特許第6100869号(P6100869)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100869
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】測色計の較正
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/51 20060101AFI20170313BHJP
   G01J 3/02 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   G01J3/51
   G01J3/02 C
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2015-220155(P2015-220155)
(22)【出願日】2015年11月10日
(65)【公開番号】特開2016-105079(P2016-105079A)
(43)【公開日】2016年6月9日
【審査請求日】2016年2月26日
(31)【優先権主張番号】14003792.0
(32)【優先日】2014年11月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511287880
【氏名又は名称】インストゥルメント・システムズ・オプティシェ・メステクニーク・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】クルト・アレンホルト
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・クルシュタレフ
(72)【発明者】
【氏名】レト・へリング
【審査官】 塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−157782(JP,A)
【文献】 特開2012−229922(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0177230(US,A1)
【文献】 特開2010−164355(JP,A)
【文献】 KOSZTYAN, Z. T. et al.,Matix-based color measurement corrections of tristimulus colorimeters,APPLIED OPTICS,2010年 4月20日,Vol. 49, No. 12,pp. 2288-2301
【文献】 KRESKOWSKI, M. et al.,Development of an XYZ Digital Camera with Embedded Color Calibration System for Accurate Color Acquisition,IEICE TRANS. INF. & SYST.,2010年 3月,Vol. 93-D, No. 3,pp. 651-653
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00−3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるスペクトル感度を有するn個の計測を提供するセンサ構成(20)を用いて光(5)を測定するよう、及びヒト標準的観察者に基づく色空間の3原色の形態で前記光を測定するよう配設された、測色計(1)を較正する方法であって、
nは4以上の数であり、
前記3原色のうちの1つは無彩色原色である、方法において、
前記方法は:
‐既知の3原色の値を有するm個の較正用発光体(8)に対するn個の計測のm個の組(10)を生成し、ここでmはnより大きい数である、ステップ;
‐前記n個の計測によって測定された信号に対して適用した場合に、色度が最適化された原色の値をもたらす、較正係数の第1の組(13)を、(i)前記較正係数の第1の組(13)を前記n個の計測によって測定された前記信号に適用することによって得られる色度値と、(ii)既知の色度値との間の、全ての前記較正用発光体の色度距離のノルムを最小化することによって、決定するステップ;及び
‐前記n個の計測によって測定された信号に対して適用した場合に、最適化された無彩色原色の値をもたらす、較正係数の第2の組(14)を、(i)前記較正係数の第2の組(14)を前記n個の計測によって測定された前記信号に適用することによって得られる無彩色原色の値と、(ii)既知の無彩色原色の値との間の、無彩色距離のノルムを最小化することによって、決定するステップ
を含み、
前記較正係数の第1の組(13)を前記n個の計測によって測定された前記信号に適用して、色度が最適化された三刺激値(15)を得ること、前記較正係数の第2の組(14)を前記信号に適用して、最適化された無彩色三刺激値(16)を得ること、及び前記色度が最適化された三刺激値の無彩色値で、前記最適化された無彩色三刺激値を除算した比である係数を用いて、前記色度が最適化された三刺激値(15)をスケーリングすることによる較正の後に、前記測色計(1)で前記光(5)を測定する、方法。
【請求項2】
計測は、前記センサ構成内のセンサの応答に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記n個の計測のm個の組は、m個の前記較正用発光体(8)を用いて前記測色計(1)を別個に照明することによって生成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記n個の計測のm個の組は、n個の前記センサのスペクトル感度及び前記較正用発光体(8)のスペクトル放射を測定して、前記計測を計算することによって生成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記較正用発光体の前記3原色の前記既知の値は、基準分光計(6)を用いて前記較正用発光体(8)の前記光(5)を測定することによって得られる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記色度距離及び/又は前記無彩色距離は、ユークリッド距離である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記色度距離の前記ノルムは、m個の前記較正用発光体(8)に関して得られた前記色度距離の二乗平均平方根であり、及び/又は
前記無彩色距離の前記ノルムは、m個の前記較正用発光体(8)に関して得られた前記無彩色距離の二乗平均平方根である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
可変である前記較正係数の組(13、14)を繰り返し変化させることによって前記色度距離又は前記無彩色距離を最小化する際に、少なくとも1つの前記色度距離及び/又は少なくとも1つの前記無彩色距離が、所定のペナルティ値を超過したことに応答して、前記少なくとも1つの超過した色度距離及び/又は前記少なくとも1つの超過した無彩色距離は、可変である前記較正係数の組(13、14)の後続の変動において、可変である前記較正係数の組(13、14)の以前の変動よりも高い重み付けを与えられ、
前記超過した色度距離及び/又は前記超過した無彩色距離は、前記ペナルティ距離を超過していない前記色度距離及び/又は前記無彩色距離よりも高い重み付けを与えられる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記センサ構成(20)は、前記n個の計測を同時に提供するために、n個の光センサ(25’)と、対応する前記n個の光センサ(25’)に結合された、異なるスペクトル感度を有するn個のフィルタ(F1…F6)とを備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記センサ構成は、異なるスペクトル感度を有するn個の可動フィルタと、1つの光センサ(25)とを備え、
前記フィルタは、フィルタリング位置に順次移動して、前記n個の計測を順次提供する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記光センサは、単色カメラのCCD又はCMOSセンサ(25’)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記較正用発光体(8)のうちの少なくとも1つは、10nm〜50nmの範囲の半値全幅を有する波長分布を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
xyY色空間、CIELAB色空間、CIELUV色空間のうちの少なくとも1つに関して、前記色度において及び前記無彩色原色に関して最適化された読み取り値が得られる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ヒト標準的観察者に基づく色空間の原色に関する光(5)の測定を提供するための、測色計(1)であって、
前記測色計(1)は、請求項1〜13のいずれか1項の方法によって得ることができる較正係数の組(13、14)を備える、測色計(1)において、
前記測色計は:
異なるスペクトル感度を有する前記光(5)のn個の計測を提供し、ここでnは4以上の数である、センサ構成(20);並びに
前記較正係数の第1の組(13)を前記センサ構成が提供する信号に適用して、色度が最適化された三刺激値を得るステップ、及び
前記較正係数の第2の組(14)を前記センサ構成が提供する前記信号に適用して、最適化された無彩色三刺激値を得るステップ
によって、前記n個の計測から、前記ヒト標準的観察者に基づく色空間の三原色に関して前記光(5)を測定するよう配設された、処理システム(40)
を備え、
前記処理システム(40)は、前記色度が最適化された三刺激値の前記無彩色値で、前記最適化された無彩色三刺激値(16)を除算した比である係数を用いて、前記ステップで得られた前記色度が最適化された三刺激値(15)をスケーリングするよう、配設される、測色計(1)。
【請求項15】
請求項9、10、11のいずれか1項に従って更に配設される、請求項14に記載の測色計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は色測定の分野に関し、より具体的には、三刺激値X、Y、Z又はCIRLAB色空間の原色の値L*a*b*といった、ヒト標準的観察者に基づく色空間の原色の値の測定の分野、特にマルチフィルタベースの測色計及びマルチフィルタベースの撮像測色計の較正、並びにRGB‐撮像系に基づく測色計システムに関する。
【背景技術】
【0002】
測色法の分野では、2つの基本的な測定原理が知られている。第1の原理において、光はスペクトル分解されて測定される。CIE1931XYZ色空間において定義される「標準的な観察者」の眼の感度に従った重み付けとの統合を適用して、三刺激値XYZを受信する。第2の原理においては、フィルタ付き光センサを用いて眼の感度を模倣する。フィルタは、バルクアブソーバ(色ガラスフィルタ)で、又は干渉フィルタを用いて作製される。最大でヒトの視覚の3原色を測定するために、少なくとも3つのフィルタが必要となる。場合によっては、Xチャネルの二重弧特性の技術的実施を容易にするために、4つのフィルタを使用する。フィルタ/センサのペアの感度応答の精度の技術的限界を克服するために、更に多くのチャネルを使用できる。
【0003】
Kosztyanらによる非特許文献1は、多入力チャネル測色計を用いた、公知の三刺激値(従って公知の色度値)を有する複数の試験光源の三刺激値曲線の測定について記載している。この測色計の各入力チャネルは、出力信号を提供する。これら出力信号を用いて、これらの信号に行列を適用することによって3つの補正された三刺激値を計算する。行列は、出力信号を三刺激値に対してマッピングする。行列の要素は、L*a*b*色空間の色距離ΔE*a,bの算術平均、又はL*u*v*色空間の色度差Δ(u,v)の算術平均を最小化することによって決定される。これらの距離は、測定された出力信号に対して行列を適用することによって得られた三刺激値と、試験光源の既知の三刺激値との関数として提供される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Kosztyan et al,“Matrix-based color measurement correction of tristimulus colorimeters”,Applied Optics,Vol.49,No.12,20 April 2010,p.2288‐2302
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によると、異なるスペクトル感度を有するn個の計測を提供するセンサ構成を用いて光を測定するよう(ここでnは4以上の数である)、及びヒト標準的観察者に基づく色空間の3原色の形態で上記光を測定するよう(ここで3原色のうちの1つは無彩色原色である)配設された測色計を較正する方法が提供される。この方法は:
‐既知の3原色の値を有するm個の較正用発光体に対するn個の計測のm個の組を生成し、ここでmはnより大きい数である、ステップ;
‐上記n個の計測によって測定された信号に対して適用した場合に、色度が最適化された原色の値をもたらす、較正係数の第1の組を決定するステップ;及び
‐上記n個の計測によって測定された信号に対して適用した場合に、最適化された無彩色原色の値をもたらす、較正係数の第2の組を、(i)較正係数の第2の組をn個の計測によって測定された信号に適用することによって得られる無彩色原色の値と、(ii)既知の無彩色原色の値との間の、無彩色距離のノルムを最小化することによって、決定するステップ
を含み、
較正係数の第1の組は、(i)較正係数の第1の組をn個の計測によって測定された信号に適用することによって得られる色度値と、(ii)既知の色度値との間の、全ての較正用発光体の色度距離のノルムを最小化することによって決定され、
較正係数の第1の組をn個の計測によって測定された信号に適用して、色度が最適化された三刺激値を得ること、較正係数の第2の組をこれらの信号に適用して、最適化された無彩色三刺激値を得ること、及び色度が最適化された三刺激値の無彩色値で、最適化された無彩色三刺激値を除算した比である係数を用いて、色度が最適化された三刺激値をスケーリングすることによる較正の後に、測色計で光を測定する。
【0006】
第2の態様によると、ヒト標準的観察者に基づく色空間の原色に関する光の測定を提供するための測色計が提供され、上記測色計は、請求項1〜13のいずれか1項の方法によって得ることができる較正係数の組を備える。この測色計は:
異なるスペクトル感度を有するn個の計測を提供し、ここでnは4以上の数である、センサ構成;並びに
較正係数の第1の組を上記センサ構成が提供する信号に適用して、色度が最適化された三刺激値の読み取り値を得るステップ、及び
較正係数の第2の組を上記センサ構成が提供する信号に適用して、最適化された無彩色三刺激値の読み取り値を得るステップ
によって、上記n個の計測から、ヒト標準的観察者に基づく色空間の3原色に関して光を測定するよう配設された、処理システム
を備え、上記処理システムは、色度が最適化された三刺激値の無彩色値で、最適化された無彩色三刺激値を除算した比の係数を用いて、上記ステップで得られた色度が最適化された三刺激値をスケーリングするよう、配設される。
【0007】
第3の態様によると、第1、第2の態様の測色計は、撮像センサを備える。各ピクセルは独立した撮像センサとして処理できるが、これによって空間的に拡張された光分布の測定が得られる。
【0008】
他の特徴は、本開示の方法及びシステムに固有のものであり、当業者には、以下の実施例の説明及び添付の図面から明らかになるであろう。
【0009】
測色計を較正する方法に関する概論
第1の態様によると、測色計を較正する方法が提供される。用語「測色計(colorimeter)」は一般に、光で照明された特定のスポットの色及び光度を測定するデバイスを指す。特に本方法に関しては、ヒト標準的観察者に基づく色空間の原色の読み取り値を提供する、ヒト標準的観察者の色覚を模倣するよう配設された測色計について考える。
【0010】
測色計は、異なるスペクトル感度を有するn個の計測を提供するセンサ構成を用いて光を測定するよう配設される。センサ構成は、光ダイオード、CCD又はCMOSセンサ等の、光を電気信号に変換する素子(光センサ)を備える。これらの光センサは例えば、光源から光センサへのビーム経路内に配置されたフィルタを備える。例えば、6つの素子を、これらに繋がる別個のビーム経路と共に備える光ダイオードアレイが設けられる。この例示的なセンサ構成では、各光ダイオード素子のビーム経路内に、1つの特定のスペクトルフィルタが設けられる。センサ構成を実現するための別の例は、ビーム経路内の各光センサの前に、三刺激値フィルタを配置することである。測色計のセンサ構成は、測色計が測定する光のn個の計測を提供し、ここでnは4以上の数である。
【0011】
計測(sensing)は、測定された光の特定の品質の測定を指し、例えば計測は、センサ構成内のセンサの応答に対応する。例えば1つの計測は、センサ構成のX1センサの応答、例えば光がX1フィルタを透過した後の光ダイオードの応答に対応し、別の計測は、(X2フィルタを有する)X2センサの応答に対応する。X1フィルタ及びX2フィルタは、異なるスペクトル領域における、ヒト標準的観察者の眼の錐体細胞の応答を模倣する。
【0012】
原色のうち、測色計が値を生成する1つの原色は、無彩色原色である。ヒト標準的観察者に基づく色空間の無彩色原色は、光の色ではなく光の強度をもたらす原色である。ヒト標準的観察者に基づく色空間の例は、X,Y,Z色空間(X、Y、Z応答は、ヒト標準的観察者の三刺激値であり、Yは、輝度として定義される無彩色原色である)、xyY色空間(無彩色原色としてYを有する)、CIELAB L*a*b*色空間(L*は「明度(lightness)」とも呼ばれる無彩色原色である)、又はCIELUV L*u*v*色空間(同一の無彩色原色L*を有する)である。
【0013】
第1のアクティビティでは、既知の3原色の値を有するm個の較正用発光体に対して、n個の計測のm個の組を生成し、ここでmはnより大きい数である。従って、合計m個の較正用発光体のうちのそれぞれの較正用発光体に関して、n個の計測が得られる。用語「較正用発光体(calibration illuminant)」は例えば、実際の測色計を照明するために使用される実際の光源を意味する。しかしながら、実際の測色計のコンピュータモデルを用いてコンピュータによって較正をシミュレートする実施形態において使用される模擬光源もまた、用語「較正用発光体」によって包含されるものとする。較正用発光体の3つの原色の値は、測定されるか又は事前に決定されるため、既知である。3原色の値が事前に決定される場合、較正用発光体は例えば、これらの原色及び/又は色度値を有する光を放出する前に較正される。
【0014】
第2のアクティビティでは、本明細書における較正係数の第1の組は更に、「色度が最適化された較正係数の組」を表し、これは上記計測によって測定された信号に対して適用した場合に、ヒト観察者に基づく色空間の、色度が最適化された原色の値をもたらす。用語「色度が最適化された較正係数の組(chromaticity‐optimized set of calibration factors)」及び用語「ヒト観察者に基づく色空間の、色度が最適化された原色の値(chromaticity‐optimized values of the primaries of the human‐observer‐based color space)」は、本文献において、測色計を較正するための方法から得られたこの較正係数の組が、上記計測によって測定された信号に対して適用した場合に、ヒト標準的観察者に基づく空間の原色の値を、全ての対応する較正用発光体に関する色度距離の最小のノルムを有する色度値と共にもたらすことを明確にするために使用される。
【0015】
色度が最適化された較正係数の組は、色度距離のノルムを最小化することによって決定される。色度距離とは、(i)較正係数の組をn個の計測によって測定された信号に適用することによって得られる色度値と、(ii)全ての較正用発光体に関する既知の色度値との間の距離である。特定の例を提供するために、色度距離のノルムは、例えば、較正用発光体に関して得られたこれらの色度距離の二乗平均平方根によって得られる、数学的ノルムである。このノルムは、測色計の測定誤差の絶対値と見做すことができる。
【0016】
色度距離のノルムを最小化する較正係数の組を選択することによって、上記較正係数を備える測色計の、色度値に関する測定誤差が低減される。例えば製造に関わる誤差により、複数のフィルタが不十分なフィルタ機能しか提供しない場合、このような不足を、色度が最適化された較正係数の組によって、上記最小化の結果として補償できる。
【0017】
この較正係数の組の選択は、例えば、非線形最適化アルゴリズム等の反復的数値演算法によって達成される。このような方法は、色度距離のノルムが最小となるまで可変較正係数の組を変化させる。あるいは、色度距離のノルムの最小化は、公知のラグランジュ法等の分析的数値演算法を用いて達成できる。
【0018】
較正係数の組の関数としてのこのような色度距離の決定の例を以下に挙げる。
【0019】
較正用発光体i(iは1〜mの数であり、mは較正用発光体の個数である)を測定することによって得られる6つの計測の組は、ベクトルsiによって与えられ、各ベクトル成分は、発光体iが発生させた測定信号を表す。
【0020】
【数1】
【0021】
計測X1i,LC、X2i,LC、Yi,LC、Zi,LC、Ki,LC、Li,LCはそれぞれ、特定の較正用発光体iに関する、(X三刺激値応答をもたらす)X1フィルタ及びX2フィルタ、Y、Z三刺激値フィルタ、並びに2つの追加の補償フィルタK、Lによって得られた計測を表す。Mx/yは較正係数の組であり、この例では較正係数a11〜a36を有する3×6行列である。
【0022】
【数2】
【0023】
較正係数の組Mx/yは、発光体iに関する原色の値、即ちXi、Yi、Ziに変換される。
【0024】
【数3】
【0025】
色度値は、以下の式によってこれらの原色の値の関数として与えられる。
【0026】
【数4】
【0027】
ここでxcami+ycami+zcami=1である。色度値zcamiは他の2つの色度値に左右され、この例ではxcami、ycamiのみが考慮される。
【0028】
較正用発光体iに関する6つの例示的な計測siの変換によって生成される色度xcami、ycamiと、較正用発光体iの既知の色度xref i、yref iとの間の色度距離Di,chromは、xcami、ycamiを含むベクトルとxref i、yref iを含むベクトルとの間の距離によって与えられる。
【0029】
【数5】
【0030】
この色度距離Di,chromは、例えばL1又はL2ノルムによって定義される。
【0031】
色度距離Di,chromを決定した後、色度が最適化された較正係数の組を、上述のように例えば、全ての対応する較正用発光体に関して色度距離のノルムを最小化する較正係数の組を選択することによって決定する。較正係数の組を選択する際に、色度距離のノルムの例として二乗平均平方根を最小化する特定の例を、以下において更に説明する。
【0032】
第3のアクティビティでは、較正係数の第2の組(本明細書では更に、無彩色原色に関して最適化された較正係数の組と呼ぶ)を決定する。この較正係数の第2の組は、計測によって測定された信号に適用すると、無彩色原色の最適化された強度値をもたらす。用語「無彩色原色に関して最適化された(optimized with respect to the achromatic primary)」及び「無彩色原色の最適化された強度値(optimized intensity value of the achromatic primary)」もまた、本文献において、本方法から得られたこの較正係数の組が、上記計測によって測定された信号に対して適用した場合に、ヒト標準的観察者に基づく空間の原色の値を、全ての較正用発光体に関する無彩色距離の最小のノルム(これは以下で更に説明する)を有する無彩色原色と共にもたらすことを明確にするために使用される。
【0033】
無彩色原色に関して最適化された較正係数の組は、無彩色距離のノルムを最小化することによって決定される。無彩色距離は、(i)較正係数の組をn個の計測によって測定された信号に適用することによって得られる無彩色原色の値と、(ii)全ての較正用発光体に関する既知の無彩色原色の値との間の距離として定義される。特定の例を提供するために、この無彩色距離のノルムもまた、較正用発光体に関して得られたこれらの無彩色距離の二乗平均平方根等の、数学的ノルムである。無彩色距離のノルムもまた、測色計の測定誤差の絶対値と見做すことができる。
【0034】
従って上述のように、及び以下に説明するように、このような無彩色に関して最適化された較正係数の組の決定は例えば、上記無彩色距離のノルムを最小化する較正係数の組を選択することを含む。
【0035】
色度が最適化された較正係数の組の決定に関連して既に説明したように、この較正係数の組を選択することによって、無彩色原色に関して最適化されたこれらの較正係数を備える測色計の測定誤差が低減される。較正係数の組(選択される最適化された較正係数の組の関数である)はまた、例えば、無彩色距離のノルムが最小化されるように選択される。複数の較正用発光体に関して得られるこれらの無彩色距離のノルムの例として二乗平均平方根を最小化する特定の例を、以下において更に説明する。
【0036】
この較正係数の組の選択は、例えば非線形最適化アルゴリズム等の反復的数値演算法によって達成される。これらの方法は、色度距離のノルム又は無彩色距離のノルムが最小となるまで可変較正係数の組を変化させる。
【0037】
あるいは、色度距離のノルムを最小化する較正係数の組の選択に関連して上述したものと同様に、無彩色距離のノルムを最小化するこの較正係数の組は、例えば分析的数値演算法を用いて達成される。
【0038】
無彩色距離の決定の例を以下に説明する。上述の例で既に導入した、計測siによって測定された6つの信号は、行列MYによって表される較正係数の組によって、以下のように無彩色原色Y0iに変換される。
【0039】
【数6】
【0040】
Yは、b11〜b36のエントリ(較正係数)を有する3×6行列である。
【0041】
【数7】
【0042】
この例ではX0i、Z0iは重複しており、従って上記変換は、以下の式によって示されるように、較正係数b11〜b16を有する1×6行列によっても達成できる。
【0043】
【数8】
【0044】
無彩色距離Di,achrom、即ちY0iと、較正係数iの既知の無彩色原色、即ちYref iとの間の距離は、以下の式によって与えられる。
【0045】
【数9】
【0046】
この差Di,achromは、例えばL1又はL2ノルムによって定義される。
【0047】
色度距離Di,chromを決定した後、無彩色原色に関して最適化された較正係数の組を、上述のように例えば、対応する較正用発光体に関して無彩色距離のノルムを最小化する較正係数の組を選択することによって決定する。
【0048】
無彩色距離のノルムを最小化する較正係数の組を選択するアクティビティと、色度距離のノルムを最小化する較正係数の組を選択するアクティビティとは、互いに独立して実施される。
【0049】
結果として得られた、色度が最適化された較正係数の組は、全ての較正用発光体の色度距離のノルムを最小化する較正係数の組に対応し、その一方で、結果として得られた、無彩色原色に関して最適化された較正係数の組は、全ての較正用発光体の無彩色距離のノルムを最小化する較正係数の組に対応する。
【0050】
これら2つの選択アクティビティを分離することによる1つの結果は、n個の計測によって測定された信号に対して色度が最適化された較正係数の組を適用することによって得られる、無彩色原色の強度値が、上記信号に対して無彩色原色に関して最適化された較正係数の組を適用することによって得られる無彩色原色の強度値とは異なるというものである。前者は、最適化された色度値を有する原色の値の組の一部であり、後者は、最適化された強度値それ自体である。
【0051】
上記選択アクティビティの実施は同時に、色度が最適化された較正係数の組も、無彩色原色に関して最適化された較正係数の組ももたらさない。無彩色原色(ある時は色度距離のノルムを最小化するよう選択された較正係数の組の関数として表現され、ある時は無彩色距離のノルムを最小化するよう選択された較正係数の組の関数として表現される)は、第1の選択アクティビティの一部にも、第2の選択アクティビティの一部にもなる。その結果、第1及び第2の選択アクティビティが満たすべきこれらの対立する基準の間の妥協が、無彩色原色に影響を与える較正係数の組の一部分に関して見いだされる。従ってこれら2つの較正係数の組はいずれも最適とならない。
【0052】
これら両方の較正係数の組によって、較正後に光を測定する際に、測色計は、色度において及び無彩色原色に関しての両方が最適化された読み取り値を提供できる。
【0053】
用語「読み取り値(reading)」は、3原色に関する光の最終的な測定値を指す。
【0054】
本方法によって得られる較正係数の2つの組は、(i)色度が最適化された較正係数の組、(ii)無彩色原色に関して最適化された較正係数の組である。測色計は、較正後に光を測定するよう配設される。また、異なる複数のフィルタを備える光ダイオードアレイといった測色計の機能要素を用いて上述のようなn個の計測を得るカメラは、上述の意味において測色計として理解されるものとする。
【0055】
測色計は、較正係数の2つの組によって、色度において及び無彩色原色に関しての両方が最適化された読み取り値を提供する。色度が最適化された較正係数の組により、測色計は、xyYヒト観察者に基づく色空間内の色度値xyの最適化された読み取り値を提供できる。
【0056】
上述の例では、計測siによって測定された信号に対して適用した場合に、最適化されたx/y色度値を有する、色度が最適化された較正係数。最適化された色度の読み取り値x/yは、較正係数の組を適用することによって得られた三刺激値の関数であるため、これらの三刺激値から得ることができる。
【0057】
【数10】
【0058】
無彩色原色に関して最適化された較正係数の組により、測色計は、例えばxyY色空間における無彩色原色の値Y、又はCIELAB若しくはCIELUV色空間におけるL*の、最適化された読み取り値を提供できる。
【0059】
較正用発光体を用いた照明によるn×m個の計測の生成に関する解説
上述の第1のアクティビティにおいて、既知の3原色の値を有するm個の較正用発光体に関して、n個の計測のm個の組が生成される。
【0060】
いくつかの実施形態では、測色計は、(上述の模擬較正用発光体とは対照的に)異なるスペクトルを有する実際の較正用発光体を用いて、別個に照明される。異なるスペクトルを有するこのような実際の較正用発光体は例えば、発光ダイオード(LED)、タングステンランプ、ハロゲンランプ、蛍光光源等である。しかしながら、用語「較正用発光体(calibration illuminant)」は、異なるスペクトルを有する光源全般に関する。従って、例えばその温度、又は発光体の発光構成部品の化学組成を調整することによって、異なるスペクトルの光を放出するように駆動される、単一の光源も、用語「較正用発光体」に包含される。複数の光源の異なる群が同時に光を放出する場合、これもまた「較正用発光体」と見做される。ここで測色計は複数の光源の異なる群によって別個に照明され、上記異なる群はそれぞれ、1つの較正用発光体に相当する。
【0061】
計算によるn個の計測のm個の組の生成に関する解説
いくつかの実施形態では、n個のセンサのスペクトル感度及び較正用発光体のスペクトル放出を測定することによって、n個の計測のm個の組を生成する。n個の計測が計算される。n個の計測は例えば、n個のセンサの測定されたスペクトル感度及び較正用発光体の測定されたスペクトル放出を用いて、センサ構成のコンピュータモデルを適用することによって計算される。
【0062】
基準分光計によって得られる較正用発光体の原色の既知の値に関する解説
上述のように、較正用発光体のヒト標準的観察者に基づく色空間の3原色の既知の値は、測定されるか又は事前に決定される。対応する無彩色原色の値及び/又はこれらの原色の色度値は例えば、色合わせ機能を用いて、測色計と、高品質分光計等の極めて精密な基準分光計とを照明して、原色の値を得ること、及び同時に同一の較正用発光体を測定することによって測定される。
【0063】
従って、測色計及び基準分光計は、同一の較正用発光体で照明され、これらの較正用発光体の既知の原色の値は、上記基準分光計を用いた各較正用発光体の光の測定によって得られる。
【0064】
較正後に光を測定してXYZ読み取り値を生成することに関する解説
上述のように、測色計で光を測定する際、色度が最適化された較正係数の組を、センサ構成が提供する、上記光から発生する信号に適用して、色度が最適化された原色の値を得る。無彩色原色に関して最適化された較正係数の組もこれら信号に適用して、最適化された無彩色原色の値を得る。
【0065】
これは例えば、色度が最適化された較正係数の組を表す上述の例の行列Mx/yに、計測によって測定された信号のベクトルsを乗算し、無彩色原色に関して最適化された較正係数の組を表す上述の例の行列Myに、同一のベクトルsを乗算することによって実施される。
【0066】
【数11】
【0067】
【数12】
【0068】
計測によって測定された信号に対して、色度が最適化された較正係数の組Mx/yを適用することによって、色度について最適化された読み取り値x/yと共に原色の値が得られ、その一方で、無彩色原色MYに関して最適化された較正係数の組を適用することによって、無彩色原色に関して最適化された読み取り値Yが得られる。xyY色空間における最適化された読み取り値を得ることになり、かつx/y読み取り値が最適化された(X’,Y’,Z’)読み取り値に由来するものであった場合、これらx/y読み取り値とX読み取り値との組み合わせは既に、xyY色空間における所望の読み取り値となっている。
【0069】
例えば、最適化された色度値x/y及び最適化された無彩色原色Y(ここで、最適化された無彩色原色Yは「最適化された無彩色三刺激値(the optimized value of the achromatic tristimulus)も呼ばれる)を有する三刺激値(X,Y,Z)が、所望の読み取り値である場合、これら2つの読み取り値及び対応する較正係数を例えば以下のように用いて、これらX,Y,Z読み取り値を提供する。色度において及び無彩色原色に関しての両方が最適化された読み取り値を提供する。
【0070】
色度の最適化された読み取り値x/yは、無彩色原色の最適化された強度値Y0及び色度が最適化された原色のうちの無彩色原色の強度値Y’を含む係数を用いてスケーリングされる。
【0071】
このスケーリングを実施することによって、色度が最適化されたこれら原色の値の色度値は不変のままとなり、これにより、色度が最適化された原色の値の色度値は、較正用発光体の既知の色度値に対して最小の色度距離を有したままとなる。従って、例えば三刺激色度値は、スケーリングに関わらず最適なままである。これは、3つの原色の値全てに等しく適用される、色度によって乗算される全ての係数、例えば以下に示す係数3が約分され、従って色度に何ら影響を及ぼさないという事実によって説明される。これは、三刺激値原色X、Y、Z及びこれらそれぞれの色度値x、yの例によって実証できる。
【0072】
【数13】
【0073】
このスケーリング係数は例えば、これら2つの原色の値f(Y0,Y’)(色度が最適化された原色の読み取り値のうちの無彩色原色の読み取り値、及び最適化された無彩色原色の読み取り値)の関数である。このような例示的なスケーリング操作は数学的には以下のように表現される。
【0074】
【数14】
【0075】
この表現において、色度が最適化された原色の読み取り値X’、Y’、Z’を表すベクトルに、係数f(Y0,Y’)を乗算して、測色計が生成する原色の最終的な読み取り値、即ちXfinal、Yfinal、Zfinalを得る。
【0076】
係数f(Y0,Y’)は例えば、色度が最適化された原色の読み取り値(X’,Y’,Z’)と、最適化された無彩色原色Y0の読み取り値との間の比、例えばY0/Y’によって与えられ、これにより原色の最終的な読み取り値は以下によって与えられる。
【0077】
【数15】
【0078】
この例示的な比を用いてスケーリングを実施することによって、色度が最適化された無彩色原色Y’は、最適化された無彩色原色Y0に変換され、ここで色度が最適化された原色の色度値X’、Y’、Z’は不変のままである。
【0079】
このスケーリングの結果は、色度において及び無彩色原色Yに関しての両方が最適化された、原色の最終的な読み取り値X、Y、Z(三刺激値)である。
【0080】
色度が最適化された較正係数の組を適用するだけでは、色度が最適化された較正係数の組が無彩色原色もシフトさせるため、無彩色原色Yの読み取り値は結果として最適でないものとなる。
【0081】
色度距離及び/又は無彩色距離に関する解説
いくつかの実施形態では、色度距離及び/又は無彩色距離は、ユークリッド距離である。一般的な表現では、上述の例から得られる色度差Di,chromは以下によって与えられる。
【0082】
【数16】
【0083】
この色度距離は本実施形態ではユークリッド距離であり、以下の式によって与えられる。
【0084】
【数17】
【0085】
一般的な表現では、上述の例から得られる無彩色差Di,achromは以下によって与えられる。
【0086】
【数18】
【0087】
この色度距離は本実施形態ではユークリッド距離であり、以下の式によって与えられる。
【0088】
【数19】
【0089】
色度距離及び/又は無彩色距離としてユークリッド距離を用いることにより、これらの距離はユークリッド空間内の距離に対応する。ユークリッド距離は正定値であり、即ち距離Di,achrom及びDi,chromに関して正の値しか発生しない。従って、無彩色距離又は色度距離のノルムとして二乗平均平方根を用いてこれらの距離を最小化する場合、二乗平均平方根は、色度距離又は無彩色距離を最小化することによってのみ最小化できる。全ての被加数が常に正であり、互いに相殺できないため、これは常に成り立つ。
【0090】
二乗平均平方根を最小化することによって色度距離及び無彩色距離を得ることに関する解説
いくつかの実施形態では、色度距離のノルムは、m個の較正用発光体に関して得られる色度距離の二乗平均平方根であり、及び/又は無彩色距離のノルムは、m個の較正用発光体に関して得られる無彩色距離の二乗平均平方根である。
【0091】
従って、この例における色度距離のノルムは、色度差Di,chromの二乗平均平方根Fchromによって与えられ、これは以下のように表される:
【0092】
【数20】
【0093】
ここでmは、色度差Di,chromが決定される較正用発光体の個数である。
【0094】
色度距離のノルムは、以下のように最小化される。
【0095】
【数21】
【0096】
この最小化は例えば、上述の反復的数値演算法を用いて実施される。このような反復的数値演算法は、二乗平均平方根の最小値が見られるまで、可変較正係数の組を反復的に変化させることを含む。適用可能な数値演算法の例は、ネルダー‐ミードアルゴリズム、又はパウエルアルゴリズム等のその他の非線形プログラミングアルゴリズムである。
【0097】
可変較正係数の上記変化のための開始値として、例えば過去に記憶された較正係数を使用できる。
【0098】
あるいは、較正係数の組に関する分析的解は、測定される計測の個数nが較正用発光体の個数mと等しい場合に決定できるため、選択される較正に関する問題の解である較正係数の組を、上記変化の開始値として使用できる。有利には、これらの開始値を決定する際、幅広いスペクトルを包含するn個の較正用発光体を選択する。
【0099】
計測によって測定された信号に色度が最適化された較正係数を適用することによって得られた、原色の色度値は、(i)較正係数を適用することによって得られた、原色の色度ではなく原色(Xcam i,Ycam i,Zcam i)そのものと、(ii)較正用発光体の既知の原色(Xref i,Yref i,Zref i)との間の差を最小化することによって決定された原色の色度値からよりも、較正用発光体の既知の色度値からの残留偏差が小さい。
【0100】
このような差は、較正用発光体iに関して以下のように与えられる。
【0101】
【数22】
【0102】
従ってこれらの差の二乗平均平方根Fcolorは、以下によって与えられる。
【0103】
【数23】
【0104】
色度が最適化された較正係数の組が、この二乗平均平方根Fcolorによって決定されるとすると、計測によって測定された信号にこの組を適用することによって得られた原色に関する色度の読み取り値は一般に最適なものではない。
【0105】
あるいは、又は更に、無彩色距離のノルムは、m個の較正用発光体(mはnより大きい数である)に関して得られた無彩色距離の二乗平均平方根である。
【0106】
この無彩色距離Di achromの二乗平均平方根Fachromは以下によって与えられる。
【0107】
【数24】
【0108】
ここでmは、無彩色差Di achromが決定される較正用発光体の個数である。
【0109】
従って、上述のようにノルムを最小化することによって、無彩色原色に関して最適化された較正係数の組を得るための基準は、以下のように表される。
【0110】
【数25】
【0111】
この最小化は、例えば上述のような反復的数値演算法を用いて実施される。
【0112】
「限界及びペナルティ(limit and penalty)」に関する解説
いくつかの実施形態では、色度距離の二乗平均平方根の被加数は均一の重みを有するか、又は均一でない重みを有する、即ち被加数のうちの少なくとも1つが、別の被加数の重みよりも高い若しくは低い重みで重み付けされる。
【0113】
各被加数に関する重みを含む、色度距離の例示的な二乗平均平方根は、以下によって与えられる。
【0114】
【数26】
【0115】
ここでwiは較正用発光体iの重みであり、Di,chromはこの較正用発光体に関する色度距離である。
【0116】
重量が均一でない場合、重み付け係数が高くなればなるほど、特定の較正用発光体に関する色度距離が高くなり、反復的数値演算法又は変動法によってこの色度距離が優先される。従って、特定の較正用発光体に関する色度距離、又は複数の較正用発光体の特定の群に関する色度距離は、例えば、他の較正用発光体に関する色度距離を犠牲にして最小化されることになる。
【0117】
あるいは、又は更に、いくつかの実施形態では、無彩色距離の二乗平均平方根の被加数は、均一の重みを有するか、又は均一でない重みを有する、即ち被加数のうちの少なくとも1つが、他の被加数の重みよりも高い若しくは低い重みで重み付けされる。
【0118】
重み付けされた被加数による無彩色距離の例示的な二乗平均平方根は、以下によって与えられる。
【0119】
【数27】
【0120】
ここでwiは較正用発光体iの重み付け係数であり、Di,chromはこの較正用発光体に関する無彩色距離である
【0121】
均一な重み又は均一でない重みを有する被加数に対する反復的数値演算法又は変動法の挙動を合わせた、色度距離の二乗平均平方根に関する上述の考察は、無彩色距離の二乗平均平方根に関しても当てはまる。
【0122】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの色度距離及び/又は少なくとも1つの無彩色距離が、可変較正係数の組を変化させる際の標的値を所定のペナルティ距離だけ超過したことに応答して、上記少なくとも1つの超過した色度距離及び/又は少なくとも1つの超過した無彩色距離は、可変較正係数の組の後続の変動において、可変較正係数の組の以前の変動よりも高い重み付けを与えられ、ここで上記超過した色度距離及び/又は超過した無彩色距離は、このペナルティ距離を超過していない色度距離及び/又は無彩色距離よりも高い重み付けを与えられる。
【0123】
このペナルティ距離は、標的値からの所定の距離である。標的値は任意に選択できる(事前に決定できる)か、又は色度距離の二乗平均平方根若しくは無彩色距離の二乗平均平方根といった、色度距離若しくは無彩色距離の対応するノルムの瞬間値であってよい。
【0124】
早い段階において、多数の色度距離/無彩色距離に対してペナルティを与えると、標準的な非線形プログラミングアルゴリズムの数理的に不安定な挙動に繋がり得るため、この「限界及びペナルティ」機構は例えば、反復的数値演算法の複数回の「ウォームアップラン(warm up runs)」の後に適用される。
【0125】
無彩色又は色度距離のノルム、例えばこれらの距離の二乗平均平方根において、超過した色度距離/無彩色距離の重みを増加させることにより、上記超過した色度距離/無彩色距離は、最小化されるべき他の色度距離/無彩色距離を犠牲にして最小化される。
【0126】
しかしながら、この機能を適用した場合、色度距離/無彩色距離に関する全体として結果はより均一なものとなり、即ちペナルティ距離によって定義される標的値周辺の範囲内に収まる。
【0127】
同時に得られるn個の計測に関する解説
いくつかの実施形態では、センサ構成は、n個の計測を同時に提供するために、対応するn個の光センサに結合された、異なるスペクトル感度を有するn個のフィルタを備えるn個のフィルタ‐光センサを備える。
【0128】
フィルタ光センサは、光を電気信号に変換する、光ダイオード、電荷結合素子(CCD)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)光センサといった光センサと、対応するフィルタとを備える。フィルタは例えば、X1、X2、Y又はZフィルタ等の色フィルタである。この実施形態では、少なくとも4つのフィルタを用いて少なくとも4個の計測を得る。
【0129】
これらn個のフィルタは例えば、測定される光に対面するよう、対応する光センサ上、即ち上記光のビーム経路内に配置される。例えば、6つのサブアレイを、これらに繋がる別個のビーム経路と共に備える光センサのアレイが設けられる。この例示的なセンサ構成では、各サブアレイのビーム経路内に異なるフィルタが設けられる。
【0130】
これらのフィルタは異なるスペクトル感度を有する。上述の効果に加えて、例えば、特定のスペクトル範囲において正確なフィルタ機能を提供するものの、他のスペクトル範囲においてはやや不正確である、フィルタの第1の組を使用できる。このフィルタの第1の組は例えば、第1のフィルタの組が不正確であるスペクトル範囲において正確なフィルタ機能を提供し、かつ第1のフィルタの組が正確なフィルタ機能を提供するスペクトル範囲においてやや不正確である、第2のフィルタの組によってサポートされる。
【0131】
CCD要素、CMOS要素又は光ダイオード等のn個の光センサに対面するn個の異なるフィルタを備えるセンサ構成によって、同一の光が測定されるため、少なくとも4つの計測、従って上記計測によって測定される対応する少なくとも4つの信号が同時に得られる。
【0132】
n個の計測の順次取得に関する解説
いくつかの実施形態では、センサ構成は、異なるスペクトル感度を有するn個の可動フィルタと、1つの光センサとを備え、これらフィルタはフィルタリング位置に順次移動して、n個の計測を順次提供する。
【0133】
センサ構成は例えば、CMOSセンサ等の1つの光センサと、この光センサへのビーム経路内に移動できるフィルタ構成とを備える。フィルタ構成は例えば10個のフィルタを有し、これらはフィルタリング位置へ、例えば光センサに繋がるビーム経路内へと移動する。従って、10個の計測を得るために、異なるフィルタがフィルタリング位置へと移動する10回の測定サイクルを実施しなければならない。
【0134】
単色カメラ
いくつかの実施形態では、空間的に拡張された光分布を測定するために配設された単色カメラの光センサを、光センサとして用いる。単色カメラは、例えば数百万のピクセルの光を同時に測定できる。使用される光センサは例えば、CCD又はCMOSセンサを備える。
【0135】
CCD又はCMOSセンサを光センサとして使用すると、これらは例えば光ダイオードアレイに比べて、暗電流等のノイズが少ない傾向があるため、有利である。
【0136】
例えばn個のフィルタをフィルタリング位置に順次移動させ、数百万のピクセルそれぞれに関して計測を測定することによって、n個の計測が得られる。本明細書に記載の方法によると、色度が最適化された較正係数の組及び無彩色原色に関して最適化された較正係数の組を、特定のスポット、例えばカメラ及び各フィルタが測定する光分布の中央のピクセルに関して決定できる。
【0137】
この特定のスポットに関して得られた、色度が最適化された較正係数及び無彩色原色に関して最適化された較正係数、並びにXYZ原色の値は、測色計によって生成される所望の読み取り値である。というのは、空間的光分布の各ピクセルは、色度が最適化された原色のセットを、最適化された無彩色原色と、色度が最適化された原色の無彩色原色とを含む係数によってスケーリングすることによって得られるためである。従って、光分布の特定のスポット、例えば光分布の中央の特定のピクセルに関して得られる較正係数を適用することによって、測定された空間的に拡張された光分布の各ピクセルのXYZ原色が得られる。
【0138】
あるいは、測定された拡張された光分布の各ピクセルに関して、較正係数の両方の組を得て、これを用いて、空間的に拡張された光分布の各ピクセルに関して、測色計によって生成された原色が得られる。
【0139】
較正用発光体としての狭帯域光源に関する解説
いくつかの実施形態では、較正用発光体のうちの少なくとも1つは、10nm〜50nmの範囲の半値全幅を有する波長分布を有する。
【0140】
このような較正用発光体の例は、発光ダイオード(LED)である。この範囲の半値全幅を有する較正用発光体を用いることによって、連続した半値全幅を有する複数の較正用発光体を測定でき、ここで波長分布の全てのピークは可視光の範囲、即ち360〜830nmの範囲内にある。可視光は、ヒト標準的観察者が知覚する光であり、従って、ヒト標準的観察者に基づく色空間の原色の値を生成する測色計を較正するために特に適している。これらの比較的狭帯域の光源に加えて、タングステンランプ等の広帯域光源も較正用発光体として使用できる。
【0141】
いくつかの実施形態では、較正用発光体の大半、又は場合によっては全ては、10nm〜50nmの範囲の半値全幅を有する。このような(比較的狭帯域の)波長分布を有する光を測定する場合、一般的な三刺激値フィルタは、正確でないフィルタ信号を生成する場合が多い。このような一般的な三刺激値が、較正対象の測色計のセンサ構成に実装されている場合、このような較正用発光体を較正用発光体として使用すると有利である。というのは、本明細書に記載の較正方法によって、色度が最適化された較正係数の組及び/又は無彩色原色に関して最適化された較正係数の組を、三刺激値フィルタを備えるセンサ構成によって得られた計測信号に事前に適用することによって、上記一般的な三刺激値フィルタの不正確なフィルタ信号が補償されるように、較正係数の組が選択されるためである。
【0142】
異なる複数の、ヒト標準的観察者に基づく色空間に対する、方法の適用に関する解説
いくつかの実施形態では、xyY、CIELAB又はCIELUV色空間に関して、色度において及び無彩色原色に関して最適化された読み取り値が得られる。
【0143】
色度が最適化された較正係数の組及び無彩色原色に関して最適化された較正係数の組を決定することによって、測色計は、ヒト標準的観察者に基づく色空間の色度において及び原色の無彩色原色に関して、最適化された読み取り値を生成できる。上述の例では、色空間xyYに関するこのような較正係数の決定について詳細に説明した。(i)xy及び(ii)Yに関する値は、(i)計測によって測定された信号に色度が最適化された較正係数の組を適用して、得られた三刺激値原色の関数として最適化された色度読み取り値を決定すること、及び(ii)計測によって測定された上記信号に、無彩色原色に関して最適化された較正係数の組を適用して、得られた無彩色原色を、上記無彩色原色に関する最適化された読み取り値として使用することによって得られた。
【0144】
更に、計測によって測定された信号に較正係数の組を適用することによって、色度において最適な読み取り値を有する三刺激値原色、及び無彩色原色に関する最適な読み取り値を、一括して得る方法、即ち上述のスケーリング操作について、説明した。
【0145】
しかしながら、較正係数によって測色計が、CIELAB原色L*a*b*又はCIELUV原色L*u*v*の最適化された読み取り値を生成できるようにする実施形態では、これらの原色に関連する色度値に関して色度距離が得られ、またこれらの色空間の無彩色原色に関して無彩色距離が得られる。
【0146】
測色計を較正する方法を適用することによって、CIELAB又はCIELUV原色に関する上述のような最適化された読み取り値を得る場合、計測によって測定された信号を、XYZ色空間の読み取り値からL*a*b*色空間又はL*u*v*色空間への変換において使用される基準白点、例えばXn、Yn、Znの光に対して、標準化しなければならない。
【0147】
色度距離は例えば、L*u*v*色空間の原色の値に関連する色度値を用いて決定する。L*u*v*‐色度が最適化された較正係数の組Mu'/V'によるXi、Yi、Ziへの変換は例えばこの場合、以下によって与えられる。
【0148】
【数28】
【0149】
i、Yi、Zi関連色度値xcam i、ycam iから、L*、u*、v*関連色度値u’cam i、v’cam iへの、及びXi、Yi、Ziからu’cam i、v’cam iへの数学的変換は、以下によって与えられる。
【0150】
【数29】
【0151】
【数30】
【0152】
L*、u*、v*関連色度値u’ref i、v’ref iへの各発光体iに関する色度距離は、以下によって与えられる。
【0153】
【数31】
【0154】
例えばこれらの色度距離の二乗平均平方根を最小化することによって得られた、色度が最適化された較正係数を、計測によって測定された信号に適用することによって、色度が最適化された三刺激値原色X’、Y’、Z’が得られる。この文脈において、「色度が最適化された(chromaticity‐optimized)」は、これら三刺激値X’、Y’、Z’のCIELUV色度値u’、v’の色度距離の二乗平均平方根が最小であるものの、これらの原色の三刺激値色度値x、yの色度距離の二乗平均平方根は最小でない場合があることを意味する。
【0155】
L*u*v*色空間の無彩色原色L*に関して最適化された較正係数の組を得るために、Y0iを例えば、各数学的変換及び無彩色差:
【0156】
【数32】
【0157】
を適用することによって、L*0iの関数として表現できる。
【0158】
これら無彩色差のノルム、例えばこれらの距離の二乗平均平方根を最小化することによって、無彩色原色に関して最適化された較正係数の組を決定する。
【0159】
2つの較正係数の組を決定した後、計測によって測定された信号に各較正係数の組を適用することによる較正の後に光を測定する際に、色空間L*u*v*の色度及び無彩色原色に関して最適化された読み取り値を得ることができ、これにより、色度値u*v*に関して最適化された三刺激値と、無彩色原色L*に関して最適化された三刺激値とを得られる。これらの三刺激値をL*、u*、v*読み取り値に変換することによって、色度値u*、v*及び無彩色原色値L*が最適であるL*u*v*読み取り値が得られる。
【0160】
L*及びu*v*の両方に関する最適値に対応する三刺激値を得なければならない場合、例えば上述のように、色度が最適化された三刺激値の無彩色原色を、最適化された無彩色原色Yを含有する係数を用いてスケーリングすることによって、複数の較正係数の組を併用できる。
【0161】
CIELUV色空間の原色L*、u*、v*と併せた上述のアクティビティはまた、同様の様式で原色L*、a*、b*に関する較正係数の組を決定するために適用できる。アクティビティは同一であるが、原色L*、a*、b*からその色度値a、bへの数学的変換は異なる。
【0162】
較正係数の組を備える測色計に関する解説
第2の態様によると、ヒト標準的観察者に基づく色空間の原色に関して光の値を測定するための測色計が提供される。この測色計は、上述のような測色計を較正するための方法によって得ることができる較正係数の組を備える。これは、上述の方法と数学的に同等の方法によって得られる較正係数が、保護が必要とされる目的物によって包含されることを意味する。例を提供するために、1を2で除算する方法によって得ることができる結果は0.5であり、2を4で除算する、数学的に同等の方法は、同一の結果をもたらす。較正係数の組は例えば、測色計の物理メモリ、例えば測色計のフラッシュメモリ等の不揮発性メモリに記憶され、篩較正係数を置換する。
【0163】
測色計は例えば、異なるスペクトル感度を有する光のn個の計測を提供するセンサ構成を備え、nは4以上の数である。
【0164】
センサ構成は例えば、n個の計測によって光を同時に測定するよう配設された、異なるスペクトル感度を有するn個の光センサ及びn個のフィルタの組み合わせを備える。これらのフィルタ光センサは例えば、光ダイオード、電荷結合デバイス(CCD)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサといった、光を電気信号に変換する光センサと、フィルタとを含む。フィルタは例えば、測定される光に対面するよう、光センサ上、即ち上記光のビーム経路内に配置される。例えば、このようなCMOS又はCCDセンサのアレイ(ここで各CMOS又はCCDセンサは対応するフィルタに連結されている)を、センサ構成として設ける。
【0165】
他の例では、光センサ構成は、1つ又は複数の光センサのビーム経路内へと移動できるフィルタ構成を備え、ここで、フィルタを通過する光を測定するために設けられる光センサの個数は、フィルタ構成のフィルタの個数よりも少ない。フィルタ構成は例えば10個のフィルタを有し、これらはフィルタリング位置へ、例えばCCDセンサに繋がるビーム経路内へと移動する。このような例示的なセンサ構成を設ける場合、10個の計測を得るために、異なるフィルタがフィルタリング位置へと移動する10回の測定サイクルが必要となる。
【0166】
測色計は更に、n個の計測から、ヒト標準的観察者に基づく色空間の3原色に関する光の値を決定するよう配設された、処理システムを備える。従ってこの処理システムは、少なくとも4つの計測によって測定された信号を、色度が最適化された較正係数の組及び無彩色原色に関して最適化された較正係数の組等の、三刺激値に対してマッピングするよう配設される。
【0167】
処理システム自体は例えば、計測によって測定された信号を提供する少なくとも1つのインタフェースに接続された中央演算処理装置(CPU)と、上記CPUに接続された、較正係数が記憶された中央メモリとを備える。CPUは、以下において更に説明される方法を実施するようプログラムされる。あるいは処理ユニットは、行列操作を実施できる加算器及び乗算器回路のアレイ等の複数の集積回路、並びに除算器等の他の集積回路で置換される。
【0168】
処理システムは、以下のアクティビティ(i)、(ii)によって、ヒト標準的観察者に基づく色空間の3原色に関する光の値を決定するよう配設される。
【0169】
(i)色度が最適化された較正係数の組を、センサ構成が提供する、上記光から発生する信号に適用して、色度が最適化された原色の値を得ること。
【0170】
このアクティビティ(i)は例えば、色度が最適化された較正係数の組を表す行列Mx/yに、計測によって測定された信号のベクトルsを乗算することによって実施される。
【0171】
【数33】
【0172】
(ii)無彩色原色に関して最適化された較正係数の組を、センサ構成が提供する、上記光から発生する信号に適用して、無彩色原色の最適化された強度値を得ること。このアクティビティ(ii)は例えば、無彩色原色に関して最適化された較正係数の組を表す行列MYに、同一のベクトルsを乗算することによって実施される。
【0173】
【数34】
【0174】
ヒト標準的観察者に基づく色空間xyYの原色が、測色計によって得られる最適化された読み取り値として望まれる場合、x/yにおける最適化された読み取り値は、計測によって測定された信号に色度が最適化された較正係数の組を適用して、得られた色度が最適化された三刺激値(X’,Y’,Z’)の色度値を決定することによって得ることができる。Yにおける最適化された読み取り値はY0である。従って読み取り値を、計測によって測定された信号sに、無彩色原色に関して最適化された較正係数の組を適用することによって、直接得ることができる。
【0175】
処理システムは、計測によって測定された信号に、これら2つの較正係数の組を一括して適用するよう配設してよい。
【0176】
従って処理システムは更に:(i)色度が最適化された値(X’,Y’,Z’)を、最適化された無彩色原色の読み取り値Y0及び色度が最適化された原色(X’,Y’,Z’)の読み取り値のうちの無彩色原色の読み取り値Y’を含む係数でスケーリングすることによって、色度x/yにおいて及び無彩色原色Yに関しての両方が最適化された、原色の読み取り値を得るよう配設される。この係数は例えば上述のように、上述の無彩色原色Y’で除算した最適化された無彩色原色の読み取り値Y0である。
【0177】
このスケーリングを実施することによって、第1の態様に関連して上述したように、色度が最適化されたこれら原色の読み取り値の色度値は不変のままとなる。このような例示的なスケーリング操作は、数学的に以下のように表現される。
【0178】
【数35】
【0179】
この例では、得られた読み取り値Xfinal、Yfinal、Zfinalは、測色計が生成した原色X、Y、Zの読み取り値である。
【0180】
これより、添付の図面も参照しながら、本発明の例示的実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0181】
図1図1は、測色計のための例示的な較正用構成を示す。
図2図2は、較正係数の組を決定するため、及び光を測定する際のこれら較正係数の使用のための例示的方法のブロック図である。
図3図3は、図2のブロック図のサブルーチンである、色度が最適化された較正係数の組を選択するブロック図である。
図4図4は、図2のブロック図のサブルーチンである、無彩色原色に関して最適化された較正係数の組を選択するブロック図である。
図5図5は、6個の計測を同時に提供するために配設された6つのフィルタを備える例示的な光センサ構成の概略断面図である。
図6図6は、6個の計測を順次提供するために配設された1つのフィルタホイールを備える例示的な光センサ構成の断面図である。
図7図7は、較正係数の組を備える測色計の概略図である。
図8図8は、フィルタ及びこれら三刺激値フィルタの不足分を補償する2つの追加のフィルタの透過曲線を示す。
図9図9は、従来技術による方法(100)によって、及び本発明による方法(101)によって決定された、20個の発光体の組に関するxy色空間内での色度距離の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0182】
図1
測色計のための例示的な較正用構成、この特定の場合においては撮像測色計1を、図1に示す。撮像測色計1は、均一光源2からの異なるスペクトルの光で照明される。均一光源2は、発光制御ユニット4に接続された照明ユニット3を備える。照明ユニットは、異なる複数の較正用光源8のアレイを備え、上記較正用光源8は例えば異なる色のLED又はタングステンランプであり、較正用発光体を表す。図1には、照明ユニットの断面図も示す。発光制御ユニット4は、照明ユニットに、異なる複数の較正用光源8を順次作動させることによって均一光源2の本体へと異なるスペクトルの光を放射させる。均一光源2は積分球として実現される。照明ユニットの光は上記球の内側表面から拡散するように反射され、これによって、上記球の内側表面に沿った光の均一なスペクトル放射が達成される。その結果、積分球は、均一なスペクトル放射を有する照明ユニットの光を送出するのに特に適している。次に照明ユニット3は、均一光源本体を光で充填する。均一光源は、この光5を撮像測色計1へと均一に連結される。基準分光計6は、色適合関数と光5の測定されたスペクトル値とのたたみ込みをとることによって、基準三刺激値及び基準色度値を得る。基準分光計及び較正対象の測色計は共に、同一の較正用光源8から発生した、均一光源2からの光5を受け取る。光5は、撮像測色計1へと直接連結され、光ダクト9を介して基準分光計2へと案内される。この例では、撮像測色計1のための較正係数13、14(この図では図示されていない)の誘導は、パーソナルコンピュータ7によって実施される。パーソナルコンピュータ7は、照明ユニット3が含む較正用光源8を起動する順序を設定することによって、発光制御ユニット4を制御する。
【0183】
図2のブロック図に示されている、測色計を較正する例示的な方法は、ボックスS1のアクティビティにおいて、異なるスペクトルの光を放出する較正用光源8を順次起動することによって開始される。
【0184】
図2〜4
図2では、1〜mのインデックスが各較正用光源に割り当てられている。スペクトル1の光はインデックス1を有し、スペクトル2の光はインデックス2を有し、それ以降同様である。較正用光源を順次起動することによって、撮像測色計1は、均一光源2によって上記光で順次照明される。全体として、撮像測色計1は、m個の異なる較正用光源によって照明される。ボックスS2、S3のアクティビティは、順次起動された較正用光源8それぞれに対して実施される。
【0185】
ボックスS2では、各較正用光源8に対して、撮像測色計1によってn個の計測の組が得られる。ボックスS2のアクティビティはこれによって、撮像測色計1によって測定されたn個(この例では6個)の計測のm個の組6をもたらす。ボックスS3のアクティビティ、即ち基準分光計6を用いた光の測定及び基準色度値の取得もまた、起動されたLED8それぞれに対して実施され、基準色度値xref i/yref iのm個の組11と、m個の基準輝度Yref iの組12とをもたらす。色度値の1つの組及び1つの基準輝度を、較正用光源8が放出する異なるスペクトルの光それぞれに関して、基準分光計2で測定する。基準色度値xref i/yref iのm個の組11、及びm個の基準輝度Yref iの組12は、既知の色度値及び既知の無彩色原色の値(輝度Y)を表す。
【0186】
ボックスS4のアクティビティにおいて、n個の計測siのm個の組10及び基準色度値のm個の組11を用いて、色度が最適化された較正係数の組Mx/yを得る。ボックスS4のこのアクティビティについては、図3に関連して更に説明する。
【0187】
ボックスS5のアクティビティにおいて、n個の計測のm個の組10及びm個の基準輝度Yref iの組12を用いて、輝度Yに関して最適化された較正係数の組MY14を得る。このアクティビティについては、図4に関連して更に説明する。
【0188】
ボックスS4、S5のアクティビティは、互いに独立して実施される。
【0189】
較正係数の2つの組13、14を決定することによって、実際の較正手順は完了する。例えば色空間xyYの原色が所望の読み取り値である場合、これら原色は、XYZ値を得るために上記計測に較正係数を適用することによって得ることができる。そして、これらXYZ値から得られるx/y読み取り値(x=X/(X+Y+Z)、y=Y/(X+Y+Z))及びこれらXYZ読み取り値のうちのY値を、所望のxyY読み取り値とする。
【0190】
従って、この較正手順に関連する図2のブロック図の第1の部分は、このブロック図の第2の部分から、破線で分離されている。ブロック図のこの部分は、測色計を用いて光5を測定する際に、色度に関して及び無彩色原色に関して最適化されたXYZ読み取り値を得るためにこれらの較正係数を備える測色計1’を使用する場合に、較正係数を適用することに関する。
【0191】
ボックスM1において、この測色計1’によってn個の計測の組を測定する。ボックスM2のアクティビティにおいて、色度が最適化された較正係数の組Mx/y13を、このn個の計測の組に適用する。これにより、ヒト標準的観察者に基づく色空間の、色度が最適化された原色の値を表す、色度が最適化された三刺激値X’、Y’、Z’15が得られる。
【0192】
ボックスM3のアクティビティにおいて、輝度Yに関して最適化された較正係数の組MY14を、ボックスM1のアクティビティで得られたn個の計測の組に適用する。これにより、無彩色原色の最適化された強度値を表す、最適化された輝度の強度値Y016が得られる。
【0193】
ボックスM4のアクティビティにおいて、色度が最適化された三刺激値X’、Y’、Z’15及び最適化された輝度の強度値Y016の関数であるスケーリング係数が決定される。このスケーリング係数は、これら2つの輝度の比であり、即ち
【0194】
【数36】
【0195】
である。ボックスM5のスケーリングアクティビティの過程において、色度が最適化された三刺激値X’、Y’、Z’15に、ボックスM4のアクティビティにおいて決定されたスケーリング係数を乗算する。これらの三刺激値15をこのスケーリング係数でスケーリングする(図2のブロック図のアクティビティM5)ことによって、最終的な三刺激値Xfinal、Yfinal、Zfinal17、即ち測色計によって生成された三刺激値が得られる。
【0196】
これら最終的な三刺激値17は、最適化された色度値x/y及び最適化された輝度Y’を有する。ここで「最適化された」は、発明の概要において既に記載した文脈を指す。
【0197】
ボックスS4のアクティビティ、即ち図2に示した、色度が最適化された較正係数の組Mx/yを選択するアクティビティは、図3に更に詳細に示されている。ボックスS41のアクティビティでは、色度距離Di chromの二乗平均平方根が、可変較正係数の組Mx/yの関数として設定されている。このアクティビティの過程において、インデックスi(i=1〜m)を有する各較正用光源に対して色度距離Di,chromが決定される。これらの色度距離Di,chromを設定する際、可変較正係数の組Mx/yは、n個(この例では6個)の計測siによって測定される信号を含むベクトルに適用される。較正係数の組Mx/yは、行列乗算によって適用され、その結果として3つの三刺激値Xi、Yi、Ziがもたらされる。色度値xcam i、ycam iは、これら三刺激値の関数として決定され、従って可変較正係数の組Mx/yの関数である。
【0198】
色度距離は、インデックスi(i=1〜m)を有する較正用光源8に関するベクトル(xcam i,ycam i)と、基準色度値xref i/yref iのm個の組11から得られた、同一の較正用光源8に関する基準ベクトル(xref i,yref i)との間のユークリッド距離を設定することによって決定される。続いて各較正用光源8に関する色度距離を被加数として有する、これら色度距離の二乗平均平方根Fchromが設定される。Fchromの各被加数は、特定のスペクトルの光に関する最適な結果の重要性に対応する重みwiで重み付けされる。
【0199】
ボックスS42では、可変較正係数の組Mx/yを調整することによって、色度に関連する二乗平均平方根Fchromが最小化される。この例では、色度に関連する二乗平均平方根Fchromにネルダー‐ミードアルゴリズムを適用することにより、最小の二乗平均平方根Fchromをもたらす較正係数の組の選択を実施する。
【0200】
無彩色距離の二乗平均平方根Fachromの設定及びそれに続くこの二乗平均平方根を最小化する較正係数の組の選択のアクティビティ(図2のボックスS5のアクティビティ)を、図4に更に詳細に示す。無彩色原色に関連する二乗平均平方根Fachromを設定するアクティビティは、S51に示されており、色度に関連する二乗平均平方根Fchromを設定するアクティビティと同様である。
【0201】
インデックスi(i=1〜m)を有する各較正用光源に関して、行列MYで表される可変較正係数の組を、ベクトルsiで表される、インデックスiを有する各較正用光源に関して6個の計測によって測定された信号に適用し、n個の計測それぞれは、n個の計測siのm個の組10から取られる。これらの行列の乗算の結果は、特定のインデックスiを有する特定の較正用光源に関する輝度Y0iであり、可変較正係数の組によって表される。無彩色距離Di,achromは、(i)特定のインデックスiを有する特定の較正用光源8に関する、m個の基準輝度の組12から取られた基準輝度Yref iと、(ii)上述の行列乗算の結果、即ち同一の較正用光源8の光に関する輝度Y0iとの間のユークリッド距離である。
【0202】
その後、無彩色距離に関連する二乗平均平方根Fachromが設定される。この二乗平均平方根の被加数は、各較正用光源8に関する無彩色距離Di,achromである。これら被加数は、図3の色度に関する二乗平均平方根の被加数と同様に重み付けされる。
【0203】
図3に関連して議論した上記アクティビティと同様に、ボックスS5では、無彩色距離に関連する二乗平均平方根Fachromを最小化するように、輝度Yに関して最適化された較正係数の組が選択される。輝度Yに関して最適化された較正係数の組は、無彩色原色に関して最適化された較正係数の組を表す。二乗平均平方根Fachromは、上述の方法と同一の方法で最小化できる。しかしながら、Yの特定の場合、「最小二乗推定(ordinary least square)」アプローチを用いて、無彩色原色に関して最適化された較正係数の組を非反復的に得ることができる。二乗平均平方根Fachromを最小化するための方程式系は線形であるため、これは特にYの場合に当てはまる。
【0204】
図5
図5に概略断面図が示されている例示的なセンサ構成20は、6個の計測によって測定された信号を1度に提供する。図5の例示的な光センサ構成は、異なるスペクトル感度のフィルタF1〜F6を有する6つの別個の光センサに測定対象の光5を案内する、6つの別個のビーム経路21を用いて、6個の計測を同時に提供できる。フィルタF1〜F6は三刺激値フィルタX1、X2、Y、Z及び2つの追加のフィルタK、Lである。これら2つの追加のフィルタは、スペクトルの特定の部分における上記三刺激値フィルタの不足分を補償する。この例では、三刺激値フィルタを単独で用いると、図12に示すように、460〜560nmの波長を有する光を測定する際の測定誤差に繋がり得る。
【0205】
図6
計測によって測定された6つの信号を順次得るために配設される、代替センサ構成20’の概略断面図を図6に示す。レンズ21によって提供される光5のレンズ画像は、フィルタF1、この例ではX1フィルタによって、色に関してフィルタリングされる。フィルタF1を通過する光5は、CCD技術における単色カメラセンサ25’によって、光の強度に対応する電気信号に変換される。単色カメラセンサ25’は、空間的に拡張された光分布を測定するよう配設される。レンズ26は、単色カメラセンサに光を導くビーム経路内に配置されるため、図6のセンサ構成20’は、撮像システムとして機能する。異なるフィルタF1〜F6は、フィルタホイール23の回転によってフィルタリング位置に機械的に配置でき、これによって6個の計測を提供する。各ピクセルは、別個の測色計として見ることができる。しかしながら、センサ構成20’の構成部品が均一な特性を有する場合、較正係数の同一の組を、センサ構成20’が示す各ピクセルに対して適用できる。このセンサ構成20’の断面図は、(破線によって示される)B‐B軸に沿って1回、これもまた破線によって示されるA‐A軸に沿って1回切断されている。これらの断面の2つの正面図も、図6によって示されている。A‐A軸に沿った切断面上の断面図はフィルタF1の正面図を示し、B‐B軸に沿った切断面上の断面図は、単色カメラセンサ(CCD技術)25’の正面図を示す。6個の計測は、フィルタF1〜F6をフィルタリング位置、即ちこの例ではビーム経路21とカメラセンサ25”との間の位置に順次移動させることによって得られる。
【0206】
図7
センサ構成20、20’と、色度が最適化された(ここではx/yが最適化された)較正係数の組13及び輝度に関して最適化された較正係数の組14とを備える撮像測色計1’の概略図を、図7に示す。光5が測色計に入ると、n個の計測によって測定された信号がセンサ構成によって得られる。これらの信号は、撮像測色計1’処理システム40に供給される。この処理システムは、中央演算処理装置(CPU)41及び内部ストレージ42を備える。CPU41は、内部ストレージ42に記憶された、色度が最適化された較正係数の組13及び輝度Yに関して最適化された較正係数の組14を、n個の計測によって測定された信号に適用するようプログラムされる。結果として得られる色度が最適化された値X’Y’Z’11及び結果として得られる最適化された輝度値Y0は、内部ストレージ42(図7には図示されていない)に記憶される。CPU41は更に、上記最適化された輝度値Y0及び輝度値Y’の関数、即ち
【0207】
【数37】
【0208】
であるスケーリング係数を計算するようプログラムされる。CPU41は、これらの係数によって色度が最適化された値X’Y’Z’をスケーリングすることにより、最終的な三刺激値XYZ17を得るようプログラムされる。撮像測色計1’はI/Oインタフェース80も備え、このI/Oインタフェース80は、データ交換のためにパーソナルコンピュータに接続できるようにするための、及び/又は例えばインターネットから較正係数の組を取得するために、このインタフェースを介してインターネットに接続できるようにするためのものである。I/Oインタフェースは例えばUSBポートである。あるいは撮像測色計1’は、インターネットから較正係数の組を取得するためのインターネット接続を備えてよい。
【0209】
図8
センサ構成の三刺激値フィルタX1、X2、Y、Zのフィルタ機能を表すスペクトル曲線を図8に示す。フィルタ曲線46は、ヒト標準的観察者の三刺激値原色Xへの応答を模倣する、X1+X2フィルタ応答を表す。フィルタ曲線45はZフィルタ応答を表し、フィルタ曲線47はYフィルタ応答を表す。このようなフィルタの製造プロセスでは、所望の透過曲線をある程度まで近似することしかできない。特定のスペクトル領域において数%の偏差が確実に見込まれる。Zフィルタ及びX2フィルタ(X2フィルタは、500〜700nmにおいてX1+X2フィルタ曲線46のピークをもたらすフィルタである)の応答は、理想的なフィルタ曲線からの偏差を有する。Zフィルタ応答曲線45の偏差部分は参照符号45’で示されており、X2フィルタ応答曲線の偏差部分は参照符号46’で示されている。これらのフィルタ曲線の偏差は、2つの追加のフィルタK、Lによって補償される。この補償は図8において破線で示されており、X1+X2フィルタ曲線46及びZフィルタ曲線45を補足する。他の例示的実施形態では、センサ構成は7つ以上のフィルタを備える。
【0210】
図9
図9に示されているxy色空間に色度距離100、101を、20個の異なる光源、即ち異なるスペクトルを有する光源に関して決定した。図9では網掛けのバーで示されている色度距離100は、従来技術に従って三刺激値の色距離を最小化すること(XYZ最適化)によって決定された。
【0211】
本発明に従って色度差を最小化すること(x/y最適化)によって得られる色度距離101は、図12の黒塗りのバーで示されている。この図から分かるように、色度距離101は、色度距離100よりも有意に小さい。
【0212】
更に、上述の方法を適用すると、ヒト標準的観察者に基づく色空間の原色の色度距離が最小化されるだけでなく、無彩色距離が最適化されることに言及しておくべきである。従って本方法によって較正係数が選択され、両方の目標が達成される。冒頭で言及した、従来技術において提示されている方法を適用すると、色度距離は無彩色原色を犠牲にしなければ最小化されない。
【0213】
本明細書で言及された全ての公刊物及び既存のシステムは、参照により本出願に援用される。
【0214】
本発明の教示に従って構成される特定の製品について本出願で説明したが、本特許の包含範囲はこれに限定されない。反対に本特許は、文字通り又は均等論の下で添付の請求項の範囲に正確に含まれる、本発明の教示の全ての実施形態を包含する。
【符号の説明】
【0215】
1 測色計
5 光
6 基準分光計
8 較正用発光体
10 計測
13 較正係数の第1の組
14 較正係数の第2の組
15 色度が最適化された三刺激値
16 最適化された無彩色三刺激値
20 センサ構成
25 光センサ
25’ 光センサ、単色カメラのCCD又はCMOSセンサ
40 処理システム
F1…F6 フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9