特許第6100906号(P6100906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6100906ロータブレードのハンドリング用のリフタおよびハンドリング方法、リフタとロータブレードとを備えるシステム
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  • 特許6100906-ロータブレードのハンドリング用のリフタおよびハンドリング方法、リフタとロータブレードとを備えるシステム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100906
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】ロータブレードのハンドリング用のリフタおよびハンドリング方法、リフタとロータブレードとを備えるシステム
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/10 20060101AFI20170313BHJP
   F03D 80/10 20160101ALI20170313BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20170313BHJP
   B66C 1/62 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   B66C1/10 T
   F03D80/10
   F03D1/06 A
   B66C1/62 Z
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-531595(P2015-531595)
(86)(22)【出願日】2013年9月17日
(65)【公表番号】特表2015-534527(P2015-534527A)
(43)【公表日】2015年12月3日
(86)【国際出願番号】EP2013069198
(87)【国際公開番号】WO2014041180
(87)【国際公開日】20140320
【審査請求日】2015年5月8日
(31)【優先権主張番号】12184764.4
(32)【優先日】2012年9月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514104601
【氏名又は名称】アレヴァ ヴィント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100157808
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 耕平
(72)【発明者】
【氏名】モヌックス ベロッソ,オスカー
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−144808(JP,A)
【文献】 特開昭60−249578(JP,A)
【文献】 実開平05−008502(JP,U)
【文献】 特開平05−157625(JP,A)
【文献】 特開2005−111110(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0098283(US,A1)
【文献】 特表2006−501454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/00 − 3/20
B66C 13/00 − 15/06
F03D 1/00 − 80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンのロータブレードのハンドリング用のリフタであって、
前記ロータブレードの外面に所定の把持領域において接触するための少なくとも1つの装置を備え、
前記ロータブレードの前記外面は、前記少なくとも1つの把持領域の位置及び輪郭を示す少なくとも1つの不可視のマークを含み、
前記不可視のマークは、長期に亘って耐用性を有し、昼光下で人の肉眼では見えない不可視の塗料またはラベルを含み、
前記不可視のマークを検知するための検知器をさらに備える、
リフタ。
【請求項2】
前記検知器は、前記不可視のマークを可視化するための光学フィルタを含む、
請求項1に記載のリフタ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの把持領域の位置を示す前記不可視のマークを含む前記少なくとも1つの把持領域を備える前記ロータブレードの表面の領域の照明のために構成された少なくとも1つの光源をさらに備え、
前記光源は、前記不可視のマークを可視化するための光を発するように構成される、
請求項1または2に記載のリフタ。
【請求項4】
前記光源は、可視スペクトル外の波長を有する光を発するように構成される、
請求項3に記載のリフタ。
【請求項5】
前記光源は、紫外線ランプまたは赤外線ランプであり、
記検知器は、カメラ、特に可視スペクトル内の光の検知のためのカメラである、
請求項4に記載のリフタ。
【請求項6】
距離の値および/または加速度の値および/または傾斜の値が所定の閾値を超えると、前記検知器および/または前記光源を起動するように構成された制御ユニットをさらに備える、
請求項4または5に記載のリフタ。
【請求項7】
風力タービンのロータブレードのハンドリング方法であって、
a)長期に亘って耐用性を有する不可視の塗料またはラベルを前記ロータブレードの表面に直接塗布することによって、前記ロータブレードの表面に、把持領域の位置及び輪郭を示し昼光下で人の肉眼では見えない不可視のマークを設けるステップと、
)把持装置と前記把持領域および前記把持領域の位置及び輪郭を示す前記不可視のマークとの間の変位を外観検査用の検知器を用いて検知するステップと、
c)前記把持装置を前記把持領域に位置決めするステップと、
)前記把持装置と前記把持領域との間の接触を確立することによって前記ロータブレードを把持するステップと
を備える方法。
【請求項8】
前記外観検査によって変位を検知する前記ステップは、さらに、前記不可視のマークを可視化するために前記外観検査用の検知器の前にフィルタを配置することを備える、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記把持領域と前記把持領域の位置及び輪郭を示す前記不可視のマークとを含む前記ロータブレードの表面領域を照明するステップをさらに備える、
請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
蛍光性および/または発光性の塗料またはインクが前記ロータブレードの表面に直接塗布される、および/または、長期に亘って耐用性を有する蛍光性および/または発光性の粘着ラベルが前記ロータブレードの表面に直接塗布される、
請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ロータブレードの表面に前記不可視のマークを塗布する前記ステップは、
前記所定の把持領域の1つにダミーパッドを配置することと、
前記ダミーパッドの輪郭である前記把持領域を取り囲む前記不可視のマークを設けるために、前記ロータブレードの表面に塗料またはラベルを塗布することと、を備える、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のリフタと、風力発電機用のロータブレードとを備えるシステムであって、
前記ロータブレードは、少なくとも1つの把持領域と、前記少なくとも1つの把持領域の位置及び輪郭を示す昼光下で人の肉眼では見えない少なくとも1つの不可視のマークと、を備える表面を有する、
システム
【請求項13】
前記少なくとも1つの不可視のマークは、蛍光性および/または発光性の材料を備える、
請求項12に記載のシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力タービンのロータブレードのハンドリング用のリフタ、および風力タービンのロータブレードのハンドリング方法に関する。さらに本発明は、風力発電機用のロータブレード、およびリフタとロータブレードとを備えるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電所または風力エネルギー変換器とも呼ばれる風力タービンのロータブレードは、その内部に構造補強部材が配置されている中空の構造体である。ロータブレードの外面は主に正圧面と負圧面とからなるが、これはロータブレード内部で構造補強部により全体が支持されているわけではない。ロータブレードのハンドリングは、ロータブレードがその自重により破損するリスクを回避するために注意深く行われなくてはならない。ロータブレードは、その内部で構造補強部材により支持されている特定の箇所または特定の領域で把持されなくてはならない。特に、風力発電機のロータハブにロータブレードを設置する際には、ロータブレードの重さを支持するよう設計されているこの所定の把持領域でロータブレードを把持しなくてはならない。
【0003】
ロータブレードのハンドリングのための最も簡単なツールとしては、クレーン用フックに取り付けられる2つの布バンドが利用されることが可能である。これよりも複雑なハンドリング装置によって、ロータブレードのハンドリングおよび配置において柔軟性および利便性がさらに高まる。このような風力タービンのロータブレードのハンドリング用装置は、たとえば国際公開第2012/095112号から既知である。このロータブレード・リフタは、2つの把持顎部を備え、これらはロータブレードを支持するための複数のパッドが設けられている対向するアームの組をそれぞれ有する。このパッドは、所定の把持領域でロータブレードの表面に接触する。
【0004】
パッドがロータブレードを正確に所定の把持領域のみにおいて把持するためには、ハンドリング装置の配置が正確に行われなくてはならない。今日、リフタのロータブレードに対する位置合わせは、幾何学的測定および/または恒久的に可視化されている位置決めマークによって行われている。各把持領域へのロータブレードの固定用フランジからの距離およびロータブレードの幾何学的中心からの距離は、ロータブレードの製造時から既知である。ハンドリング装置は、固定フランジおよび幾何学的中心に対して、たとえば恒久的に可視化されたマークの光学式距離測定によって調節される。しかし、これはかなり複雑な工程であり、ロータブレードのハンドリングの際に時間を要する手順となってしまう。また、恒久的に可視化されているマークを備えるマーキングシステムは、マークの大きさによっては、主に航空規定のもとでブレードのマーキング標準に準拠していない場合もある。
【0005】
ロータブレードが風力発電機から外される際にはさらに複雑な状況となってしまう。特に沖合の風力発電機の場合は、ハンドリング装置の位置決めは通常の天候条件のもとであっても風や海の動きのためほぼ不可能であると言える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術における欠点に対して改良が行われた、風力タービンのロータブレードのハンドリングのためのリフタ、および風力タービンのロータブレードのハンドリング方法、さらに風力発電機用のロータブレード、風力発電機のロータブレードのマーキング方法、およびリフタとロータブレードとを備えるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係り、風力タービンのロータブレードのハンドリング用のリフタが提供される。リフタは、ロータブレードの外面に所定の把持領域内で接触するために少なくとも1つの把持装置、たとえば把持顎部を備える。把持顎部は、複数のアーム、たとえば一対のアームを有することが可能である。把持顎部は、ロータブレードの外面に所定の把持領域内で接触するために、少なくとも1つのパッドを有することが可能である。特に、把持顎部は、対向する一対のアームを有することが可能である。ロータブレードは、少なくとも1つの把持領域の位置を示す少なくとも1つの不可視のマークを備える。
【0008】
本明細書の関連では、不可視のマークとは、通常の状態、たとえば昼光下で数メートルの距離から肉眼では見えないということを指す。特に、このマークは昼光照明下でその色が肉眼では見えないものとなっている。「不可視」という用語は、マークがロータブレードの外面に溶け込み得るということを指す。マークは、ロータブレードの可視領域と類似の色を有することが可能である。特に、これは昼光照明下でのことを想定している。マークは、可視領域において透明であることも考えられる。「不可視」という用語は、マークが一定の距離からは(実質的に)目に見えないという意味を含むことも可能である。不可視のマークは、極めて近距離から(1メートル未満または10センチ未満)では肉眼でも認識可能であることが可能である。マークは、マーク表面の特定の特性により極めて近距離から認識できるようにされることも可能である。しかし、本明細書の関連では、「不可視」という用語は、マークがたとえば1、5、10または数十メートルの距離から肉眼で見えないことを指す。
【0009】
さらに、リフタは、不可視のマーク、特にマークの位置および/または特徴を検出するための検知器を備えることが可能である。つまり、検出器は、マークの特性を評価または利用してこれが検出可能になるように構成されている。検知器は、マークを検知するためにブレードの外観検査用に構成される。たとえば、この検知器はカメラ、特に可視光の検知に適したデジタルカメラまたはビデオカメラであり得る。検知器には、不可視のマークを可視化するための光学フィルタが設けられていることが可能である。このフィルタはカメラの前方に配置されることができる。
【0010】
リフタはさらに、不可視のマークを可視化するための光を放射するよう構成される少なくとも1つの光源を備えることが可能である。特にこの光源は、可視スペクトル外の波長を有する光を放射するよう構成されることが可能である。たとえば光源は紫外線ランプであることが考えられる。しかし、赤外線領域または可視領域外の電磁スペクトルの他の領域の波長を有する光を放射するのに適した光源をリフタに設けることも適切であり得る。一般に、電磁スペクトルの可視領域は、380nmから780nmに及ぶ。この少なくとも1つの光源はさらに、少なくとも1つの把持領域を備えるロータブレードの表面の照明用に構成されている。検知器は、把持領域を含む上記照明領域内の画像データを記録するよう構成される。
【0011】
本発明の態様に係るリフタは特に、本発明の態様に係る風力発電機のロータブレードのハンドリングに適している。このようなロータブレードは、少なくとも1つの把持領域を備える表面を有する。さらに、ロータブレードの表面には不可視のマークがあり、このマークは把持領域の位置を示している。マークは、蛍光性および/または発光性の材料を備えることが可能であり、マークはたとえば蛍光性および/または発光性の塗装および/または蛍光性または発光性の色を有する粘着ラベルである。マークは、ロータブレードの表面に塗料またはインクを塗布またはスプレーすることによっても設けられることが可能である。しかし、適切なペンまたは永久マーカーを使用することもできる。把持領域は、この蛍光性および/または発光性の材料によりマーキングされることが可能である。たとえば、マークは把持領域を囲む、または把持領域付近に配置される。
【0012】
本発明の態様に係るリフタ、より正確にはリフタの光源は、可視スペクトル外の波長を有する光をマークに放射する。しかし、光源の発光スペクトルは、光源からの放射がマークの誘導放射を生じさせるのに適している限りは、可視スペクトルに重なるか、または可視スペクトル内にあってもよい。すなわち、マークの染料または顔料は、光源からの放射により活性化または誘導されることが可能である。マークは可視領域または不可視領域いずれかの検知可能な光信号を放射するであろう。しかし、リフタは、必ずしも光源を備える必要はない。外観検査用の検知器が光変換に適切な光学フィルタを備えていることも可能である。たとえば、マークの可視スペクトル外の光放射が、可視スペクトル内の波長を有する光に変換されることが可能である。光学フィルタを通すと、放射された光は検知器により検知可能である。この特定の場合、マークの放射は昼光により誘導される。しかし、マークの放射は肉眼では見えないという意味では不可視である。たとえば、マークは、電磁スペクトルにおいて紫外線または赤外線領域の光を放射してもよい。フィルタは、マークの放射を可視光に変換するよう適切に選択されてもよい。本発明のこの態様に係り、光源はなくてもよいが、マークは昼光下では不可視のままである。
【0013】
マークは、可視スペクトル外の波長を有する光を吸収し、蛍光および/または発光効果を示す蛍光性および/または発光性の材料を備えることが可能である。特に、この蛍光性および/または発光性の材料は、可視スペクトル外の波長を有する光を変換し、可視スペクトル内の光を放射する。検知器は、この可視光を検知し、リフタのパッドは、ロータブレードの把持領域に対して位置合わせされることが可能である。本発明の一実施形態に係り、マークの蛍光性および/または発光性の材料は、たとえば紫外線塗料または赤外線塗料のような紫外線または赤外線活性材料であり、検知器は、マークの蛍光性および/または発光性による可視光の検知のために用いられる。
【0014】
把持領域の位置を示すマークの検知により、続いて上記把持領域に対するパッドの位置合わせが行われることができる。たとえば、パッドならびに把持領域の蛍光性および/または発光性マークのいずれをも示すビデオ画像の確認によってパッドの位置合わせが行われることができる。
【0015】
これは遠隔操作によって実施されることが有利である。たとえば、操作者がリフタを地上の制御盤から調節および制御し、リフタは、数メートルの高さで作動することが可能である。短時間で、かつ、リフタをロータブレードに対して位置合わせするためのさらなる測定や測定器具を必要とすることなく、ロータブレードをリフタで極めて正確に把持することができる。特に、作業者がロータブレードの高さに上る必要はなく、風力タービンのロータハブに設置されているロータブレードが、本発明の態様に係るリフタにより把持されることが可能である。リフタの操作および制御は、危険領域外の安全な地点で実施されることができる。
【0016】
さらに、蛍光性および/または発光性の材料は、昼光下に肉眼で見た際にロータブレードのその他の部分の表面の色と類似のまたは同じ色を有することが可能である。蛍光性および/または発光性の材料、たとえば塗装または粘着ラベルは、蛍光性および/または発光性の、ロータブレードの所望の色に基づく色をもたらす顔料を用いて着色されることが可能である。これによって、通常の状況、すなわち昼光下、風力発電機の通常作動時ではマークは不可視である。
【0017】
本発明の有利な実施形態に係り、リフタはパッドごとに1つの外観検査用の検知器を備える。すなわち、リフタの各パッド用に1つの検知器がある。各検知器は、パッドに割り当てられる把持領域の画像データを記録するように構成されることができる。さらに、検知器およびパッドは同一のアーム上に取り付けられることが可能であり、該アームはさらにパッドを支持する。各検知器につき1つの光源があってもよく、パッドに割り当てられる光源および検知器は、該パッドを支持する同じアームに取り付けられる。有利には、1つのパッドの外観検査用に1つの光源と1つの検知器とがあると、把持領域に対するパッドの位置合わせが極めて正確かつ確実に実施可能である。
【0018】
本発明の別の実施形態に係り、リフタは近接センサを備え、この近接センサは、パッドとロータブレードの表面との間の距離を示す値を記録するよう構成されている。近接センサは、たとえば、超音波近接センサまたはその他の適切な任意の近接センサであり得る。ロータブレードの表面とパッドとの間の距離を示す値は、制御ユニットにより処理されてもよく、さらにこの制御ユニットは、その値が所定の閾値を逸脱すると(特に所定の閾値より低いと)、光源およびセンサを外観検査用に起動するよう構成されてもよい。こうして、制御は制御ユニットにより行われ、制御ユニットは、全工程の間で、把持解除、高加速度または不安定な状態を検知して緊急手順が起動させられることが可能である。リフタは、バッテリで駆動される装置であることが可能である。光源および検知器の遅延起動によってエネルギーが節約されるであろう。また、制御ユニットは、パッドの位置決めおよびロータブレードの把持の後における光源およびカメラの作動停止用にも構成されることが可能である。たとえば、所定の時間、たとえば通常の状況下でロータブレードの把持が完了する典型的な時間である1時間または30分が経過した後に、光源およびカメラは停止されることが可能である。
【0019】
さらに、リフタは、リフタの傾斜および/または加速度を測定するための傾斜センサおよび/または加速度センサを備えることが可能である。これらのセンサは、近接センサと同様に操作されることができる。すなわち、傾斜の値および/または加速度の値が所定の閾値を超えると、センサおよび/または光源の作動および作動停止が行われる。把持および把持解除の速度および傾斜は、完全に既知である特定の角度および速度で行われるため特定可能であり、それゆえに光源および検知器の操作は、傾斜センサおよび/または加速度計により実施されることが可能である。
【0020】
本発明の別の態様に係り、風力タービンのロータブレードのハンドリング方法が提供される。ロータブレードの表面の一領域が可視スペクトル外の波長を有する光によって照明されてもよい。照明される領域は、ロータブレードの把持領域を含む。リフタのパッドと把持領域との間の変位が、外観検査用検知器によって検知されてもよい。特に、把持領域の位置を示すマークとの間の変位が検知されてもよい。リフタは、風力タービンのロータブレードのハンドリングのために構成されており、一対のアームを有する少なくとも1つの把持顎部を備える。各アームは、所定の把持領域内でロータブレードの外面に接触するための少なくとも1つのパッドを支持する。リフタの少なくとも1つのパッドは、把持領域に対して位置決めされている。位置決めは、パッドと把持領域との間の変位に関する情報に基づき行われる。リフタの位置合わせの後、パッドと把持領域との間の接触が確立されてロータブレードが把持される。
【0021】
ロータブレードのハンドリング用のリフタおよび風力タービンのロータブレードに関して既に記載したのと同じまたは類似の長所は、ロータブレードのハンドリング方法にも同じまたは類似の方法で適用されるので、繰り返さない。
【0022】
本発明の有利な実施形態に係り、ロータブレードの表面の少なくとも1つの把持領域は、蛍光性および/または発光性の材料を用いてマーキングされる。特に、蛍光性および/または発光性の材料は、可視スペクトル外の波長を有する光を吸収する。たとえば、紫外線蛍光の塗料または粘着ラベルがロータブレードの表面に付けられてもよい。しかしながら、蛍光性および/または発光性の材料は、紫外線活性材料に限られるものではない。たとえば、赤外線スペクトルの光を吸収する材料が付けられてもよい。さらに、発光スペクトルは可視スペクトルに限定されない。蛍光性および/または発光性の材料は、紫外線または赤外線領域の光を放射してもよい。また、ロータブレードの表面に直接塗布される蛍光性および/または発光性の材料は、長期的に安定した材料である。すなわち、マークは、ロータブレードの表面に長期に亘って残留するように構成され、特に、ロータブレードの寿命全体に亘ってブレードの表面に残る。有利には、長期に渡る作動期間の後にも、ロータブレードのハンドリングのたびに利用可能である。
【0023】
本発明の有利な態様に係り、ロータブレードの表面上への少なくとも1つの所定の把持領域のマーキング方法が提供される。マークは、ロータブレードの表面に長期に亘って耐用性がある不可視の塗料またはラベルを直接ロータブレードの表面に塗布することによって設けられることができる。本発明の有利な実施形態に係り、ロータブレードの把持領域にダミーパッドが配置される。この把持領域のマーキングは、ロータブレードの表面に蛍光性および/または発光性の材料を塗布して把持領域を取り囲むマークを設けることによって実施することが可能である。特に、マークは、把持領域およびダミーパッドの輪郭であってもよい。たとえば、マークは、単に紫外線塗料をダミーパッド上およびその周囲にスプレーすることによって設けられることが可能である。塗料の塗布に関しては、特別な配慮は必要ではない。有利には、塗装は、ロータブレードの通常の作動状態では不可視であり、塗料の塗布は極めて迅速に行われることが可能である。
【0024】
本発明のさらに別の態様に係り、本発明の態様に係るリフタと、本発明の態様に係るロータブレードとを備えるシステムが提供される。
【0025】
本発明の態様に係る方法およびシステムのその他の長所は、既に述べた上記の特徴と類似であるため繰り返さない。
【0026】
本発明のさらなる態様および特徴は、添付の図面を参照して以下に行う本発明の好適な実施形態の説明により明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1aは、本発明の実施形態に係るリフタの概略的な斜視図である。図1bは、本発明の実施形態に係るロータブレードの概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1aには、風力タービンのロータブレードのハンドリング用のリフタ2が示されている。リフタ2は、たとえばクレーンまたはその他の適切な吊上げ装置によってリフタ2を持ち上げるフック6を有する枠部4を備える。さらに、第1および第2の把持顎部81、82がある。第1の把持顎部81は、対向する一対のアーム、すなわち第1のアーム81aと第2のアーム81bとを備える。第2の把持顎部82は、対向する第2の一対のアーム、すなわち第1のアーム82aと第2のアーム82bとを備える。対向するアーム81a、81bおよび82a、82bは、回転可能に枠部4に取り付けられている。これらは、第1および第2の把持顎部81、82をそれぞれ開閉させるために旋回可能である。本実施形態によれば、各アーム81a、81b、82a、82bは、2つのパッド10を支持する。パッド10の数は、ロータブレードの各側部に設けられる把持領域の数に応じて異なることが可能である。
【0029】
また、パッド10間に配置されるとともに、対向するアーム81a、81b、82a、82bのそれぞれに取り付けられる光源12がある。2つのパッド10に対して1つの光源12が、各対向アーム81a、81b、82a、82bにある。しかし、本発明の別の実施形態に係り、光源12が追加的に設けられ、特に各パッド10に対して個別の光源12があることも可能である。さらに、外観検査用の検知器14、たとえばデジタルカメラまたはビデオカメラのようなカメラがある。検知器14は、各アーム81a、81b、82a、82bに取り付けられる。図1aの実施形態に係り、2つのパッド10用に各アーム81a、81b、82a、82bに1つの検知器14がある。しかし、本発明の別の実施形態に係り、各パッド10に個別に外観検査用の検知器14が設けられることも可能である。
【0030】
把持顎部81、82の各アーム81a、81b、82a、82bには、パッド10とロータブレードの表面との間の距離の値を測定するための近接センサ11が設けられることが可能である。一方で近接センサ11に、他方で光源12および検知器14に接続される制御ユニット13が設けられることが可能である。制御ユニット13は、パッド10とロータブレードの表面との間の距離が所定の閾値を下回る場合に、光源12および検知器14を起動するよう構成されることができる。また、制御ユニット13は、リフタ2の操作用に制御パッドに有線または無線データリンクを提供するよう構成可能である。これは、リフタ2の操作者に、検知器14により記録した画像データを提供し、把持顎部81、82の開閉などのリフタ2の操作を可能にするためである。把持顎部81、82の動作は両方向矢印26により示される。しかし、リフタ2の運動の自由度はこれだけではない。リフタ2は、ロータブレードが様々な位置で把持可能であるように、たとえば6自由度を有するよう構成されることも可能である。
【0031】
図1bには本発明の一実施形態に係るロータブレード16が示される。ほんの一例として、ロータブレード16の負圧面18が示されている。ロータブレード16の表面には複数の把持領域20がある。本発明の実施形態に係り、ロータブレード16は、8つの把持領域20、すなわち各面に4つの把持領域20を備える。ロータブレード16の支持フランジ22の付近に2つの把持領域20があり、翼端23の付近に第2の一対の把持領域20がある。当然、ロータブレード16の正圧面(不図示)は、この正圧面に配置される把持領域を備え、これらは負圧面18の把持領域20と特に対称的に配置されている。ロータブレード16が上記把持領域20で把持されることにより持ち上げ可能であるように、ロータブレード16の支持構造が構成される。把持領域20の位置は、ロータブレード16の内部支持構造の設計によって決まる。
【0032】
通常、把持領域20の位置は、ロータブレード長に沿った長さによって定義され、これは翼フランジ22付近の把持領域20に関してはD1、翼端23付近の把持領域20に関してはD2である。さらに、把持領域20の位置は、ブレードの幾何学的中心からの距離により定義され、これは翼16の後縁25付近の把持領域20に関してはE1、ロータブレード16の前縁27付近の把持領域20に関してはE2である。パラメータE1、E2、D1、D2は、一般にロータブレード16のデータシートから既知である。
【0033】
把持領域20の位置の決定は、ロータブレード16の寿命において一度、理想的状態で行われなくてはならない。マークは、把持領域20の位置を示すように、ロータブレード16の負圧面18に直接塗布される。当然、ロータブレード16の反対側の正圧面(不図示)に配置される把持領域20に関しても同様である。
【0034】
本発明の一実施形態に係り、マークはダミーパッドによって設けられる。このダミーパッドは、リフタ2のパッド10と比較すると同一の大きさを有する。ダミーパッドは、把持領域20におけるそれぞれの位置に配置されてもよく、ロータブレード16の表面18に蛍光塗料が塗布されてもよい。把持領域20の位置を示すマーク24が設けられてもよい。図1bの実施形態に係り、マーク24は、描かれたダミーパッドの輪郭である。好適には、マーク24の生成のために紫外線塗料が塗布される。
【0035】
ロータブレード16をリフタ2によってハンドリングするために、矢印26により示されるように、対向アーム81a、81b、82a、82bが開かれる。リフタ2は、たとえばリフタ2の操作者の大まかな予測によって、おおよそ把持領域20に合せて配置される。光源12および検知器14は、リフタ2がロータブレード16の表面18に接近すると起動されてもよい。特に、これはリフタ2に取り付けられている近接センサ11によって、自動的に行われてもよい。ダミーパッドの蛍光の輪郭であるマーク24は、伝送された映像により見ることができる。リフタ2および把持顎部81、82、そしてとりわけパッド10は、マーク24および把持領域20に対して位置合わせされてもよい。パッド10とロータブレード16の把持領域20との間の接触は、位置合わせが成功した後に行われる。これは、センサ14により記録される画像データに基づく外観検査または映像制御が常時行われている下で、実行されてもよい。ロータブレード16が風力発電機に取り付けられている場合でも、リフタ2は、ロータブレード16に短時間で固定されることが可能である。
【0036】
以上において、特定の実施形態を参照して本発明が説明されたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、当業者であれば本発明の範囲においてさらなる変形も可能である。
図1