(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記指定手段による、前記第1の代表X線画像及び前記第2の代表X線画像の少なくとも一方における指定の後、該第1の代表X線画像及び該第2の代表X線画像のそれぞれの撮像時の撮像パラメータが同一であるか否かを判定する判定手段を更に備え、
前記判定手段の判定の結果、前記撮像パラメータが同一である場合、前記指定手段は、一方のX線画像上で指定した観察注目部位の位置に対応する他方のX線画像上の位置を、他方のX線画像上の観察注目部位の位置として指定し、
前記判定手段の判定の結果、前記撮像パラメータが異なる場合、前記指定手段は、前記他方のX線画像上の観察注目部位の位置を更にユーザ入力に基づいて指定する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
前記表示制御手段は、再生指示に応じて、指定された再生レートで、前記表示装置における前記第1の代表断面画像、前記第2の代表断面画像、前記第1の代表X線画像及び前記第2の代表X線画像による前記対比表示を同期させて表示する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、必要に応じて添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0018】
1.画像診断装置の外観構成
図1は、画像診断装置(一例として、OCTの機能を備える画像診断装置)100の外観構成を示す図である。
【0019】
図1に示すように、画像診断装置100は、プローブ部101と、スキャナ及びプルバック部102と、操作制御装置103とを備える。スキャナ及びプルバック部102と操作制御装置103とは、信号線104により各種信号が伝送可能に接続されている。
【0020】
カテーテルの構成要素であるプローブ部101は、イメージングコア220(
図2)が内挿されている。このイメージングコア220は、直接血管内に挿入され、伝送された光(測定光)を連続的に血管内に送信するとともに血管内からの反射光を連続的に受信する光送受信部と、を備える。画像診断装置100では、このイメージングコア220を用いることで、患者の血管内部の状態を測定することができる。
【0021】
スキャナ及びプルバック部102は、プローブ部101が着脱可能に取り付けられ、内蔵されたモータを駆動させることでプローブ部101に内挿されたイメージングコア220の血管内の軸方向の動作及び回転方向の動作を規定している。また、スキャナ及びプルバック部102は、光送受信部において受信された反射光を取得し、操作制御装置103に対して送信する。
【0022】
操作制御装置103は、測定を行うにあたり、各種設定値を入力するための機能や、測定により得られたデータを処理し、血管内の断面画像(横断方向断面画像及び軸方向断面画像)を表示するための機能を備える。ここで、横断方向断面画像とは、血管の走行方向(血管の中心軸)に対して垂直な面で血管を切った場合の断面画像であり、軸方向断面画像とは、血管の走行方向(血管の中心軸)に対して平行な面で血管を切った場合の断面画像である。
【0023】
操作制御装置103において、本体制御部111は、測定により得られた反射光と光源からの光を分離することで得られた参照光とを干渉させることで干渉光データを生成するとともに、その干渉光データに基づいて生成されたラインデータを処理することで、光断面画像を生成する。
【0024】
プリンタ及びDVDレコーダ111−1は、本体制御部111における処理結果を印刷したり、データとして記憶したりする。操作パネル112は、ユーザからの各種設定値及び指示の入力を行う。表示装置113は、例えば、LCDモニタで実現され、本体制御部111において生成された断面画像を表示する。
【0025】
尚、本体制御部111には、X線撮像装置(
図3)で撮像された患者のX線画像(例えば、Angio画像)を入力する入力部(不図示)を備える。そして、画像診断装置100では、このX線画像を利用して、カテーテルの走行情報(2次元、または3次元位置情報)及び血管の走行情報(2次元、または3次元位置情報)を取得することができる。
【0026】
2.プローブ部の全体構成及び先端部の断面構成
次に、プローブ部101の全体構成及び先端部の断面構成について
図2を用いて説明する。
【0027】
図2に示すように、プローブ部101は、血管内に挿入される長尺のカテーテルシース201と、ユーザが操作するために血管内に挿入されることなく、ユーザの手元側に配置されるコネクタ部202とにより構成される。カテーテルシース201の先端には、ガイドワイヤルーメンを構成するガイドワイヤルーメン用チューブ203が設けられている。カテーテルシース201は、ガイドワイヤルーメン用チューブ203との接続部分からコネクタ部202との接続部分にかけて連続する管腔を形成している。
【0028】
カテーテルシース201の管腔内部には、光を送受信する光送受信部が配置された送受信部221と、光ファイバケーブルを内部に備える。また、カテーテルシース201の管腔内部には、光ファイバケーブルを回転させるための回転駆動力を伝達するコイル状の駆動シャフト222を備えるイメージングコア220が、カテーテルシース201のほぼ全長にわたって挿通されている。
【0029】
コネクタ部202は、カテーテルシース201の基端に一体化して構成されたシースコネクタ202aと、駆動シャフト222の基端に駆動シャフト222を回動可能に固定して構成された駆動シャフトコネクタ202bとを備える。
【0030】
シースコネクタ202aとカテーテルシース201との境界部には、耐キンクプロテクタ211が設けられている。これにより所定の剛性が保たれ、急激な物性の変化による折れ曲がり(キンク)を防止することができる。駆動シャフトコネクタ202bの基端は、スキャナ及びプルバック部102に着脱可能に取り付けられる。
【0031】
次に、プローブ部101の先端部の断面構成について説明する。カテーテルシース201の管腔内部には、送受信部221が配置されたハウジング223と駆動シャフト222とを備えるイメージングコア220がほぼ全長にわたって挿通されており、プローブ部101を形成している。
【0032】
駆動シャフト222は、カテーテルシース201に対して送受信部221を回転動作及び軸方向動作させることが可能であり、柔軟で、かつ回転をよく伝送できる特性を有する、例えば、ステンレス等の金属線からなる多重多層密着コイルにより構成されている。そして、その内部には光ファイバケーブル(シングルモードの光ファイバケーブル)が配置されている。
【0033】
ハウジング223は、短い円筒状の金属パイプの一部に切り欠き部を有した形状をしており、金属塊からの削り出しやMIM(金属粉末射出成形)等により成形される。また、先端側には短いコイル状の弾性部材231が設けられている。
【0034】
弾性部材231は、ステンレス鋼線材をコイル状に形成したものであり、弾性部材231が先端側に配置されることで、イメージングコア220を前後移動させる際にカテーテルシース201内での引っかかりを防止する。補強コイル232は、カテーテルシース201の先端部分の急激な折れ曲がりを防止する目的で設けられている。
【0035】
ガイドワイヤルーメン用チューブ203は、ガイドワイヤが挿入可能なガイドワイヤ用ルーメンを有する。ガイドワイヤルーメン用チューブ203は、予め血管内に挿入されたガイドワイヤを受け入れ、ガイドワイヤによってカテーテルシース201を患部まで導くのに使用される。
【0036】
3.画像診断装置の機能構成
次に、画像診断装置100の機能構成について説明する。
図3は、OCT(ここでは、一例として、SS−OCT)の機能(波長掃引利用の光画像診断装置)を備える画像診断装置100の機能構成を示す図である。尚、IVUSの機能と他のOCTの機能とを組み合わせた画像診断装置についても、同様の機能構成を有するため、ここでは説明を省略する。
【0037】
図中、428は画像診断装置100の全体の制御を司る信号処理部であり、マイクロプロセッサをはじめ、いくつかの回路で構成される。210はハードディスクに代表される不揮発性の記憶装置であり、信号処理部428が実行する各種プログラムやデータファイルを格納している。430は信号処理部428内に設けられたメモリ(RAM)である。408は波長掃引光源であり、時間軸に沿って、予め設定された範囲内で変化する波長の光を繰り返し発生する光源である。
【0038】
また、信号処理部428は、生成した複数の光断面画像と、別途、X線撮像装置470から入力されるX線画像(例えば、Angio画像)とを利用して、血管の3次元画像を生成することができる。更に、信号処理部428は、その3次元画像の指定された注目位置での光断面画像を生成して、表示装置113に出力することができる。
【0039】
また、信号処理部428における各種処理、ならびに、画像診断装置100に対する各種操作を行うためのユーザインタフェースに関する画像処理は、信号処理部428において所定のプログラムがコンピュータによって実行されることで実現される。
【0040】
波長掃引光源408から出力された光は、第1のシングルモードファイバ271の一端に入射され、先端側に向けて伝送される。第1のシングルモードファイバ271は、途中の光ファイバカップラ272において第4のシングルモードファイバ275と光学的に結合されている。
【0041】
第1のシングルモードファイバ271における光ファイバカップラ272より先端側から発した光は、コネクタ105を介して、第2のシングルモードファイバ273に導かれる。この第2のシングルモードファイバ273の他端は、スキャナ及びプルバック部102内の光ロータリージョイント230に接続されている。
【0042】
一方、プローブ部101は、スキャナ及びプルバック部102と接続するためのアダプタ101aを有する。そして、このアダプタ101aによりプローブ部101を、スキャナ及びプルバック部102に接続することで、プローブ部101が安定して、スキャナ及びプルバック部102に保持される。さらに、プローブ部101内に回転自在に収容された第3のシングルモードファイバ274の端部が、光ロータリージョイト230に接続される。この結果、第2シングルモードファイバ273と第3シングルモードファイバ274が光学的に結合される。第3のシングルモードファイバ274の他方端(プローブ部101の先頭部分側)には、光を回転軸に対してほぼ直行する方向に出射するミラーとレンズを搭載したイメージングコア220が設けられている。
【0043】
上記の結果、波長掃引光源408が発した光は、第1シングルモードファイバ271、第2シングルモードファイバ273、第3のシングルモードファイバ274を介して、第3のシングルモードファイバ274の端部に設けられたイメージングコア220に導かれる。イメージコア220は、この光を、ファイバの軸に直行する方向に出射するとともに、その反射光を受信し、その受信した反射光が今度は逆に導かれ、操作制御装置103に返される。
【0044】
一方、光ファイバカップラ272に結合された第4のシングルモードファイバ275の反対の端部には、参照光の光路長を微調整する光路長調整機構250が設けられている。この光路長可変機構250は、プローブ部101を交換した場合など、個々のプローブ部101の長さのばらつきを吸収できるよう、その長さのばらつきに相当する光路長を変化させる光路長変更部として機能する。そのため、第4のシングルモードファイバ275に端部に位置するコリメートレンズ255が、その光軸方向である矢印256で示すように移動自在な1軸ステージ254上に設けられている。
【0045】
具体的には、1軸ステージ254はプローブ部101を交換した場合に、プローブ部101の光路長のばらつきを吸収できるだけの光路長の可変範囲を有する光路長変更部として機能する。さらに、1軸ステージ254はオフセットを調整する調整部としての機能も備えている。例えば、プローブ部101の先端が生体組織の表面に密着していない場合でも、1軸ステージにより光路長を微小変化させることにより、生体組織の表面位置からの反射光と干渉させる状態に設定することが可能である。
【0046】
1軸ステージ254で光路長が微調整され、グレーティング251、レンズ252を介してミラー253にて反射された光は再び第4のシングルモードファイバ275に導かれ、光ファイバカップラ272にて、第1のシングルモードファイバ271側から得られた光と混合されて、干渉光としてフォトダイオード204にて受光される。
【0047】
このようにして、フォトダイオード204にて受光された干渉光は光電変換され、アンプ205により増幅された後、復調器206に入力される。この復調器206では干渉した光の信号部分のみを抽出する復調処理を行い、その出力は干渉光信号としてA/D変換器207に入力される。
【0048】
A/D変換器207では、干渉光信号を例えば180MHzで2048ポイント分サンプリングして、1ラインのデジタルデータ(干渉光データ)を生成する。なお、サンプリング周波数を90MHzとしたのは、波長掃引の繰り返し周波数を80kHzにした場合に、波長掃引の周期(12.5μsec)の90%程度を2048点のデジタルデータとして抽出することを前提としたものであり、特にこれに限定されるものではない。
【0049】
A/D変換器207にて生成されたライン単位の干渉光データは、信号処理部428に入力され、一旦、メモリ430に格納される。そして、信号処理部428では干渉光データをFFT(高速フーリエ変換)により周波数分解して深さ方向のデータ(ラインデータ)を生成し、これを座標変換することにより、血管内の各位置での光断面画像を構築し、所定のフレームレートで表示装置113に出力する。
【0050】
信号処理部428は、更に、光路長調整用駆動部209、通信部208と接続されている。信号処理部428は、光路長調整用駆動部209を介して1軸ステージ254の位置の制御(光路長制御)を行う。
【0051】
尚、信号処理部428は、モータ制御回路429と接続され、モータ制御回路429のビデオ同期信号を受信する。信号処理部428では、受信したビデオ同期信号に同期して断面画像の生成を行う。また、このモータ制御回路429のビデオ同期信号は、回転駆動装置240にも送信され、回転駆動装置240はビデオ同期信号に同期した駆動信号を出力する。
【0052】
通信部208は、いくつかの駆動回路を内蔵するとともに、信号処理部428の制御下にて、スキャナ及びプルバック部102と通信する。具体的には、スキャナ及びプルバック部102内の光ロータリージョイントによる第3のシングルモードファイバの回転を行うためのラジアル走査モータへの駆動信号の供給、ラジアルモータの回転位置を検出するためのエンコーダ部242からの信号受信、並びに、第3のシングルモードファイバ274の所定速度で引っ張るための直線駆動部243への駆動信号の供給である。
【0053】
尚、信号処理部428における上記処理も、所定のプログラムがコンピュータによって実行されることで実現されるものとする。
【0054】
上記構成において、プローブ部101を患者の診断対象の血管位置(冠状動脈など)に位置させると、ユーザの操作によるプローブ先端から透明なフラッシュ液(通常は生理食塩水や造影剤)を血管内に放出させる。血液の影響を除外するためである。そして、ユーザがスキャン開始の指示入力を行うと、信号処理部428は、波長掃引光源408を駆動し、ラジアル走査モータ241並びに直線駆動部243を駆動させる(以降、ラジアル走査モータ241と直線駆動部243の駆動による光の照射と受光処理をスキャニングと呼ぶ)。この結果、波長掃引光源408から波長掃引光が、上記のような経路でイメージングコア220に供給される。このとき、プローブ部101の先端位置にあるイメージングコア220は回転しながら、回転軸に沿って移動することになるので、イメージングコア220は、回転しながら、なおかつ、血管軸に沿って移動しながら、血管内腔面への光の出射とその反射光の受信を行うことになる。
【0055】
4.信号処理部の機能構成
次に、画像診断装置100の信号処理部428において、診断用の血管断面画像を対比表示するための表示制御処理の機能構成について、
図4を用いて説明する。
【0056】
特に、本実施形態では、治療前後で比較する血管断面画像の領域は、それに対応するX線画像上で指示することが医師にとって非常に簡単で最良の入力方法と考える。そこで、本実施形態では、X線画像上から、対比表示する断面画像の同期位置を入力して、同一条件(同一位置)下での断面画像表示を可能にする表示制御処理を実行する。
【0057】
尚、以下に説明する処理は、専用のハードウェアを用いて実現してもよいし、各部の機能をソフトウェアにより(コンピュータがプログラムを実行することにより)実現してもよい。
【0058】
以下の説明では、説明を簡単にするために、画像診断装置100の信号処理部428として、波長掃引型OCTの機能のみを利用して断面画像を生成する場合について説明する。但し、IVUSの機能と他のOCTの機能とを組み合わせた画像診断装置の信号処理部についても、本発明を同様に適用できることは言うまでもない。
【0059】
信号処理部428では、信号処理部428の各種処理の制御を実行する制御部605を備える。制御部605には、断面画像処理部601、X線画像解析処理部602、表示フレーム数決定処理部603、表示制御部604、X線画像処理部606、及びユーザインタフェース装置215が接続され、それぞれの動作を制御する。
【0060】
A/D変換器207で生成された干渉光データは、断面画像処理部601のラインメモリ部601aにおいて、モータ制御回路429から出力されるラジアル走査モータ241のエンコーダ部242の信号を用いてラジアル走査モータ241の1回転あたりのライン数が所定数(例えば、512本)となるように処理される。
【0061】
断面画像処理部601では、干渉光データに対してライン加算平均処理、フィルタ処理、対数変換処理等を施し、生体組織の深さ方向の干渉光強度データであるラインデータをラインメモリ部601a上に生成する。更に、断面画像処理部601では、その生成したラインデータに対してコントラスト調整、輝度調整、ガンマ補正、フレーム相関、シャープネス処理等を行い、極座標のラインデータ列をRθ変換することで断面画像データを生成する。尚、本実施形態では、一例として、512ラインから血管断面画像を生成することとしているが、このライン数に限定されるものではない。
【0062】
X線画像処理部606は、X線撮像装置470から入力されるX線画像データから垂直同期信号を取り出し、ラジアル走査モータ241の回転周期信号と同期してX線画像データの取り込み制御を実行する。また、X線画像処理部606は、取り込んだX線画像データをラインメモリ部601aへ記憶する。尚、X線画像データは、複数の角度から撮像したX線画像データ(患者の正面画像及び側面画像)を取り込み、これらから3次元のX線画像データを構築しても良い。更には、動画のX線画像データであっても良い。
【0063】
X線画像解析処理部602では、ラインメモリ部601aに記憶されているX線画像データから、カテーテルのプローブ部101の走行位置を検出する。また、X線画像解析処理部602では、ユーザインタフェース装置215上で表示されたX線画像において、表示位置指定部611で指定された位置(観察注目部位)の最も近い位置にプローブ部101が存在する血管断面画像のフレーム数を算出し、かつ、算出された血管断面画像と同期するX画像データのフレーム数も同時に算出する。ここで、プローブ部101が存在するX線画像データの検出は、プローブ部101のX線不透過マーカを利用する。X線不透過マーカには、駆動シャフト222の先端部分等のプローブ部101の位置が特定できる部分を利用できる。
【0064】
尚、治療前後における取得したX線画像のアーム角度が同一である場合、位置(観察注目部位)の指定は、治療前後どちらか一方のX線画像に対してのみ実施し、対応する他方の血管断面画像ならびにX線画像のフレーム数はすでに指定された観察注目部位の情報から算出される。また、治療前後における取得したX線画像のアーム角度が異なる場合は、治療前後のX線画像に対してそれぞれ観察注目部位の指示を受け付ける。
【0065】
尚、上記「アーム角度」とは、X線撮像装置によるX線の入射角度をいう。一般に、X線撮像装置のいわゆるCアームについて、回動軸の方向及び回動の向きに関し、Cアームを被検体の体軸のまわりに、被検体の頭側から見て左回りに回動させることを「LAO」(left anterior oblique;左前傾位)と称し、逆に右回りに回動させることを「RAO」(right anterior oblique;右前傾位)と称する。また、Cアームを被検体の体軸に垂直な軸のまわりに、被検体の頭側へ回動させることを「Cranial」(頭尾方向)と称し、逆に足側へ回動させることを「Caudial」(尾頭方向)と称し、上記アーム角度は、これらによって規定される。RAOとLAO、”CranialとCaudal”のそれぞれどちらかが選択されれば、例えば、「RAO 30°+caudal 20°」という形でアーム角度を規定することができる。
【0066】
また、アーム角度が同一かどうかの判断については、例えば以下のように行う。X線撮像装置によっては、アーム角度はAngio画面上に数値表示されている。この場合、アーム角度の記載がある画面上の位置を検出(又は事前に範囲指定)しておき、方向を示す文字列と角度の数字を画像処理(例えばパターンマッチング)で認識させ、その文字列と数字の組み合わせが同じ場合は治療前後で同じ角度と認識し、数字が異なる場合は違う角度として認識するなどで同一かどうかの判断が可能となる。
【0067】
また、本実施形態では、治療前後の断面画像を比較表示するために、治療前後それぞれで取得した断面画像データを、適宜、画像記憶部602aに記憶する。
【0068】
表示フレーム数決定処理部603では、治療前後のX線画像データにおいて算出したX線画像データのフレーム数に対応する断面画像データのフレーム数を算出する。これは、X線画像データにおけるフレーム数と断面画像データのフレーム数とを算出することで、表示フレーム数決定処理部603にて、X線撮像装置470と画像診断装置100との間のサンプリングレートの違いを吸収するためである。そのため、表示フレーム数決定処理部603は、必要に応じて、X線撮像装置470と画像診断装置100との間でフレーム数が同一となるように、X線画像データと断面画像データの少なくとも一方について、隣接するフレームを利用して補間フレームを生成する処理を実行する。
【0069】
表示制御部604は、少なくとも2つの断面画像(例えば、治療前後の断面画像)をユーザインタフェース装置215の断面画像表示部610に表示する。また、その2つの断面画像に対応するX線画像を、X線画像表示部607に表示する。このように、表示制御部604は、治療前後の断面画像データと、それに対応する治療前後のX線画像データとを同一画面内で対比可能に表示することができる。
【0070】
尚、上記説明では、断面画像処理部601が、ラインデータを生成して直接処理するものとしているが、本発明はこれに限定されない。例えば、断面画像処理部601が生成するラインデータを、別途、記憶部(不図示)に所定の患者属性情報や測定条件情報と関連付けてファイル形式で格納されるように構成してもよい。この場合、断面画像処理部601は、ユーザからの指示に基づいて、当該記憶部よりラインデータを読み出すことで、上記処理を行うこととなる。また、この記憶部は、制御部605内に設けられていてもよいし、信号処理部428外に設けられていてもよい(例えば、DVDレコーダ111−1が記憶部として機能してもよい)。あるいは、断面画像処理部601のラインメモリ部601aが記憶部として機能してもよい。
【0071】
ユーザインタフェース装置215には、表示位置指定部611が設けられており、断面画像表示部610に、診断対象として表示させる断面画像の位置をX線画像表示部607で表示されるX線画像を用いて指定することができる。表示位置指定部611により指定された位置に関する情報は、制御部605に入力され、X線画像解析処理部602に送信される。表示制御部604では、表示位置指定部611により指定された位置に対応する断面画像データを画像記憶部602aから読み出す。
【0072】
表示制御部604では、指定された位置の断面画像データを画像記憶部602aより読み出し、ユーザインタフェース装置215の断面画像表示部610に表示する。
【0073】
5.ユーザインタフェース
次に、表示装置113に表示されるユーザインタフェースについて説明する。
図5は表示装置113に表示されるユーザインタフェース500の一例を示す図である。このユーザインタフェース500は、
図5のユーザインタフェース装置215によって実現される。
【0074】
図5に示すように、ユーザインタフェース500は、信号処理部428において生成された断面画像(横断方向断面)を表示する断面画像表示領域510と、X線画像を表示するX線画像表示領域520とを備える。また、ユーザインタフェース500は、断面画像表示領域510及びX線画像表示領域520にそれぞれ表示された断面画像及びX線画像に対して、各種操作を行う操作領域530とを備える。
【0075】
断面画像表示領域510は、2種類の診断対象画像として、例えば、治療前画像(第1の断面画像)を表示する治療前断面画像表示領域511と治療後画像(第2の断面画像)を表示する治療後断面画像表示領域512とを表示する。
【0076】
尚、断面画像表示領域510に表示する断面画像は、例えば、
図1に記載の画像診断装置100の場合、OCT機能を用いて生成されたOCT断面画像(光断面画像)に基づいて生成されたものを使用する。
【0077】
また、断面画像表示領域510は、横断方向断面画像を表示する構成としているが、これに加えて、複数のOCT断面画像に基づいて生成された軸方向断面画像を断面画像表示領域510内に表示するようにしても良い。
【0078】
X線画像表示領域520は、2種類の診断対象画像として、例えば、X線撮像装置470で撮像された治療前X線画像(第1のX線画像)を表示する治療前X線画像表示領域521と治療後X線画像(第2のX線画像)を表示する治療後X線画像領域522とを表示する。X線画像表示領域520では、指示マーカ523によって、治療前X線画像表示領域521及び治療後X線画像領域522の少なくともに一方において表示されるX線画像上の任意の位置を指定することができる。この指示マーカ523によって、治療前断面画像表示領域511及び治療後断面画像表示領域512にはそれぞれ、指示マーカ523で指定された位置に対応する治療前断面画像及び治療後断面画像が表示される。
【0079】
尚、指示マーカ523による位置の指定は、治療前X線画像表示領域521あるいは治療後X線画像領域522の一方の領域内での位置の指定に応じて、他方の領域内の対応する位置を自動的に検出して指定するようにしても良い。あるいは、治療前X線画像表示領域521及び治療後X線画像領域522それぞれの領域において、ユーザが同一の位置と判断する位置を個別に指定するようにしても良い。
【0080】
また、本実施形態では、X線画像上で指定された位置に対応する断面画像を読み出し、表示する構成としているが、これに限定されない。例えば、生成した複数の断面画像と、別途、X線撮像装置470から入力されるX線画像(例えば、Angio画像)とを利用して、血管の3次元画像を生成するようにしても良い。その場合、指示マーカ523は、初期状態では、その先端を通る線分が表示されているX線画像に対して水平に定義し、その水平の線分によって3次元画像から切り出される治療前断面画像及び治療後断面画像を表示する構成としても良い。換言すれば、3次元画像の指定された位置から垂直(90度)に断面画像を切り出し表示する。更には。例えば、指示マーカ523の向きを360度回転可能にして、その向きに応じて決定される角度によって3次元画像から切り出される治療前断面画像及び治療後断面画像を表示しても良い。
【0081】
操作領域530は、X線画像表示領域520内のX線画像を操作するためのX線画像操作領域550を備える。また、操作領域530は、断面画像表示領域510内において、各断面画像を連続表示(再生)するための画像再生操作領域560とを備える。
【0082】
X線画像操作領域550には、X線画像表示領域520内に指示マーカ523を表示させるための位置指定ボタン551が配置されている。位置指定ボタン551が押下されることで、X線画像表示領域520には、指示マーカ523が表示される。そして、ユーザは、操作パネル112上のマウスやトラックボール等の操作デバイスを用いて、指示マーカ523を治療前X線画像表示領域521及び治療後X線画像表示領域522の少なくとも一方の任意の位置に移動させる。これにより、断面画像表示領域510の治療前断面画像表示領域511と治療後断面画像表示領域512それぞれに、指示マーカ523が指示する位置に対応する治療前断面画像と治療後断面画像を表示させることが可能となる。
【0083】
画像再生操作領域560には、巻き戻しボタン561と、停止ボタン562と、再生ボタン563とが配置されている。巻き戻しボタン561が押下されると、断面画像表示領域510に表示されている横断方向断面画像が、順次、生成順序の古い断面画像に切り替わる。つまり、血管内の軸方向と反対方向に進んだ場合の断面画像が連続的に表示される。尚、断面画像表示領域510に軸方向断面画像を合わせて表示している場合にあっては、横断方向断面画像の表示切替と同期して、ユーザインタフェース500の左方向に、指示マーカ523に対応する位置に、その位置を示す指示線が移動する。
【0084】
再生ボタン563が押下される(再生指示が入力される)と、断面画像表示領域510に表示されている断面画像が、指定された再生レートで、順次、生成順序の新しい断面画像に切り替わる。つまり、軸方向に進んだ場合の断面画像が連続的に表示される。尚、断面画像表示領域510に軸方向断面画像を合わせて表示している場合にあっては、横断方向断面画像の表示切替と同期して、ユーザインタフェース500の右方向に、指示マーカ523に対応する位置に、その位置を示す指示線が移動する。
【0085】
停止ボタン562が押下されると、押下されたタイミングで、断面画像の切り替わりが停止する。
【0086】
6.表示制御処理
次に、信号処理部428における表示制御処理の詳細について説明する。この処理は、少なくとも2つの比較対象の診断用画像(断面画像及びそれに対応するX線画像)を対比表示する場合に、その診断開始位置を同一とするために、2つの比較対象の断面画像に対応する2つのX線画像の少なくとも一方を利用して、比較対象の断面画像の位置合わせを実行する。
【0087】
以下、画像診断装置100における表示制御処理の処理フローについて、
図6A及び
図6Bを用いて説明する。
【0088】
図6A及び
図6Bは画像診断装置100の信号処理部428における表示制御処理の詳細を示すフローチャートである。この処理は、例えば、画像診断装置100による診断中に平行して実行しても良い。あるいは、ユーザインタフェース装置215から任意のタイミングで入力される実行指示に応じて実行しても良い。この場合、ラインメモリ部601aには、処理対象となる、少なくとも二回の診断分の血管断面画像群及び対応するX線画像が少なくとも診断別に記憶されていることは言うまでもない。
【0089】
ステップS701aで、治療前または治療直後に、X線撮像装置470を画像診断装置100に接続した状態で、X線画像処理部606は、患者の診断対象部位のX線画像をX線撮像装置470で取得する。ステップS701bで、断面画像処理部601は、血管断面画像を生成する。ステップS701cで、取得した血管断面画像とともに取得したX線画像を対応付けて、これを診断情報としてラインメモリ部601aに保存する。
【0090】
同様の手順として、ステップS702aで、治療直後または後日に、X線撮像装置470を画像診断装置100に接続した状態で、X線画像処理部606は、患者の診断対象部位のX線画像をX線撮像装置470で取得する。ステップS702bで、断面画像処理部601は、血管断面画像を生成する。ステップS702cで、1回の診断操作において、順次取得した一連の血管断面画像とともに取得した一連のX線画像を対応付けて、これを診断情報として記憶媒体(ラインメモリ部601a)に保存する。
【0091】
このステップS701a〜701cと、ステップS702a〜702cの処理を実行することで、比較対象の2つの断面画像がラインメモリ部601aに保存される。
【0092】
尚、X線撮像装置470及び画像診断装置100それぞれで処理する画像のフレームレートは同期していて、かつ一致させることができる。但し、一般的には、画像診断装置100のサンプリングレートは、X線撮像装置470のサンプリングレートよりも高い。また、X線撮像装置470では、カテーテルの走行状態と血管の走行状態を把握できる程度のサンプリングレートで構わないので、両者のサンプリングレートが必ずしも一致しているわけではない。そのため、必要に応じて、画像診断装置100のサンプリングレートを、X線撮像装置470のサンプリングレートに合うようにダウンサンプリングしても良い。
【0093】
ステップS703で、信号処理部428は、ユーザインタフェース装置215からの指示に基づいて、比較対象の診断情報である断面画像を選択する。この選択は、表示装置113に表示される画像選択画面を介して選択する。尚、画像選択画面は、例えば、時系列、かつ診断別に並べられた、各診断における診断情報に含まれる代表断面画像とそれに対応する代表X線画像の一覧で構成される。ユーザは、操作パネル112を介して、画像選択画面の一覧から比較対象の断面画像を少なくとも2つ選択することができる。また、その選択された断面画像それぞれに対応するX線画像も併せて選択される。もちろん、断面画像の代わりに対応するX線画像を選択して、比較対象の断面画像を確定するようにしても良い。
【0094】
ステップS704で、表示制御部604は、選択された比較対象の断面画像(例えば、治療前断面画像と治療後断面画像それぞれの代表断面画像)と、それぞれに対応するX線画像(代表X線画像)とを並べて表示装置113に表示する(
図5)。この代表断面画像と代表X線画像は、1回の診断において、入力する一連の断面画像と一連のX線画像に属する任意のフレームで良いが、初期状態では、例えば、一連の断面画像と一連のX線画像のそれぞれの先頭のフレームを、代表断面画像と代表X線画像とする。
【0095】
ステップS705で、表示位置指定部611は、指示マーカ523(
図5)の操作(ユーザ入力)に基づいて、表示装置113に表示されている2つのX線画像の内、少なくとも一方のX線画像における観察注目部位を指定する。
【0096】
ステップS706で、X線画像解析処理部602は、表示装置113に表示されている2つのX線画像の撮像時の撮像パラメータが同一であるか否かを判定する。ここで、この撮像パラメータとは、例えば、X線画像のアーム角度、撮像方向等の撮像条件である。2つのX線画像の撮像条件が同一であるか否かを判定することで、2つのX線画像それぞれについて、観察注目部位を指定すべきか否かを判定する。撮像パラメータが同一である場合には、2つのX線画像が同一の撮像条件下でのX線画像であると見なして、一方のX線画像で観察注目部位の位置を指定したら、その位置に対応する他方のX線画像上の位置を、他方の観察注目部位の位置として自動的に指定する。
【0097】
判定の結果、X線画像の撮像パラメータが同一である場合(ステップS706でYES)、ステップS708に進む。一方、X線画像の撮像パラメータが同一でない場合(ステップS706でNO)、ステップS707で、表示位置指定部611は、指示マーカ523(
図5)に操作に基づいて、表示装置113に表示されている2つのX線画像の内、他方のX線画像における観察注目部位を指定する。尚、この指定の際には、X線画像の撮像パラメータが同一でないことを示すメッセージ画面(不図示)を表示して、他方のX線画像における観察注目部位の指定を促すことができる。
【0098】
ステップS708で、X線画像解析処理部602は、治療前後のX線画像それぞれについて、指定された観察注目部位に対応するフレームから最近傍のプローブのX線不透過マーカが存在するフレームまでのフレーム数を検出する。このプローブのX線不透過マーカ(ランドマーク)が存在するフレームを検出することで、血管内の指定位置(同一位置)での治療前後の断面画像とX線画像のフレームを検出して表示することが可能となる。
【0099】
ステップS709で、表示フレーム数決定処理部603は、治療前後のX線画像それぞれにおいて検出したX線画像データのフレーム数に対応する断面画像データのフレーム数を算出する。
【0100】
ステップS710で、表示制御部604は、治療前後のX線画像と断面画像の表示フレームを、それぞれの画像において検出したあるいは算出したフレーム数に位置するフレームを検出して、更新し、表示装置113に再表示する。
【0101】
ステップS711で、再生ボタン563が押下された場合には、表示制御部604は、現在表示されている治療前後のX線画像と断面画像とを同期させて表示する同期表示処理を実行する。
【0102】
尚、上述のように、信号処理部428では、X線画像から検出されるカテーテルの走行軌跡画像に対して、走行軌跡上の各位置に対応する断面画像を、その重心を中心として配置した3次元画像を構築することができる。つまり、信号処理部428では、走行軌跡に沿って断面画像データを配置することで、血管の走行状態を再現した3次元画像を生成することができる。そして、このような3次元画像を構築した場合には、信号処理部428は、2つの治療前後の3次元画像データ(第1の3次元画像と第2の3次元画像)に対して、指定されたランドマーク(第1のランドマークと第2のランドマーク)から等間隔に、血管位置情報が示す血管走行に対して垂直になる位置のデータをリサンプリングした上で、2つの2次元画像データ(第1の再構築断面画像と第2の再構築断面画像)をそれぞれ再構築することができる。
【0103】
そして、表示制御部604は、再構築された2つの2次元画像データ(第1の再構築断面画像と第2の再構築断面画像)を、表示位置指定部611で指定される位置に応じて、表示装置113に並列表示することができる。また、
図5では、2つの異なる断面画像を対比可能に並列表示にしているが、3つ以上の断面画像についても同様の表示制御を行っても良い。また、指示マーカ523の向きで角度指定された場合には、その指定された角度に応じて、信号処理部428は、再構築断面画像を生成することができる。また、再生ボタン563が押下された場合には、信号処理部428は、指定された再生レートで、3次元画像から、現在指定されている位置での指定されている角度で断面画像を順次切り出し、表示装置113に表示することができる。
【0104】
以上説明したように、本実施形態によれば、簡単な操作で、比較対象の断面画像を同一条件下で対比表示することができる。
【0105】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。