特許第6100839号(P6100839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6100839サーチュイン(SIRT)に対する天然アンチセンス転写物の阻害によるサーチュイン(SIRT)関連疾患の治療
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100839
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】サーチュイン(SIRT)に対する天然アンチセンス転写物の阻害によるサーチュイン(SIRT)関連疾患の治療
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20170313BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20170313BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20170313BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20170313BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20170313BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170313BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20170313BHJP
   A61P 3/08 20060101ALI20170313BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20170313BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20170313BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20170313BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20170313BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   C12N15/00 GZNA
   A61K31/7088
   A61P3/00
   A61P25/28
   A61P35/00
   A61P43/00 105
   A61P3/10
   A61P3/08
   A61P3/04
   A61P13/12
   A61P3/06
   A61P25/16
   A61P25/00
【請求項の数】7
【全頁数】77
(21)【出願番号】特願2015-133442(P2015-133442)
(22)【出願日】2015年7月2日
(62)【分割の表示】特願2013-509049(P2013-509049)の分割
【原出願日】2011年1月13日
(65)【公開番号】特開2016-13125(P2016-13125A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2015年7月2日
(31)【優先権主張番号】61/415,891
(32)【優先日】2010年11月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/412,066
(32)【優先日】2010年11月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/409,136
(32)【優先日】2010年11月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/330,427
(32)【優先日】2010年5月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512156578
【氏名又は名称】カッパーアールエヌエー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(72)【発明者】
【氏名】コラド,ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】コルコワ シャーマン,オルガ
(72)【発明者】
【氏名】コイト,カルロス
(72)【発明者】
【氏名】デ レオン,ベリンダ
【審査官】 植原 克典
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−521934(JP,A)
【文献】 特開2015−221044(JP,A)
【文献】 Molecular Endocrinology,2007年,vol.21、no.8,p.1745-1755
【文献】 Neuroscience Research,2008年 9月,62,p.236-239
【文献】 Science,2005,309(5740),p.1564-6
【文献】 Drug Discovery Today, 2006, vol.11, no.11/12, p.503-508
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/REGISTRY/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーチュイン(SIRT)の天然アンチセンス転写物を標的とする19〜30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドであって、
前記オリゴヌクレオチドはサーチュイン(SIRT)の発現を増加させ、
前記サーチュイン(SIRT)はサーチュイン4(SIRT4)、サーチュイン5(SIRT5)、サーチュイン7(SIRT7)、またはサーチュイン3(SIRT3)から選択され
前記天然アンチセンス転写物は、配列番号19、20、23、15、17、18、141、または142に示される配列を有し、
前記オリゴヌクレオチドは、配列番号104、107、108、109、122〜125、88、95、96、98、99、100、102、126、127に示される配列および配列番号104、107、108、109、122〜125、88、95、96、98、99、100、102、126、127の配列のいずれか1つと少なくとも90%の配列同一性を有する配列からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド配列を含む
オリゴヌクレオチド。
【請求項2】
細胞または組織においてサーチュイン(SIRT)の発現を増加させるin vitroの方法であって、サーチュイン(SIRT)の天然アンチセンス転写物を標的とする19〜30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチド前記細胞または組織接触させて、それによりサーチュイン(SIRT)の発現を増加させることを含み、
前記サーチュイン(SIRT)はサーチュイン4(SIRT4)、サーチュイン5(SIRT5)、サーチュイン7(SIRT7)、またはサーチュイン3(SIRT3)から選択され
前記天然アンチセンス転写物は、配列番号19、20、23、15、17、18、141、または142に示される配列を有し、
前記オリゴヌクレオチドは、配列番号104、107、108、109、122〜125、88、95、96、98、99、100、102、126、127に示される配列および配列番号104、107、108、109、122〜125、88、95、96、98、99、100、102、126、127の配列のいずれか1つと少なくとも90%の配列同一性を有する配列からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド配列を含む
方法。
【請求項3】
前記オリゴヌクレオチドが一本鎖である、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドまたは請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記オリゴヌクレオチドがsiRNA化合物である、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドまたは請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記サーチュイン(SIRT)の発現が少なくとも10%増加する、請求項1、4のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドまたは請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記オリゴヌクレオチドが、
)ホスホロオチオエート、2’−O−メトキシエチル(MOE)、2’−フルオロ、アルキルホスホナート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホノチオアート、ホスホルアミダート、カルバメート、炭酸塩、リン酸トリエステル、アセトアミダート、カルボキシメチルエステルおよびそれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間結合、
)ペプチド核酸(PNA)、ロックト核酸(LNA)、アラビノ核酸(FANA)、類似体、誘導体およびそれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド、または、
)2’−O−メトキシエチル修飾糖部分、2’−メトキシ修飾糖部分、2’−O−アルキル修飾糖部分、二環糖部分、およびそれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つの修飾糖部分、
を含む1以上の修飾をさらに含む、請求項1および3〜5のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドまたは請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
求項1および3〜のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドをむ組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年5月3日に提出された米国仮特許出願第61/330,427号、2010年11月2日に提出された米国仮特許出願第61/409,136号、2010年11月10日に提出された米国仮特許出願第61/412,066号および2010年11月22日に提出された米国仮特許出願第61/415,891号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明の実施形態は、サーチュイン(SIRT)および関連分子の発現および/または機能を調節するオリゴヌクレオチドを含む。
【背景技術】
【0003】
DNA−RNAおよびRNA−RNAハイブリダイゼーションは、DNA複製、転写、および翻訳を含む、核酸の機能の多くの側面にとって重要である。ハイブリダイゼーションはまた、特定の核酸を検出するか、またはその発現を変化させるさまざまな技術の中心となる。アンチセンスヌクレオチドは、例えば、標的RNAにハイブリダイズし、RNAスプライシング、転写、翻訳、複製を妨害することによって遺伝子発現を阻害する。アンチセンスDNAは、DNA−RNAハイブリッドがほとんどの細胞型に存在している活性であるリボヌクレアーゼHよる消化の基質として機能するという付加的な特徴を備える。アンチセンス分子は、オリゴヌクレオチドの場合(ODN)に細胞内に送達することができ、またはRNA分子として内因性遺伝子から発現させることができる。FDAは最近、アンチセンスが治療的有用性を有する点を反映させた、(サイトメガロウイルス網膜炎の治療用の)アンチセンス薬、VITRAVENE(商標)を承認した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一実施形態において、本発明は、天然のアンチセンス転写物の作用を阻害するための方法であって、当該天然のアンチセンス転写物の任意の領域を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いることにより、対応するセンス遺伝子をアップレギュレートする、該方法を提供する。本出願においては、前記天然のアンチセンス転写物の阻害が、本発明の範囲に包含されると考えられるsiRNA、リボザイム、および小分子により達成され得ることも想定されている。
【0005】
一実施形態は、生体内または体外で患者の細胞または組織におけるサーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節する方法であって、前記細胞または組織を、5〜30個のヌクレオチドの長さのアンチセンスオリゴヌクレオチドと接触させる工程であって、前記オリゴヌクレオチドは、配列番号9の1番目〜1028番目のヌクレオチド、または配列番号10の1番目〜429番目のヌクレオチド、または配列番号11の1番目〜508番目のヌクレオチド、または配列番号12の1番目〜539番目のヌクレオチド、配列番号13の1番目〜373番目、配列番号14の1番目〜1713番目、配列番号15の1番目〜660番目、配列番号16の1番目〜589番目、配列番号17の1番目〜726番目、配列番号18の1番目〜320番目、配列番号19の1番目〜616番目、配列番号20の1番目〜492番目、配列番号21の1番目〜428番目、配列番号22の1番目〜4041番目、または配列番号23の1番目〜705番目、または配列番号141の1番目〜2714番目、または配列番号142の1番目〜1757番目、配列番号143の1番目〜3647番目の範囲内の連続した5〜30個のヌクレオチドを含むポリヌクレオチドに対する逆相補配列と少なくとも50%の配列同一性を有する、該工程を含み、それによって生体内または体外で患者の細胞または組織におけるサーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節する、方法を提供する。
【0006】
他の実施形態において、オリゴヌクレオチドが、サーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドの天然のアンチセンス配列、例えば配列番号9〜23、141〜143に記載のヌクレオチド、およびその変異型、アレル、ホモログ、突然変異体、誘導体、断片、および相補配列を標的化する。本発明の方法を実施することにおいて有用なアンチセンスオリゴヌクレオチドの例としては、配列番号24〜127に記載のものが挙げられる。
【0007】
他の実施形態は、生体内または体外で患者の細胞または組織におけるサーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節する方法であって、前記細胞または組織を、5〜30個のヌクレオチドの長さのアンチセンスオリゴヌクレオチドと接触させる工程であって、前記オリゴヌクレオチドは、サーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドのアンチセンスに対する逆相補配列と少なくとも50%の配列同一性を有する、該工程を含み、それによって生体内または体外で患者の細胞または組織におけるサーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節する、方法を提供する。
【0008】
他の実施形態は、生体内または体外で患者の細胞または組織におけるサーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節する方法であって、前記細胞または組織を、5〜30個のヌクレオチドの長さのアンチセンスオリゴヌクレオチドと接触させる工程であって、前記オリゴヌクレオチドは、サーチュイン(SIRT)アンチセンスポリヌクレオチドに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドと少なくとも50%の配列同一性を有する、該工程を含み、それによって生体内または体外で患者の細胞または組織におけるサーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節する、方法を提供する。
【0009】
一実施形態において、組成物が、センスおよび/またはアンチセンスサーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドに結合する1以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。
【0010】
他の実施形態において、前記オリゴヌクレオチドが、1以上の修飾または置換されたヌクレオチド結合を含む。
【0011】
他の実施形態において、前記オリゴヌクレオチドが、1以上の修飾された結合を含む。
【0012】
さらに他の実施形態において、前記修飾されたヌクレオチドが、ホスホロオチオエート、メチルホスホナート、ペプチド核酸、2’−O−メチル、フルオロ−または炭素、メチレンまたは他のロックト核酸(LNA)分子を含む修飾塩基を含む。好ましくは、前記修飾されたヌクレオチドは、α−L−LNAを含む、ロックト核酸分子である。
【0013】
他の実施形態において、前記オリゴヌクレオチドは、患者に対し皮下に、筋肉内に、静脈内に、または腹腔内に投与される。
【0014】
他の実施形態において、前記オリゴヌクレオチドは、医薬組成物として投与される。治療レジメンは、患者に対して前記アンチセンス化合物を少なくとも1回投与することを含む。しかし、この処置は、一定期間にわたって複数回の投与を含むように改変することができる。この処置は、1種類以上の他の治療と併用することができる。
【0015】
他の実施形態において、前記オリゴヌクレオチドが、リポソームに包入されるか、担体分子(例えばコレステロール、TATペプチド)に付着される。
【0016】
他の態様を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】SIRTアンチセンスCV396200を標的化するよう設計されたオリゴヌクレオチドでHepG2細胞が処置される実験のリアルタイムPCR結果を示す。その結果は、HepG2細胞におけるSIRTのmRNAレベルが、sirtasに対して設計されたsiRNAの1つでの処置後48時間で、有意に増加したことを示している(sirtas_5、P=0.01)。同じ試料において、sirtas RNAのレベルは、sirtas_5での処置後に有意に減少したが、sirtas_6およびsirtas_7での処置後は変化せず、SIRT1 mRNAレベルにも影響を有さなかった(図2)。sirtas_5、sirtas_6およびsirtas_7は、それぞれ配列番号47、48および49に対応する。
図2】SIRTアンチセンスCV396200を標的化するよう設計されたオリゴヌクレオチドでHepG2細胞が処置される実験のリアルタイムPCR結果を示す。同じ試料において、sirtas RNAのレベルは、sirtas_5での処置後に有意に減少したが、sirtas_6およびsirtas_7での処置後は変化せず、SIRT1 mRNAレベルにも影響を有さなかった。sirtas_5、sirtas_6およびsirtas_7は、それぞれ配列番号47、48および49に対応する。
図3】オリゴヌクレオチドがSIRTアンチセンスを交差(walk across)した結果を示す。リアルタイプPCRの結果は、HepG2細胞におけるSIRT1 mRNAレベルが、sirtasに対して設計されたアンチセンスオリゴヌクレオチドの3種(CUR−0292、CUR−0307およびCUR−0308)での処置後48時間で、有意に増加することを示している。CUR−0292〜CUR−0309は、それぞれ配列番号24〜41に対応する。
図4】HepG2におけるPS、LNAおよび2’O Meで修飾されたオリゴヌクレオチドの結果を示す。リアルタイムPCRの結果は、HepG2細胞におけるSIRT1 mRNAのレベルが、SIRT1アンチセンスに対するPS、LNA、2’O Meおよび2’O Meミクスマーで設計されたアンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置後48時間で、有意に増加することを示している。CUR−0245、CUR−0736、CUR−0688、CUR−0740およびCUR−0664として示されたバーは、それぞれ配列番号42〜46に対応する。
図5】Vero76細胞におけるPS、LNAおよび2’O Meで修飾されたオリゴヌクレオチドの結果を示す。Vero細胞におけるSIRT1 mRNAのレベルも、SIRT1アンチセンスに対するPSおよびLNA修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置後48時間で増加した。CUR−0245、CUR−0736、CUR−0688、CUR−0740およびCUR−0664として示されたバーは、それぞれ配列番号42〜46に対応する。
図6】サル脂肪生検のPCR結果を示す。リアルタイムPCRの結果は、SIRT1アンチセンスCV396200.1に対して設計されたオリゴヌクレオチドCUR−963を投与されたサルの脂肪生検において、SIRT1 mRNAレベルの増加を示している。CUR−963は、配列番号43に対応する。
図7】初代サル肝細胞のPCR結果を示す。リアルタイムPCRの結果は、SIRT1アンチセンスに対するオリゴヌクレオチドでの処置後の、SIRT1 mRNAレベルの増加を示している。CUR−0245として示されたバーは、配列番号42を示す。
図8】SIRTアンチセンスCV396200に対して設計されたオリゴヌクレオチドの結果を示す。リアルタイムPCRの結果は、HepG2細胞におけるSIRT1 mRNAのレベルが、SIRT1アンチセンスCV39600に対して設計されたオリゴヌクレオチドの1種での処置後に、有意に増加することを示している。CUR−1230〜CUR−1233として示されたバーは、配列番号50〜53に対応する。
図9】SIRTアンチセンスCV428275に対して設計されたオリゴヌクレオチドの結果を示す。リアルタイムPCRの結果は、HepG2細胞におけるSIRT1 mRNAのレベルが、SIRT1アンチセンスCV428275に対して設計されたオリゴヌクレオチドの2種での処置後に、有意に増加することを示している。CUR−1302、CUR−1304、CUR−1303およびCUR−1305として示されたバーは、配列番号54〜57に対応する。
図10】リアルタイムPCRの結果を示す。その結果は、SIRTアンチセンスBE717453に対して設計されたオリゴヌクレオチドの1種での処置後48時間での、HepG2細胞におけるSIRT1 mRNAのレベルの有意な増加を示している。CUR−1264〜CUR−1266として示されたバーは、それぞれ配列番号58〜60に対応する。
図11】リアルタイムPCRの結果を示す。その結果は、HepG2細胞におけるSIRT1 mRNAのレベルが、SIRTアンチセンスAV718812に対して設計されたオリゴヌクレオチドの3種での処置後48時間で、有意に増加することを示している。CUR−1294、CUR−1297、CUR−1295、CUR−1296およびCUR−1298として示されたバーは、それぞれ配列番号61〜65に対応する。
図12】HepG2細胞を、Lipofectamine2000を用いて導入されたホスホロオチオエートオリゴヌクレオチドで処置した後のSIRT1 mRNAの、対照と比較した倍率変化+標準偏差を示すリアルタイムPCRの結果のグラフである。リアルタイムPCRの結果は、SIRT1 mRNAのレベルが、SIRTアンチセンスAW169958に対して設計されたオリゴヌクレオチドの2種での処置後48時間のHepG2細胞において有意に増加することを示している。CUR−1381、CUR−1382、CUR−1383およびCUR−1384として示されたバーは、それぞれ配列番号66〜69で処置された試料に対応する。
図13】3T3細胞を、Lipofectamine2000を用いて導入されたホスホロオチオエートオリゴヌクレオチドで処置した後のSIRT1 mRNAの、対照と比較した倍率変化+標準偏差を示すリアルタイムPCRの結果のグラフである。リアルタイムPCRの結果は、SIRT1 mRNAのレベルが、SIRTマウスアンチセンスAK044604に対して設計されたオリゴヌクレオチドの3種での処置後48時間の3T3細胞において有意に増加することを示している。CUR−0949、CUR−0842、CUR−1098およびCUR−1099として示されたバーは、それぞれ配列番号76、70、80および81で処置された試料に対応する。
図14】3T3細胞を、Lipofectamine2000を用いて導入されたホスホロオチオエートオリゴヌクレオチドで処置した後のSIRT1 mRNAの、対照と比較した倍率変化+標準偏差を示すリアルタイムPCRの結果のグラフである。リアルタイムPCRの結果は、SIRT1 mRNAのレベルが、SIRTマウスアンチセンスAK044604に対して設計されたオリゴヌクレオチドの5種での処置後48時間の3T3細胞において、有意に増加することを示している。CUR−0948〜CUR−0951として示されたバーは、それぞれ配列番号75〜78、74および72で処置された試料に対応する。
図15】3T3細胞を、Lipofectamine2000を用いて導入されたホスホロオチオエートオリゴヌクレオチドで処置した後のSIRT1 mRNAの、対照と比較した倍率変化+標準偏差を示すリアルタイムPCRの結果のグラフである。リアルタイムPCRの結果は、SIRT1 mRNAのレベルが、SIRTマウスアンチセンスAK044604に対して設計されたオリゴヌクレオチドの2種での処置後48時間のHepG2細胞において、有意に増加することを示している。CUR−0842、CUR−0844およびCUR−0845として示されたバーは、それぞれ配列番号70、72および73で処置された試料に対応する。
図16】3T3細胞を、Lipofectamine2000を用いて導入されたホスホロオチオエートオリゴヌクレオチドで処置した後のSIRT1 mRNAの、対照と比較した倍率変化+標準偏差を示すリアルタイムPCRの結果のグラフである。リアルタイムPCRの結果は、SIRT1 mRNAのレベルが、SIRTマウスアンチセンスAK044604に対して設計されたオリゴヌクレオチドの2種での処置後48時間のHepG2細胞において、有意に増加することを示している。CUR−0843およびCUR−0846として示されたバーは、それぞれ配列番号71および74で処置された試料に対応する。
図17】HepG2細胞を、Lipofectamine2000を用いて導入されたホスホロオチオエートオリゴヌクレオチドで処置した後のサーチュイン3 mRNAの、対照と比較した倍率変化+標準偏差を示すリアルタイムPCRの結果のグラフである。RT PCRの結果は、HepG2細胞におけるsirt3レベルが、sirt3アンチセンスHs.683117に対して設計されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドでの処置後48時間で増加することを示している。CUR−0551、CUR−1552、CUR−1555、CUR−1556、CUR−1553、CUR−1554、CUR−1545、CUR−1546、CUR−1548、CUR−1549、CUR−1550およびCUR−1547として示されたバーは、それぞれ配列番号82〜93で処置された試料に対応する。
図18】HepG2細胞を、Lipofectamine2000を用いて導入されたホスホロオチオエートオリゴヌクレオチドで処置した後のサーチュイン3 mRNAの、対照と比較した倍率変化+標準偏差を示すリアルタイムPCRの結果のグラフである。RT PCRの結果は、HepG2細胞におけるsirt3レベルが、sirt3アンチセンスBQ024738およびBE164357に対して設計されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドでの処置後48時間で増加することを示している。CUR−1869、CUR−1871およびCUR−1873〜CUR−1878として示されたバーは、それぞれ配列番号94、95、96および98、99、100、101および102で処置された試料に対応する。
図19】Hek293細胞を、Lipofectamine2000を用いて導入されたホスホロオチオエートおよびsiRNAオリゴヌクレオチドで処置した後のSIRT3 mRNAの、対照と比較した倍率変化+標準偏差を示すリアルタイムPCRの結果のグラフである。CUR−1883およびCUR−1884として示されたバーは、それぞれ配列番号126および127で処置された試料に対応する。
図20】Vero76細胞を、Lipofectamine2000を用いて導入されたsiRNAオリゴヌクレオチドで処置した後のSIRT3 mRNAの、対照と比較した倍率変化+標準偏差を示すリアルタイムPCRの結果のグラフである。CUR−1883、CUR−1884、CUR−1873、CUR−1875、CUR−1878およびCUR−1546として示されたバーは、それぞれ配列番号126、127、96、98、100および92で処置された試料に対応する。
図21】HUVEC細胞を、Lipofectamine2000を用いて導入されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドで処置した後のSIRT4 mRNAの、対照と比較した倍率変化+標準偏差を示すリアルタイムPCRの結果のグラフである。CUR−1832およびCUR−1835として示されたバーは、それぞれ配列番号105および107で処置された試料に対応する。
図22】HepG2細胞を、Lipofectamine2000を用いて導入されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドで処置した後のSIRT4 mRNAの、対照と比較した倍率変化+標準偏差を示すリアルタイムPCRの結果のグラフである。CUR−1833およびCUR−1835として示されたバーは、それぞれ配列番号104および107で処置された試料に対応する。
図23】HepG2細胞を、Lipofectamine2000を用いて導入されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドで処置した後のSIRT5 mRNAの、対照と比較した倍率変化+標準偏差を示すリアルタイムPCRの結果のグラフである。CUR−1828、CUR−1829、CUR−1831およびCUR−1830として示されたバーは、それぞれ配列番号108、109、111および110で処置された試料に対応する。
図24】HepG2細胞を、Lipofectamine2000を用いて導入されたホスホロオチオエートオリゴヌクレオチドで処置した後のSIRT6 mRNAの、対照と比較した倍率変化+標準偏差を示すリアルタイムPCRの結果のグラフである。リアルタイムPCRの結果は、HepG2細胞におけるSIRT6 mRNAレベルが、SIRT6アンチセンス配列の受託番号NM_133475に対して設計されたオリゴの1種での処置後48時間で、有意に増加することを示している。CUR−0873、CUR−0869〜CUR−0871、CUR−0874およびCUR−0872として示されたバーは、それぞれ配列番号116、112、113、114、117および115で処置された試料に対応する。
図25】HepG2細胞を、Lipofectamine2000を用いて導入されたホスホロオチオエートオリゴヌクレオチドで処置した後のSIRT6 mRNAの、対照と比較した倍率変化+標準偏差を示すリアルタイムPCRの結果のグラフである。リアルタイムPCRの結果は、HepG2細胞におけるSIRT6 mRNAレベルが、SIRT6アンチセンスbf772662に対して設計されたオリゴの1種での処置後48時間で、有意に増加することを示している。CUR−0878、CUR−0876、CUR−0877およびCUR−0875として示されたバーは、それぞれ配列番号121、119、120および118で処置された試料に対応する。
図26】DBS−FCL−1細胞を、Lipofectamine2000を用いて導入されたホスホロオチオエートオリゴヌクレオチドで処置した後のSIRT6 mRNAの、対照と比較した倍率変化+標準偏差を示すリアルタイムPCRの結果のグラフである。リアルタイムPCRの結果は、DBS−FCL−1細胞におけるSIRT6 mRNAレベルが、SIRT6アンチセンスbf772662に対して設計されたオリゴの2種での処置後48時間で、有意に増加することを示している。CUR−0876、CUR−0878、CUR−0875およびCUR−0874として示されたバーは、それぞれ配列番号119、121、118および117で処置された試料に対応する。
図27】Vero76細胞を、Lipofectamine2000を用いて導入されたホスホロオチオエートオリゴヌクレオチドで処置した後のSIRT7 mRNAの、対照と比較した倍率変化+標準偏差を示すリアルタイムPCRの結果のグラフである。CUR−1824およびCUR−1825として示されたバーは、それぞれ配列番号122および123で処置された試料に対応する。
図28】SK−N−AS細胞を、Lipofectamine2000を用いて導入されたホスホロオチオエートオリゴヌクレオチドで処置した後のSIRT7 mRNAの、対照と比較した倍率変化+標準偏差を示すリアルタイムPCRの結果のグラフである。CUR−1824およびCUR−1825として示されたバーは、それぞれ配列番号124および125で処置された試料に対応する。
図29】HepG2細胞を、Lipofectamine2000を用いて導入されたホスホロオチオエートオリゴヌクレオチドで処置した後のSIRT7 mRNAの、対照と比較した倍率変化+標準偏差を示すリアルタイムPCRの結果のグラフである。CUR−1824およびCUR−1825として示されたバーは、それぞれ配列番号122および123で処置された試料に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[配列表の説明]
配列番号1:ホモサピエンスサーチュイン(サイレント接合型情報調節2ホモログ)1(S.セレビシエ)(SIRT1)、mRNA(NCBI登録番号:NM_012238.4);
配列番号133:ホモサピエンスサーチュイン1(SIRT1)、転写物変異型2、mRNA(NCBI受託番号NM_001142498.1)
配列番号2:ハツカネズミサーチュイン1(サイレント接合型情報調節2ホモログ)1(S.セレビシエ)(SIRT1)、mRNA(NCBI受託番号:NM_001159589);
配列番号3:ホモサピエンスサーチュイン2(SIRT2)、転写物変異型1、mRNA(NCBI受託番号:NM_012237.3);
配列番号134:ホモサピエンスサーチュイン2(SIRT2)、転写物変異型2、mRNA(NCBI受託番号:NM_030593.2);
配列番号135:ホモサピエンスサーチュイン2(SIRT2)、転写物変異型3、mRNA(NCBI受託番号:NM_001193286.1);
配列番号136:ホモサピエンスサーチュイン2(SIRT2)、転写物変異型4、非コードRNA(NCBI受託番号:NR_034146.1);
配列番号4:ホモサピエンスサーチュイン(サイレント接合型情報調節2ホモログ)3(S.セレビシエ)(SIRT3)、転写物変異型1、mRNA(NCBI受託番号:NM_012239.5);
配列番号137:ホモサピエンスサーチュイン3(SIRT3)、転写物変異型2、mRNA(NCBI受託番号:NM_001017524.2);
配列番号5:ホモサピエンスサーチュイン4(SIRT4)、mRNA(NCBI受託番号:NM_012240);
配列番号138:ホモサピエンスサーチュイン5(SIRT5)、転写物変異型2、mRNA(NCBI受託番号:NM_031244.2);
配列番号139:ホモサピエンスサーチュイン5(SIRT5)、転写物変異型3、mRNA(NCBI受託番号:NM_001193267.1);
配列番号6:ホモサピエンスサーチュイン5(SIRT5)、転写物変異型1、mRNA(NCBI受託番号:NM_012241);
配列番号7:ホモサピエンスサーチュイン6(SIRT6)、転写物変異型1、mRNA(NCBI受託番号:NM_016539);
配列番号140:ホモサピエンスサーチュイン6(SIRT6)、転写物変異型2、mRNA(NCBI受託番号:NM_001193285.1);
配列番号8:ホモサピエンスサーチュイン7(SIRT7)、mRNA(NCBI受託番号:NM_016538);
天然アンチセンス配列−配列番号9:伸長型天然アンチセンス配列(CV396200−伸長);配列番号10:天然アンチセンス配列(CV428275);配列番号11:天然アンチセンス配列(BE717453);配列番号12:天然アンチセンス配列(AV718812);配列番号13:天然SIRT1アンチセンス配列(AW169958);配列番号14:マウス天然アンチセンス配列(AK044604);配列番号15:天然SIRT3アンチセンス配列(Hs.683117);配列番号16:天然SIRT3アンチセンス配列(DA645474);配列番号17:天然SIRT3アンチセンス配列(BQ024738);配列番号18:天然SIRT3アンチセンス配列(BE164357);天然SIRT3アンチセンス配列(RIC8A)配列番号141:天然SIRT3アンチセンス配列(PMSD13);配列番号142:天然SIRT3アンチセンス配列(DA246502)配列番号143、配列番号19:天然SIRT4アンチセンス配列(AA156947);配列番号20:天然SIRT5アンチセンス配列(Hs.671550);配列番号21:天然SIRT6アンチセンス配列(BF772662);配列番号22:天然SIRT6アンチセンス配列(ANKRD24);配列番号23:天然SIRT7アンチセンス配列(Hs.671550);
アンチセンスオリゴヌクレオチド−配列番号24〜127。はホスホロチオエート結合を示す。+はLNAを示し、Mは2’OMeを示し、rはRNAを示す。
配列番号128〜130−配列番号128は、SIRT1天然アンチセンスCV396200のエキソン4に対応し、配列番号129、130および131は、それぞれ前方プライマー、後方プライマーおよびレポーター配列に対応する。配列番号132は、CUR962に対応する。はホスホロチオエート結合を示し、+はLNAを示す。
配列番号144および145は、それぞれアンチセンスオリゴヌクレオチドの配列番号126および127の逆相補配列に対応する。
【0019】
[詳細な説明]
本発明のいくつかの態様について、例示のための応用例を参照して以下に説明する。種々の特定の細部、関係、および方法は、本発明の完全な理解のために記載されていることを理解されたい。しかし、本発明を、1以上の特定の細部を用いることなく、または他の方法を用いて実施できることは、当業者には容易に理解されよう。本発明は、行為や事象の順序によって限定されず、いくつかの行為は、異なる順序で、および/または他の作用または事象と同時に発生し得る。さらに、すべての例示された行為または事象は、本発明による方法を実施するために必ずしも必要ではない。
【0020】
本明細書に記載されるすべての遺伝子、遺伝子名、および遺伝子産物は、本明細書に記載される組成物および方法が適用される任意の種由来のホモログに対応するものとする。したがって、この用語は、以下に限定されないが、ヒトおよびマウス由来の遺伝子および遺伝子産物を包含する。特定の種に由来する遺伝子または遺伝子産物が開示される場合、この開示内容は、例示のみを意図するものであり、それが現れた文脈が明示的に示さない限り、限定として解釈すべきものではない。したがって、例えば、本明細書に開示する遺伝子であって、いくつかの実施形態においてそれが哺乳動物の核酸およびアミノ酸配列に関連するものは、以下に限定されないが、他の哺乳類、魚類、両生類、爬虫類、および鳥類を含む他の動物に由来するホモログおよび/またはオルソログ遺伝子および遺伝子産物を包含するものとする。一実施形態において、該遺伝子または核酸配列はヒト由来である。
【0021】
他に断りがなければ、本明細書において命名された受託番号は、米国国立衛生研究所データベース、GenBankにおいて公的に入手可能な配列を識別するものである(Nucleic Acids Research, 2008 Jan, 36 Database issue: D25−30参照)。受託番号により参照された配列はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
[定義]
本明細書で使用される用語の選択は、特定の実施形態を説明する目的でされたものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は文脈において明らかに別記されない限り、複数形の内容も含むものとする。さらに、用語「含む」、「含める」、「有する」、「もつ」またはその変化形は、本明細書および/または添付の請求項において使用される場合、用語「包含する」と同様に非排他的な意味で用いられるものとする。
【0023】
用語「約」または「概ね」は、当業者が決定した特定の数値について許容される誤差範囲内にあることを意味し、当該誤差範囲は、部分的には、その数値がどのように測定または決定されたか、すなわち測定システムの限界に応じて決まる。例えば、「約」は、本技術分野での習慣に従って、1またはそれ以上の標準偏差内に収まっていることを意味し得る。あるいは、「約」は、所与の数値に対し、最大20%、好ましくは最大10%、より好ましくは最大5%、さらに好ましくは最大1%の範囲を意味し得る。あるいは、特に生物学的な系またはプロセスに関して、この用語は、ある数値に対し、1桁分(10倍)以内、より好ましくは5倍以内、さらに好ましくは2倍以内を意味し得る。特定の数値が本明細書および特許請求の範囲に記載される場合、特に別記されない限り、特定の数値の許容される誤差範囲ないであることを意味する用語「約」が仮定されるものとする。
【0024】
本明細書で使用される用語「mRNA」は、標的化された遺伝子の既知のmRNA転写物、および解明され得る他の転写物を意味する。
【0025】
「アンチセンスオリゴヌクレオチド」または「アンチセンス化合物」という表現によって、他のRNAまたはDNA(標的RNA、DNA)に結合するRNAまたはDNA分子を意味する。例えば、RNAオリゴヌクレオチドの場合、RNA−RNA相互作用によって他のRNA標的に結合し、その標的RNAの活性を変化させる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、特定のポリヌクレオチドの発現および/または機能をアップレギュレートまたはダウンレギュレートすることができる。この定義は、治療、診断、または他の観点から有用である任意の外来のRNAまたはDNA分子を含むことを意味する。そのような分子としては、例えば、標的核酸の少なくとも一部とハイブリダイズするアンチセンスRNAまたはDNA分子、干渉RNA(RNAi)、マイクロRNA、デコイRNA分子、siRNAは、酵素RNA、治療編集RNAおよびアゴニストおよびアンタゴニストのRNA、アンチセンスオリゴマー化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、外部ガイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド、選択的スプライサー、プライマー、プローブ、および他のオリゴマー化合物が挙げられる。このようなものとして、これらの化合物は、一本鎖の、二本鎖の、部分的一本鎖の、または環状オリゴマー化合物の形で導入し得る。
【0026】
本発明の文脈において、用語「オリゴヌクレオチド」は、リボ核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA)またはその模倣物質のオリゴマーまたはポリマーを指す。用語「オリゴヌクレオチド」という用語はまた、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、その置換型またはαアノマー型、ペプチド核酸(PNA)、ロックト核酸(LNA)、ホスホロオチオエート、メチルホスホナートなどを含む、天然および/または修飾されたモノマーまたは結合の直鎖状または環状のオリゴマーを含む。オリゴヌクレオチドは、ワトソン・クリック型塩基対、フーグスティーン型または逆フーグスティーン型塩基対などのモノマー−モノマー相互作用の規則的なパターンによって、標的ポリヌクレオチドに特異的に結合することができる。
【0027】
オリゴヌクレオチドは、「キメラ」すなわち異なる領域から構成されているものであってよい。本発明の文脈において、「キメラ」化合物は、例えば、DNA領域(S)、RNA領域(S)、PNA領域(S)などの2以上の化学領域を含むオリゴヌクレオチドである。各化学領域は、少なくとも1つのモノマー単位、すなわち、オリゴヌクレオチド化合物の場合ではヌクレオチドから構成されている。これらのオリゴヌクレオチドは、一般的には、そのオリゴヌクレオチドが1以上の所望の特性を発揮するべく修飾されている少なくとも1つの領域を含む。該オリゴヌクレオチドの所望の特性としては、以下に限定されないが、例えば、ヌクレアーゼ分解に対する高い抵抗性、高い細胞取り込み、および/または標的核酸に対する高い結合親和性などが挙げられる。したがって、オリゴヌクレオチドの異なる領域は、異なる特性を有し得る。本発明のキメラオリゴヌクレオチドは、上記のような、2以上のオリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、および/またはオリゴヌクレオチドアナログの混合構造として形成することができる。
【0028】
オリゴヌクレオチドは、「位置を揃えた形」で(in ”register”)結合され得る複数の領域から構成されるものであり得、すなわちモノマーが連続して結合される場合、天然DNAの場合と同様に結合されるか、またはスペーサーを介して結合され得る。スペーサーは、領域間の共有結合「架橋」を構成することを意図し、例において炭素原子約100個を超えない長さを有する。スペーサーは、さまざまな機能(例えば正電荷または負電荷の含有)を保持でき、特殊な核酸結合特性(干渉物質、グルーブバインダー、毒素、フルオロフォアなど)を保持でき、親油性であり、例えばアルファヘリックスを誘導するアラニン含有ペプチドのように、特殊な2次構造を誘導する。
【0029】
本明細書において使用されるサーチュイン(SIRT)は、ファミリーの全メンバー、変異体、アレル、断片、種、コード配列および非コード配列、センスおよびアンチセンスポリヌクレオチド鎖などを非排他的に包含する。
【0030】
本明細書において使用される言語、サーチュイン1、SIRT1、サーチュイン、サイレント接合型情報調節2ホモログ1、hSIR2、hSIRT1、NAD依存性デアセチラーゼサーチュイン1、SIR2L1、SIR2様タンパク質1は、文献では同義のものとみなされ、本出願において互換的に使用される。
【0031】
本明細書において使用される言語、サーチュイン2、サーチュイン−2、SIRT2、SIR2LおよびSIR2L2は、文献では同義のものとみなされ、本出願において互換的に使用される。
【0032】
本明細書において使用される言語、「サーチュイン 3」、サーチュイン3、サーチュイン−3、SIRT3、SIRT−3、hSIRT3、NAD−依存性デアセチラーゼサーチュイン−3、ミトコンドリアSIR2L3、SIR2様タンパク質3は、本出願において互換的に使用される。
【0033】
本明細書において使用される言語、サーチュイン4、SIRT4、MGC130046、MGC130047、MGC57437、NAD−依存性ADP−リボシルトランスフェラーゼサーチュイン−4、SIR2L4、SIR2様タンパク質4は、文献では同義のものとみなされ、本出願において互換的に使用される。
【0034】
本明細書において使用される言語、サーチュイン5、SIRT5、NAD−依存性デアセチラーゼサーチュイン−5、SIR2L5、SIR2様タンパク質5は、文献では同義のものとみなされ、本出願において互換的に使用される。
【0035】
本明細書において使用される言語、「サーチュイン 6」、サーチュイン6、サーチュイン−6、SIRT6、SIRT−6、NAD−依存性デアセチラーゼサーチュイン−6、SIR2L6、SIR2様タンパク質6は、文献では同義のものとみなされ、本出願において互換的に使用される。
【0036】
本明細書において使用される言語、サーチュイン7、SIRT7、MGC126840、MGC126842、NAD−依存性デアセチラーゼサーチュイン−7、SIR2L7、SIR2様タンパク質7は、文献では同義のものとみなされ、本出願において互換的に使用される。
【0037】
本明細書において使用される用語「に特異的なオリゴヌクレオチド」または「を標的にするオリゴヌクレオチド」は(i)標的遺伝子の一部分と安定な複合体を形成できる配列、または(ii)標的遺伝子のmRNA転写物の一部分と安定な2重鎖を形成できる配列を有するオリゴヌクレオチドを意味する。複合体および2重鎖の安定性は、理論計算および/または体外アッセイによって決定され得る。ハイブリダイゼーション複合体および2重鎖の安定性を決定するための典型的方法は、下記の実施例において記載される。
【0038】
本明細書において使用される用語「標的核酸」は、DNA、そのようなDNAから転写されたRNA(プレmRNAおよびmRNAを含む)、およびそのようなRNA、コード配列、非コード配列、センスまたはアンチセンスポリヌクレオチドに由来するcDNAも包含する。オリゴマー化合物のその標的核酸との特異的ハイブリダイゼーションは、核酸の通常の機能を妨げる。特異的にハイブリダイズする化合物による標的核酸の機能に対するこの調節は、通常「アンチセンス」と称される。干渉されるDNAの機能には、例えば複製および転写が含まれる。干渉されるRNAの機能として、例えばタンパク質翻訳部位へのRNAの転座、RNAからのタンパク質の翻訳、1つまたは複数のmRNA種を得るためのRNAのスプライシング、およびRNAが関与し得る、またはRNAによって促進され得る触媒活性などのすべての生体機能が挙げられる。標的核酸機能でのそのような干渉の全体的効果は、コードされる産物またはオリゴヌクレオチドの発現の調節である。
【0039】
RNA干渉「RNAi」は、「標的」核酸配列に配列特異的相同性を有する2本鎖RNA(dsRNA)分子によって介在される。本発明の特定の実施形態において介在物質は、5〜25ヌクレオチドの「低分子干渉」RNA2重鎖(siRNA)である。siRNAは、ダイサーとして周知のRNase酵素によるdsRNAのプロセシングに由来する。siRNA 2重鎖産物は、RISC(RNA Induced Silencing Complex、RNA誘導サイレンシング複合体)と称される多タンパク質siRNA複合体に入る。なんらかの特定の理論による束縛を望むものではないが、次いでRISCは、siRNA 2重鎖が配列特異的方法で相互作用し、触媒的に切断を介在する標的核酸(適切にはmRNA)に導かれると考えられる。本発明により使用され得る低分子干渉RNAは、当技術分野において十分に周知であり、当業者によく知られている手順に従って合成および使用され得る。本発明の方法における使用のための低分子干渉RNAは、適切には約1〜約50の間のヌクレオチド(nt)を含む。非限定的実施形態の例において、siRNAは約5〜約40nt、約5〜約30nt、約10〜約30nt、約15〜約25ntまたは約20〜25ヌクレオチドを含み得る。
【0040】
適切なオリゴヌクレオチドの選択は、自動的に核酸配列のアラインメントをとり、同一または相同な領域を示すコンピュータープログラムを使用することによって容易になる。そのようなプログラムは、例えばGenBankなどのデータベースを検索することによって、またはPCR産物を配列決定することによって得られた核酸配列を比較するために使用される。さまざまな種由来の核酸配列の比較により、種の間で適切な程度の同一性を示す核酸配列の選択が可能になる。配列決定されていない遺伝子の場合は、標的種および他の種における遺伝子間での同一性の程度の決定を可能にするサザンブロットが実施される。当技術分野においてよく知られるように、種々の程度のストリンジェンシーでのサザンブロットを実施することによって、同一性の概算的測定値を得ることが可能である。これらの手順は、管理される対象における標的核酸配列に高い相補性を示し、他の種における対応する核酸配列に低い相補性を示すオリゴヌクレオチドの選択を可能にする。当業者であれば、本発明における使用のための遺伝子の適切な領域を選択することにおいては相当な許容範囲があることを理解されよう。
【0041】
「酵素的RNA」によって酵素活性を有するRNA分子が意味される。酵素的核酸(リボザイム)は、最初に標的RNAに結合することによって作用する。そのような結合は、標的RNAを切断するべく作用する分子の酵素的部分の近接に保持される酵素的核酸の標的結合部分を通じて生じる。したがって酵素的核酸は、最初に標的RNAを認識し、次いで塩基対形成を通じて結合し、一旦正しい部位に結合すると標的RNAを切断するべく酵素的に作用する。
【0042】
「デコイRNA」は、リガンドに対する天然結合ドメインを模倣するRNA分子を意味する。したがってデコイRNAは、特異的リガンドの結合に関して天然結合標的と競合する。例えば、HIVトランス活性化応答(TAR)RNAの過剰発現は、「デコイ」として作用することができ、HIV tatタンパク質に効率的に結合し、それによってHIV RNAにコードされるTAR配列へのその結合を阻害することが判明している(Sullengerら,(1990)Cell,63,601−608)。これは、具体例として挙げられている。当業者でれば、これが一例に過ぎず、他の実施形態が当技術分野において公知の技術を使用して容易に作成され得ることを理解されよう。
【0043】
本明細書において使用される用語「モノマー」は、典型的には、大きさで数個、例えば約3〜4個の単量体単位から約数百個の単量体単位までの範囲のオリゴヌクレオチドを形成するホスホジエステル結合またはその類似結合によって連結されたモノマーを示す。ホスホジエステル結合の類似として、ホスホロオチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、ホスホロセレノエート、ホスホラミデートなどが挙げられ、後により詳細に記載される。
【0044】
用語「ヌクレオチド」は、非天然のヌクレオチドとともに天然のヌクレオチドを包含する。以前には「非天然に発生する」ものと考えられていた各種ヌクレオチドが、その後天然にも見出されたことがあるのは当業者には明らかなはずである。したがって、「ヌクレオチド」は、既知のプリンおよびピリミジンヘテロ環を含む分子だけでなく、ヘテロ環アナログおよびそれらの互変異性体も含む。他の種類のヌクレオチドの例としては、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシル、プリン、キサンチン、ジアミノプリン、8−オキソ−N6−メチルアデニン、7−デアザキサンチン、7−デアザグアニン、N4,N4−エタノシトシン、N6,N6−エタノ−2,6−ジアミノプリン、5−メチルシトシン、5−(C3−C6)−アルキニルシトシン、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、シュードイソシトシン、2−ヒドロキシ−5−メチル−4−トリアゾロピリジン、イソシトシン、イソグアニン、イノシンおよび米国特許第5,432,272号に記載されている「非天然の」ヌクレオチドである。「ヌクレオチド」という用語は、これらの例のすべてに加えてそのアナログおよび互変異性体も包含するものとする。特に興味深いヌクレオチドは、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、5−メチルシトシン、およびウラシルであり、これらはヒトにおける治療および診断の用途に関連して自然に生じるヌクレオチドと考えられる。ヌクレオチドは、例えばKornbergおよびBaker,DNA Replication,2nd Ed.(Freeman,San Francisco,1992)に記載の天然の2’−デオキシ糖および2’−ヒドロキシ糖ならびにそれらのアナログを含む。
【0045】
ヌクレオチドに関して「アナログ」は、修飾された塩基部分および/または修飾された糖部分を有する合成ヌクレオチド;2’−O,3’−C−結合[3.2.0]ビシクロアラビノヌクレオシドを含む。そのようなアナログは、結合特性、例えば2重鎖または3重鎖安定性、特異性などを増強するために設計された合成ヌクレオチドを含む。
【0046】
本明細書において使用される「ハイブリダイゼーション」は、オリゴマー化合物の実質的な相補鎖の対形成を意味する。対形成の1つの機序は、オリゴマー化合物の鎖の相補的ヌクレオシドまたはヌクレオチド塩基(ヌクレオチド)間でのワトソン−クリック型、フーグスティーン型または逆フーグスティーン型水素結合であり得る水素結合を含む。例えばアデニンおよびチミンは、水素結合の形成を通じて対形成する相補的ヌクレオチドである。ハイブリダイゼーションは、各種環境下で生じ得る。
【0047】
アンチセンス化合物は、標的核酸への化合物の結合が標的核酸の通常の機能に干渉して機能および/または活性の調節を生じ、特異的結合が望ましい条件下(すなわち生体内アッセイまたは治療的処置の場合での生理的条件下および対外アッセイの場合でのアッセイが実施される条件下)でアンチセンス化合物の非標的核酸配列への非特異的結合を避けるために十分な程度の相補性がある場合に「特異的にハイブリダイズできる」。
【0048】
本明細書において使用される表現「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」または「ストリンジェントな条件」は、本発明の化合物がその標的配列にハイブリダイズし、最小限の他の配列にしかハイブリダイズしない条件を意味する。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり、異なる環境下では異なっており、本発明の文脈においてオリゴマー化合物が標的配列にハイブリダイズする「ストリンジェントな条件」は、オリゴマー化合物の性質および組成物ならびにそれらが調査されるアッセイによって決定される。一般に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、Na++またはK++などの無機陽イオン塩の低濃度(<0.15M)(すなわち低イオン強度)、20℃−25℃より高くオリゴマー化合物:標的配列複合体のTmより低い温度、およびホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの変性剤または界面活性剤ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の存在を含む。例えば、ハイブリダイゼーション率はホルムアミド1%ごとに1.1%低下する。高ストリンジェンシーなハイブリダイゼーション条件の例は、0.1×塩化ナトリウム−クエン酸ナトリウムバッファー(SSC)/0.1%(w/v)SDSで60℃、30分間である。
【0049】
本明細書において使用される「相補性」は、1つまたは2つのオリゴマー鎖上の2つのヌクレオチド間の正確な対形成の能力を意味する。例えばアンチセンス化合物の特定の位置の核酸塩基が標的核酸の特定の位置で核酸塩基と水素結合でき、前記標的核酸がDNA、RNAまたはオリゴヌクレオチド分子である場合、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の水素結合の位置は相補的位置であると考えられる。オリゴマー化合物とさらなるDNA、RNAまたはオリゴヌクレオチド分子とは、各分子における十分な数の相補的位置が相互に水素結合できるヌクレオチドによって占められる場合に相互に相補的である。したがって「特異的にハイブリダイズできる」および「相補的」は、オリゴマー化合物と標的核酸との間に安定かつ特異的な結合が生じるような十分な数のヌクレオチドにわたる十分な程度の正確な対形成すなわち相補性を示すために使用される用語である。
【0050】
オリゴマー化合物の配列は、特異的にハイブリダイズできるその標的核酸の配列に100%相補的である必要がないことは当技術分野において理解されることである。さらにオリゴヌクレオチドは、介在するまたは隣接するセグメントがハイブリダイゼーション事象に関与せずに(例えばループ構造、ミスマッチまたはヘアピン構造)1以上のセグメントにわたってハイブリダイズできる。本発明のオリゴマー化合物は、それらが標的化される標的核酸配列中の標的領域に対して、少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%または少なくとも約99%の配列相補性を有する。例えば、アンチセンス化合物の20個のヌクレオチドのうちの18個が標的領域に相補的であり、したがって特異的にハイブリダイズするアンチセンス化合物は、90パーセントの相補性を示す。この例において残りの非相補的ヌクレオチドは、相補的ヌクレオチドと共に一群となっていても点在していても良く、相互にまたは相補的ヌクレオチドに近接している必要はない。そのように長さ18ヌクレオチドであり、標的核酸と完全に相補的な2つの領域によって隣接された4つ(4個)の非相補的ヌクレオチドを有するアンチセンス化合物は、標的核酸に全体で77.8%の相補性を有し、したがって本発明の範囲内に含まれる。アンチセンス化合物と標的核酸の領域との相補性百分率は、当技術分野において周知のBLASTプログラム(basic local alignment search tools)およびPowerBLASTプログラムを使用して通常とおりに決定され得る。相同性百分率、配列同一性または相補性は、例えば、Gapプログラムによって決定され得る。
【0051】
本明細書において使用される用語「熱融点(Tm)」は、規定のイオン強度、pHおよび核酸濃度の下で、標的配列に相補的であるオリゴヌクレオチドの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度を意味する。典型的にはストリンジェントな条件は、塩濃度が少なくともNaイオン濃度(または他の塩)約0.01〜1.0M、pH7.0〜8.3であり、短いオリゴヌクレオチド(例えば10〜50ヌクレオチド)については温度が低くとも約30℃であるものである。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加でも達成され得る。
【0052】
本明細書において使用される用語「調節」は、遺伝子の発現における増大(刺激)または減少(阻害)を意味する。
【0053】
ポリヌクレオチド配列の文脈において使用される場合に用語「変異型」は、野生型遺伝子に関連するポリヌクレオチド配列を包含する。この定義は、例えば「アレル」、「スプライス」、「種」または「多型」変異型も含み得る。スプライス変異型は、基準の分子と有意な同一性を有し得るが、一般にmRNAプロセシングの際のエキソンの選択的スプライシングによる、より多いまたは少ない数のポリヌクレオチドを有する。対応するポリペプチドは、追加的機能ドメインまたはドメインの欠損を有し得る。種の変異型は、1つの種から他の種へ変化するポリヌクレオチド配列である。本発明における特定の有用性は、野生型遺伝子産物の変異型である。変異型は、核酸配列における少なくとも1つの変異から生じることができ、変化したmRNAまたはその構造または機能が変化していても変化していなくてもよいポリペプチドを生じ得る。任意の所与の天然または組み換え遺伝子は、対立形態を有さない場合も、1つ有する場合も、多数有する場合もある。変異型を生じる通常の変異変化は、一般に天然の欠失、追加またはヌクレオチドの置換に帰する。これらの型の変化のそれぞれは、単独でまたは他との組み合わせで1回または複数回、所与の配列に生じ得る。
【0054】
得られたポリペプチドは、一般に相互に比較して顕著なアミノ酸同一性を有する。多型変異型は、所与の種の個体間での特定の遺伝子のポリヌクレオチド配列における変異型である。多型変異型は、「単一ヌクレオチド多型」(SNP)またはポリヌクレオチド配列が1塩基によって変化している単一塩基変異も包含できる。SNPの存在は、例えば、易罹患性対抵抗性である病態についてのある傾向を有する特定の集団についての指標であり得る。
【0055】
誘導体ポリヌクレオチドは、化学的修飾(例えば水素のアルキル、アシルまたはアミノ基での置換)に供された核酸を含む。誘導体、例えばオリゴヌクレオチド誘導体は、修飾された糖部分または糖間結合などの天然に存在しない部分を含み得る。これらにおける例は、ホスホロオチオエートおよび当技術分野において周知の他のイオウ含有種である。誘導核酸は、放射性ヌクレオチド、酵素、蛍光剤、化学発光剤、発色剤、基質、補助因子、阻害因子、磁性粒子などが挙げられる標識も含み得る。
【0056】
「誘導体」ポリペプチドまたはペプチドは、例えばグリコシル化、ポリエチレングリコール化、リン酸化、硫酸化、還元/アルキル化、アシル化、化学的カップリングまたは穏やかなホルマリン処理によって修飾されたものである。誘導体は、以下に限定されないが放射性同位元素、蛍光または酵素標識を含む検出可能な標識を含むために直接または間接的のいずれかで修飾もされ得る。
【0057】
本明細書において使用される用語「動物」または「患者」とは、例えばヒト、ヒツジ、エルク、シカ、ミュールジカ、ミンク、哺乳動物、サル、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、鳥類、ニワトリ、爬虫類、魚類、昆虫およびクモ類を含む意味である。
【0058】
「哺乳動物」は、典型的には医療的ケアの下にある温血哺乳動物(例えばヒトおよび家畜)を含む。例として、ヒトのみならず、ネコ、イヌ、ウマ、ウシおよびヒトが挙げられる。
【0059】
「治療」または「処置」は、(a)哺乳動物において病状が生じることを予防する工程、具体的にはそのような哺乳動物が前病気状態におかれているが、病状が生じているとまだ診断されていない場合;(b)病状を抑制する工程、例えばその進行を止める工程;および/または(c)病状を軽減する工程、例えば病態の退行を所望の終点に至るまで生じさせる工程、を含む哺乳動物における病気に対する処置を含む。治療は、疾患の症状の回復(例えば疼痛または不快感の緩和)も含み、そのような回復は、疾患に直接効果を与える場合または与えない場合がある(例えば原因、伝染、発現など)。
【0060】
本明細書において「癌」とは、哺乳動物においてみられるあらゆる種類の癌または新生物または悪性腫瘍を指し、以下に限定されないが、白血病、リンパ腫、黒色腫、癌腫、および肉腫が含まれる。癌は、「腫瘍」すなわち癌の悪性細胞を含む組織として現れる。腫瘍の例には肉腫および癌種が含まれ、例えば、以下に限定されないが、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮細胞肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、および網膜芽細胞腫などが挙げられる。本明細書に開示する本発明の組成物によって治療できる他の癌としては、以下に限定されないが、例えば、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、肺癌、横紋筋肉腫、原発性血小板血症、原発性マクログロブリン血症、小細胞肺癌、原発性脳腫瘍、胃癌、大腸癌、悪性膵臓インスリノーマ、悪性カルチノイド、膀胱癌、前癌状態の皮膚病変、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、尿生殖路癌、悪性高カルシウム血症、子宮頸癌、子宮内膜癌、副腎皮質癌、および前立腺癌などが挙げられる。
【0061】
「神経疾患または障害」は、神経系および/または視覚系の任意の疾患または障害を指す。「神経疾患または障害」は、中枢神経系(脳、脳幹および小脳)、末梢神経系(脳神経を含む)、および自律神経系(中枢および末梢神経系の両方に局在する部分)を含む疾患または障害を含む。神経障害の例としては、以下に限定されないが、頭痛、昏迷および昏睡、認知症、発作、睡眠障害、外傷、感染、新生物、神経眼科学、運動障害、脱髄疾患、脊髄障害および末梢神経障害、筋肉および神経筋接合部が挙げられる。依存症および精神疾患は、以下に限定されないが、双極性障害および統合失調症が挙げられ、神経障害の定義にも含まれる。以下のものは、本発明による組成物および方法を用いて処置され得る複数の神経障害、症状、徴候および症候群の列挙である:後天性てんかん性失語症、急性播種性脳脊髄炎、副腎白質ジストロフィー、加齢性黄斑変性、脳梁欠損症、失認、アイカルディ症候群、アレキサンダー病、アルパース病、交代性片麻痺、血管性認知症、筋萎縮性側索硬化症、無脳症、アンジェルマン症候群、血管腫症、無酸素症、失語症、失行、くも膜嚢胞、くも膜炎、アーノルド−キアリ奇形、動静脈奇形、アスペルガー症候群、毛細血管拡張性失調症、注意欠陥多動性障害、自閉症、自律神経機能不全、背痛、バッテン病、ベーチェット病、ベル麻痺、良性本態性眼瞼けいれん、良性限局性筋萎縮症、良性頭蓋内高血圧症、ビンスワンガー病、眼瞼けいれん、ブロッホ−サルズバーガー症候群、腕神経叢損傷、脳膿瘍、脳損傷、脳腫瘍(多型性神経膠芽腫を含む)、脊椎腫瘍、ブラウン−セカール症候群、カナバン病、手根管症候群、灼熱痛、中枢性疼痛症候群、橋中心髄鞘崩壊症、頭部障害、脳動脈瘤、脳動脈硬化症、大脳萎縮症、脳性巨人症、脳性麻痺、シャルコー−マリー−トゥース病、化学療法誘発性末梢神経障害および末梢神経障害性疼痛、キアリ奇形、舞踏病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、慢性疼痛、複合型局所疼痛症候群(chronic regional pain syndrome)、コフィン−ローリー症候群、遷延性植物状態を含む昏睡、先天性顔面神経麻痺、大脳皮質基底核変性症、頭蓋動脈炎、頭蓋縫合早期癒合症、クロイツフェルト−ヤコブ病、蓄積外傷性障害、クッシング症候群、巨細胞封入体病、サイトメガロウイルス感染症、ダンシングアイズ−ダンシングフィート症候群、ダンディ−ウォーカー症候群、ドーソン病、デ・モルシエ症候群、デジェリン・クルンプケ麻痺、認知症、皮膚筋炎、糖尿病性神経障害、びまん性硬化症、自律神経失調症、書字障害、読字障害、筋緊張異常、早期乳児てんかん性脳症、空虚トルコ鞍症候群、脳炎、脳瘤、脳三叉神経領域血管腫症、てんかん、エルブ麻痺、本態性振戦、ファブリー病、ファール症候群、失神、家族性痙性四肢麻痺、熱性けいれん、フィッシャー症候群、フリードライヒ運動失調、前頭側頭葉型認知症およびその他の「タウオパチー」、ゴーシェ病、ゲルストマン症候群、巨細胞性動脈炎、巨細胞封入体症、グロボイド細胞白質ジストロフィー、ギラン−バレー症候群、HTLV−1関連脊髄症、ハレルフォルデン−スパッツ病、頭部外傷、頭痛、片側顔面けいれん、遺伝性痙性対麻痺、遺伝性多発神経炎性失調、耳性帯状疱疹、帯状疱疹、平山症候群、HIV関連認知症およびニューロパチー(AIDSの神経学的症状も含む)、全前脳胞症、ハンチントン病およびその他のポリグルタミン鎖病、水無脳症、水頭症、副腎皮質機能亢進症、低酸素症、免疫介在性脳脊髄炎(immune−mediated encephalomyelitis)、封入体筋炎、色素失調症、乳児型フィタン酸蓄積症(infantile phytanic acid storage disease)、乳児型レフサム病、乳児けいれん、炎症性筋疾患、頭蓋内のう胞、頭蓋内圧亢進症、ジュベール症候群、カーンズ−セイヤー症候群、ケネディ病、キンスボーン症候群、クリッペル・ファイル症候群、クラッベ病、クーゲルベルグ−ヴェランダー病、クールー、ラフォラ疾患、ランバート−イートン筋無力症候群、ランドウ−クレフナー症候群、延髄外側(ワレンベルグ)症候群、学習障害、リー病、レノックス−ガストー症候群、レッシュ−ナイハン症候群、脳白質ジストロフィー、レビー小体型認知症、滑脳症、閉じこめ症候群、ルー−ゲーリッグ病(すなわち、運動ニューロン疾患または筋萎縮性側索硬化症)、腰椎椎間板症、ライム病の神経学的後遺症、マシャド・ジョセフ病、巨頭症、巨脳症、メルカーソン−ローゼンタール症候群、メニエール病、髄膜炎、メンケス病、異染性白質ジストロフィー、小頭症、片頭痛、ミラー−フィッシャー症候群、一過性脳虚血発作、ミトコンドリアミオパチー、メビウス症候群、若年性一側性上肢筋萎縮症、運動ニューロン疾患、もやもや病、ムコ多糖症、多発梗塞性認知症、多巣性運動ニューロパチー、多発性硬化症およびその他の脱髄疾患、体位性低血圧を伴った多系統萎縮症、p筋ジストロフィー(p muscular dystrophy)、重症筋無力症、ミエリン分解性びまん性硬化症(myelinoclastic diffuse sclerosis)、乳児期ミオクローヌス脳症、ミオクローヌス、ミオパチー、先天性筋緊張症、ナルコレプシー、神経線維腫症、神経遮断薬悪性症候群、AIDSの神経学的症状、ループスの神経学的後遺症、神経性筋緊張病、神経セロイドリポフスチン症、神経細胞移動障害、ニーマン−ピック病、オサリバン−マクロード症候群、後頭神経痛、潜在性脊椎閉鎖不全(occult spinal dysraphism sequence)、大田原症候群、オリーブ橋小脳萎縮症、オプソクローヌス−ミオクローヌス、視神経炎、起立性低血圧、使いすぎ症候群、感覚異常、神経変性疾患または障害(パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側先硬化症(ALS)、認知症、多発性硬化症ならびにニューロン細胞死に関連する他の疾患および障害)、先天性パラミオトニア、腫瘍随伴性疾患、発作、パリー−ロンベルグ症候群、ペリツェウス−メルツバッヘル病、周期性四肢麻痺、末梢性ニューロパチー、有痛性神経障害および神経障害疼痛、遷延性植物状態、広汎性発達障害、光くしゃみ反射、フィタン酸蓄積症、ピック病、圧迫神経、下垂体腫瘍、多発性筋炎、孔脳症、ポリオ後症候群、帯状疱疹後神経痛、感染後脳脊髄炎、体位性低血圧、プラダー−ウィリー症候群、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性顔面半側萎縮症、進行性多巣性白質脳症、進行性硬化性灰白質ジストロフィー(progressive sclerosing poliodystrophy)、進行性核上性麻痺、偽脳腫瘍、ラムゼイ・ハント症候群(I型およびII型)、ラスムッセン脳炎、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、レフサム病、反復性動作障害、反復性ストレス傷害、下肢静止不能症候群、レトロウイルス関連脊髄症、レット症候群、ライ症候群、セント・ヴィトゥス舞踏病、サンドホフ病、シルダー病、裂脳症、中隔視神経形成異常症、乳幼児揺さぶられ症候群、帯状疱疹(shingles)、シャイ−ドレーガー症候群、シェーグレン症候群、睡眠時無呼吸、ソトス症候群、痙縮、二分脊髄、脊髄損傷、脊髄腫瘍、脊髄性筋萎縮症、スティッフ−パーソン症候群、脳卒中、スタージ・ウェーバ症候群、亜急性硬化性全脳炎、皮質下動脈硬化性脳症、シデナム舞踏病、失神、脊髄空洞症、遅発性ジスキネジア、テイ−サックス病、側頭動脈炎、脊髄係留症候群、トムセン病、胸郭出口症候群、顔面神経痛、トッド麻痺、トゥレット症候群、一過性脳虚血発作、伝達性海綿状脳症、横断性脊髄症、外傷性脳損傷、振戦、三叉神経痛、熱帯性痙性不全対麻痺症、結節性硬化症、血管性認知症 (多発梗塞性認知症)、側頭動脈炎を含む血管炎、フォン ヒッペル−リンドウ病、ワレンベルグ症候群、ウェルドニッヒ−ホフマン病、ウエスト症候群、むちうち症、ウイリアムズ症候群、ウィルソン病、ならびにツェルウエーガー症候群。
【0062】
「代謝疾患」は、例えばインスリン抵抗性、糖尿病、肥満、耐糖能障害、高血中コレステロール、高血糖、脂質代謝異常および高脂血症を含む、内分泌系の広範囲の疾患および障害を指す。
【0063】
「炎症」は、全身炎症状態、ならびに単球、白血球および/または好中球の遊走および誘引に局所的に関連する状態を指す。炎症の例としては、以下に限定されないが、病原性生物体(グラム陽性菌、グラム陰性菌、ウイルス、真菌、および寄生虫、例えば原生動物およびぜん虫を含む)への感染による炎症、移植片拒絶(固形臓器、例えば腎臓、肝臓、心臓、肺または角膜の拒絶、および移植片対宿主病(GVHD)を含む骨髄移植片の拒絶)、または慢性もしくは急性自己免疫もしくはアレルギー反応による炎症が挙げられる。自己免疫疾患としては、急性糸球体腎炎;関節リウマチもしくは反応性関節炎;慢性糸球体腎炎;炎症性腸疾患、例えばクローン病、潰瘍性大腸炎および壊死性腸炎;顆粒球輸血関連症候群;炎症性皮膚病、例えば接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾癬;全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫性甲状腺炎、多発性硬化症、および糖尿病のいくつかの形態、または対象自身の免疫系の発作が病的組織破壊をもたらす任意の他の自己免疫状態が挙げられる。アレルギー反応としては、アレルギー性喘息、慢性気管支炎、急性および遅延型過敏症が挙げられる。全身炎症疾患状態としては、外傷、熱傷、虚血事象後の再灌流(例えば、心筋梗塞および卒中を含む、心臓、脳、腸または末梢血管における血栓事象)、敗血症、ARDSまたは多臓器不全症候群が挙げられる。炎症性細胞動員は、アテローム斑においても生じる。炎症としては、以下に限定されないが、非ホジキンリンパ腫、ウェゲナー肉芽腫、橋本甲状腺炎、肝細胞癌、胸腺萎縮、慢性膵臓炎、関節リウマチ、反応性リンパ様過形成、骨関節炎、潰瘍性大腸炎、乳頭癌、クローン病、潰瘍性大腸炎、急性胆嚢炎、硬変、慢性唾液腺炎、腹膜炎、急性膵臓炎、慢性膵臓炎、慢性胃炎、腺筋症、子宮内膜症、急性子宮頸炎、慢性子宮頸炎、リンパ様過形成、多発性硬化症、特発性血小板減少性紫斑症に続発する肥大、原発性IgA腎症、全身性エリテマトーデス、乾癬、肺気腫、慢性腎盂腎炎、および慢性膀胱炎が挙げられる。
【0064】
「心臓血管疾患または障害」は、虚血を誘発し得る、または心臓の再灌流により誘発されるそのような障害を含む。例としては、以下に限定されないが、アテローム性硬化症、冠動脈疾患、肉芽腫性心筋炎、慢性心筋炎(非肉芽腫性)、原発性肥大性心筋症、末梢血管疾患(PAD)、卒中、狭心症、心筋梗塞、心停止により誘発される心臓血管組織損傷、心臓バイパスにより誘発された心臓血管組織損傷、心原生ショック、および当業者に公知の関連状態、または心臓もしくは血管の機能不全もしくは組織損傷を含む関連状態、特に以下に限定されないが、サーチュイン3活性化に関連する組織損傷が挙げられる。CVS疾患としては、以下に限定されないが、アテローム性硬化症、肉芽腫性心筋炎、心筋梗塞、心臓弁膜症に続発する心筋線維症、梗塞を伴わない心筋線維症、原発性肥大性心筋症、および慢性心筋炎(非肉芽腫性)が挙げられる。
【0065】
[ポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド組成物および分子]
[標的]
一実施形態において、該標的は、限定ではないがサーチュイン(SIRT)に関連するセンスおよび/またはアンチセンスの非コードおよび/またはコード配列を含む、サーチュイン(SIRT)の核酸配列を含む。
【0066】
一実施形態において、該標的は、限定ではないがSIRT1遺伝子に関連するセンスおよび/またはアンチセンスの非コードおよび/またはコード配列を含む、SIRT1の核酸配列を含む。
【0067】
一実施形態において、該標的は、限定ではないがSIRT2遺伝子に関連するセンスおよび/またはアンチセンスの非コードおよび/またはコード配列を含む、SIRT2の核酸配列を含む。
【0068】
一実施形態において、該標的は、限定ではないがSIRT3遺伝子に関連するセンスおよび/またはアンチセンスの非コードおよび/またはコード配列を含む、SIRT3の核酸配列を含む。
【0069】
一実施形態において、該標的は、限定ではないがSIRT4遺伝子に関連するセンスおよび/またはアンチセンスの非コードおよび/またはコード配列を含む、SIRT4の核酸配列を含む。
【0070】
一実施形態において、該標的は、限定ではないがSIRT5遺伝子に関連するセンスおよび/またはアンチセンスの非コードおよび/またはコード配列を含む、SIRT5の核酸配列を含む。
【0071】
一実施形態において、該標的は、限定ではないがSIRT6遺伝子に関連するセンスおよび/またはアンチセンスの非コードおよび/またはコード配列を含む、SIRT6の核酸配列を含む。
【0072】
一実施形態において、該標的は、限定ではないがSIRT7遺伝子に関連するセンスおよび/またはアンチセンスの非コードおよび/またはコード配列を含む、SIRT7の核酸配列を含む。
【0073】
「SIRT1タンパク質」は、サーチュインデアセチラーゼのsir2ファミリーのメンバーを指す。一実施形態において、SIRT1タンパク質としては、酵母Sir2(GenBank受託番号P53685)、C.エレガンス Sir−2.1(GenBank受託番号NP_501912)、ヒトSIRT1(GenBank受託番号NM_012238およびNP_036370(またはAF083106))が挙げられる。
【0074】
SIRT1「サーチュイン」は、「SIR2」−PF02146(「付録」に添付される)においてヒットするアミノ酸配列として定義されたドメイン、SIR2ドメインを含むタンパク質である。このファミリーは、INTERPROデータベースにおいてINTERPRO記述(エントリー IPR003000)として参照される。タンパク質配列における「SIR2」ドメインの存在を同定し、該当するポリペプチドまたはタンパク質が特定のプロファイルを有することを決定するために、該タンパク質のアミノ酸配列を、デフォルトパラメータ(http://www.sanger.ac.uk/Software/Pfam/HMM_search)を用いて、HMMのPfamデータベース(例えば、Pfamデータベース、リリース9)に対して検索することができる。SIR2ドメインは、PfamにおいてPF02146として索引付けされ、INTERPROにおいてはINTERPRO記述(エントリー IPR003000)として索引付けされる。Pfamデータベースの記述は、The Pfam Protein Families Database” Bateman Aら(2002) Nucleic Acids Research 30(l):276−280およびSonhammerら(1997) Proteins 28(3):405−420に見出すことができ、HMMの詳細な記述は、例えば、Gribskov ら(1990) Meth. Enzymol. 183:146−159;Gribskovら(1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:4355−4358;Kroghら(1994) J. Mol. Biol. 235:1501−1531;およびStultzら(1993) Protein Sci. 2:305−314に見出すことができる。
【0075】
ミトコンドリアサーチュインのうち、SIRT3は、最も強力なデアセチラーゼ活性を有する。事実、SIRT4またはSIRT5ノックアウト動物に比較して、有意に高レベルのミトコンドリアタンパク質アセチル化が、SIRT3を有さないマウスの肝臓において検出された。しかし、複数のSIRT3基質および共沈タンパク質:アセチル−CoAシンセターゼ2、Ku70、FOXO3a、ミトコンドリア複合体Iのサブユニット9(NDUFA9)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼおよびイソクエン酸デヒドロゲナーゼ2が同定されたという事実があるにもかかわらず、SIRT3の生理学的役割についてはほとんど知られていない。
【0076】
SIRT3は、主要なミトコンドリアデアセチラーゼである。ミトコンドリアタンパク質は、SIRT3ノックアウトマウスにおいては高アセチル化を示すが、SIRT4またはSIRT5ノックアウトマウスにおいては示さない。アセテートをアセチル−CoAに変換するミトコンドリア酵素、アセチル−CoAシンセターゼ2(AceCS2)は、同定されたSIRT3の最初のミトコンドリア基質であった。SIRT3による、リシン642のAceCS2のデアセチル化は、アセチル−CoAシンセターゼ活性を活性化し、高濃度のアセチル−CoAを提供して、トリカルボン酸サイクルに供給する。エネルギー生産に関与する他のミトコンドリアタンパク質、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)は、SIRT3によりデアセチル化される。その一方でGDHは、SIRT4によりADPリボシル化されて、その酵素活性を低下させる可能性もある。これは、SIRT3が細胞代謝において重要な役割を担い得ることを示している。SIRT3は、選択的アポトーシス経路および細胞増殖制御に関与することも示された。SIRT5とは異なり、SIRT3およびSIRT4は、細胞生存に関係するNAD+レベルを調節するNAD+サルベージ経路に関連づけられた。加えて、hSIRT3遺伝子の変異性が、ヒトの長命に関連づけられた。
【0077】
Silent Information Regulator−2遺伝子(Sir2)は、S.セレビシエにおいてクロマチン、ゲノム安定性、および寿命の調節に関連するNAD依存性ヒストンデアセチラーゼをコードする。クロマチンサイレンシングを促進することにより、Sir2は、複数の遺伝子座での転写を阻害して、リボソームDNA(rDNA)リピートでの組換えを抑制する。Sir2において突然変異を有する酵母は、rDNA組換えに関連して高いゲノム不安定性を有し、その一方で複製寿命−この生物体における生殖器加齢のマーカー、を短縮させる。逆に、rDNA組換えを抑制するSir2のエクストラコピーが、複製寿命を増加させる。Sir2のこれらの効果は、クロマチン調節をとおしてゲノム安定化を促進する遺伝子が、生物体の寿命、加齢、および年齢関連病態の調節への重要な寄与物質である可能性を示唆している。
【0078】
寿命調製におけるSir2因子の保存的役割と一致して、多細胞生物体C.エレガンスおよびD.メラノガスターにおけるSir2タンパク質の活性上昇も、寿命を増加させる。しかしこれらのSir2因子は、ゲノム安定化と独立したメカニズムで動作する可能性があり、それらの生理学的分子基質は、依然として不明である。哺乳動物においては、7つのSir2ファミリーメンバー、SIR1〜SIR7が存在する。SIRTは、哺乳動物の寿命および加齢関連プロセスの調節物質候補として大きな関心を寄せられた。これに関連して、複数の哺乳動物SIRTは、加齢関連の分子経路および疾患に影響を及ぼす機能を有する。しかし哺乳動物のSIRTの初期の試験は、これらの酵素を、S.セレビシエSir2のものとは異なる生化学的標的および細胞機能に関連づけた。
【0079】
サーチュインは、酵母転写レプレッサーSir2pのホモログであり、細菌からヒトまで保存されている。ヒトSIRT4は、ミトコンドリアに局在する。SIRT4は、マトリックスタンパク質であり、ミトコンドリア内へ輸送された後アミノ酸28で切断されることになる。SIRT4と免疫共沈殿するタンパク質の質量分析により、インスリン分解酵素およびADP/ATPキャリアタンパク質、ANT2およびANT3が同定された。SIRT4は、ヒストンデアセチラーゼ活性を呈さないが、ヒストンおよびウシ血清アルブミン上で効率的なADP−リボシルトランスフェラーゼとして機能する。SIRT4は、ランゲルハンス島において発現され、インスリン発現β細胞と共存する。インスリンを産生するINS−1E細胞からSIRT4が枯渇すると、グルコースに応答したインスリン分泌の増加をもたらす。
【0080】
SIRT5としても知られるサーチュイン(サイレント接合型情報調節2ホモログ)5(S.セレビシエ)は、ヒトにおいてはSIRT5遺伝子によりコードされ、その他の種においてはSirt5遺伝子によりコードされるタンパク質である。この遺伝子は、酵母Sir2タンパク質のホモログであるタンパク質のサーチュインファミリーのメンバーをコードする。このサーチュインファミリーのメンバーは、サーチュインコアドメインを特徴とし、4種の分類に分別される。ヒトサーチュインの機能は、未だ決定されていないが、酵母サーチュインタンパク質は、エピジェネティックな遺伝子サイレンシングを調節し、rDNAの組換えを抑制することが公知である。複数の試験は、ヒトサーチュインがモノ−ADP−リボシルトランスフェラーゼ活性を有する細胞内調節タンパク質として機能し得ることを示唆している。この遺伝子によりコードされたタンパク質は、サーチュインファミリーのクラスIIIに含まれる。この遺伝子の選択的スプライシングは、2種の転写物変異型をもたらす。
【0081】
哺乳動物のSIRT6遺伝子が欠損したマウスの作製により、寿命、クロマチン、およびゲノム安定性の調節を関連づける際のSIRT6の潜在的役割が明らかとなった。これに関連して、マウスにおけるSIRT6欠損は、早老の病態と重複して寿命の劇的短縮および急性変性表現型を誘発する。その上、SIRT6ノックアウトマウス細胞は、ゲノム不安定性およびDNA損傷過敏性を有する。生化学的分画アッセイにおいて、SIRT6タンパク質は、クロマチンを豊富に含む細胞分画と優先的に会合する。同時に、これらの観察から、SIRT6がクロマチン調節をDNA修復と結び付け得ることが示唆された。しかしそのようなプロセスにおけるSIRT6の生理学的役割は、未だ実証されていない。
【0082】
酵母Sir2のホモログである哺乳動物サーチュイン(SIRT1〜7)が、近年になり重要な代謝経路の制御に加え、アポトーシス、ストレス反応、DNA修復、細胞周期、ゲノム安定性および遺伝子発現に関与することが提示された。クラスIIIヒストンデアセチラーゼとも称されるサーチュインが、タンパク質デアセチラーゼ/ADPリボシルトランスフェラーゼである。これらの酵素は、原核生物から真核生物まで高度に保存されている。それらはすべて、保存されたNAD依存性触媒コアドメインを共有し、特有の細胞内局在化に寄与する様々なN末端およびC末端伸長を呈し、触媒活性も調節し得る。サーチュインの細胞内分布、基質特異性および細胞内機能は、極めて多様である。SIRT2は、主に細胞質タンパク質であるが、SIRT3〜5は、ミトコンドリアタンパク質であり、SIRT7、−6および−7は、核内に局在する。酵母Sir2に最も密接に関連し、最良に特徴づけられたサーチュインであるSIRT7は、細胞内の酸化および遺伝毒性ストレスを調節するp53、Ku70、NF−κBおよびフォークヘッド転写因子を含む多数の基質を有する。SIRT6は、ゲノム不安定性および早老性表現型から細胞を防御することにおいて重要な機能に関与する。その上、SIRT6は、強力な自己ADPリボシルトランスフェラーゼ活性を呈する唯一のサーチュインである。SIRT7は、核小体内に局在する唯一のサーチュインである。それは、RNA Pol I機構のアセチル化ヒストンおよび様々なアセチル化成分で検査した場合に、デアセチラーゼまたはADP−リボシルトランスフェラーゼ活性を呈さないことが示された。SIRT7の核小体機能に関して、Fordらは、SIRT7がRNA Pol Iとの関連性を介してrDNA転写の正の調節物質となり得ることを提示した。その過剰発現はrDNA転写を増強し、その阻害はrDNA転写を低下させる。興味深いこととして、SIRT7の発現は、細胞増殖と正に相関し、SIRT7は、代謝活性組織、例えば肝臓、脾臓および精巣内に豊富に存在する。今日まで、SIRT7の細胞周期調節およびrDNA転写が抑制された時の有糸分裂期のその運命に関するデータは、存在しない。
【0083】
いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、サーチュイン(SIRT)ファミリーメンバーに関連する疾患または障害を予防または治療するのに用いられる。アンチセンス化合物を用いて得られた幹細胞から再生された細胞/組織で治療され得る例示的なサーチュイン(SIRT)媒介疾患および障害は、以下のものを含む:サーチュインの異常な機能および/または発現に関連する疾患または障害、癌(例えば、乳癌、大腸癌、CCL、CML、前立腺癌)、神経変性疾患または障害(例えば、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症、およびポリグルタミン凝集により誘発された障害)、骨格筋疾患(例えば、デュセンニュ型筋ジストロフィー、骨格筋萎縮、ベッカー型ジストロフィー、または筋強直性ジストロフィー)、代謝疾患または障害(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病、2型糖尿病、肥満、耐糖能障害、メタボリックシンドローム、成人発症型糖尿病、糖尿病性腎症、高血糖、糖尿病性腎症、高コレステロール血症、脂質代謝異常、高脂血症および年齢関連の代謝疾患など)、インスリン調節障害に関連する疾患または障害、ニューロパチー(例えば、感覚性ニューロパチー、自律性ニューロパチー、運動性ニューロパチー、レチノパチー)、ケトン産生状態に関連する疾患または障害、エネルギー恒常性障害に関連する疾患または障害、アセチル−CoAシンセターゼ2活性障害に関連する疾患または障害、代謝恒常性に関連する疾患または障害、脂質代謝疾患または障害、熱発生障害に関連する疾患または障害、細胞分裂の調節障害に関連する疾患または障害、ミトコンドリア機能不全に関連する疾患または障害、ニューロパチー(例えば、感覚性ニューロパチー、自律性ニューロパチー、運動性ニューロパチー、レチノパチー)、線維症、炎症性心筋症、心肥大、慢性炎症、アテローム性硬化症、関節炎、認知症、骨粗しょう症、心臓血管疾患または障害、肝臓疾患または障害(例えば、アルコール依存症または肝炎、脂肪肝など)、加齢性黄斑変性、骨疾患(例えば、骨粗しょう症)、血液疾患(例えば、白血病)、骨吸収、加齢性黄斑変性、AIDS関連性認知症、ALS、ベル麻痺、アテローム性硬化症、心臓疾患または障害(例えば、心臓律動異常、慢性うっ血性心不全、虚血性卒中、冠動脈疾患および心筋症)、慢性変性疾患(例えば、心筋疾患)、慢性腎不全、2型糖尿病、潰瘍形成、白内障、老視、糸球体腎炎、ギラン−バレー症候群、出血性卒中、関節リウマチ、炎症性腸疾患、SLE、クローン病、骨関節炎、骨粗しょう症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎、皮膚の加齢、皮膚疾患または障害、尿失禁、ミトコンドリア機能不全に関連する疾患または障害(例えば、ミトコンドリアミオパチー、脳症、レーバー視神経萎縮症、レイ脳症、パーソン病、乳酸アシドーシス、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群(MELAS)など)、肝臓変性、骨格筋変性、筋肉疾患または障害、炎症、異所性脂質蓄積、酸化ストレスに関連する疾患または障害、細胞ストレスに関連する疾患または障害、ニューロン細胞死に関連する疾患または障害、加齢または望まない細胞死を特徴とするその他の疾患、変性症候群、アンモニア解毒に関連する疾患または障害、加齢、テロメア機能不全に関連する疾患または障害、クロマチン調節障害に関連する疾患または障害、早期細胞老化、SIRT媒介DNA修復の障害に関連する疾患または障害、ならびに望まない細胞損失を特徴とする状態。
【0084】
サーチュインは、その全内容が参照により本明細書に組み込まれた、米国特許出願公開第2010/0137345号、「Prophylactic and therapeutic use of sirtuin inhibitors in TNF−alpha mediated pathologies」に記載されたとおり、TNF−アルファ活性を調節することが報告された。いくつかの実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、サーチュイン、例えばSIRT6を調節してTNF−アルファ媒介障害または疾患を治療するのに用いられる。TNF−アルファ媒介障害または疾患としては、例えばクローン病および潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患(IBD)、乾癬、乾癬性関節炎または関節リウマチ、悪液質、グラム陰性桿菌敗血症、エンドトキシンショック、敗血症性ショック症候群、全身性炎症反応症候群(SIRS)または多臓器不全症候群(MODS);ならびに/または移植片対宿主病(GVHD)および移植された異種もしくは同種組織の拒絶を含む臓器移植片対宿主病態;ならびに/またはウイルス、細菌もしくは真菌感染、および原生動物もしくは後生動物寄生体感染を含む急性もしくは慢性感染もしくは寄生虫プロセス、好ましくは脳マラリアもしくは髄膜炎菌性髄膜炎;ならびに/またはアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、喘息、湿疹、じんましん、接触性皮膚炎、全身性アレルギー反応(アナフィラキシー)およびアナフィラキシーショック、アレルギー性鼻炎もしくは喘息、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)を含むアレルギー障害;アジソン病;強直性脊椎炎;抗リン脂質抗体症候群(APS);再生不良性貧血;アテローム性硬化症;自己免疫性胃炎;自己免疫性肝炎;自己免疫性血小板減少症;ベーチェット病;セリアック病;皮膚筋炎;I型糖尿病;II型糖尿病;家族性地中海熱;家族性感冒自己炎症性症候群;グッドパスチャー症候群;痛風;偽痛風;グレーブス病;ギラン−バレー症候群(GBS);橋本病;遺伝性周期性発熱;特発性血小板減少性紫斑病;クローン病および潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患(IBD);虚血灌流傷害:川崎病;混合性結合組織病;マックル−ウェルズ症候群;多発性硬化症(MS);重症筋無力症;オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS);視神経炎;オルド甲状腺炎;骨関節炎;天疱瘡;悪性貧血;結節性多発動脈炎;多発筋炎;術後または外傷性炎症;原発性胆汁性肝硬変;原発性粘液水腫;乾癬、乾癬性関節炎;リウマチ熱;関節リウマチ;ライター症候群;強皮症;ショーグレン症候群;虚血性卒中;全身性エリテマトーデス(SLE);全身型若年性特発性関節炎;高安動脈炎;側頭動脈炎;白斑;温式自己免疫性溶血性貧血;ならびにウェゲナー肉芽腫が挙げられる。
【0085】
他の実施形態において、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、サーチュイン(SIRT)に関連する疾患もしくは障害を罹患した患者、またはそれを発症するリスクのある患者において、サーチュイン(SIRT)の正常な発現および/または正常な機能を調節する。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態において、治療および/または化粧用レジメンならびに関連する適合治療法が、皮膚治療を必要とする対象または皮膚治療を必要とする状態を発症するリスクのある対象に提供される。診断は、例えば対象のSIRT状態に基づいて施され得る。皮膚などの所与の組織における患者のSIRT発現レベルは、当業者に公知の方法および本明細書の他の箇所に記載された方法により、例えばPCRまたは抗体に基づく検出法を用いた組織分析により、測定することができる。
【0087】
本発明の好ましい実施形態は、例えば皮膚におけるSIRTの発現をアップレギュレートするために、SIRTアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む皮膚治療および/または化粧適用のための組成物を提供する。アンチセンスオリゴヌクレオチドの例は、配列番号24〜127に記載される。参照により本明細書に組み込まれた、米国特許第7,544,497号、「Compositions for manipulating the lifespan and stress response of cells and organisms」には、その基質に対するサーチュインタンパク質のKを低下させることによりサーチュイン活性を調節する薬剤のための潜在的化粧使用が記載されている。いくつかの実施形態において、細胞は、生体内で本発明のオリゴヌクレオチドで処置されて、細胞の寿命を増加させるか、またはアポトーシスを予防する。例えば皮膚は、本明細書に記載されたとおり皮膚、たとえは上皮を処置することにより、加齢、例えばしわの発生から保護することができる。例示的実施形態において、皮膚を、本明細書に記載されたSIRTアンチセンス化合物を含む医薬または化粧組成物と接触させる。例示的皮膚病または皮膚状態は、炎症、日光による損傷または自然な加齢に関連する、またはそれに誘発された障害または疾患を含む。例えば該組成物は、接触皮膚炎(刺激性接触皮膚炎およびアレルギー性接触皮膚炎を含む)、日光性角化症、角化障害(湿疹を含む)、表皮水疱症(天疱瘡を含む)、剥離性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、紅斑(多形紅斑および結節性紅斑を含む)、日光および他の光源により誘発された損傷、円板状エリテマトーデス、皮膚筋炎、皮膚癌および自然な加齢の影響の予防または治療において用途を見出す。
【0088】
サーチュインは、ジヒドロテストステロン誘導性アンドロゲン受容体シグナル伝達と干渉することが報告された(例えば、参照により本明細書に組み込まれた、Fuら、2006年「Hormonal Control of Androgen Receptor Function through SIRT1」Molecular and Cellular Biology 26(21): 8122−8135を参照)。本発明の実施形態において、例えば頭皮におけるSIRTの発現をアップレギュレートし、アンドロゲン受容体シグナル伝達を阻害し、それによってアンドロゲン性脱毛症(抜け毛)を予防するための、SIRTアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む組成物。一実施形態において、脱毛症に罹患した患者が、局所または全身製剤のいずれかを投与される。一実施形態において、本明細書に記載されたアンチセンスオリゴヌクレオチドが、局所薬物投与に一般に適していて当技術分野で公知の任意のそのような材料を含む局所担体を含有する局所製剤に組み込まれる。局所担体は、所望の形態で、例えば軟膏、ローション、クリーム、マイクロエマルジョン、ゲル、オイル、溶液などとして、組成物を提供するように選択してもよく、天然由来または合成起源の材料で構成されていてもよい。選択された担体は、局所製剤の活性剤または他の成分に悪影響を及ぼさないことが好ましい。本明細書における使用に適した局所担体の例としては、水、アルコールまたは他の非毒性有機溶媒、グリセリン、鉱物油、シリコーン、ワセリン、ラノリン、脂肪酸、植物油、パラベン、ワックスなどが挙げられる。製剤は、無色、無臭の軟膏、ローション、クリーム、マイクロエマルジョンおよびゲルであってもよい。
【0089】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、一般に半固形調製物であり、典型的にはワセリンまたは他のワセリン誘導体に基づく軟膏に組み込まれてもよい。用いられる具体的な軟膏基剤は、当業者に認識されるとおり、最適な薬物送達を提供するものであり、好ましくは他の所望の特徴、例えば保湿性などを提供するものである。他の担体またはビヒクルと同様に、軟膏基剤は、不活性で安定していて非刺激性および非過敏性でなければならない。REMINGTON’S Pharmaceutical Sciences (Mack Pub. Co.)において説明されるとおり、軟膏基剤は、4種:油質基剤;乳化可能な基剤;エマルジョン基剤;および水溶性基剤、に分別してもよい。油質軟膏基剤としては、植物油、動物から得られる脂質、および石油から得られる半固形炭化水素が挙げられる。吸収性軟膏基剤としても公知の乳化可能な軟膏基剤は、水をほとんど、または全く含有せず、例えばヒドロキシステアリンサルフェート、無水ラノリンおよび親水性ワセリンが挙げられる。エマルジョン軟膏基剤は、油中水(W/O)エマルジョンまたは水中油(O/W)エマルジョンのいずれかであり、例えばセチルアルコール、グリセリルモノステアリン酸、ラノリンおよびステアリン酸が挙げられる。例示的な水溶性軟膏基剤は、種々の分子量のポリエチレングリコール(PEG)から調製される(例えば、Remingtonの上記文献を参照)。
【0090】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、一般には摩擦なし皮膚表面に適用される調製物であり、典型的には活性剤を含む固形粒子が水またはアルコール基剤中に存在する液体または半液体調製物である、ローションに組み込まれてもよい。ローション剤は、皮膚表面に摩擦なしに適用される調製物であり、その中に有効成分を含む固体粒子が水またはアルコール基剤中に存在する、通常液体または半流動体の調製物である。ローションは、より流動性の組成物を適用するのが容易であるため、広い体面積を治療するのに好ましい製剤である。ローション中の不溶性の材料を微粉化するのが、一般的に必要である。ローションは、典型的には、良好な分散を作り出す懸濁剤、および皮膚との接触において活性剤を局在させ保持するのに有用な化合物、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどを含有する。本発明の方法と併せて使用される例示的ローション製剤は、親水性ワセリン、例えばBeiersdorf, Inc.(Norwalk, Conn.)の商標AquaphorRTMを得てもよい。
【0091】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、一般には水中油または油中水のいずれかの、粘性の液体または半固形エマルジョンである、クリームに組み込まれてもよい。クリーム基剤は、水洗性であり、油相、乳化剤および水相を含有する。油相は一般に、ワセリンおよび脂肪アルコール、例えばセチルまたはステアリルアルコールからなり、水相は、必ずではないが通常、容量が油相を上回り、一般的に湿潤剤を含有する。クリーム製剤中の乳化剤は、Remingtonの上記文献に説明されるとおり、一般に非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、または両性界面活性剤である。
【0092】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、一般に、界面活性剤分子の界面膜によって安定化された、2種の非混和性液体、例えば油と水とからなる熱力学的に安定していて、等方性に透明な分散であるマイクロエマルジョンに組み込まれてもよい(Encyclopedia of Pharmaceutical Technology(New York:Marcel Dekker、1992);第9版)。マイクロエマルションの調製のために、界面活性剤(乳化剤)、共界面活性剤(共乳化剤)、油相および水相が必要である。適切な界面活性剤は、エマルションの調製に有用な任意の界面活性剤、例えばクリームの調製に典型的に使用される乳化剤を含む。共界面活性剤(または「共乳化剤」)は、一般にポリグリセロール誘導体、グリセロール誘導体および脂肪アルコールの群から選択される。好ましい乳化剤/共乳化剤の組み合せは、必ずではないが一般的に、モノステアリン酸グリセリルとステアリン酸ポリオキシエチレン;ポリエチレングリコールとパルミトステアリン酸エチレングリコール;ならびにカプリル酸トリグリセリドおよびカプリン酸トリグリセリドとオレイルマクロゴールグリセリドからなる群から選択される。水相は、水だけでなく、典型的には緩衝液、グルコース、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、好ましくはより低い分子量のポリエチレングリコール(例えば、PEG300およびPEG400)、および/またはグリセロールなども含み、油相は一般的に、例えば脂肪酸エステル、変性植物油、シリコーン油、モノ−、ジ−、およびトリグリセリドの混合物、PEGのモノ−およびジ−エステル(例えば、オレイルマクロゴールグリセリド)などを含む。
【0093】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、一般に、無機小粒子からなる懸濁液(二相系)、または担体液全体に実質的に均一に分布した有機大分子(単相系)のいずれかからなる半固体系である、ゲル製剤に組み込まれてもよい。単相ゲルを、例えば活性剤、担体液および適切なゲル化剤、例えばトラガカント(2〜5%で)、アルギン酸ナトリウム(2〜10%で)、ゼラチン(2〜15%で)、メチルセルロース(3〜5%で)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(2〜5%で)、カルボマー(0.3〜5%で)、またはポリビニルアルコール(10〜20%で)を共に組み合せて、特徴的な半固形生成物が生成されるまで混合することによって生成することができる。他の適切なゲル化剤としては、メチルヒドロキシセルロース、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン、ヒドロキシエチルセルロースおよびゼラチンが挙げられる。ゲルは通常、水性担体液を用いるが、アルコールおよび油も、担体液として使用し得る。
【0094】
当業者に公知の様々な添加物も、製剤、例えば局所製剤に含み得る。添加物の例としては、以下に限定されないが、可溶化剤、皮膚透過促進剤、乳白剤、防腐剤(例えば、抗酸化剤)、ゲル化剤、緩衝剤、界面活性剤(特に、非イオン性および両性界面活性剤)、乳化剤、皮膚軟化薬、増粘剤、安定化剤、湿潤剤、着色料、芳香剤などが挙げられる。乳化剤、皮膚軟化薬および防腐剤と共に、可溶化剤および/または皮膚透過促進剤を含むことが、特に好ましい。再ア的な局所製剤は、概ね2重量%〜60重量%、好ましくは2重量%〜50重量%の可溶化剤および/または皮膚浸透促進剤;2重量%〜50重量%、好ましくは2重量%〜20重量%の乳化剤;2重量%〜20重量%の皮膚軟化薬;ならびに0.01重量%〜0.2重量%の防腐剤を、該製剤の残余を占める活性剤および担体(例えば、水)と共に含む。
【0095】
皮膚浸透促進剤は、治療レベルの活性剤の通過を促進して、未破壊の皮膚の合理的面積を通過させる作用がある。適切な促進剤は当技術分野で周知であり、例えばメタノール、エタノールおよび2−プロパノールなどの低級アルカノール;ジメチルスルホキシド(DMSO)、デシルメチルスルホキシド(C10MSO)およびテトラデシルメチルスルホキシドなどのアルキルメチルスルホキシド;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンおよびN−(−ヒドロキシエチル)ピロリドンなどのピロリドン;尿素;N,N−ジエチル−m−トルアミド;C〜Cアルカンジオール;ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)およびテトラヒドロフルフリルアルコールなどの種々の溶媒;ならびに1−置換アザシクロヘプタン−2−オン、特に1−n−ドデシルシクラザシクロヘプタン−2−オン(ラウロカプラム;Whitby Research Incorporated, Richmond, Vaの商標AzoneRTMとして入手可能)が挙げられる。
【0096】
適切な可溶化剤の例としては、限定ではないが、以下のものが挙げられる:ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エトキシジグリコール、TranscutolRTMとして市販される)およびジエチレングリコールモノエチルエーテルオレイン酸エステル(SoftcutolRTMとして市販される)のような親水性エーテル;ポリオキシ35ひまし油、ポリオキシ40水添ひまし油などのようなポリエチレンひまし油誘導体;ポリエチレングリコール、特にPEG300およびPEG400のような低分子量ポリエチレングリコール、およびPEG−8カプリル/カプリン酸グリセリド(LabrasolRTMとして市販される)のようなポリエチレングリコール誘導体;DMSOのようなアルキルメチルスルホキシド;2−ピロリドンおよびN−メチル−2−ピロリドンのようなピロリドン、およびDMA。多くの可溶化剤は、吸収増強剤としても作用し得る。単一の可溶化剤を製剤に組み込み得んでもよく、または可溶化剤の混合物をその中に組み込んでもよい。
【0097】
適切な乳化剤および共乳化剤としては、限定されないが、マイクロエマルション製剤に関して記載された乳化剤および共乳化剤が挙げられる。皮膚軟化薬としては、例えばプロピレングリコール、グリセロール、ミリスチン酸イソプロピル、ポリプロピレングリコール−2(PPG−2)ミリスチルエーテルプロピオン酸エステルなどが挙げられる。
【0098】
他の活性薬剤、例えば他の抗炎症薬剤、鎮痛薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗生物質、ビタミン、抗酸化剤、および以下に限定されないがアントラニル酸エステル、ベンゾフェノン(特にベンゾフェノン−3)、樟脳誘導体、桂皮酸エステル(例えばメトキシ桂皮酸オクチル)、ジベンゾイルメタン(例えば、ブチルメトキシジベンゾイルメタン)、p−アミノ安息香酸(PABA)およびその誘導体、ならびにサリチル酸エステル(例えばサリチル酸オクチル)を含む、日焼け止め製剤に一般に見出されるサンブロック剤も、製剤中に含み得る。
【0099】
一実施形態において、オリゴヌクレオチドは、限定しないが非コード領域を含むものであるサーチュイン(SIRT)のポリヌクレオチドに特異的である。サーチュイン(SIRT)の標的は、サーチュイン(SIRT)の変異型;SNPを含むサーチュイン(SIRT)の突然変異体;サーチュイン(SIRT)の非コード配列;アレル、断片などを含む。好ましくは、該オリゴヌクレオチドはアンチセンスRNA分子である。
【0100】
本発明の実施形態によれば、標的核酸分子は、サーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドのみに限定されず、サーチュイン(SIRT)の任意のアイソフォーム、受容体、ホモログ、非コード領域などにも及ぶ。
【0101】
他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、以下に限定されないが変異型、アレル、ホモログ、突然変異体、誘導体、断片およびそれらの相補配列を含むサーチュイン(SIRT)の標的の天然アンチセンス配列(コード領域および非コード領域の天然アンチセンス)を標的にする。好ましくは、該オリゴヌクレオチドはアンチセンスRNAまたはDNA分子である。
【0102】
他の実施形態において、本発明のオリゴマー化合物は、化合物における1以上のヌクレオチド位置に異なる塩基が存在する変異型も含む。例えば最初のヌクレオチドがアデニンである場合、この位置にチミジン、グアノシンまたはシチジンまたは他の天然もしくは非天然ヌクレオチドを有する変異型が作られ得る。これは、アンチセンス化合物の任意の位置において行われ得ることができる。
【0103】
いくつかの実施形態において、アンチセンス化合物と標的との間の相同性、配列同一性または相補性は、約50%〜約60%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約60%〜約70%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約70%〜約80%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約80%〜約90%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約90%、約92%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%である。
【0104】
アンチセンス化合物は、化合物の標的核酸への結合が標的核酸の正常な機能に干渉して活性の消失を生じさせ、特異的な結合が望まれる条件下でアンチセンス化合物の非標的核酸配列への非特異的結合が回避されるのに十分な程度の相補性がある場合に特異的にハイブリダイズできる。そのような条件は、すなわち生体内アッセイおよび治療的処置の場合での生理的条件、および体外アッセイの場合でのアッセイが実施される条件を含む。
【0105】
アンチセンス化合物は、DNA、RNA、キメラ、置換物などにかかわらず、化合物の標的DNAまたはRNA分子への結合が標的DNAまたはRNAの正常な機能に干渉して有用性の消失を生じさせ、特異的な結合が望まれる条件下(すなわち生体内アッセイおよび治療的処置の場合での生理的条件、および体外アッセイの場合でのアッセイが実施される条件)でアンチセンス化合物の非標的配列への非特異的結合が回避されるのに十分な程度の相補性がある場合に、特異的にハイブリダイズできる。
【0106】
他の実施形態において、以下に限定されないが、例えばPCR、ハイブリダイゼーションなど用いて同定され伸張されたアンチセンス配列、配列番号9〜23、141〜143に記載される1以上の配列ほか、を含むサーチュイン(SIRT)の標的化は、サーチュイン(SIRT)の発現または機能を調節する。一実施形態において、発現または機能は、対照と比較してアップレギュレートされる。他の実施形態において、発現または機能は、対照と比較してダウンレギュレートされる。
【0107】
他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、PCR、ハイブリダイゼーションなどを使用して同定および増やされるアンチセンス配列を含む配列番号24〜127に記載の核酸配列を含む。これらのオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾されたヌクレオチド、より短いまたはより長い断片、修飾された結合などを含み得る。修飾された結合またはヌクレオチド間結合の例には、ホスホロオチオエート、ホスホロジチオエートなどを含まれる。他の実施形態において、該ヌクレオチドは、リン誘導体を含む。本発明の修飾されたオリゴヌクレオチド中の糖部分または糖類似成分に結合できるリン誘導体(または修飾されたリン酸基)は、一リン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩、アルキルリン酸塩、アルカンリン酸塩、ホスホロオチオエートなどであり得る。上に記載のリン酸類似体の調製およびそれらのヌクレオチド、修飾されたヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドへの組み込みそれ自体は、周知であり、本明細書で説明する必要はない。
【0108】
アンチセンスの特異性および感受性も、治療的使用のために当業者が利用する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、動物およびヒトでの病態の治療において治療用成分として使用されている。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、安全にかつ効果的にヒトに投与されており、多数の臨床検査が現在進行中である。したがってオリゴヌクレオチドが、細胞、組織および動物、特にヒトの治療のための治療レジメンにおいて有用であるように構成され得る有用な治療方法であり得ることが確立されている。
【0109】
本発明の実施形態においてオリゴマーアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドは、標的核酸分子に結合し、標的遺伝子によってコードされる分子の発現および/または機能を調節する。干渉されるDNAの機能には、例えば複製および転写が含まれる。干渉されるRNAの機能には、例えばタンパク質翻訳部位へのRNAの転移、RNAからのタンパク質の翻訳、1以上のmRNA種を得るためのRNAのスプライシング、およびRNAが関与し得るまたはRNAによって促進され得る触媒活性などのすべての生体機能を含まれる。機能は、所望の機能に応じてアップレギュレートまたは抑制され得る。
【0110】
アンチセンス化合物は、アンチセンスオリゴマー化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、外部ガイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド、選択的スプライサー、プライマー、プローブおよび標的核酸の少なくとも一部分にハイブリダイズする他のオリゴマー化合物を含む。したがって、これらの化合物は1本鎖、2本鎖、部分的な1本鎖または環状オリゴマー化合物の形態に導入され得る。
【0111】
本発明の文脈においてアンチセンス化合物を特定の核酸分子に標的化することは、多段階プロセスであり得る。通常、このプロセスは、機能が調節される標的核酸の同定で始まる。この標的核酸は、例えばその発現が特定の障害もしくは病態に関連する細胞遺伝子(もしくは遺伝子から転写されたmRNA)または感染病原体由来の核酸分子であり得る。本発明において標的核酸は、サーチュイン(SIRT)をコードする。
【0112】
通常、標的化プロセスは所望の効果、例えば発現の調節が得られるようなアンチセンス相互作用が生じる標的核酸中の少なくとも1つの標的領域、セグメントまたは部位の決定も含む。本発明の文脈において用語「領域」は、少なくとも1つの同定可能な構造、機能または特徴を有する標的核酸の一部分と定義される。標的核酸の領域内は、セグメントである。「セグメント」は、標的核酸内の領域のより小さな部分すなわちサブ部分と定義される。本発明において使用される「部位」は、標的核酸内の位置として定義される。
【0113】
一実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、サーチュイン(SIRT)の天然アンチセンス配列に結合し、サーチュイン(SIRT)(配列番号1〜23および133〜143)の発現および/または機能を調節する。アンチセンス配列の例は、配列番号24〜127を含む。
【0114】
他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、サーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドの1以上のセグメントに結合し、サーチュイン(SIRT)の発現および/または機能を調節する。セグメントは、サーチュイン(SIRT)のセンスまたはアンチセンスポリヌクレオチドの少なくとも5個の連続するヌクレオチドを含む。
【0115】
他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、サーチュイン(SIRT)の天然アンチセンス配列に特異的であり、該オリゴヌクレオチドのサーチュイン(SIRT)の天然アンチセンス配列への結合はサーチュイン(SIRT)の発現および/または機能を調節する。
【0116】
他の実施形態において、オリゴヌクレオチド化合物は配列番号24〜127に記載の配列、例えばPCR、ハイブリダイゼーションなどを使用して同定および伸張されるアンチセンス配列を含む。これらのオリゴヌクレオチドは、1以上の修飾されたヌクレオチド、より短いまたはより長い断片、修飾された結合などを含み得る。修飾された結合またはヌクレオチド間結合の例には、ホスホロオチオエート、ホスホロジチオエートなどを含む。他の実施形態において、該ヌクレオチドは、リン誘導体を含む。本発明の修飾されたオリゴヌクレオチド中の糖部分または糖類似成分に結合できるリン誘導体(または修飾されたリン酸基)は、一リン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩、アルキルリン酸塩、アルカンリン酸塩、ホスホロオチオエートなどであり得る。上に記載のリン酸類似体の調製およびそれらのヌクレオチド、修飾されたヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドへの組み込みそれ自体は、周知であり、本明細書で説明する必要はない。
【0117】
当技術分野において周知であるとおり、翻訳開始コドンが典型的には5’−AUG(転写されたmRNA分子における場合;対応するDNA分子においては5’−ATG)であることから、翻訳開始コドンは、「AUGコドン」、「開始コドン」または「AUG開始コドン」とも称される。少数の遺伝子は、RNA配列5’−GUG、5’−UUGまたは5’−CUGを有する翻訳開始コドンを有し、5’−AUA、5’−ACGおよび5’−CUGは生体内において機能することが示されている。したがって用語「翻訳開始コドン」および「開始コドン」は、開始アミノ酸は各例において典型的にはメチオニン(真核生物において)またはホルミルメチオニン(原核生物において)であるが、多数のコドン配列を包含し得る。真核生物および原核生物の遺伝子は、2以上の選択的開始コドンを有し、そのいずれでも特定の細胞型または組織において、または特定の条件下で翻訳開始のために優先的に利用され得る。本発明の文脈において「開始コドン」および「翻訳開始コドン」は、そのようなコドンの配列にかかわらず、サーチュイン(SIRT)をコードする遺伝子から転写されたmRNAの翻訳を開始するために生体内で使用される1以上のコドンを意味する。遺伝子の翻訳終止コドン(または「終止コドン」)は、3つの配列、すなわち5’−UAA、5’−UAGおよび5’−UGA(対応するDNA配列は、それぞれ5’−TAA、5’−TAGおよび5’−TGAである)のうちの1つを有し得る。
【0118】
用語「開始コドン領域」および「翻訳開始コドン領域」は、翻訳開始コドンからいずれかの方向(すなわち5’または3’)での連続する約25から約50ヌクレオチドを包含するそのようなmRNAまたは遺伝子の一部分を指す。同様に、用語「終止コドン領域」および「翻訳終止コドン領域」は、翻訳終止コドンからいずれかの方向(すなわち5’または3’)での連続する約25から約50ヌクレオチドを包含するそのようなmRNAまたは遺伝子の一部分を指す。結局、「開始コドン領域」(または「翻訳開始コドン領域」)および「終止コドン領域」(または「翻訳終止コドン領域」)は、本発明のアンチセンス化合物で効果的に標的化され得るすべての領域である。
【0119】
当技術分野において翻訳開始コドンと翻訳終止コドンとの間の領域を意味することが周知のオープンリーディングフレーム(ORF)すなわち「コード領域」も、効果的に標的化され得る領域である。本発明の文脈において標的化された領域は、遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)の翻訳開始または終止コドンを包含する遺伝子内領域である。
【0120】
他の標的領域は、当技術分野において翻訳開始コドンから5’方向にあるmRNAの一部分を意味することが周知の5’非翻訳領域(5’UTR)を含み、したがって5’キャップ部位とmRNA(または遺伝子上の対応するヌクレオチド)の翻訳開始コドンとの間のヌクレオチドを含む。さらに他の標的領域は、当技術分野において翻訳終止コドンから3’方向にあるmRNAの一部分を指すことが周知の3’非翻訳領域(3’UTR)を含み、したがって翻訳終止コドンとmRNA(または遺伝子上の対応するヌクレオチド)の3’末端との間のヌクレオチドを含む。mRNAの5’キャップ部位は、5’−5’トリリン酸結合を介してmRNAの最も5’側の残基に結合したN7−メチル化グアノシン残基を含む。mRNAの5’キャップ領域は、5’キャップ構造それ自体およびキャップ部位に隣接する最初の50ヌクレオチドを含むと考えられる。本発明の他の標的領域は、5’キャップ領域である。
【0121】
SIRT1の他の標的領域は、アンチセンス転写物CV396200のヌクレオチド65〜85および221〜253を含む。いくつかの実施形態において、SIRT1ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節する方法は、細胞または組織を、これらの領域の1つ以上を標的化する少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドと部分的または全体として接触させることを含む。特定の実施形態において、これらの領域の1つ以上を標的化するアンチセンスオリゴヌクレオチドと、他のサーチュインを標的化する1つ以上のアンチセンス転写物との組み合わせが、用いられる。いくつかの実施形態において、SIRTの異なる領域を標的化する複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、組み合わせて用いられるか、または1つ以上の異なるサーチュインを標的化する複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、組み合わせて投与される。
【0122】
いくつかの真核生物mRNA転写物は、直接翻訳されるが、大部分は、それが翻訳される前に転写物から切除される「イントロン」として周知の1以上の領域を含む。残りの(したがって翻訳される)領域は「エキソン」として周知であり、連続的なmRNA配列を形成するように一緒にスプライスされる。一実施形態において標的スプライス部位、すなわちイントロン−エキソン接合部またはエキソン−イントロン接合部は、異常なスプライシングが疾患に関与するまたは特定のスプライス産物の過剰産生が疾患に関与する状況において特に有用である。再配置または欠失による異常な融合接合は、標的部位の他の実施形態である。異なる遺伝子源由来の2つ(またはそれ以上)のmRNAのスプライシングのプロセスを介して生成されたmRNA転写物は、「融合転写物」として周知である。イントロンは、例えばDNAまたはプレmRNAを標的化するアンチセンス化合物を使用して効果的に標的化され得る。
【0123】
他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドのコード領域および/または非コード領域に結合し、標的分子の発現および/または機能を調節する。
【0124】
他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、天然アンチセンスポリヌクレオチドに結合し、標的分子の発現および/または機能を調節する。
【0125】
他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、センスポリヌクレオチドに結合し、標的分子の発現および/または機能を調節する。
【0126】
選択的RNA転写物は、DNAの同じ遺伝子領域から生成され得る。これらの選択的転写物は、一般に「変異型」として周知である。より詳細には「プレmRNA変異型」は、同じゲノムDNAから生成される転写物であり、同じゲノムDNAから生成される他の転写物とはそれらの開始または終止位置のいずれかにおいて異なり、イントロンおよびエキソン配列の両方を含む。
【0127】
スプライシングでの1以上のエキソンもしくはイントロン領域またはそれらの一部分の切除において、プレmRNA変異型は、より小さな「mRNA変異型」を生成する。結果としてmRNA変異型は、プレmRNA変異型にプロセシングされ、それぞれ特有なプレmRNA変異型はスプライシングの結果として特有なmRNA変異型を常に生成する。これらのmRNA変異型は、「選択的スプライス変異型」としても周知である。プレmRNA変異型のスプライシングが生じない場合は、プレmRNA変異型はmRNA変異型と同一である。
【0128】
変異型は、転写を開始するまたは終止するための選択的シグナルの使用を通じても生成され得る。プレmRNAおよびmRNAは、2以上の開始コドンまたは終止コドンを有し得る。選択的開始コドンを使用するプレmRNAまたはmRNA由来の変異型は、プレmRNAまたはmRNAの「選択的開始変異型」として周知である。選択的終止コドンを使用するこれらの転写物は、プレmRNAまたはmRNAの「選択的終止変異型」として周知である。選択的終止変異型の特定の1種類は、機械的な転写による「ポリA終止シグナル」のうちの1つの代替選択から生じる、多数の転写物が生成される「ポリA変異型」であり、それによって特有なポリA部位で終結する転写物が生成される。本発明の文脈において、本明細書に記載される種類の変異型も標的核酸の実施形態である。
【0129】
アンチセンス化合物がハイブリダイズする標的核酸上の位置は、活性アンチセンス化合物が標的化される標的領域の少なくとも5ヌクレオチド長の部分として定義される。
【0130】
特定の典型的な標的セグメントの特定の配列が本明細書に記載されているが、当業者はこれらが本発明の範囲内の具体的実施形態を例示し説明するために利用できることを理解されよう。追加の標的セグメントは、本開示を考慮して当業者によって容易に特定される。
【0131】
例示的な標的セグメント内から選択された少なくとも5つ(5個)の連続的ヌクレオチド範囲を含む長さ5〜100ヌクレオチドの標的セグメントは、同様に標的化に適すると考えられる。
【0132】
標的セグメントは、例示的な標的セグメントの1つの5’末端由来の少なくとも5個の連続するヌクレオチドを含むDNAまたはRNA配列を含み得る(残りのヌクレオチドは、標的セグメントの5’末端のすぐ上流から始まり、DNAまたはRNAが約5〜約100ヌクレオチドを含むまで続く同じDNAまたはRNAの連続的範囲である)。同様に標的セグメントは、例示的な標的セグメントの1つの3’末端由来の少なくとも5個の連続するヌクレオチドを含むDNAまたはRNA配列によって表される(残りのヌクレオチドは、標的セグメントの3’末端のすぐ下流から始まり、DNAまたはRNAが約5〜約100ヌクレオチドを含むまで続く同じDNAまたはRNAの連続的範囲である)。本明細書において例示される標的セグメントを用いる当業者は、過度の実験を行うことなくさらなる標的セグメントを特定できよう。
【0133】
一旦1以上の標的領域、セグメントまたは部位が特定されると、所望の効果を得るために標的に十分に相補的である、すなわち十分にハイブリダイズし、かつ十分な特異性を有するアンチセンス化合物が選択される。
【0134】
本発明の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、特定の標的のアンチセンス鎖に結合する。オリゴヌクレオチドは、長さ少なくとも5ヌクレオチドであり、各オリゴヌクレオチドが重複する配列を標的化するように合成することができ、したがってオリゴヌクレオチドは標的ポリヌクレオチドの長さ全体に及ぶように合成される。標的はコード領域および非コード領域も含む。
【0135】
一実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドによって特定の核酸が標的化される。特定の核酸に対するアンチセンス化合物の標的化は、多段階プロセスである。通常、このプロセスは、その機能が調節される核酸配列の同定で始まる。これは、例えばその発現が特定の障害もしくは病態に関連する細胞遺伝子(もしくは遺伝子から転写されるmRNA)または例えば非翻訳RNA(ncRNA)などの非翻訳ポリヌクレオチドであり得る。
【0136】
RNAは、(1)タンパク質に翻訳されるメッセンジャーRNA(mRNA)、および(2)非タンパク質コードRNA(ncRNA)に分類され得る。ncRNAはマイクロRNA、アンチセンス転写物および高密度の終止コドンを含んでおり、いかなる「オープンリーディングフレーム」も欠いている他の転写単位(TU)を含む。多くのncRNAは、タンパク質コード遺伝子座の3’非翻訳領域(3’UTR)中の開始部位から始まると考えられる。ncRNAはまれにしかなく、FANTOMコンソーシアムによって配列決定されているncRNAの少なくとも半分はポリアデニル化されていないと考えられている。明らかな理由により大部分の研究者は、プロセシングされ、細胞質に排出されるポリアデニル化されたmRNAに注目している。近年、一連のポリアデニル化されていない核内RNAが非常に多い場合があり、そのような転写物の多くが遺伝子間領域から生じることが示された。ncRNAが遺伝子発現を制御し得る機構は、標的転写物との塩基対形成によるものである。塩基対形成によって機能するRNAは、(1)作用するRNAと同じ遺伝子座だが反対の鎖上にコードされ、したがってそれらの標的に対して完全な相補性を示すシスコードの(cis−encoded)RNA、および(2)作用するRNAとは異なる染色体上の位置にコードされ、一般にそれらの標的と完全な塩基対形成可能性を示さないトランスコードの(trans−encoded)RNAに分類され得る。
【0137】
理論による束縛を望むものではないが、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドによるアンチセンスポリヌクレオチドの変化は、対応するセンスメッセンジャーRNAの発現を変化させ得る。しかしこの制御は、不調和性(アンチセンスノックダウンがセンスメッセンジャーRNAの増加を生じる)または調和性(アンチセンスノックダウンが付随するセンスメッセンジャーRNAの減少を生じる)のいずれであっても良い。これらの場合、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンス鎖の重複したまたは重複していない部分に標的化され得、そのノックダウンまたは隔離を生じる。コードおよび非コードアンチセンスは、同一の手段で標的化でき、どちらの分類も対応するセンス転写物を、調和性または不調和性の手段のいずれかで制御できる。標的に対する使用のための新規オリゴヌクレオチドを同定することに使用される戦略は、アンチセンスオリゴヌクレオチドによるアンチセンスRNA転写物のノックダウンまたは所望の標的を調節するための任意の他の手段に基づき得る。
【0138】
戦略1:不調和性調節の場合、アンチセンス転写のノックダウンが、通常の(センス)遺伝子の発現を増加させる。後者の遺伝子が周知のまたは推定上の薬物標的をコードする場合は、そのアンチセンス対応物のノックダウンは受容体アゴニストまたは酵素刺激物質の作用をおそらく模倣し得よう。
【0139】
戦略2:調和性調節の場合、アンチセンスおよびセンス転写物の両方を同時にノックダウンすることができ、従って通常の(センス)遺伝子発現の相乗的低減を達成する。例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドがノックダウンを達成するために使用される場合、この戦略は、センス転写物に標的化された1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドと対応するアンチセンス転写物に対する他のアンチセンスオリゴヌクレオチドとに、または重複しているセンスおよびアンチセンス転写物を同時に標的化する単一のエネルギー的に対称なアンチセンスオリゴヌクレオチドに適用するために使用することができる。
【0140】
本発明によれば、アンチセンス化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、外部ガイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド、siRNA化合物、siRNA化合物などの1本鎖または2本鎖RNA干渉(RNAi)化合物、および標的核酸の少なくとも一部分にハイブリダイズし、その機能を調節する他のオリゴマー化合物を含む。したがってそれらはDNA、RNA、DNA様、RNA様、もしくはそれらの混合物であり得る、またはこれらの1つまたは複数の模倣物であり得る。これらの化合物は、1本鎖、2本鎖、環状またはヘアピンオリゴマー化合物であって良く、内部もしくは末端の膨隆部、ミスマッチまたはループなどの構造要素を含み得る。アンチセンス化合物は、通常は直鎖状に調製されるが、環状および/または分枝状に結合されるかまたはそうでなければ調製され得る。アンチセンス化合物は、例えば全体的もしくは部分的な2本鎖化合物を形成するようにハイブリダイズした2本の鎖、または全体的もしくは部分的な2本鎖化合物のハイブリダイゼーションおよび形成を可能にするために十分な自己相補性を有する1本鎖などの構築物を含み得る。2本鎖は、遊離の3’もしくは5’末端を残すように内部で結合され得るか、または連続的ヘアピン構造もしくはループを形成するように結合され得る。ヘアピン構造は、5’または3’末端のいずれかにオーバーハングを含み得、1本鎖形質の伸長を生じる。場合により2本鎖化合物は、両末端にオーバーハングを含み得る。さらなる修飾は、末端のうちの1つ、選択されたヌクレオチド位置、糖位置またはヌクレオチド間結合のうちの1つに結合した複合基を含み得る。あるいは、本鎖は、非核酸成分またはリンカー基を介して連結され得る。1本だけの鎖から形成される場合dsRNAは、2重鎖を形成するためにそれ自体の上に折りたたまれる自己相補性ヘアピン型分子の形態を取り得る。したがってdsRNAは、完全にまたは部分的に2本鎖であり得る。遺伝子発現の特異的な調節は、遺伝子導入細胞系におけるdsRNAヘアピンの安定な発現によって達成され得るが、いくつかの実施形態においては、遺伝子の発現または機能は、アップレギュレートされる。2本鎖、または2重鎖を形成するためにそれ自体の上に折りたたまれる自己相補性ヘアピン型分子の形態を取る1本鎖から形成される場合、2本鎖(または1本鎖の2重鎖形成領域)は、ワトソン−クリック型と同様に塩基対形成する相補的RNA鎖である。
【0141】
一旦系に導入されると本発明の化合物は、標的核酸の切断もしくは他の修飾に影響する1種以上の酵素もしくは構造タンパク質の作用を誘発できる、または占有に基づく機構を介して作用できる。一般に核酸(オリゴヌクレオチドを含む)は、「DNA様」(すなわち一般に1つまたは複数の2’−デオキシ糖を有し、一般にU塩基よりもT塩基を有する)または「RNA様」(すなわち一般に1つまたは複数の2’−ヒドロキシ糖または2’−修飾糖を有し、一般にT塩基よりもU塩基を有する)と記載され得る。核酸ヘリックスは、1つより多い種類の構造を、最も通例ではA−形態およびB−形態をとり得る。一般にB−形態様構造を有するオリゴヌクレオチドは「DNA様」であり、A−形態様構造を有するものは「RNA様」であると考えられる。いくつかの(キメラ)実施形態においてアンチセンス化合物は、A−およびB−形態領域の両方を含み得る。
【0142】
他の実施形態において、所望のオリゴヌクレオチドまたはアンチセンス化合物は、アンチセンスRNA、アンチセンスDNA、キメラアンチセンスオリゴヌクレオチド;修飾された結合を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド;干渉RNA(RNAi)、低分子干渉RNA(siRNA);マイクロ干渉RNA(miRNA);低分子一過的RNA(stRNA);または低分子ヘアピンRNA(shRNA);低分子RNA誘導遺伝子活性化(RNAa);低分子活性化RNA(saRNA)またはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。
【0143】
dsRNAは、遺伝子発現、「低分子RNA誘導遺伝子活性化」またはRNAaと称されている機構も活性化できる。遺伝子プロモーターを標的化するdsRNAは、関連する遺伝子の強力な転写活性化を誘導する。RNAaは、合成dsRNAを使用してヒト細胞において実証され、「低分子活性化RNA」(saRNA)と称された。
【0144】
低分子干渉RNA(siRNA)およびマイクロRNA(miRNA)などの低分子2本鎖RNA(dsRNA)は、RNA干渉(RNAi)として周知の進化的に保存された機構のトリガであることが見出されている。RNAiは、遺伝子サイレンシングを導く。しかし、下の実施例の節において詳細に記載される例においては、オリゴヌクレオチドは、サーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドおよびそれにコードされる産物の発現および/または機能を増加させることが示されている。dsRNAは低分子活性化RNA(saRNA)としても作用できる。理論による束縛を望むものではないが、遺伝子プロモーター中の配列を標的化することによって、saRNAはdsRNA誘発転写活性化(RNAa)と称される現象において標的遺伝子発現を誘導する。
【0145】
さらなる実施形態において、本明細書において同定する「標的セグメント」は、サーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドの発現を調節する追加的化合物の選別において使用され得る。「調節物質」は、サーチュイン(SIRT)をコードする核酸分子の発現を減少または増加させ、標的セグメントに相補的である少なくとも5個のヌクレオチド部分を含む化合物である。選別方法は、サーチュイン(SIRT)のセンスまたは天然アンチセンスポリヌクレオチドをコードする核酸分子の好ましい標的セグメントを1つまたは複数の候補調節物質に接触させる工程、およびサーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチド、例えば配列番号24〜127をコードする核酸分子の発現を減少または増加させる1つまたは複数の候補修飾物質を選択する工程を含む。1以上の候補調節物質が、サーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドをコードする核酸分子の発現を調節できる(例えば減少させるまたは増加させる)ことが一度示されれば、次いで調節物質は、サーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドの機能のさらなる調査研究において、または本発明による研究、診断もしくは治療剤としての使用のために使用され得る。
【0146】
天然アンチセンス配列の標的化は、例えばサーチュイン(SIRT)(例えば、受託番号NM_012238.4、NM_001159589、NM_012237.3、NM_012239、NM_012240、NM_012241、NM_016539、NM_016538、NM_001142498.1、NM_030593.2、NM_001193286.1、NM_034146.1、NM_001017524.2、NM_031244.2、NM_001193267.1、NM_001193285.1)の機能を調節する。一実施形態において、標的は、サーチュイン(SIRT)のアンチセンスポリヌクレオチドである。一実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、サーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチド(例えば、受託番号NM_012238.4、NM_001159589、NM_012237.3、NM_012239、NM_012240、NM_012241、NM_016539、NM_016538、NM_001142498.1、NM_030593.2、NM_001193286.1、NM_034146.1、NM_001017524.2、NM_031244.2、NM_001193267.1、NM_001193285.1)のセンスおよび/または天然アンチセンス配列、変異型、アレル、アイソフォーム、ホモログ、突然変異体、誘導体、断片およびそれらの相補配列を標的化する。好ましくはオリゴヌクレオチドは、アンチセンス分子であり、標的はアンチセンスおよび/またはセンスサーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドのコード領域および非コード領域を含む。
【0147】
本発明の標的セグメントは、本発明のそれぞれの相補的アンチセンス化合物と安定化された2本鎖(2重鎖)オリゴヌクレオチドを形成するように組み合わされ得る。
【0148】
そのような2本鎖オリゴヌクレオチド成分は、当技術分野において標的発現を調節し、アンチセンス機構を介して翻訳およびRNAプロセシングを制御すると示されている。さらに2本鎖成分は化学修飾に供され得る。例えばその様な2本鎖成分は、2重鎖アンチセンス鎖の標的への古典的ハイブリダイゼーションによって標的を抑制することが示されており、それによって標的の酵素的分解のトリガとなる。
【0149】
一実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、サーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチド(例えば、受託番号NM_012238.4、NM_001159589、NM_012237.3、NM_012239、NM_012240、NM_012241、NM_016539、NM_016538、NM_001142498.1、NM_030593.2、NM_001193286.1、NM_034146.1、NM_001017524.2、NM_031244.2、NM_001193267.1、NM_001193285.1)、変異型、アレル、アイソフォーム、ホモログ、突然変異体、誘導体、断片およびそれらの相補配列を標的化する。好ましくはオリゴヌクレオチドはアンチセンス分子である。
【0150】
本発明のいくつかの実施形態によれば、標的核酸分子は、サーチュイン(SIRT)だけに限定されず、任意のアイソフォーム、受容体、ホモログおよびサーチュイン(SIRT)分子に及ぶ。
【0151】
他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、サーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドの天然アンチセンス配列、例えば配列番号9〜23、141〜143に記載のポリヌクレオチドおよび任意の変異型、アレル、ホモログ、突然変異体、誘導体、断片およびそれらの相補配列を標的化する。アンチセンスオリゴヌクレオチドの例は、配列番号24〜127として記載されている。
【0152】
一実施形態において、該オリゴヌクレオチドは、限定ではないがサーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドに関連する非コードセンス配列および/またはアンチセンス配列を含む、サーチュイン(SIRT)アンチセンスの核酸配列に相補的であるかまたは結合し、サーチュイン(SIRT)分子の発現および/または機能を調節する。
【0153】
他の実施形態において、該オリゴヌクレオチドは、配列番号9〜23、141〜143に記載のサーチュイン(SIRT)天然アンチセンスの核酸配列に相補的であるかまたは結合し、サーチュイン(SIRT)分子の発現および/または機能を調節する。
【0154】
一実施形態において、オリゴヌクレオチドは、配列番号24〜127の少なくとも5個の連続する核酸塩基の配列を含み、サーチュイン(SIRT)分子の発現および/または機能を調節する。
【0155】
ポリヌクレオチドの標的は、そのファミリーメンバーを含めたサーチュイン(SIRT)、サーチュイン(SIRT)の変異型;SNPを含むサーチュイン(SIRT)の突然変異体;サーチュイン(SIRT)の非コード配列;サーチュイン(SIRT)のアレル;種の変異型、断片などを含む。好ましくはオリゴヌクレオチドはアンチセンス分子である。
【0156】
他の実施形態において、サーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドを標的化するオリゴヌクレオチドは、アンチセンスRNA、干渉RNA(RNAi)、低分子干渉RNA(siRNA);マイクロ干渉RNA(miRNA);低分子一過的RNA(stRNA);または短いヘアピンRNA(shRNA);低分子RNA誘導遺伝子活性化(RNAa);または低分子活性化RNA(saRNA)を含む。
【0157】
他の実施形態において、サーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチド、例えば配列番号9〜23、141〜143の標的化は、これらの標的の発現または機能を調節する。一実施形態において発現または機能は対照と比較してアップレギュレートされる。他の実施形態において、発現または機能は対照と比較してダウンレギュレートされる。
【0158】
他の実施形態において、アンチセンス化合物は、配列番号24〜127に記載の配列を含む。これらのオリゴヌクレオチドは、1以上の修飾された核酸塩基、より短いまたはより長い断片、修飾された結合などを含み得る。
【0159】
他の実施形態において、配列番号24〜127は、1つまたは複数のLNAヌクレオチドを含む。
【0160】
所望の標的核酸の調節は、当技術分野において周知のいくつかの方法において実施され得る。例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNAなど。酵素的核酸分子(例えばリボザイム)は、ヌクレオチド塩基配列に特異的な方式で他の別々の核酸分子を繰り返し切断する能力を含む種々の反応の1以上を触媒できる核酸分子である。そのような酵素的核酸分子は、例えば実質的にいかなるRNA転写物を標的化するのにも使用され得る。
【0161】
それらの配列特異性により、トランス切断酵素的核酸分子は、ヒト疾患に対する治療剤としての有望さを示。酵素的核酸分子は、細胞性RNA背景中で特定のRNA標的を切断するために設計され得る。そのような切断事象はmRNAを非機能的にし、かつそのRNAからのタンパク質発現を抑止する。このようにして、病態に関連するタンパク質の合成は選択的に抑制され得る。
【0162】
一般に、RNA切断活性を有する酵素的核酸は、最初に標的RNAに結合することによって作用する。そのような結合は、標的RNAを切断するために作用する分子の酵素的部分に近接に保持される酵素的核酸の標的結合部分を通じて生じる。したがって酵素的核酸分子は、最初に標的RNAを認識し、次いで相補的塩基対形成を通じて結合し、一旦正確な部位に結合すると標的RNAを切断するために酵素的に作用する。そのような標的RNAの戦略的切断は、コードされているタンパク質の合成を方向付けるその能力を破壊する。酵素的核酸がそのRNA標的に結合および切断した後、それはRNAから解離し、他の標的を探して反復して新たな標的に結合し、切断できる。
【0163】
体外選択(進化的)戦略などのいくつかの手法が、ホスホジエステル結合およびアミド結合の切断および連結などの種々の反応を触媒できる新規核酸触媒を発展させるために使用されている。
【0164】
触媒活性のために最適なリボザイムの開発は、遺伝子発現制御の目的のためにRNA切断リボザイムを使用するいかなる戦略にも顕著に貢献する。例えばハンマーヘッド型リボザイムは、飽和(10mM)濃度のMg2+補助因子の存在下で触媒速度(kcat)約1/分で機能する。人工的「RNAリガーゼ」リボザイムは、対応する自己修飾反応を約100/分の速度で触媒することが示されている。加えてDNAから作られた基質結合腕を有するある種の修飾されたハンマーヘッド型リボザイムは、約100/分に近い多重代謝回転速度でRNA切断を触媒することが周知である。最後にハンマーヘッドの触媒コア中の特定の残基の特定のヌクレオチド類似体での置換は、触媒速度に10倍程度の改善を示す修飾されたリボザイムをもたらす。これらの発見は、リボザイムが、ほとんどの天然の自己切断リボザイムによって体外で示されるものより顕著に大きな触媒速度での化学的形質転換を促進できることを示す。それにより、ある種の自己切断リボザイムの構造は、最大の触媒活性をもたらすように最適化され得る、またはRNAホスホジエステル切断について顕著に早い速度を示す完全に新規のRNAモチーフが作製され得ることが可能である。
【0165】
「ハンマーヘッド」モデルにあてはまるRNA触媒によるRNA基質の分子間切断は、1987年に最初に示された。RNA触媒は、回収され、複数のRNA分子と反応し、それが真に触媒作用的であることを示した。
【0166】
「ハンマーヘッド」モチーフに基づいて設計された触媒RNAは、標的配列に必要な塩基対形成を維持するために触媒RNA中に適切な塩基変更を作製することによって特定の標的配列を切断するために使用されている。これは、特定の標的配列を切断するための触媒RNAの使用を可能にし、「ハンマーヘッド」モデルによって設計された触媒RNAが生体内で特定の基質RNAを切断できる可能性があることを示している。
【0167】
RNA干渉(RNAi)は、哺乳動物および哺乳動物細胞における遺伝子発現を調節するための強力な手段になっている。この手法は、発現プラスミドまたはウイルスおよび、siRNAにプロセシングされる低分子ヘアピンRNAのコード配列を使用するRNAそれ自体としてまたはDNAとしてのいずれかでの低分子干渉RNA(siRNA)の送達を必要とする。この系は、プレsiRNAのそれらが活性である細胞質への効率的な輸送を可能にし、遺伝子発現のために制御された組織特異的なプロモーターの使用を可能にする。
【0168】
一実施形態において、オリゴヌクレオチドまたはアンチセンス化合物は、リボ核酸(RNA)および/もしくはデオキシリボ核酸(DNA)のオリゴマーもしくはポリマーまたはそれらの模倣物、キメラ、アナログもしくはホモログを含む。この用語は、天然に存在するヌクレオチド、糖およびヌクレオチド間(骨格)共有結合ならびに同様に機能する天然に存在しない部分を含むオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドを含む。そのような修飾されたまたは置換されたオリゴヌクレオチドは、例えば細胞への増強された取り込み、標的核酸に対する増強された親和性およびヌクレアーゼの存在下での増大した安定性などの望ましい特性からしばしば天然形態よりも望ましい。
【0169】
本発明により、オリゴヌクレオチドまたは「アンチセンス化合物」は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えばRNA、DNA、それらの模倣物、キメラ、アナログまたはホモログ)、リボザイム、外部ガイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド、siRNA化合物、siRNA化合物などの1本鎖または2本鎖RNA干渉(RNAi)化合物、saRNA、aRNAおよび標的核酸の少なくとも一部分にハイブリダイズしその機能を調節する他のオリゴマー化合物を含む。そのようにそれらは、DNA、RNA、DNA様、RNA様もしくはそれらの混合物であり得るか、またはこれらの1つまたは複数の模倣物でありえる。これらの化合物は、1本鎖、2本鎖、環状またはヘアピンオリゴマー化合物であることができ、内部もしくは末端の膨隆部、ミスマッチまたはループなどの構造要素を含み得る。アンチセンス化合物は、通常は直鎖状に調製されるが、環状および/または分枝状に結合されるかまたはそうでなければ調製され得る。アンチセンス化合物は、例えば全体的もしくは部分的な2本鎖化合物を形成するようにハイブリダイズした2本の鎖、または全体的もしくは部分的な2本鎖化合物のハイブリダイゼーションおよび形成を可能にするために十分な自己相補性を有する1本鎖などの構築物を含み得る。2本の鎖は、遊離の3’もしくは5’末端を残すように内部で結合され得るか、または連続的ヘアピン構造もしくはループを形成するように結合され得る。ヘアピン構造は、1本鎖形質の伸長を生じさせるために5’または3’末端のいずれかにオーバーハングを含有できる。場合により2本鎖化合物は、両末端にオーバーハングを含み得る。さらなる修飾は、末端のうちの1つ、選択されたヌクレオチド位置、糖位置またはヌクレオチド間結合のうちの1つに結合した複合基を含み得る。代替として2本の鎖は、非核酸成分またはリンカー基を介して結合できる。1本鎖だけから形成される場合dsRNAは、2重鎖を形成するためにそれ自体の上に折りたたまれる自己相補性ヘアピン型分子の形態を取り得る。したがってdsRNAは、完全にまたは部分的に2本鎖であり得る。遺伝子発現の特異的な調節は、遺伝子導入細胞系におけるdsRNAヘアピンの安定な発現によって達成され得る。2本鎖、または2重鎖を形成するためにそれ自体の上に折りたたまれる自己相補性ヘアピン型分子の形態をとる1本鎖から形成される場合、2本鎖(または1本鎖の2重鎖形成領域)は、ワトソン−クリック型の形で塩基対形成する自己相補的RNA鎖である。
【0170】
一旦系に導入されると本発明の化合物は、標的核酸の切断もしくは他の修飾をもたらす1種以上の酵素もしくは構造タンパク質の作用を誘発できる、または占有に基づく機構を介して作用できる。一般に核酸(オリゴヌクレオチドを含む)は、「DNA様」(すなわち一般に1以上の2’−デオキシ糖を有し、一般にU塩基よりもT塩基を有する)または「RNA様」(すなわち一般に1つまたは複数の2’−ヒドロキシ糖または2’−修飾糖を有し、一般にT塩基よりもU塩基を有する)と記載され得る。核酸ヘリックスは、2種以上の構造を、最も通例ではA−形態およびB−形態をとり得る。一般にB−形態様構造を有するオリゴヌクレオチドは「DNA様」であると、A−形態様構造を有するものは「RNA様」であると考えられる。いくつかの(キメラ)実施形態においてアンチセンス化合物は、A−およびB−形態領域の両方を含み得る。
【0171】
本発明によるアンチセンス化合物は、長さ約5〜約80ヌクレオチド(すなわち約5〜約80個連結したヌクレオシド)由来のアンチセンス部分を含み得る。これは、アンチセンス化合物のアンチセンス鎖または一部分の長さを意味する。言い換えると、本発明の1本鎖アンチセンス化合物は、5〜約80個のヌクレオチドを含み、本発明の2本鎖アンチセンス化合物(例えばdsRNAなど)は、長さ5〜約80ヌクレオチドのセンスおよびアンチセンス鎖または一部分を含む。当業者であれば、これが長さ5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、または80ヌクレオチドまたはこれらの範囲内の任意の長さのアンチセンス部分を内包することを理解されよう。
【0172】
一実施形態において本発明のアンチセンス化合物は、長さ10〜50ヌクレオチドのアンチセンス部分を有する。当業者であれば、これが長さ10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50ヌクレオチドまたはこれらの範囲内の任意の長さのアンチセンス部分を有するオリゴヌクレオチドを具体化することを理解されよう。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは長さ15ヌクレオチドである。
【0173】
一実施形態において、本発明のアンチセンスまたはオリゴヌクレオチド化合物は、長さ12または13〜30ヌクレオチドのアンチセンス部分を有する。当業者であれば、これが長さ12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30ヌクレオチドまたはこれらの範囲内の任意の長さのアンチセンス部分を有するアンチセンス化合物を具体化することを理解されよう。
【0174】
他の実施形態において、本発明のオリゴマー化合物は、化合物中の1以上のヌクレオチド位置に異なる塩基が存在する変異型も含む。例えば、最初のヌクレオチドがアデノシンである場合、この位置にチミジン、グアノシンまたはシチジンを含有する変異型が生成され得る。これは、アンチセンスまたはdsRNA化合物の任意の位置においてなされ得る。次いでこれらの化合物は、標的核酸の発現を抑制するそれらの能力を測定するために本明細書に記載の方法を使用して検査される。
【0175】
いくつかの実施形態において、アンチセンス化合物と標的との間の相同性、配列同一性または相補性は、約40%〜約60%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約60%〜約70%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約70%〜約80%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約80%〜約90%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約90%、約92%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%である。
【0176】
他の実施形態において、例えば配列番号24〜127に記載の核酸分子などのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1以上の置換または修飾を含む。一実施形態においてヌクレオチドはロックト核酸(LNA)で置換される。
【0177】
他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、サーチュイン(SIRT)に関連するコードおよび/または非コード配列ならびに配列番号1〜23および配列番号133〜143として記載の配列の、核酸分子センスおよび/またはアンチセンスの1以上の領域を標的化する。オリゴヌクレオチドは、配列番号1〜23および配列番号133〜143の重複領域にも標的化される。
【0178】
本発明の特定のオリゴヌクレオチドは、キメラオリゴヌクレオチドである。本発明の文脈において「キメラオリゴヌクレオチド」または「キメラ」は、それぞれ少なくとも1つのヌクレオチドからなる2つ以上の化学的に異なる領域を含むオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは、1種以上の有益な特性(例えばヌクレアーゼ耐性の増大、細胞への取り込みの増大、標的に対する結合親和性の増大など)を付与する修飾されたヌクレオチドの少なくとも1つの領域、およびRNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドを切断できる酵素の基質である領域を典型的には含む。例として、RNaseHは、RNA:DNA 2重鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼである。したがってRNase Hの活性化は、RNA標的の切断を生じ、それによって遺伝子発現のアンチセンス調節の効率を非常に増強する。結果としてキメラオリゴヌクレオチドが使用される場合、同じ標的領域にハイブリダイズするホスホロオチオエートデオキシオリゴヌクレオチドと比較して低分子オリゴヌクレオチドで同程度の結果がしばしば得られる。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動および必要に応じて当技術分野において周知の関連する核酸ハイブリダイゼーション技術によって通常とおりに検出できる。一実施形態において、キメラオリゴヌクレオチドは、標的結合親和性を増大させる少なくとも1つの領域、およびRNase Hの基質として作用する領域を通常含む。オリゴヌクレオチドのその標的(この場合、rasをコードする核酸)に対する親和性は、オリゴヌクレオチド/標的対のTm(オリゴヌクレオチドと標的とが解離する温度であり、解離は分光光度的に検出される)を測定することによって通常とおりに決定される。Tmが高くなるほど、標的に対するオリゴヌクレオチドの親和性は大きい。
【0179】
本発明のキメラアンチセンス化合物は、2つ以上のオリゴヌクレオチド、修飾されたオリゴヌクレオチド、上に記載のオリゴヌクレオシドおよび/またはオリゴヌクレオチド模倣物の複合構造として形成され得る。そのような化合物は、当技術分野においてハイブリッドまたはギャップマー(gapmer)とも称されている。そのようなハイブリッド構造の調製について記載した代表的な米国特許としては、以下に限定されないが、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,013,830号、第5,149,797号、第5,220,007号、第5,256,775号、第5,366,878号、第5,403,711号、第5,491,133号、第5,565,350号、第5,623,065号、第5,652,355号、第5,652,356号および第5,700,922号が挙げられる。
【0180】
一実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドの領域は、糖の2’位置で修飾された少なくとも1つのヌクレオチド、最も好ましくは2’−O−アルキル、2’−O−アルキル−O−アルキル、または2’フルオロ修飾ヌクレオチドを含む。他の実施形態においては、RNA修飾は、ピリミジン、脱塩基残基またはRNAの3’末端の反転塩基(inverted base)のリボース上の2’−フルオロ、2’−アミノおよび2’O−メチル修飾を含む。そのような修飾は、通常とおりにオリゴヌクレオチドに組み込まれ、これらのオリゴヌクレオチドは、所与の標的に対して2’−デオキシオリゴヌクレオチドよりもより高いTm(すなわちより高い標的結合親和性)を有することが示されている。そのような増大した親和性の効果は、遺伝子発現のRNAiオリゴヌクレオチド抑制を非常に増強する。RNAse Hは、RNA:DNA 2重鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼであり、したがってこの酵素の活性化は、RNA標的の切断を生じ、それによってRNAi抑制の効率を非常に増強できる。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動によって通常とおり実証され得る。他の実施形態において、キメラオリゴヌクレオチドもヌクレアーゼ耐性を増強するべく修飾される。細胞は、核酸を分解できる種々のエキソ−およびエンド−ヌクレアーゼを含有する。多数のヌクレオチドおよびヌクレオシド修飾が、それが組み込まれるオリゴヌクレオチドを天然のオリゴヌクレオチドよりもヌクレアーゼ消化に対してより耐性にすることが示されている。ヌクレアーゼ耐性は、オリゴヌクレオチドを細胞抽出物または単離されたヌクレアーゼ溶液とインキュベートし、一定時間後に残っている未変化オリゴヌクレオチドの量を、通常は電気泳動によって、測定することにより通常とおり測定される。ヌクレアーゼ耐性を増強するべく修飾されているオリゴヌクレオチドは、未修飾オリゴヌクレオチドよりも長時間未変化で残存する。種々のオリゴヌクレオチド修飾がヌクレアーゼ耐性を増強するまたは付与することが実証されている。現在のところ少なくとも1つのホスホロオチオエート修飾を含有するオリゴヌクレオチドはより好ましい。いくつかの場合に標的結合親和性を増強するオリゴヌクレオチド修飾も、単独で、ヌクレアーゼ耐性を増強できる。いくつかの所望の修飾は、De Mesmaekerら(1995) Acc. Chem. Res., 28:366−374に見出すことができる。
【0181】
本発明のために想定されるいくつかのオリゴヌクレオチドの具体的な例としては、修飾された骨格、例えばホスホロオチオエート、リン酸トリエステル、メチルホスホネート、短鎖アルキルもしくはシクロアルキル糖部分間結合または短鎖ヘテロ原子もしくは複素環糖間結合を含むものが挙げられる。ほとんどは、ホスホロオチオエート骨格を有するオリゴヌクレオチドおよびヘテロ原子骨格、特にCH2−NH−O−CH2、CH、−N(CH3)−O−CH2[メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格として周知]、CH2−O−N(CH3)−CH2、CH2−N(CH3)−N(CH3)−CH2およびO−N(CH3)−CH2−CH2骨格、式中天然のホスホジエステル骨格はO−P−O−CHと表される)を有するものである。De Mesmaekerら(1995)Acc.Chem.Res.28:366−374)によって開示されたアミド骨格も好ましい。同様に、モルホリノ骨格構造を有するオリゴヌクレオチドである(SummertonおよびWeller、米国特許第5,034,506号)。他の実施形態において、ペプチド核酸(PNA)骨格、オリゴヌクレオチドのホスホジエステル骨格などは、ポリアミド骨格で置換され、ヌクレオチドは直接または間接的にポリアミド骨格のアザ窒素原子に結合される。オリゴヌクレオチドは、1以上の置換された糖部分も含み得る。オリゴヌクレオチドは、以下のもの:OH、SH、SCH3、F、OCN、OCH3OCH3、OCH3O(CH2)nCH3、O(CH2)nNH2またはO(CH2)nCH3(nは1〜約10);C1〜C10低級アルキル、アルコキシアルコキシ、置換された低級アルキル、アルカリルまたはアラルキル;Cl;Br;CN;CF3;OCF3;O−、S−、またはN−アルキル;O−、S−、またはN−アルケニル;SOCH3;SO2;CH3;ONO2;NO2;N3;NH2;ヘテロシクロアルキル;ヘテロシクロアルカリル;アミノアルキルアミノ;ポリアルキルアミノ;置換されたシリル;RNA切断基;レポーター基;干渉物質;オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善する基;またはオリゴヌクレオチドの薬力学特性を改善する基および同様の特性を有する他の置換基のうちの1つを2’位置に含む。修飾は、2’−メトキシエトキシ[2’−O−CH2CH2OCH3、2’−O−(2−メトキシエチル)としても周知]を含む。他の修飾は2’−メトキシ(2’−O−CH3)、2’−プロポキシ(2’−OCH2CH2CH3)および2’−フルオロ(2’−F)を含む。同様に修飾は、オリゴヌクレオチドの他の位置、詳細には3’末端ヌクレオチドの糖の3’位および5’末端ヌクレオチドの5’位でも作製され得る。オリゴヌクレオチドは、ペントフラノシル基の代わりにシクロブチルなどの糖類似体も有し得る。
【0182】
オリゴヌクレオチドは、追加的または代替的に核酸塩基(当技術分野において単に「塩基」と称されることも多い)修飾または置換も含み得る。本明細書において使用される「未修飾」または「天然」ヌクレオチドは、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)を含む。修飾されたヌクレオチドは、天然の核酸においてまれに、または一過的にだけ見出されるヌクレオチド、例えばヒポキサンチン、6−メチルアデニン、5−Meピリミジン、詳細には5−メチルシトシン(5−メチル−2’−デオキシシトシンとも称され、5−Me−Cとも当技術分野においてしばしば称される)、5−ヒドロキシメチルシトシン(HMC)、グリコシルHMCおよびゲントビオシルHMCならびに合成ヌクレオチド、例えば2−アミノアデニン、2−(メチルアミノ)アデニン、2−(イミダゾリルアルキル)アデニン、2−(アミノアルキルアミノ)アデニンまたは他のヘテロ置換アルキルアデニン、2−チオウラシル、2−チオチミン、5−ブロモウラシル、5−ヒドロキシメチルウラシル、8−アザグアニン、7−デアザグアニン、N6(6−アミノヘキシル)アデニンおよび2,6−ジアミノプリンを含む。当技術分野において周知の「ユニバーサル」塩基、例えばイノシン、も含まれ得る。5−Me−C置換は、核酸2重鎖の安定性を0.6〜1.2℃増大させることが示されており(Sanghvi, Y.S., in Crooke, S.T. and Lebleu, B., eds., Antisense Research and Applications, CRC Press, Boca Raton, 1993, pp. 276-278)、現在では塩基置換である。
【0183】
本発明のオリゴヌクレオチドの他の修飾は、オリゴヌクレオチドの活性または細胞への取り込みを増強する1以上の成分またはコンジュゲートのオリゴヌクレオチドへの化学的結合を含む。そのような成分として、以下に限定されないが、コレステロール成分、コレステリル成分、チオエーテル、例えばヘキシル−S−トリチルチオール、チオコレステロール、脂肪族鎖、例えばドデカンジオールまたはウンデシル残基、リン脂質、例えばジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3H−ホスホネート、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖、あるいはアダマンタン酢酸などの脂質成分が含まれる。親油性成分を含むオリゴヌクレオチドおよびそのようなオリゴヌクレオチドを調製する方法は、当技術分野、例えば米国特許第5,138,045号、第5,218,105号および第5,459,255号において公知である。
【0184】
所与のオリゴヌクレオチドにおけるすべての位置が一律に修飾される必要はなく、実際に前述の修飾のうちの2種以上が単一のオリゴヌクレオチド中に、またはオリゴヌクレオチド中の単一のヌクレオシド中にさえも組み込まれ得る。本発明は、本明細書中以前に定義したキメラオリゴヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドも含む。
【0185】
他の実施形態において本発明の核酸分子は、限定されないが脱塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、脂質またはポリ炭化水素化合物を含む他の成分と結合される。当業者であれば、これらの分子が、糖、塩基またはリン酸基のいくつかの位置に核酸分子を含む1以上の任意のヌクレオチドに連結され得ることを理解されよう。
【0186】
本発明により使用されるオリゴヌクレオチドは、好都合におよび通常とおり固相合成の十分に周知な技術を通じて作製される。そのような合成のための装置は、Applied Biosystemsを含むいくつかのベンダーから販売されている。そのような合成のための任意の他の手段も使用され得る;オリゴヌクレオチドの実際の合成は、十分に当業者の能力の範囲内である。ホスホロオチオエートおよびアルキル化誘導体などの他のオリゴヌクレオチドを調製するために類似技術を使用することもよく知られている。類似技術ならびに商業的に入手可能な修飾されたアミダイトおよび多孔質ガラス(CPG)製品(ビオチン、フルオレセイン、アクリジンもしくはソラレン修飾アミダイトなど)および/または蛍光標識、ビオチン化もしくは、コレステロール修飾オリゴヌクレオチドなどの他の修飾オリゴヌクレオチドを合成するためのCPG(Glen Research,Sterling VAから入手可能)の使用もよく知られている。
【0187】
本発明により、強度、特異性および作用期間の増強のため、およびオリゴヌクレオチドの投与経路を拡げるためのLNAモノマーの利用などの修飾の使用には、MOE、ANA、FANA、PSなど現在のケミストリが含まれる。これは現在のオリゴヌクレオチド中のいくつかのモノマーのLNAモノマーによる置換によって達成され得る。LNA修飾オリゴヌクレオチドは、親化合物に類似する大きさを有する場合があり、またはより大きいものもよいが、好ましくは小さいものである。そのようなLNA修飾オリゴヌクレオチドは、約70%より少ない、より好ましくは約60%より少ない、最も好ましくは約50%より少ないLNAモノマーを含み、それらの大きさは、約5から25ヌクレオチドの間であり、より好ましくは約12から20ヌクレオチドの間の大きさである。
【0188】
オリゴヌクレオチド骨格は、以下に限定されないが、ホスホロオチオエート、キラルホスホロオチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルホスホネートおよび他のアルキルホスホネート(3’アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートを含む)、ホスフィネート、ホスホラミデート(3’アミノホスホラミデートおよびアミノアルキルホスホラミデートを含む)、チオノホスホラミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステルおよび通常の3’−5’結合を有するボラノホスフェート、これらの2’−5’結合類似体、および逆転した方向性を有する(ヌクレオチド単位の隣接する対が3’−5’から5’−3’にまたは2’−5’から5’−2’に連結している)ものを含む。種々の塩、塩混合物および遊離酸の形態も含まれる。
【0189】
上記のリン含有結合の作製を説明する代表的な米国特許としては、以下に限定されないが、米国特許第3,687,808号;4,469,863号;第4,476,301号;第5,023,243号;第5,177,196号;第5,188,897号;第5,264,423号;第5,276,019号;第5,278,302号;第5,286,717号;第5,321,131号;第5,399,676号;第5,405,939号;第5,453,496号;第5,455,233号;第5,466,677号;第5,476,925号;第5,519,126号;第5,536,821号;第5,541,306号;第5,550,111号;第5,563,253号;第5,571,799号;第5,587,361号;および第5,625,050号が挙げられ、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる。
【0190】
修飾オリゴヌクレオチド骨格はリン原子を含まず、単鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオチド間結合、混合ヘテロ原子およびアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオチド間結合、または1つもしくは複数の単鎖ヘテロ原子もしくは複素環ヌクレオチド間結合によって形成された骨格を有する。これらは、モルホリノ結合(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成される);シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシドおよびスルホン骨格;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ骨格;スルホネートおよびスルホンアミド骨格;アミド骨格;ならびに他のN、O、SおよびCH2が混合した構成成分部分を有するものを含む。
【0191】
上記のオリゴヌクレオチドの調製を説明する代表的な米国特許としては、以下に限定されないが、米国特許5,034,506号;第5,166,315号;第5,185,444号;第5,214,134号;第5,216,141号;第5,235,033号;第5,264,562号;第5,264,564号;第5,405,938号;第5,434,257号;第5,466,677号;第5,470,967号;第5,489,677号;第5,541,307号;第5,561,225号;第5,596,086号;第5,602,240号;第5,610,289号;第5,602,240号;第5,608,046号;第5,610,289号;第5,618,704号;第5,623,070号;第5,663,312号;第5,633,360号;第5,677,437号;および第5,677,439号が挙げられ、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる。
【0192】
他のオリゴヌクレオチド模倣物において、ヌクレオチド単位の糖およびヌクレオチド間結合(すなわち骨格)の両方は新たな基で置換される。塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。そのようなオリゴマー化合物の1つ、優れたハイブリダイゼーション特性を有することが判明しているオリゴヌクレオチド模倣物は、ペプチド核酸(PNA)と称される。PNA化合物において、オリゴヌクレオチドの糖骨格は、アミド含有骨格、詳細にはアミノエチルグリシン骨格で置換される。核酸塩基は、保持され、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接または間接的に結合される。PNA化合物の調製について開示している代表的米国特許は、以下に限定されないが、米国特許第5,539,082号、米国特許第5,714,331号および米国特許第5,719,262号が挙げられ、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。PNA化合物のさらなる説明は、Nielsenら(1991)Science 254,1497−1500にみられる。
【0193】
本発明の他の実施形態において、ホスホロオチオエート骨格を有するオリゴヌクレオチドおよびヘテロ原子骨格を有するオリゴヌクレオシド、特に、−CH2−NH−O−CH2−、−CH2−N(CH3)−O−CH2−(メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格として周知)、−CH2−O−N(CH3)−CH2、CH2N(CH3)−N(CH3)CH2−および−O−N(CH3)−CH2−CH2−(天然のホスホジエステル骨格は、以前に引用した米国特許第5,489,677号の−O−P−O−CH2−として表される)、および以前に引用した米国特許第5,602,240号のアミド骨格。同様に、以前に引用した米国特許第5,034,506号のモルホリノ骨格構造を有するオリゴヌクレオチドである。
【0194】
修飾されたオリゴヌクレオチドは、1つ以上の置換された糖部分を含み得る。オリゴヌクレオチドは、以下のもの:OH;F;O−、S−、もしくはN−アルキル;O−、S−、もしくはN−アルケニル;O−、S−もしくはN−アルキニル;またはOアルキル−O−アルキル(式中アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、CからCOアルキルに、またはC2からCOアルケニルおよびアルキニルに、置換されるまたは置換されない場合がある)のうちの1つを2’位置に含む。特に、O(CH2)nOmCH3、O(CH2)n、OCH3、O(CH2)nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2)nONH2およびO(CH2nON(CH2)nCH3)2であり、式中nおよびmは1から約10であり得る。他のオリゴヌクレオチドは、以下:CからCO、(低級アルキル、置換された低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリルもしくはO−アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換されたシリル、RNA切断基、レポーター基、干渉物質、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善する基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学特性を改善する基および同様の特性を有する他の置換基のうちの1つを2’位置に含む。修飾は、2’−メトキシエトキシ(2’−O−CH2CH2OCH3、2’−O−(2−メトキシエチル)または2’−MOEとしても知られる)すなわちアルコキシアルコキシ基を含む。さらなる修飾は、2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわちO(CH2)2ON(CH3)2基、本明細書以下の実施例において記載のとおり2’−DMAOEとしても周知,ならびに2’−ジメチルアミノエトキシエトキシ(当技術分野において2’−O−ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’−DMAEOEとしても当分野で周知)すなわち、2’−O−CH2−O−CH2−N(CH2)2を含む。
【0195】
他の修飾は、2’−メトキシ(2’−O CH3)、2’−アミノプロポキシ(2’−O CH2CH2CH2NH2)および2’−フルオロ(2’−F)を含む。同様の修飾は、オリゴヌクレオチドの他の位置、詳細には3’末端ヌクレオチドの糖の3’位置または2’−5’連結オリゴヌクレオチドおよび5’末端ヌクレオチドの5’位置にも作製され得る。オリゴヌクレオチドは、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル成分などの糖類似体も有し得る。そのような修飾糖構造の調製について開示した代表的米国特許としては、以下に限定されないが、米国特許4,981,957号;第5,118,800号;第5,319,080号;第5,359,044号;第5,393,878号;第5,446,137号;第5,466,786号;第5,514,785号;第5,519,134号;第5,567,811号;第5,576,427号;第5,591,722号;第5,597,909号;第5,610,300号;第5,627,053号;第5,639,873号;第5,646,265号;第5,658,873号;第5,670,633号;および第5,700,920号などが挙げられ、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる。
【0196】
オリゴヌクレオチドは、核酸塩基(当技術分野において単に「塩基」と称されることが多い)修飾または置換も含み得る。本明細書において使用される「未修飾」または「天然」ヌクレオチドは、プリン塩基アデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基チミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)を含む。修飾ヌクレオチドは、5−メチルシトシン(5−Me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6−メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2−プロピルおよび他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニルウラシルおよびシトシン、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(シュードウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルおよび他の8−置換アデニンおよびグアニン、5−ハロ特に5−臭化、5−トリフルオロメチルおよび他の5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニンならびに3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンなどの他の合成および天然ヌクレオチドを含む。
【0197】
さらに、ヌクレオチドは、米国特許第3,687,808号に開示のもの、’The Concise Encyclopedia of Polymer Science And Engineering’,pages858−859,Kroschwitz,J.I.,ed.John Wiley & Sons,1990に開示のもの、Englischら,’Angewandle Chemie,International Edition’,1991,30,page613に開示のもの、anghvi,Y.S.,Chapter15,’Antisense Research and Applications’,pages289−302,Crooke,S.T. and Lebleu,B.ea.,CRCPress,1993に開示のものを含む。特定のこれらのヌクレオチドは、本発明のオリゴマー化合物の結合親和性を増大させるために特に有用である。これらは、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジンならびに、2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシンを含むN−2、N−6およびO−6置換プリンを含む。5−メチルシトシン置換物は、0.6〜1.2℃の核酸2重鎖安定性における増大を示しており(Sanghvi,Y.S.,Crooke,S.T.およびLebleu,B.,eds,’Antisense Research and Applications’,CRC Press,Boca Raton,1993,pp.276−278)、現在のところ塩基置換であり、2’−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わされるとより好ましい。
【0198】
上記の修飾ヌクレオチドおよび他の修飾ヌクレオチドの作製について開示した代表的米国特許は、以下に限定されないが、米国特許第3,687,808号、ならびに同第4,845,205号;第5,130,302号;第5,134,066号;第5,175,273号;第5,367,066号;第5,432,272号;第5,457,187号;第5,459,255号;第5,484,908号;第5,502,177号;第5,525,711号;第5,552,540号;第5,587,469号;第5,596,091号;第5,614,617号;第5,750,692号,および第5,681,941号などが挙げられ、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる。
【0199】
本発明のオリゴヌクレオチドの他の修飾は、活性、細胞性分布またはオリゴヌクレオチドの細胞への取り込みを増強する1以上の成分またはコンジュゲートのオリゴヌクレオチドへの化学的連結を含む。
【0200】
そのような成分としては、以下に限定されないが、コレステロール成分、コール酸、チオエーテル(例えばヘキシル−S−トリチルチオール)、チオコレステロール、脂肪族鎖(例えばドデカンジオールまたはウンデシル残基)、リン脂質(例えばジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖、またはアダマンタン酢酸、パルミチル成分、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−tオキシコレステロール成分などが挙げられる。
【0201】
そのようなオリゴヌクレオチドコンジュゲートの作製について記載した代表的な米国特許としては、以下に限定されないが、米国特許第4,828,979号;第4,948,882号;第5,218,105号;第5,525,465号;第5,541,313号;第5,545,730号;第5,552,538号;第5,578,717、5,580,731号;第5,580,731号;第5,591,584号;第5,109,124号;第5,118,802号;第5,138,045号;第5,414,077号;第5,486,603号;第5,512,439号;第5,578,718号;第5,608,046号;第4,587,044号;第4,605,735号;第4,667,025号;第4,762,779号;第4,789,737号;第4,824,941号;第4,835,263号;第4,876,335号;第4,904,582号;第4,958,013号;第5,082,830号;第5,112,963号;第5,214,136号;第5,082,830号;第5,112,963号;第5,214,136号;第5,245,022号;第5,254,469号;第5,258,506号;第5,262,536号;第5,272,250号;第5,292,873号;第5,317,098号;第5,371,241、5,391,723号;第5,416,203、5,451,463号;第5,510,475号;第5,512,667号;第5,514,785号;第5,565,552号;第5,567,810号;第5,574,142号;第5,585,481号;第5,587,371号;第5,595,726号;第5,597,696号;第5,599,923号;第5,599,928号および第5,688,941号などがあり、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる。
【0202】
[創薬]:本発明の化合物は、創薬および標的検証の分野にも応用され得る。本発明は、サーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドと、病態、表現型または状態との間に存在する関係を解明するための創薬の試みにおける、本明細書において特定された化合物および標的セグメントの使用を包含する。これらの方法は、試料、組織、細胞または生体を本発明の化合物と接触させる工程、サーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドの核酸またはタンパク質レベルおよび/または関連する表現型もしくは化学的な評価項目を処置後のある時期に測定する工程、ならびに選択に応じて測定値を未処置試料または本発明のさらなる化合物で処置した試料と比較する工程を含む、サーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドの検出または調節を含む。これらの方法は、標的検証のプロセスのために未知の遺伝子の機能を決定するため、または特定の疾患、状態もしくは表現型の治療もしくは予防のための標的としての特定の遺伝子産物の妥当性を決定するために他の実験と並行して、または組み合わせて実施され得る。
【0203】
[遺伝子発現のアップレギュレートまたは阻害の評価]
外来性核酸の宿主細胞または生体内への輸送は、細胞中または生体中の核酸を直接検出する工程によって評価され得る。そのような検出は、当技術分野において周知のいくつかの方法によって達成し得る。例えば、外来性核酸の存在は、サザンブロットまたは核酸に関連するヌクレオチド配列を特異的に増幅するプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術によって検出し得る。外来性核酸の発現も遺伝子発現分析を含む従来の方法を使用して測定し得る。例えば外来性核酸から生成されるmRNAはノーザンブロットおよび逆転写PCR(RT−PCR)を使用して検出および定量し得る。
【0204】
外来性核酸からのRNAの発現も、酵素活性またはレポータータンパク質活性を測定することによって検出し得る。例えば、アンチセンス調節活性は、外来性核酸がエフェクターRNAを生成していることの指標としての標的核酸発現の増減により間接的に測定し得る。配列保存に基づいてプライマーは設計可能であり、標的遺伝子のコード領域を増幅するために使用し得る。任意の翻訳または非コード領域が使用され得るが、最初に各遺伝子から最も高く発現されるコード領域がモデル制御遺伝子を構築するために使用され得る。各制御遺伝子は、各コード領域をレポーターコード領域とそのポリ(A)シグナルとの間に挿入することによって組み立てられる。これらのプラスミドは、レポーター遺伝子を遺伝子の上流部分に、および潜在的RNAi標的を3’非コード領域に有するmRNAを生成する。個々のアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果は、レポーター遺伝子の調節によって評価される。本発明の方法において有用なレポーター遺伝子としては、アセトヒドロキシ酸合成酵素(AHAS)、アルカリホスファターゼ(AP)、ベータガラクトシダーゼ(LacZ)、ベータグルクロニダーゼ(GUS)、クロラムフェニコールアセチル基転移酵素(CAT)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)、ルシフェラーゼ(Luc)、ノパリン合成酵素(NOS)、オクトピン合成酵素(OCS)、およびそれらの誘導体などが挙げられる。アンピシリン、ブレオマイシン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、ハイグロマイシン、カナマイシン、リンコマイシン、メトトレキサート、ホスフィノトリシン、ピューロマイシンおよびテトラサイクリンに耐性を付与する多重選択マーカーを利用可能である。レポーター遺伝子の調節を測定するための方法は、当技術分野においてよく知られており、以下に限定されないが蛍光定量的方法(例えば蛍光分光法、蛍光励起細胞分取(FACS)、蛍光顕微鏡)、抗生物質耐性判別法が含まれる。
【0205】
SIRT1、SIRT3およびSIRT6タンパク質およびmRNAの発現は、当業者に周知の本明細書の他の場所に記載する方法を用いてアッセイすることができる。例えば、ELISAなどのイムノアッセイを用いてタンパク質レベルを測定することができる。ELISA用サーチュイン(SIRT)抗体は、例えばR&D Systems(Minneapolis,MN)およびAbcam, Cambridge, MAから市販されている。
【0206】
いくつかの実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて処置した試料(例えば生体内または体外の細胞または組織)中のSIRT1、SIRT3およびSIRT6の発現(例えばmRNAの発現すなわちタンパク質)は、対照試料におけるサーチュイン(SIRT)の発現との比較によって評価する。例えば、タンパク質すなわち核酸の発現を、当業者に周知の方法を用いて、擬似処置したすなわち未処置の試料における発現と比較することができる。あるいは、必要な情報に応じて、対照アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、変化した配列すなわち異なる配列を有するもの)で処置した試料との比較を行うことができる。他の実施形態において、処置した試料対未処置の試料におけるサーチュイン(SIRT)タンパク質すなわち核酸の発現の差異を、処置した試料対未処置の試料における異なる核酸(研究者が適切とみなした任意の標準的な核酸、例えばハウスキーピング遺伝子)の発現の差異と比較することができる。
【0207】
観察された差異は、対照との比較に用いるために、望ましい形式、例えば比率すなわち割合の形式で表現することができる。いくつかの実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置した試料中のサーチュイン(SIRT)のmRNAの発現すなわちタンパク質のレベルは、未処置の試料または対照の核酸で処置した試料と比較して約1.25倍〜約10倍以上の割合で増減する。いくつかの実施形態において、サーチュイン(SIRT)のmRNAの発現すなわちタンパク質のレベルは、少なくとも約1.25倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10倍かそれ以上の割合で増減する。
【0208】
[キット、研究用試薬、診断、および治療]
本発明の化合物は、診断、治療および予防のためにならびに研究用試薬およびキットの構成要素として利用され得る。さらに、優れた特異性をもって遺伝子発現を阻害できるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、当業者によって特定の遺伝子の機能を解明するため、または生物学的経路の種々のメンバー間の機能を区別するために使用されることが多い。
【0209】
キットおよび診断ならびに種々の生物学的系における使用のために、本発明の化合物は、単独でまたは他の化合物もしくは治療薬との併用のいずれかで、細胞中および組織中で発現される遺伝子の部分的または全体的な相補配列の発現パターンを解明するためのディファレンシャルおよび/またはコンビナトリアル解析でのツールとして有用である。
【0210】
本明細書において使用される用語「生物学的系」または「系」は、サーチュイン(SIRT)遺伝子の産物を発現するまたは発現できるようにされる任意の生体、細胞、細胞培養物または組織として定義される。これらは、以下に限定されないが、ヒト、遺伝子導入動物、細胞、細胞培養物、組織、異種移植片、移植物およびそれらの組み合わせを含む。
【0211】
非限定的な一例として、1以上のアンチセンス化合物で処置した細胞中または組織中の発現パターンを、アンチセンス化合物で処置していない対照細胞または組織と比較して、生じたパターンを遺伝子発現レベルの差異について分析する。それらが、例えば検査される遺伝子の疾患関連性、シグナル伝達経路、細胞内局在性、発現レベル、大きさ、構造または機能などに関連するからである。これらの分析は、刺激されたまたは刺激されていない細胞で、発現パターンに影響する他の化合物の存在下または非存在下で実施することができる。
【0212】
当技術分野において周知の遺伝子発現分析方法の例としては、DNAアレイまたはマイクロアレイ、SAGE(遺伝子発現の連続的分析)、READS(消化cDNAの制限酵素増幅)、TOGA(総遺伝子発現分析)、タンパク質アレイおよびプロテオミクス、発現された配列タグ(EST)配列決定、サブトラクティブRNAフィンガープリンティング(SuRF)、サブトラクティブクローニング、ディファレンシャルディスプレイ(DD)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、FISH(蛍光in situハイブリダイゼーション)技術および質量分析法などが挙げられる。
【0213】
本発明の化合物は、これらの化合物がサーチュイン(SIRT)をコードする核酸にハイブリダイズすることから、研究および診断のために有用である。例えば、本明細書において開示のとおりの効率および条件下で効果的なサーチュイン(SIRT)調節物質としてハイブリダイズするオリゴヌクレオチドは、遺伝子増幅または検出に好都合な条件下でそれぞれ効果的なプライマーまたはプローブである。これらのプライマーまたはプローブは、サーチュイン(SIRT)をコードする核酸分子の特異的検出を必要とする方法において、およびサーチュイン(SIRT)のさらなる研究における検出または使用のための前記核酸分子の増幅のために有用である。サーチュイン(SIRT)をコードする核酸と、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、詳細にはプライマーおよびプローブとのハイブリダイゼーションは当技術分野において周知の手段によって検出し得る。そのような手段としては、オリゴヌクレオチドへの酵素のコンジュゲーション、オリゴヌクレオチドの放射標識、または任意の他の適切な検出手段などを挙げることができる。試料中のサーチュイン(SIRT)のレベルを検出するためにそのような検出手段を使用するキットも用意することができる。
【0214】
アンチセンスの特異性および感度は、治療用使用のために当業者によって利用される。アンチセンス化合物は、ヒトを含む動物の病態の治療における治療用成分として使用されてきた。アンチセンスオリゴヌクレオチド薬は、ヒトに安全かつ効果的に投与されており、多数の臨床試験が現在進行中である。したがって、アンチセンス化合物が細胞、組織および動物、特にヒトの治療用のための治療レジメンにおいて有用であるように構成され得る有用な治療方法となり得ることは確立されている。
【0215】
治療については、サーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドの発現を調節することによって治療され得る疾患または障害を有すると疑われる動物(好ましくはヒト)は、本発明によるアンチセンス化合物を投与することによって治療される。例えば、限定を意図しない一実施形態において、該方法は、治療を必要とする動物に治療上有効な量のサーチュイン(SIRT)調節物質を投与する工程を含む。本発明のサーチュイン(SIRT)調節物質は、サーチュイン(SIRT)の活性を効果的に調節するか、またはサーチュイン(SIRT)タンパク質の発現を調節する。一実施形態においては、動物におけるサーチュイン(SIRT)の活性または発現は、対照と比較して約10%阻害される。好ましくは、動物におけるサーチュイン(SIRT)の活性または発現が、約30%阻害される。より好ましくは動物におけるサーチュイン(SIRT)の活性または発現が、50%またはそれを超えて阻害される。したがってオリゴマー化合物は、サーチュイン(SIRT)のmRNAの発現を対照と比較して少なくとも10%、少なくとも50%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%調節する。
【0216】
一実施形態において、サーチュイン(SIRT)の活性または発現および/または動物においては、対照と比較して少なくとも約10%増加する。好ましくは動物におけるサーチュイン(SIRT)の活性または発現は、約30%増加する。より好ましくは動物におけるサーチュイン(SIRT)の活性または発現は、約50%またはそれを超えて増加する。したがってオリゴマー化合物は、サーチュイン(SIRT)のmRNAの発現を、対照と比較して少なくとも10%、少なくとも50%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%調節する。
【0217】
いくつかの実施形態において、サーチュインの調節は、生体試料中の、サーチュイン mRNA、アンチセンスRNA、タンパク質、サーチュインのバイオマーカー、またはそれらの組み合わせのレベルを測定することにより観察される。サーチュインバイオマーカーとしては、例えば、MCP−1,BMP受容体1A、Smpd13a、CD14、ApoE、FAS、トランスチレチン、FABP1、アシル−CoAチオエステラーゼ1、アシル−CoAチオエステラーゼ2、アクアポリン4、Rrad、CXCL9、CCL8、Ppplr3g、ApoA−I、ApoA−IIおよびApoBが挙げられる。サーチュインの発現のためのバイオマーカー、およびサーチュインの発現をモニタリングする際のその使用は、例えば全内容が参照により本明細書に組み込まれた、米国特許出願公開第2010/0215632号、「Biomarkers of Sirtuin Activity and Methods of Use Thereof」に記載される。
【0218】
サーチュイン活性のためのアッセイは、アセチルトランスフェラーゼ/デアアセチラーゼ活性のためのアッセイを含む。そのようなアッセイは、例えば全内容が参照により本明細書に組み込まれた、米国特許出願公開第2009/0221020号、「Mass Spectrometry Assays for Acetyltransferase/Deacetylase Activity」に記載された。当業者に公知のサーチュイン活性のための任意のアッセイが、サーチュイン活性を本発明の方法と併せて測定する際の使用に想定される。
【0219】
特定の実施形態において、サーチュインの発現の調節は、対照、例えば未処置またはモック処置試料に比較して、サーチュインmRNAのコピー数、mRNA濃度、またはバイオマーカーmRNAもしくはタンパク質の発現もしくは活性の、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約3500%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、少なくとも約500%、少なくとも約600%、少なくとも約700%、少なくとも約800%、少なくとも約900%、または少なくとも約1000%の増加(アップレギュレーション)または減少(ダウンレギュレーション)により同定される。いくつかの実施形態において、サーチュインmRNAのコピー数、mRNA濃度、またはバイオマーカーmRNAもしくはタンパク質の発現もしくは活性は、約10%〜約500%増加または減少する。いくつかの実施形態において、サーチュインmRNAのコピー数、mRNA濃度、またはバイオマーカーmRNAもしくはタンパク質の発現もしくは活性は、約10%〜約50%、約10%〜約100%、約10%〜約150%、約10%〜約200%、約10%〜約250%、約10%〜約300%、約10%〜約350%、約10%〜約400%、約10%〜約450%、約10%〜約500%、約10%〜約600%、約10%〜約700%、約10%〜約800%、約10%〜約900%、約10%〜約1000%、約50%〜約100%、約50%〜約150%、約50%〜約200%、約50%〜約250%、約50%〜約300%、約50%〜約350%、約50%〜約400%、約50%〜約450%、約50%〜約500%、約50%〜約600%、約50%〜約700%、約50%〜約800%、約50%〜約900%、約50%〜約1000%、約100%〜約150%、約100%〜約200%、約100%〜約250%、約100%〜約300%、約100%〜約350%、約100%〜約400%、約100%〜約450%、約100%〜約500%、約100%〜約600%、約100%〜約700%、約100%〜約800%、約100%〜約900%、約100%〜約1000%、約150%〜約200%、約150%〜約250%、約150%〜約300%、約150%〜約350%、約150%〜約400%、約150%〜約450%、約150%〜約500%、約150%〜約600%、約150%〜約700%、約150%〜約800%、約150%〜約900%、約150%〜約1000%、約200%〜約250%、約200%〜約300%、約200%〜約350%、約200%〜約400%、約200%〜約450%、約200%〜約500%、約200%〜約600%、約200%〜約700%、約200%〜約800%、約200%〜約900%、または約200%〜約1000%増加または減少する。
【0220】
例えばサーチュイン(SIRT)の発現の低下は、動物の血清、血液、脂肪組織、肝臓または任意の他の体液、組織または器官において測定し得る。好ましくは、分析される前記体液、組織または器官中に含まれる細胞は、サーチュイン(SIRT)ペプチドをコードする核酸分子および/またはサーチュイン(SIRT)タンパク質それ自体を含む。
【0221】
本発明の化合物は、有効量の化合物を適切な薬学的に許容される希釈剤または担体に加えることによって医薬組成物において利用され得る。本発明の化合物および方法の使用は、予防的にも有用であり得る。
【0222】
コンジュゲート:本発明のオリゴヌクレオチドの他の修飾は、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞への取り込みを増強する1以上の成分またはコンジュゲートへのオリゴヌクレオチドの化学的連結を含む。これらの成分またはコンジュゲートは、1級または2級ヒドロキシル基などの官能基に共有結合したコンジュゲート基を含み得る。本発明のコンジュゲート基は、干渉物質、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、オリゴマーの薬力学特性を増強する基、およびオリゴマーの薬物動態特性を増強する基を含む。典型的なコンジュゲート基は、コレステロール、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、葉酸、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、および色素を含む。本発明の文脈において薬力学特性を増強する基は、取り込みを改善し、分解への耐性を増強し、および/または標的核酸との配列特異的ハイブリダイゼーションを強化する基を含む。本発明の文脈において薬物動態特性を増強する基は、本発明の化合物の取り込み、分散、代謝または排出を改善する基を含む。代表的コンジュゲート基は、1992年10月23日出願の国際特許出願PCT/US92/09196および米国特許第6,287,860号、「Antisense inhibition of MEKK2 expression」において開示されており、これらはともに参照により本明細書に組み込まれる。コンジュゲート成分は、以下に限定されないが、コレステロール成分、コール酸、チオエーテル(例えばヘキシル−S−トリチルチオール)、チオコレステロール、脂肪族鎖(例えばドデカンジオールまたはウンデシル残基)、リン脂質(例えばジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖、あるいはアダマンタン酢酸、パルミチル成分、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール成分などを含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、活性原薬、例えばアスピリン、ワルファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、(S)−(+)−プラノプロフェン、カプロフェン、ダンシルサルコシン、2,3,5−トリヨード安息香酸、フルフェナム酸、フォリン酸、ベンゾチアジアジド、クロロチアジド、ジアセピン、インドメチシン、バルビツール酸、セファロスポリン、サルファ剤、抗糖尿病薬、抗菌剤または抗生物質ともコンジュゲート形成され得る。
【0223】
そのようなオリゴヌクレオチドコンジュゲートの作製について記載した代表的米国特許としては、以下に限定されないが、米国特許第4,828,979号;第4,948,882号;第5,218,105号;第5,525,465号;第5,541,313号;第5,545,730号;第5,552,538号;第5,578,717、5,580,731号;第5,580,731号;第5,591,584号;第5,109,124号;第5,118,802号;第5,138,045号;第5,414,077号;第5,486,603号;第5,512,439号;第5,578,718号;第5,608,046号;第4,587,044号;第4,605,735号;第4,667,025号;第4,762,779号;第4,789,737号;第4,824,941号;第4,835,263号;第4,876,335号;第4,904,582号;第4,958,013号;第5,082,830号;第5,112,963号;第5,214,136号;第5,082,830号;第5,112,963号;第5,214,136号;第5,245,022号;第5,254,469号;第5,258,506号;第5,262,536号;第5,272,250号;第5,292,873号;第5,317,098号;第5,371,241、5,391,723号;第5,416,203、5,451,463号;第5,510,475号;第5,512,667号;第5,514,785号;第5,565,552号;第5,567,810号;第5,574,142号;第5,585,481号;第5,587,371号;第5,595,726号;第5,597,696号;第5,599,923号;第5,599,928号および第5,688,941号などが挙げられる。
【0224】
製剤:本発明の化合物は、取り込み、分散および/または吸収の補助ために、例えばリポソーム、受容体−標的分子、経口、直腸、局所または他の製剤として、他の分子、分子構造または化合物と、混合物と混合、封入、コンジュゲート化または他の方法で結合され得る。そのような取り込み、分散および/または吸収を補助する製剤の調製について記載した代表的米国特許としては、以下に限定されないが、米国特許第5,108,921号;第5,354,844号;第5,416,016号;第5,459,127号;第5,521,291号;第5,543,165号;第5,547,932号;第5,583,020号;第5,591,721号;第4,426,330号;第4,534,899号;第5,013,556号;第5,108,921号;第5,213,804号;第5,227,170号;第5,264,221号;第5,356,633号;第5,395,619号;第5,416,016号;第5,417,978号;第5,462,854号;第5,469,854号;第5,512,295号;第5,527,528号;第5,534,259号;第5,543,152号;第5,556,948号;第5,580,575号;および第5,595,756号が挙げられ、それぞれが本明細書に参照として組み込まれる。
【0225】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的の発現および/または機能を調節するためにベクターと関連付けられて投与される必要はないが、本発明の実施形態は、プロモーター、ハイブリッドプロモーター遺伝子配列を含み、強い構成的プロモーター活性または所望の場合に誘導され得るプロモーター活性を有する、アンチセンスオリゴヌクレオチドの発現のための発現ベクター構築物に関する。
【0226】
一実施形態においては、本発明の実施には、上述のアンチセンスオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1つを適切な核酸送達系と共に投与する工程が含まれる。一実施形態において、その系は、ポリヌクレオチドに機能的にリンクされた非ウイルス性ベクターを含む。そのような非ウイルス性ベクターの例としては、オリゴヌクレオチド単独(例えば、配列番号24〜127のなかの任意のもの1つ以上)または適切なタンパク質、多糖類または脂質配合物との組み合わせが挙げられる。
【0227】
他の適切な核酸デリバリーシステムにはウイルスベクター、典型的にはアデノウイルス、アデノウイルス関連ウイルス(AAV)、ヘルパー依存性アデノウイルス、レトロウイルスまたはセンダイウイルス(HVJ)−リポソーム複合体の少なくとも1つに由来する配列のものが挙げられる。好ましくは、ウイルスベクターには、ポリヌクレオチドに機能的にリンクされた強力な真核生物プロモーター、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターが含められる。
【0228】
追加としてベクターは、ウイルスベクター、融合タンパク質および化学的コンジュゲートを含む。レトロウイルスベクターには、モロニーマウス白血病ウイルスおよびHIVベースのウイルスが含まれる。HIVベースのウイルスベクターの1つは、gagおよびpol遺伝子がHIVゲノム由来であり、env遺伝子が他のウイルス由来である少なくとも2つのベクターを含む。DNAウイルス性ベクターが好ましい。これらのベクターには、オルソポックスベクターまたはトリポックスベクターなどのポックスベクター、単純ヘルペスIウイルス(HSV)ベクターなどのヘルペスウイルスベクター、アデノウイルスベクター、およびアデノ関連ウイルスベクターが含まれる。
【0229】
本発明のアンチセンス化合物は、ヒトを含む動物への投与において生物学的に活性な代謝産物またはその残渣を(直接または間接的に)提供できる、任意の薬学的に許容される塩、エステルもしくはそのようなエステルの塩、または任意の他の化合物を包含する。
【0230】
用語「薬学的に許容される塩」は、本発明の化合物の生理学的かつ薬学的に許容される塩:すなわち親化合物の所望の生物学的活性を保持しており、望ましくない毒物学的な効果を与えない塩を指す。オリゴヌクレオチドについて、薬学的に許容される塩の例およびそれらの使用は、米国特許第6,287,860号にさらに記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0231】
本発明は、本発明のアンチセンス化合物を含む医薬組成物および製剤も含む。本発明の医薬組成物は、局所または全身処置のいずれが望ましいかおよび治療される場所に応じて種々の方法で投与され得る。投与は、局所(点眼および膣および直腸を含む粘膜送達を含む)、肺、例えば噴霧吸入器による場合を含む粉末剤またはエアロゾルの吸入または吹送法によって;気管内、鼻腔内、上皮性および経皮性)、経口または非経口の投与であり得る。非経口投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内もしくは筋肉内注射もしくは注入;または頭蓋内、例えば髄腔内もしくは脳室内投与を含む。
【0232】
中枢神経系の組織の治療のために、例えば脳脊髄液への注射または注入によって投与を行うことができる。アンチセンスRNAの脳脊髄液への投与については、全内容が参照により本明細書に組み込まれた、米国特許出願公開第2007/011777号、「Methods for slowing familial ALS disease progression」にも記載される。
【0233】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを中枢神経系の細胞に投与することが意図される場合、投与は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの血液脳関門通過を促進できる1種以上の薬剤を用いて行うことができる。注射は、例えば嗅内皮質または海馬に対して行うことができる。筋肉組織の運動ニューロンへのアデノウイルスベクターの投与による神経栄養因子の送達は、例えば、米国特許第6,632,427号、「Adenoviral−vector−mediated gene transfer into medullary motor neurons」に記載されており、この全内容は参照により本明細書に組み込まれる。脳、例えば、線条体、視床、海馬、または黒質へのベクターの直接の送達については公知で、例えば米国特許第6,756,523号、「Adenovirus vectors for the transfer of foreign genes into cells of the central nervous system particularly in brain」に記載されており、これはその全内容が参照により本明細書に組み入れられる。投与は、注射により速やかに行うことも、あるいは遅い速度での注入または徐放製剤の投与によって一定時間にわたって行うこともできる。
【0234】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、望ましい医薬品や薬力学的特性を与える薬剤とリンクしたもの、または結合したものとすることができる。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドを、トランスフェリン受容体に対する抗体などの血液脳関門の通過または輸送を促進するための当技術分野で公知の任意の物質に結合させて、静脈注射によって投与することができる。アンチセンス化合物は、例えば、アンチセンス化合物をより効果的にし、かつ/または血液脳関門を越えたアンチセンス化合物の輸送を増加させるウイルスベクターにリンクさせることができる。浸透圧による血液脳関門の破壊は、例えば、以下に限定されないが、メソエリスリトール、キシリトール、D(+)ガラクトース、D(+)ラクトース、D(+)キシロース、ズルシトール、ミオイノシトール、L(−)フルクトース、D(−)マンニトール、D(+)グルコース、D(+)アラビノース、D(−)アラビノース、セロビオース、D(+)マルトース、D(+)ラフィノース、L(+)ラムノース、D(+)メリビオース、D(−)リボース、アドニトール、D(+)アラビトール、L(−)アラビトール、D(+)フコース、L(−)フコース、D(−)リキソース、L(+)リキソース、およびL(−)リキソースを含む糖の注入、または、以下に限定されないが、グルタミン、リジン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、タウリンを含むアミノ酸の注入によって達成することができる。血液脳関門の通過を容易にするための方法および材料は、例えば米国特許第4,866,042,号、「Method for the delivery of genetic material across the blood brain barrier」、第6,294,520号、「Material for passage through the blood−brain barrier」、および第6,936,589号、「Parenteral delivery systems」に記載されており、これらは参照によりその全内容が本明細書に組み入れられる。
【0235】
本発明のアンチセンス化合物は、その取り込み、分散および/または吸収を助けるため、他の分子、分子構造、または化合物の混合物(例えば、リポソーム、受容体を標的化した分子、経口製剤、直腸製剤、局所製剤、または他の製剤)と混合、カプセル化、結合、または会合させ得る。例えば、カチオン性脂質は、オリゴヌクレオチドの取り込みを容易にする製剤に含まれ得る。取り込みを容易にすることが判明している組成物の1つは、LIPOFECTIN(GIBCO−BRL、ベセスダ,Bethesda,MDから入手可能)である。
【0236】
少なくとも1つの2’−O−メトキシエチル修飾を有するオリゴヌクレオチドは、経口投与に特に有用であると考えられている。局所投与のための医薬組成物および製剤は、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、滴薬、坐薬、噴霧剤、液薬および粉末剤を含み得る。従来の薬学的担体、液剤、粉末剤または油性基剤、増粘剤などは必要であるかまたは望ましい場合がある。コーティングされたコンドーム、手袋なども有用である場合がある。
【0237】
本発明の医薬製剤は、便利に単位投与の形態で提供されてもよく、製薬業界において周知の技術により調製され得る。そのような技術は、活性成分を、1種以上の薬学的担体または一種以上の賦形剤と結合させる工程を含む。一般に製剤は、活性成分を均一かつ均質に液体担体もしくは微粉化した固体担体またはその両方と結合させる工程、次いで必要な場合は生成物を成形する工程によって製する。
【0238】
本発明の組成物は、以下に限定されないが、錠剤、カプセル、ゲルカプセル、液体シロップ、ソフトゲル、坐薬および浣腸などの任意の多くの可能な剤形に製剤され得る。本発明の組成物は、水性懸濁剤、非水性または混合媒体としても製剤され得る。水性懸濁剤は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランを含む懸濁剤の粘度を上げる物質をさらに含めることができる。懸濁剤は、安定剤も含み得る。
【0239】
本発明の医薬組成物は、限定しないが、液剤、乳剤、泡状製剤およびリポソーム含有製剤を含む。本発明の医薬組成物および製剤は、1以上の浸透促進剤、担体、賦形剤または他の活性成分もしくは不活性成分を含み得る。
【0240】
典型的には乳剤は、1つの液剤が他に通常直径0.1μmを超える液滴の形態で分散された不均一系である。乳剤は、分散相に加えて追加の成分を含有でき、活性剤は水相中、油相中またはそれ自体としての分離相中に溶液として存在できる。マイクロエマルジョンは、本発明の実施形態として含まれる。乳剤およびそれらの使用は、当技術分野においてよく知られており、米国特許第6,287,860号にさらに記載されている。
【0241】
本発明の製剤は、リポソーム製剤を含む。本発明において使用される用語「リポソーム」は、球状の1層以上の二重層に配置された両親媒性脂質から成る小胞を意味する。リポソームは、親油性物質および送達される組成物を含有する水性の内部から形成された膜を有する単層膜または多重膜ビヒクルである。カチオン性リポソームは、負に荷電したDNA分子と相互作用して安定な複合体を形成すると考えられる正に荷電したリポソームである。pH感受性または負に荷電したリポソームは、複合体化するよりもDNAを捕捉すると考えられる。カチオン性および非カチオン性の両方のリポソームは、DNAを細胞に送達するために使用されている。
【0242】
リポソームは、「立体的に安定化された」リポソームも含み、用語は本明細書における使用で1種以上の特殊な脂質を含むリポソームを意味する。リポソームに組み込まれた場合、これらの特殊化された脂質は、そのような特殊な脂質を欠いているリポソームと比較して増強された循環寿命を有するリポソームを生じる。立体的に安定化されたリポソームの例は、リポソームのビヒクル形成脂質部分の一部が1種以上の糖脂質を含むか、またはポリエチレングリコール(PEG)成分などの1種以上の親水性ポリマーで誘導体化されていたものである。リポソームおよびそれらの使用は、米国特許第6,287,860号にさらに記載されている。
【0243】
本発明の医薬製剤および組成物は、界面活性剤もさらに含み得る。薬剤製品、製剤および乳剤における界面活性剤の使用は、当技術分野においてよく知られている。界面活性剤およびのそれらの使用は、参照により本明細書に組み込まれた、米国特許第6,287,860号にさらに記載される。
【0244】
一実施形態において本発明は、核酸、具体的にはオリゴヌクレオチドの効率的な送達を行うために各種浸透促進剤を使用する。非親油性薬剤の細胞膜を超える拡散の補助に加えて、浸透促進剤は親油性薬剤の浸透性も促進する。浸透促進剤は、5つの広いカテゴリ、すなわち界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤および非キレート非界面活性剤のうちの1つに属するものとして分類され得る。浸透促進剤およびそれらの使用は、米国特許第6,287,860号にさらに記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0245】
当業者であれば、製剤がそれらの目的とする使用法、すなわち投与経路に応じて通常とおり設計されることを理解されよう。
【0246】
局所投与のための製剤には、本発明のオリゴヌクレオチドが、脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート剤および界面活性剤などの局所送達剤と混合されているものを含まれる。脂質およびリポソームには、中性のもの(例えばジオレオイル−ホスファチジルDOPEエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリンDMPC、ジステアロイルホスファチジルコリン)、陰性のもの(例えばジミリストイルホスファチジルグリセロールDMPG)、およびカチオン性のもの(例えばジオレオイルテトラメチルアミノプロピルDOTAPおよびジオレオイル−ホスファチジルエタノールアミンDOTMA)が含まれる。
【0247】
局所または他の投与のため、本発明のオリゴヌクレオチドを、リポソーム中に包入するか、またはそれらリポソーム、特にカチオン性リポソームと複合体を形成させ得る。あるいは、オリゴヌクレオチドを、脂質中に、具体的にはカチオン性脂質と複合体化させ得る。脂肪酸およびエステル、薬学的に許容されるそれらの塩ならびにそれらの使用は、米国特許第6,287,860号にさらに記載されている。
【0248】
経口投与用の組成物および製剤は、粉剤もしくは顆粒剤、微粒子剤、ナノ粒子剤、水溶液中もしくは非水溶液中の懸濁剤もしくは液剤、カプセル、ゲルカプセル、サシェ剤、錠剤またはミニ錠剤を含む。増粘剤、香味剤、希釈剤、乳化剤、分散補助剤または結合剤が、望ましい場合がある。経口製剤は、本発明のオリゴヌクレオチドが1種以上の浸透促進界面活性剤およびキレート剤と共に投与されるものである。界面活性剤は、脂肪酸および/またはエステル、またはそれらの塩、胆汁酸および/またはそれらの塩を含む。胆汁酸/塩および脂肪酸ならびにそれらの使用は、参照により本明細書に組み込まれた、米国特許第6,287,860号にさらに記載される。同様に、浸透促進剤の組み合わせ、例えば胆汁酸/塩との組み合わせでの脂肪酸/塩である。特に組み合わせは、ラウリン酸ナトリウム塩、カプリン酸およびUDCAである。さらなる浸透促進剤は、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−20−セチルエーテルを含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、噴霧乾燥された粒子を含む顆粒形態またはマイクロまたはナノ粒子を形成するように複合体化されて経口送達され得る。オリゴヌクレオチド複合剤およびそれらの使用は、参照により本明細書に組み込まれた、米国特許第6,287,860号にさらに記載される。
【0249】
非経口、髄腔内または脳室内投与のための組成物および製剤は、バッファー剤、希釈剤および他の適切な添加剤(限定しないが浸透促進剤、担体化合物および他の薬学的に許容される担体または賦形剤など)も含んでいてもよい滅菌水性溶液を含み得る。
【0250】
本発明の特定の実施形態は、1種以上のオリゴマー化合物を、1種以上の追加の薬剤と組み合わせて含有する医薬組成物を提供する。追加の薬剤は、非アンチセンスメカニズムにより機能し得る。第2の薬剤は、例えばサーチュイン関連の疾患または障害の治療に現在用いられている薬剤である。第2の薬剤は、あるいは非サーチュイン調節剤、例えば化学療法剤であり得る。例えば癌の治療において、特定の癌を治療するのに有用となる1種以上の化学療法剤が、本発明の少なくとも1種のアンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせて投与され得る。併用治療レジメンは、SIRTアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与が第2の薬剤での治療前に、治療の間に、または治療後に開始され、第2の薬剤での治療の間、または第2の薬剤での治療後の任意の時点まで継続する、治療レジメンを包含する。それは同じく、組み合わせて用いられる該薬剤が様々な時点で開始および中止して患者の臨床管理を支援する、周期的治療を包含する。例えば組み合わせられる薬剤は、治療の開始時は週に1回投与され、2週間毎に減量され、適宜、更に減量され得る。
【0251】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせて患者に投与され得る他のサーチュイン調節剤が、文献、例えば全内容が参照により本明細書に組込まれた、米国特許出願公開第2009/0163476号、「N−Phenyl Benzamide Derivatives as Sirtuin Modulators」に記載された。この発行物は、中枢神経系(CNS)、脊髄または末梢神経系(PNS)の神経変性疾患、および外傷または機械的損傷を治療するための特定のサーチュイン調節化合物の使用を報告している。同様にそれには、サーチュイン調節剤と組み合わせて使用され得る追加の治療薬も列挙される。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせた患者への投与が想定される更に別のサーチュイン調節剤は、それぞれの全内容が参照により本明細書に組み込まれた、米国特許第7,855,289号、「Sirtuin modulating compounds,」;および米国特許第7,829,556号、「Sirtuin modulating compoundsten」;米国特許出願公開第2009/0143376号、「Fused Heterocyclic Compounds and Their Use as Sirtuin Modulatorsten」;米国特許出願公開第2009/0069301号、「Acridine and Quinoline Derivatives as Sirtuin Modulatorsten」;米国特許出願公開第2007/0037865号、「Sirtuin modulating compoundsten」;米国特許出願公開第2007/0149466号、「Methods and related compositions for treating or preventing obesity, insulin resistance disorders, and mitochondrial−associated disordersten」に記載される。
【0252】
そのような化学療法剤の例としては、以下に限定されないが、ダウノルビシン、ダウノマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、エソルビシン、ブレオマイシン、マホスファミド、イホスファミド、シトシンアラビノシド、ビスクロロエチル−ニトロソウレア、ブスルファン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、プレドニゾン、ヒドロキシプレゲステロン、テストステロン、タモキシフェン、ダカルバシン、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、ミトキサントロン、アムサクリン、クロランブシル、メチルシクロヘキシルニトロソウレア、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、シクロホスファミド、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−アザシチジン、ヒドロキシウレア、デオキシコホルマイシン、4−ヒドロキシペルオキシシクロ−ホスホラミド、5−フルオロウラシル(5−FU)、5−フルオロデオキシウリジン(5−FUdR)、メトトレキサート(MTX)、コルヒチン、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド(VP−16)、トリメトレキサート、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、テニポシド、シスプラチンおよびジエチルスチルベステロール(DES)などの癌化学療法剤が含まれる。本発明の化合物と併用する場合、そのような化学療法剤は、別々に(例えば、5−FUとオリゴヌクレオチド)、連続して(例えば、一定期間の5−FUとオリゴヌクレオチドに続いてMTXとオリゴヌクレオチド)、または1種以上のそのような化学療法と併用して(例えば、5−FU、MTXとオリゴヌクレオチドまたは5−FU、放射線療法とオリゴヌクレオチド)使用され得る。限定しないが非ステロイド性抗炎症剤および副腎皮質ステロイドを含む抗炎症剤、および限定しないがリビビリン(ribivirin)、ビダラビン、アシクロビルおよびガンシクロビルを含む抗ウイルス剤も本発明の組成物に組み合わせることができる。アンチセンス化合物と他の非アンチセンス剤との組み合わせも本発明の範囲内である。2種以上の組み合わされた化合物は、一緒にまたは連続的に使用することができる。
【0253】
他の関連する実施形態において、本発明の組成物は、第1の核酸に標的化される1以上のアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチド、および第2の核酸標的に標的化される1以上の追加のアンチセンス化合物を含み得る。例えば、第1の標的は、サーチュイン(SIRT)の特定のアンチセンス配列であり得、第2の標的は他のヌクレオチド配列由来の領域であり得る。あるいは、本発明の組成物は、同じサーチュイン(SIRT)核酸標的の異なる領域に標的化される2種以上のアンチセンス化合物を含有できる。アンチセンス化合物の多くの例は、本明細書中に例示され、他は当技術分野において周知の適切な化合物中から選択され得る。2種以上の組み合わされた化合物は、一緒にまたは連続的に使用することができる。
【0254】
[投薬]
治療用組成物の処方およびそれらの続く投与(投薬)は、当業者の技能の範囲内であると考えられる。投薬は、数日間から数カ月間継続する、または治療が効果的になるかもしくは病態の減退が達成されるまでの治療過程において、治療される病態の重症度および応答性に応じて決まる。最適な投薬レジメンは、患者の身体での薬剤蓄積の測定値から算出され得る。当業者であれば、最適投与量、投薬方法および反復頻度を容易に決定できる。最適な投与量は、個々のオリゴヌクレオチドの相対的効力に応じて変動し得、一般に体外および生体内動物モデルにおいて効果的であると判明したEC50に基づいて推定され得る。一般に投与量は、体重1kgあたり0.01μg〜100gであり、1日に、1週間に、1カ月にもしくは1年に1回もしくは複数回またはさらに2〜20年ごとに1回である場合がある。当業者であれば、測定された滞留時間および体液または組織における薬剤の濃度に基づいて投薬の反復頻度を容易に推定できる。治療の成功に続いて、病態の再発を予防するために患者に維持療法を受けさせることが望ましい場合があり、ここでオリゴヌクレオチドは維持投与において体重1kgあたり0.01μg〜100g、1日1回または複数回から20年ごとに1回の範囲で投与される。
【0255】
いくつかの実施形態において、患者は、体重1kg当たり少なくとも約1mg、少なくとも約2mg、少なくとも約3mg、少なくとも約4mg、少なくとも約5mg、少なくとも約6mg、少なくとも約7mg、少なくとも約8mg、少なくとも約9mg、少なくとも約10mg、少なくとも約15mg、少なくとも約20mg、少なくとも約25mg、少なくとも約30mg、少なくとも約35mg、少なくとも約40mg、少なくとも約45mg、少なくとも約50mg、少なくとも約60mg、少なくとも約70mg、少なくとも約80mg、少なくとも約90mg、または少なくとも約100mgの用量の薬剤で処置される。アンチセンスオリゴヌクレオチドの特定の注射用量については、米国特許第7,563,884号、「Antisense modulation of PTP1B expression」に記載されており、これは参照によりその全内容が本明細書に組み入れられる。
【0256】
本発明の種々の実施形態が上記されているが、それらは単に例示の目的で提示されたものであって、限定を意図したものでないことは理解されるべきである。本発明の精神および範囲から逸脱することなく本明細書における開示内容にもとづいて、開示された実施形態に対してさまざまな変更を加えることができる。したがって本発明の範囲は、上記の実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
【0257】
本明細書中で言及されるすべての文書は、参照により本明細書に組み込まれる。本出願中で引用するすべての刊行物および特許文書は、それぞれ個々の刊行物または特許文書が個々に記載された場合と同程度にあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。出願人らは、本明細書における種々の参考文献の引用によって、いずれかの特定の参考文献が出願人らの発明の「先行技術」であることを認めるものではない。発明の組成物および方法の実施形態は、以下の実施例において例示される。
実施例
【0258】
以下の限定を意図しない実施例は、本発明の選択された実施形態を例示するものである。提示される構成部分の要素の割合を変えることや代替物は当業者に明らかであり、本発明の実施形態の範囲内であることは理解されよう。
【0259】
[実施例1:サーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドに対する核酸分子アンチセンスおよび/またはサーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドのセンス鎖に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドの設計]
上記のとおり用語「に特異的なオリゴヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド標的」は、(i)標的遺伝子の一部分と安定な複合体を形成できる配列、または(ii)標的遺伝子のmRNA転写物の一部分と安定な2重鎖を形成できる配列を有するオリゴヌクレオチドを指す。
【0260】
適切なオリゴヌクレオチドの選択は、核酸配列を自動的に配列比較し、同一または相同な領域を示すコンピュータープログラムを使用することによって容易に行える。そのようなプログラムは、例えばGenbankなどのデータベースを検索することによって、またはPCRの産物を配列決定することによって得られた核酸配列を比較するために使用される。種の範囲での核酸配列の比較により、種の間で適切な程度の同一性を示す核酸配列の選択が可能になる。配列決定されていない遺伝子の場合は、標的種および他の種における遺伝子間での同一性の程度の決定を可能にするサザンブロットが実施される。当技術分野においてよく知られるように、種々の程度のストリンジェンシーでのサザンブロットを実施することによって、同一性の概算的測定値を得ることが可能である。これらの手順は、管理される対象における標的核酸配列に高い相補性を示し、他の種における対応する核酸配列に低い相補性を示すオリゴヌクレオチドの選択を可能にする。当業者であれば、本発明における使用のための遺伝子の適切な領域を選択することにおいては相当な許容範囲があることを理解されよう。
【0261】
アンチセンス化合物は、標的核酸への化合物の結合が標的核酸の通常の機能に干渉し、機能および/または活性の調節を生じる場合で、かつ特異的結合が望まれる条件下(すなわち生体内アッセイまたは治療的処置の場合での生理的条件下および体外アッセイの場合でのアッセイが実施される条件下)で、非標的核酸配列へのアンチセンス化合物の非特異的結合を回避するのに十分な程度の相補性がある場合に、「特異的にハイブリダイズ可能」である。
【0262】
本明細書において記載するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション特性は、当技術分野において周知の1以上の体外アッセイによって決定され得る。例えば本明細書に記載するオリゴヌクレオチドの特性は、標的天然アンチセンスと潜在的薬剤分子との間の結合強度を融解曲線アッセイを使用して測定することによって得られる。
【0263】
標的天然アンチセンスと潜在的薬剤分子(「分子」)との間の結合強度は、分子間相互作用の強度を測定する任意の確立された方法、例えば融解曲線アッセイを使用して推定することができる。
【0264】
融解曲線アッセイは、天然アンチセンス/「分子」複合体に関して2本鎖立体構造から1本鎖立体構造への急速な移行が生じる温度を決定する。この温度は、2分子間の相互作用強度の信頼できる測定値として広く認められている。
【0265】
融解曲線アッセイは、実際の天然アンチセンスRNA分子のcDNA複製物または「分子」の結合部位に対応する合成DNAもしくはRNAヌクレオチドを使用して実施され得る。このアッセイを実行するために必要なすべての試薬を含むマルチプルキットが利用可能である(例えば、Applied Biosystems Inc.MeltDoctorキット)。これらのキットは、2本鎖DNA(dsDNA)結合色素(ABI HRM dyes、SYBR Green、SYTOなど)の1つを含有する適切なバッファーを含む。dsDNA色素の特性は、それらは遊離形態ではほとんど蛍光を発光しないが、dsDNAに結合した場合は高度に蛍光性であるものである。
【0266】
アッセイを実施するために、cDNAまたは対応するオリゴヌクレオチドを「分子」と特定の製造者のプロトコルに定められた濃度で混合する。混合物をすでに形成されたすべてのdsDNA複合体を解離させるため95℃に加熱し、次いでDNA分子をアニールさせるために室温またはキット製造者によって定められた他の低い温度まで徐冷する。新たに形成された複合体を、次いで反応によって産生される蛍光量についてのデータを連続に収集しながら同時にゆっくりと95℃まで加熱する。蛍光強度は、反応物中に存在するdsDNAの量に反比例する。データは、キットに適合するリアルタイムPCR装置(例えば、ABIのStepOne Plus Real Time PCR SystemまたはLightTyper instrument、Roche Diagnostics、Lewes、UK)を使用して収集できる。
【0267】
融解ピークは、適切なソフトウエア(例えば、LightTyper(Roche)またはSDS Dissociation Curve、ABI)を使用して、温度に関する蛍光の負の微分係数(−d(蛍光)/dT)y軸)を温度(x軸)に対してプロットすることによって作図する。dsDNA複合体から単鎖分子への急速な移行の温度を特定するべくデータを分析する。この温度をTmと称し、2分子間の相互作用の強度に正比例する。典型的にはTmは40℃を超える。
【0268】
[実施例2:サーチュイン(SIRT)ポリヌクレオチドの調節]
[HegG2細胞のアンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置]
ATCC(cat#HB−8065)から得たHepG2細胞を、増殖培地(MEM/EBSS(Hyclone cat #SH30024、またはMediatech cat # MT−10−010−CV)+10%FBS(Mediatech cat# MT35−011−CV)+ペニシリン/ストレプトマイシン(Mediatech cat# MT30−002−CI))で、37℃、5%COにて増殖させた。実験の前日に、細胞を1.5×10/mlの密度で6ウェルプレートに再播種し、37℃、5%COでインキュベートした。実験の当日に、6ウェルプレート内の培地を新鮮な増殖培地に交換した。すべてのアンチセンスオリゴヌクレオチドを、濃度20μMに希釈した。この溶液2μlをOptiMEM培地(Gibco cat#31985−070)400μlおよびLipofectamine 2000(Invitrogen cat#11668019)4μlと室温で20分間インキュベートして、HepG2細胞を含む6ウェルプレートの各ウェルに加えた。該オリゴヌクレオチド溶液の代わりに水2μlを含む同様の混合物を、モックトランスフェクト対照に使用した。37℃、5%COでの3〜18時間のインキュベーション後、培地を新鮮な増殖培地に交換した。アンチセンスオリゴヌクレオチドの添加の48時間後、培地を除去し、PromegaのSV Total RNA Isolation System(cat #Z3105)またはQiagenのRNeasy Total RNA Isolationキット(cat #74181)を製造者の説明書に従って使用して、RNAを細胞から抽出した。600ngのRNAを、Thermo ScientificのVerso cDNAキット(cat#AB1453B)またはHigh Capacity cDNA Reverse Transcriptionキット(cat#4368813)を製造者のプロトコルに記載のとおり使用して得た逆転写反応物に加えた。この逆転写反応からのcDNAを使用して、ABI Taqman gene Expression Mix(cat#4369510)およびABI(Applied Biosystems Taqman Gene Expression Assay:Hs00202021_m1、Hs00202030_m1、Hs00953479_m1、Hs00202033_m1、Hs00978329_m1、Hs00213036_m1およびHs00213029_m1、Applied Biosystems Inc.,Foster City CA)によって設計されたプライマー/プローブを使用するリアルタイムPCRによって遺伝子発現をモニタリングした。以下のPCRサイクルを使用した:50℃で2分間、95℃で10分間、(95℃で15秒間、60℃で1分間)を40サイクル、StepOne Plus Real Time PCR Machine(Applied Biosystems)を使用。アンチセンスオリゴヌクレオチドで処置した後の遺伝子発現の変化率を、処置試料とモックトランスフェクト試料の間の18S標準化dCt値の差に基づいて計算した。
【0269】
[結果]:
リアルタイプPCRの結果は、HepG2細胞におけるSIRT1 mRNAレベルが、SIRT1アンチセンスCV396200に対して設計されたいくつかのアンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置後48時間で、有意に増加することを示している(図3、4)。
【0270】
リアルタイプPCRの結果は、HepG2細胞におけるSIRT1 mRNAレベルが、SIRT1アンチセンスCV396200に対して設計されたオリゴヌクレオチドの1種において有意に増加することを示している(図8)。
【0271】
リアルタイプPCRの結果は、HepG2細胞におけるSIRT1 mRNAレベルが、SIRT1アンチセンスCV428275に対して設計されたオリゴヌクレオチドの2種において、有意に増加することを示している(図9)。
【0272】
結果は、SIRT1アンチセンスBE717453に対して設計されたオリゴヌクレオチドの1種での処置後48時間での、HepG2細胞におけるSIRT1 mRNAレベルの有意な増加を示している(図10)。
【0273】
結果は、HepG2細胞におけるSIRT1 mRNAレベルが、それぞれSIRT1アンチセンスAV718812に対して設計されたオリゴヌクレオチドの3種での処置後48時間で、有意に増加することを示している(図11)。
【0274】
リアルタイプPCRの結果は、HepG2細胞におけるSIRT1 mRNAレベルが、SIRT1アンチセンスAW169958に対して設計されたオリゴの2種での処置後48時間で、有意に増加することを示している(図12)。
【0275】
RT PCRの結果は、HepG2細胞におけるsirt3レベルが、sirt3アンチセンスHs.683117(CUR−1545−1550)に対して設計されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドでの処置後48時間で増加することを示している(図17)。
【0276】
RT PCRの結果は、HepG2細胞におけるsirt3レベルが、sirt3アンチセンスBQ024738およびBE164357に対して設計されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドでの処置後48時間で増加することを示している(図18)。
【0277】
RT PCRの結果は、HepG2細胞におけるsirt3レベルが、sirt3アンチセンスRIC8AおよびPMSD13に対して設計されたsiRNAオリゴヌクレオチドでの処置後48時間で増加することを示している(図19)。
【0278】
リアルタイプPCRの結果は、HepG2細胞におけるSIRT4 mRNAレベルが、SIRT4アンチセンスに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの1種での処置後48時間で、有意に増加することを示している(図22)。
【0279】
リアルタイプPCRの結果は、HepG2細胞におけるSIRT5 mRNAレベルが、SIRT5アンチセンスHs.671550に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの1種での処置後48時間で、有意に増加することを示している(図23)。
【0280】
リアルタイプPCRの結果は、HepG2細胞におけるSIRT6 mRNAレベルが、SIRT6アンチセンスNM_133475に対して設計されたオリゴの1種での処置後48時間で、有意に増加することを示している(図24)。
【0281】
リアルタイプPCRの結果は、HepG2細胞におけるSIRT6 mRNAレベルが、SIRT6アンチセンスbf772662に対して設計されたオリゴの1種での処置後48時間で、有意に増加することを示している(図25)。
【0282】
リアルタイプPCRの結果は、HepG2細胞におけるSIRT7 mRNAレベルが、SIRT7アンチセンスに対して設計されたオリゴの1種での処置後48時間で、有意に増加することを示している(図29)。
【0283】
[3T3細胞のアンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置]
ATCC(cat#CRC−1658)から得た3T3細胞を、増殖培地(MEM/EBSS(Hyclone cat #SH30024、またはMediatech cat # MT−10−010−CV)+10%FBS(Mediatech cat# MT35−011−CV)+ペニシリン/ストレプトマイシン(Mediatech cat# MT30−002−CI))で、37℃、5%COにて増殖させた。実験の前日に、細胞を1.5×10/mlの密度で6ウェルプレートに再播種し、37℃、5%COでインキュベートした。実験の当日に、6ウェルプレート内の培地を新鮮な増殖培地に交換した。すべてのアンチセンスオリゴヌクレオチドを、濃度20μMに希釈した。この溶液2μlをOptiMEM培地(Gibco cat#31985−070)400μlおよびLipofectamine 2000(Invitrogen cat#11668019)4μlと室温で20分間インキュベートして、3T3細胞を含む6ウェルプレートの各ウェルに加えた。該オリゴヌクレオチド溶液の代わりに水2μlを含む同様の混合物を、モックトランスフェクト対照に使用した。37℃、5%COでの3〜18時間のインキュベーション後、培地を新鮮な増殖培地に交換した。アンチセンスオリゴヌクレオチドの添加の48時間後、培地を除去し、PromegaのSV Total RNA Isolation System(cat #Z3105)またはQiagenのRNeasy Total RNA Isolationキット(cat #74181)を製造者の説明書に従って使用して、RNAを細胞から抽出した。600ngのRNAを、Thermo ScientificのVerso cDNAキット(cat#AB1453B)またはHigh Capacity cDNA Reverse Transcriptionキット(cat#4368813)を製造者のプロトコルに記載のとおり使用して得た逆転写反応物に加えた。この逆転写反応からのcDNAを使用して、ABI Taqman gene Expression Mix(cat#4369510)およびABI(Applied Biosystems Taqman Gene Expression Assay:Hs00202021_m1、Applied Biosystems Inc.,Foster City CA)によって設計されたプライマー/プローブを使用するリアルタイムPCRによって遺伝子発現をモニタリングした。以下のPCRサイクルを使用した:50℃で2分間、95℃で10分間、(95℃で15秒間、60℃で1分間)を40サイクル、StepOne Plus Real Time PCR Machine(Applied Biosystems)を使用。アンチセンスオリゴヌクレオチドで処置した後の遺伝子発現の変化率を、処置試料とモックトランスフェクト試料の間の18S標準化dCt値の差に基づいて計算した。
【0284】
[結果]:
リアルタイプPCRの結果は、SIRT1 mRNAレベルが、3T3細胞においてSIRT1マウスアンチセンスAK044604に対して設計されたオリゴヌクレオチドの3種での処置後48時間で、有意に増加することを示している(図13)。
【0285】
リアルタイプPCRの結果は、SIRT1 mRNAレベルが、3T3細胞においてSIRT1マウスアンチセンスAK044604に対して設計されたオリゴヌクレオチドの5種での処置後48時間で、有意に増加することを示している(図14)。
【0286】
リアルタイプPCRの結果は、SIRT1 mRNAレベルが、3T3細胞においてSIRT1マウスアンチセンスAK044604に対して設計されたオリゴヌクレオチドの2種での処置後48時間で、有意に増加することを示している(図15)。
【0287】
リアルタイプPCRの結果は、SIRT1 mRNAレベルが、3T3細胞においてSIRT1マウスアンチセンスAK044604に対して設計されたオリゴヌクレオチドの2種での処置後48時間で、有意に増加することを示している(図16)。
【0288】
[Vero76細胞のアンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置]
ATCC(cat#CRL−1587)から得たVero76細胞を、増殖培地(MEM/EBSS(Hyclone cat #SH30024、またはMediatech cat # MT−10−010−CV)+10%FBS(Mediatech cat# MT35−011−CV)+ペニシリン/ストレプトマイシン(Mediatech cat# MT30−002−CI))で、37℃、5%COにて増殖させた。実験の前日に、細胞を1.5×10/mlの密度で6ウェルプレートに再播種し、37℃、5%COでインキュベートした。実験の当日に、6ウェルプレート内の培地を新鮮な増殖培地に交換した。すべてのアンチセンスオリゴヌクレオチドを、濃度20μMに希釈した。この溶液2μlをOptiMEM培地(Gibco cat#31985−070)400μlおよびLipofectamine 2000(Invitrogen cat#11668019)4μlと室温で20分間インキュベートして、Vero76細胞を含む6ウェルプレートの各ウェルに加えた。該オリゴヌクレオチド溶液の代わりに水2μlを含む同様の混合物を、モックトランスフェクト対照に使用した。37℃、5%COでの3〜18時間のインキュベーション後、培地を新鮮な増殖培地に交換した。アンチセンスオリゴヌクレオチドの添加の48時間後、培地を除去し、PromegaのSV Total RNA Isolation System(cat #Z3105)またはQiagenのRNeasy Total RNA Isolationキット(cat #74181)を製造者の説明書に従って使用して、RNAを細胞から抽出した。600ngのRNAを、Thermo ScientificのVerso cDNAキット(cat#AB1453B)を製造者のプロトコルに記載のとおり使用して得た逆転写反応物に加えた。この逆転写反応からのcDNAを使用して、ABI Taqman gene Expression Mix(cat#4369510)およびABI(Applied Biosystems Taqman Gene Expression Assay:Hs00202021_m1、Applied Biosystems Inc.,Foster City CA)によって設計されたプライマー/プローブを使用するリアルタイムPCRによって遺伝子発現をモニタリングした。以下のPCRサイクルを使用した:50℃で2分間、95℃で10分間、(95℃で15秒間、60℃で1分間)を40サイクル、StepOne Plus Real Time PCR Machine(Applied Biosystems)を使用。アンチセンスオリゴヌクレオチドで処置した後の遺伝子発現の変化率を、処置試料とモックトランスフェクト試料の間の18S標準化dCt値の差に基づいて計算した。
【0289】
[結果]:
リアルタイプPCRの結果は、Vero細胞におけるSIRT1 mRNAレベルが、SIRT1アンチセンスCV396200に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置後48時間で、有意に増加することを示している(図5)。
【0290】
リアルタイプPCRの結果は、Vero細胞におけるSIRT3 mRNAレベルが、SIRT3アンチセンスPSMD13に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置後48時間で、有意に増加することを示している(図20)。
【0291】
リアルタイプPCRの結果は、Vero76細胞におけるSIRT7 mRNAレベルが、SIRT7アンチセンスCA308253に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの1種での処置後48時間で、有意に増加することを示している(図27)。
【0292】
[HUVEC細胞のアンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置]
ATCC(Promo Cell cat#C−12253)から得たHUVEC細胞を、Epithelial Growth Media(Promo Cell cat#C−41200)で、37℃、5%COにて増殖させた。実験の前日に、細胞をPromo Cell Detach Kit(cat#C−41200)を用いて1.5×10/mlの密度で6ウェルプレートに再播種し、37℃、5%COでインキュベートした。実験の当日に、6ウェルプレート内の培地を新鮮なEpithelial Growth Mediaに交換した。すべてのアンチセンスオリゴヌクレオチドを、濃度20μMに希釈した。この溶液2μlをOptiMEM培地(Gibco cat#31985−070)400μlおよびLipofectamine 2000(Invitrogen cat#11668019)4μlと室温で20分間インキュベートして、HUVEC細胞を含む6ウェルプレートの各ウェルに加えた。該オリゴヌクレオチド溶液の代わりに水2μlを含む同様の混合物を、モックトランスフェクト対照に使用した。37℃、5%COでの3〜18時間のインキュベーション後、培地を新鮮な増殖培地に交換した。アンチセンスオリゴヌクレオチドの添加の48時間後、培地を除去し、PromegaのSV Total RNA Isolation System(cat #Z3105)またはQiagenのRNeasy Total RNA Isolationキット(cat #74181)を製造者の説明書に従って使用して、RNAを細胞から抽出した。600ngのRNAを、Thermo ScientificのVerso cDNAキット(cat#AB1453B)を製造者のプロトコルに記載のとおり使用して得た逆転写反応物に加えた。この逆転写反応からのcDNAを使用して、ABI Taqman gene Expression Mix(cat#4369510)およびABI(Applied Biosystems Taqman Gene Expression Assay:Hs00202033_m1、Applied Biosystems Inc.,Foster City CA)によって設計されたプライマー/プローブを使用するリアルタイムPCRによって遺伝子発現をモニタリングした。以下のPCRサイクルを使用した:50℃で2分間、95℃で10分間、(95℃で15秒間、60℃で1分間)を40サイクル、StepOne Plus Real Time PCR Machine(Applied Biosystems)またはMx4000サーマルサイクラー(Stratagene)を使用。アンチセンスオリゴヌクレオチドで処置した後の遺伝子発現の変化率を、処置試料とモックトランスフェクト試料の間の18S標準化dCt値の差に基づいて計算した。
【0293】
[結果]:
リアルタイプPCRの結果は、HUVEC細胞におけるSIRT4 mRNAレベルが、SIRT4アンチセンスAA156947に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの1種での処置後48時間で、有意に増加することを示している(図21)。
【0294】
[DBS細胞のアンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置]
ATCC(cat#CCL−161)から得たDBS細胞を、増殖培地(MEM/EBSS(Hyclone cat #SH30024、またはMediatech cat # MT−10−010−CV)+10%FBS(Mediatech cat# MT35−011−CV)+ペニシリン/ストレプトマイシン(Mediatech cat# MT30−002−CI))で、37℃、5%COにて増殖させた。実験の前日に、細胞を1.5×10/mlの密度で6ウェルプレートに再播種し、37℃、5%COでインキュベートした。実験の当日に、6ウェルプレート内の培地を新鮮な増殖培地に交換した。すべてのアンチセンスオリゴヌクレオチドを、濃度20μMに希釈した。この溶液2μlをOptiMEM培地(Gibco cat#31985−070)400μlおよびLipofectamine 2000(Invitrogen cat#11668019)4μlと室温で20分間インキュベートして、3T3細胞を含む6ウェルプレートの各ウェルに加えた。該オリゴヌクレオチド溶液の代わりに水2μlを含む同様の混合物を、モックトランスフェクト対照に使用した。37℃、5%COでの3〜18時間のインキュベーション後、培地を新鮮な増殖培地に交換した。アンチセンスオリゴヌクレオチドの添加の48時間後、培地を除去し、PromegaのSV Total RNA Isolation System(cat #Z3105)またはQiagenのRNeasy Total RNA Isolationキット(cat #74181)を製造者の説明書に従って使用して、RNAを細胞から抽出した。600ngのRNAを、Thermo ScientificのVerso cDNAキット(cat#AB1453B)またはHigh Capacity cDNA Reverse Transcriptionキット(cat#4368813)を製造者のプロトコルに記載のとおり使用して得た逆転写反応物に加えた。この逆転写反応からのcDNAを使用して、ABI Taqman gene Expression Mix(cat#4369510)およびABI(Applied Biosystems Taqman Gene Expression Assay:Hs00202021_m1、Hs00202030_m1、Hs00202033_m1、Hs00978329_m1、Hs00213036_m1およびHs00213029_m1、Applied Biosystems Inc.,Foster City CA)によって設計されたプライマー/プローブを使用するリアルタイムPCRによって遺伝子発現をモニタリングした。以下のPCRサイクルを使用した:50℃で2分間、95℃で10分間、(95℃で15秒間、60℃で1分間)を40サイクル、StepOne Plus Real Time PCR Machine(Applied Biosystems)を使用。アンチセンスオリゴヌクレオチドで処置した後の遺伝子発現の変化率を、処置試料とモックトランスフェクト試料の間の18S標準化dCt値の差に基づいて計算した。
【0295】
[結果]:
リアルタイプPCRの結果は、DBS細胞におけるSIRT6 mRNAレベルが、SIRT6アンチセンスbf772662に対して設計されたオリゴの2種およびNM_133475に対して設計されたオリゴの1種での処置後48時間で、有意に増加することを示している(図26)。
【0296】
[SK−N−AS細胞のアンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置]
SK−N−AS細胞(ニューロブラストーマ ATCC#CRL−2137)を、DMEM(Mediatech cat#10−013−CV)+10%FBS(Mediatech cat# MT35−011−CV)+ペニシリン/ストレプトマイシン(Mediatech cat# MT30−002−CI)で、37℃、5%COにて増殖させた。実験の前日に、細胞を概ね3×10/ウェルの密度で6ウェルプレートに再播種し、37℃、5%COで一晩インキュベートした。播種する際、細胞は約75%コンフルエントであった。播種のために、6ウェルプレート内の培地を新鮮なDMEM+10%FBS+ペニシリン+ストレプトマイシン(1.5ml/ウェル)に交換した。すべてのアンチセンスオリゴヌクレオチドを、DNAse/RNAseフリー滅菌水(作業保存液)で濃度20μMに希釈した。1つのウェルに播種するのに、この溶液2μlをOptiMEM培地(Gibco cat#31985−070)400μlおよびLipofectamine 2000(Invitrogen cat#11668019)4μlと室温で20分間インキュベートして、SK−N−AS細胞を含む6ウェルプレートの1つのウェルに滴下により加えた(最終オリゴ濃度=20nM)。同じ濃度の不活性オリゴヌクレオチドを、対照に用いた。追加として、各プレートの1ウェルに、OptiMEM培地400μl、Lipofectamine 2000 4μlおよびDNAse/RNAseフリー滅菌水2μlの混合物を、モックトランスフェクト対照として投入した。37℃、5%COでの約18時間のインキュベーション後、培地を新鮮なDMEM+10%FBS+ペニシリン+ストレプトマイシンに交換した。アンチセンスオリゴヌクレオチドの添加の概ね48時間後、培地を除去し、PromegaのSV Total RNA Isolation System(cat #Z3105)を製造者の説明書に従って使用して、RNAを細胞から抽出した。600ngのRNAを、High Capacity cDNA Reverse Transcriptionキット(cat#4368813)を製造者のプロトコルに記載のとおり使用して得た逆転写反応物に加えた。この逆転写反応からのcDNAを使用して、ABI Taqman gene Expression Mix(cat#4369510)およびABI(SIRT7用のアッセイID#Hs00213029_m1)により設計されたプライマー/プローブ使用するリアルタイムPCRによって遺伝子発現をモニタリングした。以下のPCRサイクルを使用した:50℃で2分間、95℃で10分間、(95℃で15秒間、60℃で1分間)を40サイクル、StepOne Plus Real Time PCR Machine(Applied Biosystems)を使用。18Sに関するアッセイは、ABIにより製造された(cat#4319413E)。アンチセンスオリゴヌクレオチドで処置した後の遺伝子発現の変化率を、処置試料とモックトランスフェクト試料の間の18S標準化dCt値の差に基づいて計算した。
【0297】
[結果]:
リアルタイプPCRの結果は、SK−N−AS細胞におけるSIRT7 mRNAレベルが、SIRT7アンチセンスに対して設計されたオリゴでの処置後48時間で、有意に増加することを示している(図28)。
【0298】
[実施例3:SIRT遺伝子発現の調節]
[材料と方法]
[HepG2細胞のネイキッドアンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置]
ATCC(cat#HB−8065)から得たHepG2細胞を、増殖培地(MEM/EBSS(Hyclone cat #SH30024、またはMediatech cat # MT−10−010−CV)+10%FBS(Mediatech cat# MT35−011−CV)+ペニシリン/ストレプトマイシン(Mediatech cat# MT30−002−CI))で、37℃、5%COにて増殖させた。実験の前日に、細胞を0.5×10/mlの密度で6ウェルプレートに再播種し、37℃、5%COでインキュベートした。実験の当日に、6ウェルプレート内の培地を新鮮な増殖培地1.5ml/ウェルで交換した。すべてのアンチセンスオリゴヌクレオチドを、濃度20μMに希釈した。この溶液2μlをOptiMEM培地(Gibco cat#31985−070)400μlおよびLipofectamine 2000(Invitrogen cat#11668019)4μlと室温で20分間インキュベートして、HepG2細胞を含む6ウェルプレートの各ウェルに加えた。該オリゴヌクレオチド溶液の代わりに水2μlを含む同様の混合物を、モックトランスフェクト対照に使用した。37℃、5%COでの3〜18時間のインキュベーション後、培地を新鮮な増殖培地に交換した。アンチセンスオリゴヌクレオチドの添加の72時間後、先に記載された鳥細胞を再播種した。2回目のアンチセンスオリゴヌクレオチド投入の48時間後に、培地を除去し、PromegaのSV Total RNA Isolation System(cat #Z3105)またはQiagenのRNeasy Total RNA Isolationキット(cat #74181)を製造者の説明書に従って使用して、RNAを細胞から抽出した。600ngのRNAを、Thermo ScientificのVerso cDNAキット(cat#AB1453B)を製造者のプロトコルに記載のとおり使用して得た逆転写反応物に加えた。この逆転写反応からのcDNAを使用して、ABI Taqman gene Expression Mix(cat#4369510)およびABI(Applied Biosystems Taqman Gene Expression Assay:Hs00202021_m1、Hs00202030_m1、Hs00202033_m1、Hs00978329_m1、Hs00213036_m1およびHs00213029_m1、Applied Biosystems Inc.,Foster City CA)によって設計されたプライマー/プローブを使用するリアルタイムPCRによって遺伝子発現をモニタリングした。以下のPCRサイクルを使用した:50℃で2分間、95℃で10分間、(95℃で15秒間、60℃で1分間)を40サイクル、StepOne Plus Real Time PCR Machine(Applied Biosystems)を使用。アンチセンスオリゴヌクレオチドで処置した後の遺伝子発現の変化率を、処置試料とモックトランスフェクト試料の間の18S標準化dCt値の差に基づいて計算した。
【0299】
SIRT1天然アンチセンスCV396200であるエキソン4:AACTGGAGCTGGGGTGTCTGTTTCA(配列番号128)のためのカスタム設計のTaqmanアッセイ用のプライマーおよびプローブ。
前方プライマー配列 CCATCAGACGACATCCCTTAACAAA(配列番号129)
後方プライマー配列 ACATTATATCATAGCTCCTAAAGGAGATGCA(配列番号130)
レポーター配列 CAGAGTTTCAATTCCC(配列番号131)
[結果]:
結果は、HepG2細胞におけるSIRT1 mRNAのレベルが、sirtas(sirtas_5、p=0.01)に対して設計されたsiRNAの1種での処置の48時間で、有意に増加することを示している。いくつかの試料において、sirtas RNAのレベルは、sirtas_5での処置後に有意に減少したが、sirtas_6およびsirtas_7処置後には変化せず、SIRT1 mRNAレベルにも影響を有さなかった(図2)。sirtas_5、sirtas_6およびsirtas_7は、それぞれ配列番号47、48および49。
【0300】
[初代サル肝細胞の処置]
初代サル肝細胞を、RxGen Inc.により培養に導入し、6ウェルプレートに播種した。それらを以下のとおりオリゴヌクレオチドで処置した。6ウェルプレート中の培地を、5%FBS、50U/mlペニシリンおよび50μg/mlストレプトマイシンを補足したWilliam’s Medium E(Sigma cat#W4128)、4μ/mlインスリン、1μMデキサメタゾン、10μg/ml Fungin(InVivogen, San Diego CA)からなる新鮮な増殖培地に交換した。すべてのアンチセンスオリゴヌクレオチドを、濃度20μMに希釈した。この溶液2μlをOptiMEM培地(Gibco cat#31985−070)400μlおよびLipofectamine 2000(Invitrogen cat#11668019)4μlと室温で20分間インキュベートして、細胞を含む6ウェルプレートの各ウェルに加えた。該オリゴヌクレオチド溶液の代わりに水2μlを含む同様の混合物を、モックトランスフェクト対照に使用した。37℃、5%COでの3〜18時間のインキュベーション後、培地を新鮮な増殖培地に交換した。アンチセンスオリゴヌクレオチドの添加の48時間後、培地を除去し、PromegaのSV Total RNA Isolation System(cat #Z3105)またはQiagenのRNeasy Total RNA Isolationキット(cat #74181)を製造者の説明書に従って使用して、RNAを細胞から抽出した。600ngのRNAを、Thermo ScientificのVerso cDNAキット(cat#AB1453B)を製造者のプロトコルに記載のとおり使用して得た逆転写反応物に加えた。この逆転写反応からのcDNAを使用して、ABI Taqman gene Expression Mix(cat#4369510)およびABI(Applied Biosystems Taqman Gene Expression Assay:Hs00202021_m1、Hs00202030_m1、Hs00202033_m1、Hs00978329_m1、Hs00213036_m1およびHs00213029_m1、Applied Biosystems Inc.,Foster City CA)によって設計されたプライマー/プローブを使用するリアルタイムPCRによって遺伝子発現をモニタリングした。以下のPCRサイクルを使用した:50℃で2分間、95℃で10分間、(95℃で15秒間、60℃で1分間)を40サイクル、Mx400サーマルサイクラー(Stratagene)を使用。アンチセンスオリゴヌクレオチドで処置した後の遺伝子発現の変化率を、処置試料とモックトランスフェクト試料の間の18S標準化dCt値の差に基づいて計算した。
【0301】
[結果]:
結果を、図7に示す。リアルタイムPCRの結果は、SIRT1アンチセンスでの処置後の、SIRT1 mRNAレベルの増加を示している。
【0302】
実施例4:アフリカミドリザルにおけるCUR963の作用試験の有効性および期間
この試験の目的は、非ヒト霊長類モデにおいて、静脈内投与後、SIRT1遺伝子を制御する不調和性非コードアンチセンス配列のアンチセンスノックダウンの効果を評価および比較することであった。SIRT1の調節配列を阻害するように設計されたアンチセンスオリゴヌクレオチドの被験物質は、CUR963として称された。
CUR 963:+G*+T*C*T*G*A*T*G*G*+A*+G*+A(配列番号43)
CUR 962(対象):+G*+C*T*A*G*T*C*T*G*+T*+T*+G(配列番号132)
【0303】
調節試験ガイドライン
この試験は、認められた毒物学的原則に従い、規制調和国際会議(ICH)統一労使ガイドライン(Non-Clinical Safety Studies for the Conduct of Human Clinical Trials for Pharmaceuticals ICH M3(m), 2000 November 9)に準拠して設計され、治療薬の試験のための手続を概して受諾した。
【0304】
試験および対照の物質
被験物質の同一性および調製
被験物質、CUR−963は、化学的に安定したアンチセンスオリゴヌクレオチドである。静脈内送達のためのビヒクルは、リン酸緩衝食塩水(PBS)である。
【0305】
ビヒクルの特性評価
PBSビヒクルについての、組成、バッチ番号、有効期限、保管条件(温度および光/暗)は、提供業者より入手した。
【0306】
被験物質の保存と取り扱い
したがって、検査物質およびビヒクルは、スポンサーおよび製造者により供給され受け取った保存状態に従って保存した。
【0307】
被験物質製剤の分析
被験物質製剤の試料は、被験物質製剤の濃度、安定性、および均一性の分析のために凍結保存される。
【0308】
試験システムの理論的根拠
霊長類は、潜在的な危険性の指標として規制当局に受け入れられており、そのため、広範なバックグラウンドデータが利用可能な、適切な非げっ歯類である。アフリカミドリザルは、具体的には、複数の人間の生理学的および疾患状態の臨床的関連性の高いモデルである。
【0309】
投与における静脈内経路は、ヒトの潜在的な治療経路に対応する。被験物質の投与量は、以前にアフリカミドリザルで行われた類似体の化合物の研究で確認できる投与量の結果に基づくものであった。
【0310】
アフリカミドリザルは、検査物質の標的配列が霊長類において100%の相同性で種を超えて保存されていることから、最適な霊長類として選択された。加えて検査物質は、合成オリゴヌクレオチドである。結果として霊長類での投薬は、任意の他の種よりもヒトにおいて観察されるであろう取り込みがより反映されやすいこれらの化合物の有効性の優れた評価を可能にする。
【0311】
動物
種:ミドリザル(Chlorocebus sabaeus)、非ヒト霊長類
【0312】
品種:アフリカミドリザルSt. Kitts原産
【0313】
供給業者:RxGen、Lower Bourryeau、St. Kitts、West Indies
【0314】
推定年齢:実験動物は成体であった。
【0315】
推定体重:サル体重概ね3〜4kg。実際の範囲は、変動する場合があるがデータに記録される。
【0316】
性別:実験動物は成体メスであった。
【0317】
動物数:動物10匹を研究への登録に適した動物8匹の同定を保証するために選別した。
【0318】
試験での動物数:メス8匹
【0319】
試験動物数の正当性:この試験は、アフリカミドリザルにおける被験物質の治療効果を評価する主な目的と、この種でのこの型のオリゴヌクレオチドの全身投与の先行試験とが両立する、可能な限り少ない数の動物を使用して設計した。
【0320】
動物規格:体重範囲3〜4kgのアフリカミドリザル成体10匹を研究に使用した。サルは、島に生息する野生集団から人道的に捕獲した薬剤未投与の成体動物である。捕獲されたサルは、可能性があるいなかる腸内寄生虫負担をも排除するために駆虫薬で処置し、研究登録のための選別に先行する最短4週間、検疫で観察した。捕獲したサルの年齢は大きさおよび歯状形によって、研究から高齢の動物を排除して推定した。研究登録に先行して、自発運動および敏捷さの評価を含む臨床検査を各サルに実施した。血液試料を採取し、Antech Diagnostics (Memphis、TN)に包括的臨床化学ならびに全血球計数および脂質プロファイルのために送った(詳細は9.2節および319567928を参照されたい)。St. Kittsコロニーのサルについて確立された正常値と比較して異常な検査値であると決定されたサルは、研究から排除した。この判定基準を満たす8匹のサルを同定するために、必要に応じて追加的動物の選別を伴って10匹のサルを選別した。研究開始前に、選択されたサルを1週間個別収容に馴化させるために個別ケージに移す。実験に適するとみなされた動物だけを研究に登録する。研究開始時の実際の(または推定の)年齢および体重範囲は、生データおよび最終報告において詳述する。
【0321】
動物の健康および福祉:最高水準の動物福祉に従い、the St. Kitts Department of Agricultureおよび米国保健社会福祉省によって定められたガイドラインを遵守した。すべての研究は、これらの要件および実験動物の管理および飼育に関して適用されるすべての行動基準に従って実施される。動物の管理および使用についてのNIHガイドラインに含まれるとおりの獣医学的ケア、操作および検閲に関するすべての適用される基準。St. Kitts施設は、指針に定められたとおりプロトコルを検閲し、施設を査察する動物実験委員会を有している。財団は、指針#A4384−01 (Axion Research Foundation/St. Kitts Biomedical Foundation)に定められたとおり実験動物福祉部門に申請された保証を承認している。特別な非ヒト霊長類獣医学的な管理問題およびこの研究に特化される調査によって生じるバイオハザード問題はない。
【0322】
飼育および環境:任意の治療に関連する臨床徴候の検出を可能にするために、動物は手術の前および手術後に屠殺されるまで個別に飼育した。個別ケージが置かれた霊長類棟は、環境光で全体が照らされており、北緯17°で、U.S. D.H.H.Sガイドラインにおいて推奨されるとおりおよそ12時間:12時間の明/暗周期であった。RxGen霊長類棟は、外部と十分に通気されていた。1年を通じてSt. Kittsの典型である一定の標的温度23〜35℃に維持するために、追加的な気流を天井扇によって確保した。温度および相対湿度(これも管理されない)の24時間での両極値を毎日測定した。研究中、ケージを定期的に清掃した。
【0323】
餌および水:各動物に1日あたりおよそ90グラムの標準サル用固形飼料餌(TekLad, Madison, WI)を与えた。餌の詳細な栄養組成を記録した。水は、微生物学的な純度について定期的に分析した。保存餌および給水の中の混入物の許容されるレベルについての基準は、それぞれ餌製造者および定期的な施設水評価によって確立された分析仕様内であった。水は、ヒトの消費に許容され得ることの証明に必要なすべての基準に合致した。
【0324】
[実験設計]
動物識別および無作為化:割り付けを、体重および血漿コレステロールプロファイルに基づく層別無作為化の手段によって行った。群への割り付けの前後に、各動物を腹部への刺青によって識別した。刺青は、日常的健康診査の過程でコロニーの全動物に識別の手段として行われる。ケージ図を収容された個体を識別するために作成し、個々のサルをそれらそれぞれのケージに付けた標識タグによってさらに識別した。
【0325】
群の大きさ、用量および識別番号:各群がサル4匹からなる2処置群に動物を割り当てた。特定の動物識別番号を、施設番号付けシステムに従って各サルに付けた。このシステムは、文字に続く3桁の数字、例えばY032によって各サルを一意的に識別する。
【0326】
投与の経路および頻度:動物に、1、3および5日目に1日1回、約10分間かけて手動輸液によって静脈内に送達して投薬した。点滴速度は、24mL/kg/時間である。動物は、投薬手順前および投薬手順中にケタミンおよびキシラジンによって鎮静させた。静脈カテーテル(Terumo mini静脈輸液セット、20ゲージ針、または同様の適切な輸液セット)を伏在血管に挿入した。各サルにおける投薬は、午前8時〜10時の間、動物の起床直後で摂餌前に実施した。血漿コレステロールおよび下の血液化学節に記載の他の脂質レベルを評価するための血液試料を各輸液の直前に採取した。コレステロール測定値への摂餌の影響を最小化するために、血液採取は両方の試料採取間隔時の摂餌前に実施した。
【0327】
臨床観察:処置への応答のすべての明らかな兆候を、各投薬日に記録した。加えて、動物を少なくとも1週間に1回、外観および一般状態などの身体的特性について検査した。
【0328】
体重:体重を処置の間および治療期間後に1週間間隔で記録した。
【0329】
摂餌量:個々の摂餌量は定量しなかった。しかし摂食様式をモニタリングし、任意の大きな変化を記録した。
【0330】
死亡率と罹患率:死亡率と罹患率を記録する。早期屠殺に関する任意の決定は、可能な限り、試験責任者とスポンサーのモニタリング科学者との協議の後に行われる。早期に死亡が発見されたまたは殺傷された動物は、検死を受け、病理組織学的検査のために肝臓、腎臓、心臓および脾臓肺組織を採取する。早期屠殺事象においては、血液試料を(可能な限り)採取し、パラメータを測定する。通常の勤務時間後に死亡が発見された動物は、一晩冷凍され、次の勤務時間の始業時に検死を行う。動物の状態が早期屠殺を必要とする場合は、ペントバルビタールナトリウムの静脈内過量投与によって安楽死させる。すべての調査は、動物の使用に関する原則によって管理される。RxGenは、霊長類施設に関する米国社会保健福祉省基準に従うことが法律によって定められており、そこで軽度であると明記されたこの試験の手順が遵守しなければならない発病度のレベルを指示している。
【0331】
[臨床検査]
脂肪生検:皮下脂肪生検を、試験26日目にY775を除くすべての試験サルにおいて、へその下を1cm正中切開して組織を取り出すことにより実施した。生検を直ちに、RNAlater(Qiagen)2mlを含有する標識した凍結管に浸漬し、4℃で一晩インキュベートし、その後、RNAlaterを吸引して、試料を液体窒素で瞬間凍結した。液体窒素内での輸送後に、すべてのRNAを標的遺伝子のリアルタイムqPCR様に単離した。
【0332】
結果:リアルタイムPCRの結果は、(ApoA1アンチセンスDA327409に対して設計された、データは示さず)体外のSIRT1発現に対する影響を有さないオリゴヌクレオチド、CUR−962(配列番号132)を投与されたサルと比較した、SIRT1アンチセンスCV396200.1に対して設計されたオリゴヌクレオチド、CUR−963を投与されたサルの脂肪生検におけるSIRT1 mRNAレベルの増加を示している。mRNAレベルは、リアルタイムPCRにより測定した(図6)。
【0333】
実施例5:サーチュイン(SIRT)のアンチセンスDNAオリゴヌクレオチドによる生体内調節
アンチセンスDNAオリゴヌクレオチド(ASO)での処置:SIRT1 ASに関して特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を、高脂肪食を12週間摂餌されたC57B1/6Jマウスに投与して、肥満および糖尿病を誘発する。マウスのASOでの処置は、高脂肪食の実施時に開始する。マウスに、濃度5mg/kgの通常の生理食塩水中で調製されたASOを、週に1回IP注射する。
【0334】
体重および摂餌量測定:マウスの体重および摂餌量を、週に2回、ASOのIP注射前に測定する。
【0335】
血糖値測定:摂食時および絶食時の血糖濃度を、尾静脈から血液試料を採取することにより、毎週測定する。
【0336】
耐糖能検査(GTT):GTTを、摂食の途中(4週目)および高脂肪食の終了時前後に(10週目)、マウスあたり合計2回実施する。GTTは、血流からのグルコースボーラスを急速に浄化する能力であるマウスの耐糖能について情報提供する。これは、糖尿病の尺度である。マウスにグルコース2g/kgをIP注射する。これは、体重30gのマウスでは30%(w/v)グルコース溶液の最終容量0.2mlになる。グルコースの測定は、グルコース注射の前、および注射後5、15、30、60、90および120分で実施する。IPグルコース注射前にイソフルラン麻酔の下で尾の先端から1cmを切断することにより、グルコースを測定する。血液滴を細片に吸収させて、グルコース濃度をグルコメーターで測定する。GTTを、摂食の途中(4週目)および高脂肪食の終了時前後に(10週目)、マウスあたり合計2回実施する。GTTは、血流からのグルコースボーラスを急速に浄化する能力であるマウスの耐糖能について情報提供する。これは、糖尿病の尺度である。
【0337】
インスリン耐性検査(ITT):マウスを午前9時〜午後3時の6時間絶食する。その後、マウスに、インスリン0.5〜1U/kgをIP注射する。インスリン濃度は、最終注射容量が0.1〜0.15mlになるように調整する。グルコース測定は、注射前および注射後5、15、30、45、および60分に実施する。血液を、GTTで記載されたとおり厳密に採取する。グルコースレベルをモニタリングすることに加えて、マウスの挙動をITT時に常に観察する。低血糖は、動物が非常に静かになり不快感を示す挙動変化とし発現する可能性がある。低血糖を予防するために、血糖濃度が50mg/ml未満に降下するか、または不快感の徴候が観察されたら直ちに、グルコース(1g/kg)を最終容量0.1〜0.15mlでIP注射する。
【0338】
顔面静脈穿刺による血液採取:マウスを首筋および尾の付け根で拘束し、首の皮膚をグリップで引っ張ることにより首の血管をわずかに圧迫する。試料採取部位は、下顎の角の少し前方の顎表面である。試料採取部位の皮膚に18G針またはランセットを、針/ランセットの先端が皮膚を丁度通過するまで、90°の角度で穿刺する。血液試料を、マイクロヘマトクリット管を用いて採取する。血液が採取されたら、首のグリップを緩めて、ガーゼスポンジで圧力を挿入部位に加えて、止血を確保する。血液0.05〜0.2mlを、この方法により採取する。この手順は、高脂肪食の5週目に1回だけ実施し、心内穿刺を実施していない場合には最終的に12週目にする(下記参照)。グルコースおよび脂質の代謝を調節する血中ホルモン(インスリン、アジポネクチンおよびレプチンなど)を、市販のELISAキット(例えば、R&D Systems, Minneapolis, MN;Assay Pro St. Charles、 MO;Mabtech, Mariemont, OH)を用いて測定する。
【0339】
心内穿刺:12週間の高脂肪食の終了時に、マウスを連続イソフルラン吸入により麻酔する。麻酔は、マウスを誘導ボックスに入れて、イソフルランおよび酸素を供給することにより誘導される。マウスを背部で拘束する。心臓に27G針を穿刺する。大量失血に続いて断頭し、確実に死亡させる。組織(肝臓、膵臓、白色および褐色脂肪組織、ならびに骨格筋)を更なる研究用(RNAおよびタンパク質測定および組織学的測定)に採取する。およそ0.5〜1mlの血液を得て、グルコースおよび脂質代謝の複数の重要なパラメータ(グルコース、インスリン、コレステロール、トリグリセリド、遊離脂肪酸、レプチン、アディポカイン、コルチコステロイド、甲状腺ホルモン)を測定するために用いる。この方法で問題が生じる場合、我々は、代わりにイソフルラン麻酔の下で顔面静脈穿刺により血液を採取する(上記参照)。
【0340】
本発明は、1以上の実施形態に関して例示および説明してきたが、本明細書および添付図面の解釈および理解にもとづき当業者は均等な変更および改変に想到できよう。加えて、本発明の特定の特性がいくつかの実施形態のうちの1つにだけ関連して開示されている場合があるが、そのような特性は、他の実施形態の1以上の他の特性と、任意の所与のまたは特定の用途のために望ましくかつ有利であり得るように組み合わせることができる。
【0341】
開示内容の要約により、技術的開示内容の性質を読者が速やかに確認できるであろう。この要約は、以下の特許請求の範囲の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないとの理解を前提として提示されたものである。
図1
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