特許第6100892号(P6100892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100892
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】ポリイミド金属張積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/088 20060101AFI20170313BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20170313BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20170313BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   B32B15/088
   B32B27/20 Z
   H05K1/03 630H
   H05K1/03 610P
   C08G73/10
【請求項の数】10
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2015-518588(P2015-518588)
(86)(22)【出願日】2013年6月21日
(65)【公表番号】特表2015-527222(P2015-527222A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】US2013046939
(87)【国際公開番号】WO2013192472
(87)【国際公開日】20131227
【審査請求日】2016年4月7日
(31)【優先権主張番号】61/663,254
(32)【優先日】2012年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/663,270
(32)【優先日】2012年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/663,258
(32)【優先日】2012年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/663,280
(32)【優先日】2012年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/663,291
(32)【優先日】2012年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー デニス シモーネ
(72)【発明者】
【氏名】ジー.シドニー コックス
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−201625(JP,A)
【文献】 特開平11−333376(JP,A)
【文献】 米国特許第06133407(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0138537(US,A1)
【文献】 特開2007−046054(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/063229(WO,A1)
【文献】 特表2013−511412(JP,A)
【文献】 特開2008−188792(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0035591(US,A1)
【文献】 特開2011−060622(JP,A)
【文献】 特開2010−031258(JP,A)
【文献】 特開2012−076278(JP,A)
【文献】 特開2012−076363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 15/088
B32B 27/20
C08G 73/10
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.金属箔と、
b.前記金属箔に直接接触する第1の側面と、第2の側面とを有し、80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから誘導されるポリイミドを含んでなるポリイミド層と
を含んでなるポリイミド金属張積層体であって、
前記金属箔と前記ポリイミド層との間に接合層を有さず、かつ
340℃以上の温度および150psi(10.55kg/cm)〜400psi(28.13kg/cm)の圧力において前記金属箔および前記ポリイミド層が一緒に積層される場合、IPC−TM−650−2.4.9dに従って測定した場合、少なくとも1.0N/mmの剥離強度を有する、ポリイミド金属張積層体。
【請求項2】
前記金属箔が銅である、請求項1に記載のポリイミド金属張積層体。
【請求項3】
前記ポリイミド層が、1〜55重量パーセントの熱伝導性充填剤、誘電性充填剤またはそれらの混合物を含んでなる、請求項1に記載のポリイミド金属張積層体。
【請求項4】
前記金属箔が銅であり、かつ前記ポリイミド層が、1〜55重量パーセントの熱伝導性充填剤、誘電性充填剤またはそれらの混合物を含んでなる、請求項1に記載のポリイミド金属張積層体。
【請求項5】
前記ポリイミド層の前記第2の側面に直接接触する第2の金属箔をさらに含んでなり、かつ前記第2の金属箔と前記ポリイミド層との間に接合層を有さない、請求項1に記載のポリイミド金属張積層体。
【請求項6】
前記第2の金属箔が銅である、請求項5に記載のポリイミド金属張積層体。
【請求項7】
前記ポリイミド層が、1〜55重量パーセントの熱伝導性充填剤、誘電性充填剤またはそれらの混合物を含んでなる、請求項5に記載のポリイミド金属張積層体。
【請求項8】
前記金属箔、前記第2の金属箔または両方が銅であり、かつ前記ポリイミド層が、1〜55重量パーセントの熱伝導性充填剤、誘電性充填剤またはそれらの混合物を含んでなる、請求項5に記載のポリイミド金属張積層体。
【請求項9】
前記ポリイミド層の厚さが2〜26ミクロンである、請求項1に記載のポリイミド金属張積層体。
【請求項10】
前記ポリイミド層の厚さが27〜105ミクロンである、請求項1に記載のポリイミド金属張積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ポリイミド金属張積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板構造のための金属張積層体は、間に接合層を用いて、金属箔にポリイミド膜を積層することによって構成される。接合層は従来の接着剤(アクリレート、エポキシド、ポリアミド、フェノール樹脂など)からなってよく、接着剤は金属箔積層の間に硬化される。しかしながら、これらの従来の接着剤は、通常、ベースのポリイミド誘電体の高温熱安定性を有さず、高温を受けた時、マルチプレーヤー積層体構造の接着結合の強度は急速に低下する。またこれらの接着剤は、これらの接着剤の高い損失係数のため、高速回路層において高い電気的損失を示す。
【0003】
電子実装がより高度なものとなり、低CTE、低水分吸着、高温熱安定性および高弾性を有する、より薄型で、より小型で軽量のフレキシブル電子部品に対する要望のため、接合層の排除が必要とされている。
【0004】
接着剤を含まない積層体のための1つの手段は、両面にポリアミド酸前駆体溶液の薄層によって高弾性ポリイミド膜コア層をコーティングし、この層を乾燥させ、最終的に適用されたコーティングをイミド化し、熱可塑性ポリイミドを作製することである。次いで、熱および圧力によって銅箔を積層し、両面銅張積層体を作製する。
【0005】
またポリイミド前駆体を銅箔上に直接コーティングして、次いで硬化し、片面に銅箔を有するポリイミド膜を作製することも可能である。これは、接着剤を含まない銅クラッド膜を製造するための一般的な方法であるが、片面のみに銅を有するポリイミドクラッドを作製することができる。接着剤を含まないポリイミド銅張積層体を製造するためのもう1つの方法は、標準的剛性ポリイミドベース膜から出発することである。典型的に、金属とポリイミドとの間の接着性を改善するために、スパッタリングまたは蒸着によって金属薄層が析出される。次いで必要とされる厚さまで銅に電気メッキが施され、両面銅張積層体を作製する。
【0006】
これらの各々には、以下の不都合の1つまたは複数がある:ポリイミド膜への金属箔の積層とは対照的に必要とされる追加的な工程、接着剤が使用される場合はポリイミドへの金属箔の劣った接着性、ポリイミドの複数の層は全体的に構造の厚さを追加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の理由のために、良好な機械特性および電気特性を維持しながら、低CTE、低水分吸着、高温熱安定性および高弾性を有する、より薄型のフレキシブル電子部品を提供するため、接着剤を使用することなく金属箔に直接積層/接着することが可能なポリイミド膜に対する必要性が存続している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
本明細書で使用される場合、「含んでなる」、「含んでなっている」「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」という用語またはそれらの他のいずれの変形も、非排除的包含を含むように意図される。例えば、要素のリストを含んでなる方法、プロセス、物品または装置は、必ずしもそれらの要素に限定されず、明白に記載されないか、またはそのような方法、プロセス、物品または装置に固有である他の要素を含んでもよい。さらに、明白に反対に明示されない限り、「または」は包含的離接を指し、排他的論理和を指さない。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aは真であり(または存在し)、Bは偽である(または存在しない);Aは偽であり(または存在しない)、Bは真である(または存在する);ならびにAおよびBは真である(または存在する)。
【0009】
また「a」または「an」の使用は、本発明の要素および成分を記載するために使用される。これは便宜上、および本発明の一般的な意味を与えるためのみである。この記述は1つ、または少なくとも1つを含むように解釈されなければならず、かつ、それが別の意味を有することが明らかでない限り、単数は複数も含む。
【0010】
「二無水物」という用語は、本明細書で使用される場合、技術的には二無水物ではないが、それにもかかわらず、ジアミンと反応して、ポリイミドに変換可能なポリアミド酸を形成し得る、それらの前駆体、誘導体または類似体を含むように意図される。
【0011】
「ジアミン」という用語は、本明細書で使用される場合、技術的にはジアミンではないが、それにもかかわらず、二無水物と反応して、ポリイミドに変換可能なポリアミド酸を形成し得る、それらの前駆体、誘導体または類似体を含むように意図される。
【0012】
「ポリアミド酸」という用語は、本明細書で使用される場合、二無水物およびジアミンの組み合わせから誘導され、かつポリイミドへの変換が可能であるいずれかのポリイミド前駆体材料を含むように意図される。
【0013】
「膜」という用語は、本明細書で使用される場合、自立膜または(セルフサポーティングもしくは非セルフサポーティング)コーティングを意味するように意図される。「膜」という用語は、「層」という用語と交換可能に使用される。
【0014】
「化学変換」または「化学的に変換される」という用語は、本明細書で使用される場合、ポリアミド酸をポリイミドに変換するための触媒(促進剤)もしくは脱水剤(または両方)の使用を示し、かつ98%より高い固体濃度まで高温で乾燥される、部分的に化学的に変換されたポリイミドを含むように意図される。
【0015】
「金属」という用語は、本明細書で使用される場合、元素金属および金属合金を含むように意図される。
【0016】
「直接接触」という用語は、本明細書で使用される場合、層がそれらのインターフェースにおいて互いに接触し、かつ接合層などの介在層が存在しないことを意味するように意図される。
【0017】
量、濃度または他の値もしくはパラメーターが、範囲として、好ましい範囲として、または上位の好ましい値および下位の好ましい値のリストとして与えられる場合、範囲がそれとは別に開示されるかどうかにかかわらず、いずれかの上位の範囲限界または好ましい値およびいずれかの下位の範囲限界または好ましい値のいずれかの対から形成される全ての範囲を特に開示するものとして理解されるべきである。数値的な値の範囲が本明細書に列挙される場合、特に明記されない限り、その範囲は、それらの終点ならびに範囲内の全ての整数および分数を含むように意図される。数値的な値は、提供される有効数字の数の精度を有するように理解されるべきである。例えば、数字1は、0.5〜1.4の範囲を包含するように理解されるが、それに対して数字1.0は、0.95〜1.04の範囲を包含するように理解され、明示された範囲の終点を含む。本発明の範囲は、範囲が定義される場合に列挙される特定の値に限定されるようには意図されない。
【0018】
ある種のポリマーの記述において、出願者が、それらを製造するために使用されるモノマーまたはそれらを製造するために使用されるモノマーの量によってポリマーを参照する時があることは理解されるべきである。そのような記述には、最終的なポリマーを記載するために使用される特定の学名が含まれ得ないか、またはプロダクト−バイ−プロセス用語が含有され得ないが、モノマーおよび量のいずれかのそのような参照は、文脈が別のことを示すか、または暗示しない限り、ポリマーがそれらのモノマーから製造されることを意味するものと解釈されなければならない。
【0019】
本明細書に記載される材料、方法および実施例は、実例となるのみであり、特に明示された場合を除き、限定するように意図されない。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法および材料を使用することができるが、適切な方法および材料は本明細書に記載される。
【0020】
本開示は、追加的な接合層を必要とすることなく、金属に直接接着可能であり、かつ良好な剥離強度を有する熱硬化性ポリイミド膜に関する。銅張積層体に関する良好な剥離強度は、本開示の目的に関して、少なくとも1N/mmである。カバーレイまたはボンドプライに関する良好な剥離強度は、本開示の目的に関して、0.7〜2N/mmである。
【0021】
いくつかの実施形態において、ポリイミド膜(ポリイミド層またはポリイミドカバーレイまたはポリイミドボンドプライまたは電気絶縁層)は、80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから誘導されるポリイミドを含んでなり、かつ340〜400℃の積層温度において金属および他のポリマーに直接接着することが可能である。
【0022】
いくつかの実施形態において、ポリイミド膜(ポリイミド層またはポリイミドカバーレイまたはポリイミドボンドプライまたは電気絶縁層)は、80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから誘導されるポリイミドを含んでなり、かつ少なくとも340、350、380、395または400℃の積層温度において金属および他のポリマーに直接接着することが可能である。
【0023】
したがって、本開示の熱硬化性ポリイミドは、限定されないが、金属張積層体、カバーレイおよびボンドプライなどの金属へのポリイミドの直接接着が有利であり、かつ低CTE、低水分吸着を有する薄型フレキシブル電子部品が望ましいいずれかの用途のために有用である。
【0024】
ポリイミド金属張積層体
本開示の一実施形態は、金属箔と、ポリイミド層とを含んでなるポリイミド金属張積層体である。ポリイミド層は、第1の側面と、第2の側面とを有し、第1の側面は金属箔に直接接触しており、ポリイミド層は、80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから誘導されるポリイミドを含んでなる。ポリイミド金属張積層体は、金属箔とポリイミド層との間に接合層を有さない。340℃以上の温度および150psi(10.55kg/cm)〜400psi(28.13kg/cm)の圧力において金属箔およびポリイミド層が一緒に積層される場合、ポリイミド金属張積層体は、IPC−TM−650−2.4.9dに従って測定した場合、少なくとも1.0N/mm、ならびにいくつかの実施形態において、1〜3N/mmの剥離強度を有する。
【0025】
いくつかの実施形態において、ポリイミドは、80、85および90モル%のいずれか2つの両端値を含む間の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10、15および20モル%のいずれか2つの両端値を含む間の4,4’−オキシジフタル酸無水物ならびに100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから誘導される。
【0026】
いくつかの実施形態において、ポリイミド金属張積層体は、ポリイミド層の第2の側面に直接接触する第2の金属箔をさらに含んでなり、かつポリイミド金属張積層体は、第2の金属箔とポリイミド層との間に接合層を有さない。
【0027】
いくつかの実施形態において、金属箔、第2の金属箔または両方は銅である。
【0028】
いくつかの実施形態において、ポリイミド金属張積層体は、
a.金属箔と、
b.金属箔に直接接触する第1の側面と、第2の側面とを有し、80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから誘導されるポリイミドを含んでなるポリイミド層と、
c.第2の金属箔と
を含んでなり、ポリイミド金属張積層体は、金属箔とポリイミド層との間に接合層を有さず、かつ340℃以上の温度および150psi(10.55kg/cm)〜400psi(28.13kg/cm)の圧力において金属箔およびポリイミド層が一緒に積層される場合、ポリイミド金属張積層体は、IPC−TM−650−2.4.9dに従って測定した場合、少なくとも1.0N/mmの剥離強度を有する。いくつかの実施形態において、ポリイミド金属張積層体は、340〜400℃の温度で一緒に積層される。
【0029】
驚くべきことに、本開示のポリイミドは、340〜400℃の温度において積層された場合、接着剤を必要とせずに、金属に対する、および金属が除去された部分で露出したポリマー領域を有する像形成された金属に対する良好な剥離強度を有する。ポリイミド層は、機械特性および電気特性の良好なバランス、ならびに低CTEを維持する。全ての低Tgポリイミドが良好な剥離強度、特性のバランスおよび低CTEを有するというわけではない。
【0030】
望ましい電気特性および機械特性は、材料が使用される所望の最終用途次第である。所望の最終用途のために特性を微調整する際に、通常の技術および実験が必要とされ得る。一般に、良好な縦方向(MD)引張係数は2.75GPaより高く、MD引張強さは125MPaより高く、MD伸長率は25%より高く、水分吸収は1.5%未満であり、100Hzの比誘電率は3.5未満、および損失係数は0.006未満である。
【0031】
金属箔に直接接着する能力を有する単層ポリイミドのもう1つの利点は、高度な層を組み合わせるシステムに依存する多層キャスト膜よりも、25ミクロン未満の厚さに関して単一スロットキャスティングダイを通して、膜厚均一性をより容易に制御することができることである。全てのポリイミド金属張積層体は、3層、すなわち、剛性熱硬化性ポリイミドコア、ならびにポリイミドコア両面上の薄い熱可塑性ポリイミドコーティング(接着剤)から製造することができる。しかしながら、薄いコーティングの厚さを制御することは困難であり、加えて、3層膜を製造するためにはより複雑な製造方法が必要とされる。
【0032】
本開示の単層のポリイミド膜のもう1つの利点は、それが、剛性ポリイミドコアを有する金属(銅)張積層体で予想される特性を生じ、また熱可塑性ポリイミドと同様の銅に対する接着性を生じることである。金属箔への良好な接着性は、全ての熱可塑性ポリイミド膜によって達成可能であろう。しかしながら、全ての熱可塑性膜は、金属張積層体のために容認できない大きいCTE値(>50)を有するであろう。また寸法安定性も低い。
【0033】
もう1つの利点は、ポリイミド薄膜は、電気特性を維持しながら、より高い熱伝導率を可能にすることができることである。
【0034】
いくつかの実施形態において、(ポリイミド金属張積層体の)ポリイミド層は、2、5、10、15、20、26、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100および105ミクロンのいずれか2つの両端値を含む間の厚さである。いくつかの実施形態において、ポリイミド層は2〜26ミクロンの厚さである。いくつかの実施形態において、ポリイミド層は27〜105ミクロンの厚さである。
【0035】
いくつかの実施形態において、ポリイミド層は、1〜55重量パーセントの熱伝導性充填剤、誘電性充填剤またはそれらの混合物を含んでなる。いくつかの実施形態において、金属箔は銅であり、かつポリイミド層は、1〜55重量パーセントの熱伝導性充填剤、誘電性充填剤またはそれらの混合物を含んでなる。いくつかの実施形態において、金属箔、第2の金属箔または両方が銅であり、かつポリイミド層は、1〜55重量パーセントの熱伝導性充填剤、誘電性充填剤またはそれらの混合物を含んでなる。
【0036】
本開示のポリイミドは、ポリイミド膜または充填ポリイミド膜の製造のためのいずれかの既知の熱変換または化学変換方法によって製造することができる。いくつかの実施形態において、限定されないが、より低いCTEなどの熱変換より高い化学変換の利点のため、化学変換を使用することが望ましく、かつ平滑な表面にキャストされる場合でも膜が両面で無光沢である。
【0037】
いくつかの実施形態において、ポリイミド層は、金属張積層体を形成するために、ニップロール積層または真空プレスを使用して、片面または両面で金属箔に直接接着される自立膜であることができる。ニップロールまたは真空プレスは、必要とされる温度および圧力を達成することが可能でなければならない。
【0038】
いくつかの実施形態において、ポリアミド酸は、金属箔にキャストして、硬化することができる。このプロセスは、非常に薄い電気絶縁層(誘電層)を生じることができる。任意選択で、必要とされる温度および圧力を達成することが可能なニップロールプロセスまたは真空プレスを使用して、もう1つの金属箔をポリイミド層の反対側に接着することができる。
【0039】
いくつかの実施形態において、ポリイミド膜は、金属張積層体を形成するために、ニップロール積層または真空プレスを使用して、片面または両面で金属箔に直接接着される自立膜であることができる。
【0040】
金属箔−ポリイミド金属張積層体
いくつかの実施形態において、金属箔は元素金属である。いくつかの実施形態において、金属箔は金属合金である。いくつかの実施形態において、金属箔は銅である。いくつかの実施形態において、金属合金は50〜72重量%のニッケルを含んでなる。もう1つの実施形態において、金属合金は、50〜72%重量%のニッケルおよび14〜24重量%のクロムを含んでなる。いくつかの実施形態において、金属箔はアルミニウムである。
【0041】
いくつかの実施形態において、ポリイミド金属張積層体は、ポリイミド層の第2の側面に直接接触する第2の金属箔をさらに含んでなり、かつポリイミド金属張積層体は、第2の金属箔とポリイミド層との間に接合層を有さない。
【0042】
いくつかの実施形態において、第2の金属箔は元素金属である。いくつかの実施形態において、第2の金属箔は金属合金である。いくつかの実施形態において、第2の金属箔は銅である。いくつかの実施形態において、金属合金は50〜72重量%のニッケルを含んでなる。もう1つの実施形態において、金属合金は、50〜72%重量%のニッケルおよび14〜24重量%のクロムを含んでなる。いくつかの実施形態において、金属箔はアルミニウムである。
【0043】
いくつかの実施形態において、金属箔は5〜72ミクロンの厚さである。いくつかの実施形態において、金属箔は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70および72ミクロンのいずれか2つの両端値を含む間の厚さである。いくつかの実施形態において、金属箔は、電気絶縁層に対する接着性を改善するために表面処理される。
【0044】
いくつかの実施形態において、第2の金属箔は5〜72ミクロンの厚さである。いくつかの実施形態において、第2の金属箔は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70および72ミクロンのいずれか2つの両端値を含む間の厚さである。いくつかの実施形態において、第2の金属箔は、電気絶縁層に対する接着性を改善するために表面処理される。
【0045】
回路基板
本開示の一実施形態は、
a.第1の側面と、第2の側面とを有する第1の電気絶縁層、
b.第1の像形成された金属層、
c.80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから誘導されるポリイミドを含んでなる第1のポリイミドカバーレイ
を含んでなる回路基板である。第1のポリイミドカバーレイは、第1の像形成された金属層および第1の電気絶縁層の第1の側面の露出した領域に直接接触する。接合層は、第1の像形成された金属層と第1のポリイミドカバーレイとの間に存在しない。340℃以上の積層温度および150psi(10.55kg/cm)〜400psi(28.13kg/cm)の圧力において、第1のポリイミドカバーレイが、第1の像形成された金属層および第1の電気絶縁層の第1の側面の露出した領域に積層される場合、第1のポリイミドカバーレイは、IPC−TM−650−2.4.9dに従って測定した場合、0.7〜2N/mmの剥離強度を有する。第1の電気絶縁層は、340℃以上の積層温度に耐えることができるいずれかの電気絶縁材料である。
【0046】
その利点はポリイミド金属張積層体と同様である。第1のポリイミドカバーレイは、340℃以上の温度において積層された場合、接着剤を必要とせずに、金属が除去された露出したポリマー領域を有する像形成された金属に対して良好な剥離強度を有する。いくつかの実施形態において、回路基板は340〜400℃の温度において一緒に積層される。
【0047】
もう1つの実施形態において、回路基板は、第1の電気絶縁層の第2の側面上に第2の像形成された金属層をさらに含んでなる。もう1つの実施形態において、回路基板は、80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから誘導されるポリイミドを含んでなり、かつ第2の像形成された金属層および第1の電気絶縁層の第2の側面の露出した領域に直接接触する第2のポリイミドカバーレイをさらに含んでなる。接合層は、第2の像形成された金属層と第2のポリイミドカバーレイとの間に存在しない。340℃以上の積層温度および150psi(10.55kg/cm)〜400psi(28.13kg/cm)の圧力において、第2のポリイミドカバーレイが、第2の像形成された金属層および第1の電気絶縁層の第2の側面の露出した領域に積層される場合、第2のポリイミドカバーレイは、IPC−TM−650−2.4.9dに従って測定した場合、0.7〜2N/mmの剥離強度を有する。
【0048】
本開示のもう1つの実施形態において、回路基板は、以下の順序で、
a.第1の像形成された金属層、
b.第1の側面と、第2の側面とを有する第1の電気絶縁層(第1の電気絶縁層の第1の側面は、第1の像形成された金属層の次である)、
c.第2の像形成された金属層(第1の電気絶縁層の第2の側面は、第2の像形成された金属層の次である)、
d.80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから誘導されるポリイミドを含んでなるポリイミドボンドプライ、
e.第3の像形成された金属層、
f.第1の側面と、第2の側面とを有する第2の電気絶縁層(第2の電気絶縁層の第1の側面は、第3の像形成された金属層の次である)、
g.第4の像形成された金属層(第2の電気絶縁層の第2の側面は、第4の像形成された金属層の次である)
を含んでなる。ポリイミドボンドプライは、第2の像形成された金属層および第1の電気絶縁層の第2の側面の露出した領域に直接接触し、かつ第3の像形成された金属層および第2の電気絶縁層の第1の側面の露出した領域に直接接触する。340℃以上の積層温度および150psi(10.55kg/cm)〜400psi(28.13kg/cm)の圧力において、
i)第1の像形成された金属層、第1の電気絶縁層および第2の像形成された金属層、
ii)ポリイミドボンドプライ、ならびに
iii)第3の像形成された金属層、第2の電気絶縁層および第4の像形成された金属層
が積層される場合、ポリイミドボンドプライは、IPC−TM−650−2.4.9dに従って測定した場合、0.7〜2N/mmの剥離強度を有する。第1の電気絶縁層および第2の電気絶縁層は、340℃以上の積層温度に耐えることができるいずれかの電気絶縁材料である。
【0049】
本開示のボンドプライの利点は、ボンドプライが、340℃以上の温度において積層された場合、接着剤を必要とせずに、金属が除去された露出した電気絶縁層領域を有する像形成された金属に対して良好な剥離強度を有することである。いくつかの実施形態において、回路基板は340〜400℃の温度において一緒に積層される。
【0050】
いくつかの実施形態において、ポリイミドボンドプライは、1〜55重量パーセントの熱伝導性充填剤、誘電性充填剤またはそれらの混合物を含んでなる。
【0051】
いくつかの実施形態において、回路基板は、第1の像形成された金属層とカバーレイとの間にあり、かつそれらと直接接触する接着剤と、カバーレイとをさらに含んでなる。そのような実施形態において、回路基板は、以下の順序で、
a.カバーレイ、
b.接着剤、
c.第1の像形成された金属層、
d.第1の側面と、第2の側面とを有する第1の電気絶縁層(第1の電気絶縁層の第1の側面は、第1の像形成された金属層の次である)、
e.第2の像形成された金属層(第1の電気絶縁層の第2の側面は、第2の像形成された金属層の次である)、
f.80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから誘導されるポリイミドを含んでなるポリイミドボンドプライ、
g.第3の像形成された金属層、
h.第1の側面と、第2の側面とを有する第2の電気絶縁層(第2の電気絶縁層の第1の側面は、第3の像形成された金属層の次である)、
i.第4の像形成された金属層(第2の電気絶縁層の第2の側面は、第4の像形成された金属層の次である)
を含んでなる。ポリイミドボンドプライは、第2の像形成された金属層および第1の電気絶縁層の第2の側面の露出した領域に直接接触し、かつ第3の像形成された金属層および第2の電気絶縁層の第1の側面の露出した領域に直接接触する。
【0052】
もう1つの実施形態において、回路基板は、
i)第1の像形成された金属層とカバーレイとの間にあり、かつそれらと直接接触する接着剤、およびカバーレイ、ならびに
ii)第4の像形成された金属層と第2のカバーレイとの間にあり、かつそれらと直接接触する第2の接着剤、および第2のカバーレイ
をさらに含んでなる。そのような実施形態において、回路基板は、以下の順序で、
a.カバーレイ、
b.接着剤、
c.第1の像形成された金属層、
d.第1の側面と、第2の側面とを有する第1の電気絶縁層(第1の電気絶縁層の第1の側面は、第1の像形成された金属層の次である)、
e.第2の像形成された金属層(第1の電気絶縁層の第2の側面は、第2の像形成された金属層の次である)、
f.80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから誘導されるポリイミドを含んでなるポリイミドボンドプライ、
g.第3の像形成された金属層、
h.第1の側面と、第2の側面とを有する第2の電気絶縁層(第2の電気絶縁層の第1の側面は、第3の像形成された金属層の次である)、
i.第4の像形成された金属層(第2の電気絶縁層の第2の側面は、第4の像形成された金属層の次である)、
j.第2の接着剤、
k.第2のカバーレイ
を含んでなる。ポリイミドボンドプライは、第2の像形成された金属層および第1の電気絶縁層の第2の側面の露出した領域に直接接触し、かつ第3の像形成された金属層および第2の電気絶縁層の第1の側面の露出した領域に直接接触する。
【0053】
接着剤および第2の接着剤は、カバーレイが回路基板の形成後に追加される場合に、像形成された金属層にカバーレイを接着するために使用されるいずれかの従来の接着剤であることができる。回路基板は、多くの像形成された金属層および電気絶縁層を有することができる。いくつかの実施形態において、電気絶縁層によって分離された2つの像形成された金属層を、クラッドまたは金属クラッドと記載することができる。多くのこれらのクラッドは、本開示のポリイミドボンドプライによって互いに接着することができる。
【0054】
カバーレイおよび第2のカバーレイは、いずれかの従来のカバーレイ材料であることができる。カバーレイ材料と適切な従来の接着剤との組み合わせを選択する際に、通常の技術および実験が必要となり得る。
【0055】
本開示のもう1つの実施形態において、回路基板は、以下の順序で、
a.i)80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、または
ii)100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、20〜90モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンおよび10〜80モル%の4,4’−オキシジアニリン
から誘導されるポリイミドを含んでなる第1のポリイミドカバーレイ、
b.第1の像形成された金属層、
c.第1の側面と、第2の側面とを有する第1の電気絶縁層(第1の電気絶縁層の第1の側面は、第1の像形成された金属層の次である)、
d.第2の像形成された金属層(第1の電気絶縁層の第2の側面は、第2の像形成された金属層の次である)、
e.80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから誘導されるポリイミドを含んでなるポリイミドボンドプライ、
f.第3の像形成された金属層、
g.第1の側面と、第2の側面とを有する第2の電気絶縁層(第2の電気絶縁層の第1の側面は、第3の像形成された金属層の次である)、
h.第4の像形成された金属層(第2の電気絶縁層の第2の側面は、第4の像形成された金属層の次である)、ならびに
i.i)80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、または
ii)100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、20〜90モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンおよび10〜80モル%の4,4’−オキシジアニリンから誘導されるポリイミドを含んでなる第2のポリイミドカバーレイ
を含んでなる。
【0056】
ポリイミドボンドプライは、第2の像形成された金属層および第1の電気絶縁層の第2の側面の露出した領域に直接接触し、かつ第3の像形成された金属層および第2の電気絶縁層の第1の側面の露出した領域に直接接触する。340℃以上の積層温度および150psi(10.55kg/cm)〜400psi(28.13kg/cm)の圧力において、
i)第1の像形成された金属層、第1の電気絶縁層および第2の像形成された金属層、
ii)ポリイミドボンドプライ、ならびに
iii)第3の像形成された金属層、第2の電気絶縁層および第4の像形成された金属層
が積層される場合、ポリイミドボンドプライは、IPC−TM−650−2.4.9dに従って測定した場合、0.7〜2N/mmの剥離強度を有する。第1のポリイミドカバーレイが、第1の像形成された金属層および第1の電気絶縁層の第1の側面の露出した領域に直接接触し、かつ第2のポリイミドカバーレイが、第4の像形成された金属層および第2の電気絶縁層の第2の側面の露出した領域に直接接触し、かつ第1の電気絶縁層および第2の電気絶縁層は、340℃以上の積層温度に耐えることができるいずれかの電気絶縁材料である。
【0057】
像形成された金属層−回路基板
いくつかの実施形態において、第1の像形成された金属層、第2の像形成された金属層、第3の像形成された金属層または第4の像形成された金属層は元素金属である。いくつかの実施形態において、第1の像形成された金属層、第2の像形成された金属層、第3の像形成された金属層または第4の像形成された金属層は金属合金である。いくつかの実施形態において、第1の像形成された金属層、第2の像形成された金属層、第3の像形成された金属層または第4の像形成された金属層は銅である。いくつかの実施形態において、金属合金は、50〜72重量%のニッケルを含んでなる。もう1つの実施形態において、金属合金は、50〜72%重量%のニッケルおよび14〜24重量%のクロムを含んでなる。いくつかの実施形態において、第1の像形成された金属層、第2の像形成された金属層、第3の像形成された金属層または第4の像形成された金属層はアルミニウムである。
【0058】
いくつかの実施形態において、第1の像形成された金属層、第2の像形成された金属層、第3の像形成された金属層または第4の像形成された金属層は、5〜72ミクロンの厚さである。いくつかの実施形態において、第1の像形成された金属層、第2の像形成された金属層、第3の像形成された金属層または第4の像形成された金属層は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70および72ミクロンのいずれか2つの両端値を含む間の厚さである。いくつかの実施形態において、第1の像形成された金属層、第2の像形成された金属層、第3の像形成された金属層または第4の像形成された金属層は、電気絶縁層に対する接着性を改善するために表面処理される。
【0059】
いくつかの実施形態において、第1の像形成された金属層、第2の像形成された金属層、第3の像形成された金属層および第4の像形成された金属層は、フレキシブルプリント回路基板産業における標準手順を使用して、フォトレジストで金属箔/金属層を像形成して、銅エッチングし、異なる幅の線を有する像形成された金属層を作成することによって製造される。
【0060】
ポリイミドカバーレイ−回路基板
いくつかの実施形態において、第1のポリイミドカバーレイは、i)80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、またはii)100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、20〜90モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンおよび10〜80モル%の4,4’−オキシジアニリンから誘導されるポリイミドを含んでなる。
【0061】
いくつかの実施形態において、第2のポリイミドカバーレイは、i)80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、またはii)100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、20〜90モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンおよび10〜80モル%の4,4’−オキシジアニリンから誘導されるポリイミドを含んでなる。
【0062】
本開示のポリイミドカバーレイは、340℃以上の温度において積層された場合、接着剤を必要とせずに、像形成された金属および金属が除去された露出した電気絶縁層領域に対して良好な剥離強度を有する。いくつかの実施形態において、回路基板は340〜400℃の温度において一緒に積層される。
【0063】
本開示のポリイミドカバーレイは、ポリイミド膜または充填ポリイミド膜の製造のためのいずれかの既知の熱変換または化学変換方法によって製造することができる。いくつかの実施形態において、限定されないが、より低いCTEなどの熱変換より高い化学変換の利点のため、化学変換を使用することが望ましく、かつ平滑な表面にキャストされる場合でも膜が両面で無光沢である。
【0064】
いくつかの実施形態において、カバーレイが、電子部品の望ましくない視覚検査および不正操作に対する保護を提供する光学特性を有することが望ましい。いくつかの実施形態において、望ましい(例えば、屈曲性回路における導体の痕跡を隠すため)光学密度(不透明度)は2以上である。2の光学密度によって、1×10-2または1%の光が膜を通して伝達されることが意図される。光学密度は、Macbeth TD904光学密度計で測定される。光学密度は、より厚いカバーレイを作成することによって増加させることができる。薄いカバーレイの傾向が増加しているため、これは望ましくない。光学密度は、充填剤を添加することによって増加させることができる。いくつかの実施形態において、光学密度を増加するために、顔料が添加される。いくつかの実施形態において、光学密度を増加させるために、艶消し剤が添加される。いくつかの実施形態において、顔料および艶消し剤の組み合わせを添加することができる。
【0065】
いくつかの実施形態において、顔料は、低伝導率カーボンブラックである。いくつかの実施形態において、顔料は非カーボンブラック顔料である。
【0066】
実質的にいずれかの顔料(または顔料の組み合わせ)を使用することができる。いくつかの実施形態において、低伝導率カーボンブラックが使用される。低伝導率カーボンブラックは、チャネルブラックまたはファーネスブラックを意味するように意図される。いくつかの実施形態において、低伝導率カーボンブラックは、表面酸化カーボンブラックである。(カーボンブラックの)表面酸化の範囲を評価するための1つの方法は、カーボンブラックの加熱減量を測定することである。加熱減量は、7分間、950℃でか焼した時の重量損失を算出することによって測定することができる。一般的に、高度に表面酸化されたカーボンブラック(高加熱減量)は、ポリアミド酸溶液(ポリイミド前駆体)に容易に分散されることができ、これは次に、本開示の(十分分散した)充填ポリイミドポリマーにイミド化することができる。カーボンブラック粒子(凝集体)が互いに接触しない場合、電子トンネル効果、電子ホッピングまたは他の電子の流れ機構は一般に抑制され、より低い電気伝導度がもたらされると考えられる。いくつかの実施形態において、低伝導率カーボンブラックは、1%以上の加熱減量を有する。いくつかの実施形態において、低伝導率カーボンブラックは、5、9または13%以上の加熱減量を有する。いくつかの実施形態において、ファーネスブラックは、加熱減量を増加させるために表面処理されてもよい。いくつかの実施形態において、骨炭が使用される。
【0067】
いくつかの実施形態において、第1のポリイミドカバーレイは顔料を含んでなる。いくつかの実施形態において、第2のポリイミドカバーレイは顔料を含んでなる。もう1つの実施形態において、第1のポリイミドカバーレイおよび第2のポリイミドカバーレイは顔料を含んでなる。もう1つの実施形態において、第1のポリイミドカバーレイ、第2のポリイミドカバーレイまたは両方が顔料を含んでなる。
【0068】
一実施形態において、顔料は、2〜9重量パーセントの量で存在する低伝導率カーボンブラックである。いくつかの実施形態において、顔料は、第1のポリイミドカバーレイの2、3、4、5、6、7、8および9重量パーセントのいずれか2つの間およびそれを任意選択で含む量で存在する低伝導率カーボンブラックである。いくつかの実施形態で、顔料は、第2のポリイミドカバーレイの2、3、4、5、6、7、8および9重量パーセントのいずれか2つの間およびそれを任意選択で含む量で存在する低伝導率カーボンブラックである。
【0069】
もう1つの実施形態において、顔料は、10〜60重量パーセントの量で存在する非カーボンブラック顔料である。もう1つの実施形態において、顔料は、第1のポリイミドカバーレイの10、20、30、40、50および60重量パーセントのいずれか2つの間およびそれを任意選択で含む量で存在する非カーボンブラック顔料である。もう1つの実施形態において、顔料は、第2のポリイミドカバーレイの10、20、30、40、50および60重量パーセントのいずれか2つの間およびそれを任意選択で含む量で存在する非カーボンブラック顔料である。
【0070】
いくつかの実施形態において、第1のポリイミドカバーレイは顔料および艶消し剤を含んでなる。いくつかの実施形態において、第2のポリイミドカバーレイは顔料および艶消し剤を含んでなる。いくつかの実施形態において、第1のポリイミドカバーレイ、第2のポリイミドカバーレイまたは両方が顔料および艶消し剤を含んでなる。いくつかの実施形態において、第1のポリイミドカバーレイおよび第2のポリイミドカバーレイは顔料および艶消し剤を含んでなる。一実施形態において、艶消し剤はポリイミド粒子である。もう1つの実施形態において、顔料および艶消し剤は両方とも低伝導率カーボンブラックであり、かつ低伝導率カーボンブラックは、第1のポリイミドカバーレイの2〜20重量パーセントの量で第1のポリイミドカバーレイに存在する。もう1つの実施形態において、顔料およびと艶消し剤は両方とも低伝導率カーボンブラックであり、かつ低伝導率カーボンブラックは、第2のポリイミドカバーレイの2〜20重量パーセントの量で第2のポリイミドカバーレイに存在する。もう1つの実施形態において、顔料および艶消し剤は両方とも低伝導率カーボンブラックであり、かつ低伝導率カーボンブラックは、第1のポリイミドカバーレイの2〜20重量パーセントの量で第1のポリイミドカバーレイに存在し、かつ第2のポリイミドカバーレイの2〜20重量パーセントの量で第2のポリイミドカバーレイに存在する。
【0071】
いくつかの実施形態において、有用な非カーボンブラック顔料には、限定されないが、バリウムレモンイエロー、カドミウムイエローレモン、カドミウムイエローレモン、カドミウムイエローライト、カドミウムイエローミドル、カドミウムイエローオレンジ、スカーレットレーキ、カドミウムレッド、カドミウムバーミリオン、アリザリンクリムゾン、パーマネントマゼンタ、ヴァンダイクブラウン、ローアンバーグリーンイッシュまたはバーントアンバーが含まれる。いくつかの実施形態において、有用な黒色顔料には、酸化コバルト、Fe−Mn−Biブラック、Fe−Mnオキシドスピナルブラック、(Fe,Mn)2O3ブラック、亜クロム酸銅ブラックスピナル、ランプブラック、骨炭、骨灰、ボーンチャー、赤鉄鉱、ブラック酸化鉄、雲母酸化鉄、ブラック錯体無機色顔料(CICP)、CuCr2O4ブラック、(Ni,Mn,Co)(Cr,Fe)2O4ブラック、アニリンブラック、ペリレンブラック、アントラキノンブラック、クロムグリーンブラック赤鉄鉱、クロムアイロンオキシド、ピグメントグリーン17、ピグメントブラック26、ピグメントブラック27、ピグメントブラック28、ピグメントブラウン29、ピグメントブラック30、ピグメントブラック32、ピグメントブラック33またはそれらの混合物が含まれる。
【0072】
電気絶縁層−回路基板
いくつかの実施形態において、第1の電気絶縁層は、
i)80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、
ii)100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、20〜90モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンおよび10〜80モル%の4,4’−オキシジアニリン、または
iii)380℃以上の温度で積層される場合、100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
から誘導されるポリイミドを含んでなる。
【0073】
いくつかの実施形態において、第2の電気絶縁層は、
i)80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、
ii)100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、20〜90モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンおよび10〜80モル%の4,4’−オキシジアニリン、または
iii)380℃以上の温度で積層される場合、100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
から誘導されるポリイミドを含んでなる。
【0074】
80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、または100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、20〜90モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンおよび10〜80モル%の4,4’−オキシジアニリン、または100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから誘導される電気絶縁層は、340℃以上の温度において積層された場合、接着剤を必要とせずに、像形成された金属および金属が除去されたその下の層の露出領域に対して良好な剥離強度を有する。いくつかの実施形態において、回路基板は340〜400℃の温度において一緒に積層される。
【0075】
上記で開示されたポリイミド電気絶縁層は、ポリイミド膜または充填ポリイミド膜の製造のためのいずれかの既知の熱変換または化学変換方法によって製造することができる。いくつかの実施形態において、限定されないが、より低いCTEの利点のため、化学変換を使用することが望ましい。
【0076】
一実施形態において、第1の電気絶縁層は、第1の像形成された層および第1のポリイミドカバーレイの露出領域と直接接触する。
【0077】
もう1つの実施形態において、第1の電気絶縁層は、第1の像形成された層および第1のポリイミドカバーレイの露出領域と直接接触し、かつ第2の像形成された層および第2のポリイミドカバーレイの露出領域と直接接触する。そのような実施形態において、回路基板は、以下の順序で、
a.80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから誘導されるポリイミドを含んでなる第2のポリイミドカバーレイ、
b.第2の像形成された金属層、
c.80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから誘導されるポリイミドを含んでなる第1の電気絶縁層、
d.第1の像形成された金属層、ならびに
e.80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから誘導されるポリイミドを含んでなる第1のポリイミドカバーレイ
を含んでなる。
【0078】
もう1つの実施形態において、第1の電気絶縁層は、第1の像形成された金属層、第2の像形成された金属層およびポリイミドボンドプライの露出領域と直接接触する。もう1つの実施形態において、第2の電気絶縁層は、第4の像形成された金属層、第3の像形成された金属層およびポリイミドボンドプライの露出領域と直接接触する。
【0079】
一実施形態において、回路基板は、以下の順序で、
a.i)80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、または
ii)100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、20〜90モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンおよび10〜80モル%の4,4’−オキシジアニリン
から誘導されるポリイミドを含んでなる第1のポリイミドカバーレイ、
b.第1の像形成された金属層、
c.i)80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、
ii)100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、20〜90モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンおよび10〜80モル%の4,4’−オキシジアニリン、または
iii)380℃以上の温度で積層される場合、100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
から誘導されるポリイミドを含んでなる第1の電気絶縁層、
d.第2の像形成された金属層(第1の電気絶縁層の第2の側面は、第2の像形成された金属層の次である)、
e.80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから誘導されるポリイミドを含んでなるポリイミドボンドプライ、
f.第3の像形成された金属層、
g.i)80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、
ii)100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、20〜90モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンおよび10〜80モル%の4,4’−オキシジアニリン、または
iii)380℃以上の温度で積層される場合、100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
から誘導されるポリイミドを含んでなる第2の電気絶縁層、
h.第4の像形成された金属層(第2の電気絶縁層の第2の側面は、第4の像形成された金属層の次である)、ならびに
i.i)80〜90モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、10〜20モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物および100モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、または
ii)100モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、20〜90モル%の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンおよび10〜80モル%の4,4’−オキシジアニリンから誘導されるポリイミドを含んでなる第2のポリイミドカバーレイ
を含んでなり、ポリイミドボンドプライは、第2の像形成された金属層および第1の電気絶縁層の第2の側面の露出領域と直接接触し、かつ第3の像形成された金属層および第2の電気絶縁層の第1の側面の露出領域と直接接触する。
【0080】
いくつかの実施形態において、第1の電気絶縁層は、1〜55重量パーセントの熱伝導性充填剤、誘電性充填剤またはそれらの混合物を含んでなる。いくつかの実施形態において、第2の電気絶縁層は、1〜55重量パーセントの熱伝導性充填剤、誘電性充填剤またはそれらの混合物を含んでなる。いくつかの実施形態において、第1の電気絶縁層および第2の電気絶縁層は、1〜55重量パーセントの熱伝導性充填剤、誘電性充填剤またはそれらの混合物を含んでなる。
【0081】
いくつかの実施形態において、ポリイミドボンドプライ、第1のポリイミドカバーレイ、第2のポリイミドカバーレイ、第1の電気絶縁層、第2の電気絶縁層またはそれらのいずれかの組み合わせは、1〜55重量パーセントの熱伝導性充填剤、誘電性充填剤またはそれらの混合物を含んでなる。
【0082】
いくつかの実施形態において、回路基板は、真空プラテンプレスを使用して、340〜400℃の積層温度および150psi(10.55kg/cm)〜400psi(28.13kg/cm)の圧力において、第1のポリイミドカバーレイ(存在する場合)、両面クラッド(第1の像形成された金属層、第1の電気絶縁層および第2の像形成された金属層)、ボンドプライ、第2の両面クラッド(第3の像形成された金属層、第2の電気絶縁層および第4の像形成された金属層)および第2のポリイミドカバーレイ(存在する場合)を積層することによって製造される。
【実施例】
【0083】
本明細書の材料、方法および実施例は単なる実例であり、特に明示された場合を除いて、限定するように意図されない。
【0084】
本発明のポリイミド膜のガラス転移温度は、TAインストルメント2980動的機械分析器を使用して決定した。Tg測定法は、約1.0Hzのサンプリング周波数(約10.0mの振幅)および約0.01Nの予負荷力を使用した。5℃分-1の温度傾斜率を使用した。
【0085】
Tgはタンジェントδのピーク時に測定した。
【0086】
引張係数は、ASTM D−882によって決定した。
【0087】
引張強さは、ASTM D−882によって決定した。
【0088】
伸長率は、ASTM D−882によって決定した。
【0089】
比誘電率は、ASTM D150、「Standard Test Methods for AC Loss Characteristics and Permittivity(Dielectric Constant)of Solid Electrical Insulation」に記載されるように測定した。複合膜比誘電率は、直径2.5cmの蓄電器の測定された静電容量に基づいて算出した。
【0090】
本発明のポリイミド膜の平面CTEは、TAインストルメントTMA 2940熱的機械分析器を使用して測定した。膜の膨張は、2回目の通過時の約50℃〜約250℃で測定した。次いで、膨張を温度差(および試料長さ)で割って、ppm℃-1のCTEを得た。1回目の通過は、同一温度範囲にいて試料から収縮を除去するため、ならびに試料を乾燥させるために使用された。そのように、2回目の通過は、次いで、膜の固有の特性(例えば、水の吸着および水が膜のCTEに及ぼす影響のない)のCTE値特徴を提供した。この方法は0.05N負荷力を使用して、1分あたりの約10℃の率で温度に傾斜与える上記温度範囲内で操作された。
【0091】
水分吸着は、IPC−TM−650、方法2.6.2によって決定された。
【0092】
本出願で報告される剥離強度データは8〜12回の測定の平均であり、IPC−TM650 2.4.8d試験方法によると統計学的に有効なデータの必要条件と調和した。剥離強度試験のための銅箔は、Somers Corporationから入手可能なピンク処理された厚さ35umのロールアニールド(RA)銅箔であった。
【0093】
実施例1
BPDA//TFMB
実施例1は、100モル%のBPDAおよび100モル%のTFMBから誘導されるポリイミドが、380℃以上の温度で積層された場合、少なくとも1N/mmの剥離強度を有することを示す。
【0094】
窒素不活性化されたグローブボックス中で、21.472g(0.067モル)の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)および159グラムのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を、メカニカルスターラーを備えた乾燥された250ミリリットルのジャケット付きビーカーに添加した。45℃グリコール水の再循環を使用して、ジアミンが完全に溶解し、ほぼ無色の溶液が得られるまで、数分間、混合物を加熱した。次に、19.528g(0.066モル)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を、反応容器中に含有されるジアミン溶液に添加した。全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続した。ポリアミド酸溶液をデカンテーションし、膜キャスティングに使用するまで0℃で貯蔵した。
【0095】
上記ポリアミド酸から誘導されるポリイミド膜を、触媒溶液を用いて化学的にイミド化した。化学的にイミド化された膜は、DuPont MYLAR(登録商標)膜の担体シート上にポリアミド酸溶液をキャストすることによって調製された。キャストされたポリアミド酸溶液(および担体シート)を、1:1比の無水酢酸およびβ−ピコリンを含んでなる触媒溶液に浸漬した。ゲル膜が形成された。ゲル膜を担体シートから剥離し、固定フレーム(ピンフレーム)に移動した。
【0096】
次いで、強制的空気オーブンを使用してゲル膜を加熱し、さらにポリマーをイミド化して、溶媒を除去した。ゲル膜は、150℃、250℃、300℃および325℃のオーブン温度にそれぞれ約30分間暴露した。ポリイミド膜をピンフレームから取り外し、分析した。データを表1に示す。
【0097】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0098】
実施例2〜12は、100モル%のBPDA、20〜90モル%のTFMBおよび10〜80モル%の4,4’−ODAから誘導されるポリイミドが、330℃以上の温度で積層された場合、少なくとも1N/mmの剥離強度を有することを示す。
【0099】
実施例2
BPDA//90 TFMB/10 ODA
窒素不活性化されたグローブボックス中で、19.711g(0.0615モル)の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、1.369g(0.006モル)の4,4’−オキシジアニリンおよび159グラムのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を、メカニカルスターラーを備えた乾燥された250ミリリットルのジャケット付きビーカーに添加した。45℃グリコール水の再循環を使用して、ジアミンが完全に溶解し、ほぼ無色の溶液が得られるまで、数分間、混合物を加熱した。次に、19.919g(0.0677モル)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を、反応容器中に含有されるジアミン溶液に添加した。全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続した。ポリアミド酸溶液をデカンテーションし、膜キャスティングに使用するまで0℃で貯蔵した。
【0100】
上記ポリアミド酸から誘導されるポリイミド膜を、触媒溶液を用いて化学的にイミド化した。化学的にイミド化された膜は、DuPont MYLAR(登録商標)膜の担体シート上にポリアミド酸溶液をキャストすることによって調製された。キャストされたポリアミド酸溶液(および担体シート)を、1:1比の無水酢酸およびβ−ピコリンを含んでなる触媒溶液に浸漬した。ゲル膜が形成された。ゲル膜を担体シートから剥離し、固定フレーム(ピンフレーム)に移動した。
【0101】
次いで、強制的空気オーブンを使用してゲル膜を加熱し、さらにポリマーをイミド化して、溶媒を除去した。ゲル膜は、150℃、250℃、300℃および325℃のオーブン温度にそれぞれ約30分間暴露した。ポリイミド膜をピンフレームから取り外し、分析した。データを表1に示す。
【0102】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0103】
実施例3
BPDA//80 TFMB/20 ODA
窒素不活性化されたグローブボックス中で、17.879g(0.0558モル)の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、2.794g(0.0139モル)の4,4’−オキシジアニリンおよび159グラムのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を、メカニカルスターラーを備えた乾燥された250ミリリットルのジャケット付きビーカーに添加した。45℃グリコール水の再循環を使用して、ジアミンが完全に溶解し、ほぼ無色の溶液が得られるまで、数分間、混合物を加熱した。次に、20.326g(0.069モル)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を、反応容器中に含有されるジアミン溶液に添加した。全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続した。ポリアミド酸溶液をデカンテーションし、膜キャスティングに使用するまで0℃で貯蔵した。
【0104】
上記ポリアミド酸から誘導されるポリイミド膜を、触媒溶液を用いて化学的にイミド化した。化学的にイミド化された膜は、DuPont MYLAR(登録商標)膜の担体シート上にポリアミド酸溶液をキャストすることによって調製された。キャストされたポリアミド酸溶液(および担体シート)を、1:1比の無水酢酸およびβ−ピコリンを含んでなる触媒溶液に浸漬した。ゲル膜が形成された。ゲル膜を担体シートから剥離し、固定フレーム(ピンフレーム)に移動した。
【0105】
次いで、強制的空気オーブンを使用してゲル膜を加熱し、さらにポリマーをイミド化して、溶媒を除去した。ゲル膜は、150℃、250℃、300℃および325℃のオーブン温度にそれぞれ約30分間暴露した。膜をピンフレームから取り外し、分析した。データを表1に示す。
【0106】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0107】
実施例4
BPDA//70 TFMB/30 ODA
窒素不活性化されたグローブボックス中で、15.971g(0.0498モル)の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、4.279g(0.0213モル)の4,4’−オキシジアニリンおよび159グラムのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を、メカニカルスターラーを備えた乾燥された250ミリリットルのジャケット付きビーカーに添加した。45℃グリコール水の再循環を使用して、ジアミンが完全に溶解し、ほぼ無色の溶液が得られるまで、数分間、混合物を加熱した。次に、20.75g(0.0705モル)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を、反応容器中に含有されるジアミン溶液に添加した。全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続した。ポリアミド酸溶液をデカンテーションし、膜キャスティングに使用するまで0℃で貯蔵した。
【0108】
上記ポリアミド酸から誘導されるポリイミド膜を、触媒溶液を用いて化学的にイミド化した。化学的にイミド化された膜は、DuPont MYLAR(登録商標)膜の担体シート上にポリアミド酸溶液をキャストすることによって調製された。キャストされたポリアミド酸溶液(および担体シート)を、1:1比の無水酢酸およびβ−ピコリンを含んでなる触媒溶液に浸漬した。ゲル膜が形成された。ゲル膜を担体シートから剥離し、固定フレーム(ピンフレーム)に移動した。
【0109】
次いで、強制的空気オーブンを使用してゲル膜を加熱し、さらにポリマーをイミド化して、溶媒を除去した。ゲル膜は、150℃、250℃、300℃および325℃のオーブン温度にそれぞれ約30分間暴露した。ポリイミド膜をピンフレームから取り外し、分析した。データを表1に示す。
【0110】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0111】
実施例5
BPDA//60 TFMB/40 ODA
窒素不活性化されたグローブボックス中で、13.981g(0.0436モル)の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、5.827g(0.0291モル)の4,4’−オキシジアニリンおよび159グラムのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を、メカニカルスターラーを備えた乾燥された250ミリリットルのジャケット付きビーカーに添加した。45℃グリコール水の再循環を使用して、ジアミンが完全に溶解し、ほぼ無色の溶液が得られるまで、数分間、混合物を加熱した。次に、21.192g(0.0720モル)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を、反応容器中に含有されるジアミン溶液に添加した。全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続した。ポリアミド酸溶液をデカンテーションし、膜キャスティングに使用するまで0℃で貯蔵した。
【0112】
上記ポリアミド酸から誘導されるポリイミド膜を、触媒溶液を用いて化学的にイミド化した。化学的にイミド化された膜は、DuPont MYLAR(登録商標)膜の担体シート上にポリアミド酸溶液をキャストすることによって調製された。キャストされたポリアミド酸溶液(および担体シート)を、1:1比の無水酢酸およびβ−ピコリンを含んでなる触媒溶液に浸漬した。ゲル膜が形成された。ゲル膜を担体シートから剥離し、固定フレーム(ピンフレーム)に移動した。
【0113】
次いで、強制的空気オーブンを使用してゲル膜を加熱し、さらにポリマーをイミド化して、溶媒を除去した。ゲル膜は、150℃、250℃、300℃および325℃のオーブン温度にそれぞれ約30分間暴露した。得られるポリイミド膜をピンフレームから取り外し、分析した。データを表1に示す。
【0114】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0115】
実施例6
BPDA//50 TFMB/50 ODA
窒素不活性化されたグローブボックス中で、11.904g(0.03717モル)の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、7.442g(0.0371モル)の4,4’−オキシジアニリンおよび159グラムのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を、メカニカルスターラーを備えた乾燥された250ミリリットルのジャケット付きビーカーに添加した。45℃グリコール水の再循環を使用して、ジアミンが完全に溶解し、ほぼ無色の溶液が得られるまで、数分間、混合物を加熱した。次に、21.654g(0.0736モル)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を、反応容器中に含有されるジアミン溶液に添加した。全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続した。ポリアミド酸溶液をデカンテーションし、膜キャスティングに使用するまで0℃で貯蔵した。
【0116】
上記ポリアミド酸から誘導されるポリイミド膜を、触媒溶液を用いて化学的にイミド化した。化学的にイミド化された膜は、DuPont MYLAR(登録商標)膜の担体シート上にポリアミド酸溶液をキャストすることによって調製された。キャストされたポリアミド酸溶液(および担体シート)を、1:1比の無水酢酸およびβ−ピコリンを含んでなる触媒溶液に浸漬した。ゲル膜が形成された。ゲル膜を担体シートから剥離し、固定フレーム(ピンフレーム)に移動した。
【0117】
次いで、強制的空気オーブンを使用してゲル膜を加熱し、さらにポリマーをイミド化して、溶媒を除去した。ゲル膜は、150℃、250℃、300℃および325℃のオーブン温度にそれぞれ約30分間暴露した。膜をピンフレームから取り外し、分析した。データを表1に示す。
【0118】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0119】
実施例7
BPDA//43 TFMB/57 ODA
窒素インレット、3つの独立制御撹拌器シャフト、低速アンカー混合機、高速ディスク分散機、ならびに高剪断ローター−スターラー乳化機および熱電対を備えた、乾燥させた50ガロンのタンクに、10.10kg(31.54モル)の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、8.37kg(41.81モル)の4,4’−オキシジアニリン(ODA)および159.6kgのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を添加した。
【0120】
ジアミンが完全に溶解し、淡黄色の溶液が得られるまで、数分間、35℃で混合物を加熱および撹拌した。アンカー、分散機および乳化機の速度は、極端に混合物を加熱することなく、効率的な混合および溶解を確実にするように、必要に応じて調節する。次に、21.4kg(72.84モル)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を、反応容器中のジアミン溶液に添加した。全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続した。得られたポリアミド酸溶液の粘度は、得られる溶液が約2000のポイズの粘度を有するように、DMAc中6重量%のPMDA溶液の化学量論的量、あるいはBPDA固体の当量の化学量論的量の添加による鎖延長によって調節した。完成した溶液を20ミクロンバッグフィルターを通して濾過し、混入空気を除去するために真空脱気した。ポリアミド酸溶液を約−6℃まで冷却し、無水酢酸脱水剤(0.14cm3/cm3ポリマー溶液)、イミド化触媒3−ピコリン(0.15cm3/cm3ポリマー溶液)を測定し、混合して、スロットダイを使用して、90℃の熱回転ドラム上へ膜をキャストした。得られたゲル膜をドラムから剥離し、テンターオーブン中に入れ、膜を乾燥し、対流および放射加熱を使用し、98%より高い固体レベルまで硬化した。
【0121】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0122】
350psiで真空プラテンプレス中、さらに2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。これらのクラッドの寸法安定性をIPC−TM650 2.2.4cによって測定した。結果を表2に要約する。
【0123】
実施例8
BPDA//50 TFMB/50 ODA
窒素インレット、3つの独立制御撹拌器シャフト、低速アンカー混合機、高速ディスク分散機、ならびに高剪断ローター−スターラー乳化機および熱電対を備えた、乾燥させた50ガロンのタンクに、11.56kg(36.12モル)の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、7.23kg(36.12モル)の4,4’−オキシジアニリン(ODA)および159.6kgのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を添加した。
【0124】
ジアミンが完全に溶解し、淡黄色の溶液が得られるまで、数分間、35℃で混合物を加熱および撹拌した。アンカー、分散機および乳化機の速度は、極端に混合物を加熱することなく、効率的な混合および溶解を確実にするように、必要に応じて調節する。次に、21.1kg(71.73モル)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を、反応容器中のジアミン溶液に添加した。全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続した。得られたポリアミド酸溶液の粘度は、得られる溶液が約1500のポイズの粘度を有するように、DMAc中6重量%のPMDA溶液の化学量論的量、あるいはBPDA固体の当量の化学量論的量の添加による鎖延長によって調節した。最後に、少量のベルト剥離剤をポリアミド酸溶液に添加した(これによって、キャストされたグリーン膜をキャスティングベルトから容易に剥離することが可能となる)スロットダイによって膜を移動ステンレス鋼ベルト上に押出成形することによってポリマー薄膜を製造した。ベルトを対流オーブンに通過させて、溶媒をりエバポレーションし、ポリマーを部分的にイミド化し、「グリーン」膜を製造した。グリーン膜固体(300℃までの加熱時における重量損失によって測定される)は約70%であった。次いで、グリーン膜をキャスティングベルトから剥離し、巻き取った。次いで、グリーン膜をテンターオーブン中に入れ、膜を乾燥し、対流および放射加熱を使用し、98%より高い固体レベルまで硬化して、完全硬化ポリイミド膜を製造した。テンタリングの間、縁に沿って膜を固定することによって収縮を制御した。
【0125】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0126】
実施例9
BPDA//43 TFMB/57 ODA
実施例7に記載されるように調製したポリアミド酸ポリマー溶液を用いて、ドクターブレードを使用し、銅箔(12um Mitsui 3EC−M35−HTE ED銅)上へ溶液の一部をキャストすることによって薄膜を調製した。次いで、コーティングされた銅箔をクリップフレーム膜に固定し、強制的空気オーブンを使用して加熱し、溶媒を除去し、ポリマーをイミド化した。膜は、150℃、250℃および330℃のオーブン温度に約30分間暴露した。得られる片面銅コーティングポリイミド膜をピンフレームから取り外し、次いで、350psiの圧力および350℃の温度で真空プラテンプレス中、上記と同一仕様のもう1枚の銅箔のシートに積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。データを表1に示す。
【0127】
実施例10(予測)
BPDA//50 TFMB/50 ODA
窒素インレット、3つの独立制御撹拌器シャフト、低速アンカー混合機、高速ディスク分散機、ならびに高剪断ローター−スターラー乳化機および熱電対を備えた、乾燥させた50ガロンのタンクに、11.56kg(36.12モル)の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、7.23kg(36.12モル)の4,4’−オキシジアニリン(ODA)および159.6kgのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を添加する。
【0128】
ジアミンが完全に溶解し、淡黄色の溶液が得られるまで、数分間、35℃で混合物を加熱および撹拌する。アンカー、分散機および乳化機の速度は、極端に混合物を加熱することなく、効率的な混合および溶解を確実にするように、必要に応じて調節することができる。次に、21.1kg(71.73モル)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を、反応容器中のジアミン溶液に添加する。全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続する。得られたポリアミド酸溶液の粘度は、得られる溶液が約2000のポイズの粘度を有するように、DMAc中6重量%のPMDA溶液の化学量論的量、あるいはBPDA固体の当量の化学量論的量の添加による鎖延長によって調節する。完成した溶液を20ミクロンバッグフィルターを通して濾過し、混入空気を除去するために真空脱気することができる。ポリアミド酸溶液を約−6℃まで冷却し、無水酢酸脱水剤(0.14cm3/cm3ポリマー溶液)、イミド化触媒3−ピコリン(0.15cm3/cm3ポリマー溶液)を測定し、混合して、スロットダイを使用して、90℃の熱回転ドラム上へ膜をキャストする。得られたゲル膜をドラムから剥離し、テンターオーブン中に入れ、膜を乾燥し、対流および放射加熱を使用し、98%より高い固体レベルまで硬化する。
【0129】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層する。この積層体は、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定される良好な剥離強度データを有することが予測される。
【0130】
実施例11
BPDA//30 TFMB/70 ODA
窒素不活性化されたグローブボックス中で、7.265g(0.02268モル)の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、10.598g(0.0529モル)の4,4’−オキシジアニリンおよび160グラムのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を、メカニカルスターラーを備えた乾燥された250ミリリットルのジャケット付きビーカーに添加した。45℃グリコール水の再循環を使用して、ジアミンが完全に溶解し、ほぼ無色の溶液が得られるまで、数分間、混合物を加熱した。次に、22.137g(0.0752モル)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を、反応容器中に含有されるジアミン溶液に添加した。全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続した。ポリアミド酸溶液をデカンテーションし、膜キャスティングに使用するまで0℃で貯蔵した。
【0131】
上記ポリアミド酸から誘導されるポリイミド膜を、触媒溶液を用いて化学的にイミド化した。化学的にイミド化された膜は、DuPont MYLAR(登録商標)膜の担体シート上にポリアミド酸溶液をキャストすることによって調製された。キャストされたポリアミド酸溶液(および担体シート)を、1:1比の無水酢酸およびβ−ピコリンを含んでなる触媒溶液に浸漬した。ゲル膜が形成された。ゲル膜を担体シートから剥離し、固定フレーム(ピンフレーム)に移動した。
【0132】
次いで、強制的空気オーブンを使用してゲル膜を加熱し、さらにポリマーをイミド化して、溶媒を除去した。ゲル膜は、150℃、250℃、300℃および325℃のオーブン温度にそれぞれ約30分間暴露した。ポリイミド膜をピンフレームから取り外し、分析した。データを表1に示す。
【0133】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0134】
実施例12
BPDA//20 TFMB/80 ODA
窒素不活性化されたグローブボックス中で、5.358g(0.0167モル)の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、13.399g(0.0669モル)の4,4’−オキシジアニリンおよび172グラムのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を、メカニカルスターラーを備えた乾燥された250ミリリットルのジャケット付きビーカーに添加した。45℃グリコール水の再循環を使用して、ジアミンが完全に溶解し、ほぼ無色の溶液が得られるまで、数分間、混合物を加熱した。次に、24.243g(0.0824モル)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を、反応容器中に含有されるジアミン溶液に添加した。全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続した。ポリアミド酸溶液をデカンテーションし、膜キャスティングに使用するまで0℃で貯蔵した。
【0135】
上記ポリアミド酸から誘導されるポリイミド膜を、触媒溶液を用いて化学的にイミド化した。化学的にイミド化された膜は、DuPont MYLAR(登録商標)膜の担体シート上にポリアミド酸溶液をキャストすることによって調製された。キャストされたポリアミド酸溶液(および担体シート)を、1:1比の無水酢酸およびβ−ピコリンを含んでなる触媒溶液に浸漬した。ゲル膜が形成された。ゲル膜を担体シートから剥離し、固定フレーム(ピンフレーム)に移動した。
【0136】
次いで、強制的空気オーブンを使用してゲル膜を加熱し、さらにポリマーをイミド化して、溶媒を除去した。ゲル膜は、150℃、250℃、300℃および325℃のオーブン温度にそれぞれ約30分間暴露した。ポリイミド膜をピンフレームから取り外し、分析した。データを表1に示す。
【0137】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0138】
実施例13
実施例13は、本開示のポリイミドが回路上で良好な形態を有し、カバーレイとして有用であることを示す。
【0139】
フレキシブルプリント回路基板産業における標準手順を使用して、18ミクロンの厚さの銅箔によるPyralux(登録商標)APフレキシブル銅張積層体のシート(DuPontから入手可能)をフォトレジストで像形成して、銅エッチングし、異なる幅の像形成された銅箔線を作成した。実施例7で作製されるポリマー(膜厚32ミクロン)を、像形成された回路線上に積層し、像形成されたフレキシブル回路上にカバーレイを形成した。ポリイミドカバーレイは、350psiおよび320℃ピーク積層温度で真空プラテンプレスにおいて積層した。ポリイミドカバーレイは、回路上で非常に良好な形態を示し、空隙がないことが観察された。ポリイミドカバーレイは、細線化がほとんどなく回路上部を被覆することが可能であった。
【0140】
実施例14
実施例14は、本開示のポリイミドが、320℃の温度で積層される場合、良好な剥離強度を有することを示す。
【0141】
フレキシブルプリント回路基板産業における標準手順を使用して、Pyralux(登録商標)APフレキシブル銅張積層体の2枚のシート(DuPontから入手可能)をフォトレジストで像形成して、銅エッチングし、Pyralux(登録商標)APの片面から全ての銅箔を除去した。実施例7で作製されるポリマー(膜厚50um)を、2つの像形成されたPyralux(登録商標)APクラッド間に積層し、APクラッドの誘電表面は実施例7のポリマー膜に積層された。ポリイミド膜は、350psiおよび320℃ピーク積層温度で真空プラテンプレスにおいて積層した。AP誘電表面と実施例7のポリイミド膜との間の剥離強度は、IPC−TM650−2.4.9dによって測定した。AP誘電体と実施例7のポリイミド膜との間の剥離強度は1.4N/mmであった。
【0142】
実施例15
実施例15は、本開示のポリイミドは回路上で良好な形態を有し、ボンドプライとして有用であることを示す。
【0143】
フレキシブルプリント回路基板産業における標準手順を使用して、18ミクロンの厚さの銅箔によるPyralux(登録商標)APフレキシブル銅張積層体の2枚のシート(DuPontから入手可能)をフォトレジストで像形成して、銅エッチングし、異なる幅の像形成された銅箔線を作成した。実施例7で作製されるポリマー(膜厚100ミクロン)を、2つの像形成されたAPクラッドの像形成された回路線上に積層し、2つの像形成されたフレキシブル回路間にボンドプライを形成した。ポリマーボンドプライは、350psiおよび320℃ピーク積層温度で真空プラテンプレスにおいて積層した。ポリイミドボンドプライは、回路上で非常に良好な形態を示し、空隙がないことが観察された。ポリイミドボンドプライは、2つの像形成された回路間で細線化がほとんどなく、2つのAP像形成積層体上の回路を分離することが可能であった。
【0144】
実施例16
実施例16は、良好な剥離強度が金属合金で達成されることを示す。
【0145】
上記実施例7で製造された膜の2枚のシートを、Ulrichから入手可能なInconel(登録商標)600金属合金箔(厚さ25ミクロン)の2枚のシート間に積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。1.8N/mmの平均剥離強度が測定された。
【0146】
比較例1
BPDA//ODA
比較例1は、TFMBを排除することが、剥離強度を含む特性を悪化させることを示す。
【0147】
窒素不活性化されたグローブボックス中で、16.702g(0.0834モル)の4,4’−オキシジアニリンおよび159グラムのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を、メカニカルスターラーを備えた乾燥された250ミリリットルのジャケット付きビーカーに添加した。45℃グリコール水の再循環を使用して、ジアミンが完全に溶解し、ほぼ無色の溶液が得られるまで、数分間、混合物を加熱した。次に、24.298g(0.08266モル)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を、反応容器中に含有されるジアミン溶液に添加した。全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続した。ポリアミド酸溶液をデカンテーションし、膜キャスティングに使用するまで0℃で貯蔵した。
【0148】
上記ポリアミド酸から誘導されるポリイミド膜を、触媒溶液を用いて化学的にイミド化した。化学的にイミド化された膜は、DuPont MYLAR(登録商標)膜の担体シート上にポリアミド酸溶液をキャストすることによって調製された。キャストされたポリアミド酸溶液(および担体シート)を、1:1比の無水酢酸およびβ−ピコリンを含んでなる触媒溶液に浸漬した。ゲル膜が形成された。ゲル膜を担体シートから剥離し、固定フレーム(ピンフレーム)に移動した。
【0149】
次いで、強制的空気オーブンを使用してゲル膜を加熱し、さらにポリマーをイミド化して、溶媒を除去した。ゲル膜は、150℃、250℃、300℃および325℃のオーブン温度にそれぞれ約30分間暴露した。得られるポリイミド膜をピンフレームから取り外し、分析した。データを表1に示す。
【0150】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0151】
比較例2
54BPDA/46PMDA//ODA
比較例2は、膜が熱形成可能であっても、銅に対する低い接着性を有することを示す。
【0152】
窒素不活性化されたグローブボックス中で、18.225g(0.0910モル)の4,4’−オキシジアニリンおよび159グラムのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を、メカニカルスターラーを備えた乾燥された250ミリリットルのジャケット付きビーカーに添加した。45℃グリコール水の再循環を使用して、ジアミンが完全に溶解し、ほぼ無色の溶液が得られるまで、数分間、混合物を加熱した。次に、12.052g(0.0409モル)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)および10.723g(0.0492)のピロメリット酸二無水物(PMDA)の混合物を、反応容器中に含有されるジアミン溶液に添加した。全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続した。ポリアミド酸溶液をデカンテーションし、膜キャスティングに使用するまで0℃で貯蔵した。
【0153】
上記ポリアミド酸から誘導されるポリイミド膜を、触媒溶液を用いて化学的にイミド化した。化学的にイミド化された膜は、DuPont MYLAR(登録商標)膜の担体シート上にポリアミド酸溶液をキャストすることによって調製された。キャストされたポリアミド酸溶液(および担体シート)を、1:1比の無水酢酸およびβ−ピコリンを含んでなる触媒溶液に浸漬した。ゲル膜が形成された。ゲル膜を担体シートから剥離し、固定フレーム(ピンフレーム)に移動した。
【0154】
次いで、強制的空気オーブンを使用してゲル膜を加熱し、さらにポリマーをイミド化して、溶媒を除去した。ゲル膜は、150℃、250℃、300℃および325℃のオーブン温度にそれぞれ約30分間暴露した。得られるポリイミド膜をピンフレームから取り外し、分析した。データを表1に示す。
【0155】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0156】
比較例3
PMDA//TFMB
比較例3は、BPDAがPMDAと置き換えられる場合、ポリイミドが脆性であり、かつ低い剥離強度を有することを示す。
【0157】
窒素不活性化されたグローブボックス中で、24.552g(0.0767モル)の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)および159グラムのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を、メカニカルスターラーを備えた乾燥された250ミリリットルのジャケット付きビーカーに添加した。45℃グリコール水の再循環を使用して、ジアミンが完全に溶解し、ほぼ無色の溶液が得られるまで、数分間、混合物を加熱した。次に、16.55g(0.0759モル)のピロメリット酸二無水物(PMDA)を、反応容器中に含有されるジアミン溶液に添加した。全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続した。ポリアミド酸溶液をデカンテーションし、膜キャスティングに使用するまで0℃で貯蔵した。
【0158】
上記ポリアミド酸から誘導されるポリイミド膜を、触媒溶液を用いて化学的にイミド化した。化学的にイミド化された膜は、DuPont MYLAR(登録商標)膜の担体シート上にポリアミド酸溶液をキャストすることによって調製された。キャストされたポリアミド酸溶液(および担体シート)を、1:1比の無水酢酸およびβ−ピコリンを含んでなる触媒溶液に浸漬した。ゲル膜が形成された。ゲル膜を担体シートから剥離し、固定フレーム(ピンフレーム)に移動した。
【0159】
次いで、強制的空気オーブンを使用してゲル膜を加熱し、さらにポリマーをイミド化して、溶媒を除去した。ゲル膜は、150℃、250℃、300℃および325℃のオーブン温度に約30分間暴露した。得られるポリイミド膜をピンフレームから取り外し、分析した。データを表1に示す。
【0160】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0161】
比較例4
BPDA//50mTOL/50ODA
比較例4は、TFMBを、化学的に同様のジアミンであるが、2,2’−メチルベンジジン官能性と置き換えた場合、同等の剥離強度が得られないことを示す。
【0162】
窒素不活性化されたグローブボックス中で、8.77g(0.0413モル)の2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、8.271g(0.0413モル)の4,4’−オキシジアニリンおよび159グラムのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を、メカニカルスターラーを備えた乾燥された250ミリリットルのジャケット付きビーカーに添加した。45℃グリコール水の再循環を使用して、ジアミンが完全に溶解し、ほぼ無色の溶液が得られるまで、数分間、混合物を加熱した。次に、24.065g(0.0818モル)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を、反応容器中に含有されるジアミン溶液に添加した。全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続した。ポリアミド酸溶液をデカンテーションし、膜キャスティングに使用するまで0℃で貯蔵した。
【0163】
上記ポリアミド酸から誘導されるポリイミド膜を、触媒溶液を用いて化学的にイミド化した。化学的にイミド化された膜は、DuPont MYLAR(登録商標)膜の担体シート上にポリアミド酸溶液をキャストすることによって調製された。キャストされたポリアミド酸溶液(および担体シート)を、1:1比の無水酢酸およびβ−ピコリンを含んでなる触媒溶液に浸漬した。ゲル膜が形成された。ゲル膜を担体シートから剥離し、固定フレーム(ピンフレーム)に移動した。
【0164】
次いで、強制的空気オーブンを使用してゲル膜を加熱し、さらにポリマーをイミド化して、溶媒を除去した。ゲル膜は、150℃、250℃、300℃および325℃のオーブン温度にそれぞれ約30分間暴露した。得られるポリイミド膜をピンフレームから取り外し、分析した。データを表1に示す。
【0165】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0166】
比較例5
20PMDA/80ODPA//RODA
比較例5は低い機械特性を有する。
【0167】
窒素インレット、3つの独立制御撹拌器シャフト、低速アンカー混合機、高速ディスク分散機、ならびに高剪断ローター−スターラー乳化機および熱電対を備えた、乾燥させた50ガロンのタンクに、20.02kg(68.49モル)の1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(RODA)および159.6kgのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を添加した。
【0168】
ジアミンが完全に溶解し、淡黄色の溶液が得られるまで、数分間、35℃で混合物を加熱および撹拌した。アンカー、分散機および乳化機の速度は、極端に混合物を加熱することなく、効率的な混合および溶解を確実にするように、必要に応じて調節する。次に、16.99kg(54.79モル)の4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)および2.88kg(13.21モル)のピロメリット酸二無水物(PMDA)を、反応容器中のジアミン溶液に添加した。全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続した。得られたポリアミド酸溶液の粘度は、得られる溶液が約2000のポイズの粘度を有するように、DMAc中6重量%のPMDA溶液の化学量論的量、あるいはBPDA固体の当量の化学量論的量の添加による鎖延長によって調節した。完成した溶液を20ミクロンバッグフィルターを通して濾過し、混入空気を除去するために真空脱気した。ポリアミド酸溶液を約−6℃まで冷却し、無水酢酸脱水剤(0.14cm3/cm3ポリマー溶液)、イミド化触媒3−ピコリン(0.15cm3/cm3ポリマー溶液)を測定し、混合して、スロットダイを使用して、90℃の熱回転ドラム上へ膜をキャストした。得られたゲル膜をドラムから剥離し、テンターオーブン中に入れ、膜を乾燥し、対流および放射加熱を使用し、98%より高い固体レベルまで硬化した。
【0169】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0170】
350psiで真空プラテンプレス中、さらに2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。これらのクラッドの寸法安定性をIPC−TM650 2.2.4cによって測定した。結果を表2に要約する。
【0171】
比較例6
PMDA//ODA
比較例6は、低い剥離強度を有する。
【0172】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚のKapton(登録商標)H膜のシート(DuPontから入手可能な100PFC型)(E.I.du Pont de Nemours and Companyから得たピロメリット酸二無水物(PMDA)および4,4’−オキシジアニリン(ODA)から構成されるポリイミド)を、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0173】
比較例7
60PMDA/40BPDA//40ODA/60PPD
比較例7は、低い剥離強度を有する。
【0174】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚のKapton(登録商標)E膜のシート(DuPontから入手可能)(E.I.du Pont de Nemours and Companyから得たピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’−オキシジアニリン(ODA)および1,4−フェニレンジアミン(PPD)から構成されるポリイミド)を、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0175】
実施例17および18は、80〜90モル%のBPDA、10〜20モル%のODPAおよび100モル%のTFMBから誘導されるポリイミドは、350℃以上の温度で積層される場合、少なくとも1.3N/mmの剥離を有することを示す。
【0176】
実施例17
90 BPDA/10 ODPA//TFMB
不活性化窒素グローブボックス中で、20.68g(0.064モル)の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)および156グラムのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を、メカニカルスターラーを備えた乾燥された250ミリリットルのジャケット付きビーカーに添加した。
【0177】
ジアミンが完全に溶解し、淡黄色の溶液が得られるまで、数分間、40℃で混合物を加熱および撹拌した。次に、16.91g(0.057モル)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)および1.41g(0.006モル)の4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)を、反応容器中に含有されるジアミン溶液に添加した。
【0178】
全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続した。得られたポリアミド酸溶液の粘度は、得られる溶液が約2000のポイズの粘度を有するように、DMAc中6重量%のPMDA溶液の化学量論的量、あるいはBPDA固体の当量の化学量論的量の添加による鎖延長によって調節した。溶液をデカンテーションし、膜キャスティングに使用するまで0℃で貯蔵した。
【0179】
上記ポリアミド酸から誘導されるポリイミド膜を、触媒溶液を用いて化学的にイミド化した。化学的にイミド化された膜は、DuPont MYLAR(登録商標)膜のシート上にポリアミド酸溶液をキャストすることによって調製された。ポリマー(および担体シート)を、1:1比の無水酢酸およびβ−ピコリンを含んでなる触媒溶液に浸漬した。(部分的イミド化において)数分以内でゲル膜が形成された。ゲル膜を担体シートから剥離し、固定フレーム(ピンフレーム)に移動した。
【0180】
次いで、強制的空気オーブンを使用して膜を加熱し、さらにポリマーをイミド化して、溶媒を除去した。膜は、150℃、250℃および330℃のオーブン温度に約30分間暴露した。膜をピンフレームから取り外し、分析した。
【0181】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0182】
実施例18
80 BPDA/20 ODPA//TFMB
不活性化窒素グローブボックス中で、20.94g(0.065モル)の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)および156グラムのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を、メカニカルスターラーを備えた乾燥された200ミリリットルのジャケット付きビーカーに添加した。
【0183】
ジアミンが完全に溶解し、淡黄色の溶液が得られるまで、数分間、40℃で混合物を加熱および撹拌した。次に、15.20g(0.051モル)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)および2.85g(0.013モル)の4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)を、反応容器中に含有されるジアミン溶液に添加した。
【0184】
全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続した。得られたポリアミド酸溶液の粘度は、得られる溶液が約2000のポイズの粘度を有するように、DMAc中6重量%のPMDA溶液の化学量論的量、あるいはBPDA固体の当量の化学量論的量の添加による鎖延長によって調節した。溶液をデカンテーションし、膜キャスティングに使用するまで0℃で貯蔵した。
【0185】
上記ポリアミド酸から誘導されるポリイミド膜を、触媒溶液を用いて化学的にイミド化した。化学的にイミド化された膜は、DuPont MYLAR(登録商標)膜のシート上にポリアミド酸溶液をキャストすることによって調製された。ポリマー(および担体シート)を、1:1比の無水酢酸およびβ−ピコリンを含んでなる触媒溶液に浸漬した。(部分的イミド化において)数分以内でゲル膜が形成された。ゲル膜を担体シートから剥離し、固定フレーム(ピンフレーム)に移動した。
【0186】
次いで、強制的空気オーブンを使用して膜を加熱し、さらにポリマーをイミド化して、溶媒を除去した。膜は、150℃、250℃および330℃のオーブン温度に約30分間暴露した。膜をピンフレームから取り外し、分析した。
【0187】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0188】
比較例8
60 BPDA/40 ODPA//TFMB
比較例8は、40モルパーセントのODPAが使用される場合、試験用の膜を製造することができなかったことを示す。
【0189】
窒素不活性化されたグローブボックス中で、23.912g(0.0746モル)の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)および179グラムのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を、メカニカルスターラーを備えた乾燥された250ミリリットルのジャケット付きビーカーに添加した。45℃グリコール水の再循環を使用して、ジアミンが完全に溶解し、ほぼ無色の溶液が得られるまで、数分間、混合物を加熱した。次に、13.18g(0.045モル)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)および9.03g(0.029モル)の4,4−オキシジフタル酸無水物(ODPA)を、反応容器中に含有される混合物としてジアミン溶液に添加した。全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続した。ポリアミド酸溶液をデカンテーションし、膜キャスティングに使用するまで0℃で貯蔵した。
【0190】
上記ポリアミド酸から誘導されるポリイミド膜を、触媒溶液を用いて化学的にイミド化した。化学的にイミド化された膜は、DuPont MYLAR(登録商標)膜の担体シート上にポリアミド酸溶液をキャストすることによって調製された。キャストされたポリアミド酸溶液(および担体シート)を、1:1比の無水酢酸およびβ−ピコリンを含んでなる触媒溶液に浸漬した。ゲル膜が形成された。ゲル膜を担体シートから剥離し、固定フレーム(ピンフレーム)に移動した。
【0191】
次いで、強制的空気オーブンを使用してゲル膜を加熱し、さらにポリマーをイミド化して、溶媒を除去した。ゲル膜は、150℃、250℃、300℃および325℃のオーブン温度にそれぞれ約30分間暴露した。硬化後、極度にしわが寄って、カールし、固定フレームから裂けたため、この手順を使用して、試験を行うことが実行可能なポリイミド膜を得ることはできなかった。
【0192】
比較例9
BPDA//10 TFMB/90 ODA
比較例9は、10モルパーセントのTFMBが使用される場合、350℃で積層される場合の剥離強度が低いことを示す。
【0193】
窒素不活性化されたグローブボックス中で、2.675g(0.00835モル)の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、15.049g(0.071モル)の4,4’−オキシジアニリンおよび168グラムのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を、メカニカルスターラーを備えた乾燥された250ミリリットルのジャケット付きビーカーに添加した。45℃グリコール水の再循環を使用して、ジアミンが完全に溶解し、ほぼ無色の溶液が得られるまで、数分間、混合物を加熱した。次に、24.27g(0.083モル)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を、反応容器中に含有されるジアミン溶液に添加した。全ての固体が溶解し、反応物がポリアミド酸溶液を形成するまで、撹拌を継続した。ポリアミド酸溶液をデカンテーションし、膜キャスティングに使用するまで0℃で貯蔵した。
【0194】
上記ポリアミド酸から誘導されるポリイミド膜を、触媒溶液を用いて化学的にイミド化した。化学的にイミド化された膜は、DuPont MYLAR(登録商標)膜の担体シート上にポリアミド酸溶液をキャストすることによって調製された。キャストされたポリアミド酸溶液(および担体シート)を、1:1比の無水酢酸およびβ−ピコリンを含んでなる触媒溶液に浸漬した。ゲル膜が形成された。ゲル膜を担体シートから剥離し、固定フレーム(ピンフレーム)に移動した。
【0195】
次いで、強制的空気オーブンを使用してゲル膜を加熱し、さらにポリマーをイミド化して、溶媒を除去した。ゲル膜は、150℃、250℃、300℃および325℃のオーブン温度にそれぞれ約30分間暴露した。得られるポリイミド膜をピンフレームから取り外し、分析した。データを表1に示す。
【0196】
350psiで真空プラテンプレス中、2枚の膜のシートを、2枚の厚さ35umの処理された銅箔のシートの間で積層した。剥離強度データは、IPC−TM650 2.4.9d試験方法によって測定した。異なる積層ピーク温度のデータを表1に示す。
【0197】
一般的な説明または実施例における上記の活性の全てが必要とされるというわけではなく、特定の活性の一部は必要とされなくてもよく、かつさらなる活性が記載されるものに加えて実行されてもよいことに留意すべきである。またさらに、それぞれの活性が記載される順番が、必ずしも、それらが実行される順番であるというわけではない。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの具体的な必要性または希望のために、どのような活性を使用することができるのかを決定することが可能である。
【0198】
上記明細書において、本発明は具体的な実施形態に関して記載された。しかしながら、添付の請求の範囲に明かにされるような本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を実行することができることを当業者は認識する。本明細書で開示される全ての特徴は、同一、同等または同様の目的に役に立つ別の特徴によって置き換えられてもよい。したがって、本明細書は、限定的な意味よりもむしろ実例として見なされるべきであり、全てのそのような修正形態は本発明の範囲内に含まれるように意図される。
【0199】
利益、他の利点および問題への解決策は、具体的な実施形態に関して上記された。しかしながら、利益、利点、問題への解決策、ならびにいずれかの利益、利点または解決策が生じるか、もしくはより強調されるようになるいずれの要素も、いずれかまたは全ての請求の範囲の重要な、必要な、または本質的な特徴もしくは要素として解釈されるべきではない。
【0200】
【表1】
【0201】
【表2】
【0202】
【表3】