特許第6100820号(P6100820)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6100820情報処理装置、ポインティングデバイスの操作方法、及びコンピュータが実行可能なプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100820
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】情報処理装置、ポインティングデバイスの操作方法、及びコンピュータが実行可能なプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0482 20130101AFI20170313BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20170313BHJP
   G06F 3/0354 20130101ALI20170313BHJP
   G06F 3/0488 20130101ALI20170313BHJP
【FI】
   G06F3/0482
   G06F3/041 595
   G06F3/0354 453
   G06F3/0488
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-47713(P2015-47713)
(22)【出願日】2015年3月10日
(65)【公開番号】特開2016-167240(P2016-167240A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2015年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】津坂 知成
【審査官】 山崎 慎一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−280019(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0225052(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/191028(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0482
G06F 3/0354
G06F 3/041
G06F 3/0488
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、
前記ディスプレイ上のポインタを移動させるためのタッチ式のポインティングデバイスと、
前記ポインティングデバイスに対するタッチ操作に応じて、前記ディスプレイに対するメニューの表示に関する操作とポインタの移動操作とを切り替える制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記ポインティングデバイスに対するタッチ操作が第1の所定時間以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第1の閾値以下である場合には、前記ディスプレイにメニューを表示し、
前記メニューを表示後に、前記ポインティングデバイスに対するタッチ操作が、第2の所定時間以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第2の閾値以下である場合には、前記メニューの表示を終了することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記メニューを表示後に、前記ポインティングデバイスに対するタッチ操作が、第2の所定時間以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第2の閾値以下でない場合には、前記タッチ操作に応じて前記メニュー上の操作を行うことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記メニューは、装置の機能を設定するためのメニューであることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記メニュー上の操作は、機能のボリューム及びON/OFFの設定の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記タッチ式のポインティングデバイスは、タッチパッド装置であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報処理装置は、クラムシェル型のノートPCであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置によって実行されるポインティングデバイスの操作方法であって、
前記ポインティングデバイスに対する操作を検出する工程と、
前記検出されたポインティングデバイスに対するタッチ操作に応じて、ディスプレイに対するメニューの表示に関する操作とポインタの移動操作とを切り替える工程と、
を含み、
前記制御する工程では、
前記ポインティングデバイスに対するタッチ操作が第1の所定時間以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第1の閾値以下である場合には、前記ディスプレイにメニューを表示し、
前記メニューを表示後に、前記ポインティングデバイスに対するタッチ操作が、第2の所定時間以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第2の閾値以下である場合には、前記メニューの表示を終了することを特徴とするポインティングデバイスの操作方法。
【請求項8】
情報処理装置に搭載されるプログラムであって、
前記ポインティングデバイスに対する操作を検出する工程と、
前記検出されたポインティングデバイスに対するタッチ操作に応じて、ディスプレイに対するメニューの表示に関する操作とポインタの移動操作とを切り替える工程と、
をコンピュータに実行させ、
前記切り替える工程では、
前記ポインティングデバイスに対するタッチ操作が第1の所定時間以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第1の閾値以下である場合には、前記ディスプレイにメニューを表示し、
前記メニューを表示後に、前記ポインティングデバイスに対するタッチ操作が、第2の所定時間以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第2の閾値以下である場合には、前記メニューの表示を終了することを特徴とするコンピュータが実行可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、ポインティングデバイスの操作方法、及びコンピュータが実行可能なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ノート型パソコンでは、入力装置として、キーボード等に加え、各種のタッチ式のポインティングデバイスが用いられている。これらのタッチ式のポインティングデバイスは、主として画面上のポインタ(マウスカーソル)を移動させるために用いられる。
【0003】
このうち、例えば、タッチパッド装置は、平板状のセンサーと人体の指で構成されるコンデンサが、センサー表面のどの位置に存在するかを微弱な静電容量の変化として検出し、センサーの表面をなぞった指の軌跡を、画面上のポインタの動作に関連づけるものである。
【0004】
タッチパッド装置等のタッチ式のポインティングデバイスは、基本的にポインタを移動させる用途で使用されるが、ポインタの移動用途以外にもユーザにとって便利な機能を搭載することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−1498号公報
【特許文献2】特開2011−107785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、タッチ式のポインティングデバイスに便利な機能を搭載することが可能な情報処理装置、ポインティングデバイスの操作方法、及びコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ディスプレイと、前記ディスプレイ上のポインタを移動させるためのタッチ式のポインティングデバイスと、前記ポインティングデバイスに対するタッチ操作に応じて、前記ディスプレイに対するメニューの表示に関する操作とポインタの移動操作とを切り替える制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記制御手段は、前記ポインティングデバイスに対するタッチ操作が第1の所定時間以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第1の閾値以下である場合には、前記ディスプレイにメニューを表示することが望ましい。
【0009】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記制御手段は、前記ポインティングデバイスに対するタッチ操作が第1の所定時間以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第1の閾値以下でない場合には、前記タッチ操作に応じた通常のポインタの移動操作を行うことが望ましい。
【0010】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記制御手段は、前記メニューを表示後に、前記ポインティングデバイスに対するタッチ操作が、第2の所定時間以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第2の閾値以下である場合には、前記メニューの表示を終了することが望ましい。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記制御手段は、前記メニューを表示後に、前記ポインティングデバイスに対するタッチ操作が、第2の所定時間以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第2の閾値以下でない場合には、前記タッチ操作に応じて前記メニュー上の操作を行うことが望ましい。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記メニューは、装置の機能を設定するためのメニューであることが望ましい。
【0013】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記メニュー上の操作は、機能のボリューム及びON/OFFの設定の少なくとも1つを含むことが望ましい。
【0014】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記タッチ式のポインティングデバイスは、タッチパッド装置であることが望ましい。
【0015】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記情報処理装置は、クラムシェル型のノートPCであることが望ましい。
【0016】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、情報処理装置によって実行されるポインティングデバイスの操作方法であって、前記ポインティングデバイスに対する操作を検出する工程と、前記検出されたポインティングデバイスに対する操作が第1の操作であるか否かを判定する工程と、前記第1の操作であると判定された場合に、ディスプレイに対してメニュー表示を行う工程と、前記第1の操作でないと判定された場合に、前記検出されたポインティングデバイスに対する操作に応じて、ポインタの移動操作を行う工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、情報処理装置に搭載されるプログラムであって、前記ポインティングデバイスに対する操作を検出する工程と、前記検出されたポインティングデバイスに対する操作が第1の操作であるか否かを判定する工程と、前記第1の操作であると判定された場合に、ディスプレイに対してメニューの表示を行う工程と、前記第1の操作でないと判定された場合に、前記検出されたポインティングデバイスに対する操作に応じて、ポインタの移動操作を行う工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、タッチ式のポインティングデバイスに便利な機能を搭載することが可能な情報処理装置を提供することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施の形態に係る情報処理装置を適用したノート型PCの概略の外観図である。
図2図2は、図1のノート型PCの概略のハードウェア構成例を示す図である。
図3図3は、図2のノート型PC1のタッチパッド装置の操作に応じたポインタ移動操作とメニュー表示の切り替えに関する機能構成を模式的に示す図である。
図4図4は、タッチパッド装置に対する操作に応じて表示されるメニューの一例を示す図である。
図5図5は、メニューの各機能の項目で機能を設定するためのウィンドウの一例を示す図である。
図6図3のノート型PCにおいて、タッチパッド装置の操作に応じて、メニュー表示に関する操作とポインタの移動に関する操作(通常のタッチパッドの操作)を切り替える処理を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、上記タッチパッド装置に対するユーザの操作例と表示デバイスの表示例を説明するための図である。
図8】変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態)
以下、本実施の形態にかかる情報処理装置、ポインティングデバイスの操作方法、及びコンピュータが実行可能なプログラムについて説明する。本発明の構成要素は、本明細書の図面に一般に示してあるが、様々な構成で広く多様に配置し設計してもよいことは容易に理解できる。したがって、本発明の装置、方法、及びプログラムの実施の形態についての以下のより詳細な説明は、特許請求の範囲に示す本発明の範囲を限定するものではなく、単に本発明の選択した実施の形態の一例を示すものであって、本明細書の特許請求の範囲に示す本発明と矛盾無く装置、システム及び方法についての選択した実施の形態を単に示すものである。当業者は、特定の細目の1つ以上が無くても、又は他の方法、部品、材料でも本発明を実現できることが理解できる。
【0021】
図1は、実施の形態に係る情報処理装置を適用したノート型PCの概略の外観図である。本実施の形態に係るノート型PC1は、図1に示すように、クラムシェル型のノートPCとなっており、略直方体である本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3を備えている。本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3は、それぞれの端部で左右の一対の連結部(ヒンジ部)4a、4bによって連結されており、連結部4a、4bは、これらの筐体を開閉自在に支持している。
【0022】
ディスプレイ側筐体3は、本体側筐体2からの指令に応じて、各種の情報が表示される表示デバイス5を備えている。本体側筐体2は、その上面に、キーボード7、タッチ式のポインティングデバイスであるタッチパッド装置8、左クリックボタン9a、及び右クリックボタン9b等を有する入力部6と、左右のスピーカ10a、10bを備えている。
【0023】
タッチパッド装置8は、例えば、静電容量式のタッチパッドで構成されており、タッチ座標を検出可能な構成となっている。タッチパッド装置8は、ポインタの移動機能に加えて、左クリック機能及び右クリック機能を備えた、いわゆるクリックパッドを使用してもよい。
【0024】
本実施の形態では、タッチパッド装置8に、ポインタの移動機能に加えて、メニュー表示機能も搭載して、ユーザビリティの高いタッチパッド装置8を提供する。
【0025】
図2は、図1のノート型PC1の概略のハードウェア構成例を示す図である。ノート型PC1は、同図に示すように、CPU11、ROM12、メモリ13、HDD(ハードディスク)14、グラフィクスアダプタ15、表示デバイス5、キーボード7・タッチパッド装置8・左右のクリックボタン9a,9bを備えた入力部6、バッテリ21、DC−DCコンバータ22、ACアダプタ23、及び、左右のスピーカ10a、10b等を備えており、各部はバスを介して直接又は間接的に接続されている。
【0026】
CPU11は、バスを介して接続されたHDD14に格納されたOS30によりノート型PC1全体の制御を行うとともに、HDD14に格納された各種のプログラムに基づいて処理を実行する機能を司る。ROM12は、BIOS(Basic Input/Output System:基本入出力システム)12aやデータ等を格納している。
【0027】
メモリ13は、キャッシュメモリやRAMで構成されており、CPU11の実行プログラムの読み込み領域や、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。
【0028】
HDD(ハードディスク)14は、ノート型PC1の全体の制御を行うためのOS30、ハードウェアを制御する各種ドライバ31,OS30の機能の拡張等を行うためのユーティリティプログラム32、及び特定業務に向けられたアプリケーションプログラム33等を記憶する機能を有する。
【0029】
OS30は、ノート型PC1の基本的な動作を制御しているものであり、各種資源を管理し、例えば、アプリケーションプログラム33が発生した命令を、ドライバ31やBIOS12aに伝える。また、OS30は、マルチタスク機能及びマルチウィンドウ機能を有し、アプリケーションプログラム33の実行コンテキスト(あるアプリケーションプログラム33が利用しているレジスタセットやメインメモリイメージ、ファイルハンドルなど)やGUIの部品などのソフトウェア資源の管理も行う。OS30としては、例えば、Windows(登録商標)XP、Windows(登録商標)vista、Windows(登録商標)7、Windows(登録商標)8等を使用することができる。
【0030】
各種ドライバ31は、周辺機器類をハードウェア操作するためのものであり、例えば、表示デバイス5に画像を表示させるための表示ドライバ、キーボード7、タッチパッド装置8,及び左右のクリックボタン9a,9bを動作させるための入力ドライバ、左右のスピーカ10a、10bを動作させるためのオーディオドライバ等を備えている。
【0031】
入力ドライバは、文字、コマンド等を入力する各種キーより構成されるキーボード7の動作の制御、画面上のポインタを移動させたり、各種メニューを選択するタッチパッド装置8の動作、左クリック及び右クリックを行うための左クリックボタン9a及び右クリックボタン9bの動作を制御する。
【0032】
HDD14にインストールされたOS30、ドライバ31,ユーティリティプログラム32、及びアプリケーションプログラム33は、メモリ13に読み込まれ、CPU11によって実行される。アプリケーションプログラム33、ユーティリティプログラム32、及びドライバ31の間のデータ又はコマンドの送受信には、OS30が介在する。
【0033】
グラフィックスアダプタ15は、CPU11の制御に従って、描画情報をビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号を表示デバイス5に出力するためのものであり、描画情報が書き込まれるVRAM15aやVRAM15aに書き込まれた描画情報をビデオ信号に変換して、表示デバイス5に出力するグラフィックスチップ等を備えている。
【0034】
表示デバイス5は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、及びCRT等であり、CPU11により制御され、グラフィックスアダプタ15から入力されるビデオ信号に応じた各種情報を表示する。
【0035】
ACアダプタ23は、商用電源に接続して、AC電圧をDC電圧に変換してDC−DCコンバータ22に出力する。DC−DCコンバータ22は、ACアダプタ23から供給されるDC電圧を所定の電圧に変換して各部に電力を供給し、また、バッテリ21の充電を行う。バッテリ21は、DC−DCコンバータ22により充電され、ACアダプタ23が装着されていない場合に、充電した電圧を各部に供給する。
【0036】
図3は、図2のノート型PC1において、タッチパッド装置8の操作に応じたポインタ移動操作とメニュー表示の切り替えに関する機能構成を模式的に示す図である。
【0037】
入力ドライバ31aは、タッチパッド装置8でユーザのタッチ操作により検出されたタッチ座標をOS30に出力する。また、入力ドライバ31aは、タッチパッド装置8に対するユーザの操作に応じてメニュー(図4参照)の表示や終了の指示をOS30に出力する。例えば、入力ドライバ31aは、タッチパッド装置8がタッチされ、そのタッチが、第1の所定時間t1(例えば、2sec)以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第1の閾値以下である場合(第1の操作)には、OS30にメニューを表示する指示を出力する。また、入力ドライバ31aは、メニュー表示後に、タッチパッド装置8に対するタッチが第2の所定時間t2(例えば、2sec)以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第2の閾値以下でない場合には、メニューの表示を終了する指示をOS30に出力する。また、入力ドライバ31aは、左クリックボタン9aや右クリックボタン9が押下された場合に、左クリック信号や右クリック信号をOS30に出力する。
【0038】
OS30は、表示ドライバ31b及びグラフィックスアダプタ15を介して、表示デバイス5への各種情報やポインタの表示を制御する。OS30は、入力ドライバ31aから入力されるタッチパッド装置8のタッチ座標に応じて、表示デバイス5上のポインタの表示位置を制御(変更)する。また、OS30は、入力ドライバ31aからのメニューの表示や終了の指示に応じて、表示デバイス5へのメニューの表示や終了を行う。OS30は、このメニュー上でのユーザのタッチパッド装置8や左右のクリックボタン9a、9bの操作に応じたメニューの操作(処理)を行う。表示するメニューは、例えば、FnキーメニューやLouncher等としてもよい。
【0039】
なお、ここでは、タッチパッド装置8の操作に応じたポインタ移動操作とメニュー表示の切り替え処理を、主として入力ドライバ31aとOS30で実行することにしたが、これに限られるものではなく、アプリケーションプログラム33やユーティリティプログラム32等が実行することにしてもよい。
【0040】
図4は、タッチパッド装置8に対する操作に応じて表示される上記メニューの一例を示す図である。図5は、メニューの各項目で内容を設定するためのウィンドウ51の一例を示す図である。図5に示す例では、メニューの各項目について内容を設定するためのウィンドウを全て表示しているが、実際には、選択した項目に対応するウィンドウのみが表示される。
【0041】
タッチパッド装置8の操作により、表示デバイス5には、例えば、図4に示すような各種機能を設定するためのメニュー50が表示される。メニュー50には、「Password Lock」、「Suspend」、「Wireless」、「Brightness」、及び「Volume」等の各機能の項目が表示されている。ユーザは、メニュー50で設定したい項目にポインタを移動させて、左クリックボタン10aを押したり、ポインタを上の方に移動させると、その項目が選択され、当該選択された項目の内容を設定するためのウィンドウ51が表示される。「Password Lock」の項目には、Password LockのON/OFFを設定するためのボタンスイッチを含むウィンドウ、「Suspend」の項目には、SuspendのON/OFFを設定するためのボタンスイッチを含むウィンドウ、「Wireless」の項目には、Wireless通信のON/OFFを設定するためのボタンスイッチを含むウィンドウ、「Brightness」の項目には、明るさボリュームを設定するためのバーを含むウィンドウ、「Volume」の項目には、音声ボリュームを設定するためのバーを含むウィンドウが表示される。ユーザは、このウィンドウで、タッチパッド装置8や左右のクリックボタン9a、9bを操作することで、当該機能の内容を設定することができ、OS30は設定された内容に従った操作(処理)を行う。
【0042】
図6は、図3のノート型PC1において、タッチパッド装置8の操作に応じて、メニュー表示に関する操作とポインタの移動に関する操作(通常のタッチパッドの操作)を切り替える処理を説明するためのフローチャートである。
【0043】
図6において、まず、入力ドライバ31aは、タッチパッド装置8がタッチされたか否かを判定する(ステップS1)。タッチパッド装置8がタッチされた場合には(ステップS1の「Yes」)、入力ドライバ31aは、タッチが第1の所定時間t1(例えば、2sec)以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第1の閾値以下であるか否かを判断する(ステップS2)。すなわち、指を動かさない状態が第1の所定時間t1継続したかを判断する。
【0044】
タッチが第1の所定時間t1(例えば、2sec)以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第1の閾値以下でない場合には(ステップS2の「No」)、OS30は、通常のタッチパッドの操作を行い、タッチ位置の移動に応じてポインタを移動させる(ステップS11)。この後、処理はステップS2に戻る。
【0045】
他方、タッチが第1の所定時間以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第1の閾値以下である場合には(ステップS2の「Yes」)、入力ドライバ31aは、OS30にメニューの表示を指示し、これに応じて、OS30は、メニュー(図4参照)を表示する(ステップS3)。
【0046】
入力ドライバ31aは、メニューの表示後に、タッチが第2の所定時間t2(例えば、2sec)以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第2の閾値以下であるか否かを判断する(ステップS4)。タッチが第2の所定時間t2以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第2の閾値以下でない場合には(ステップS4の「No」)、OS30では、ユーザのタッチパッド装置8や左右のクリックボタン9a、9bの操作に応じて、メニューの操作(処理)が行われる(ステップS7)。そして、入力ドライバ31aは、指がタッチパッド装置8から離れるのを検出すると(ステップS8の「Yes」)、OS30にメニューの表示の終了を指示し、これに応じて、OS30は、メニューの表示を終了し(ステップS9)、処理はステップS1に戻る。
【0047】
他方、ステップS4において、タッチが第2の所定時間t2(例えば、2sec)以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第2の閾値以下である場合には(ステップS4の「Yes」)、入力ドライバ31aは、OS30にメニューの表示の終了を指示し、これに応じて、OS30は、メニューの表示を終了し(ステップS5)、処理はステップS2に戻る。
【0048】
図7は、上記タッチパッド装置8に対するユーザの操作例と表示デバイス5の表示例を説明するための図である。図7において、まず、表示デバイス5には、ポインタPが表示されているものとして説明する(D111)。ユーザがタッチパッド装置8を指でタッチして(T101)、第1の所定時間t1内に指を動かすと(T104)、指の移動に応じて、ポインタPの表示が移動する(114)。これは、通常のタッチパッドの操作である。ユーザは、第1の所定時間t1以上、指を同じ位置に置かない場合は、通常のタッチパッドの操作を行うことができる。
【0049】
他方、ユーザがタッチパッド装置8を指でタッチして、第1の所定時間t1以上指を動かさないと(T102)、メニューが表示される(D112)。ユーザは、第2の所定時間t2以内に指を動かして(T103)、表示メニューでメニューの操作を行うことができる(D113)。例えば、ポインタPをメニューの「Brightness」に移動させて、ポインタPを上の方に移動させると、その明るさのボリュームを設定するためのバーを含むウィンドウが表示され、そのバーで明るさを設定することができる。ユーザが指を離すと、メニューの表示が終了する。
【0050】
他方、メニューを表示後に、指を第2の所定時間t2以上動かさないと(T105)、メニューの表示が終了する(D111)。ユーザは、自分の意図に反してメニューが表示された場合には、同じ位置で指を第2の所定時間t2動かさないことにより、メニューの表示を終了させることができる。
【0051】
(変形例)
図8は、変形例を説明するための図である。入力ドライバ31a及び/又はOS31は、タッチパッド装置8の各領域とメニュー50の各項目とを対応づけておき、タッチパッド8に対するタッチが第1の所定時間t1(例えば、2sec)以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第1の閾値以下である場合に、そのタッチされた領域に対応するメニューの項目にポイントPを表示すると共に、対応するウィンドウを直接表示することにしてもよい。例えば、図8に示すように、タッチパッド装置8の領域A1,A2,A3,A4,A5に、メニューの「Password Lock」、「Suspend」、「Wireless」、「Brightness」、及び「Volume」の項目をそれぞれ対応させておく。例えば、タッチパッド装置8の領域A3に対するタッチが第1の所定時間t1(例えば、2sec)以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第1の閾値以下である場合には、メニューを表示し、更に、領域Aに対応する「Wireless」にポイントPを表示すると共に、WireLess通信のON/OFFを設定するためのウィンドウを直接表示することにしてもよい。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態によれば、入力ドライバ31a及びOS30は、タッチパッド装置8に対するタッチ操作に応じて、表示ディスプレイ5に対するメニュー表示に関する操作とポインタの移動操作とを切り替えることとしたので、タッチパッド装置を操作するだけで、ポインタの移動に加えてメニュー表示も行うことができ、タッチパッド装置に便利な機能を搭載することが可能となる。付言すると、ユーザはタッチパッド装置を操作するだけで、ポインタの移動とメニューの表示とを行うことが可能となる。
【0053】
また、本実施の形態によれば、タッチパッド装置8に対するタッチ操作が第1の所定時間以t1上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第1の閾値以下である場合には、表示ディスプレイ5にメニューを表示することとしたので、ユーザは、タッチパッド装置をタッチして、指を第1の所定時間t1以上動かさないようにすることで、メニューを表示することができ、簡単な操作でメニューを表示することが可能となる。
【0054】
また、本実施の形態によれば、タッチパッド装置8に対するタッチ操作が第1の所定時間t1以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が閾値以下でない場合には、タッチ操作に応じた通常のポインタの移動操作を行うこととしたので、ユーザは、第1の所定時間t1以内にタッチ位置を移動させることにより、通常のタッチパッド装置の操作を行うことが可能となる。
【0055】
また、本実施の形態によれば、メニューを表示後に、第2の所定時間t2内にタッチ位置が移動した場合には、タッチ操作に応じたメニュー上の操作を行うこととしたので、ユーザは、メニューを表示後に、第2の所定時間t2内にタッチ位置を移動させることにより、メニュー上の操作を行うことが可能となる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、メニューを表示後に、第2の所定時間t2以上継続し、かつ、そのタッチ位置の変化が第2の閾値以下である場合には、メニューの表示を終了することとしたので、ユーザの意図に反して、メニューが表示された場合でも、メニューを表示後に、指を第2の所定時間t2動かさないことにより、メニューの表示を終了させることが可能となる。
【0057】
また、本実施の形態によれば、メニュー上の操作は、機能のボリュームやON/OFFの設定であるとしたので、ユーザは表示メニューで機能のボリュームやON/OFFを設定することが可能となる。
【0058】
なお、上記実施の形態では、タッチ式のポインティングデバイスとして、タッチパッド装置を使用した例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、他のタッチ式のポインティングデバイスにも適用でき、例えば、トラックポイント等にも適用可能である。
【0059】
また、上記実施の形態では、メニュー50として機能を設定するためのメニューを表示することとしたが、他のメニューを表示することにしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 ノート型PC
2 本体側筐体
3 ディスプレイ側筐体
4a,4b 連結部
5 表示デバイス
6 入力部
7 キーボード
8 タッチパッド装置
9a,9b クリックボタン
10a,10b スピーカ
11 CPU
12 ROM
12a BIOS
13 メモリ
14 HDD(ハードディスク)
15 グラフィックスアダプタ
15a VRAM
21 バッテリ
22 DC−DCコンバータ
23 ACアダプタ
30 OS
31 ドライバ
31a 入力ドライバ
31b 表示ドライバ
32 ユーティリティプログラム
33 アプリケーションプログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8