(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のサンプル評価システムが適用された物件検索システム1について、図面を参照しつつ説明する。物件検索システム1は、
図1に示すように、物件評価装置100、物件検索端末200(クライアント端末)及び物件データベースサーバ300を有している。なお、物件評価装置100及び物件データベースサーバ300からなるシステムが、本発明におけるサブシステムに対応する。これらの3つの装置は、インターネットなどの相互通信ネットワーク(以下、ネットワークとする)を介して互いに接続されている。装置同士は、ネットワークを介して相互にデータ通信できる。以下において、これらの装置同士が条件や情報等をやりとりするといった表現を用いる場合、その表現は、当該装置同士が、当該条件や情報等を示すデータを、ネットワークを介して通信することを表す。
【0012】
これらの装置は、それぞれ、サーバや端末などのコンピュータ及び周辺機器から構成されている。コンピュータは、CPUや各種のメモリ、ハードディスク、記録媒体の読取装置及び記録装置、外部のネットワークや装置と接続するための入出力ポート等を有している。以下において説明する各装置の機能部は、ハードディスクや記録媒体に格納されたプログラムや画像データ等がメモリに転送され、転送されたデータに基づいてCPUが各種の情報処理を実行することにより実現されている。周辺機器には、ディスプレイなどの表示機器や、物件の検索者からの入力を受け付けるキーボード、マウスなどの入力機器、プリンタその他の印刷機器等が含まれる。
【0013】
物件検索システム1は、例えば、不動産仲介業者等が運用するシステムであり、検索者が好みの不動産物件を検索するためのシステムである。物件データベースサーバ300は、複数の不動産物件に係る物件情報を管理する。物件情報は、システム管理者によってデータベース301(属性記憶手段)に登録される。物件情報には、物件を識別するための識別情報と関連付けて、物件の名称、物件の住所などの基本的な情報の他、その物件の属性を示す情報が含まれている。属性には、その物件と最寄駅、最寄のスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの利便施設との距離、敷地面積や日照条件、画地形状、駐車場の条件や建物構造、間取りなどが含まれる。さらに、物件情報には、これらの属性の評価値である属性値を示す情報が含まれている。属性値は、例えば値が大きいほど好条件であることを示す。また、属性値は規格化されていることが好ましい。以下では、属性値は0以上1以下の任意の数値となるように規格化されているとする。物件情報には、物件の属性ごとに、その属性に対応する属性値を示す情報が含まれている。
【0014】
属性と属性値との関係は、あらかじめ設定された関数等によって表される。例えば、
図2に示すように、属性が最寄駅等の施設からの距離である場合に、施設からの距離に応じて属性値が単調に減少するように設定されていてもよい。この関係に従うと、ある物件の施設からの距離がXメートルである場合には、その物件の属性値はVとなる。属性値は、あらかじめ算出された結果が物件データベースサーバ300に登録されてもよいし、登録された属性に基づいて物件データベースサーバ300が算出してもよい。
【0015】
属性は、
図3に示すように、「利便性」、「快適性」及び「機能性」の3つのカテゴリに分類されている。以下、「利便性」「快適性」「機能性」の各カテゴリに所属する複数の属性からなる群を「利便性属性群」「快適性属性群」「機能性属性群」とする。この3つのカテゴリには、R(赤)色、G(緑)色、及びB(青)色の3色が一対一に対応付けられている。このような対応付けがなされている目的は後述する。
図3では、利便性属性群の属性値をr1、r2、r3…、快適性属性群の属性値をg1、g2、g3…、機能性属性群の属性値をb1、b2、b3…と表している。
【0016】
物件データベースサーバ300のデータ管理部302は、物件検索端末200から検索条件を受け取ると、その検索条件に適合する物件情報をデータベース301から抽出する。そして、データ管理部302は、抽出した物件情報を物件検索端末200に提供する。
【0017】
物件検索端末200は、入力部201(基準値取得手段)、物件検索部202、物件評価表現部203(サンプル色表現手段、基準色表現手段)及びディスプレイ204(画像表示手段)を有している。物件検索端末200に用いられているコンピュータ及びディスプレイ204は多色のドット表現が可能である。本実施形態のドット表現は、一例として、24ビットカラー方式に対応している。24ビットカラー方式は、R色の成分値を示す1バイトのデータ、G色の成分値を示す1バイトのデータ及びB色の成分値を示す1バイトのデータが連続した3バイトのデータによって、画像の1ドット分の色を示す方式である。
【0018】
入力部201は、マウスやキーボード等の入力機器を通じたユーザ入力を受け付ける。入力部201による入力処理にはGUI(Graphical User Interface)方式が用いられることが好ましい。例えば、入力部201がディスプレイ204にインタフェース画像を表示させる。検索者は、マウスなどのポインティングデバイスを利用してインタフェース画像上の所定の位置を指定した後、キーボードを使って情報を入力する。
【0019】
検索者は、入力部201を介し、物件の検索条件となる物件情報を入力する。この検索条件は、物件データベースサーバ300に登録された多数の物件から、検索者の好みに近い複数の物件を抽出するために用いられる。
【0020】
また、検索者は、入力部201を介し、物件の評価条件を入力する。評価条件は、理想属性条件と属性重み条件とを含む。理想属性条件は、検索者が理想とする物件の属性条件である。属性条件は、例えば、駅距離は100メートル、敷地面積は100平方メートル、間取りは3LDKといった条件である。入力部201は、検索者が入力した属性条件に基づき、各属性の属性値を導出する。入力部201は、
図2のような属性と属性値との関係を示す情報を保持しており、その情報に基づいて属性値を導出する。属性値は、理想属性条件として物件評価装置100に送信される。
【0021】
属性重み条件は、物件が評価される際に、各属性が他の属性に対してどの程度の重みで考慮されるかを示す条件である。重みは、「利便性」、「快適性」及び「機能性」の各カテゴリについて入力される。例えば、駅距離、スーパー距離、コンビニ距離などの利便性属性群の属性について、入力部201は、
図4に示すインタフェース画像210をディスプレイ204に表示させる。ユーザは、ポインティングデバイスを使用してつまみ画像211を上下に移動させることができる。つまみ画像211の上下方向の位置は、各属性の重みの大きさに対応している。入力部201は、入力が完了した時点でのつまみ画像211の位置に基づき、利便性属性群に関する重み値α1、α2、α3…をそれぞれ設定する。同様に、入力部201は、快適性属性群に関する重み値β1、β2、β3…、機能性属性群に関する重み値γ1、γ2、γ3…を設定する。これらの重み値は、以下の条件を満たすように設定される。重み値は、属性重み条件として物件評価装置100に送信される。
(条件)
0≦α1,α2,α3…≦1 (β1、β2、β3…、γ1、γ2、γ3…も同様)
0≦α1+α2+α3+…≦1 (β1、β2、β3…、γ1、γ2、γ3…も同様)
【0022】
物件検索部202は、検索者が入力部201を介して入力した検索条件に基づき、物件を検索する。具体的には、物件検索部202は、検索者が入力した検索条件を物件データベースサーバ300に送信する。これに応じ、物件データベースサーバ300のデータ管理部302から物件情報が送信される。物件検索部202は、物件データベースサーバ300から送信された物件情報を受信する。
【0023】
物件評価表現部203は、物件検索部202が取得した物件情報に関して評価情報を示す画像をディスプレイ204に表示させる。具体的には、物件評価表現部203は、物件検索部202が受信した物件情報、及び、入力部201を介して検索者が入力した評価条件を物件評価装置100へと送信する。物件評価装置100は、後述の通り、物件検索端末200から受信した物件情報及び評価条件に基づき、物件ごとにその物件の評価を示す24ビットカラーの1色分のカラー値(3バイト値)を算出する。また、物件評価装置100は、後述の通り、物件評価表現部203から受信した評価条件に基づき、検索者が入力した理想の属性条件を示す24ビットカラーの1色分のカラー値(3バイト値)を算出する。そして、物件評価装置100は、算出したカラー値を物件評価表現部203に送信する。物件評価表現部203は、物件評価装置100からのカラー値に基づき、理想の物件に対応するカラー値が示す色の画像と、物件検索部202が取得した物件に対応するカラー値が示す色の画像とをディスプレイ204に表示させる。なお、物件評価表現部203において、物件検索部202が取得した物件に関して画像を表示させる機能が本発明におけるサンプル色表現手段の機能に対応し、理想の物件に関して画像を表示させる機能が本発明における基準色表現手段の機能に対応する。
【0024】
物件評価表現部203は、一例として、
図5に示す画像220をディスプレイ204に表示させる。画像220の上部には、理想の物件条件に対応するカラー値が示す色で塗りつぶされた矩形のカラー画像221が含まれている。その下には、物件検索部202が取得した5つの物件の番号、物件名と共に、各物件に対応するカラー値が示す色で塗りつぶされた矩形のカラー画像222等が配置されている。これらの矩形画像の右隣には、各物件に対応するカラー値と理想の属性条件に対応するカラー値との一致度を示す数値が配置されている。この数値は、例えば以下のように算出されてもよい。なお、R、G及びBは各物件に対応するカラー値におけるR色の成分値、G色の成分値及びB色の成分値をそれぞれ示す。R0,G0及びB0は、理想の属性条件に対応するカラー値におけるR色の成分値、G色の成分値及びB色の成分値をそれぞれ示す。SQRT(x)はxの平方根を示す。
(一致度)=SQRT([(R−R0)^2+(G−G0)^2+(B−B0)^2]/3)/255*100
【0025】
物件評価装置100は、物件検索端末200から送信される物件情報等に基づいて、物件に関する評価を示すカラー値を算出するカラー値算出部110(色表現値算出手段、基準値取得手段)を有している。カラー値算出部110は、カラー値におけるR色の成分値を算出するR値算出部111(色成分値算出手段)、カラー値におけるG色の成分値を算出するG値算出部112(色成分値算出手段)及びカラー値におけるB色の成分値を算出するB値算出部113(色成分値算出手段)を含んでいる。
【0026】
物件検索端末200から物件情報及び評価条件が送信されると、カラー値算出部110は、それらの情報に基づいてカラー値を算出する。物件情報は、物件検索部202が取得した物件(検索条件に基づいて物件データベースサーバ300において抽出された物件)に関する属性値を示す情報を含んでいる。また、評価条件は、理想属性条件として属性値を含んでいる。カラー値算出部110は、これらの属性値に基づいて、物件検索部202が取得した物件に関するカラー値と、検索者にとっての理想の物件条件を示すカラー値との2つを算出する。カラー値算出部110が算出した2つのカラー値は物件検索端末200へと送信される。なお、カラー値算出部110において、物件検索部202が取得した物件に関するカラー値を算出する機能が本発明における色表現値算出手段の機能に対応し、理想の物件条件を示すカラー値を算出する機能が本発明における基準色算出手段の機能に対応する。
【0027】
カラー値の具体的な算出方法は以下のとおりである。R値算出部111は、R色に対応付けられた利便性属性群の属性値であるr1、r2、r3…に基づいてR色の成分値を算出する。G値算出部112は、G色に対応付けられた快適性属性群の属性値であるg1、g2、g3…に基づいてG色の成分値を算出する。B値算出部113は、B色に対応付けられた機能性属性群の属性値であるb1、b2、b3…に基づいてB色の成分値を算出する。
【0028】
R値算出部111、G値算出部112及びB値算出部113は関数fr、fg及びfbに従って、以下の通りに成分値R,G及びBをそれぞれ算出する。fr、fg及びfbは、それぞれ、0〜255の整数を取る関数である。これにより、R、G及びBのそれぞれについて1バイト、合計で3バイトの24ビットカラー方式に従ったカラー値が導出される。
R=fr(r1,r2,r3…)
G=fg(g1,g2,g3…)
B=fb(b1,b2,b3…)
【0029】
関数fr、fg及びfbは、あらかじめ設定されたものが用いられる。例えば、以下の数式で定義される関数形が用いられてもよい。なお、Nr、Ng、Nbは利便性属性群、快適性属性群、機能性属性群のそれぞれにおける属性の数を示す。また、INT(x)はxの整数部分を示す。α1、β1、γ1等の重み値には、物件検索端末200から送信される評価条件に含まれる属性重み条件が用いられる。
fr=INT((α1*r1+α2*r2+α3*r3+…)*255/Nr)
fg=INT((β1*g1+β2*g2+β3*g3+…)*255/Ng)
fb=INT((γ1*b1+γ2*b2+γ3*b3+…)*255/Nb)
【0030】
あるいは、fr、fg及びfbのそれぞれについて複数種類の関数が用意されており、検索者のライフスタイル、家族構成に基づいていずれかの関数が選択されてもよい。例えば、以下のように構成されていてもよい。物件検索端末200において、検索者のライフスタイル等の条件も評価条件として入力される。その評価条件が物件評価装置100に送信される。一方、ライフスタイル等の条件には「独身」「子持ち家族」などの複数のカテゴリがあり、fr、fg及びfbのそれぞれについて1つの関数が各カテゴリに関連付けられている。カラー値算出部110は、複数種類の関数から、送信された評価条件に含まれるライフスタイル等のカテゴリに関連付けられた1つの関数を、fr、fg及びfbのそれぞれについて選択する。そして、カラー値算出部110は、選択した関数に基づいてR色、G色及びB色のそれぞれの成分値を算出する。
【0031】
なお、上記いずれの場合も、同じ重みに対しては検索物件に関する成分値も理想の物件に関する成分値も同じ関数を用いて算出されることになる。このことが、本発明において、色表現値算出手段における計算方法と同じ計算方法に従って基準値算出手段が色表現値を算出することに対応する。
【0032】
以下、物件検索システム1が検索者に対して理想物件や検索物件のカラー画像を表示するまでの一連の流れを、
図6を参照しつつ説明する。
【0033】
まず、検索者は、入力部201を介して物件検索端末200に検索条件を入力する(S1)。物件検索端末200は、入力された検索条件を物件データベースサーバ300に送信する(S2)。物件データベースサーバ300は、物件検索端末200からの検索条件に基づき、物件を検索する(S3)と共に、検索された物件の物件情報を物件検索端末200に送信する(S4)。次に、検索者は、入力部201を介して物件検索端末200に評価条件を入力する(S5)。物件検索端末200は、入力された評価条件及び検索物件の物件情報を物件評価装置100に送信する(S6)。物件評価装置100は、物件検索端末200から送信された物件情報及び評価条件に基づき、物件の評価を示すカラー値を算出する(S7)。そして、物件評価装置100は、検索物件及び理想の物件に関して算出したカラー値をそれぞれ物件検索端末200に送信する。物件検索端末200は、物件評価装置100から送信されたカラー値に基づき、検索物件に対応するカラー値が示す色の画像(
図5の画像222等)をディスプレイ204に表示させると共に、理想の物件に対応するカラー値が示す色の画像(
図5の画像221)をディスプレイ204に表示させる。
【0034】
以上のように、本実施形態の物件検索システム1は、理想の属性条件に対応する色と検索結果の物件に対応する色とを物件の評価結果としてそれぞれ表現する。具体的には、
図5の画像220として、理想の属性条件に対応するカラー画像と検索結果の物件に対応するカラー画像とを並べてディスプレイ204に表示する。これにより、検索者は、自らが理想とする属性条件と検索結果の物件における属性条件との差がどのようなものかを色の差を認識することで直感的に認識できる。また、「利便性」カテゴリはR色に、「快適性」カテゴリはG色に、「機能性」カテゴリはB色にそれぞれ対応付けられているため、色の成分の違いに応じて属性の差異を認識できる。例えば、主にR色に関して理想の属性と異なる物件については、理想の物件とは利便性に関して異なることが分かる。このように、基準となる理想の物件と検索結果の物件のそれぞれに関し、物件の属性を直感的に捉えることができる。また、基準となる理想の属性条件を示す画像と検索結果の物件を示す画像とが並べて表示されるため、比較による評価が容易である。このため、
図5のように複数の検索物件を評価する場合でも、各検索物件を適切かつ素早く評価しやすい。
【0035】
[変形例]
以下、上述の実施形態の変形例について説明する。
【0036】
上述の実施形態では、24ビットカラー方式のドット表現として、R,G及びBの3つの色成分が用いられている。しかし、8ビットカラー方式などの他のカラー方式が用いられてもよい。この場合、他のカラー方式に従った色表現値を属性値から算出するための、上記fr、fg及びfbに代わる関数が用いられればよい。また、R、G及びBの3つの色成分以外の別の色成分が用いられてもよい。例えば、黄色(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)が色成分として用いられてもよいし、輝度成分Y及び色差成分Cb,Crが色成分として用いられてもよい。なお、色差成分Cb,CrはB又はRとGとの差として定義される。(R,G,B)からは、所定の線形変換によって(Y,Cb,Cr)が取得される。色成分としてR、G及びB以外のものが採用される場合には、色成分値が算出されるだけでは最終的なカラー値が未だ導出されないことがある。例えば、色成分値として輝度成分Y及び色差成分Cb,Crが用いられると共に、カラー方式として24ビットカラー方式が採用される場合には、輝度成分Y及び色差成分Cb,Crに基づいてR、G及びBからなる3バイトのカラー値が算出される必要がある。この算出には、上記線形変換の逆変換が用いられる。
【0037】
また、上述の実施形態では、各色成分に複数の属性が関連付けられている。例えば、R色には利便性属性群が関連付けられている。このように、1つの色成分に複数の属性が関連付けられるのは、評価の基準となる属性が色成分(RGBの3つ)より多いためである。しかし、評価の基準となる属性の種類が少ない場合は、各色に1つの属性のみが関連付けられてもよい。例えば、R色には駅距離のみ、G色には敷地面積のみ、B色には駐車場条件のみがそれぞれ関連付けられてもよい。また、色成分のうち一部に複数の属性が関連付けられ、他の色成分に1つの属性のみが関連付けられていてもよい。
【0038】
また、上述の実施形態では、α1、β1、γ1等の重み値に関するfr、fg、fbの定義例(「fr=INT((α1*r1+α2*r2+α3*r3+…)*255/Nr)」等)が示されている。しかし、i=1,2,3…に関し、αiが大きいほどriに対するfrの変化率の絶対値が大きくなるようにfrが定義されていれば、他の定義が用いられてもよい。これにより、αiが大きいほどriの違いがR色の成分値に大きく影響するという、αiの重みとしての役割が満たされる。同様に、fgに対し、i=1,2,3…に関して、βiが大きいほどgiに対するfgの変化率の絶対値が大きくなるような他の定義が用いられてもよい。また、fbに対し、i=1,2,3…に関して、γiが大きいほどbiに対するfbの変化率の絶対値が大きくなるような他の定義が用いられてもよい。上記条件は、αi,βi,γiが大きいほど|∂fr/∂ri|,|∂fg/∂gi|,|∂fb/∂bi|が大きくなると言い換えてもよい。絶対値としているのは、例えば∂fr/∂ri<0となることも考えられるためである。具体例としては、属性値ri(>0)が、利便施設ではなく、墓地や発電所などの嫌悪施設からの距離と対応付けられている場合などである。
【0039】
また、上述の実施形態では、属性値として、0以上1以下の任意の数値となるように規格化された属性の評価値が用いられている。しかし、このような評価値ではなく、属性そのものを表す数値が用いられてもよい。例えば、ある物件の駅からの距離が250mである場合には、「250」という数値が属性値r1として直接用いられてもよい。ただし、この場合、この数値を用いてR色の成分値を適切な範囲で算出するようにR値算出部111が構成されている必要がある。例えば、frの定義や算出アルゴリズムが適切に調整されていることが必要である。また、色成分値の算出にα1、β1、γ1等の重みを用いない場合には、属性値としてあらかじめ算出した色成分値を直接用いてもよい。この場合には、R値算出部111等は、属性群における属性値の平均値等を総合的な色成分値として算出する。
【0040】
また、上述の実施形態では、
図5に示すように、理想物件や検索物件の評価が、単一色の矩形のカラー画像のみによって表現される。しかし、その他の要素を含む画像によって物件の評価が表現されてもよい。例えば、
図7(a)に示すように、「形状」の要素が画像に追加されてもよい。
図7(a)に示す4つの画像は、カラー値算出部110が算出したカラー値に対応する色によって内部が塗りつぶされた幾何図形の画像である。最も左の画像は正三角形の形状を有しており、左から3つ目までが正三角形の概形を有しているが、右に配置されたものほど角が丸みを帯びている。そして、最も右の画像はほぼ円形に近い。このように、形状を異ならせることで、色成分以外の要素によって属性を表現することができる。例えば、RGBの3色と
図7(a)のような形状の変化とを組み合わせることで4つの要素を表現できるため、4つのカテゴリの属性のそれぞれを各要素で表現できる。また、人の顔を示す画像を用いることで、顔の表情の違いによって属性値の違いが形状として表現されてもよい。
【0041】
また、互いに色が異なる複数の領域を有する画像が用いられてもよい。例えば、
図7(b)には、グラデーションを有するように内部が色分けされた矩形の画像が示されている。このうち、最も左側の色が複数の属性値からなる属性条件V1から算出されたカラー値(RGB値)であり、最も右側の色が複数の属性値からなる属性条件V2から算出されたカラー値(RGB値)であるとする。このとき、
図7(b)の画像は、V1からV2までの範囲を所定のグラデーションで示すことになる。これを利用して、例えば、検索者にとっての理想の条件を数値範囲で入力させ、その数値範囲に対応するカラー範囲を
図7(b)の画像で表現するといった方法を採用することが可能となる。このような色分け表現は、
図7(b)とは異なる形状を用いてなされてもよい。例えば、
図7(c)のように同心円状に色分けがなされてもよい。また、
図7(d)に示すように、属性条件V3からV4までの範囲をRGBの色成分に分解し、3つの色成分にxyzの3軸を対応させた立体画像で表現してもよい。
【0042】
また、上述の実施形態は、不動産物件を検索するシステムに本発明を適用した場合が想定されている。しかし、インターネット販売システムなどの他の分野のシステムに本発明が適用されてもよい。インターネット販売システムの場合、商品検索の際に本発明が応用されてもよい。例えば、ユーザが検索条件を入力して複数の商品を検索すると、その商品の情報として、商品に対応する
図5の画像221や222のような画像が表示される。このとき、画像の色は、商品の属性値から算出される。例えば、商品がパーソナルコンピュータや自動車の場合、R色に商品の「性能」が、G色に商品の「デザイン」が、B色に商品の「大きさ」が割り当てられてもよい。そして、CPUやエンジンなどの各部の性能に応じた属性値からR色の成分値が算出されればよい。また、G色及びB色についても、「デザイン」や「大きさ」に分類された属性値から成分値が算出されればよい。
【0043】
また、上述の実施形態は、ディスプレイ204に画像221や画像222を表示することで、物件の評価結果としての色を表現している。しかし、他の表示方法によって色が表現されてもよい。例えば、画像221や画像222に対応する画像をカラープリンタに用紙に印刷させることで表現させてもよい。あるいは、プロジェクターを用いて画像221や画像222に対応する画像をスクリーンに表示させてもよい。これらの場合、カラープリンタやプロジェクターが本発明の画像表示手段に対応する。また、本発明に係る「可視的ドット表現」としては、ディスプレイに表示する表現方法や用紙に印刷させる表現方法など、視覚によって認識可能な表現方法であれば、どのような表現方法が用いられてもよい。
【0044】
また、上述の実施形態は、画像220として、検索物件及び理想の物件条件の両方に対応する画像を並べてディスプレイ204に表示させる。しかし、検索物件に対応する画像のみがディスプレイ204に表示されてもよい。この場合でも、検索者は、別途印刷しておいた理想の物件条件に対応する画像とディスプレイ204に表示された画像とを比較したり、理想の物件条件に対応する画像を観察した過去の記憶に基づいてディスプレイ204に表示された画像を評価したりすることができる。
【0045】
また、上述の実施形態は、
図6に示すように、S1において検索者に検索条件を入力させた後、S3において、入力された検索条件に従って物件をある程度絞り込む。次に、S5において検索者に評価条件を入力させる。そして、S9において、S3で絞り込まれた物件に対応するカラー値が示す色の画像を表示させると共に、S5で入力された評価条件に含まれる理想物件に対応するカラー値が示す色の画像を表示する。しかし、物件の絞り込みを行わず、評価条件のみに基づいて物件を検索するように本システムが構成されていてもよい。
【0046】
例えば、以下のような構成が採用されてもよい。まず、評価条件に含まれる理想物件の条件に基づき、物件評価装置100に理想物件に対応するカラー値を算出させる。そして、算出された理想物件に対応するカラー値に基づき、物件データベースサーバ300に物件を検索させる。例えば、カラー値の算出結果が(R,G,B)=(100,50,230)という内容であった場合に、この値の上下10%の範囲である(90,45,207)〜(110,55,253)の範囲を検索条件として、この範囲に該当する物件を物件データベースサーバ300に検索させる。なお、(90,45,207)〜(110,55,253)の範囲は、物件評価装置100による算出結果である(R,G,B)=(100,50,230)に基づいて物件情報端末100又は物件データベースサーバ300が導出してもよいし、物件評価装置100が直接導出してもよい。そして、物件情報端末200が、かかる範囲に基づいて物件データベースサーバ300が検索した物件及び理想物件のそれぞれについてカラー値が示す色の画像をディスプレイ204に表示させる。このような構成の場合、物件データベースサーバ300は、カラー値を検索条件として物件を検索できるように構成されている必要がある。例えば、物件ごとにあらかじめカラー値を算出しておき、物件と関連付けてカラー値を物件データベースサーバ300に登録しておけばよい。
【0047】
なお、物件データベースサーバ300に物件を検索させる際、検索者が「利便性属性群」「快適性属性群」「機能性属性群」の各属性群をどの程度重視しているかに応じて、R、G及びBのそれぞれについて検索範囲の幅を調整できるように本システムが構成されていてもよい。例えば、「利便性属性群」「快適性属性群」「機能性属性群」の重視の度合いを検索者にそれぞれ入力させる。そして、入力させた度合いに基づき、検索者が比較的重視する属性群に対応する色の検索範囲の幅を狭く設定し、検索者が比較的重視しない属性群に対応する色の検索範囲の幅を広く設定して物件データベースサーバ300に物件を検索させてもよい。例えば、検索者が比較的、快適性属性群を重視し、利便性属性群はあまり重視しない場合には、利便性属性群に対応するRに関する検索範囲の幅を上下20%とし、快適性属性群に対応するGに関する検索範囲の幅を上下5%として、物件データベースサーバ300に物件を検索させてもよい。
【0048】
また、上述の実施形態では、カラー値算出部110が、物件検索端末200からの情報等に基づいて物件ごとにR、G及びBの各値からなる24ビットカラーの1色分のカラー値を算出する。しかし、カラー値算出部110がさらにR、G及びBのそれぞれについて数値範囲を導出し、その導出結果が物件検索端末200に送信されてもよい。数値範囲は、一例として、カラー値算出部110が算出したカラー値の前後、5〜10%であってもよい。例えば、カラー値の算出結果が(R,G,B)=(100,50,150)という内容であった場合に、その前後10%の数値範囲として(90,45,135)〜(110,55,165)が物件評価装置100から物件検索端末200へと送信されてもよい。
【0049】
また、物件検索端末200から送信された重みが考慮されつつ数値範囲が導出されてもよい。例えば、物件検索端末200から送信された重みによるとRが最も重視される場合に、残りのG及びBにおいて数値範囲が設定されてもよい。例えば、上記の通り、カラー値の算出結果が(R,G,B)=(100,50,150)であった場合、R値、G値及びB値の総和である300の10%として±30が、G値及びB値に均等に割り振られる。これにより、最終的な数値範囲として、(100,35,135)〜(100,65,165)が物件評価装置100から物件検索端末200へと送信されることになる。