(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6100858
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】回転ピストン式ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 23/00 20060101AFI20170313BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
F04C23/00 E
F04C29/00 C
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-197517(P2015-197517)
(22)【出願日】2015年10月5日
【審査請求日】2015年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】300042627
【氏名又は名称】山内 多門
(72)【発明者】
【氏名】山内 多門
【審査官】
所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−190175(JP,A)
【文献】
特開2013−253568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 23/00
F04C 29/00
F04C 18/356
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転揺動式ポンプの同軸多段構造に於いて、12スリットのスプラインを設けた駆動軸と、駆動軸により駆動される多段のポンプと、を備え、各段のポンプは、それぞれ、駆動軸のスプラインと雄雌の関係となるスリットを設け、駆動軸の回転に同期するピストン軸としてのコマ受けと、伸縮軸を介してコマ受けと接続されるコマと、伸縮軸の伸縮によりコマに内面側を押し付けられる回転ピストンと、コマの押し付けにより回転ピストンの外面側と密着するシリンダーと、を有し、初段から終段まで、個々のポンプを駆動軸に接続するにあたって、各段のポンプのコマと回転ピストンとの接触位置が等角度に為る様に、各段のコマ受けのスリット位置を、6段では2筋、4段では3筋、3段では4筋ずらすと言う様に均等になる配置に装置したことを特徴とする回転揺動式ポンプの同軸多段構造。
【請求項2】
各段のポンプ間に位置するシリンダー側壁の少なくとも片方を浮遊式シリンダー隔壁として装置し、各々の部材の接触圧を抑え、特に、各段のポンプのシリンダーが同径の場合にはシリンダー側壁を浮遊式シリンダー隔壁のみとした、請求項1に記載の回転揺動式ポンプの同軸多段構造。
【請求項3】
浮遊式シリンダー隔壁と隣接するシリンダー側壁のあい対する面にクッション部材の収まる溝をそれぞれに備えておき、そこにクッション部材を置き、あい対するシリンダー同士の間には、気体の漏れを防ぐためのシール材を介して締め付ける構造にした、請求項2に記載の回転揺動式ポンプの同軸多段構造。
【請求項4】
ガス吐出口を隔壁弁の手前直前に隔壁弁室と平行に穿ち、途中、弁室最深部の位置に吐出通路と弁室とを繋ぐガス通路を穿ち、隔壁弁の回転ピストンへの押し付け用にガスの圧力を利用した、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の回転揺動式ポンプの同軸多段構造。
【請求項5】
回転ピストンの内面側に、コマが通る2本のレールを設けて置き、その間にコマを走らせる様にした、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の回転揺動式ポンプの同軸多段構造。
【請求項6】
コマを、回転ピストン内のレールの間にはめ込み、回転ピストンをシリンダー面に押し付ける、請求項5に記載の回転揺動式ポンプの同軸多段構造。
【請求項7】
スプラインを設けた駆動軸に接続される同軸減速機は、入力、出力側の接続構造を共に同じ構造にして、直接ポンプの回転軸を嵌め込む事が出来る様にして置き、減速機を1段、2段、3段式に利用できるようにして置くと、最初から2段式、或いは3段式として単体の減速機を作って置くのも同じ方法で出来る、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の回転揺動式ポンプの同軸多段構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
気体を高圧縮して高温の獲得と、気体の減圧と冷却(別技術)とで気体の液化を図り、それの気化に依る低温の獲得を目指すものである。
【0002】
単シリンダーの圧縮装置を多数設置し、それを直列に接続して高圧を獲得する装置を設け、高温を獲得し、低振動及び静粛性とを図る。
【0003】
ポンプの圧縮圧を得る為のシリンダーを、数個並列接続して容量の増大かを図るか、直列に装置して気体圧の高さを稼ぐか、その両方を利用するかの選択をする物である。
【0004】
駆動動力の放熱のため、ファンで冷却機能をもたせる。
【0005】
動力に、同軸上に直結した減速機を設け、それにポンプ群を同軸に多段装置したもの、即ち、原動力から最終圧縮シリンダー迄を、同軸上に同じ規格の接続方法か、1本のシャフトで連結するものにする。
【0006】
多段式にするに当たっては、シリンダー間の気体移送に際して、その気体漏れ等、パイプ、チュウブに距離や経路をも含めて考慮する必要がある。
【背景技術】
【0007】
一般に行われている高圧縮の方法としては、単体の圧縮機を直列に並べて多段化して高圧縮ガスを得ていたか、同じ圧力ループ内の進行先の場所で、ノズル又は弁を置いて圧が溜まるのを待つのであるが、単シリンダーでは、圧縮応力のピークに対するだけのトルクを必要とし、応力の変動に対しての力の無駄が生じる。
【0008】
炭酸ガスを冷媒として使用する場合、此の物質の性質上、その浸透性に注意が必要で、出来うる限りシリンダーとの距離を近づけて冷媒ガスを外部に漏れ出さない様にする必要があるが、各シリンダー間を、最短距離で、パイプ又はチューブで繋いでいる。
【0009】
一般に、ポンプの騒音と振動は大変なもので、それを抑える為には、各段のピストンの圧縮と、その応力の差が、1サイクルの内で出来る丈均一化される様にしておく必要がある。
【0010】
特に、高圧の獲得には、2段、3段よりも4段、6段、と言った多段化に際しての複雑さに対する考慮が必要になる。
【0011】
一般の高圧、大容量タイプのポンプに於いては、殊更騒音と振動には特別の配慮が重要になり、希望圧力に達する過程で、その圧力の大きさに抗するだけの力が必要になる。
【0012】
ポンプのシリンダーとピストンと接触部の形態に於いて、高圧に成る程、圧力差や速度等とかが余計に考慮しておかないと、後の維持管理に支障を及ぼす恐れがある。
【0013】
特に、回転ピストン(以後ピストンと記す)に於いては、その隔壁弁の擦動性に殊更な注意が要求されるる。
【0014】
多段式ポンプに於けるシリンダー間の一方弁の耐久性に関しては、特別の配慮をしておかないと、多段化すればする程、その分解修理の手間が大変に為ってしまう。
【0015】
多段式の圧縮過程に於いて、応力の及ぼす個々のサイクル内に於ける行程に対する応力とその反力の周期性と負荷の均一化を図って於かないと、大きなぶれとなって、振動や、騒音、がたつきとなって現れ、本体の寿命にも大きな影響を及ぼす。
【0016】
現在、巷で使われているエコ給湯と言われる物でも、低周波音障害やそryに依って起こる振動が問題になって来ているが、今後の問題として残されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
一般に、使用されているエアコンに於いて、その冷媒ガスの圧縮に於いては、ある送量の圧縮ガスをその先にあるノズル等で塞き止める事に依ってガス圧を上げて利用している様であるが、その圧縮過程で計画ガス圧を得る能力が動力側に必要になってくる。
【0018】
その為に、単シリンダーで高圧を得ようとすると、最高吐出圧と次の吸入時の圧との差に依る原動機の応力対応の変動が問題になってくる。
【0019】
空調機に搭載する圧縮機の圧力差を得る為には、原動機の出力も大きく為らざるを得ないし、当然振動や、騒音も大きく為らざるを得なくなる。
【0020】
もし、振動や騒音、それに、エアコン用室外機に使用する場合に、低振動、静音性、低入力の原動機に依るガス圧縮機が出来れば、その設置場所を選ばない室外機が出来るし、その放出熱が無ければ、室外機を、室内(建物内)に設置可能に為る。
【0021】
本機で利用を目論んでいる高温給湯及び空調の両方の用途を満足させる為には、その為の冷媒ガスを高圧縮して100MPa位から2MPa位迄の、差の大きな圧縮比が得られ、尚且つ、一般に使用するには、コンパクトなポンプ或いはコンプレッサーが要求される。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本技術は、装置の寿命を延ばすためと騒音や振動を抑える為に、駆動の低速度化と、それに因って生じる高トルク化を図った物で、別技術(整理番号1501、1502)も併用使用して、設置場所の制約を無くし、室外に設置せず、建物の内部、地下や床下(半地下)的な所での使用をも可とする物である。
【0023】
本技術の特徴 1 として、3,4,6段の多段式とした場合、その圧縮に対する応力としての反発を平滑化することである。
【0024】
特徴 2 としては、ピストンの駆動軸を12スリットのスプライン軸にして、接続時に3段式の場合、スリットの基本位置から4筋ずらして3等分、4段式では3筋ずらして4等分、6段式では2筋ずらして6等分した位置にセットし、圧縮負荷と反発応力の平滑化をサイクル内に平均に、1回だけの大きな振動や音にするか、これをシリンダー気筒数に分散を図るかの違いである。
【0025】
特徴 3 として、本機では、冷媒ガスを、隣接する次段ポンプにパイプで直結し、初段から終段に至る迄、冷媒の吐出、吸入を連続して行い、隣接段間の圧縮圧の差が小さい事に乗じて、ガス漏れを少なくし、長期間の使用にも、低回転化とも相まって、耐え得る物にする。
【0026】
同じく 4 として、各段のシリンダーからの吐出口に一方弁を内蔵し、前述の様に、次段の吸気弁を省略して、ポンプ自体が、タンクを内蔵したコンプレッサーの役を果たす様
にしておく。
【0027】
次に 5 として、ポンプ回転軸からピストンへの駆動力伝達方法として、伸縮軸を持った回転式のコロで押しつけ、転がり式ピストン面とシリンダー面とを密着させる。
【0028】
シリンダー隔壁の一方を、浮揺式にして、同じ径の並列式の場合(
図5の2)は、シリンダーの2個、3個、或いは4個分の深い1個の鋳型のシリンダーに、各ピストンの間に浮揚隔壁を配置し、最後の隔壁にはクッョン材を咬ましたシリンダー隔壁で仕上げる。
【0029】
上記シリンダー径の同じものでも、その深さを異なるシリンダーにし、圧縮タイプにも同様の浮揚隔壁で対応でき、シリンダー径の異なる場合は、各段毎に浮揚隔壁を備え、一段毎に始末をする。
【0030】
モーターとポンプの間に平歯車減速ギヤ−を2段乃至は3段介し、モーター自身も回転子の径を大きく採り、低回転、高トルク型の物を使用する事に依って、低騒音、低振動、高トルクの活用を図る事が出来、回転ピストンの浮き上がりを防ぎ、ポンプや、減速器の寿命にも大きく影響する。
【0031】
モーターと同軸上にフライフォイールを置き、それに下向きのファン機能を備えてモータ−の回転子とフライフォイールの重量の軽減化と冷却機能を持たせる。
【0032】
従前の空調やエコ給湯のタイプでは、装置を室外に置き、騒音や排熱(低温度も含めて)を外部に放出して、言うならば、内部不経済を外部に転嫁していたのを、本装置では、別技術(整理番号15
01、1502)も利用して、不要なものを外部にはき出さずに、自己完結型に終焉させる事が可能である。
【0033】
前述(0030)した従来の動力伝達に於いては、その減速装置として、斜歯ギヤ−や、ウオームギヤ−の様な伝達軸が並行同一軸上で無い、並行歯中間ギヤ−を3個1組として小ギヤ−と大ギヤ−との間に装置して、力の伝達に際して、1点に集中する事無く、各ギヤーの3ギヤー3点に常に接触し、大ギヤ−の有効直径と、小ギヤ−と中ギヤ−3個との有効外周直径とが一致するギヤ−群を複数組準備しておき、設計上最適なギヤ−群を使用するのに3個1組の中間ギヤ−を1纏めに納めた枠にセットされた形での減速器を複数個重ねて利用出来る様に力の伝達方式を同じかたちにし、此を複数個使用して一層の低速、高トルク化を図る。(
図4の2 減速比5を2段使用して25)
【0034】
本装置に於いては、従来のポンプでの送量を所定の高圧になる迄、待時していたのを、同軸多段式の回転揺動式ポンプを使用し、負荷応力の均一化を図り、振動や騒音の静粛かが図られる。
【0035】
本装置の各シリンダー間の接続には、その接続軸に12本の溝を設けた1本の長い凸(雄)のスプライン軸で各シリンダーのピストンに接続し、その規模、容量等に於いて、3段、4段、6段、の気筒の選択が出来る様にしておく。
【0036】
本装置に於いては、回転ピストンの形を浮揚型にし、偏芯軸に直結一体化したピストンには無い、重量の小さな物が出来上がり、このピストンは浮揚式で有るために滑りの無い転がりに依ってシリンダー面に接するので、抵抗が非常に小さくなり、摩擦に依る摩耗が減少する。
【0037】
上記の補足であるが、工程の全てに於いて、低速化と平滑化が図られており、それに依り、
最初のモーターの回転から後、直ぐに減速し、減速に反比例してトルクが高まり、その事に依って騒音や振動や摩耗といった全般に忌み嫌われている事が少なくなり、その上、高寿命にもなるこ事にある。
【0038】
本装置は、同軸上にモーターを装置するので、モーター回転子や減速ギヤ−の重量を支える補助としてと、モーターの冷却機能を併せ持たすファン付フライフォイールを備える。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図4】単シリンダーと浮揚側壁板、転がりピストン、ピストン圧迫コマ組立展開図
【
図5】浮遊式シリンダー隔壁盤のシリンダー間毎の仕組み詳細図
【
図7】減速機中間ギヤ―減速比変換の決め位置配置図
【
図8】シリンダー間に配置するベアリングと貫通スプラインシャフト
【
図9】モーターに直結するフィン付フライフォイール
【
図10】単シリンダー応力図、6シリンダー全体の応力分布と多段式応力分布詳細図
【発明を実施するための形態】
【0040】
従前の空調やエコ給湯と異なり、獲得し利用する温度差が100℃以上になり、ポンプに依る圧縮圧も大きくなる事から、振動や騒音に対しても一層の考慮が必要になると思われるので、それに対処する事が求められる。
【0041】
外部に内部不経済を転嫁しないように全て内部で処理するに、他技術(特願2015−110754,110755)も併用して、出来る限りの低振動、低騒音、低発熱(外部に)に注意をする為に、低回転、高トルク、非レシプロ化を図る。
【0042】
ピストン各段の負荷応力の平滑化を図る為に、1サイクル内での各段応力の均等化が要求される。
【符号の説明】
【0043】
1−0回転ピストン式シリンダーポンプ。
1−1シリンダー本体、 1−2シリンダー隔壁盤室、 1−3吐出口、 1−4吸気口、1−5吐出隔壁連絡孔。
2−1回転ピストン、 2−2ピストン補強兼ガイド、 2−3圧力隔壁盤、 2−4圧力隔壁盤押出バネ。
3−1ピストン駆動コマ、 3−2ピストン圧迫竿、 3−3ベアリング付きピン、 3−4ピストン駆動輪、 3−5圧迫バネ。
4−1シリンダー隔壁浮遊盤、 4−2ピストン圧迫用シール、 4−3浮遊隔壁圧迫用シール、 4−4シリンダー気密シール。
5−0多重段可能同軸減速機本体。
5−1中間ギヤ−設定ピン位置(低)、5−2設定位置(中)、5−3設定位置(高)。
6−0直結用モーター。
6−1フィン付フライフォイール。
7−0貫通スプラインシャフト。
7−1シャフト用隔壁部ベアリング。
【要約】
【課題】 高圧縮で高温エネルギーを獲得する場合、騒音や、振動が大きくなるので、それを解決するのに本発明の技術が重要になってくる。
【解決手段】 単シリンダー式では圧縮に対する反力に必要なモーター出力が大きくなりその為、本発明に於いては、回転ピストン式ポンプを、同程度の圧縮比を保った物を順次、等間隔分散して、1サイクルの間で応力や反力の変化があまり起こらない様な方法を用い、応力の配分を平坦化する事で、より小さな入力で大きな出力が得られるので、静粛、低振動、低燃費当の問題を解決しようとするもので有る。
【選択図】
図4