(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器10の構成図であり、冷却装置11と携帯用情報機器12とを分離させた状態での分解斜視図である。
図2は、
図1に示す冷却装置11と携帯用情報機器12とを接続した状態での一部断面側面図であり、
図3は、
図2とは異なる部分を断面で示した一部断面側面図である。また、
図4は、
図1に示す携帯用情報機器12の底面16aの構成を模式的に示す底面図である。本実施形態に係る電子機器10は、ノート型PCである携帯用情報機器12を拡張装置である冷却装置11に搭載して接続することで、携帯用情報機器12の冷却機能を補強すると共に、処理機能、電源機能及び周辺機器やネットワークに対する接続機能を拡張・補強するものである。携帯用情報機器12はノート型PC以外であっても勿論よく、例えば物理的なキーボードを持たないタブレット型のパーソナルコンピュータ(タブレット型PC)やスマートフォン等であってもよい。
【0018】
先ず、電子機器10の全体的な構成を説明する。
【0019】
図1に示すように、携帯用情報機器12は、本体筐体(筐体)16に対してディスプレイ筐体18を開閉可能に連結したクラムシェル型である。本体筐体16の上面にキーボード20が設けられ、ディスプレイ筐体18の前面にディスプレイ22が設けられている。
【0020】
本体筐体16の底面16aには、
図2及び
図4に示すように、冷却装置11の拡張側コネクタ24と電気的に接続される機器側コネクタ25と、底面16aに形成された開口部26を開閉可能に覆う機器側シャッター部材27,28とが設けられている。開口部26の内部には、機器側シャッター部材27,28によって開閉可能に覆われた放熱側ヒートシンク29が配置されている。さらに本体筐体16の底面16aには、
図3に示すように、冷却装置11側から突出する係合レバー30と係合可能な係合穴31が設けられている。なお、
図2はコネクタ24,25を通過する切断線での断面形状を示しており、
図3は係合レバー30及び係合穴31を通過する切断線での断面形状を示している。
【0021】
機器側コネクタ25は、携帯用情報機器12の本体筐体16の内部に収容された図示しない基板に接続されている。放熱側ヒートシンク29は、冷却装置11側の受熱側ヒートシンク32に当接することで携帯用情報機器12の冷却機能を拡張するものである。放熱側ヒートシンク29と受熱側ヒートシンク32とが熱的に接続されることで、携帯用情報機器12内で発生した熱を冷却装置11に伝達して外部に放熱することができる。機器側シャッター部材27,28は、高温になる放熱側ヒートシンク29が携帯用情報機器12の底面16aに常時露出することを防止するものである。
【0022】
図1〜
図3に示すように、冷却装置11は、携帯用情報機器12の本体筐体16を載置させた状態で用いられるものであり、合成樹脂材や金属材によって成形した装置筐体33にPC搭載部34及びロック操作部36を設けて構成されている。
【0023】
PC搭載部34は、携帯用情報機器12を載置することのできる大きさの上面を有した箱体である。PC搭載部34は、前側から後側に向かうに従って漸次高さ寸法が大きくなるように傾斜し、携帯用情報機器12の底面16aが着地する載置面34aと、載置面34aの後側で一段低く形成された逃げ面34bとを備える。逃げ面34bは、携帯用情報機器12の後方下面から図示しないバッテリ等が突出している場合に、該バッテリ等を避けるための低部である。
【0024】
ロック操作部36は、PC搭載部34よりも大きな高さ寸法を有した直方体状部分であり、PC搭載部34の一側方において後方側となる部位(逃げ面34bの側部)に設けてある。ロック操作部36は、エジェクトボタン37と、図示しないキー挿入孔とを有する。エジェクトボタン37は、冷却装置11に搭載・接続された携帯用情報機器12を取り外す際に操作する操作ボタンである。キー挿入孔は、携帯用情報機器12用のワイヤ式ロックキー(図示せず)を装着するための開口である。ロックキーをキー挿入孔に挿入してロック操作することにより、エジェクトボタン37に対する入力操作が無効となる。これにより、携帯用情報機器12の冷却装置11からの取り外しが防止され、携帯用情報機器12の盗難防止が図られる。
【0025】
載置面34a上には、拡張側コネクタ24と、載置面34aに形成された開口部38(
図6参照)を開閉可能に覆う装置側シャッター部材40とが設けられている。開口部38の内部には、受熱側ヒートシンク32が配置され、装置側シャッター部材40によって開閉可能に覆われている。
【0026】
拡張側コネクタ24は、PC搭載部34の内部に収容された図示しない基板等に接続されており、載置面34a上に突出している。拡張側コネクタ24は、冷却装置11に設けた各種拡張機能の接続端子を構成し、携帯用情報機器12の底面16aに設けた機器側コネクタ25に接続されるものである。拡張側コネクタ24に機器側コネクタ25を接続することにより、冷却装置11と携帯用情報機器12が電気的に接続され、冷却装置11に設けた各種拡張機能を携帯用情報機器12から使用することが可能となる。
【0027】
拡張側コネクタ24の左右側部からは係合レバー30がそれぞれ突出し、その上部が載置面34a上に露出している。それぞれの係合レバー30の前側及び左右側の三方を囲むように平面視コの字状のガイドポスト41が突出形成されている。ガイドポスト41は、冷却装置11に携帯用情報機器12が接続される際、係合レバー30と共に携帯用情報機器12側の係合穴31に挿入されることにより、装置筐体33に対して携帯用情報機器12を位置決めする位置決めピンとして機能する。さらに載置面34a上で各ガイドポスト41の側方には、エジェクト部材42がそれぞれ設けられている。エジェクト部材42は、冷却装置11から携帯用情報機器12を取り外す際、係合レバー30の係合穴31への係合状態が解除された後に上昇し、携帯用情報機器12の底面16aを押し上げるものである。
【0028】
次に、電子機器10の冷却構造について具体的に説明する。
【0029】
先ず、冷却装置11側の冷却構造を説明する。
【0030】
図5は、冷却装置11の内部構造を模式的に示す平面図であり、
図6は、冷却装置11の内部構造を模式的に示す要部拡大側面図である。
【0031】
図1に示すように、冷却装置11は、ラジエータ44、受熱側ヒートシンク32及び循環ポンプ46を配管47で環状に接続して冷却水を循環させる水冷ユニット48を備える。
【0032】
受熱側ヒートシンク32は、銅やアルミニウム等の熱伝導率の高い金属材料によって形成された段付き形状の矩形板状部材である。受熱側ヒートシンク32は、入口用の配管47と出口用の配管47が接続され、内部の図示しないフィンが配設された冷却水流通空間に冷却水が流通する。この冷却水流通空間は、受熱側ヒートシンク32の上面を形成する薄い蓋体の内側に形成されている。フィンは、その端面が蓋体の内面に当接した状態で冷却水流通空間内に所定間隔を介して複数並列されている。このように、受熱側ヒートシンク32は、冷却水流通空間内のフィンの周囲に冷却水が流通することで、フィンと冷却水との間で熱交換を行う水冷ジャケット構造とされている。このような水冷ユニット48では、ラジエータ44で図示しないファンによる送風も受けて放熱した冷却水が循環ポンプ46を介して受熱側ヒートシンク32に導入される。受熱側ヒートシンク32で放熱側ヒートシンク29側からの熱を回収した冷却水は、再びラジエータ44に導入される。これにより、受熱側ヒートシンク32は高い冷却効率で放熱側ヒートシンク29を冷却することができる。
【0033】
図5及び
図6に示すように、冷却装置11は、シャッター駆動機構50と、昇降機構52と、機器エジェクト機構54とを装置筐体33内に備える。
【0034】
シャッター駆動機構50は、機器側シャッター部材27,28及び装置側シャッター部材40を開閉駆動する機構部である。
図5に示すように、シャッター駆動機構50は、第1モータ56と、スライドリンク57と、スライド部材58と、機器側シャッター操作部材59と、装置側シャッター操作部材60とを有する。
【0035】
第1モータ56は、その出力軸56aがギア機構61を介してボールねじ機構62に連結された電動モータである。ボールねじ機構62は左右方向に延在配置され、スライドリンク57が外挿されている。第1モータ56からの駆動力が出力軸56a及びギア機構61を介してボールねじ機構62に伝達されるとボールねじ機構62が回転駆動され、スライドリンク57が左右方向に移動する。
【0036】
スライドリンク57は、ボールねじ機構62に沿って左右に移動可能なブロック状部材である。スライドリンク57の後側面には押圧部57aが突設されている。スライドリンク57は、その前側面がスライド部材58の一端部と連結されている。
【0037】
スライド部材58は、左右方向に長尺な棒状部材であり、装置筐体33の内面上で左右方向にスライド可能に設けられている。スライド部材58は、長手方向で中央より一端部寄りとなる位置に第1ラックギア58aが設けられ、他端部側に第2ラックギア58bが設けられている。第1ラックギア58aは、
図5に示す初期位置(非装着状態)において機器側シャッター操作部材59と同軸で一体的に設けられた第1ピニオンギア59aと噛み合いしている。第2ラックギア58bは、
図5に示す初期位置において第2ピニオンギア63と噛み合いしている。第2ピニオンギア63は、装置側シャッター操作部材60に設けられた開閉用ラックギア60aと噛み合いしている。
【0038】
機器側シャッター操作部材59は、後述するオンセンサ(検出手段)64に対して回転可能に軸支された短尺棒状の部材である。
図1及び
図8に示すように、機器側シャッター操作部材59は、載置面34a上に突出するように配置されたオンセンサ64の上面から突出している。オンセンサ64に対して回転可能に且つ軸方向に相対移動可能に軸支された機器側シャッター操作部材59の軸部59bの下端には、第1ピニオンギア59aが同軸且つ一体的に回転可能に設けられている。スライド部材58が左右方向に移動すると第1ラックギア58aを介して第1ピニオンギア59aが軸部59bを中心として回転する。これにより、機器側シャッター操作部材59も軸部59bを中心として回転して後述する携帯用情報機器12側の開閉ギア(開閉部材)65(
図9参照)を回転させ、機器側シャッター部材27,28を左右方向に開閉移動させる。
【0039】
装置側シャッター操作部材60は、装置側シャッター部材40の一側部に連結されている。スライド部材58が左右方向に移動すると第2ラックギア58bを介して第2ピニオンギア63が回転する。これにより装置側シャッター操作部材60は、開閉用ラックギア60aを介して左右方向に移動して装置側シャッター部材40を左右方向に開閉移動させる。
【0040】
昇降機構52は、受熱側ヒートシンク32を昇降駆動する機構部である。
図5及び
図6に示すように、昇降機構52は、シャッター駆動機構50と共用する第1モータ56と、ベースプレート66と、昇降スライド部材67とを備える。
【0041】
ベースプレート66は、平面視で受熱側ヒートシンク32より大きな外形を持ったプレート状部材である。ベースプレート66は、その上面に複数のコイルばね(弾性体)68を介して受熱側ヒートシンク32を弾性支持している。ベースプレート66は、装置筐体33の上面となる載置面34aの下面側に吊り下げ支持されている。具体的には、ベースプレート66には、載置面34aの下面側に複数垂下された支持棒69が板厚方向に挿通されると共に、支持棒69の下端に設けられた拡径部69aによって抜け止め保持されている。支持棒69にはコイルばね70が外挿されている。ベースプレート66は、コイルばね70によって常時下方に付勢されて拡径部69aに押し付けられることで、例えば冷却装置11の持ち運び時等にがたつきを生じることが防止されている。
【0042】
ベースプレート66の下面には、昇降スライド部材67側(
図5及び
図6中で左側)に向かって上方に傾斜した傾斜面71aを有するリブ状の受圧部材71が複数設けられている。ベースプレート66の上面には、複数本(例えば4本)の保持ピン81が立設されている。保持ピン81は、ベースプレート66上に弾性支持された受熱側ヒートシンク32の上方への移動範囲を規制すると共に、がたつきを防止するためのものである。
【0043】
ベースプレート66には、その上面側に突出した上端部に雄ねじ部材72aが設けられ、その下面側に突出した下端部に外径方向に突出した受圧板72bが設けられた引寄せ軸部材72が上下方向位置が固定された状態で複数本(例えば4本)軸支されている。引寄せ軸部材72は、コイルばね73により、
図5中で常時雄ねじ部材72a及び受圧板72bが時計回り方向となる回転方向に付勢されている。雄ねじ部材72aは、載置面34a上に突出するように配置されている。雄ねじ部材72aは、携帯用情報機器12が冷却装置11に搭載され、ベースプレート66が上昇した場合に携帯用情報機器12の底面16aに形成された雌ねじ穴75に係合する(
図6参照)。雌ねじ穴75は、螺旋状の雌ねじが形成された穴である。
【0044】
昇降スライド部材67は、左右方向に延在するプレート状部材であり、装置筐体33の内面上で左右方向にスライド可能に設けられている。昇降スライド部材67は、ベースプレート66の下面側に潜り込んだ状態でスライドするものであり、図示しない弾性体の付勢力によって
図5に示す初期位置となるように常時左方向に付勢されている。昇降スライド部材67の上面には、ベースプレート66に近接する方向で下方に傾斜した傾斜面74aを有するリブ状の押上部材74が複数設けられている。押上部材74の傾斜面74aは、
図5及び
図6に示す初期位置(非装着位置)においてベースプレート66の下面に設けられた受圧部材71の傾斜面71aと対面配置されている。昇降スライド部材67の側部には、該昇降スライド部材67が前進した際に引寄せ軸部材72の受圧板72bを押圧可能な押圧板67aが複数設けられている。
【0045】
機器エジェクト機構54は、冷却装置11に搭載・接続された携帯用情報機器12を取り外す際に係合レバー30及びエジェクト部材42を駆動する機構部である。
図5に示すように、機器エジェクト機構54は、第2モータ76と、エジェクト用ラックギア77と、揺動アーム78と、エジェクトスライド部材79とを有する。
【0046】
第2モータ76は、その出力軸となるウォームギア76aがウォームホイール83を介してエジェクト用ラックギア77に連結された電動モータである。エジェクト用ラックギア77は、装置筐体33の内面上で前後方向に移動可能に設けられ、ウォームホイール83によって従動駆動される。
【0047】
揺動アーム78は、左右方向に延在する長尺なアーム状部材であり、略中央に設けられた揺動軸78aを中心に揺動可能である。揺動アーム78は、一端側がエジェクト用ラックギア77の一端部に連結されている。揺動アーム78は、エジェクト用ラックギア77が後側に移動した場合に
図5中で時計方向に揺動し、エジェクト用ラックギア77が前側に移動した場合に
図5中で反時計方向に揺動する。揺動アーム78の他端側には、エジェクトスライド部材79が連結されている。
【0048】
エジェクトスライド部材79は、揺動アーム78が揺動した際にこれに伴って前後方向に移動する。エジェクトスライド部材79は、係合レバー30を解除方向に移動させる係合解除部79aと、図示しない傾斜面による押圧作用によってエジェクト部材42を押し上げる押上部79bとを有する。エジェクトスライド部材79は、揺動アーム78が時計方向に揺動した際に前側に移動する。その際、係合穴31に対して係合状態にある係合レバー30を係合解除部79aによって移動させて係合状態を解除した後、エジェクト部材42を押上部79bによって押し上げることで携帯用情報機器12の底面16aを押し上げて該携帯用情報機器12を載置面34a上でポップアップさせる。
【0049】
図1に示すように、冷却装置11の載置面34a上には、携帯用情報機器12が載置されたことを検出する検出手段であるオンオフセンサ80及びオンセンサ64と、携帯用情報機器12が取り外されたことを検出する検出手段であるオンオフセンサ80及びオフセンサ82とが設けられている。
【0050】
図7は、オンオフセンサ80の構成を模式的に示す側面断面図であり、
図7(A)は、載置面34a上に携帯用情報機器12が載置されていない状態を示す図であり、
図7(B)は、載置面34a上に携帯用情報機器12が載置された状態を示す図である。また、
図8は、オンセンサ64及びオフセンサ82の構成を模式的に示す側面断面図であり、
図8(A)は、載置面34a上に携帯用情報機器12が載置されていない状態を示す図であり、
図8(B)は、載置面34a上に携帯用情報機器12が載置された状態を示す図である。
【0051】
図1、
図7(A)及び
図7(B)に示すように、オンオフセンサ80は、載置面34aの上面上に突出した状態で弾性支持された円筒形状の部材である。オンオフセンサ80は、携帯用情報機器12が載置面34a上に載置された際に押下されて所定の検出信号(オン信号)を発信する一方、携帯用情報機器12が載置面34a上から持ち上げられた際に元の上昇位置に復帰して所定の検出信号(オフ信号)を発信する。
【0052】
オンオフセンサ80の内周筒内には、ロック解除ピン(ロック解除手段)84が同軸配置されている。詳細は後述するが、ロック解除ピン84は、携帯用情報機器12の機器側シャッター部材27,28を閉じ位置にロックするロック部材(ロック手段)85(
図9参照)のロックを解除するための部材である。
【0053】
図1、
図8(A)及び
図8(B)に示すように、オンセンサ64は、載置面34aの上面上に突出した状態で弾性支持された楕円柱形状の部材である。オンセンサ64は、携帯用情報機器12が載置面34a上に載置された際に押下されて所定の検出信号(オン信号)を発信する。
【0054】
オフセンサ82は、オンセンサ64の上面上に突出した状態で弾性支持された円柱形状の部材である。オフセンサ82は、オンセンサ64よりも上方に突出しており、オンセンサ64よりも上位置で携帯用情報機器12の底面16aの有無検知を行うものである。オフセンサ82は、携帯用情報機器12が載置面34a上に載置された際に押下されてオンセンサ64の内部に埋没し、携帯用情報機器12が載置面34a上から持ち上げられた際に元の上昇位置に復帰して所定の検出信号(オフ信号)を発信する。
【0055】
図5に示すように、これらオンオフセンサ80、オンセンサ64及びオフセンサ82は、
図5中に1点鎖線で示す信号線によって装置筐体33内に配設された制御部86に接続されている。制御部86は、オンオフセンサ80、オンセンサ64及びオフセンサ82からのオン信号及びオフ信号を受信した場合に、第1モータ56及び第2モータ76を適宜駆動制御してシャッター駆動機構50、昇降機構52及び機器エジェクト機構54を適宜動作させる。
【0056】
さらに装置筐体33内には、スライド部材58の位置を検出する複数の位置検出センサ87a〜87cと、エジェクト用ラックギア77の位置を検出する位置検出センサ87dとが設けられている。位置検出センサ87a〜87cは、スライド部材58の進動方向(
図5中で右方向)に沿って順に並んでおり、スライドリンク57と連結されたスライド部材58の一端部のスライド位置を検出し、所定の位置信号を発信する。位置検出センサ87dは、エジェクト用ラックギア77が後側に所定位置まで進動したことを検出し、所定の位置信号を発信する。これら位置検出センサ87a〜87dからの位置信号は制御部86に送信され、第1モータ56及び第2モータ76の駆動制御に利用される。
【0057】
次に、携帯用情報機器12側の冷却構造を説明する。
【0058】
図9は、携帯用情報機器12の内部構造を模式的に示す底面図であり、
図9(A)は、機器側シャッター部材27,28が閉じられた状態を示す図であり、
図9(B)は、機器側シャッター部材27,28が開かれた状態を示す図である。
【0059】
図4、
図9(A)及び
図9(B)に示すように、携帯用情報機器12は、底面16aに形成された開口部26の内部に放熱側ヒートシンク29を有し、この放熱側ヒートシンク29を配置した開口部26を機器側シャッター部材27,28で開閉可能である。
【0060】
放熱側ヒートシンク29は、銅やアルミニウム等の熱伝導率の高い金属材料によって形成された矩形板状部材である。
図6に示すように、放熱側ヒートシンク29は、本体筐体16内に設けられたCPUやGPU等の電子部品である発熱体90と熱的に接続されている。これにより、発熱体90で発生した熱が放熱側ヒートシンク29に効率よく伝達される。
【0061】
図9(A)及び
図9(B)に示すように、一方の機器側シャッター部材27は放熱側ヒートシンク29の略半分を開閉し、他方の機器側シャッター部材28は放熱側ヒートシンク29の残りの略半分を開閉する。一方の機器側シャッター部材27は、放熱側ヒートシンク29の略半分を覆うためのシャッター部27aと、シャッター部27aからU字状に折り返されたラックギア部27bとを有したU字状のプレート状部材である。他方の機器側シャッター部材28は、放熱側ヒートシンク29の残りの略半分を覆うためのシャッター部28aと、シャッター部28aから機器側シャッター部材27の形状よりも大きなU字状に折り返されたラックギア部28bとを有したU字状のプレート状部材である。
【0062】
機器側シャッター部材27,28は、本体筐体16の内面上で互いに左右逆方向にスライド可能である。この際、少なくとも一方の機器側シャッター部材27は、コイルばね91によってシャッター部27aが他方のシャッター部28aが近接する閉じ方向に付勢されている。また、各機器側シャッター部材27,28の各ラックギア部27b,28bは、開閉ギア65にそれぞれ噛み合いしている。
【0063】
従って、開閉ギア65が
図9(A)中で反時計方向に回転されると、各機器側シャッター部材27,28はコイルばね91の付勢力に抗して互いのシャッター部27a,28aが離間する開き方向にスライドする。その結果、放熱側ヒートシンク29を底面16a上に露呈する(
図9(B)参照)。一方、各機器側シャッター部材27,28が
図9(B)に示す開き位置にある状態から開閉ギア65に対する駆動力(保持力)を解除すると、一方の機器側シャッター部材27はコイルばね91の付勢力によって閉じ方向に移動する。同時に他方の機器側シャッター部材28は開閉ギア65を介して閉じ方向に移動する機器側シャッター部材27からの駆動力を受けて閉じ方向に移動する。その結果、放熱側ヒートシンク29が機器側シャッター部材27,28によって覆われる(
図9(A)参照)。
【0064】
開閉ギア65の中心には、冷却装置11の載置面34a上に突出した機器側シャッター操作部材59が係合する係合穴65aが形成されている。機器側シャッター操作部材59は、携帯用情報機器12が冷却装置11に搭載された場合に、底面16aに形成された孔部92(
図4参照)を挿通して係合穴65aに係合する(
図8(B)参照)。機器側シャッター操作部材59が回転すると開閉ギア65も回転し、閉じ位置にある機器側シャッター部材27,28が開き動作する。
【0065】
機器側シャッター部材27,28の後側となる位置には、ロック部材85が前後方向にスライド可能に設けられている。ロック部材85は、平面視略L字状のプレート状部材であり、コイルばね93によって前側(機器側シャッター部材27,28側)に向かって常時付勢されている。ロック部材85は、その一端側に前側に向かって下方に傾斜した傾斜面85aが設けられ、その他端側に直角三角形状の規制部85bが設けられている。また、機器側シャッター部材28のシャッター部28a近傍の側面には、直角三角形状の規制突起94が突設されている。
【0066】
携帯用情報機器12が冷却装置11に搭載されておらず機器側シャッター部材27,28が
図9(A)に示す閉じ位置にある状態では、コイルばね93の付勢力によって前進しているロック部材85の規制部85bによって規制突起94が係止されている。その結果、機器側シャッター部材28及びこれと開閉ギア65を介して連動する機器側シャッター部材27の開き方向への移動が規制され、機器側シャッター部材27,28は閉じ位置にロックされている。
【0067】
このロック状態から、携帯用情報機器12が冷却装置11に搭載されて冷却装置11側のロック解除ピン84が底面16aに形成された孔部95に挿入されると、ロック解除ピン84の先端がロック部材85の傾斜面85aを押圧する(
図7参照)。これにより、ロック部材85は、コイルばね93の付勢力に抗して後退し、規制部85bによる規制突起94の係止状態が解除される(
図9(B)参照)。その結果、機器側シャッター部材28及びこれと開閉ギア65を介して連動する機器側シャッター部材27のロックが解除され、開き方向への移動が許容された状態となる。
【0068】
次に、電子機器10の冷却構造の動作について説明する。
【0069】
先ず、冷却装置11に携帯用情報機器12が装着されていない状態では、機器側シャッター部材27,28によって放熱側ヒートシンク29が閉じられ(
図9(A)参照)、装置側シャッター部材40によって受熱側ヒートシンク32が閉じられた状態にある(
図5参照)。このため使用者が誤って放熱側ヒートシンク29や受熱側ヒートシンク32に接触することがなく、また底面16aや載置面34aの外観品質も確保されている。この際、携帯用情報機器12の機器側シャッター部材27,28は、ロック部材85によってロックされている。このため、携帯用情報機器12を単体で利用する際、誤って指先等で機器側シャッター部材27,28を開いてしまうことがなく、高温の放熱側ヒートシンク29が底面16aに露呈することが防止されている。
【0070】
次に、この状態から冷却装置11に携帯用情報機器12を装着する際には、
図2及び
図3に示すように、各係合レバー30及び各ガイドポスト41を携帯用情報機器12の底面16aに設けた係合穴31に挿入させつつ、拡張側コネクタ24と機器側コネクタ25を接続する。これにより、拡張側コネクタ24と機器側コネクタ25とが電気的に接続され、さらに係合レバー30が係合穴31に係合することによって冷却装置11からの携帯用情報機器12の離脱が阻止された状態となる。
【0071】
この装着動作時、載置面34a上に載置される携帯用情報機器12の底面16aによってオンオフセンサ80及びオンセンサ64が押下される(
図7(B)及び
図8(B)参照)。その結果、オンオフセンサ80及びオンセンサ64からそれぞれオン信号が発信されて制御部86に送られる。制御部86は、この2つのオン信号を受信すると当該冷却装置11の電源をオンする。このように、冷却装置11では、載置面34aの前後方向に離間した位置にオンオフセンサ80及びオンセンサ64を設け、2つのセンサ64,80がいずれもオン信号を発信した場合に電源がオンされる構成としている。このため、携帯用情報機器12が載置面34a上に適正に載置されない限りは2つのオン信号が発信されないため、携帯用情報機器12が傾いた不適正な状態等で冷却装置11の電源がオンされることを防止できる。
【0072】
なお、オンオフセンサ80が押下される際には、ロック解除ピン84が携帯用情報機器12の底面16aの孔部95を挿通してロック部材85をロック解除方向に移動させるため、機器側シャッター部材27,28のロックが解除される(
図7(B)及び
図9(B)参照)。同時に、機器側シャッター操作部材59が携帯用情報機器12の底面16aの孔部92を挿通して開閉ギア65の係合穴65aに係合する(
図8(B)参照)。
【0073】
冷却装置11の電源がオンされると、先ずシャッター駆動機構50が開き動作し、機器側シャッター部材27,28と装置側シャッター部材40が開かれる。すなわち、先ず第1モータ56が回転駆動され、
図10に示すようにスライドリンク57が
図5に示す初期位置から右方向に前進し、スライド部材58も前進する。そうすると、前進する第1ラックギア58aによって第1ピニオンギア59aが従動回転し、機器側シャッター操作部材59が回転することで携帯用情報機器12側の開閉ギア65が回転する(
図10参照)。その結果、機器側シャッター部材27,28が開き動作して、携帯用情報機器12の底面16aで放熱側ヒートシンク29が露呈する(
図9(B)参照)。同時に、前進する第2ラックギア58bによって第2ピニオンギア63が従動回転し、開閉用ラックギア60aを介して装置側シャッター操作部材60が前進する(
図10参照)。その結果、装置側シャッター部材40が開き動作して、冷却装置11の載置面34aで受熱側ヒートシンク32が露呈する。
【0074】
次に、昇降機構52が動作し、受熱側ヒートシンク32が上昇する。すなわち、シャッター駆動機構50の動作から第1モータ56の回転駆動が継続され、
図11に示すようにさらに前進するスライドリンク57の押圧部57aが昇降スライド部材67の角部に当接し、そのまま昇降スライド部材67を押圧して前進させる。この際、スライド部材58もさらに前進することになるが、
図10及び
図11に示すように各ラックギア58a,58bと各ピニオンギア59a,63との噛合状態が解除されているため、各ピニオンギア59a,63は回転しない。
【0075】
昇降スライド部材67が前進すると、
図13に示すように、押上部材74の傾斜面74aとベースプレート66の受圧部材71の傾斜面71aが摺接するため、コイルばね70の付勢力に抗してベースプレート66が押し上げられる。そうすると、ベースプレート66上でコイルばね68を介して弾性支持された受熱側ヒートシンク32も上昇し、受熱側ヒートシンク32の表面が携帯用情報機器12側の放熱側ヒートシンク29の表面に当接する(
図13参照)。また、雄ねじ部材72aもベースプレート66と共に上昇して携帯用情報機器12の底面16aの雌ねじ穴75に係合する(
図13参照)。
【0076】
なお、冷却装置11に搭載した水冷ユニット48では、昇降する水冷ジャケット構造の受熱側ヒートシンク32とラジエータ44及び循環ポンプ46との間の配管47を柔軟性を持ったホース状部材47aで構成している(
図13参照)。このため、受熱側ヒートシンク32の昇降動作に対してホース状部材47aを柔軟に対応させることができ、水漏れ等の不具合の発生を防止できる。
【0077】
続いて
図11に示すようにさらに前進する昇降スライド部材67の押圧板67aにより、引寄せ軸部材72の受圧板72bが押圧されてコイルばね73の付勢力に抗して回転し、雄ねじ部材72aが雌ねじ穴75内で回転する。そうすると、
図14に示すように、雄ねじ部材72aが雌ねじ穴75に螺合して上動し、引寄せ軸部材72によってベースプレート66も上昇する。その結果、ベースプレート66と受熱側ヒートシンク32との間でコイルばね68が圧縮され、受熱側ヒートシンク32が放熱側ヒートシンク29に対してさらに圧接され、両者が密着する。つまり、雄ねじ部材72aを上端に設けた引寄せ軸部材72は、ベースプレート66と携帯用情報機器12との間を互いに近接する方向に引き寄せ、受熱側ヒートシンク32と放熱側ヒートシンク29とをより確実に密着させる機能を果たす。
【0078】
なお、雄ねじ部材72aが雌ねじ穴75に所定位置まで螺合した状態では、
図14に示すように雄ねじ部材72aが雌ねじ穴75の開口に対して直交した配置となる。つまり雄ねじ部材72aが90度回転することで雌ねじ穴75に螺合した状態となる。これにより、雄ねじ部材72aが雌ねじ穴75から確実に抜け止めされるため、装着状態にある携帯用情報機器12に外力が付与された場合でも受熱側ヒートシンク32と放熱側ヒートシンク29との密着状態が保持される。
【0079】
そして、
図11に示すようにスライドリンク57が所定の前進位置まで前進したことが、スライド部材58に対する位置検出センサ87cによって検出されると、制御部86は第1モータ56を停止させる。これにより、冷却装置11への携帯用情報機器12の装着動作が全て完了する。その結果、放熱側ヒートシンク29と受熱側ヒートシンク32との間が、コイルばね68を介して所望の加圧力で密着するため、両者間で高い熱伝達性能が確保され、水冷ユニット48で携帯用情報機器12を効率よく冷却することができる。
【0080】
次に、装着状態にある携帯用情報機器12を冷却装置11から取り外す際には、エジェクトボタン37をオン操作する。そうすると、第1モータ56が装着動作時とは逆方向に回転駆動され、スライドリンク57が
図11に示す装着位置から
図10に示す位置まで左方向に後退し、スライド部材58も後退する。この際、後退するスライドリンク57の押圧部57aを追いかけるように昇降スライド部材67も図示しない弾性体の付勢力によって後退する。
【0081】
昇降スライド部材67が後退すると、押圧板67aによる引寄せ軸部材72の受圧板72bに対する押圧力も解除されるため、引寄せ軸部材72の付勢力によって逆回転し、雄ねじ部材72aが雌ねじ穴75から離脱する方向に回転する。昇降スライド部材67がさらに後退すると、続いて押上部材74がベースプレート66の受圧部材71から退避するため、ベースプレート66がコイルばね70の付勢力及び自重によって下降し、同時に受熱側ヒートシンク32も下降する。このため、雄ねじ部材72aが雌ねじ穴75から完全に離脱する(
図6参照)。
【0082】
図6に示すように受熱側ヒートシンク32の下降が完了し、スライド部材58が
図10に示す位置となって位置検出センサ87bで検出されると、制御部86によって第1モータ56が停止され、第2モータ76が回転駆動される。そうすると、ウォームギア76a及びウォームホイール83を介してエジェクト用ラックギア77が
図12に示すように後方に向かって移動し、揺動アーム78が図中で時計方向に揺動する。これにより、エジェクトスライド部材79が前進し、係合解除部79aによって係合レバー30の係合穴31に対する係合状態が解除される。続いて、押上部79bによってエジェクト部材42が押し上げられ、携帯用情報機器12が載置面34a上でポップアップし、冷却装置11との装着状態が解除される。
【0083】
このように冷却装置11と携帯用情報機器12の装着状態が解除されると、エジェクト用ラックギア77が位置検出センサ87dによって検出され、第2モータ76が停止される。
【0084】
そこで携帯用情報機器12を載置面34a上から持ち上げて取り外すと、携帯用情報機器12の底面16aで押下されていたオンオフセンサ80及びオフセンサ82が上昇して初期位置に復帰する(
図7(A)及び
図8(A)参照)。その結果、オンオフセンサ80及びオフセンサ82からそれぞれオフ信号が発信されて制御部86に送られる。制御部86は、この2つのオフ信号を受信するとシャッター駆動機構50を閉じ動作させる。
【0085】
なお、冷却装置11では、載置面34aの前後方向に離間した位置にオンオフセンサ80及びオフセンサ82を設け、2つのセンサ80,82がいずれもオフ信号を発信した場合にシャッター駆動機構50を閉じ動作させる構成としている。このため、携帯用情報機器12が載置面34a上から完全に取り外されない限りは2つのオフ信号が発信されないため、携帯用情報機器12が完全に取り外される前にシャッター駆動機構50が閉じ動作することを防止できる。しかもオフセンサ82は、オンセンサ64よりも高位置で携帯用情報機器12が取り外されたことを検知できるため、携帯用情報機器12が載置面34a上から僅かに持ち上げられた状態でシャッター駆動機構50が閉じ動作することを防止できる。
【0086】
シャッター駆動機構50の閉じ動作では、先ず第1モータ56が装着動作時とは逆方向に再び回転駆動され、スライドリンク57が
図10に示す位置から
図5に示す初期位置まで左方向に後退し、スライド部材58も後退する。そうすると、後退する第1ラックギア58aによって第1ピニオンギア59aが開き動作時とは逆方向に従動回転し、機器側シャッター操作部材59が逆回転することで携帯用情報機器12側の開閉ギア65が逆回転する。その結果、機器側シャッター部材27,28が閉じ動作して放熱側ヒートシンク29が再び覆われる(
図9(A)参照)。同時に、後退する第2ラックギア58bによって第2ピニオンギア63が開き動作時とは逆方向に従動回転し、開閉用ラックギア60aを介して装置側シャッター操作部材60が後退する。その結果、装置側シャッター部材40が閉じ動作して受熱側ヒートシンク32が再び覆われる(
図5参照)。
【0087】
このように冷却装置11では、受熱側ヒートシンク32が下降した後、携帯用情報機器12が載置面34a上から確実に持ち上げられて取り外されたことを検知してから各シャッター部材27,28,40を閉じ動作させる。このため、誤って各シャッター部材27,28,40が受熱側ヒートシンク32等に噛み付くことを防止できる。
【0088】
最終的には
図5に示す初期位置までスライド部材58が後退したことが位置検出センサ87aによって検出されると、制御部86によって当該冷却装置11の電源がオフされ、冷却装置11からの携帯用情報機器12の取り外し動作が全て完了する。
【0089】
以上のように、本実施形態に係る電子機器10によれば、携帯用情報機器12はその一面である底面16aに、発熱体90と熱的に接続された放熱側ヒートシンク29と、放熱側ヒートシンク29を開閉可能に覆う機器側シャッター部材27,28とを備え、冷却装置11は、携帯用情報機器12が接続された場合に機器側シャッター部材27,28を開き動作させるシャッター駆動機構50と、放熱側ヒートシンク29に対して熱的に接続される受熱側ヒートシンク32とを備える。
【0090】
従って、携帯用情報機器12を冷却装置11に接続していない状態では、その外面(底面16a)に設けた放熱側ヒートシンク29を機器側シャッター部材27,28によって覆っておくことができる。このため、携帯用情報機器12の底面16aに高温になる放熱側ヒートシンク29が露出することを防止できると共に、携帯用情報機器12単体での外観品質が損なわれることも回避できる。しかも冷却装置11に携帯用情報機器12を接続した状態では、冷却装置11側のシャッター駆動機構50によって機器側シャッター部材27,28を開き動作させ、放熱側ヒートシンク29に対して受熱側ヒートシンク32が熱的に接続される。これにより、放熱側ヒートシンク29と受熱側ヒートシンク32とを、その間にカバー部材等の別部材を介在させることなく広い接触面積で密着させることができる。このため、冷却装置11と携帯用情報機器12との間で十分な伝熱効率を確保でき、携帯用情報機器12の冷却機能を補強することができる。
【0091】
当該電子機器10では、冷却装置11はその一面(載置面34a)に、受熱側ヒートシンク32と、受熱側ヒートシンク32を開閉可能に覆う装置側シャッター部材40とを備え、シャッター駆動機構50によって装置側シャッター部材40を開き動作させる。このため、例えば携帯用情報機器12を取り外した直後にある程度高温となっている受熱側ヒートシンク32が載置面34a上に露出することを防止できると共に、冷却装置11単体での外観品質が損なわれることも回避できる。
【0092】
特に、当該電子機器10では、携帯用情報機器12を冷却装置11の載置面34aに載置した後、受熱側ヒートシンク32を上昇させて放熱側ヒートシンク29に当接させる昇降機構52を備えることで、機器側シャッター部材27,28及び装置側シャッター部材40を設けつつも受熱側ヒートシンク32と放熱側ヒートシンク29との間を確実に密着させることが可能となっている。勿論、このように機器側シャッター部材27,28及び装置側シャッター部材40を設けた構成であっても冷却装置11側に昇降機構52を設けず、例えば携帯用情報機器12側に放熱側ヒートシンク29を下降させる昇降機構を設けた構成等にしてもよい。
【0093】
この場合、冷却装置11は、ラジエータ44、受熱側ヒートシンク32及び循環ポンプ46を配管47で環状に接続して冷却水を循環させる水冷ユニット48を備える。このため、携帯用情報機器12を冷却装置11によって高効率で冷却することができる。
【0094】
また、本実施形態に係る電子機器10によれば、携帯用情報機器12は、その底面16aに発熱体90と熱的に接続された放熱側ヒートシンク29を備え、冷却装置11は、携帯用情報機器12の底面16aが載置される載置面34aと、載置面34aに配置され、放熱側ヒートシンク29に対して熱的に接続される受熱側ヒートシンク32と、載置面34aに携帯用情報機器12が載置された場合に受熱側ヒートシンク32を放熱側ヒートシンク29に向かって上昇させて当接させる昇降機構52とを備える。
【0095】
従って、携帯用情報機器12を冷却装置11の載置面34aに載置した後、受熱側ヒートシンク32が上昇して放熱側ヒートシンク29に当接するため、受熱側ヒートシンク32と放熱側ヒートシンク29との間を確実に密着させることができ、高い伝熱効率を得ることができる。
【0096】
特に、当該電子機器10では、携帯用情報機器12の放熱側ヒートシンク29と冷却装置11の受熱側ヒートシンク32とをそれぞれ機器側シャッター部材27,28と装置側シャッター部材40とで覆っているため、単に携帯用情報機器12を載置面34aに載置しただけでは、受熱側ヒートシンク32と放熱側ヒートシンク29との間を密着させることは難しい。そこで、当該電子機器10ではシャッター駆動機構50で機器側シャッター部材27,28及び装置側シャッター部材40を開いた後に昇降機構52で受熱側ヒートシンク32を上昇させて放熱側ヒートシンク29に当接させる構成としたことで、機器側シャッター部材27,28及び装置側シャッター部材40を設けつつも受熱側ヒートシンク32と放熱側ヒートシンク29との間を確実に密着させることが可能となっている。勿論、このような昇降機構52は、機器側シャッター部材27,28及び装置側シャッター部材40を持たない構成であっても有効に利用できる。
【0097】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0098】
上記実施形態では、携帯用情報機器12及び冷却装置11に機器側シャッター部材27,28及び装置側シャッター部材40を設けた構成を例示したが、例えば単独で利用されることがある携帯用情報機器12に機器側シャッター部材27,28を設けておけば、冷却装置11の装置側シャッター部材40は省略してもよい。また、機器側シャッター部材27,28は2枚1組で構成されず、装置側シャッター部材40のように1枚のみで構成されてもよい。
【0099】
上記実施形態では、冷却装置11に水冷ユニット48を設けた構成を例示したが、水冷ユニット48に代えて空冷ユニットを用いてもよい。
【解決手段】電子機器10は、内部に発熱体90を有する携帯用情報機器12と、携帯用情報機器12と着脱可能に接続されて発熱体90の熱を吸収する冷却装置11とを備え、携帯用情報機器12は、その底面16aに発熱体90と熱的に接続された放熱側ヒートシンク29を備え、冷却装置11は、携帯用情報機器12の底面16aが載置される載置面34aと、載置面34aに配置され、放熱側ヒートシンク29に対して熱的に接続される受熱側ヒートシンク32と、載置面34aに携帯用情報機器12が載置された場合に受熱側ヒートシンク32を放熱側ヒートシンク29に向かって上昇させて当接させる昇降機構52とを備える。