特許第6100827号(P6100827)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6100827有機ランキンサイクル作動流体として有用なクロロ−及びブロモ−フルオロオレフィン化合物
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  • 特許6100827-有機ランキンサイクル作動流体として有用なクロロ−及びブロモ−フルオロオレフィン化合物 図000016
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100827
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】有機ランキンサイクル作動流体として有用なクロロ−及びブロモ−フルオロオレフィン化合物
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20170313BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   C09K5/04 C
   F25B1/00 396A
   F25B1/00 396U
【請求項の数】38
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-94865(P2015-94865)
(22)【出願日】2015年5月7日
(62)【分割の表示】特願2011-539750(P2011-539750)の分割
【原出願日】2009年12月4日
(65)【公開番号】特開2015-221896(P2015-221896A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2015年6月4日
(31)【優先権主張番号】61/120,125
(32)【優先日】2008年12月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/351,807
(32)【優先日】2009年1月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/630,647
(32)【優先日】2009年12月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ザイホウスキ,ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】ハルス,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ネアー,ハリダサン・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ナレワジェク,デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】シン,ラジヴ・アール
【審査官】 中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07438825(US,B1)
【文献】 特表2008−524433(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/121783(WO,A1)
【文献】 米国特許第07442321(US,B1)
【文献】 米国特許第07438826(US,B1)
【文献】 特開平11−279088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K5/00−5/20、
F25B1/00−7/00、
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温熱源を用いて作動流体を気化させ;
得られた蒸気を膨張させ、次に冷熱源を用いて冷却して蒸気を凝縮させ;そして
凝縮した作動流体をポンプ移送する;
ことを含み、作動流体が1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(Z)、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)又はこれらの組合せからなる、ランキンサイクルで熱エネルギーを機械エネルギーに変換する方法。
【請求項2】
前記作動流体が1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
温熱源を用いて作動流体を気化させ;
得られた蒸気を膨張させ、次に冷熱源を用いて冷却して蒸気を凝縮させ;そして
凝縮した作動流体をポンプ移送する;
ことを含み、作動流体が、更なるヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロフルオロカーボン、ブロモフルオロオレフィン、フッ素化ケトン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロフルオロオレフィンエーテル、ヒドロクロロフルオロオレフィンエーテル、又は炭化水素の1種以上と組み合わせて、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)からなる、ランキンサイクルで熱エネルギーを機械エネルギーに変換する方法。
【請求項4】
温熱源を用いて作動流体を気化させ;
得られた蒸気を膨張させ、次に冷熱源を用いて冷却して蒸気を凝縮させ;そして
凝縮した作動流体をポンプ移送する;
ことを含み、作動流体が、HFC−245fa、HFC−365mfc、HFE−7100、Novec 1230、HFC−43−10mee、又はHFC−365mfc及びHT55ペルフルオロポリエーテルの組み合わせと組み合わせて、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)からなる、ランキンサイクルで熱エネルギーを機械エネルギーに変換する方法。
【請求項5】
前記温熱源が130℃の温度で運転できるボイラーである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記冷熱源が45℃の温度で運転できる凝縮器である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
作動流体を気化させて作動流体の加圧蒸気を形成するのに十分な温度に作動流体を加熱し;そして
作動流体の加圧蒸気によって機械的仕事を行わせる;
ことを含み、
作動流体が1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(Z)、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)又はこれらの組合せからなる、熱エネルギーを機械エネルギーに変換する方法。
【請求項8】
前記作動流体が1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)からなる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
作動流体を気化させて作動流体の加圧蒸気を形成するのに十分な温度に作動流体を加熱し;そして
作動流体の加圧蒸気によって機械的仕事を行わせる;
ことを含み、
作動流体が、更なるヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロフルオロカーボン、ブロモフルオロオレフィン、フッ素化ケトン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロフルオロオレフィンエーテル、ヒドロクロロフルオロオレフィンエーテル、又は炭化水素の1種以上と組み合わせて、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)からなる、熱エネルギーを機械エネルギーに変換する方法。
【請求項10】
作動流体を気化させて作動流体の加圧蒸気を形成するのに十分な温度に作動流体を加熱し;そして
作動流体の加圧蒸気によって機械的仕事を行わせる;
ことを含み、
作動流体が、HFC−245fa、HFC−365mfc、HFE−7100、Novec 1230、HFC−43−10mee、又はHFC−365mfc及びHT55ペルフルオロポリエーテルの組み合わせと組み合わせて、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)からなる、熱エネルギーを機械エネルギーに変換する方法。
【請求項11】
前記作動流体が130℃の温度で運転できるボイラーで加熱される、請求項7〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記作動流体が45℃の温度で運転できる凝縮器で凝縮される、請求項7〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記作動流体が不燃性である、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記熱エネルギーが、工業廃熱、太陽エネルギー、地熱熱水、低圧蒸気、燃料電池、或いはタービン、マイクロタービン、又は内燃エンジンのような原動機を用いる分散発電装置から選ばれる低グレードの熱エネルギー源によって与えられる、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記低圧蒸気が、低圧地熱蒸気(1次配置又は2次配置)であるか、又は、化石燃料で駆動される発電プラントによって与えられる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1の動力サイクル及び第2の動力サイクルを含み、第1の動力サイクルにおいては高温の水蒸気又は有機作動流体蒸気を含む第1の作動流体を用い、第2の動力サイクルにおいては第2の作動流体を用いて熱エネルギーを機械エネルギーに変換し、第2の動力サイクルが
第2の作動流体を加熱して加圧蒸気を形成し;そして
第2の作動流体の加圧蒸気によって機械的仕事を行わせる;
ことを含み、
第2の作動流体が1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(Z)、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)又はこれらの組合せからなる、2元動力サイクル方法。
【請求項17】
前記第2の作動流体が1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)からなる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第1の動力サイクル及び第2の動力サイクルを含み、第1の動力サイクルにおいては高温の水蒸気又は有機作動流体蒸気を含む第1の作動流体を用い、第2の動力サイクルにおいては第2の作動流体を用いて熱エネルギーを機械エネルギーに変換し、第2の動力サイクルが
第2の作動流体を加熱して加圧蒸気を形成し;そして
第2の作動流体の加圧蒸気によって機械的仕事を行わせる;
ことを含み、
第2の作動流体が、更なるヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロフルオロカーボン、ブロモフルオロオレフィン、フッ素化ケトン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロフルオロオレフィンエーテル、ヒドロクロロフルオロオレフィンエーテル、又は炭化水素の1種以上と組み合わせて、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)からなる、2元動力サイクル方法。
【請求項19】
第1の動力サイクル及び第2の動力サイクルを含み、第1の動力サイクルにおいては高温の水蒸気又は有機作動流体蒸気を含む第1の作動流体を用い、第2の動力サイクルにおいては第2の作動流体を用いて熱エネルギーを機械エネルギーに変換し、第2の動力サイクルが
第2の作動流体を加熱して加圧蒸気を形成し;そして
第2の作動流体の加圧蒸気によって機械的仕事を行わせる;
ことを含み、
第2の作動流体が、HFC−245fa、HFC−365mfc、HFE−7100、Novec 1230、HFC−43−10mee、又はHFC−365mfc及びHT55ペルフルオロポリエーテルの組み合わせと組み合わせて、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)からなる、2元動力サイクル方法。
【請求項20】
前記第2の作動流体が130℃の温度で運転できるボイラーで加熱される、請求項16〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記第2の作動流体が45℃の温度で運転できる凝縮器で凝縮される、請求項16〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記第2の作動流体が不燃性である、請求項16〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記熱エネルギーが、工業廃熱、太陽エネルギー、地熱熱水、低圧蒸気、燃料電池、或いはタービン、マイクロタービン、又は内燃エンジンのような原動機を用いる分散発電装置から選ばれる低グレードの熱エネルギー源によって与えられる、請求項16〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記低圧蒸気が、低圧地熱蒸気(1次配置又は2次配置)であるか、又は、化石燃料で駆動される発電プラントによって与えられる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ランキンサイクルシステム及び第2のループを含み;第2のループが、熱源とランキンサイクルシステムとの間に、ランキンサイクルシステム及び熱源と流体連絡して配置されている、有機ランキンサイクルシステムの作動流体を熱源の温度に曝露することなく熱を熱源からランキンサイクルシステムに伝達させるための熱的に安定な顕熱伝達流体を含み;
ランキンサイクルシステム作動流体が、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(Z)、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)又はこれらの組合せからなる、熱エネルギーを機械エネルギーに変換する方法。
【請求項26】
前記ランキンサイクルシステム作動流体が1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)からなる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ランキンサイクルシステム及び第2のループを含み;第2のループが、熱源とランキンサイクルシステムとの間に、ランキンサイクルシステム及び熱源と流体連絡して配置されている、有機ランキンサイクルシステムの作動流体を熱源の温度に曝露することなく熱を熱源からランキンサイクルシステムに伝達させるための熱的に安定な顕熱伝達流体を含み;
ランキンサイクルシステム作動流体が、更なるヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロフルオロカーボン、ブロモフルオロオレフィン、フッ素化ケトン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロフルオロオレフィンエーテル、ヒドロクロロフルオロオレフィンエーテル、又は炭化水素の1種以上と組み合わせて、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)からなる、熱エネルギーを機械エネルギーに変換する方法。
【請求項28】
ランキンサイクルシステム及び第2のループを含み;第2のループが、熱源とランキンサイクルシステムとの間に、ランキンサイクルシステム及び熱源と流体連絡して配置されている、有機ランキンサイクルシステムの作動流体を熱源の温度に曝露することなく熱を熱源からランキンサイクルシステムに伝達させるための熱的に安定な顕熱伝達流体を含み;
ランキンサイクルシステム作動流体が、HFC−245fa、HFC−365mfc、HFE−7100、Novec 1230、HFC−43−10mee、又はHFC−365mfc及びHT55ペルフルオロポリエーテルの組み合わせと組み合わせて、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)からなる、熱エネルギーを機械エネルギーに変換する方法。
【請求項29】
前記温熱源が、130℃の温度で運転できるボイラーである、請求項25〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記ランキンサイクルシステム作動流体が不燃性である、請求項25〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記熱エネルギーが、工業廃熱、太陽エネルギー、地熱熱水、低圧蒸気、燃料電池、或いはタービン、マイクロタービン、又は内燃エンジンのような原動機を用いる分散発電装置から選ばれる低グレードの熱エネルギー源によって与えられる、請求項25〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記低圧蒸気が、低圧地熱蒸気(1次配置又は2次配置)であるか、又は、化石燃料で駆動される発電プラントによって与えられる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記機械エネルギーが電気装置に送られて電力を生成させる、請求項1〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(Z)、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)又はこれらの組合せからなる流体の、有機ランキンサイクル作動流体としての使用。
【請求項35】
前記流体が1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)からなる、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
更なるヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロフルオロカーボン、ブロモフルオロオレフィン、フッ素化ケトン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロフルオロオレフィンエーテル、ヒドロクロロフルオロオレフィンエーテル、又は炭化水素の1種以上と組み合わせて、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)からなる流体の、有機ランキンサイクル作動流体としての使用。
【請求項37】
HFC−245fa、HFC−365mfc、HFE−7100、Novec 1230、HFC−43−10mee、又はHFC−365mfc及びHT55ペルフルオロポリエーテルの組み合わせと組み合わせて、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)からなる流体の、有機ランキンサイクル作動流体としての使用。
【請求項38】
前記作動流体が不燃性である、請求項34〜37のいずれかに記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[01]本発明は、概して有機ランキンサイクル作動流体に関する。より詳しくは、本発明
は有機ランキンサイクル作動流体としてのクロロ−及びブロモ−フルオロオレフィンに関
する。
【背景技術】
【0002】
[02]水は、通常は蒸気の形態で、熱エネルギーを機械エネルギーに変換するために用い
られる群を抜いて最も通常的に用いられている作動流体である。これは、部分的にはその
広い入手可能性、低いコスト、熱安定性、非毒性、及び広い可能作動範囲のためである。
しかしながら、海洋熱エネルギー変換(OTEC)システムのような特定の用途において
は、アンモニアのような他の流体が用いられている。幾つかの場合においては、ガスター
ビンからの排ガスのような廃熱からエネルギーを回収するためにCFC−113のような
流体が用いられている。他の可能性は、高い温度/圧力の第1段階に関しては水、及びよ
り低温の第2段階に関してはより揮発性の低い流体のような2種類の作動流体を用いるこ
とである。これらのハイブリッド動力システム(2元動力システムとも通常的に呼ばれる
)は、水及び/又は蒸気のみを用いる場合よりも効率的である可能性がある。
【0003】
[03]安全で信頼性のある動力源を達成するために、例えばデータセンター、軍事施設、
政府庁舎、及びホテルにおいては分散発電システムが用いられている。停電を防ぐように
設計された装置が作動不良になった場合に起こる可能性がある広範囲のカスケード停電な
どのグリッド電力の損失を併発する可能性がある供給損失を防ぐために、分散発電を用い
ることが増加すると思われる。通常は、ガスマイクロタービンのような施設内原動機によ
って発電機を駆動して、施設内での使用のための電力を生成させる。このシステムはグリ
ッドに接続されるか、又は幾つかの場合においてはグリッドと独立して配設することがで
きる。同様に、分散発電においては、異なる燃料源で運転することができる内燃エンジン
が用いられる。燃料電池も分散発電のために商業化されている。これらの源からの廃熱、
並びに工業運転からの廃熱、埋立地のフレア、並びに太陽及び地熱源からの熱を熱エネル
ギー変換のために用いることができる。低グレード〜中グレードの熱エネルギーを利用で
きる場合に関しては、通常はランキンサイクルにおいて(水の代わりに)有機作動流体を
用いる。有機作動流体を使用するのは、概して、これらの低い温度において水を作動流体
として用いた場合に提供することが必要な大きな体積(大きな装置の寸法)のためである
【0004】
[04]熱源の温度とシンクの温度との間の差がより大きいと、有機ランキンサイクルの熱
力学的効率はより高くなる。したがって、有機ランキンサイクルシステムの効率は、作動
流体を熱源の温度に合致させる能力によって影響を受ける。作動流体の蒸発温度が熱源の
温度により近いと、効率がより高くなる。作動流体の臨界温度がより高いと、達成するこ
とができる効率がより高くなる。しかしながら、実施上は、作動流体の選択に関しては熱
安定性、可燃性、及び材料適合性についても考察しなければならない。例えば、高温の廃
熱源を利用可能にするためには、作動流体としてトルエンがしばしば用いられる。しかし
ながら、トルエンは可燃性で、毒性の問題点を有する。175°F〜500°F(79℃
〜260℃)の温度範囲においては、HCFC−123(1,1−ジクロロ−2,2,2
−トリフルオロエタン)及びHFC−245fa(1,1,1,3,3−ペンタフルオロ
プロパン)のような不燃性の流体が用いられる。しかしながら、HCFC−123は比較
的低い許容被曝量を有しており、300°Fより低い温度で毒性のHCFC−133aを
形成することが知られている。熱分解を防ぐためには、HCFC−123は200°F〜
250°F(93℃〜121℃)の蒸発温度に制限される可能性がある。これによってサ
イクル効率及び仕事の出力量が制限される。HFC−245faの場合には、臨界温度は
最適値よりも低い。遷移臨界サイクルを用いるためにより強靱な装置を用いない限りは、
HFC−245fa有機ランキンサイクルは309°F(154℃)の臨界温度より低く
保持する。有機ランキンサイクルの有用な仕事の出力量力及び/又は効率をHCFC−1
23及びHFC−245faに関して上記した制限を超えて増大させるために、ガスター
ビン及び内燃エンジンの排ガスのような利用可能な熱源の温度により密に近づけることが
できるようにより高い臨界温度を有する作動流体を見出すことが必要になっている。
【0005】
[05]HFC(ヒドロフルオロカーボン)として知られている種類の化学物質の特定の群
が、CFC(クロロフルオロカーボン)及びHCFC(ヒドロクロロフルオロカーボン)
として知られている化合物に対する代替物として研究されている。更に、CFC及びHC
FCのいずれも地球の大気圏オゾン層に対して有害であることが示されている。HFC開
発の当初の目的は、空調/ヒートポンプ/断熱用途において用いることができる不燃性で
非毒性の安定な化合物を製造することであった。しかしながら、これらのHFCの僅かし
か室温より非常に高い沸点を有していない。上述したように、例えばHFC−245fa
よりも高い臨界温度を有する作動流体が求められている。沸点は臨界温度に対応している
ので、HFC−245faよりも高い沸点を有する流体が求められているということにな
る。
【0006】
[06]フルオロエタン及びフルオロメタンと比較したHFC−245faなどの特定のヒ
ドロフルオロプロパンの特徴は、部分的には振動成分の寄与の増加によるより高い熱容量
である。実質的に、より長い連鎖長は振動の自由度に寄与する。勿論、構成成分及び分子
上でのそれらの相対位置も振動成分に影響を与えることを留意すべきである。より高い熱
容量は、増加する仕事抽出成分によるより高いサイクル効率、並びに向上した熱エネルギ
ー利用(より高い割合の利用可能な熱エネルギーを顕熱加熱において利用可能である)に
よるシステム全体の効率の増加に寄与する。更に、熱容量に対する蒸発潜熱の比がより小
さいと、熱交換器の性能において大きなピンチポイント効果はあまりないであろう。した
がって、HFC−245fa及びHCFC−123と比較して例えばより高い蒸気熱容量
、より高い液体熱容量、より低い潜熱/熱容量の比、より高い臨界温度、及びより高い熱
安定性、より低いオゾン層破壊係数、より低い地球温暖化係数、不燃性、及び/又は所望
の毒性を有する作動流体は、HFC−245fa及びHCFC−123のような流体を凌
ぐ改良を示すであろう。
【0007】
[07]産業界においては、冷却、ヒートポンプ、発泡剤、及びエネルギー発生用途のため
の代替物を与える新規なフルオロカーボンベースの作動流体が継続的に探し求められてい
る。現在では、地球の保護オゾン層を保護する必要性の関係から規制されているトリクロ
ロフルオロメタン(CFC−11)、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC
−141b)、及び1,1−ジクロロ−2,2−トリフルオロエタン(HCFC−123
)のような完全及び部分的にハロゲン化されているフルオロカーボン(CFC及びHCF
C)に対する環境に優しい代替物と考えられているフルオロカーボンベースの化合物が特
に興味深い。同様に、低い地球温暖化係数(直接排出によって地球温暖化に影響を与える
)又は低いライフサイクル気象変動潜在能(LCCP)(システムの地球温暖化への影響
度)を有する流体が望ましい。後者の場合においては、有機ランキンサイクルによって、
多くの化石燃料によって駆動される発電システムのLCCPが改良される。全体的な熱効
率が向上すると、有機ランキンサイクルを含むこれらのシステムは、追加の化石燃料を消
費しないで且つ追加の二酸化炭素の排出を起こさないで、追加の仕事又は電気出力を与え
て高まる需要を満たすことができる。一定の電力需要のためには、有機ランキンサイクル
システムを含ませたより小さい一次発電システムを用いることができる。ここでも、消費
される化石燃料及びその後の二酸化炭素の排出は、同等の一定の電力需要を満たすような
規模の一次システムと比較してより少ない。また、代替材料は、化学的安定性、熱的安定
性、低い毒性、不燃性、及び使用効率を有し、一方で同時に地球大気に危険を及ぼさない
ものでなければならない。更に、理想的な代替物は、現在用いられている通常の技術に対
して大きな技術変更を必要とするものであってはならない。また、これは現在用いられて
いるか及び/又は利用できる構成材料と適合性でなければならない。
【0008】
[08]ランキンサイクルシステムは、熱エネルギーを機械的軸動力に変換する単純で信頼
できる手段であることが公知である。低グレードの熱エネルギーに遭遇する場合には、水
/蒸気の代わりに有機作動流体が有用である。低グレードの熱エネルギー(通常は400
°F以下)で運転する水/蒸気システムは、高い体積及び低い圧力を伴う。システムの寸
法を小さく且つ効率を高く維持するためには、室温付近の沸点を有する作動流体が用いら
れる。このような流体は、より高い容量及び好ましい移送に役立つより高い気体密度、並
びに低い運転温度において水と比較してより高い効率に役立つより高い熱伝達特性を有す
る。
【0009】
[09]工業環境においては、特に工業環境がプロセス又は貯蔵において施設に既に大量の
可燃物を有している場合には、トルエン及びペンタンのような可燃性の作動流体を用いる
機会がより多い。例えば、人工の多い地域又はビルの近辺での発電のように可燃性の作動
流体を用いることに関連する危険性が許容できないものである場合には、CFC−11、
CFC−113、及びHCFC−123のような不燃性のフルオロカーボン流体が用いら
れている。これらの材料は不燃性であるが、これらのオゾン層破壊係数のためにこれらは
環境に対して危険であった。
【0010】
[10]理想的には、有機作動流体は環境的に許容できる、即ち低いか又はゼロのオゾン層
破壊係数及び低い地球温暖化係数を有し、不燃性で、低いオーダーの毒性のものであり、
正圧で運転されるものでなければならない。より最近では、HFC−245fa、HFC
−365mfc、及びHFC−43−10meeのようなヒドロフルオロカーボンが、有
機ランキンサイクル作動流体として、ニートか又は他の化合物との混合物のいずれかで用
いられている。作動流体の地球温暖化係数に関しては、HFC−245fa、HFC−3
56mfc、HFC−43−10などのヒドロフルオロカーボン、商業的に入手できるH
FE−7100(3M)のようなヒドロフルオロエーテルをベースとする既存の流体は、所
定の国の環境事情及びそれに続く規制政策を考慮すると許容できないほど高いとみなされ
る可能性がある地球温暖化係数を有する。
【0011】
[11]有機ランキンサイクルシステムは、工業プロセスからの廃熱を回収するためにしば
しば用いられている。熱電気複合利用(コジェネレーション)用途においては、発電機セ
ットの一次原動機を駆動するのに用いる燃料の燃焼からの廃熱を回収し、これを用いて、
例えば熱を作るためか、或いは冷却を与える吸収チラーを運転する熱を供給するための熱
水を生成させる。幾つかの場合においては、熱水に対する需要は小さいか又は存在しない
。最も困難なケースは、熱的要件が変動し、負荷整合が困難になり、熱電気複合利用シス
テムの効率的な運転が混乱する場合である。このような場合においては、有機ランキンサ
イクルシステムを用いることによって廃熱を軸動力に変換することがより有用である。軸
動力を用いて例えばポンプを運転することができ、或いはこれを用いて電気を生成させる
ことができる。このアプローチを用いることによって、システム全体の効率がより高く、
燃料の利用率がより大きい。同量の燃料投入量についてより多くの電力を生成させること
ができるので、燃料の燃焼からの大気放出物質を減少させることができる。
【発明の概要】
【0012】
[12]本発明の幾つかの形態は、式(I):
【0013】
【化1】
【0014】
(式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、H、F、Cl、Br、並び
に、場合によっては少なくとも1つのF、Cl、又はBrによって置換されているC
アルキル、少なくともCのアリール、少なくともCのシクロアルキル、及びC
〜C15アルキルアリールからなる群から選択され、式(I)は少なくとも1つのF及び
少なくとも1つのCl又はBrを含む)
の構造を有する化合物を含む作動流体を用いる方法に関する。好ましくは、臭素化されて
いる化合物は水素を有しない(即ち完全にハロゲン化されている)。特に好ましい態様に
おいては、この化合物はモノブロモペンタフルオロプロペン、好ましくはCFCBr=
CFである。他の好ましい態様においては、作動流体は、CCl(特に1−
クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン:1233zd(Z)及び/又は1233z
d(E))、CFCF=CFCFCFCl、及びCFCCl=CFCFCF
、並びにこれらの混合物を含む。
【0015】
[14]本発明の幾つかの態様は、作動流体を気化させて得られる蒸気を膨張させるか、又
は作動流体を気化させて作動流体の加圧蒸気を形成することによって、熱エネルギーを機
械エネルギーに変換する方法に関する。更なる態様は、第2のループを有する2元動力サ
イクル及びランキンサイクルシステムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】[15]図1は、ランキンサイクルにおける作動流体の温度図のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[16]本発明は、式(I):
【0018】
【化2】
【0019】
(式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、H、F、Cl、Br、並び
に、場合によっては少なくとも1つのF、Cl、又はBrによって置換されているC
アルキル、少なくともCのアリール、特にC〜C15アリール、少なくともC
のシクロアルキル、特にC〜C12シクロアルキル、及びC〜C15アルキルアリー
ルからなる群から選択され、式(I)は少なくとも1つのF及び少なくとも1つのCl又
は1つのBrを含む)
の構造を有する化合物を含む作動流体を用いる方法に関する。好ましくは、臭素化されて
いる化合物は水素を有しない(即ち完全にハロゲン化されている)。特に好ましい態様に
おいては、この化合物はモノブロモペンタフルオロプロペン、好ましくはCFCBr=
CFである。他の好ましい態様においては、作動流体は、CCl(特に1−
クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン:1233zd(Z)及び/又は1233z
d(E))、CFCF=CFCFCFCl、及びCFCCl=CFCFCF
、並びにこれらの混合物を含む。
【0020】
[18]好適なアルキルとしては、メチル、エチル、及びプロピルが挙げられるが、これら
に限定されない。好適なアリールとしてはフェニルが挙げられるが、これに限定されない
。好適なアルキルアリールとしては、メチル、エチル、又はプロピルフェニル;ベンジル
、メチル、エチル、又はプロピルベンジル、エチルベンジル;が挙げられるが、これらに
限定されない。好適なシクロアルキルとしては、メチル、エチル、又はプロピルシクロヘ
キシルが挙げられるが、これらに限定されない。アリールに(オルト、パラ、又はメタ位
において)結合する代表的なアルキル基はC〜Cアルキル鎖を有していてよい。式(
I)の化合物は、好ましくは線状化合物であるが、分岐化合物も排除されない。
【0021】
[19]特に、有機ランキンサイクルシステム作動流体は、式:CCl又はC
Br(式中、y+z+n=2xであり、xは少なくとも3であり、yは少な
くとも1であり、zは0又は正の数であり、nは1又は2である)の化合物において少な
くとも1つの塩素原子又は臭素原子のいずれかと少なくとも1つのフッ素を含む化合物を
含む。特に、xは3〜12であり、yは1〜23である。
【0022】
[20]例えば、幾つかの態様においては、作動流体は、CCl(ヒドロクロロ
フルオロオレフィン:1233zd(Z)及びヒドロクロロフルオロオレフィン:123
3zd(E))、モノブロモペンタフルオロプロペン、特にCFCBr=CF(12
15−Br)、CFCF=CFCFCFCl、及びCFCCl=CFCFCF
、並びに混合物の群からの化合物を含む。幾つかの態様においては、作動流体は123
3zd(Z)から実質的に構成される。幾つかの他の態様においては、作動流体は123
3zd(E)から実質的に構成される。
【0023】
[21]本発明の作動流体は、熱/機械変換において用いることを可能にする飽和蒸気条件
におけるエントロピー/温度の関係を有する。本発明の流体は非常に望ましい等エントロ
ピー膨張に対応する飽和曲線を有するか、或いは、本発明の流体は正の傾きを有する飽和
曲線を有し、これは、膨張器から過熱蒸気が排出され、これにより復熱器を用いることで
効率を更に向上させることができそうなことを意味する。これらの後者の流体も望ましい
ものであるが、復熱器を必要とするシステムはより高い材料コストがかかり、したがって
より高価である。負の傾きの飽和曲線を有する流体は、膨張中に時には湿り膨張と呼ばれ
る作動流体の凝縮の危険性があるという点で最も望ましくない。本発明の流体はこの湿り
膨張挙動を示さない。
【0024】
[22]ランキンサイクルにおいて、等エントロピー膨張として知られているプロセスで熱
エネルギーを機械エネルギーに変換することができる。例えば、より高い温度及び圧力の
気体をタービンを通してより低圧の領域に膨張させると、それはタービンを動かしてより
低い圧力及び温度でタービンから排出される。2つの点の間の気体のエンタルピーの差は
、気体がタービンに対して行う仕事の量と同等である。より高温でより高圧の気体が温度
及び圧力が低下するにつれてそのエントロピーを減少させると、気体は等エントロピー膨
張において凝縮しない。言い換えると、これはタービンを横切って温度及び圧力が降下す
る際に部分的に液化しない。かかる凝縮は、機械装置(この場合にはタービン)上に望ま
しくない摩耗及び裂傷を引き起こす可能性があり、蒸気をタービンに導入する前に過熱す
ることによってのみ克服することができる。水、アンモニア、及びジクロロジフルオロメ
タンのような小さい分子種に関しては、等エントロピー膨張中の著しい凝縮を妨げるため
に蒸気の過熱が必要である。しかしながら、HCFC−123、HFC−245fa、及
び本発明の化合物のようなより大きな分子に関しては、温度が(飽和蒸気で)上昇するに
つれてエントロピーが増大し、等エントロピー膨張において凝縮が起こらない。
【0025】
[23]背景技術において言及したように、作動流体の地球温暖化係数に関しては、HFC
−245fa、HFC−356mfc、HFC−43−10のようなヒドロフルオロカー
ボン、商業的に入手できるHFE−7100(3M)のようなヒドロフルオロエーテルをベ
ースとする既存の流体は、現在の環境状況及び種々の規制政策を考慮すると許容できない
ほど高いとみなされる可能性がある地球温暖化係数を有する。
【0026】
[24]かかる場合においては、著しく低い地球温暖化係数を有する本発明の流体を、作動
流体としてか又は作動流体混合物の成分として用いることができる。このようにして、例
えば上記記載のHFCと少なくとも1種類の本発明の化合物の実現可能な混合物を、許容
できるレベルの性能を保持しながら減少した地球温暖化係数の利益を有する有機ランキン
サイクル流体として用いることができる。
【0027】
[25]本発明の作動流体はエネルギー変換流体として有用である。かかる化合物は、大気
化学に悪影響を与えないための要件を満たしており、オゾン層破壊及び温室効果地球温暖
化に対する寄与が完全及び部分的にハロゲン化されている炭化水素と比較して無視できる
ものであり、熱エネルギー変換システムにおいて用いるための作動流体として用いるのに
好適である。
【0028】
[26]したがって、特に有機ランキンサイクルシステムを用いて熱エネルギーを機械エネ
ルギーに変換するための方法において、本発明の作動流体は上記に定義の式(I)の構造
を有する少なくとも1種類の化合物を含む。
【0029】
[27]数学的モデルによって、かかる化合物及びその混合物が大気化学に悪影響を与えず
、オゾン層破壊及び温室効果地球温暖化に対する寄与が完全及び部分的にハロゲン化され
ている飽和炭化水素と比較して無視できるものであることが立証された。
【0030】
[28]本発明は、低いオゾン層破壊係数を有し、温室効果地球温暖化に対する寄与が完全
にハロゲン化されているCFC及び部分的にハロゲン化されているHCFC材料と比較し
て無視できるものであり、事実上不燃性であり、それを用いると思われる条件において化
学的及び熱的に安定である作動流体に関する当該技術における必要性を満たす。即ち、こ
の材料は、化学試薬、例えば酸、塩基、酸化剤など、或いは雰囲気(25℃)よりも高い
温度によっては分解しない。これらの材料は、熱エネルギーの機械的軸動力への変換及び
電力生成において用いることができる適当な沸点及び熱力学的特性を有しており、これら
は、現在では十分に利用されていない低圧蒸気中に含まれる潜熱の一部をうまく利用する
ことができる。
【0031】
[29]上記に示す材料を用いて、工業廃熱、太陽エネルギー、地熱熱水、低圧地熱蒸気(
1次配置又は2次配置)、或いは燃料電池、或いはタービン、マイクロタービン、又は内
燃エンジンのような原動機を用いる分散発電装置のような低グレードの熱エネルギー源か
ら追加の機械エネルギーを抽出することができる。また、2元ランキンサイクルとして知
られているプロセスにおいて低圧蒸気を利用可能にすることもできる。大量の低圧蒸気は
、化石燃料で駆動される発電プラントのような数多くの場所で見ることができる。これら
の作動流体を用いる2元サイクルプロセスは、大量の冷水のような天然の低温「貯留手段
」を即座に提供することが可能な場合に特に有用であることが分かっている。特定の流体
を発電所の冷却水の性質(その温度)に適合するように調整して、2元サイクルの効率を
最大にすることができる。
【0032】
[30]本発明の一態様は、温熱源を用いて作動流体を気化させ、得られた蒸気を膨張させ
、次に冷熱源を用いて冷却して蒸気を凝縮させ、凝縮した作動流体をポンプ移送すること
を含み、作動流体が上記に定義の式(I)の構造を有する少なくとも1種類の化合物であ
る、ランキンサイクル(サイクルを繰り返す)において熱エネルギーを機械エネルギーに
変換する方法を含む。温度は、作動流体の気化温度及び凝縮温度によって定まる。
【0033】
[31]本発明の他の態様は、作動流体を気化させて作動流体の加圧蒸気を形成するのに十
分な温度に作動流体を加熱し、次に作動流体の加圧蒸気によって機械的仕事を行うことを
含み、作動流体が上記に定義の式(I)の構造を有する少なくとも1種類の化合物である
、熱エネルギーを機械エネルギーに変換する方法を含む。温度は、作動流体の気化温度に
よって定まる。
【0034】
[32]ボイラー(蒸発器)内での作動流体の温度は熱源の温度によって決定する。熱源の
温度は、地熱に関する90℃から燃焼ガス又は幾つかの燃料電池に関する>800℃まで
幅広く変化してよい。低い沸点の流体を用いる場合にはボイラー内の圧力はより高く、逆
もまた成り立つ。より厚い壁の容器、配管、及び部品は通常はコストがよりかかるので、
圧力の上限はコストによって決定されると思われる。また、沸点が上昇すると臨界温度も
上昇する。より高い熱源温度に関してより高い沸点の流体を用いると、サイクル効率が向
上する。
【0035】
[33]上記の態様においては、機械的仕事を発電機のような電気装置に送って電力を生成
させることができる。
[34]本発明の更なる態様は、第1の動力サイクル及び第2の動力サイクルを含み、第1
の動力サイクルにおいては高温の水蒸気又は有機作動流体蒸気を含む第1の作動流体を用
い、第2の動力サイクルにおいては第2の作動流体を用いて熱エネルギーを機械エネルギ
ーに変換し、第2の動力サイクルが、第2の作動流体を加熱して加圧蒸気を形成し;そし
て、第2の作動流体の加圧蒸気によって機械的仕事を行わせることを含み、第2の作動流
体が上記に定義の式(I)を有する少なくとも1種類の化合物を含む、2元動力サイクル
を含む。かかる2元動力サイクルは、例えば米国特許4,760,705(その全部を参
照として本明細書中に包含する)に記載されている。
【0036】
[35]本発明の更なる態様は、ランキンサイクルシステム及び第2のループを含み;第2
のループが、熱源とランキンサイクルシステムとの間に、ランキンサイクルシステム及び
熱源と流体連絡して配置されている、有機ランキンサイクルシステムの作動流体を熱源の
温度に曝露することなく熱を熱源からランキンサイクルシステムに伝達させるための熱的
に安定な顕熱伝達流体を含み;作動流体が、上記に定義の式(I)の構造を有する少なく
とも1種類の化合物である、熱エネルギーを機械エネルギーに変換する方法を含む。
【0037】
[36]このプロセスは、本発明のもののような作動流体を高い熱源温度に直接曝露するこ
となくより高い熱源温度を扱うことが望ましい場合に有益である。作動流体と熱源との間
の直接的な熱交換を行う場合には、特に流れの中断が存在する場合に作動流体の熱分解を
避けるための手段を設計に含ませなければならない。危険性及びより精密な設計のための
追加費用を避けるためには、熱オイルのようなより安定な流体を用いて高温の熱源を利用
できるようにすることができる。これによって、高温の熱源を扱い、設計の複雑さ/コス
トを制御し、その他は望ましい特性を有する流体を用いる手段が提供される。
【0038】
[37]以下の非限定的な実施例によって本発明をより完全に示す。本発明の成分の要素に
おける割合及び選択肢の変動は当業者に明らかであり、発明の範囲内であることが認めら
れるであろう。
【実施例】
【0039】
[38]実施例1:
[39]効率的なランキンサイクルを達成するそれらの能力に関して有機作動流体をランク
付けすると、臨界温度がより高いと、導き出すことができるサイクルの効率がより高くな
る。これは、蒸発器の温度をより高い温度の熱源により近接して近づけることができるか
らである。熱源の温度が熱の質において中程度乃至低である場合には、ランキンサイクル
(時には動力サイクルと呼ぶ)のために有機作動流体を用いる。高い温度においては、水
が非常に効率的な作動流体である。しかしながら、中程度乃至低い温度においては、水の
熱力学的性質はもはや好ましいものではない。
【0040】
[40]図1は、HFC−245fa(比較例)、本発明によるCCl化合物の異性
体混合物、及びトルエン(比較例)に関する温度−エントロピー図のプロットを示す。H
FC−245fa及びトルエンは両方とも有機ランキンサイクル作動流体として商業的に
用いられている。半円によって掃引される領域に基づくと、本発明のCCl化合物
を用いて得ることができるランキンサイクル効率は、HFC−245faのものに匹敵す
るが、この効率はトルエンを用いて達成することができるものよりも低いと結論づけるこ
とができる。しかしながら、トルエンは、種々の有機ランキンサイクル用途におけるその
使用を制限する可能性がある毒性及び可燃性の懸念を有している。したがって、本発明の
不燃性のハロゲン化作動流体は好適な代替物を提供する。
【0041】
[41]高い臨界温度を有する作動流体を確認することに加えて、作動流体の貯蔵、輸送、
及び使用からの漏出を排除することは不可能であるので、環境に対する影響の可能性が最
小である流体を見出すことが望ましい。本発明のCCl異性体の化学構造は大気中
で短寿命であると予測することができ、したがって20〜50のオーダーである低い地球
温暖化係数を与える。
【0042】
[42]以下の実施例において、かかる化合物を製造する能力、及び熱エネルギー変換にお
けるそれらの有用性を示す。
[43]実施例2:
[44]5フッ化アンチモンの存在下でヘキサフルオロプロペンとクロロトリフルオロエチ
レンを反応させることによってCFCF=CFCFCFCl及びCFCCl=C
FCFCFを製造した。これらの異性体は52〜53℃の沸点範囲で共留出する。
【0043】
[45]1.反応式:
【0044】
【化3】
【0045】
[46]2.手順:
[47]清浄で乾燥したParr反応器/オートクレーブにSbF(40g、0.16モル)
を加え、部分的に排気し、密封した。Parr反応器を−30〜−35℃に冷却し、排気して
、CFCF=CF(128g、0.85モル)及びCF=CFCl(92g、0.
78モル)を逐次凝縮させた。次に、反応器を密封し、攪拌しながら徐々に室温(約25
℃)にし、この温度に16時間維持した。この時間の間に反応器内の圧力は80psiか
ら40psiに低下した。反応器内の全ての未反応出発化合物を含むより揮発性の物質を
、冷却トラップ(氷+塩)を通して排気した(20gの生成物がトラップ内に凝縮した)
。Parr反応器をRTから約50℃の反応器に加熱することによって、Parr反応器内の残り
の生成物を冷却した(ドライアイス)金属シリンダー中に回収した。合計で125gの生
成物が回収された(収率=CTFEを基準として60%)。52〜53℃/大気圧におい
て蒸留することによって更なる精製を行って、異性体混合物:CFCF=CFCF
Cl及びCFCCl=CFCFCF(1:1)を無色の液体として得た(10
0g)。
【0046】
[48]分析データは構造と一致している。GC/MS (m/e, イオン); 226 、M+に関する, (M=
C5ClF9)。19F-NMR (CDC13) δ=-69.1 (3F, dd, J = 21 & 8 Hz), -72.1 (2F, dq, 重なり
, J=6 & 5.7 Hz), -117.7 (2F, m), -155.4(1F, dm), 及び-157.5(dm)ppm:CF3CF=CFCF2C
F2Clに関する; -64.3 (3F, d, J=24 Hz), -111.5 (1F, m), -118.9 (2F, m), 及び-83.9
(3F, dq, 重なり, J=3 Hz)ppm:CF3CCl=CFCF2CF3に関する。19F-NMRにおいてCF基を
積分することによって異性体の比(50:50)を求めた。
【0047】
[49]実施例3:
[50]本実施例は、本発明のクロロ−フルオロオレフィン、CCl異性体、及びH
CFO−1233zd異性体が有機ランキンサイクル作動流体として有用であることを示
す。
【0048】
[51]Smith, J.M.ら, Introduction to Chemical Engineering Thermodynamics; McGraw
-Hill (1996)に概説されている手順にしたがうことによって、有機ランキンサイクルにお
ける種々の作動流体の有効性を比較した。次の条件:75%のポンプ効率、80%の膨張
器効率、130℃のボイラー温度、45℃の凝縮器温度、及び1000Wのボイラーへ供
給される熱量;を用いて有機ランキンサイクルの計算を行った。種々の冷却剤の性能を表
1に与える。HFC−245fa(Honeywellから入手できる)、HFC−365mfc
(Solvayから入手できる)、HFC−4310mee(Dupontから入手できる)のような
ヒドロフルオロカーボン、及びヒドロフルオロエーテルHFE−7100(3Mから入手で
きる)を含む商業的に入手できる流体を比較に含ませた。評価した全ての化合物の中でH
CFO−1233zd(E)の熱効率が最も高かった。CCl、HCFO−123
3zd(Z)、及びHCFO−1233zd(E)は、不燃性及び低い地球温暖化係数の
追加の利益も有していた。本実施例は、有機ランキンサイクルによる発電においてクロロ
−フルオロオレフィンを用いることができることを示す。
【0049】
【表1】
【0050】
[52]実施例4:
[53]上記に記載のクロロフルオロオレフィンに加えて、表2のもののようなブロモフル
オロオレフィンは、水の沸点よりも低い沸点範囲をカバーし、したがって熱エネルギー変
換用途の範囲、即ち熱源温度の範囲において有用である。高い沸点(>50℃)を有する
化合物はより高い廃熱源のために用いられる可能性が最も高く、例えばトルエンに匹敵す
る。
【0051】
【表2】
【0052】
[54]実施例5:
[55]本実施例は、本発明のブロモ−フルオロオレフィンが有機ランキンサイクル作動流
体として有用であることを示す。特に、CFCBr=CFを用いて有機ランキンサイ
クルにおけるブロモ−フルオロオレフィンの有用性を示した。また、完全にハロゲン化さ
れたブロモフルオロプロペンの効率を、不完全にハロゲン化されたブロモフルオロプロペ
ンと比較した。これらの結果は、予期しなかったことに、完全にハロゲン化されたブロモ
フルオロプロペンは、不完全にハロゲン化されたブロモフルオロプロペンと比較して有機
ランキンサイクルにおける作動流体としてより効率的であることを示す。
【0053】
[56]Smith, J.M.ら, Introduction to Chemical Engineering Thermodynamics; McGraw
-Hill (1996)に概説されている手順にしたがうことによって、有機ランキンサイクルにお
ける種々の作動流体の有効性を比較した。次の条件:75%のポンプ効率、80%の膨張
器効率、130℃のボイラー温度、45℃の凝縮器温度、及び1000Wのボイラーへ供
給される熱量;を用いて有機ランキンサイクルの計算を行った。種々の冷却剤の性能を表
3に与える。商業的に入手できる流体であるHFC−245fa(Honeywellから入手で
きる)を比較に含ませた。ブロモ−フルオロオレフィンは、不燃性及び低い地球温暖化係
数の追加の利益も有していた。また、ブロモ−フルオロオレフィンは商業的に入手できる
流体よりも高い熱効率も有していた。本実施例は、有機ランキンサイクルによる発電にお
いてブロモ−フルオロオレフィンを用いることができることを示す。
【0054】
【表3】
【0055】
[57]実施例6:
[58]幾つかの場合においては、少なくとも第2の流体成分を作動流体中に含ませること
も有益である。少なくとも2種類の流体成分の混合物を用いると、性能に加えて、健康、
安全性、及び環境的な利益を導き出すことができる。混合物を用いることによって、燃焼
性(不燃性)の改良、潜在的な環境影響の減少、及び/又は減少した毒性による職業被曝
レベルの減少を達成することができる。例えば、望ましい性能を有するがより高い地球温
暖化係数を有する流体に低い地球温暖化係数の流体を加えることによって、低い地球温暖
化性の流体の性能によって改良されたか又は許容できる性能、並びにより高い地球温暖化
性の流体成分単独と比較して改良された地球温暖化係数を有する流体混合物を得ることが
できる。したがって、性能(例えば容量又は効率)、燃焼性、毒性、又は環境影響のよう
な純粋な流体の少なくとも1つの特性を向上させることができる混合物を確認することも
目的である。本発明の化合物は、互いに(他のヒドロクロロフルオロオレフィンと)、或
いはヒドロフルオロカーボン、ブロモフルオロオレフィン、フッ素化ケトン、ヒドロフル
オロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロフルオロオレフィンエーテル、ヒドロ
クロロフルオロオレフィンエーテル、炭化水素、又はエーテルのような化合物と混合する
ことができる。
【0056】
[59]実施例3において与えられた条件にしたがって、HCFO−1223zd(Z)を
HFC−245faに加えて50%のHFC−245fa(1,1,1,3,3−ペンタ
フルオロプロパン)及び50%のHCFO−1233zd(Z)の混合物を得て、0.1
28の理論サイクル効率を得た。HFC−245faに関する理論サイクル効率は0.1
23である。したがって、混合物の理論サイクル効率がHFC−245fa単独と比較し
て4%増加した。混合物の地球温暖化係数は480であり、一方、HFC−245fa単
独のそれは950であった。混合物に関する地球温暖化係数は、HFC−245fa単独
と比較して49%減少した。これらの条件においては、混合物に関する蒸発圧力(230
psia)は、HFC−245fa単独のもの(339psia)よりも低かった。装置
はより低い蒸発器圧力で運転され、したがって装置の最大許容作動圧とより大きな差を有
していた。これは、同じ装置を用いてより高い熱源温度を利用することができ、したがっ
て装置の最大許容作動圧を必ずしも超える必要なしに全体の熱効率が向上することを意味
する。
【0057】
[60]他の混合物を下表に示す。
【0058】
【表4】
【0059】
[61]ヒドロフルオロエーテル:HFE−7100及びフッ素化ケトン:Novec 1230は、
3Mから商業的に入手できる。ヒドロフルオロカーボン:HFC−43−10meeはDuPo
ntから商業的に入手できる。HFC−365mfc/HT55は、Solkatherm SES36とし
てSolvaySolexisから商業的に入手できる。Galden HT55は、SolvaySolexisから入手でき
るペルフルオロポリエーテルである。
【0060】
[62]実施例7:
[63]以下にHCFC−1233zdの安全性及び毒性に関する情報を与える。
[64]1233zdの毒性:
[65]HFO−1233zdを用いてAmes分析を行った。実験試料を、S−9代謝活性化
の存在下及び不存在下の両方で、細菌性細胞のTA1535、TA1537、TA98、
TA100、及びWP2 uvrAに曝露した。90.4%以下の曝露レベルを用いた。
日本、EU、及び米国のガイドラインに完全に準拠するように実験を設計した。この実験
の条件下においては、HFO−1233zdは、S−9代謝活性化の存在下又は不存在下
のいずれにおいても、いずれの培養においても変異を誘発させなかった。
【0061】
[66]心臓感作性:
[67]本実験においては、6匹のビーグル犬の群を25,000、35,000、及び5
0,000ppm(2匹の犬だけがこのレベル)のレベルのHCFC−1233zdに曝
露した。曝露の間に少なくとも2日間あけて、合計で3回の曝露を行った。次に、犬を試
験化合物に曝露し、試験物品に曝露しながら、増加する投与量(2μg/kg、4μg/
kg、6μg/kg、及び8μg/kg)のアドレナリンの一連の注射を、それぞれの注
射の間に最小で3分間、合計で12分間以下あけて与えた。25,000ppmにおいて
心臓感作の徴候はなかったと結論づけられた。
【0062】
[68]LC−50(ラット):
[69]ラットのLC−50は11体積%であると求められた。このレベルは、塩素化製品
:HCFC−141b及びCFC−113(約6体積%)よりも良好であり、CFC−1
1のものと同等であった。
【0063】
[70]可燃性:
[71]ASTM−E681によって、1233zdを100℃において可燃性に関して評
価した。燃焼限界はなかった。
【0064】
[72]安定性:
[73]ASHRAE-97密封チューブ試験法によって、流体を結合金属片(銅、アルミニウム、
及び鋼)の存在下で150℃に2週間曝露することにより1233zdの安定性を調べた
。大きな分解は認められなかった。即ち、流体の顕著な変色はなく、金属片上の腐食の徴
候はなかった。
【0065】
[74]実施例8:
[75]本実施例は、冷却剤組成物がHFC−1234を含み、HFO−1234の大きな
割合、好ましくは少なくとも約75重量%、更により好ましくは少なくとも約90重量%
がHFO−1234ye(CHF−CF=CHF、シス及びトランス異性体)である本
発明の一態様の性能を示す。より詳しくは、本実施例は、冷却剤システム、高温ヒートポ
ンプ、及び有機ランキンサイクルシステムにおいて作動流体として用いられる化合物の代
表例である。第1のシステムの例は、約35°Fの蒸発温度及び約150°Fの凝縮温度
を有するものである。便宜上の目的のために、かかる熱伝達システム、即ち約35°F〜
約50°Fの蒸発器温度及び約80°F〜約120°FのCTを有するシステムを、ここ
では「チラー」又は「チラーAC」システムと呼ぶ。比較の目的のR−123、及び少な
くとも約90重量%のHFO−1234yeを含む本発明の冷却組成物を用いたかかるシ
ステムのそれぞれの運転を下表12に報告する。
【0066】
【表5】
【0067】
[76]上記の表から明らかなように、重要な冷却システム性能パラメーターの多くはR−
123に関するパラメーターに比較的近接している。多くの既存の冷却システムはR−1
23用か又はR−123と同様の特性を有する他の冷却剤用にデザインされているので、
当業者であれば、システムに加える修正を比較的最小にしてR−123又は同様の高沸点
冷却剤に対する代替物として用いることができる低GWP及び/又は低オゾン層破壊冷却
剤の大きな有利性を認めるであろう。幾つかの態様においては、本発明は、デザインを大
きく修正することなく、既存のシステムにおける冷却剤を、本発明の組成物、好ましくは
少なくとも約90重量%のHFO−1234、更により好ましくはシス−HFO−123
4ye、トランス−HFO−1234yeの任意の1以上、並びにこれらの全ての組合せ
及び割合を含むか、及び/又はこれらから実質的に構成される組成物で置き換えることを
含む改造方法を提供する。
【0068】
[77]実施例9:
[78]本実施例は、冷却剤組成物がHFCO−1233を含み、HFCO−1233zd
の大きな割合、好ましくは少なくとも約75重量%、更により好ましくは少なくとも約9
0重量%がHFCO−1233zd(CF−CH=CHCl、シス及びトランス異性体
)である本発明の一態様の性能を示す。より詳しくは、本実施例は、冷却剤システム、高
温ヒートポンプ、又は有機ランキンサイクルシステムにおいて熱伝達流体としてかかる組
成物を用いることを示す。第1のシステムの例は、約35°Fの蒸発温度及び約150°
Fの凝縮温度を有するものである。便宜上の目的のために、かかる熱伝達システム、即ち
約35°F〜約50°Fの蒸発器温度及び約80°F〜約120°FのCTを有するシス
テムを、ここでは「チラー」又は「チラーAC」システムと呼ぶ。R−123、及び少な
くとも約90重量%のHFO−1233zdを含む冷却組成物を用いたかかるシステムの
それぞれの運転を下表13に報告する。
【0069】
【表6】
【0070】
[79]上記の表から明らかなように、重要な冷却システム性能パラメーターの多くはR−
123に関するパラメーターに比較的近接している。多くの既存の冷却システムはR−1
23用か又はR−123と同様の特性を有する他の冷却剤用にデザインされているので、
当業者であれば、システムに加える修正を比較的最小にしてR−123又は同様の高沸点
冷却剤に対する代替物として用いることができる低GWP及び/又は低オゾン層破壊冷却
剤の大きな有利性を認めるであろう。幾つかの態様においては、本発明は、デザインを大
きく修正することなく、既存のシステムにおける冷却剤を、本発明の組成物、好ましくは
少なくとも約90重量%のHFO−1233、更により好ましくはシス−HFO−123
3zd、トランス−HFO−1233zdの任意の1以上、並びに全ての割合のこれらの
組合せを含むか、及び/又はこれらから実質的に構成される組成物で置き換えることを含
む改造方法を提供する。
【0071】
[80]本発明を実施する現時点で好ましい形態を含む特定の例に関して本発明を説明した
が、当業者であれば、特許請求の範囲に示す本発明の精神及び範囲内に含まれる上記記載
のシステム及び技術の数多くの変更及び変形が存在することを認めるであろう。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
温熱源を用いて作動流体を気化させ;
得られた蒸気を膨張させ、次に冷熱源を用いて冷却して蒸気を凝縮させ;そして
凝縮した作動流体をポンプ移送する;
ことを含み、作動流体が式(I):
【化4】
(式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、H、F、Cl、Br、並びに、場合によっては少なくとも1つのF、Cl、又はBrによって置換されているC〜Cアルキル、少なくともCのアリール、少なくともCのシクロアルキル、及びC〜C15アルキルアリールからなる群から選択され、式(I)は少なくとも1つのF及び少なくとも1つのCl又はBrを含み、但し式(I)がBrを含む場合にはそれはまた水素を含まない)
を有する少なくとも1種類の化合物を含む、ランキンサイクルで熱エネルギーを機械エネルギーに変換する方法。
[2]
、R、R、及びRの少なくとも1つが、場合によっては少なくとも1つのF、Cl、又はBrによって置換されているメチル、エチル、又はプロピルである、[1]に記載の方法。
[3]
化合物が式:CCl(式中、y+z+n=2x)又はCBr(式中、y+n=2xであり、xは少なくとも3であり、yは少なくとも1であり、zは0又は正の数であり、nは1又は2である)を有する、[1]に記載の方法。
[4]
化合物が、CCl、CFCF=CFCFCFCl、CFCCl=CFCFCF、及びこれらの混合物からなる群から選択される、[1]に記載の方法。
[5]
作動流体が、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(Z)、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(E)、及びこれらの組合せからなる群から選択される、[1]に記載の方法。
[6]
作動流体が2−ブロモ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペンである、[1]に記載の方法。
[7]
作動流体を気化させて作動流体の加圧蒸気を形成するのに十分な温度に作動流体を加熱し;そして
作動流体の加圧蒸気によって機械的仕事を行わせる;
ことを含み、
作動流体が式(I):
【化5】
(式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、H、F、Cl、Br、並びに、場合によっては少なくとも1つのF、Cl、又はBrによって置換されているC〜Cアルキル、少なくともCのアリール、少なくともCのシクロアルキル、及びC〜C15アルキルアリールからなる群から選択され、式(I)は少なくとも1つのF及び少なくとも1つのCl又はBrを含み、但し式(I)がBrを含む場合にはそれはまた水素を含まない)
を有する少なくとも1種類の化合物を含む、熱エネルギーを機械エネルギーに変換する方法。
[8]
第1の動力サイクル及び第2の動力サイクルを含み、第1の動力サイクルにおいては高温の水蒸気又は有機作動流体蒸気を含む第1の作動流体を用い、第2の動力サイクルにおいては第2の作動流体を用いて熱エネルギーを機械エネルギーに変換し、第2の動力サイクルが
第2の作動流体を加熱して加圧蒸気を形成し;そして
第2の作動流体の加圧蒸気によって機械的仕事を行わせる;
ことを含み、
第2の作動流体が式(I):
【化6】
(式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、H、F、Cl、Br、並びに、場合によっては少なくとも1つのF、Cl、又はBrによって置換されているC〜Cアルキル、少なくともCのアリール、少なくともCのシクロアルキル、及びC〜C15アルキルアリールからなる群から選択され、式(I)は少なくとも1つのF及び少なくとも1つのCl又はBrを含み、但し式(I)がBrを含む場合にはそれはまた水素を含まない)
を有する少なくとも1種類の化合物を含む、2元動力サイクル方法。
[9]
ランキンサイクルシステム及び第2のループを含み;第2のループが、熱源とランキンサイクルシステムとの間に、ランキンサイクルシステム及び熱源と流体連絡して配置されている、有機ランキンサイクルシステムの作動流体を熱源の温度に曝露することなく熱を熱源からランキンサイクルシステムに伝達させるための熱的に安定な顕熱伝達流体を含み;
ランキンサイクルシステム作動流体が、式(I):
【化7】
(式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、H、F、Cl、Br、並びに、場合によっては少なくとも1つのF、Cl、又はBrによって置換されているC〜Cアルキル、少なくともCのアリール、少なくともCのシクロアルキル、及びC〜C15アルキルアリールからなる群から選択され、式(I)は少なくとも1つのF及び少なくとも1つのCl又はBrを含み、但し式(I)がBrを含む場合にはそれはまた水素を含まない)
を有する少なくとも1種類の化合物を含む、熱エネルギーを機械エネルギーに変換する方法。
[10]
式(I):
【化8】
(式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、H、F、Cl、Br、並びに、場合によっては少なくとも1つのF、Cl、又はBrによって置換されているC〜Cアルキル、少なくともCのアリール、少なくともCのシクロアルキル、及びC〜C15アルキルアリールからなる群から選択され、式(I)は少なくとも1つのF及び少なくとも1つのCl又はBrを含み、但し式(I)がBrを含む場合にはそれはまた水素を含まない)
を有する少なくとも1種類の化合物を含む有機ランキンサイクル作動流体。
図1