特許第6100861号(P6100861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6100861加圧して開ける非融着面を有する2重ポーチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100861
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】加圧して開ける非融着面を有する2重ポーチ
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/32 20060101AFI20170313BHJP
   B65D 75/58 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   B65D81/32 B
   B65D75/58
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-206166(P2015-206166)
(22)【出願日】2015年10月20日
(65)【公開番号】特開2016-84178(P2016-84178A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2015年10月20日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0147753
(32)【優先日】2014年10月28日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511011665
【氏名又は名称】シーアンドテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】朴 漢郁
【審査官】 秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−143707(JP,A)
【文献】 特表2010−508216(JP,A)
【文献】 実開昭61−045363(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/32
B65D 75/58
B65D 30/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部接合線に沿って外郭が密封され、内部接合線により区画される第1収納部、及び第2収納部と、前記第1収納部の上辺と前記第2収納部の上辺との間または前記第1収納部の下辺と前記第2収納部の下辺との間で非融着状の凹凸断面に密着されるように設けられた加圧開放部と、前記内部接合線に沿って施された切断線であって、前記第1収納部と前記第2収納部の間は前記切断線が許す限界まで切離することが出来る切断線とが含まれて、前記一対の収納部の間を切離し、ある一つの収納部を巻いて前記加圧開放部を開かせることが出来ることを特徴とする、加圧して開ける非融着面を有する2重ポーチ。
【請求項2】
前記加圧開放部の中心には、狭い通路がさらに設けられることにより、前記加圧開放部の密着力を低く調節出来るようにしたことを特徴とする、請求項1記載の加圧して開ける非融着面を有する2重ポーチ。
【請求項3】
前記第1収納部と加圧開放部との間、及び第2収納部と加圧開放部との間に、各々第1緩衝部と第2緩衝部をさらに設けることにより、外部から加えられる強い圧力を減衰させるようにしたことを特徴とする、請求項1または請求項2記載の加圧して開ける非融着面を有する2重ポーチ。
【請求項4】
前記第1収納部と第2収納部とに充填される液状の内容物は、その収容空間の50〜60%範囲に充填されていることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の加圧して開ける非融着面を有する2重ポーチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一対の収納部に各々収容された異種の液状物を、開封前に混合して注出することが出来る2重ポーチに関し、より詳しくは、ポーチの外部から異種の液状物を簡便に混合させることが出来る構成となる加圧して開ける非融着面を有する2重ポーチに関する。
【背景技術】
【0002】
一対のフィルムを熱間プレスして得るポーチは、収納部の防水性と気密性とが優れ、かつ、成型も容易で、液状の洗剤、化粧水、薬剤、飲み物などを包装する用途に広く用いられている。
【0003】
従来のポーチは、単一成分の液体、粉末、固形物などが収容されているが、異種の液体、または液体と粉末等を一つのポーチに別に収納し、使用の時に収納部のある一方を加圧して一対の収納部を区分する境界線の特定部分を開かせ、内容物を混合するようにするデュプレックスストレージポーチが公知されている(特許文献1、特に図1)。ところが、前記ポーチは、ジグザグ状の境界線がめったに破られないから、精一杯に加圧しなければならないという問題がある。
【0004】
この発明者は、前記デュプレックスストレージポーチの問題点を改善したポーチとして、一対の収納部の間に設けられる境界線に、三角形状の小さい空間となる特定部分を一つ以上配置し、その特定部分の頂角部を周辺部分より弱く接合させた2重ポーチを提案したことがある(特許文献2)。しかし、この発明者が提案した2重ポーチも、収納部の間の開通には、いまだに強く加圧しなければならないという不便さが残っている。
【0005】
この発明者は、前述の問題を解消するために、一対の収納部の間に設けられる境界線の途中に、接合されない面が2箇所に形成された加圧開放部を備える2重ポーチを再び提案したことがある(特許文献3)。どころが、開示した2重ポーチでは2箇所の接合されない面のサイズ管理が難しいという短所があった。即ち、接合されない面の幅を少しでも狭くすると、収納部の間の開通に要る力が大きくなり、反対に幅を少しでも広くすると、収納部中のある一つに外力が加えられると、直ぐに接合されない面から漏れが発生して内容物が変質される例が時々表れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特開2004―0079763号公報
【特許文献2】韓国実用新案登録20―0456298号公報
【特許文献3】韓国特許10―01226739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、一対の収納部に異種の内容物を収容出来る2重ポーチにおいて、前記一対の収納部の間に設けられる加圧開放部から漏れがないように、強く密着され、使用者にとっては前記加圧開放部を小さな力で開けられるようにして、使用が簡便な構成の加圧して開ける非融着面を有する2重ポーチを提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る2重ポーチは、外部接合線に沿って外郭が密封され、内部接合線により第1収納部と、第2収納部に区画されると共に、前記第1収納部と第2収納部との上辺、または下辺の間に、非融着状の凹凸断面となる加圧開放部を設け、かつ前記内部接合線の中心には、その下辺から前記加圧開放部に隣接する位置まで切断線を施すことにより、前記一対の収納部の間を切離し、ある一つの収納部を巻くことにより、前記加圧開放部が開くようにすることを特徴とする。
【0009】
また、この発明に係る二重ポーチにおいて、前記加圧開放部の凹凸断面による密着力を調節するために、その中心に狭い通路をさらに設けることが出来る。
【0010】
この発明に係る二重ポーチにおいて、外部から加えられる強い圧力を減衰させるために、前記第1収納部と加圧開放部との間、及び前記第2収納部と加圧開放部との間に、各々第1緩衝部と第2緩衝部をさらに設けることが出来る。
【0011】
この発明に係る二重ポーチにおいて、前記第1収納部と第2収納部とに充填される液状の内容物は、その収納空間の50〜60%範囲に充填することが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る2重ポーチは、使用前まで区分して包装されるべき2種の内容物を隔離収容し、前記内容物を封合状態に混合した後に開封し取り出すべき物品の包装に最適である。
【0013】
この発明に係る2重ポーチは、第1収納部と第2収納部の間の加圧開放部が、非融着状に密着された凹凸断面により、常に強く密着状に保持されるから、運送や保管等において、上下に積載された重量の静的荷重が下側ポーチに加えられても、加圧開放部は開かないので、漏洩による内容物の変質に起因する不良製品が全く生じない。
【0014】
この発明に係る2重ポーチにおいて、前記加圧開放部の凹凸断面は、密着力増大による漏洩防止効果の他にも、使用者が加圧開放部の開通のために、凹凸断面部分の外面を指で擦って面分離させる時に滑らないようにする効果もある。
【0015】
この発明に係る2重ポーチにおいて、両収納部の間は、内部接合線の切開線が許す範囲まで切離出来るから、切離されたある一側の収納部を巻くことで、前記加圧開放部が開くようにすることが出来るため、ポーチ開封前に内容物を容易で簡便に混合出来るという効果がある。
【0016】
また、この発明に係る二重ポーチにおいて、前記加圧開放部の狭い通路は、密着面が平坦で、周辺の凹凸断面より密着力が弱い部分になるので、これをよって、加圧開放部の密着状態を多少弱く調節出来るという効果もある。
【0017】
また、この発明に係る二重ポーチにおいて、前記第1緩衝部、または第2緩衝部は、第1収納部、または第2収納部が加圧され、その内部圧力が予期せずに急増する場合に、これらは減衰空間を提供し、前記加圧開放部が開けられる圧力未満に下げるように調節して突発的開通を防止するという効果もある。
【0018】
この発明に係る二重ポーチにおいて、前記第1収納部と第2収納部とに収容される液状の内容物を、その収容可能体積の50〜60%で充填すると、使用者が両収納部を切離させ、ある一つの収納部を巻く時、開通した加圧開放部を通じる内容物の流れが順調になって、混合することを容易にする効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明に係る2重ポーチの一実施例を示す図である。
図2】加圧開放部を図1のIII−III線に沿って示す部分拡大断面図である。
図3】加圧開放部の変形例を示す部分拡大図である。
図4】2種の液体が別々に収容された状態を示す2重ポーチの斜視図である。
図5】2重ポーチに別々に収容された内容物の混合過程を示す使用例示図である。
図6】この発明に係る2重ポーチの製造方法の一つの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を実施例に沿って図面を参照しながら説明する。
【0021】
この発明に係る2重ポーチは、図1に示すように、外部接合線2に沿って外郭が融着されて形成される空間が、内部接合線4により第1収納部6と第2収納部8とに区分される構成となる。
【0022】
このように、一対に区分形成された第1および第2収納部6、8には、各々異なる成分の液体、例えば、使用前まで別に保管しなければならない毛髪染色剤と酸化剤、または混合されると成分が変化する2種の液状ビタミンのような液状内容物とか、或いは粉体と液体のように性状が異なる物質、たとえば、顔面美容水と不織布のフェイスマスク等の内容物が別に収容され、両収納部6、8の間には加圧開放部10が設けられる。
【0023】
また、加圧開放部10の両側には、第1収納部6に専属する第1緩衝部12と、第2収納部8に専属する第2緩衝部14がさらに設けられても良い。しかし、第1緩衝部12と第2緩衝部14とは必ず備えなければならないわけではない。
【0024】
前記内部接合線4には、その中心に沿って切断線16が延長されて、前記第1収納部6と第2収納部8の間は、前記切断線16が許す限界まで切離することが出来るようになっている。
【0025】
この発明に係る2重ポーチであって、前記加圧開放部10とその両側の緩衝部12、14は、金型により一対のフィルムが融着される外部接合線2と内部接合線4とは異なり、融着されないで、単に面接触状に密着しているように形成されることであり、特に加圧開放部10は、図2に示すように、互いに接触している面が鋸歯状の凹凸断面に曲がりくねって、十分に広い面積で強く密着されることである。
【0026】
前記加圧開放部10は、前記両収納部6、8中の上辺、または下辺の間から直交になる位置で設けられることが良い。このような加圧開放部10は、第1収納部6の内部、または第2収納部8の内部から起こる圧力により開けられることであり、図1の2重ポーチである場合には、第2収納部8の内容物を、第1収納部6に圧送して混合されるようにする方が便利であろう。
【0027】
一方、加圧開放部10は凹凸断面により十分な密着力を持っているから、相当な圧力を加えないと開かない。これをさらに容易に開かせるために、まず、使用直前に前記加圧開放部10の外表面を指で擦って、前記凹凸断面の間が面分離するようにした後で、第2収納部8を外部から加圧すると、より小さい力でも開けられる。
【0028】
図3は、前記加圧開放部10に係る変形実施例を示す図面であり、この例において、加圧開放部10は、自身の中心に狭い通路18を有している。前記狭い通路18は、互いに融着されずに平坦で密着している部分で、周辺の凹凸断面に比べて弱い密着力を有しているため、使用者が指で加圧開放部10の外部を擦る時、または収納部の内部圧力を加圧開放部10に加える時に、密着力が強い凹凸断面より先に面分離されながら、前記加圧開放部10の開通を促進させる。このような狭い通路は、加圧開放部10の密着力を多少低く調節しようとする場合にも適用出来る。
【0029】
この発明に係る二重ポーチは、図4のように、第1収納部6と第2収納部8とに各々異なる液状内容物を別に収容する場合において、一側の内容物全部を反対側に圧送させる混合過程からの体積増大を考慮すると、両収納部6、8の充填量はその収容空間の50〜60%範囲の充填率に制限することが望ましい。
【0030】
この発明に係る二重ポーチは運送中、または徳用包装に保管中に、上下にポーチが積載されて上方の合算重量に押される静的荷重が下方のポーチに加えられる場合が多い。ところが、前記静的荷重による圧力増大は、この発明に係る二重ポーチにおいては、第1緩衝部12、または第2緩衝部14が吸収して減衰させて、運送中や保管中に加圧開放部10の不意な開通を防止するので、使用直前まで異種の内容物は安全に別々に収納された状態に保持される。
【0031】
このような構成の二重ポーチを使用するには、まず前記加圧開放部10の外部を指で擦って面分離させておく、次に内部接合線4の切断線16が許す限界まで、両収納部6、8の間を切離し、図5に示したように、第2収納部8を巻く。
【0032】
第2収納部8を巻けば巻くほど、その内の液状内容物は第2緩衝部14を経て加圧開放部10に集中し始め、その部分に加えられる内容物の圧力はだんだん増大するようになる。このように増大される内容物の圧力がある水準に至ると、加圧開放部10が開きながら第1収納部6に圧送され、その結果、両収納部6,8に別々に収容されていた内容物の混合が始まる。
【0033】
また、第2収納部8の代わりに第1収納部6を巻いても、流れの方向が違うのみで、開通作用と混合は同様に行われる。
【0034】
このように、ある一側の収納部を巻けるようにする構成は、ある一側の収納部の内部圧力を容易に一定水準に増大させることが出来るため、小さな力で加圧開放部10を開けられるように操作する構造として最適なものである。
【0035】
また、第1収納部6と第2収納部8とに収容された内容物の混合は、前述した例として限定されず、前記第1収納部6、または第2収納部8の下端に、別途の押出子20を挟み込んで、内容物が圧送されるように、押し上げるか、巻くかしても加圧開放部10を開けることが出来る。
【0036】
この発明に係る二重ポーチは、図6に示す製造工程から得られる。
図6において、ポーチとして接合するために、互いに重なるように供給される一対のフィルムF1、F2は、移送される途中で1次金型M1でプレスされ、下辺と側辺の外部接合線2と内部接合線4が熱接合されて、上辺が開いているポーチが作られる。
【0037】
続いて、ポーチの内部に図示省略したノズル等の注入手段を通じて、2種の内容物を別々に注入した後で、2次金型M2を経て再度プレスすることにより、前記加圧開放部10(第1及び第2緩衝部12、14、狭い通路18を有する場合はこれらと共に)の形成と上辺の接合が同時に行われ、切断線16の形成と共に切断分離されることで、本発明に係る2重ポーチが得られる。
【0038】
勿論、前記加圧開放部10(第1及び第2緩衝部12、14、狭い通路18を有する場合はこれらと共に)を成型する2次金型M2では、該当部分にヒーターがなく、型合過程で融着されず、単に面同士が接触するように密着されるのみである。
【符号の説明】
【0039】
2 外部接合線
4 内部接合線
6 第1収納部
8 第2収納部
10 加圧開放部
12 第1緩衝部
14 第2緩衝部
16 切開線
18 狭い通路
20 押出子
図2
図4
図6
図1
図3
図5