特許第6100788号(P6100788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100788
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】無線充電式バッテリ
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20170313BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20170313BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20170313BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   H01M2/10 U
   H02J7/00 301D
   H02J7/00 301E
   H01M10/42 Z
   H01M2/10 F
   H01F38/14
【請求項の数】11
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-533236(P2014-533236)
(86)(22)【出願日】2012年9月24日
(65)【公表番号】特表2014-534558(P2014-534558A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】NZ2012000172
(87)【国際公開番号】WO2013048261
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2015年6月26日
(31)【優先権主張番号】595403
(32)【優先日】2011年9月29日
(33)【優先権主張国】NZ
(31)【優先権主張番号】61/640,739
(32)【優先日】2012年5月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514004367
【氏名又は名称】パワーバイプロキシ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー ハオ
(72)【発明者】
【氏名】レン サイニング
(72)【発明者】
【氏名】クィン アイジュン
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0210697(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/024621(WO,A1)
【文献】 特開2000−231910(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/156025(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0181962(US,A1)
【文献】 特開平09−063655(JP,A)
【文献】 特開2007−294275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 10/42
H01M 10/46
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する磁気軸を有する2つ以上のレシーバコイルと、
前記レシーバコイルに接続され前記レシーバコイルから供給された交流電流を整流する電力レシーバと、
前記電力レシーバから給電を受ける電気化学的電池と、を備え、
記電力レシーバは第1バッテリサブケーシング内に収容され、かつ前記電気化学的電池は第2バッテリサブケーシング内に収容され、
記第1および第2バッテリサブケーシングは取り外し可能である
無線充電式バッテリ。
【請求項2】
前記電力レシーバは前記電気化学的電池から取り外し可能である、請求項1に記載の無線充電式バッテリ。
【請求項3】
前記電力レシーバは、ユーザによって前記電気化学的電池から取り外し可能である、請求項2に記載の無線充電式バッテリ。
【請求項4】
前記電力レシーバおよび前記電気化学的電池は螺合する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の無線充電式バッテリ。
【請求項5】
前記電力レシーバおよび前記電気化学的電池は磁気的に結合して保持される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の無線充電式バッテリ。
【請求項6】
前記電力レシーバおよび前記電気化学的電池は押込み嵌めにより結合して保持される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の無線充電式バッテリ。
【請求項7】
前記電気化学的電池は磁気的にシールドされる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の無線充電式バッテリ。
【請求項8】
前記電気化学的電池は、金属層によって磁気的にシールドされる、請求項7に記載の無線充電式バッテリ。
【請求項9】
前記金属層は1表皮深さである、請求項8に記載の無線充電式バッテリ。
【請求項10】
前記金属は銅である、請求項8または9に記載の無線充電式バッテリ。
【請求項11】
前記電力レシーバは、前記第2バッテリサブケーシング内の前記電気化学的電池の化学的性質の種類に応じた充電パラメータに従って前記電気化学的電池への給電を制御する、
請求項1から10のいずれか一項に記載の無線充電式バッテリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線充電式バッテリに関する。排他的ではないものの、より具体的には、本発明は、レシーバコイルの配置形態、バッテリシールドおよび取り外し可能な電力レシーバに関する。
【背景技術】
【0002】
無線充電式バッテリは、長年に渡り、電動歯ブラシ等の広範なデバイスにおいて使用されている。このようなデバイスは、一般的には、非標準バッテリを使用しているか、もしくは交換が容易ではない。通常の消費者用バッテリは、一般的には今も、充電を実行するためにガルバニック接続を必要とする。したがって、特別な方向性またはガルバニック接続を必要とすることなく、充電領域に置かれれば便利に無線充電され得る消費者用充電式バッテリが求められている。
【0003】
電力レシーバは、できるだけ小型であって、一般的な消費者用途にとって十分なバッテリ容量を保証しなければならない。また、バッテリは充電領域に任意の方向で置かれる可能性、またはデバイス内に任意の方向で存在する可能性があることから、充電用交流磁場と任意の方向で結合できることも必要である。
【0004】
また、バッテリは、充電磁場において電気化学的電池を過熱させることなく迅速に充電可能であることも必要である。
【0005】
さらに、バッテリの電力レシーバは、消費者によってリサイクル可能または再使用可能であることが望ましいと思われる。
【0006】
レシーバコイルの配置形態は幾つか提案されており、これらについては以下に論じる。
【0007】
国際公開出願第2001/67046号パンフレットは、十字形のコア(即ち、コアはXYZ座標系の原点の形)上に3つの互いに直交する巻線が巻かれる無線式電力レシーバを開示している。
【0008】
米国特許第5,281,941号明細書は、3つの互いに直交する巻線を支持するための球形状を開示している。
【0009】
米国特許第7,414,380号明細書は、平行六面体形状のコア上に3つの互いに直交する巻線が巻かれる無線式電力レシーバを開示している。
【0010】
米国特許第7,248,017号明細書は、巻線がバッテリ外部のコア上に巻かれる、またはコア上に巻かれてバッテリ内部に収容される無線充電式バッテリを開示している。巻線の軸は、バッテリの長手方向の軸に対して平行である。また、この明細書は、2つの直交する巻線を備えて充電の際のバッテリに回転の自由を与えることも開示している。
【0011】
米国特許出願公開第2011/0086256号明細書は、レシーバ回路がバッテリの一端に置かれ、巻線がバッテリ外部に存在する無線充電式バッテリを開示している。
【0012】
上述の配置形態は全て、多少かさばるものであり、かつ/または方向によっては結合が弱い。さらに、上述の構造は一体的に形成されるため、再使用が容易ではない。さらに、これらは、電気化学的電池のシールドを備えていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開出願第2001/67046号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5,281,941号明細書
【特許文献3】米国特許第7,414,380号明細書
【特許文献4】米国特許第7,248,017号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2011/0086256号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、これらの問題点の少なくとも幾つかを克服するレシーバコイルアセンブリ、電力レシーバおよび無線充電式バッテリを提供すること、または少なくとも、有益な選択肢を公衆に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
ある例示的な実施形態によれば、互いに横断的に配向される磁気軸を有する第1および第2コイルと、第1および第2コイルの磁気軸を横断する磁気軸を有しかつ第1および第2コイルを囲む第3コイルとを含む、充電式バッテリのためのレシーバコイルアセンブリが提供されている。
【0016】
第3コイルは、好ましくは略環状コイルであり、本アセンブリは、概ね円筒形状であることが好ましい。
【0017】
第1および第2コイルは、好ましくは十字のアームの周りに巻かれた状態で十字に配置され、第3コイルは十字の周囲に巻かれる。
【0018】
別の例示的な実施形態によれば、互いに横断的に配向される磁気軸を有する第1、第2および第3コイルを含み、コイルのうちの1つは他のコイルより大きい電力伝達を可能にする、充電式バッテリのためのレシーバコイルアセンブリが提供されている。
【0019】
第3コイルは、好ましくは他のコイルを囲み、かつ第1および第2コイルは、好ましくは十字に配置される。
【0020】
第3コイルの電力伝達容量は、第1および第2コイルのそれを、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは20%上回る。第3コイルの導線の長さは、第1および第2コイルのそれを、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは50%上回る。
【0021】
別の例示的な実施形態によれば、電力レシーバと電気化学的電池とを有し、電力レシーバは第1バッテリサブケーシング内に収容されかつ電気化学的電池は第2バッテリサブケーシング内に収容され、第1および第2サブケーシングは取り外し可能である、無線充電式バッテリが提供されている。
【0022】
電力レシーバは、ユーザによって電気化学的電池から、ねじ、押込み嵌めまたは磁気接続によって取り外し可能であってもよい。
【0023】
電気化学的電池は、電気化学的電池付近の金属層によって磁気的にシールドされてもよい。この層は、約1表皮深さであってもよく、かつ銅箔で形成されてもよい。
【0024】
「を備える」の現在形、三人称単数形および現在分詞形による表現は、管轄権が変わっても排他的または包含的意味合いの何れかに帰され得ることが認められる。本明細書の目的に沿って、かつ別段の指摘のない限り、これらの表現は包含的意味合いを持たせるためのものであり、即ち、これらの表現は、記載された構成部品であって使用法が直接言及されているものに加えて、恐らくは明記されていない他の構成部品または構成要素をも包含することを意味するものと理解される。
【0025】
本明細書における任意の先行技術の参照は、このような先行技術が普通の一般知識の一部を形成することを認めるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本明細書に組み入れられてその一部を成す添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、かつこれまでに述べた本発明の一般的説明、および下記の例示的実施形態の説明と共に、本発明の原理を説明する手助けとなる。
【0027】
図1】ある無線充電式バッテリを示す。
図2図1に示されているバッテリの電力レシーバコイルアセンブリを示す。
図3図1に示されているバッテリの電力レシーバを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、二部構造の無線充電式バッテリを示す。電力レシーバは、第1バッテリサブケーシング2内に収容され、再充電可能な電気化学的電池を収容する第2バッテリサブケーシング3から取り外し可能である。第1バッテリサブケーシング2および第2バッテリサブケーシング3は、ユーザがサブケーシング2をサブケーシング3から取り外しかつ取り外されたサブケーシング2を新しい電気化学的電池を含む新しいサブケーシングへ接続できるように、ねじ山、押込み嵌め接続、磁気結合またはこれらに類似するものによって相互接続されてもよい。
【0029】
電気化学的電池は、バッテリが充電用交流磁場に位置決めされる際の過熱を回避するために磁気的にシールドされてもよい。これは、電気化学的電池の付近に金属シールドを設けることによって達成されてもよい。これは、サブケーシング3の外側付近に金属箔が装着される形式をとってもよい。金属箔は、約1表皮深さであってもよく、望ましいシールド特性ゆえに、望ましい金属は銅である。
【0030】
次に、図2を参照すると、ある実施形態によるレシーバコイルアセンブリが示されている。第1巻線4aおよび4bは、十字形フェライトコア6のアームの周りに巻かれ、第2巻線5aおよび5bは、十字形フェライトコア6の他のアームの周りに巻かれる。第3巻線7は、十字形フェライトコア6の周囲付近に巻かれる。理想的には、これらのコイルは、任意の方向において充電用磁場との結合を確実にするために互いに直交する。ただし、空間の制約上又は用途毎に望まれる結合の方向に応じてコイルは直交していなくてもよい。
【0031】
第3コイルは、好ましくは、円筒形のバッテリケーシングに最も良く適合するように環状である。第3コイルは、他のコイルより大きい電力伝達容量を有するように設計されてもよい。これは、バッテリに、通常もしくは好ましい向きがある場合、例えば第3コイルによって最も速いレートで電力を供給する一方で、第1および第2コイルによって他の向きでも電力伝達が可能である点において望ましいことがある。第3コイルの電力伝達容量は、第1および第2コイルのそれを少なくとも10%、好ましくは20%上回ってもよい。これを達成するために、第3コイルの導線の長さは、第1および第2コイルの導線の長さを少なくとも25%、好ましくは50%上回ってもよい。
【0032】
ある例示的な実施形態では、外側のコイルの平均直径は12mmであって、巻数は50であるのに対して、第1および第2の巻線の平均直径は約4mmであって、各々巻数は80である。巻線は全て、0.05mmゲージの絶縁銅線であってもよい。
【0033】
図3は、バッテリの構成部品を示す概略図である。コイル4(4aおよび4b)、コイル5(5aおよび5b)およびコイル7に誘導される電流はレシーバ回路8へ供給され、レシーバ回路8は、コイルから受け取る交流電流を整流しかつ調整する。バッテリ充電管理回路9は、使用されるバッテリの化学的性質の種類に応じた充電パラメータに従って充電式バッテリ10への給電を制御する。電力レシーバは、コイル4、5、7とレシーバ回路8とバッテリ充電管理回路9とで構成され、サブケーシング2内に含まれる。充電式バッテリ10は、サブケーシング3内に収容される。
【0034】
記載している無線充電式バッテリは、好適な方向における強化された結合を提供すると共に全方向において十分な結合を確実にするコンパクトな構造を提供する。取り外し可能な二部構造のバッテリは、電力レシーバを容易に再利用できるようにし、無駄を防ぐと同時に環境への悪影響を回避する。電気化学的電池のシールドは、過熱を防ぎ、かつ高速充電を可能にする。
【0035】
本発明をその実施形態に関する記述によって例示し、かつ実施形態を詳述してきたが、添付の特許請求の範囲をこのような詳細に制限すること、または多少なりとも限定することは出願人の意図ではない。当業者には、追加の優位点および変更が容易に明らかであろう。したがって、本発明は、そのより広範な態様において、本明細書に示されかつ記載されている特有の詳細、代表的な装置および方法および例示に限定されない。したがって、このような詳細からの逸脱は、出願人の一般的な発明概念の精神または範囲を逸脱することなく行われてもよい。
図1
図2
図3