHClを加えることにより酸性化された水中で(すなわち、pH=1.71で)、HMF安定性を検討した。
【0096】
結果を
図7に示し、時間の関数に換算した(converted)HMFパーセンテージを示す。
【0097】
これらの結果は、HCl無機酸により酸性化された水性媒体に対する、水性酢酸媒体におけるHMFの安定化を示す。よって、これらの結果は、HMFの製造のためのカルボン酸の使用が、得られるHMFを安定させる一方で、高いヘキソース転化率およびフルクトース収率が得られることを示す。
【0098】
例6:開始時反応媒体中のフルクトース含有量の影響
HMFの合成を、100mlのオートクレーブ中で行う。以下の量を、反応器に導入する:
48gの蒸留水および12gの酢酸に、0.6gのフルクトース(1%)または3gのフルクトース(5%)または6gのフルクトース(10%)または9gのフルクトース(15%)または18gのフルクトース(30%)を加える。
該反応は、48gの蒸留水および0.48gの酢酸(1%)に、18gのフルクトース(30%)を加えたものでも行った。ヘリウムの2MPa(20バール)を、オートクレーブ内に導入する。反応媒体を、磁気スターラにより攪拌する。150℃にセットされた電気抵抗により、反応媒体を反応温度に至らせる。150℃、2時間の反応の後、オートクレーブを氷浴により冷却する。フルクトース転化率およびHMF選択性を、HPLC−RID分析により測定する(カラム:コレゲル 87C)。
【0099】
結果を、
図8に示す。該結果は、フルクトース転化率およびHMF収率がフルクトース濃度には顕著に影響されないことを示す。該結果は、濃いフルクトース溶液(特に、15%)、から得られるHMF収率が40%(該収率に近い値が、1%のフルクトース溶液から得られる)に達することを示す。フルクトース濃度は、カルボン酸水溶液中のフルクトースの溶解性により制限される。
【0100】
例7:水−酢酸媒体中のHMF製造に関する温度の影響
HMFの合成を、100mlのオートクレーブ中で行う。以下の量を、反応器に導入する:
48gの蒸留水と、これに12gの酢酸と0.6gのフルクトース(1%)を加えたもの。
ヘリウムの2MPa(20バール)を、オートクレーブ内に導入する。反応媒体を、磁気スターラにより攪拌する。反応媒体を、制御された電気抵抗により反応温度に至らせる。以下の温度が検討される:100℃、120℃、150℃、および180℃。2時間の反応の後、オートクレーブを氷浴により冷却する。フルクトース転化率およびHMF選択性を、HPLC−RID分析により測定する(カラム:コレゲル 87C)。
【0101】
結果を、
図9に示す。該結果は、フルクトース転化率およびHMF収率が、100℃および120℃の反応温度において低いことを示す.
図9は、フルクトース転化率およびHMF収率が、温度の上昇により増加することを表す。フルクトース転化率およびHMF収率の間で最高の折衷は、150℃の温度において得られ。180℃の温度において、フルクトース転化率は完全であり、HMF選択性も54%に達することが観察された。
【0102】
例8:水−ギ酸媒体中のHMF製造に関する温度の影響
HMFの合成を、100mlのオートクレーブ中で行う。以下の量を、反応器に導入する:
48gの蒸留水に、12gのギ酸と0.6gのフルクトース(1%)を加えたもの。
ヘリウムの2MPa(20バール)を、オートクレーブ内に導入する。反応媒体を、磁気スターラにより攪拌する。反応媒体を、制御された電気抵抗により反応温度に至らせる。以下の温度を検討する:100℃、120℃、150℃、および180℃2時間の反応の後、オートクレーブを氷浴により冷却する。フルクトース転化率およびHMF選択性を、HPLC−RID分析により測定する(カラム:コレゲル 87C)。
【0103】
結果を、
図10に示す。該結果は、フルクトース転化率およびHMF収率が100の反応温度において低いことを示す。
図10は、150℃まで温度上昇により、フルクトース転化率およびHMF収率の増加を示し、該温度において、転化率が完全であることを示す。180℃の反応温度において、フルクトース転化率は完全であるが、HMF選択性が低く10%である。最高のHMF収率(54%)が、150℃の反応温度において、完全なフルクトース転化率で得られる。