特許第6100902号(P6100902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6100902キャリアアグリゲーションシステムにおけるACK/NACK及びチャネル状態情報の同時送信のための電力制御
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100902
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】キャリアアグリゲーションシステムにおけるACK/NACK及びチャネル状態情報の同時送信のための電力制御
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/18 20090101AFI20170313BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20170313BHJP
【FI】
   H04W52/18
   H04W72/04 111
【請求項の数】12
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2015-525401(P2015-525401)
(86)(22)【出願日】2013年1月10日
(65)【公表番号】特表2015-523831(P2015-523831A)
(43)【公表日】2015年8月13日
(86)【国際出願番号】SE2013050011
(87)【国際公開番号】WO2014021753
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2015年3月17日
(31)【優先権主張番号】61/677,645
(32)【優先日】2012年7月31日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(72)【発明者】
【氏名】ファラハティ、ソロウル
(72)【発明者】
【氏名】バルデマイア、ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ジュン−フ
(72)【発明者】
【氏名】フレンネ、マティアス
【審査官】 倉本 敦史
(56)【参考文献】
【文献】 3GPP TS 36.213 V10.6.0,2012年 6月26日,pp.16-18
【文献】 Qualcomm Incorporated,On reducing periodic CSI dropping for CA operation,3GPP TSG RAN WG1 #69 R1-122762,2012年 5月12日,pp.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のダウンリンクサブフレーム若しくは複数のダウリンクキャリア又は双方のためのチャネル状態情報ビット及びハイブリッドARQ ACK/NACKビットの同時レポーティングのために構成される移動端末における方法であって、複数のレポーティングインスタンスの各々について、
少なくともチャネル状態情報ビットの数を表現する数値NとハイブリッドARQ ACK/NACKビットの数を表現する数値Mとの一次結合として、電力制御オフセットパラメータを計算すること(2110)と、
前記電力制御オフセットパラメータを用いて、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)上での送信のための電力レベルを計算すること(2120)と、
を含み、
前記一次結合はaN+bM+cの形式であり、構成されるアンテナポートの数に関わらず、前記同時レポーティングにおける任意のN及びMについて、a=1/3であり、b=1/2である、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記複数のレポーティングインスタンスの各々について、計算される前記電力レベルに従って符号化されたチャネル状態情報ビット及びハイブリッドARQ ACK/NACKビットを送信すること(2060)、をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項3】
前記一次結合におけるcは非ゼロの定数である、請求項1又は請求項2の方法。
【請求項4】
計算される前記電力レベルに基づいて、及び共有チャネル送信について計算される電力レベルに基づいて、電力ヘッドルームパラメータを計算すること、をさらに含む(2130)、請求項1〜3のいずれかの方法。
【請求項5】
前記電力ヘッドルームパラメータを基地局へ送信すること(2140)、をさらに含む、請求項4の方法。
【請求項6】
前記数値Mは、ハイブリッドARQ ACK/NACKビット及びスケジューリング要求(SR)ビットの数を表現する、請求項1〜5のいずれかの方法。
【請求項7】
複数のダウンリンクサブフレーム若しくは複数のダウリンクキャリア又は双方のためのチャネル状態情報ビット及びハイブリッドARQ ACK/NACKビットを同時にレポートするように構成される移動端末(2200)であって、前記移動端末(2200)は、受信回路(2215)、送信回路(2200)及び処理回路(2210)を備え、前記処理回路(2210)は、複数のレポーティングインスタンスの各々について、
少なくともチャネル状態情報ビットの数を表現する数値NとハイブリッドARQ ACK/NACKビットの数を表現する数値Mとの一次結合として、電力制御オフセットパラメータを計算し、
前記電力制御オフセットパラメータを用いて、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)上での送信のための電力レベルを計算する、
ように適合され、
前記一次結合はaN+bM+cの形式であり、構成されるアンテナポートの数に関わらず、前記同時レポートにおける任意のN及びMについて、a=1/3であり、b=1/2である、
移動端末。
【請求項8】
前記処理回路(2210)は、前記複数のレポーティングインスタンスの各々について、計算される前記電力レベルに従って符号化された前記チャネル状態情報ビット及びハイブリッドARQ ACK/NACKビットを送信するように前記送信回路(2220)を制御する、ようにさらに適合される、請求項7の移動端末(2200)。
【請求項9】
前記一次結合におけるcは非ゼロの定数である、請求項7又は請求項8の移動端末(2200)。
【請求項10】
前記処理回路(2210)は、計算される前記電力レベルに基づいて、及び共有チャネル送信について計算される電力レベルに基づいて、電力ヘッドルームパラメータを計算する、ようにさらに適合される、請求項7〜9のいずれかの移動端末(2200)。
【請求項11】
前記処理回路(2210)は、前記複数のレポーティングインスタンスの各々について、前記電力ヘッドルームパラメータを基地局へ送信するように前記送信回路(2220)を制御する、ようにさらに適合される、請求項10の移動端末(2200)。
【請求項12】
前記数値Mは、ハイブリッドARQ ACK/NACKビット及びスケジューリング要求(SR)ビットの数を表現する、請求項7〜11のいずれかの移動端末(2200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2012年7月31日に提出された米国仮出願第61/677,645号の利益と優先権とを主張する。当該米国仮出願の全体的な内容は、参照によりここに取り入れられる。
【0002】
[技術分野]
本出願は、一般に、無線通信システムにおける送信信号の電力制御に関し、より具体的には、キャリアアグリゲーション技法を活用するシステムにおける自動再送要求(ARQ)ビット及びチャネル状態情報(CSI)ビットの送信へ適用される電力制御に関する。
【背景技術】
【0003】
キャリアアグリゲーションは、3GPP(3rd-Generation Partnership Project)のメンバーによりいわゆるLTE(Long Term Evolution)システムのために近年開発された新たな特徴の1つであり、LTEアドバンストとしても知られるLTEリリース10の一部として標準化されている。LTE標準の以前のバージョンであるLTEリリース8は、20MHzまでの帯域幅をサポートする。しかしながら、LTEアドバンストについて予期される非常に高いデータレートは、送信帯域幅の拡大を要するであろう。それに応じて、LTEアドバンストでは100MHzまでの帯域幅がサポートされる。LTEリリース8の移動端末との後方互換性を維持する目的で、利用可能なスペクトラムは、コンポーネントキャリアと呼ばれるリリース8互換のチャンク群へと分割される。キャリアアグリゲーションは、複数のコンポーネントキャリア上で移動端末がデータを送受信することを許容することにより、LTEリリース8システムの限界を超えて帯域幅を拡大することを可能とし、複数のコンポーネントキャリアは併せて100MHzまでのスペクトラムをカバーすることができる。重要なこととして、キャリアアグリゲーションアプローチは、以前のリリース8の移動端末との互換性を保証する一方で、LTEアドバンストの広帯域のキャリアの全ての部分でレガシーの移動端末をスケジューリングすることを可能とすることにより、広範なキャリアの効率的な使用をも保証する。
【0004】
統合されるコンポーネントキャリアの数に加えて、個々のコンポーネントキャリアの帯域幅は、アップリンク(UL)送信及びダウンリンク(DL)送信について異なってよい。ダウンリンク及びアップリンクの各々におけるコンポーネントキャリアの数が同じである場合、キャリア構成は“対称的である”という。一方、非対称的な構成では、ダウンリンクとアップリンクとの間でコンポーネントキャリアの数は異なる。さらに、地理的セルエリアについて構成されるコンポーネントキャリアの数は、所与の移動端末から見えるコンポーネントキャリアの数とは異なってよい。例えば、特定のエリアにおいてネットワークにより同じ数のアップリンクコンポーネントキャリア及びダウンリンクコンポーネントキャリアが提供され得るとしても、移動端末は、アップリンクコンポーネントキャリアよりも多くのダウンリンクコンポーネントキャリアをサポートしてよい。
【0005】
LTEシステムは、周波数分割複信(FDD)モード又は時間分割複信(TDD)モードのいずれかで動作可能である。FDDモードでは、ダウンリンク送信及びアップリンク送信は、十分に離れた異なる周波数帯域において生じる。一方、TDDモードでは、ダウンリンク送信及びアップリンク送信は、重複しない異なるタイムスロットで生じる。よって、TDDはペアリングされないスペクトラムにおいて動作可能であり、一方でFDDはペアリングされるスペクトラムを要する。TDDモードは、様々なダウンリンク/アップリンク構成の手段によって、アップリンク及びダウンリンク送信にそれぞれ割り当てられるリソースの量の観点での様々な非対称性をも可能とする。それら様々な構成によって、ダウンリンク及びアップリンクの使用に共有周波数リソースを異なる割合で割り当てることが許容される。従って、アップリンクリソース及びダウンリンクリソースを、所与のTDDキャリアについて非対称的に割り当てることができる。
【0006】
キャリアアグリゲーションについての1つの検討事項は、移動端末からアップリンク上で無線ネットワークへいかにして制御シグナリングを送信するか、である。アップリンク制御シグナリングは、ハイブリッド自動再送要求(ハイブリッドARQあるいはHARQ)プロトコルのための確認応答(ACK)及び否定応答(NACK)シグナリングと、ダウンリンクスケジューリングのためのチャネル状態情報(CSI)及びチャネル品質情報(CQI)レポーティングと、移動端末がアップリンクデータ送信のためにアップリンクリソースを必要としていることを示すスケジューリング要求(SR)と、を含み得る。キャリアアグリゲーションを使用するLTEシステムでは、複数のダウンリンクキャリアについてのACK/NACK及びチャネル状態情報を搬送するために移動端末により単一のアップリンクキャリアが使用される。さらに、TDDを使用するLTEシステムでは、複数のダウンリンクサブフレームについてのACK/NACK情報が単一のアップリンクサブフレームにおいて送信される必要があり得る。TDD及びキャリアアグリゲーションの双方を使用するシステムでは、相対的に多数のACK/NACKビット及びCSIビットが、単一のアップリンクキャリア上の単一のアップリンクサブフレームにおいて送信される必要があるかもしれない。従って、キャリアアグリゲーション及び/又はTDDを活用するシステムにおいてアップリンク制御−チャネル情報の送信を管理するための改善された技法が必要とされる。
【発明の概要】
【0007】
複数のキャリアについてのチャネル状態情報及びハイブリッドARQ ACK/NACK情報が、PUCCHフォーマット3の構造を用いて同時に送信され得る。ここで開示される技法の実施形態は、複数のダウンリンクサブフレーム若しくは複数のダウリンクキャリア又は双方のためのチャネル状態情報ビット及びハイブリッドARQ ACK/NACKビットの同時レポーティングのための方法を含む。例示的な方法は、まず始めに、少なくともチャネル状態情報ビットの数を表現する数値NとハイブリッドARQ ACK/NACKビットの数を表現する数値Mとの一次結合として、電力制御オフセットパラメータを計算する。上記方法は、続いて、上記電力制御オフセットパラメータを用いて、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)上での送信のための電力レベルを計算する。
【0008】
そして、いくつかの実施形態では、計算された上記電力レベルに従って、符号化されたチャネル状態情報及びハイブリッドARQ ACK/NACKビットが送信される。いくつかの実施形態では、上記一次結合はaN+bM+cの形式であり、a、b及びcは非ゼロの定数である。
【0009】
これら及び他の実施形態のいくつかでは、上記方法は、計算される上記電力レベルに基づいて、及び共有チャネル送信について計算される電力レベルに基づいて、電力ヘッドルームパラメータを計算すること、をさらに含む。そして、上記電力ヘッドルームパラメータは、基地局へと送信され得る。
【0010】
上で要約した方法のいくつかは、移動端末内に提供される電子データ処理回路を用いて実装され得る。各移動端末は、当然ながら、例えばLTEのフォーマット及びプロトコルといった既知のフォーマット及びプロトコルに従ってフォーマット化された無線信号を受信し及び送信するために適した無線回路をも含む。従って、これら技法のいずれかを実行するように適合される移動端末装置が後の議論において詳細に説明される。
【0011】
当然ながら、開示される技法は、上で要約した特徴及び利点に限定されない。実際、当業者は、以下の詳細な説明を読み、添付図面を閲覧すれば、追加的な特徴及び利点を認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】移動体通信システムの一例を示している。
図2】OFDMを用いる移動体通信システムのための時間−周波数リソースのグリッドを示している。
図3】LTE信号の時間領域の構造を示している。
図4】LTEについてのリリース8標準に係るアップリンクサブフレームにおけるPUCCHリソースの位置を示している。
図5】TDDフレーム内のアップリンクサブフレームへのACK/NACKビットのマッピングを示している。
図6】PUCCHフォーマット2に従ったチャネル状態情報の符号化及び変調を示している。
図7】100MHzの統合帯域幅を形成するための複数のキャリアの統合を示している。
図8】PUCCHフォーマット3に従った複数のACK/NACKビットの符号化及び変調を示している。
図9】11ビットまでについてPUCCHフォーマット3の符号化及び多重化の詳細を示している。
図10】12〜21ビットについてPUCCHフォーマット3の符号化及び多重化の詳細を示している。
図11】ACK/NACKビット及びCSIビットの結合的な符号化を示している。
図12】ACK/NACKビット及びCSIビットの別個の符号化を示している。
図13】電力制御パラメータの計算における使用のためのパラメータの導出を例示するグラフである。
図14】電力制御パラメータの計算における使用のためのパラメータの導出を例示するグラフである。
図15】電力制御パラメータの計算における使用のためのパラメータの導出を例示するグラフである。
図16】電力制御パラメータの計算における使用のためのパラメータの導出を例示するグラフである。
図17】電力制御パラメータの計算における使用のためのパラメータの導出を例示するグラフである。
図18】電力制御パラメータの計算における使用のためのパラメータの導出を例示するグラフである。
図19】CSI及びハイブリッドARQ ACK/NACKビットの結合的なレポーティングを説明する処理フロー図である。
図20】PUCCHフォーマット3送信の出力電力を設定するUEの手続を示している。
図21】複数のダウンリンクサブフレーム若しくは複数のダウリンクキャリア又は双方のためのチャネル状態情報ビット及びハイブリッドARQ ACK/NACKビットの同時レポーティングのための例示的な方法を示す処理フロー図である。
図22】例示的な通信ノードのコンポーネントを示すブロック図である。
図23】例示的な移動端末の機能コンポーネントを示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の議論において、ここに開示される技法の具体的な実施形態の特定の詳細が、限定ではなく説明の目的で論じられる。当業者には、それら特定の詳細から逸脱して他の実施形態を活用し得ることが理解されるであろう。さらに、いくつかの例では、よく知られた方法、ノード、インタフェース、回路及びデバイスの詳細な説明は、不必要な詳細で説明を曖昧にしないために省略される。当業者は、説明される機能が1つのノードにおいて又は複数のノードにおいて実装され得ることを理解するであろう。説明される機能のいくつか又は全ては、ASIC、PLA等の、特殊な機能を実行するために相互接続されるアナログの及び/又はディスクリートのロジックゲートといったハードウェア回路を用いて実装されてもよい。同様に、機能のいくつか又は全ては、ソフトウェアプログラム及びデータを1つ以上のデジタルマイクロプロセッサ又は汎用コンピュータと共に用いて実装されてもよい。エアインタフェースを用いて通信するノードが説明される場合、それらノードは適した無線通信回路をも有することが理解されるであろう。その上、本技術は、ここで説明される技法をプロセッサに遂行させることになるコンピュータ命令の適切なセットを収容する、ソリッドステートメモリ、磁気ディスク又は光学ディスクといった、非一時的に具現化されたものを含む任意の形式のコンピュータ読取可能なメモリへと、全体として具現化されるように追加的に考えることができる。
【0014】
ハードウェア実装は、限定ではないものの、上記機能を実行可能な、デジタル信号プロセッサ(DSP)、低減命令セットプロセッサ、ASIC(application specific integrated circuit)及び/若しくはFPGA(field programmable gate array)を含む(但しそれに限定されない)ハードウェア(例えば、デジタル若しくはアナログ)回路、並びに(適切であれば)ステートマシンを含み又は包含し得る。
【0015】
コンピュータ実装の観点において、コンピュータは、概して1つ以上のプロセッサ又は1つ以上のコントローラを含むと理解され、コンピュータ、プロセッサ及びコントローラとの用語は、互換可能に採用され得る。機能は、コンピュータ、プロセッサ又はコントローラによって提供される場合、単一の専用コンピュータ若しくはプロセッサ若しくはコントローラにより、単一の共有コンピュータ若しくはプロセッサ若しくはコントローラにより、又は複数の個別のコンピュータ若しくはプロセッサ若しくはコントローラにより提供されてよく、それらのうちいくつかは共有されてもよく又は分散されてもよい。その上、“プロセッサ”又は“コントローラ”との用語は、上で列挙された例示的なハードウェアのように、上記機能を実行し及び/又はソフトウェアを実行することが可能な他のハードウェアへの言及でもある。
【0016】
ここで図面を参照すると、図1は、移動端末100へ無線通信サービスを提供するための例示的な移動体通信ネットワーク10を示している。図1には、LTEの専門用語で“ユーザ機器”あるいは“UE”という、3つの移動端末100が示されている。移動端末100は、例えば、セルラーフォン、PDA(personal digital assistants)、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、手持ち型コンピュータ、又は無線通信ケイパビリティを伴う他のデバイスを含み得る。留意すべきこととして、“移動端末”との用語は、ここで使用されるところによれば、移動体通信ネットワークにおいて動作する端末をいい、端末それ自体が移動体であるか又は移動可能であることを必ずしも示唆しない。よって、当該用語は、ポータブルデバイス、車両取付け型のデバイス等に加えて、何らかのM2M(machine-to-machine)アプリケーションといった固定的な構成で取り付けられる端末への言及でもあり得る。
【0017】
移動体通信ネットワーク10は、複数の地理的セルエリアあるいはセクタ12を含む。各地理的セルエリアあるいはセクタ12は、LTEではNodeB又は拡張NodeB(eNodeB)という基地局20によりサービスされる。1つの基地局20が、複数の地理的セルエリアあるいはセクタ12においてサービスを提供してもよい。移動端末100は、1つ以上のダウンリンク(DL)チャネル上で基地局20からの信号を受信し、及び1つ以上のアップリンク(UL)チャネル上で基地局20へ信号を送信する。
【0018】
例示の目的で、LTE(Long-Term Evolution)システムの文脈でいくつかの実施形態が説明されるであろう。しかしながら、当業者は、開示される技法のいくつかの実施形態が、より一般には、例えばWiMax(IEEE802.16)システムを含む他の無線通信システムに適用可能であり得ることを理解するであろう。
【0019】
LTEは、ダウンリンクでは直交周波数分割多重(OFDM)を、アップリンクでは離散フーリエ変換(DFT)拡散OFDMを使用する。基本的なLTEダウンリンク物理リソースを、時間−周波数グリッドとして見ることができる。図2は、LTEについての例示的なOFDM時間−周波数グリッド50の利用可能なスペクトラムの一部を示している。概して言うと、時間−周波数グリッド50は、1ミリ秒のサブフレームへと分割される。各サブフレームは、ある数のOFDMシンボルを含む。マルチパス分散(multipath dispersion)が極端に苛酷であると予期されない状況における使用に適した通常のサイクリックプレフィクス(CP)長については、1つのサブフレームは14個のOFDMシンボルからなる。拡張サイクリックプレフィクスが使用される場合には、1つのサブフレームは12個のOFDMシンボルのみを有する。周波数領域では、物理リソースは、15kHzの間隔で隣接するサブキャリアへと分割される。サブキャリアの数は、割り当てられるシステム帯域幅に従って変化する。時間−周波数グリッド50の最小のエレメントは、リソースエレメントである。リソースエレメントは、1つのOFDMシンボルインターバルの期間中の1つのOFDMサブキャリアからなる。
【0020】
リソースエレメントは、リソースブロックへとグルーピングされ、リソースブロックは、サブフレームの2つの等長スロットのうちの1つの範囲内の、12個のOFDMサブキャリアからなる。図2は、合計で168個のリソースエレメントからなるリソースブロックペアを示している。
【0021】
ダウンリンク送信は動的にスケジューリングされ、各サブフレームにおいて、基地局は、その現行のダウンリンクサブフレームについて、データの送信先である移動端末とデータが送信されるリソースブロックとを識別する制御情報を送信する。制御シグナリングは、典型的には、各サブフレーム内の先頭の1つ、2つ、3つ又は4つのOFDMシンボルを占める制御領域において送信される。図2では、3つのOFDMシンボルの制御領域を伴うダウンリンクシステムが例示されている。当該制御領域内で送信される物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を介して、動的なスケジューリング情報はUE(“ユーザ機器”、移動局についての3GPP用語)へ通信される。PDCCHの成功裏の復号の後、UEは、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)からのトラフィックデータの受信、又は物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)上のトラフィックデータの送信を、LTE規格において仕様化された予め定義されるタイミングに従って実行する。
【0022】
図3に示したように、LTEダウンリンク送信はさらに時間領域において10ミリ秒の無線フレームへと組織化され、各無線フレームは10個のサブフレームからなる。各サブフレームは、0.5ミリ秒の時間長の2つのスロットへと分割され得る。さらに言うと、LTEにおけるリソース割当ては、リソースブロックを基準としてしばしば記述され、リソースブロックは時間領域において1つのスロット(0.5ms)に、周波数領域において12個の連続するサブキャリアに相当する。リソースブロックは、周波数領域において、システム帯域幅の一端において0から始まるように付番される。
【0023】
エラー制御のために、LTEはハイブリッドARQ(HARQ)を使用し、HARQにおいて、サブフレームにおけるダウンリンクデータの受信後に、移動端末は、復号を試行し、復号が成功したか(ACK)否か(NACK)を物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)を介して基地局へレポートする。復号の試行が不成功に終わった場合、基地局(3GPPの用語では拡張NodeBあるいはeNodeB)は、エラーの起きたデータを再送することができる。同様に、基地局は、PUSCHの復号が成功したか(ACK)否か(NACK)を物理ハイブリッドARQインジケータチャネル(PHICH)を介してUEに示すことができる。
【0024】
移動端末から基地局へ送信されるハイブリッドARQ ACK/NACK情報に加えて、移動端末から基地局へのアップリンク制御シグナリングは、一般にチャネル状態情報(CSI)又はチャネル品質情報(CQI)というダウンリンクチャネル条件に関するレポートをも含む。このCSI/CQIは、ダウンリンクリソースのスケジューリング決定における支援のために、基地局により使用される。LTEシステムはダウンリンクリソース及びアップリンクリソースの双方の動的スケジューリングに依拠するため、アップリンク制御チャネル情報はスケジューリング要求をも含み、スケジューリング要求は、アップリンクデータ送信のためにアップリンクトラフィックチャネルリソースを必要としていることを示すために移動端末により送信される。
【0025】
ダウンリンクのキャリアアグリゲーションを伴わないシナリオでは、UEは、PUSCH上で送信すべきデータを有している場合、PUSCH上のデータにアップリンク制御情報を多重化する。よって、UEは、PUSCH上で送信すべきデータを有していない場合に、上記アップリンク制御情報をシグナリングするためにPUCCHを使用するのみである。従って、移動端末にデータ送信用のアップリンクリソースが割当て済みでない場合、チャネルステータスレポート、ハイブリッドARQ確認応答及びスケジューリング要求を含むレイヤ1/レイヤ2(L1/L2)制御情報が、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)上のアップリンクL1/L2制御に特に割り当てられたアップリンクリソース(リソースブロック)において送信される。これは、3GPP仕様のリリース8(LTE Rel−8)において最初に定義された。
【0026】
図4に示したように、これらリソースは、移動端末にとって使用のために利用可能なアップリンクセル帯域幅のエッジに位置する。各物理制御チャネルリソースは、リソースブロックのペアから形成され、各リソースブロックは、アップリンクサブフレームの2つのスロットのうちの1つの範囲内で12個のOFDMサブキャリアからなる。周波数ダイバーシティを提供する目的で、物理制御チャネルリソースは、スロット境界上で周波数ホッピングされ−よって、ペアのうちの第1リソースブロックはサブフレームの第1スロット内のスペクトラムの下方部分にあり、ペアのうちの第2リソースブロックはサブフレームの第2スロットの期間中のスペクトラムの上方部分に位置する(又はその逆である)。非常に大規模な全送信帯域幅が多数のユーザをサポートしているといったケースのように、アップリンクL1/L2制御シグナリングのためにより多くのリソースが必要であれば、追加的なリソースブロックを、過去に割り当て済みのリソースブロックに隣接して割り当てることができる。
【0027】
利用可能な帯域幅全体のエッジにPUCCHリソースを配置する理由は2つある。第一に、上述した周波数ホッピングと併せて、これは制御シグナリングにより経験される周波数ダイバーシティを最大化し、制御シグナリングを双方のリソースブロックにまたがって拡散されるように符号化することができる。第二に、スペクトラムの範囲内の他の位置、即ちエッジ以外、のアップリンクリソースをPUCCHに割り当てれば、アップリンクスペクトラムが断片化してしまい、アップリンク送信のシングルキャリア特性を依然として維持しつつ単一の移動端末に非常に広い送信帯域幅を割り当てることが難しくなってしまう。
【0028】
TDDを用いるLTEシステムでは、単一のアップリンクサブフレームにより搬送されるハイブリッドARQ ACK/NACKフィードバックが、複数のダウンリンクサブフレームに対応し得る。PDSCHのためのHARQ A/Nフィードバックのためのタイミングは、3GPP仕様“Physical Channels and Modulation”(3GPP TS36.211,v.10.50.0,June 2012,www.3gpp.orgにて入手可能)において各U/D構成について克明なテーブルと手続記述と共に仕様化されている。LTEのリリース8仕様によれば、UEは、復号されたPDSCH送信に対応するACK/NACK情報を、予め定義されるアップリンクサブフレームにおいてフィードバックするものとされる。UEは、当該ハイブリッドARQ ACK/NACK応答を、kを表1に列挙されているアソシエーションセットK={k,k,…,kM−1}の範囲内であるとしてサブフレームn−k内に、対応するPDCCHの検出により示されるPDSCH送信が存在する場合、又はダウンリンクSPSの解放を示すPDCCHが存在する場合に、アップリンクサブフレームn内のPUCCH上で送信するものとされる。
【0029】
アソシエーションセットKのサイズは、Mにより表記される。パラメータMは、以下において、PUCCHリソース及びシグナリングを決定するために使用される。パラメータMは、異なるサブフレームにおいて、及び異なるUL/ダウンリンク構成を有するセルにおいて、異なる値をとり得る。なお、統合されるセル群のUL/ダウンリンク構成はRel−10のTDDキャリアアグリゲーションでは同一でなければならないことから、あるサブフレームのためのパラメータMは、UEについての全ての構成されるサービングセルにわたって同一である。
【0030】
【表1】
【0031】
テーブル1において仕様化されているタイミング関係を示す例が、図5に示されている。コンフィグレーション1のセルにおけるアップリンクサブフレーム7について、テーブル1は、アソシエーションセットK={7,6}を提供しており、これは、サブフレーム7−7=0及び7−6=1において送信されるPDSCHのためのあり得るHARQ A/Nフィードバックを搬送することに対応する。図5では、これが、図の“コンフィグレーション#1”とラベリングされた部分においてダウンリンクサブフレーム0及び1からアップリンクサブフレーム7への矢印で示されている。コンフィグレーション1のセルにおけるこのダウンリンクサブフレーム7について、パラメータM=2である。
【0032】
同様に、コンフィグレーション2のセルにおけるアップリンクサブフレーム2について、テーブル1は、アソシエーションセットK={8,7,4,6}を提供しており、これは、先行するフレームのサブフレーム4、5、6及び8において送信されるPDSCHのためのあり得るHARQ A/Nフィードバックを搬送することに対応する。図5のコンフィグレーション#2では、これが上記ダウンリンクサブフレームからアップリンクサブフレーム2への矢印で示されている。コンフィグレーション2のセルにおけるこのアップリンクサブフレーム2について、パラメータM=4である。
【0033】
さらに、スケジューリングサブフレームの数は、いわゆるダウンリンク割り当てインデックス(Downlink assignment index)を示すDCIフォーマット内の2ビットを利用することで、eNodeBによりUEへ示され得る。当該2ビットは、テーブル2に従った値を表現する。DAIは、例えばダウンリンク割り当てを逸失したかを検出するためにUEにより使用される。
【0034】
【表2】
【0035】
UEは、ダウンリンクPDSCH送信への応答として送信すべきACK/NACKを有する場合、PDSCHリソースをUEへ割り当てたPDCCH送信から、どのPUCCHリソースを使用すべきかを判定する。より具体的には、UEのためのPUCCHリソースへのインデックスは、ダウンリンクリソース割り当てを送信するために使用された最初の制御チャネルエレメントの番号から導出される。UEは、送信すべきスケジューリング要求又はCQIを有する場合、より上位のレイヤのシグナリングによって当該UEについて予め構成済みの固有のPUCCHリソースを使用する。
【0036】
PUCCHが搬送することになる情報の様々なタイプに依存して、いくつかの異なるPUCCHフォーマットが使用され得る。1つのサブフレームの期間中のリソースブロックのペアのデータ搬送容量は、1つの移動端末の短期的制御シグナリングのニーズのために一般に必要とされるよりも多い。従って、制御シグナリングのために設けられるリソースを効率的に活用するために、複数の移動端末が同じ物理制御チャネルリソースを共有することができる。これは、複数の移動端末の各々に、セル固有の長さ12の周波数領域シーケンスの異なる直交位相回転(orthogonal phase-rotations)及び/又は異なる直交時間領域カバーコードを割り当てることにより行われる。これら周波数領域の回転及び/又は時間領域のカバーコードを符号化される制御チャネルデータに適用することにより、いくつかの状況において、36個もの移動端末が所与の物理制御チャネルリソースを共有することができる。
【0037】
単一の物理制御チャネルリソースの制約の範囲内で、様々な量及びタイプのアップリンク制御チャネルデータを符号化するために、3GPPにより異なる複数の符号化フォーマットが開発されてきた。一般にPUCCHフォーマット1、PUCCHフォーマット2及びPUCCHフォーマット3として知られるそれら複数のフォーマットが、文書“4G LTE/LTE-Advanced for Mobile Broadband”(Erik Dahlman, Stefan Parkvall及びJohan Skoeld, Academic Press, Oxford UK, 2011)の第226〜242頁に詳細に記述されており、以下に簡潔に要約される。
【0038】
スケジューリング要求及び/又はACK/NACKを送信するために使用されるPUCCHフォーマット1、1a及び1bは、Zadoff−Chuシーケンスの巡回シフトに基づく。変調データシンボルは、巡回シフトされたZadoff−Chuシーケンスで乗算される。巡回シフトは、あるシンボルから他へと、及びあるスロットから次へと変化する。12個の異なるシフトが利用可能であるものの、高い周波数選択性を呈するセル内のPUCCH送信同士の直交性を維持するために、上位レイヤシグナリングは、所与のセル内のUEを、全数よりも少ないシフトを使用するように構成し得る。変調データシンボルにZadoff−Chuシーケンスが乗算された後、その結果が直交拡散シーケンスを用いて拡散される。PUCCHフォーマット1、1a及び1bは、SC−FDMAシンボル番号2、3及び4において、(通常のサイクリックプレフィクスが使用される場合)スロットごとに3つのリファレンスシンボルを搬送する。
【0039】
PUCCHフォーマット1a及び1bは、それぞれ1つ又は2つのいずれかのハイブリッドARQ確認応答を搬送するPUCCH送信に関する。PUCCHフォーマット1送信(SRのみを搬送する)は、RRCシグナリングにより予め構成済みの、(特定の時間−周波数リソース、巡回シフト及び直交拡散コードにより定義される)UE固有の物理制御チャネルリソース上で送信される。同様にして、ハイブリッドARQ確認応答のみを搬送するPUCCHフォーマット1a又は1b送信は、異なるUE固有物理制御チャネルリソース上で送信される。ACK/NACK情報及びスケジューリング要求の双方を搬送するように意図されるPUCCHフォーマット1a又は1b送信は、ポジティブなSR送信のために割り当てられたSRリソース上で送信され、ACK/NACK情報と共に符号化される。
【0040】
PUCCHフォーマット1/1a/1b送信は、1又は2ビットの情報のみを(加えて、送信のために使用される物理制御チャネルリソースに依存して、スケジューリグ要求を)搬送する。チャネル状態情報レポートはサブフレームごとに2つよりも多いデータビットを要するため、PUCCHフォーマット2/2a/2bがそれら送信のために使用される。図6に示したように、PUCCHフォーマット2、2a及び2bにおいて、チャネル状態レポートはまずブロック符号化され、そして送信用にブロック符号化されたビットがスクランブリングされ及びQPSKで変調される。(図6は、スロットごとに7つのシンボルを伴う、通常のサイクリックプレフィクスを用いるサブフレームのための符号化を示している。拡張サイクリックプレフィクスを用いるスロットは、2つではなくスロットごとに1つのリファレンス信号のみを有する。)そして、結果として生じる10個のQPSKシンボルは、巡回シフトされたZadoff−Chuタイプのシーケンス、長さ12の位相回転されたシーケンスで乗算され、あらためて言うと巡回シフトはシンボル間及びスロット間で変化する。シンボルのうちの5個が処理されて第1スロット、即ち図6の左側に現れているスロットで送信され、残りの5個のシンボルは第2スロットで送信される。PUCCHフォーマット2、2a及び2bは、スロットごとに2つのリファレンスシンボルを搬送し、それらはSC−FDMAシンボル番号1及び5に位置する。
【0041】
LTEリリース8又はLTEリリース9に従って(即ち、キャリアアグリゲーション無しで)動作するUEについて、ACK/NACKビット及びCSIビットを同時にレポートするというモードにUEを構成することが可能である。UEが通常のサイクリックプレフィクスを使用している場合、PUCCHフォーマット2の各スロット内の2番目のリファレンス信号(RS)リソースエレメント上のQPSKシンボルへと、1つ又は2つのACK/NACKビットが変調される。各スロット内の2番目のRS上に1つのACK/NACKビットが変調される場合、UEにより使用されるPUCCHフォーマットを、PUCCHフォーマット2aという。各スロット内の2番目のRS上に2つのACK/NACKビットが変調される場合、UEにより使用されるPUCCHフォーマットを、PUCCHフォーマット2bという。UEが拡張サイクリックプレフィクスで構成される場合、1つ又は2つのACK/NACKビットがチャネル状態情報(CSI)フィードバックと共に結合的に符号化され、PUCCHフォーマット2内で共に送信される。
【0042】
PUCCHフォーマット1送信のように、PUCCHへ割り当てられるリソースブロックのペアは、巡回シフトによって分離される別個の送信信号で、複数のUEからの複数のPUCCHフォーマット2送信を搬送することができる。PUCCHフォーマット1送信のように、一意な各PUCCHフォーマット2リソースをインデックスによって表現することができ、そのインデックスから位相回転及び他の必要な量が導出される。PUCCHフォーマット2リソースは、準静的に構成される。留意すべきこととして、リソースブロックのペアは、PUCCHフォーマット2/2a/2b及び1/1a/1bの混成をサポートするか、又はフォーマット2/2a/2bを排他的にサポートするかのいずれかで構成され得る。
【0043】
LTE標準の3GPPリリース10(LTEリリース10)が公開済みであり、キャリアアグリゲーションの使用を通じて、20MHzを上回る帯域幅についてのサポートが提供される。LTEリリース10仕様の開発に課された1つの重要な要件は、LTEリリース8との後方互換性を確保することであった。スペクトラムの互換性についての必要性は、20MHzよりも広いLTEリリース10キャリアがLTEリリース8の移動端末にとって複数の個別のより小さい帯域幅に見えるべきである、ということを決定付けた。それら個別のキャリアの各々を、コンポーネントキャリアということができる。
【0044】
特に早い時期のLTEリリース10システムの配備については、LTE仕様の以前のリリースに準拠する多くの“レガシー”移動端末と比較して、相対的に少数のLTEリリース10対応移動端末が存在するであろうと予期され得る。従って、リリース10移動端末に加えてレガシー移動端末のための広範囲のキャリアの効率的な使用、即ち、レガシー移動端末が広帯域のLTEリリース10キャリアの全ての部分にスケジューリング可能であるようにキャリアを実装することが可能であること、を保証する必要がある。
【0045】
これを獲得する直接的な1つのやり方は、キャリアアグリゲーションと呼ばれる技法の手段による。キャリアアグリゲーションによって、LTEリリース10の移動端末は、複数のコンポーネントキャリアを受信することができ、各コンポーネントキャリアはリリース8キャリアと同じ構造を有する(又は少なくとも有し得る)。キャリアアグリゲーションの基本的な概念が図7に示されており、5つの20MHzコンポーネントキャリアの統合が例示され、100MHzという統合帯域幅が生み出されている。LTE標準のリリース10は、統合される5個のキャリアまでのサポートを仕様化しており、各キャリアは6通り、即ち1.4、3、5、10、15及び20MHzの無線周波数(RF)帯域幅、のうちの1つに限られる。
【0046】
統合されるコンポーネントキャリアの数と共に、各個別のコンポーネントキャリアについての帯域幅は、アップリンク及びダウンリンクについて異なってよい。対称的構成ではダウンリンク及びアップリンクでのコンポーネントキャリアの数は同一であり、非対称構成ではアップリンク及びダウンリンクキャリアの数は相違する。
【0047】
初期アクセスの期間中に、LTEリリース10移動端末は、LTEリリース8移動端末と同様に振る舞い、アップリンク及びダウンリンク用の単一のキャリアへのアクセスを要求し及び獲得する。ネットワークへの成功裏の接続の後、移動端末は、自身のキャパシティ及びネットワークに依存して、アップリンク(UL)及びダウンリンク(DL)において追加的なコンポーネントキャリアと共に構成され得る。
【0048】
移動端末は、追加的なコンポーネントキャリアと共に構成される場合であっても、常にそれらの全てを必ずしもモニタリングする必要はない。これは、LTEリリース10が構成とは別個にコンポーネントキャリアのアクティブ化をサポートしているためである。移動端末は、PDCCH及びPDSCHについて、構成され且つアクティブ化されているコンポーネントキャリアのみをモニタリングする。アクティブ化はRRCシグナリングよりも高速なMAC(Medium Access Control)制御エレメントに基づくことから、アクティブ化/非アクティブ化処理は最新のデータレートのニーズを充足するために要するコンポーネントキャリアの数に動的に追随することができる。1つのコンポーネントキャリアであるダウンリンクプライマリコンポーネントキャリア(ダウンリンクPCC)を除いて全てを、任意の所与の時点で非アクティブ化することができる。
【0049】
LTEにおいてキャリアアグリゲーションが使用される場合、1つのアップリンクキャリアが全てのダウンリンクキャリアのPDSCH送信のためのHARQ−ACK/NACKビットを搬送するように設計される。4ビットより多くのA/Nを送信する可能性を働かせるために、PUCCHフォーマット3を用いることができる。FDDシナリオでは、各ダウンリンクキャリアは、当該キャリアについてMIMO(multiple-input multiple-output)動作が有効化されるかに依存して、スケジューリングされるサブフレームごとに1つ又は2つのHARQ ACK/NACKビットを生成することができる。TDDシナリオでは、HARQ ACK/NACKビットの数は、所与のアップリンクサブフレームがいくつのダウンリンクサブフレームのためのHARQ ACK/NACKビットを搬送すべきであるかにも依存する。
【0050】
4ビットより多い情報が送信されなければならないシナリオについて設計されるPUCCHフォーマット3は、離散フーリエ変換(DFT)拡散OFDMに基づく。図8は、LTEサブフレームの2つのスロットのうちの1つについてのその設計のブロック図を示している。アップリンクフレームの第2スロットに同じ処理が適用される。例示されるシナリオにおいて、(単一のスケジューリング要求(SR)ビットと合成され得る)複数のACK/NACKビットが、RM(Reed-Muller)前方誤り訂正(FEC)符号を用いて符号化され、48符号化ビットを形成する。(RMエンコーダにより生成される32出力符号化ビットのいくつかが、48符号化ビットを生成するために反復される。)そして、符号化ビットは、セル固有の(かつ恐らくはDFT拡散OFDMシンボル依存の)シーケンスを用いてスクランブリングされる。24ビットは第1スロット内で送信され、他の24ビットは第2スロット内で送信される。そして、スロットごとの24ビットは、図8において“QPSKマッピング”とラベリングされたブロックにより示される通り、12個のQPSKシンボルへとマッピングされ、スロットのOFDMシンボルのうちの5つに現れる(シンボル0、2、3、4及び6)。スロット内のこれら5つのシンボルの各々におけるシンボルのシーケンスは、図8においてOC0、OC1、OC2、OC3及びOC4により示されるOFDMシンボル固有の直交カバーコードで拡散され、DFTプリコーディングに先立って巡回シフトされる。DFTプリコーディングされたシンボルは、(逆高速フーリエ変換あるいはIFFTを用いて)OFDMシンボルへと変換され、1つのリソースブロック(帯域幅リソース)かつ5つのDFT拡散OFDMシンボル(時間リソース)内で送信される。拡散シーケンス又は直交カバーコード(OC)は、UE固有であり、同じリソースブロック内での5つまでのユーザの多重化を可能とする。
【0051】
リファレンス信号(RS)について、巡回シフトされたCAZAC(constant-amplitude zero-autocorrelation)シーケンスを使用することができる。例えば、3GPP TS36.211“Physical Channels and Modulation”におけるコンピュータ最適化シーケンスを使用することができる。リファレンス信号間の直交性ををより一層改善するために、長さ2の直交カバーコードをリファレンス信号に適用し得る。しかしながら、このアプローチは、LTE仕様のリリース10又は11では使用されない。
【0052】
ACK/NACKビットの数が11を上回る場合、当該ビットは2つの部分へと分割され、2つの部分の各々について1つとなるように2つのRMエンコーダが使用される。これはデュアルRMコードとして知られている。20個までのACK/NACKビット(+1つのSRビット)をこのやり方でPUCCHフォーマット3によりサポートすることができる。デュアルRMコードでの各エンコーダは24ビットを出力し、その24ビットは12個のQPSKシンボルへと変換され、結果として生じる12個のQPSKシンボルの2つのセットはスロットをまたいで分配され、第1のエンコーダからの12個のシンボルが奇数番目サブキャリアへマッピングされ及び第2のエンコーダからの12個のシンボルが偶数番目のサブキャリアへとマッピングされるようにサブキャリアにわたるインターリーブが行われ、スロットごとに6つの奇数サブキャリア及び6つの偶数サブキャリアが想定される。(このマッピング動作には、セル間干渉のランダム化を提供するために、時間領域におけるシンボルのセル固有、スロット固有及びシンボル固有の巡回シフトが含まれる。)そして、スロットごとの12個のQPSKシンボルが、単一のRMコードのケースのように、5つの直交カバーコードのうちの1つを用いて、5つのDFTS−OFDMシンボルをまたいで拡散される。
【0053】
上述した符号化及び多重化のいくつかの詳細が、図9及び図10に示されている。図9は、11個までのアップリンク制御情報(UCI)ビットについてのアプローチを示している。上述したように、このケースでは、UCIビットは、単一のエンコーダを用いて符号化され48ビットが生成される。これら48ビットは、24個のQPSKシンボルへとマッピングされ、それらはPUCCHを搬送するアップリンクサブフレームの第1及び第2スロットの間で分割される。一方、図10は、12から21個のUCIビットについて取られるアプローチを示している。このケースでは、UCIビットは2つのセグメントへと分割され、2つの別個のエンコーダへと供給される。各エンコーダは、24個の符号化ビットを生成し、それらは12個のQPSKシンボルへとマッピングされる。各エンコーダからの12個のQPSKシンボルは、インターリーブされる基準で、アップリンクサブフレームの2つのスロットの間で分配される。
【0054】
【数1】
【0055】
LTE仕様のリリース11について、CSI及びマルチセル(即ち、マルチキャリア)のACK/NACK並びにSRのフィードバックのために、PUCCHフォーマット3構造を使用することが決定された。CSI及びACK/NACKビットを符号化するための1つのあり得るアプローチは、結合符号化(joint encoding)のアプローチを用いることであり、CSI、ACK/NACK及びSRビットはシングル又はデュアルのRMエンコーダの前に連結される。合計ペイロードが11ビットよりも大きければ、リリース10でのPUCCHフォーマット3の仕様でのACK/NACKのケースと同様に、デュアルRMエンコーダが使用される。図11は、結合符号化のためのこれら技法の各々についての例を示している。図11の上段は、単一のRMエンコーダを用いた11個までのペイロードビットの符号化の例示的なアプローチを示しており、下段は、デュアルRMエンコーダを用いた12ビットと22ビットとの間の符号化の例示的なアプローチを示している。双方のケースで、ACK/NACKビット及びCSIビットが結合的に符号化される。
【0056】
検討下にある他のアプローチは、別々の符号化(separate encoding)であり、やはりデュアルRMエンコーダを使用し、但し1つのエンコーダによりCSIビットが符号化され、他のエンコーダによりACK/NACKビットが符号化される。SRビットが存在する場合、SRビットはACK/NACKビットと共に符号化され得る。別々の符号化のアプローチの1つの重要な利点は、後により詳細に説明されるように、CSI及びACK/NACKビットに様々なエラー保護のレベルを提供し得ることであり、それによりACK/NACKビットの過剰な保護及びエネルギーの浪費が回避される。
【0057】
このアプローチによって、CSIビット及びACK/NACKビットへそれぞれ適用される符号レートをパラメータΔにより調整することができ、Δをここでは“符号化インバランスパラメータ”あるいは“レートマッチングパラメータ”という。この符号化インバランスパラメータΔの意義を、図12に示したシナリオにおいて見ることができる。そこで見ることができるように、ACK/NACKビット(及び、存在するのであればSRビット)は、第1のRMエンコーダにより符号化され、同エンコーダは24+Δビットを生成する。CSIビットは、別個のRMエンコーダにより符号化され、同エンコーダは24−Δビットを生成する。よって、2つのエンコーダがΔの値に関わらず併せて48ビットを生成し、そしてそれら48ビットがスクランブリングされ、変調され、及び基地局への送信のためにPUCCHフォーマット3構造へとマッピングされ得る。
【0058】
その際、概して言うと、符号化インバランスパラメータΔは、合計の符号化ビット数を不変に維持しながら、2つのエンコーダからの出力符号化ビット数を調整する。いくつかの実施形態では、パラメータΔは偶数の整数値に制限される。このアプローチによって、各エンコーダからの出力において、2つの符号化ビットずつを容易に単一のQPSKシンボルへとマッピングすることができる。
【0059】
図12を再び参照し、Δが増加すると、合計の符号化ビット数が一定に保たれるように、RMエンコーダ1が符号レートを引き下げる一方でRMエンコーダが符号レートを増加させることが理解されるであろう。よって、増加したΔは、RMエンコーダ1により符号化されるビットについてのより良好なチャネル符号化保護を与え、一方でRMエンコーダ2により符号化されるビットについての保護を減少させる。よって、2つのペイロードについての保護のレベルを調整することができ、これは2つのペイロードが異なる場合及び/又はそれらが異なるエラー要件を有する場合に有益である。なお、Δは正の及び負の偶数の整数値であり得ることに留意されたい。図12に示した構成を所与とすると、正のΔについて、CSIビットに対して相対的により多くの保護がHARQ A/N及びSRビットへ提供される。負のΔについて、CSIビットへより多くの保護が提供される。各符号語は同じエラー保護を有することができ、即ち、Δ=0であり、あるいはΔ≠ではエラー保護は不均等である。
【0060】
コンポーネントキャリアのスケジューリングは、ダウンリンク割り当てを介して、PDCCH又はePDCCH(拡張PDCCH)を用いて行われる。PDCCH又はePDCCH上の制御情報は、ダウンリンク制御情報(DCI)メッセージとしてフォーマット化される。リリース8では、移動端末は1つのダウンリンクコンポーネントキャリア及び1つのアップリンクコンポーネントキャリアと共に動作するのみであり、ダウンリンク割り当て、アップリンクグラント、並びに対応するダウンリンク及びアップリンクコンポーネントキャリアの間の関連付けは非常に明瞭である。しかしながら、リリース10では、キャリアアグリゲーションの2つのモードを区別する必要がある。第1のモードは複数のリリース8移動端末の動作と非常に類似しており、あるコンポーネントキャリア上で送信されるDCIメッセージ内に含まれるダウンリンク割り当て又はアップリンクグラントは、ダウンリンクコンポーネントキャリア自体か又は一意に関連付けられるアップリンクコンポーネントキャリアのいずれかへ適用される。(この関連付けは、セル固有のリンク付け又はUE固有のリンク付けのいずれかを介してなされ得る。)第2の動作モードは、DCIメッセージをキャリアインジケータフィールド(CIF)で増強する。CIFと共にダウンリンク割り当てを含むDCIは、CIFにより指し示される特定のダウンリンクコンポーネントキャリアへ適用され、一方でCIFと共にアップリンクグラントを含むDCIは、指し示されるアップリンクコンポーネントキャリアへ適用される。
【0061】
ダウンリンク割り当てのためのDCIメッセージは、とりわけ、リソースブロック割り当て、変調符号化方式関連パラメータ、及びHARQ冗長バージョンインジケータを含む。実質的なダウンリンク送信に関連するこれらパラメータに加えて、ダウンリンク割り当てのためのほとんどのDCIフォーマットは、送信電力制御(TPC)コマンドのためのビットフィールドをも含む。これらTPCコマンドは、HARQフィードバックを送信するために使用される対応するPUCCHのアップリンク電力制御の振る舞いを制御するために使用される。
【0062】
各ダウンリンク割り当ては、PDCCH上のそのDCIメッセージと共にスケジューリングされる。リリース8のフォーマット、又はリリース8に非常に類似するフォーマットがリリース10についても使用され、受信される各DCIメッセージは、PUCCHのための送信電力についての調整値を収容するTPCビットフィールドを含む。全てのTPCコマンドは同じアップリンクコンポーネントキャリア及び/又はPUCCHを対象とする(address)ことから、1つのTPCフィールド内で真のTPCコマンドを送信するのみとし、他のDCIメッセージ内のTPCフィールドを非電力制御関連情報のために再利用することが提案されてきた。これを行うことで、冗長的でない制御情報についてのより高いデータレートが可能となる。
【0063】
【数2】
【0064】
【表3】
【0065】
概して言うと、全てのPUCCHフォーマットについての基本的な動作ポイントは共通であり、即ち、PUCCHフォーマット1/1a/1b/2/2a/2b/3及びチャネル選択は全て同じ電力制御ループを使用し、但し2つの電力制御パラメータh(nCQI,nHARQ)及びΔF_PUCCH(F)は例外である。これらパラメータは、様々なPUCCHフォーマットについて様々な性能及びペイロードサイズを考慮する。従って、これらパラメータは、PUCCHフォーマットごとに個別に判定される。
【0066】
以下の議論において、項nHARQは、概してACK/NACKビット数をいう。但し、SRビットが送信される場合には、SRビットをACK/NACKと同じやり方で考慮に入れることができる。よって、nHARQは、ACK/NACKビット+SRビットの数をいうとも理解されることができる。さらに、nCQIはチャネル状態情報(CSI)ビット数を表し、チャネル状態情報とはチャネル品質インジケータ(CQI)及び/又はランクインジケータ(RI)及び/又はプリコーディング行列インジケータ(PMI)ビットを含み得ることが理解されるべきである。
【0067】
【数3】
【0068】
【数4】
【0069】
キャリアアグリゲーションでのPUCCHフォーマット3について、UEが上位レイヤによりHARQ−ACK/SRビット及びCSIビットを同時に送信するように構成される場合に適用されるh(nCQI,nHARQ)の定義を持つことの必要性がある。この問題は、それら状況下でPUCCHフォーマット3へ適用可能なh(nCQI,nHARQ)についての式を決定することにより解決される。
【0070】
【数5】
【0071】
上で議論したように、3GPPリリース10仕様において定義されているh(nCQI,nHARQ)は送信されるべきHARQ−ACK、SR及びCSIビットの数に依存しており、一方で、様々な無線条件、受信機実装及びPUCCHフォーマットに起因する信号対雑音比(SNR)オフセットはΔF_PUCCH(F)により扱われる。
【0072】
h(nCQI,nHARQ)及びΔF_PUCCH(F)を決定するために、eNodeBはPUCCHフォーマット1aの電力を正確に制御できるという仮定を置く。その仮定と共に、h(nCQI,nHARQ)を取得するための1つのアプローチは、様々なチャネルタイプ、速度、受信機アルゴリズム、帯域幅などに対応する全ての異なるシナリオの傾きに適合する曲線にフィットさせることである。それら曲線を、各シナリオについてPUCCHフォーマット1aの曲線と対応するPUCCHフォーマット3の曲線との間の差異を計算することにより、同じ処理で、ΔF_PUCCH(F)を決定するために使用することができる。
【0073】
以下では、各変数、即ちnHARQ及びnCQIのためのa又はbそれぞれについてのh(nCQI,nHARQ)の傾きをいかに評価するかをより詳細に説明する。
【0074】
【数6】
【0075】
HARQに算入されるハイブリッドARQ ACK/NACKビットの数は、例えば、以下の定義のうちの1つであり得る:
(1)HARQ−ACKフィードバックウィンドウ内でスケジューリング可能なトランスポートブロックの数;
(2)HARQ−ACKフィードバックウィンドウ内でUEにより受信されたトランスポートブロック及びダウンリンクSPS解放の数;
(3)統合するコンポーネントキャリアごとのトランスポートブロックの構成数に基づく、UEがレポートバックする合成HARQ−ACKビットの数;又は
(4)UEが送信する合成HARQ−ACKビットであって、UEにより受信されなかったトランスポートブロックには対応しない合成HARQ−ACKビットの数。このケースにおいて、UEが2つのプロセスの間で空間的バンドリングを行い、1つのプロセスが受信したトランスポートブロックに対応し他のプロセスがトランスポートブロックを受信しなかったプロセスに相当する場合、それは単一の合成HARQ−ACKビットとしてカウントされる。
【0076】
【数7】
【0077】
【数8】
【0078】
【数9】
【0079】
さらに、スケジューリング要求ビットは、以下の可能性に従って1又は0のいずれかを示すことができる:
(1)UL−SCHのための関連付けられるトランスポートブロックを何も持たないUEについてSRのためにサブフレームiが構成される場合には1を示し、そうでなければ0に等しい。
(2)UL−SCHのための関連付けられるトランスポートブロックを何も持たないサブフレームiについてUEがポジティブなスケジューリング要求を有する場合には1を示し、そうでなければ0に等しい。
【0080】
等式(1)において、nCQIは、例えばPMI、CQI、RI及び/又はPTIビットの数であり得るCSIビット数を表現する。当該ビット数は、特定の機会にレポートされる情報ビットの数に基づくことができる。代替的に、それは特定の機会に求められるレポート情報ビットの数に基づくことができる。
【0081】
【数10】
【0082】
上で示したように、電力制御機能は、等式(1)又は等式(2)のいずれかに従って表現され得る。a、即ちHARQ−ACKビット及びSRビットの数に対応する傾きを決定するために、CSIビット数及び/又は伝播チャネルタイプ及び/又は帯域幅及び/又は受信機アルゴリズムといった様々なシナリオに起因するオフセットを、HARQ−ACKビット及びSRビットの多様な数について対応する動作SNR値から減ずるべきである。そして、HARQ−ACKビット及びSRビット数に対する得られる相対SNR曲線に最もよくフィットする傾きが、傾きaを決定するために使用されるべきである。
【0083】
上と同じ手続を、CSIビット数nCQIに対応する傾きbを決定するために適用することができる。但し、このケースでは、HARQ−ACKビット+SRビット数及び/又は伝播チャネルタイプ及び/又は帯域幅及び/又は受信機アルゴリズムといった様々なシナリオに起因するオフセットを、CSIビットの多様な数について対応する動作SNR値から減ずるべきである。そして、CSIビット数に対する得られる相対SNR曲線に最もよくフィットする傾きが、傾きbを決定するために使用されるべきである。
【0084】
cにより捕捉されるh(nCQI,nHARQ)の式の中の制約値を包含するなどといった、h(nCQI,nHARQ)についての他の制約が課せられてもよい。例えば、LTE電力制御仕様と整合するためは、h(nCQI,nHARQ)は、h(nCQI=0,nHARQ=1)=0となるようにあるべきである。このパラメータは、h(nCQI,nHARQ)内に含められ、又はΔF_PUCCH(F)により捕捉されることができる。
【0085】
HARQ−ACK及び/又はSR並びにCSIの同時送信のためのPUCCHフォーマット3について上で説明した手続を例示するために、以下を検討されたい。前に触れたように、CSI及びハイブリッドARQ ACK/NACKビット(及びSR)を符号化するために、結合符号化及び別々の符号化という2つの主な候補が提案される。図13及び図14は、(ETU(Extended Typical Urban)及びEPA(Extended Pedestrian A)モデルを含む)いくつかの異なるチャネルタイプ及びUE速度に加えて様々なCSIビット数についての、ACK/NACKビット数に対するdBでの動作SNRを実証している。図13は結合符号化についての曲線を示している一方、図14はCSI及びACK/NACKビットの別々の符号化についての対応する曲線を示している。双方のケースにおいて、フォーマット1aについての動作SNRも与えられている。
【0086】
図15及び図16は、HARQ−ACKビット+SRビット数が変化する際に最も良くフィットする傾きを見つけ出すために、図13及び図14にそれぞれ対応する動作SNR曲線がいかに移動されるかを示しており、相対動作SNR曲線が生み出される。それぞれ結合符号化及び別々の符号化について図17及び図18に示したように、CSIビット数が変化する際の最良の傾きを決定するために同様の方法論が適用される。
【0087】
結果的に最良のフィットとして見つけ出されたのは、a=1/2及びb=1/3である。さらに言うと、c=−1/2が要件h(nCQI=0,nHARQ=1)=0を充足し、これは代替的にΔF_PUCCH(F)により捕捉されてもよい。
【0088】
【数11】
【0089】
よって、ΔF_PUCCH(F)=0が与えられ、又は代替的にΔF_PUCCH(F)=0.5であり得る。UE及びeNBについて実装マージンを考慮すると、ΔF_PUCCH(F)についての他の値もまたあり得る。
【0090】
図13図18において、A/Nビット数は、HARQ−ACKビット及び/又はSRビットの数を表現する。
【0091】
いくつかの実施形態において、UEは、UE送信電力を設定する際に、上述した対応するh(nCQI,nHARQ)及びΔF_PUCCH(F)を適用することになる。それらのいくつか及び他の何らかの実施形態において、UEは、PUCCHレポートを含む電力ヘッドルームレポートを決定する際に、上述した対応するh(nCQI,nHARQ)及びΔF_PUCCH(F)を適用するであろう。
【0092】
同様に、いくつかの実施形態において、eNodeBは、UEが上述した公式のうちの1つに従ってその送信電力を適応させるであろうという前提の下で、UEのPUCCHを電力制御する。それらのいくつか及び他の何らかの実施形態において、eNodeBは、上述した公式に基づいて計算されるPHRを受信する。さらなる副次的な実施形態において、eNodeBは、例えばPUSCH、SRS及び/又はPUCCH送信のリンク適応のために、アップリンクスケジューリングのためにPHRレポートを利用する。
【0093】
図19は、システムレベルでの、即ちUEとeNodeBとの間のCSI及びハイブリッドARQ ACK/NACKビットの結合的なレポーティングを例示する信号フロー図である。1910に示したように、シグナリングフローは、eNodeBが周期的なCSIレポーティングのためにUEを構成することから始まる。続いて、1920に示したように、eNodeBは、ダウンリンク送信をスケジューリングし、UEへダウンリンク割り当てを送信する。周期的な各CSIレポーティング機会において、UEは、CSIビット及びACK/NACKビット(+SRビット)を同時に送信する。これら機会のうちの1つが1930に示されている。
【0094】
図20は、ここに開示されている技法の実施形態に従ってPUCCHフォーマット3送信の出力電力を設定するためのUE手続を示している。ブロック2010に見られるように、UEは、1つ以上のダウンリンク割り当てを受信する。(これは図19において1920に示されているシグナリングに対応することに留意されたい。)当該ダウンリンク割り当てに基づき、UEは、ブロック2020に示したように、受信されるトランスポートブロックの数をカウントし得る。ブロック2030に示したように、これがHAR ACK/NACKビットの数を決定する。ブロック2040に示したように、UEは、送信される必要のあるCSIビット数をも決定する。そして、ブロック2050に示したように、UEは、CSI及びACK/NACKビットのペイロードに基づいて、PUCCHフォーマット3送信の送信電力を決定し及び設定する。最後に、UEは、ブロック2050に示したように、符号化されたCSI及びACK/NACKビットを搬送するPUCCHフォーマット3を送信する。
【0095】
図21の処理フロー図は、PUCCHフォーマット3のための電力レベルがいかに遂行されるかの詳細を示している。図21に示した処理は図20のブロック2050に示された動作において遂行される動作のサブセットであり得ることが理解されるであろう。
【0096】
図21を参照すると、図示した処理は、ブロック2110に示したように、少なくともチャネル状態情報ビットの数を表現する数値NとハイブリッドARQ ACK/NACKビットの数を表現する数値Mとの一次結合として、電力制御オフセットパラメータを計算することから開始される。次に、ブロック2120に示したように、UEは、上記電力制御オフセットパラメータを用いて、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)上での送信のための電力レベルを計算する。そして、図20のブロック2060に示したように、UEは、計算した上記電力レベルに従って符号化されたチャネル状態情報及びハイブリッドARQ ACK/NACKビットを送信し得る。
【0097】
図21に示した処理のいくつかの実施形態において、上で言及した一時結合は、aN+bM+cの形式であり、a、b及びcは非ゼロの定数である。それらのいくつか及び他のいくつかの実施形態では、数値Mは、ハイブリッドARQ ACK/NACKビット及びスケジューリング要求(SR)ビットの数を表現し得る。
【0098】
いくつかの実施形態において、処理は続き、計算された電力レベルに基づいて、及び共有チャネル送信について計算される電力レベルに基づいて、電力ヘッドルームパラメータが計算される。そして、電力ヘッドルームパラメータが基地局へ送信される。これら動作は、図21のブロック2130及び2140に示されている。但し、それらブロックは破線のアウトラインで表現されており、これはあらゆる実施形態又はあらゆるシナリオに現れなくてもよいという意味において、その動作が“オプション的”であること、に留意されたい。
【0099】
上で議論したブロック図及び処理フロー図は、移動端末及び基地局内に提供されるデータ処理回路を用いて実装され得る。各移動端末及び基地局は、当然ながら、例えばLTEのフォーマット及びプロトコルといった既知のフォーマット及びプロトコルに従って整形された無線信号を送受信するための無線回路をも含む。
【0100】
図22は、上述した技法を具現化する例示的な通信ノード2200の特徴を示している。詳細な構成に加えて、物理サイズ、電力要件などといった特徴は状況によるものの、通信ノード2200のエレメントの一般的な特性は、無線基地局及び移動端末の双方に共通である。さらに、双方とも、ACK/NACKビット及びチャネル状態情報を符号化して送信し又はそうした情報を受信信号から復号するための上述した技法のうちの1つ又は複数を遂行するように適合され得る。
【0101】
通信ノード2200は、(基地局のケースでは)複数の移動端末と通信するため、又は(移動端末のケースでは)1つ以上の基地局の送受信機2220と、送受信機2220により送受信される信号を処理するための処理回路2210とを備える。送受信機2220は、1つ以上の送信アンテナ2228へ連結される送信機2225と、1つ以上の受信アンテナ2233へ連結される受信機2230とを含む。同じアンテナ2228及び2233が送信及び受信の双方のために使用されてもよい。受信機2230及び送信機2225は、典型的には、LTE及び/又はLTEアドバンスト向けの3GPP標準といった特定の通信標準に従った既知の無線処理及び信号処理コンポーネント及び技法を使用する。そうした回路の設計及び実装に関連付けられる多様な詳細及びエンジニアリングトレードオフはよく知られており、ここで説明される技法の完全な理解のために必須ではないため、さらなる詳細はここに示されない。
【0102】
処理回路2210は、1つ以上のプロセッサ2240、ハードウェア、ファームウェア又はそれらの組合せを含み、データストレージメモリ2255及びプログラムストレージメモリ2260を構築する1つ以上のメモリデバイス2250へ連結される。メモリ2250は、ROM(read-only memory)、RAM(random-access memory)、キャッシュメモリ、フラッシュメモリデバイス、光学ストレージデバイスなどといった、1つ又は複数のタイプのメモリを含み得る。あらためて言うと、モバイルデバイス及び無線基地局のためのベースバンド処理回路の設計に関連付けられる多様な詳細及びエンジニアリングトレードオフはよく知られており、ここで説明される技法の完全な理解のために必須ではないため、さらなる詳細はここに示されない。
【0103】
処理回路2210の典型的な機能は、送信信号の変調及び符号化、並びに受信信号の復調及び復号を含む。いくつかの実施形態において、処理回路2210は、例えばACK/NACKビット及びチャネル状態情報を符号化して送信し又はそうした情報を受信信号から復号するための上述した技法のうちの1つを遂行するように、プログラムストレージメモリ2260内に記憶される適切なプログラムコードを用いて適合される。より具体的には、処理回路は、いくつかの実施形態において、少なくともチャネル状態情報ビットの数を表現する数値NとハイブリッドARQ ACK/NACKビットの数を表現する数値Mとの一次結合として、電力制御オフセットパラメータを計算し、当該電力制御オフセットパラメータを用いて、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)上での送信のための電力レベルを計算する、ように適合される。いくつかの実施形態において、処理回路2210は、計算した電力レベルに基づいて、及び共有チャネル送信について計算される電力レベルに基づいて、電力ヘッドルームパラメータを計算する、ようにさらに適合される。そして、電力ヘッドルームパラメータは、基地局へ送信され得る。当然ながら、これら技法のステップのうちの全てが必ずしも単一のマイクロプロセッサにおいて実行されるわけではなく、単一のモジュールにおいてさえ同様であることが理解されるであろう。
【0104】
図23は、上で詳しく議論した技法のいくつかを遂行するように適合される移動端末2300のいくつかの機能エレメントを示している。移動端末2300は、受信回路2315を介して基地局からデータを受信し、及び送信回路2320による送信のために一連のアップリンクサブフレームを構築するように構成される処理回路2310を含む。いくつかの実施形態において、処理回路2310は、図23の処理回路2210について説明したやり方で構築されてよく、(チャネル状態測定ユニット2350からの)第1のチャネル状態情報、及び、複数のダウンリンクサブフレーム若しくは複数のダウンリンクキャリア又はその双方に対応する第1のハイブリッドARQ ACK/NACKビットがアップリンクサブフレームでの送信のためにスケジューリングされているか、を判定するように適合されるハイブリッドARQ処理ユニット2340を含む。処理回路2310は、さらに、アップリンク制御チャネル符号化ユニット2330を含む。同ユニットは、例えば図8のブロック図に従って少なくとも部分的に構成されてよく、ハイブリッドARQ ACK/NACKビット及びチャネル状態情報を結合的な又は別個のエンコーダを用いて符号化し、符号化されたハイブリッドARQ ACK/NACKビット及び符号化されたチャネル状態情報ビットをインターリーブし、単一のキャリア上で第1のアップリンクサブフレームの物理制御チャネルリソースにおいて第1のチャネル状態情報及び第1のハイブリッドARQ ACK/NACKビットの双方を送信する、ように適合される。当然ながら、上述した技法の変形例の全てもまた、移動端末2300へ等しく適用可能である。
【0105】
ここで説明された技法の範囲から逸脱することなく、上述した実施形態について多様な修正を加え得ることが、当業者には理解されるであろう。例えば、上の実施形態は3GPPネットワークの一部を基準として説明されたが、他の実施形態が同様の機能コンポーネントを有する3GPPネットワークの後継版といった同様のネットワークへ適用可能ともなることが容易に理解されるであろう。従って、特に、上の説明並びに添付図面及び添付のいずれの請求項において使用された3GPPとの語及び関連付けられ又は関連する語も、現在又は将来においてそのように解釈されるものとする。
【0106】
具体的な実施形態の添付の例図への参照と共に、いくつかの実施形態の例を上で詳細に説明した。当然ながら、コンポーネント又は技法のあらゆる想到可能な組合せを説明することは不可能であるため、当業者は、上述した技法を当該技法の本質的な特性から逸脱することなくここで具体的に説明したものとは別の手法で実装することができることを理解するであろう。本実施形態は、よって、全ての観点で例示的であって限定的ではないものと見なされるべきである。
図1
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図5
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