特許第6100912号(P6100912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100912
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 15/00 20060101AFI20170313BHJP
   F04B 49/02 20060101ALI20170313BHJP
   F04B 49/10 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   F04D15/00 D
   F04D15/00 A
   F04D15/00 J
   F04B49/02 311
   F04B49/10 311
【請求項の数】10
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-543654(P2015-543654)
(86)(22)【出願日】2013年10月24日
(86)【国際出願番号】JP2013078858
(87)【国際公開番号】WO2015059800
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2015年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】富田 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】田島 清巳
(72)【発明者】
【氏名】佐野 正浩
【審査官】 田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−112362(JP,A)
【文献】 特開平10−299666(JP,A)
【文献】 特開2004−069138(JP,A)
【文献】 特開2006−307720(JP,A)
【文献】 特開平11−006481(JP,A)
【文献】 特開2009−144950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 15/00
F04B 49/02
F04B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポンプと、
前記複数のポンプをそれぞれ回転駆動する複数の電動機と、
前記複数の電動機の回転数をそれぞれ変化させる複数のインバータと、
前記複数のポンプの吐き出し側に共通に設けられた圧力検出手段と、
前記複数のインバータの運転/停止を制御する制御装置と、
を有する給水装置において、
前記複数のインバータは、
前記複数の電動機のそれぞれの電機子の外周を構成するハウジングの一部に取り付けられており、該インバータ内に設けられた温度検出器により該ハウジングの温度を検出するように構成され、
前記制御装置は、前記温度検出器を使用して、前記複数の電動機のハウジング温度または前記複数のインバータの温度を検出し、運転を行なっている電動機またはインバータが所定の温度を超えている場合、運転を行なっていない電動機を制御するインバータに運転の指示を出すことを特徴とする給水装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給水装置において、
前記制御装置は、停止している電動機またはインバータが所定の温度を超えている場合、
該所定の温度を超えている電動機を制御するインバータには運転の指示を出さないことを特徴とする給水装置。
【請求項3】
複数のポンプと、
前記複数のポンプをそれぞれ回転駆動する複数の電動機と、
前記複数の電動機の回転数をそれぞれ変化させる複数のインバータと、
前記複数のポンプの吐き出し側に共通に設けられた圧力検出手段と、
前記複数のインバータの運転/停止を制御する制御装置と、
を有する給水装置において、
前記複数のインバータは、
前記複数の電動機のそれぞれの電機子の外周を構成するハウジングの一部に取り付けられており、該インバータ内に設けられた温度検出器により該ハウジングの温度を検出するように構成され、
前記複数の電動機は、該電動機を回転させることで連動して動作する冷却ファンをそれぞれ有しており、
前記制御装置は、前記温度検出器を使用して、前記複数の電動機のハウジング温度または前記複数のインバータの温度を検出し、停止している電動機またはインバータが所定の温度を超えている場合、前記所定の温度を超えている電動機を制御するインバータに運転の指示を出すことを特徴とする給水装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の給水装置において、
給水装置内または周辺に前記電動機および前記インバータの運転とは連動せず独立して動作する第2の冷却ファンを備え、
前記制御装置は、前記温度検出器を使用して、前記複数の電動機のハウジング温度または前記複数のインバータの温度を検出し、前記複数の電動機または前記複数のインバータのいずれかが所定の温度を超えている場合、前記第2の冷却ファンを運転し、前記複数の電動機または前記複数のインバータのいずれも所定の温度を超えていない場合には前記第2の冷却ファンを運転しないことを特徴とする給水装置。
【請求項5】
請求項1に記載の給水装置において、
前記運転を行なっている電動機の運転速度が所定の値を下回った場合、
前記制御装置は、前記所定の温度を超えている電動機を制御するインバータに運転を停止する指示を出すことを特徴とする給水装置。
【請求項6】
請求項3に記載の給水装置において、
前記制御装置は、運転を行なっている電動機またはインバータが所定の温度を超えている 場合、前記所定の温度を超えている電動機を制御するインバータに停止の指示を出さないことを特徴とする給水装置。
【請求項7】
請求項1または6の何れかに記載の給水装置において、
前記制御装置は、前記所定の温度を超えている電動機またはインバータと、所定の温度を 超えていない電動機またはインバータを分けて制御することを特徴とする給水装置。
【請求項8】
複数のポンプと、
前記複数のポンプをそれぞれ回転駆動する複数の電動機と、
前記複数の電動機の回転数をそれぞれ変化させる複数のインバータと、
前記複数のポンプの吐き出し側に共通に設けられた圧力検出手段と、
前記複数のインバータの運転/停止を制御する制御装置と、
を有する給水装置において、
前記複数のインバータは、前記複数の電動機のそれぞれの電機子の外周を構成するハウジングの一部に取り付けられており、該インバータ内に設けられた温度検出器により該ハウジングの温度を検出するように構成され、
前記制御装置は、前記温度検出器を使用して、前記複数の電動機のハウジング温度を検出し、運転を行なっている電動機の負荷電流値が定格電流値として定める所定の値を超えた場合においても、該運転を行なっている電動機が所定の温度を超えるまでは、該運転を行なっている電動機を制御する前記インバータは回転速度低下の指示を出さないことを特徴とする給水装置。
【請求項9】
請求項8に記載の給水装置において、
前記制御装置は、運転を行なっている電動機が所定の温度を超えるまでは、運転を行なっていない電動機を制御するインバータに運転の指示を出さないことを特徴とする給水装置。
【請求項10】
請求項8に記載の給水装置において、
前記制御装置は、運転を行なっている電動機が所定の温度を超えている場合、
圧力制御のための速度制御を行なっている電動機の回転速度が、締切状態における吐き出し揚程を満たす回転速度未満であり、前記所定の温度を超えている電動機の回転速度が、締切状態における吐き出し揚程を満たす回転速度以上である場合に、圧力制御のための速度制御を行なっている電動機を制御するインバータに運転を停止する指示を出すことを特徴とする給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のインバータにより、それぞれ速度制御される電動機によって駆動する複数のポンプを用いた給水装置において、電動機またはインバータが高温になった場合に好適な給水制御に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のインバータにより、それぞれ速度制御される電動機によって駆動する複数のポンプを用いた給水装置として、特開2012−112362号公報(特許文献1)がある。
【0003】
特許文献1では、ポンプ1台では供給できない大流量の水量を供給する必要が発生した場合、運転中の1台目のポンプの負荷電流値が定格電流値以上であれば、2台目のポンプを投入し、定格電流値を超えないように制御することで、電動機の過負荷状態を防ぎ、電動機が高温になることを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−112362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、電動機の周囲温度が高い場合には、定格電流値に達していなくても電動機が定格温度に達してしまう可能性がある。取扱説明書などには仕様として周囲温度の記載などもあるが、屋外設置における直射日光による温度上昇などにより、意図せず電動機周囲温度が高温になることもありうる。逆に、屋外設置における直射日光の影響など、各種要因を考慮して定格電流値(温度上昇)を定めた場合、多くの設置環境に於いて十分な能力を発揮できないことになる。
【0006】
さらには、電動機が定格温度を超えないよう、ポンプの最高回転速度は定格電流値を超えないような範囲で設定される。ここで、過大流量が流れた場合などには定格電流値を超えて運転が行なわれることがある。しかし、この一時的な定格電流値の超過は電動機が定格温度を超えるようなものではないにも関わらず、ポンプの性能を制限してしまっているのでポンプ運転台数を増やすなどの対応を取ることになってしまい、給水装置全体の効率が低下してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、高温状態にある電動機を保護し、さらには安定した給水を継続することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、例えば請求の範囲に記載の構成を採用する。本発明は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、運転を行なっている電動機またはインバータが所定の温度を超えている場合、運転を行なっていない電動機を制御するインバータに運転の指示を出す。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、高温状態にある電動機を冷却し、故障を防ぐとともに、安定した給水を行なうことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ポンプ駆動用の電動機とインバータが一体となった外観図を示した図である。
図2図1の回転電機部分とインバータの展開図である。
図3】本実施例1から3の給水装置の全体構成を示す図である。
図4】本実施例1から3のインバータの記憶部のデータ内容を示す図である。
図5】本実施例1から3の制御装置の記憶部のデータ内容を示す図である。
図6】本実施例1から3のインバータから制御装置への通信データの内容を示す図である。
図7】本実施例1から3の制御装置からインバータへの通信データの内容を示す図である。
図8A】本実施例1から3のメイン制御フローの前半部分を示す図である。
図8B】本実施例1から3のメイン制御フローの後半部分を示す図である。
図9】本実施例1と3のポンプ1台運転開始確認処理の詳細制御フローである。
図10】本実施例1から3の圧力制御処理の詳細制御フローである。
図11A】本実施例1と3の並列運転開始確認処理の詳細制御フローの前半部分である。
図11B】本実施例1と3の並列運転開始確認処理の詳細制御フローの後半部分である。
図12】本実施例1と2のポンプ1台運転停止確認処理の詳細制御フローである。
図13】本実施例1と2の並列運転停止確認処理の詳細制御フローである。
図14】本実施例2のポンプ1台運転開始確認処理の詳細制御フローである。
図15A】本実施例2の並列運転開始確認処理の詳細制御フローの前半部分である。
図15B】本実施例2の並列運転開始確認処理の詳細制御フローの後半部分である。
図16】本実施例3のポンプ1台運転停止確認処理の詳細制御フローである。
図17A】本実施例3の並列運転停止確認処理の詳細制御フローの前半部分である。
図17B】本実施例3の並列運転停止確認処理の詳細制御フローの後半部分である。
図18】本実施例1から3のインバータ停止判断処理の詳細制御フローである。
図19】本実施例4の給水水量と給水圧力とポンプ運転範囲の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0012】
実施例1は、インバータにより速度制御される電動機によって駆動するポンプを用いた給水装置において、該インバータは、前記電動機の電機子の外周を構成するハウジングの一部に取り付けられており、また該インバータ内に設けられた温度検出器を利用して該ハウジングの温度を検出するように構成されている。そして、該温度検出器を使用してハウジング温度を検出し、運転を行なっている電動機またはインバータが所定の温度を超えている場合に、運転を行なっていない電動機を制御するインバータに運転の指示を出すものである。さらに、停止している電動機が所定の温度を超えている場合に、その電動機を制御するインバータに運転の指示を出すものである。
【0013】
すなわち、電動機またはインバータが、所定の温度を超えている場合には、給水圧力の低下が発生していない、または定格電流値を超える負荷電流値ではない場合であっても、制御装置がポンプを追加運転させることで負荷分散を図るものである。
【0014】
まず、本実施例の前提である、電動機とインバータの関係につき図面用いて説明する。図1は、ポンプ駆動用の電動機とインバータが一体となった外観図を示した図である。
図1において、1は同期電動機本体の外周を覆うカバー、2は、後にも説明する、冷却ファン25を内蔵する冷却カバー2、3は、カバー1の外周面に取り付けられた、後に説明するインバータを収納したケース、4はノイズフィルタを内蔵した端子箱、5はエンドブラケット、6は電動機の回転子と一体に形成された回転軸である。
【0015】
また、図2に、上記したカバー1の内部に収納する回転電機部分とインバータの各部の展開図を示す。図2において、9は回転電機のハウジングであり、その外周表面の一部には冷却フィン22が形成されている。また、ハウジング9の内部には、図では見えないが、回転電機の固定子と回転子が挿入されており、24は、上記したエンドブラケット5とは反対側において、ハウジング9の端部に取り付けられたエンドブラケット、25は、エンドブラケット24の外側で上記回転軸6に取り付けられる冷却ファンである。また、ハウジング9の平面23には、カバー1の一部に設けられた開口部21を介して、インバータ7が取り付けられ、その後、その保護のためのカバー3が外側から取り付けられている。
【0016】
また、インバータは、発熱素子であるパワースイッチング素子等を有しているので、それらの発熱状況を監視し保護をかける目的で温度検出器が設けられている。26は制御&I/F基板用ケース、27は平滑コンデンサ用ケースである。そして、ハウジング9の他の端部(図の左端)には、上述した冷却カバー2が取り付けられる。また、図中の符号8は、当該冷却カバー2の壁面の略中央部に、メッシュ状に形成した、外部の空気を取り入れるために小孔を示している。
【0017】
すなわち、インバータ7は、回転電機のハウジング9の一部の平面23に直接的に取付けられており、インバータ7は、伝熱性に優れた材料で構成されたハウジングと熱的に一体となり、インバータ内部にある温度検出器でインバータとハウジングの温度を一体管理することが出来る。
【0018】
次に、本実施例の給水装置の全体構成について説明する。
図3において、10−1、10−2、10−3はポンプを示し、20−1、20−2、20−3で示す電動機で駆動されている。ここでは便宜上番号の小さい方より1号機ポンプ、2号機ポンプ、3号機ポンプ、および1号機電動機、2号機電動機、3号機電動機、と称する。これらのポンプの吸込み側は、11で示す吸込み管を介して水源側と接続される。水源側は、直結方式では図示していない水道本管からの水の供給を受け、受水槽方式では図示していない受水槽から水の供給を受ける。12−1、12−2、12−3、14−1、14−2、14−3はそれぞれ仕切り弁、13−1、13−2、13−3はそれぞれ逆止め弁、15は給水管を示し、17は、給水管15に備わり、ここの圧力に応じて電気信号を発する圧力検出手段である。この圧力検出手段の検出値を基にポンプの吐き出し圧力を制御(例えば吐き出し圧一定制御、推定末端圧一定制御)する。更に、需要側として、給水管15の端末の先が直送式の場合には、需要側給水管と接続して、例えば集合住宅等の水栓に給水する。高置水槽式の場合には、この需要側給水管と接続して高置水槽へ給水する。18は給水管15に備わり、急激な圧力変動を抑えるための圧力タンクである。
【0019】
30−1、30−2、30−3で示す1号機インバータ、2号機インバータ、3号機インバータは、電源側より電源の供給を受け、各々が32−1、32−2、32−3で示す電力変換装置により出力電流の周波数を変化させることで、電動機20−1、20−2、20−3の回転速度を変化させ駆動する。31−1、31−2、31−3は演算処理部であり、33−1、33−2、33−3で示す記憶部に記憶された制御パラメータに従い、34−1、34−2、34−3で示す信号入力部から入力された信号に応じて、電動機20−1、20−2、20−3の運転/停止および回転速度変化を行なう。
【0020】
40は制御装置であり、インバータ30−1、30−2、30−3を通じてポンプの運転台数を管理する。41は演算処理部であり、43で示す記憶部に記憶された制御パラメータに従い、44で示す信号入力部から入力された信号に応じて、ポンプの運転台数を管理する。制御装置40とインバータ30−1、30−2、30−3はそれぞれ50−1、50−2、50−3で示す通信/制御線で接続され、制御装置40およびインバータ30−1、30−2、30−3の制御に必要な信号をやり取りする。
【0021】
次に、インバータ30−1、30−2、30−3の記憶部33−1、33−2、33−3に記憶する、揮発性メモリの内容と不揮発性メモリの内容について説明する。
図4(a)に揮発性メモリの内容、図4(b)に不揮発性メモリの内容を示す。なお、インバータ内部に記憶部を持たず、インバータ外部に記憶装置を取り付けて代用しても差し支えない。
【0022】
図4(a)において、揮発性メモリの1000番地には給水装置の現在の吐出側圧力DPNを記憶する。
1001番地には制御している電動機の現在の回転速度HzNを記憶する。
1002番地には制御している電動機の現在の負荷電流値AMNを記憶する。
1008番地には現在の温度状態SRNを記憶しておく。電動機温度およびインバータ温度が正常である場合にはSRNに0を記憶し、電動機温度またはインバータ温度のいずれかが高温である場合にはSRNに1を記憶する。
【0023】
また、図4(b)において、不揮発性メモリの3000番地にはポンプの号機番号NOを予め記憶しておく。制御装置とインバータとが1:多のマルチ接続で通信を行なう場合、制御装置がインバータを区別するのに用いる。制御装置とインバータとをそれぞれ1:1で接続する場合には不要である。
3001番地には給水装置の目標吐出側圧力HSを予め記憶しておく。
3002番地には電動機の最高回転速度NMAXを、3003番地には電動機の最低回転速度NMINを予め記憶しておく。
3012番地には給水装置が運転を停止する際の目標圧力Poffを予め記憶しておく。
3013番地には締切状態における目標圧力P0を、3014番地にはポンプ1台で供給できる最大水量における目標圧力P1を予め記憶しておく。ポンプ1台で推定末端圧一定制御運転をする場合には、水量の変化に応じて給水圧力をこのP0からP1の範囲で変化させる。
3015番地にはポンプ2台で供給できる最大水量における目標圧力P2を予め記憶しておく。ポンプ1台で推定末端圧一定制御運転をする場合には、水量の変化に応じて給水圧力を先のP1から、P2の範囲で変化させる。
3016番地にはポンプ3台で供給できる最大水量における目標圧力P3を予め記憶しておく。ポンプ3台で推定末端圧一定制御運転をする場合には、水量の変化に応じて給水圧力を先のP2から、P3の範囲で変化させる。
尚、吐出圧力一定制御を行なう場合にはP0、P1、P2、P3をHSと同じ値にすれば良い。
【0024】
3030番地にはポンプ1台で運転する場合の最低運転速度N1Dを予め記憶しておく。ポンプ1台で締切状態において運転する場合には目標圧力P0、運転速度をN1Dとする。
3031番地には、ポンプ1台で運転している際に2台並列運転を開始し、ポンプの運転台数を2台とする際の運転速度N1Aを予め記憶しておく。ポンプ1台で供給できる最大水量においては目標圧力P1、運転速度をN1Aとする。
3032番地には、ポンプ2台で運転している際に2台並列運転を停止し、ポンプの運転台数を1台とする際の運転速度N2Dを予め記憶しておく。ポンプ2台で供給する最小水量においては目標圧力P1、1台のポンプの運転速度をN2D、もう1台のポンプの運転速度をN1Aとする。
3033番地には、ポンプ2台で運転している際に3台並列運転を開始し、ポンプの運転台数を3台とする際の運転速度N2Aを予め記憶しておく。ポンプ2台で供給できる最大水量においては目標圧力P2、運転速度をN2Aとする。
3034番地には、ポンプ3台で運転している際に3台並列運転を停止し、ポンプの運転台数を2台とする際の運転速度N3Dを予め記憶しておく。ポンプ3台で供給する最小水量においては目標圧力P2、1台のポンプの運転速度をN3D、残り2台のポンプの運転速度をN2Aとする。
3035番地には、ポンプ3台で運転する場合の最高運転速度N3Aを予め記憶しておく。ポンプ3台で供給できる最大水量においては目標圧力P3、運転速度をN3Aとする。
【0025】
次に、制御装置40の記憶部43に記憶する、揮発性メモリの内容と不揮発性メモリの内容について説明する。
図5(a)に揮発性メモリの内容、図5(b)に不揮発性メモリの内容を示す。なお、御装置内部に記憶部を持たず、制御装置外部に記憶装置を取り付けて代用しても差し支えない。
【0026】
図5(a)において、揮発性メモリの1000番地にはインバータの記憶部と同じく、給水装置の現在の吐出側圧力DPNを記憶する。
1004番地には現在運転中のポンプ番号RNOを記憶しておく。1つの変数で各々の号機のポンプが運転中であるか否かを記憶するため、例えばRNOの変数の各ビットをそれぞれの号機に割り当て、1ビット目がHighで1号ポンプが運転中、2ビット目がHighで2号機ポンプが運転中、というように記憶すると良い。これによりRNOが1であれば1号機ポンプが運転中、RNOが3であれば1号機ポンプと2号機ポンプが運転中、SRPが5であれば1号機ポンプと3号機ポンプが運転中、であると判断できる。
1005番地には変速運転中のポンプ番号VNOを記憶する。1006番地には次に変速運転を行なうポンプ番号PNOを記憶する。
1007番地には高温状態の電動機/インバータSRPを記憶しておく。1つの変数で各々の号機の電動機またはインバータが高温状態であるか否かを記憶するため、例えばSRPの変数の各ビットをそれぞれの号機に割り当て、1ビット目がHighで1号機電動機または1号機インバータが高温状態、2ビット目がHighで2号機電動機、または2号機インバータが高温状態、というように記憶すると良い。これによりSRPが1であれば1号機電動機または1号機インバータが高温状態、SRPが3であれば1号機電動機または1号機インバータと2号機電動機または2号機インバータが高温状態、SRPが5であれば1号機電動機または1号機インバータと3号機電動機または3号機インバータが高温状態、であると判断できる。
1010番地には給水ユニットで現在運転しているポンプの台数RPNを記憶する。
1101番地には運転しているポンプの中で速度制御を行なっている(変速運転の)ポンプの現在の回転速度HzVを記憶する。
1102番地には運転しているポンプの中で速度制御を行なっている(変速運転の)ポンプの現在の負荷電流値AMVを記憶する。
1201番地には並列運転の開始条件成立の確認時間を設定するタイマの残り時間TN1を記憶し、1202番地には並列運転の停止条件成立の確認時間を設定するためのタイマの残り時間TN2を記憶し、1203番地にはポンプ1台の停止条件成立の確認時間を設定するためのタイマの残り時間TN3を記憶する。
【0027】
また、図5(b)において、不揮発性メモリの2001番地には給水装置のポンプ台数PNUMを予め記憶しておく。
2002番地には給水装置の並列運転する最大台数PMAXを予め記憶しておく。
2101番地には並列運転の開始条件成立の確認時間TM1を予め記憶しておく。
2102番地には並列運転の停止条件成立の確認時間TM2を予め記憶しておく。
3000番地にはポンプの号機番号NOを予め記憶しておく。制御装置の号機番号は0とする。インバータとが1:多のマルチ接続で通信を行なう場合、制御装置がインバータを区別するのに用いる。制御装置とインバータとをそれぞれ1:1で接続する場合には不要である。
3011番地には給水装置が運転を開始する吐出側圧力Ponを予め記憶しておく。
3013番地には締切状態における目標圧力P0を予め記憶しておく。
3021番地には、ポンプ1台で運転している際に2台並列運転を開始する、2台目並列開始圧力P1Aを予め記憶しておく。ポンプ1台が運転速度N1A以上で運転している際に、吐出側圧力がP1A未満である状態が、タイマ1(TM1)設定時間以上経過した場合に、2台目のポンプを起動し、ポンプ2台を同時運転させる。
3022番地には、ポンプ2台で運転している際に2台並列運転を停止する、2台目並列停止圧力P2Dを予め記憶しておく。ポンプのうち1台が運転速度N2D以下で運転している際に、吐出側圧力がP2D以上である状態が、タイマ2(TM2)設定時間以上経過した場合に、最初に起動したポンプ(1台目のポンプ)の運転を停止し、ポンプ1台のみの運転とする。
3023番地には、ポンプ2台で運転している際に3台並列運転を開始する、3台目並列開始圧力P2Aを予め記憶しておく。ポンプ2台が運転速度N2A以上で運転している際に、吐出側圧力がP2A未満である状態が、タイマ1(TM1)設定時間以上経過した場合に、3台目のポンプを起動し、ポンプ3台を同時運転させる。
3024番地には、ポンプ3台で運転している際に3台並列運転を停止する、3台目並列停止圧力P3Dを予め記憶しておく。ポンプのうち1台が運転速度N3D以下で運転している際に、吐出側圧力がP3D以上である状態が、タイマ2(TM2)設定時間以上経過した場合に、最初に起動したポンプ(1台目のポンプ)の運転を停止し、ポンプ2台での運転とする。
3030番地から3034番地にはインバータの記憶部と同様の内容を予め記憶しておく。ここでは説明を割愛する。
3041番地には、ポンプ1台で運転している際に2台並列運転を開始する、2台目並列開始負荷電流値A1Aを予め記憶しておく。ポンプ1台の負荷電流値がA1A以上である状態が、タイマ1(TM1)設定時間以上経過した場合に、2台目のポンプを起動し、ポンプ2台を同時運転させる。
3042番地には、ポンプ3台で運転している際に3台並列運転を停止する、3台目並列停止負荷電流値A2Dを予め記憶しておく。ポンプのうち1台の負荷電流値がA2D未満で運転している際に、タイマ2(TM2)設定時間以上経過した場合に、最初に起動したポンプ(1台目のポンプ)の運転を停止し、ポンプ1台のみの運転とする。
3043番地には、ポンプ2台で運転している際に3台並列運転を開始する、3台目並列開始負荷電流値A2Aを予め記憶しておく。ポンプのうち1台の負荷電流値がA2A以上である状態が、タイマ1(TM1)設定時間以上経過した場合に、3台目のポンプを起動し、ポンプ3台を同時運転させる。
3044番地には、ポンプ3台で運転している際に3台並列運転を停止する、3台目並列停止負荷電流値A3Dを予め記憶しておく。ポンプのうち1台の負荷電流値がA3D未満で運転している際に、タイマ2(TM2)設定時間以上経過した場合に、最初に起動したポンプ(1台目のポンプ)の運転を停止し、ポンプ2台での運転とする。
【0028】
次に、通信データについて説明する。
【0029】
図6にはインバータから制御装置に対し、通信/制御線50−1、50−2、50−3を介して送信する通信データの例を示す。なお、通信ではなく、データ数と同じ数のアナログ信号線、またはデジタル信号線を用意し、アナログ信号線の電圧または電流、あるいはデジタル信号線のHigh/Lowでデータのやり取りを行なうのでも良い。
【0030】
図6において、インバータからはまず通信開始のビット列STAを送信する。続けて送信元の号機番号(自機のポンプ号機番号)NO、送信先の号機番号(制御装置を示す「0」)TO、現在の運転速度HzN、現在の負荷電流値AMN、現在の温度状態SRNを送信し、これらのデータが正しく送信されていることを確認するための特定の計算式を用いて計算したデータのチェックサムCRCの値を送信し、最後に通信終了のビット列STPを送信する。制御装置は受信したデータから特定の計算式を用いて計算したチェックサムの値と、受信したチェックサム値の比較を行なうことで、データが正しく受信できたか否かを判断できる。制御装置は揮発性メモリ1005番地に変速運転ポンプとして記憶されている番号のインバータから送られてきた運転速度HzNを変速運転ポンプの現在の運転速度HzVとして揮発性メモリ1101番地に、負荷電流値AMNを変速運転ポンプの現在の負荷電流値AMVとして揮発性メモリ1102番地に、それぞれ記憶しておく。
【0031】
図7に、制御装置からインバータに対し、通信/制御線50−1、50−2、50−3を介して送信する通信データの例を示す。
【0032】
制御装置からはまず通信開始のビット列STAを送信する。続けて送信元の号機番号(制御装置を示す「0」)NO、送信先の号機番号(ポンプ号機番号)TO、運転/停止指示DRCを送信し、これらのデータが正しく送信されていることを確認するための特定の計算式を用いて計算したデータのチェックサムCRCの値を送信し、最後に通信終了のビット列STPを送信する。インバータは受信したデータから特定の計算式を用いて計算したチェックサムの値と、受信したチェックサム値の比較を行なうことで、データが正しく受信できたか否かを判断できる。
【0033】
運転/停止指示DRCが0の場合は、インバータは電動機を停止させる。運転/停止指示DRCが1、3のような変速運転(速度制御)の指示を受けた場合は、インバータは現在の吐出側圧力DPNが目標吐出側圧力HSと一致するよう電動機の回転速度を変化させる。運転/停止指示DRCが2、4のような一定速度運転の指示を受けた場合は、インバータは運転台数に応じた最高の運転速度N2A、N3Aで電動機を運転させる。
【0034】
次に、本実施例の制御フローについて図8を用いて説明する。
図8は本実施例のメイン制御フローである。図8は紙面の都合上、図8A図8Bに分割しているが、符号A、Bで連続している。以下の説明は、図8A図8Bをまとめて図8として説明する。図8において、100ステップにおいて初期化処理として各制御パラメータの読み出し/書き込みを行なう。101ステップで制御装置から各々のインバータに対して通信を行なう。インバータはその通信内容を受け、運転/停止の状態を変更する。102ステップで各々のインバータは制御装置に対して通信を行なう。制御装置はその通信内容を受け、各々のインバータの現在の運転速度、負荷電流値、温度状態を把握し、揮発性メモリの該当番号に記憶する。103ステップでポンプの運転台数が0台である場合には、120ステップのポンプ1台運転開始確認処理を行なう。121ステップで1台運転開始条件が成立しているか否かを確認し、成立している場合には122ステップで制御装置は現在のポンプ運転台数を1台とし、揮発性メモリ1010番地に記憶し、101ステップに戻る。121ステップで1台運転開始条件が成立していない場合には、何もせずに101ステップに戻る。
【0035】
103ステップでポンプの運転台数が0台でない場合(既に運転しているポンプがある場合)には、130ステップで圧力制御処理を行ない、140ステップで並列運転開始処理を行なう。141ステップで並列運転開始条件が成立しているか否かを確認し、成立している場合には142ステップで現在のポンプ運転台数を1増やし、揮発性メモリ1010番地に記憶し、101ステップに戻る。
【0036】
141ステップで運転開始条件が成立していない場合には、143ステップでポンプの運転台数を確認し、運転台数が1台である場合には、150ステップのポンプ1台運転停止確認処理を行なう。151ステップで1台運転停止条件が成立しているか否かを確認し、成立している場合には152ステップで制御装置は現在のポンプ運転台数を0台とし、揮発性メモリ1010番地に記憶し、101ステップに戻る。151ステップで1台停止開始条件が成立していない場合には、何もせずに101ステップに戻る。
【0037】
143ステップでポンプの運転台数が1台でない場合には、160ステップで並列運転停止確認処理を行なう。161ステップで運転停止条件が成立しているか否かを確認し、成立している場合には162ステップで現在のポンプ運転台数を1減らし、揮発性メモリ1010番地に記憶し、101ステップに戻る。161ステップで運転開始条件が成立していない場合には、何もせずに101ステップに戻る。
【0038】
次に、図8の120ステップのポンプ1台運転開始確認処理の詳細を図9を用いて説明する。
図9において、200ステップで制御装置は揮発性メモリ1007番地に記憶されている高温状態の電動機/インバータSRPを確認する。SRPが0であれば高温状態の電動機あるいはインバータはない状態である。SRPが0である場合には210ステップに進み、210ステップで揮発性メモリ1000番地に記憶されている給水装置の現在の吐出側圧力DPNを確認し、DPNと不揮発性メモリ3011番地に予め記憶されている給水装置が運転を開始する吐出側圧力Ponとを比較する。
【0039】
DPNがPon以上である場合には、221ステップで1台運転開始条件を不成立とし、図8の121ステップに進む。DPNがPon未満である場合には、212ステップで揮発性メモリ1006番地に記憶されている次に運転するポンプ番号PNOを変速運転するポンプVNOとして揮発性メモリ1005番地に記憶した後、222ステップに進む。
【0040】
200ステップでSRPが0ではない(高温状態の電動機あるいはインバータがある)場合には、201ステップで給水装置内に設けた電動機やインバータの運転と独立して動作する冷却ファンが停止中であるか否かを確認し、冷却ファンが停止中である場合には202ステップで冷却ファンの運転を開始し、203ステップに進む。201ステップで冷却ファンが運転中である場合には、203ステップに進む。203ステップでSRPの値より高温状態になっているポンプ番号を判断し、高温状態になっているポンプ番号を変速運転するポンプVNOとして揮発性メモリ1005番地に記憶した後、222ステップに進む。
【0041】
222ステップで1台運転開始条件を成立とし、223ステップでVNOに記憶されている変速運転するポンプの運転を開始し、224ステップで揮発性メモリ1006番地の次に運転を行なうポンプ番号を、変速運転しているポンプの次の番号のポンプに更新し、図8の121ステップに進む。
【0042】
次に、図8の130ステップの圧力制御処理の詳細を図10を用いて説明する。
図10において、300ステップでDPNと揮発性メモリ1009番地に記憶されている給水装置の現在の水量に対する目標圧力HsNとを比較する。DPNがHsNより高い場合には、301ステップでインバータの演算処理部は電力変換部に減速を指示し、302ステップで電力変換装置は電動機への指令周波数を低下させ、運転速度を減速し、図8の140ステップに進む。DPNがHsN以下の場合には303ステップでインバータの演算処理部は電力変換部に加速を指示し、304ステップで電力変換装置は電動機への指令周波数を増加させ、運転速度を加速し、図8の140ステップに進む。
【0043】
次に、図8の140ステップの並列運転開始確認処理の詳細を図11を用いて説明する。
図11は紙面の都合上、図11A図11Bに分割しているが、符号A、B、Cで連続している。以下の説明は、図11A図11Bをまとめて図11として説明する。図11において、400ステップで制御装置は揮発性メモリ1004番地に記憶されている変速/定速運転中のポンプ番号RNOから停止中のポンプ番号を確認し、さらにSRPから高温状態の電動機あるいはインバータを確認する。停止中のポンプで高温状態の電動機あるいはインバータがない場合には、410ステップで揮発性メモリ1102番地に記憶されている変速運転ポンプの現在の負荷電流値AMVと、不揮発性メモリに予め記憶されている並列運転を開始する負荷電流値とを比較する。運転台数が1台の場合には3041番地の2台並列運転を開始する際の負荷電流値A1Aと、運転台数が2台の場合には3043番地の3台並列運転を開始する際の負荷電流値A2Aと、を比較する。AMVが並列開始負荷電流値未満である場合には、411ステップでDPNと不揮発性メモリに予め記憶されている並列運転開始圧力とを比較する。運転台数が1台の場合には3021番地の2台並列運転を開始する際の吐出側圧力P1Aと、運転台数が2台の場合には3023番地の3台並列運転を開始する際の吐出側圧力P2Aと、を比較する。DPNが並列開始圧力以上である場合には413ステップに進み、後述する並列開始タイマ(タイマ1)を停止状態とし、421ステップに進む。421ステップで並列運転開始条件を不成立とし、図8の141ステップに進む。
【0044】
410ステップでAMVが並列開始負荷電流値以上である場合、または411ステップでDPNが並列開始圧力未満である場合、412ステップでHzVと不揮発性メモリに予め記憶されている並列開始速度とを比較する。運転台数が1台の場合には3031番地の2台並列運転を開始する際の運転速度N1Aと、運転台数が2台の場合には3033番地の3台並列運転を開始する際の運転速度N2Aと、比較する。HzVが並列開始運転速度未満である場合には413ステップに進み、後述する並列開始タイマ(タイマ1)を停止状態とし、421ステップに進む。421ステップで並列運転開始条件を不成立とし、図8の141ステップに進む。
【0045】
HzVが並列開始運転速度以上である場合には、414ステップで並列開始タイマ(タイマ1)の状態を確認し、並列開始タイマが停止中であれば並列開始タイマをカウント中とし、不揮発性メモリ2101番地に記憶されている並列開始までの時間TM1を、タイマ1の残り時間TN1として揮発性メモリ1201番地に記憶する。415ステップでタイマ1の残り時間TN1のカウントダウンを開始し、421ステップに進む。421ステップで並列運転開始条件を不成立とし、図8の141ステップに進む。
【0046】
414ステップで並列開始タイマが停止中でない場合には、416ステップでタイマ1がカウント中であるか確認し、カウント中である場合には421ステップに進む。421ステップで並列運転開始条件を不成立とし、図8の141ステップに進む。カウントが終了しタイムアップ状態である場合には、422ステップに進む。
【0047】
400ステップで、停止中のポンプで高温状態の電動機あるいはインバータがある場合には、401ステップで給水装置内に設けた電動機やインバータの運転と独立して動作する冷却ファンが停止中であるか否かを確認し、冷却ファンが停止中である場合には402ステップで冷却ファンの運転を開始し、403ステップに進む。401ステップで冷却ファンが運転中である場合には、403ステップに進む。403ステップでRNOとSRPの値より停止中で高温状態になっているポンプ番号を判断し、高温状態になっている停止中ポンプ番号を次に運転するポンプPNOとして揮発性メモリ1006番地に記憶した後、422ステップに進む。
【0048】
422ステップで並列運転開始条件を成立とし、423ステップでPNOに記憶されている次に運転するポンプの一定速度(定速)運転を開始し、424ステップで揮発性メモリ1006番地の次に運転を行なうポンプ番号を、停止中のポンプ番号より選択し、その番号に更新し、図8の141ステップに進む。
【0049】
次に、図8の150ステップのポンプ1台運転停止確認処理の詳細を図12を用いて説明する。
図12において、500ステップでSRPを確認する。SRPが1以上である(高温状態の電動機あるいはインバータがある)場合には、511ステップに進む。500ステップでSRPが0である(高温状態の電動機あるいはインバータがない)場合には、501ステップで給水装置内に設けた電動機やインバータの運転と独立して動作する冷却ファンが運転中であるか否かを確認し、冷却ファンが運転中である場合には502ステップで冷却ファンの運転を停止し、511ステップに進む。すなわち、複数の電動機またはインバータのいずれもが高温状態でない場合には冷却ファンの運転を停止し、省エネを図る。
【0050】
511ステップでDPNと不揮発性メモリ3013番地に予め記憶されている締切状態における目標圧力P0とを比較する。DPNがP0未満である場合には513ステップに進み、後述する1台停止タイマ(タイマ3)を停止状態とし、521ステップに進む。DPNがP0以上である場合には、512ステップに進み、HzVと不揮発性メモリ3030番地に記憶されている1台で運転する場合の最低運転速度N1Dとを比較する。HzVがN1D以上である場合には513ステップに進み、後述する1台停止タイマ(タイマ3)を停止状態とし、521ステップに進む。521ステップで1台運転停止条件を不成立とし、図8の151ステップに進む。
【0051】
HzVがN1D未満である場合には、514ステップで1台停止タイマ(タイマ3)の状態を確認し、1台停止タイマが停止中であれば1台停止タイマをカウント中とし、不揮発性メモリ2103番地に記憶されている1台停止までの時間TM3を、タイマ3の残り時間TN3として揮発性メモリ1203番地に記憶する。515ステップでタイマ3の残り時間TN3のカウントダウンを開始し、521ステップに進む。521ステップで並列運転開始条件を不成立とし、図8の151ステップに進む。
【0052】
514ステップで1台停止タイマが停止中でない場合には、516ステップでタイマ3がカウント中であるか確認し、カウント中である場合には521ステップに進む。521ステップで1台運転停止条件を不成立とし、図8の151ステップに進む。カウントが終了しタイムアップ状態である場合には、522ステップに進む。
【0053】
522ステップで1台運転停止条件を成立とし、523ステップでVNOに記憶されている変速運転中のポンプの運転を停止し、図8の151ステップに進む。
次に、図8の160ステップの並列運転停止確認処理の詳細を図13を用いて説明する。
図13において、600ステップでSRPを確認する。SRPが1以上である場合には、610ステップに進む。600ステップでSRPが0である場合には、601ステップで給水装置内に設けた電動機やインバータの運転と独立して動作する冷却ファンが運転中であるか否かを確認し、冷却ファンが運転中である場合には602ステップで冷却ファンの運転を停止し、610ステップに進む。
【0054】
610ステップでAMVと、不揮発性メモリに予め記憶されている並列運転を停止する負荷電流値とを比較する。運転台数が2台の場合には3042番地の2台並列運転を停止する際の負荷電流値A2Dと、運転台数が3台の場合には3044番地の3台並列運転を停止する際の負荷電流値A3Dと、を比較する。AMVが並列停止負荷電流値以上である場合には、611ステップでDPNと不揮発性メモリに予め記憶されている並列運転停止圧力とを比較する。運転台数が2台の場合には3022番地の2台並列運転を停止する際の吐出側圧力P2Dと、運転台数が3台の場合には3024番地の3台並列運転を停止する際の吐出側圧力P3Dと、比較する。DPNが並列開始圧力未満である場合には613ステップに進み、後述する並列停止タイマ(タイマ2)を停止状態とし、621ステップに進む。621ステップで並列運転停止条件を不成立とし、図8の161ステップに進む。
【0055】
610ステップでAMVが並列停止負荷電流値未満である場合、または611ステップでDPNが並列停止圧力以上である場合、612ステップでHzVと不揮発性メモリに予め記憶されている並列停止速度とを比較する。運転台数が2台の場合には3032番地の2台並列運転を停止する際の運転速度N2Dと、運転台数が3台の場合には3034番地の3台並列運転を停止する際の運転速度N3Dと、を比較する。HzVが並列開始停止速度以上である場合には613ステップに進み、後述する並列開始タイマ(タイマ1)を停止状態とし、621ステップに進む。621ステップで並列運転停止条件を不成立とし、図8の161ステップに進む。
【0056】
HzVが並列開始停止速度未満である場合には、614ステップで並列停止タイマ(タイマ2)の状態を確認し、並列停止タイマが停止中であれば並列停止タイマをカウント中とし、不揮発性メモリ2102番地に記憶されている並列停止までの時間TM2を、タイマ2の残り時間TN2として揮発性メモリ1202番地に記憶する。615ステップでタイマ2の残り時間TN2のカウントダウンを開始し、621ステップに進む。621ステップで並列運転停止条件を不成立とし、図8の161ステップに進む。
【0057】
614ステップで並列停止タイマが停止中でない場合には、616ステップでタイマ2がカウント中であるか確認し、カウント中である場合には621ステップに進む。621ステップで並列運転停止条件を不成立とし、図8の161ステップに進む。カウントが終了しタイムアップ状態である場合には、622ステップに進む。
【0058】
622ステップで並列運転停止条件を成立とし、623ステップでVNOに記憶されている変速運転中のポンプの運転を停止し、624ステップで停止させるポンプ番号の次のポンプ(定速運転中のポンプ)を変速運転するポンプとして記憶し、625ステップで定速運転中の変速運転させるポンプを変速運転として運転を開始し、図8の161ステップに進む。
【0059】
以上のように、本実施例では、インバータが、電動機のハウジングの一部に取り付けられており、インバータ内に設けられた温度検出器を使用して、複数の電動機のハウジング温度または複数のインバータの温度を検出し、運転を行なっている電動機またはインバータが所定の温度を超えている場合、運転を行なっていない電動機を制御するインバータに運転の指示を出す。さらに、停止している電動機が所定の温度を超えている場合に、その電動機を制御するインバータに運転の指示を出すものである。これにより、電動機またはインバータが、所定の温度を超えている場合には、給水圧力の低下が発生していない、または定格電流値を超える負荷電流値ではない場合であっても、制御装置がポンプを追加運転させることで負荷分散を図ることが出来る。
【実施例2】
【0060】
実施例1では、停止している電動機が高温状態にある際には、所定の温度を超えている停止中の電動機を制御するインバータに運転の指示を出し、電動機を回転させることで電動機と連動して動作する冷却ファンで、電動機の冷却を図るものであった。それに対し、本実施例2では、停止している電動機またはインバータが所定の温度を超えている場合には、所定の温度を超えている電動機またはインバータに運転の指示を出さないことを特徴としている。その理由は、冷却ファンを持たない電動機の場合、運転時に高温になった電動機に対し運転の指示を出すことは、電動機の温度をさらに高めてしまう恐れがあるためである。また、冷却ファンの運転が電動機への運転/停止の指示と連動しないインバータにおいて、同様に、運転の指示を出すことは、インバータの温度をさらに高めてしまう恐れがあるためである。
【0061】
以下、実施例2を図面を用いて説明する。
まず、構造、記憶部のデータ内容、通信データ内容に関しては、実施例1と同じく図1から図7であるので、説明は省略する。なお、本実施例では、電動機を回転させることで電動機と連動して動作する冷却ファン(図2の冷却ファン25)はない場合を想定している。
【0062】
また、実施例2の制御フローにおいて、メイン制御フローである図8、圧力制御処理の詳細を説明する図10、ポンプ1台運転停止確認処理の詳細を説明する図12、並列運転停止確認処理の詳細を説明する図13は実施例1と同であるので説明は省略する。
【0063】
まず、実施例2における、メイン制御フロー図8の120ステップのポンプ1台運転開始確認処理の詳細を図14を用いて説明する。
図14において、210−2ステップで揮発性メモリ1000番地に記憶されている給水装置の現在の吐出側圧力DPNを確認し、DPNと不揮発性メモリ3011番地に予め記憶されている給水装置が運転を開始する吐出側圧力Ponとを比較する。
【0064】
DPNがPon以上である場合には、221−2ステップで1台運転開始条件を不成立とし、121ステップに進む。DPNがPon未満である場合には、211−2ステップで、次に運転するポンプが高温状態であるか否かを確認し、高温状態でない場合には212−2ステップで揮発性メモリ1006番地に記憶されている次に運転するポンプ番号PNOを変速運転するポンプVNOとして揮発性メモリ1005番地に記憶した後、222−2ステップに進む。
【0065】
211−2ステップで次に運転するポンプが高温状態である場合には、213−3ステップで変速運転するポンプ番号を、高温状態でないポンプより選択し、その番号に更新し、222−2ステップに進む。
【0066】
222−2ステップで1台運転開始条件を成立とし、223−2ステップでVNOに記憶されている変速運転するポンプの運転を開始し、224−2ステップで揮発性メモリ1006番地の次に運転を行なうポンプ番号を、変速運転しているポンプの次の番号のポンプに更新し、図8の121ステップに進む。
【0067】
次に、実施例2における、メイン制御フロー図8の140ステップの並列運転開始確認処理の詳細を図15を用いて説明する。
【0068】
図15は紙面の都合上、図15A図15Bに分割しているが、符号A、Bで連続している。以下の説明は、図15A図15Bをまとめて図15として説明する。図15において、実施例1での並列運転開始確認処理の詳細を説明する図11と相違する点が、417−2ステップと418−2ステップであり、その他は、同じであるので、相違点のみ以下説明する。
【0069】
416−2ステップでタイマがカウント中であるか確認し、カウントが終了しタイムアップ状態である場合には、417−2ステップへ進み、417−2ステップで次に運転するポンプが高温状態でない場合には422−2ステップに進む。次に運転するポンプが高温状態である場合には、418−2ステップで変速運転するポンプ番号を、高温状態でないポンプより選択し、その番号に更新し、422−2ステップに進む。他のステップは、図11と同様である。
【0070】
以上のように、本実施例では、停止している電動機またはインバータが所定の温度を超えている場合には、所定の温度を超えている電動機またはインバータに運転の指示を出さないことで、冷却ファンを持たない電動機の場合、運転時に高温になった電動機に対し運転の指示を出して電動機やインバータの温度をさらに高めてしまうことを防止することが出来、停止中の電動機やインバータの保護を実現できる。
【実施例3】
【0071】
本実施例3は、運転している電動機またはインバータが所定の温度を超えている場合には、所定の温度を超えている電動機またはインバータに停止の指示を出さないことを特徴とする。それにより、高温状態である電動機を停止させることで電動機と連動して動作する冷却ファンが停止し、電動機内の温度が上昇するのを防ぐものである。さらに圧力制御を行なうための変速運転するポンプと、高温状態において冷却のために運転するポンプを区別し制御することで、負荷を分散しつつ、安定した圧力制御を行なうものである。
【0072】
以下、本実施例3を図面を用いて説明する。
まず、構造、記憶部のデータ内容、通信データ内容に関しては、実施例1と同じく図1から図7であるので、説明は省略する。
【0073】
また、本実施例3の制御フローにおいて、メイン制御フローである図8、ポンプ1台運転開始確認処理の詳細を説明する図9、圧力制御処理の詳細を説明する図10、並列運転開始確認処理の詳細を説明する図11は実施例1と同であるので説明は省略する。
【0074】
まず、実施例3における、メイン制御フロー図8の150ステップのポンプ1台運転停止確認処理の詳細を図16を用いて説明する。
図16において、実施例1でのポンプ1台運転停止確認処理の詳細を説明する図12と相違する点が、530−2ステップと532−2ステップと、533−2ステップであり、その他は、同じであるので、相違点のみ以下説明する。
【0075】
522ステップで1台運転停止条件を成立としたあと、530−2ステップで変速運転しているポンプが高温状態である場合には、532−2ステップで変速運転しているポンプ番号の次のポンプを変速運転するポンプとして記憶し、533−2ステップで変速運転させるポンプの運転を開始し、メイン制御フロー図8の151ステップに進む。530−2ステップで変速運転しているポンプが高温状態でない場合には、531−2ステップで変速運転中のポンプの運転を停止し、図8の151ステップに進む。他のステップは、図12と同様である。このように、所定の温度を超えている電動機またはインバータと、所定の温度を超えていない電動機またはインバータを分けて制御する。すなわち、圧力制御(台数制御)は正常なポンプだけで行なう。
【0076】
次に、実施例3における、メイン制御フロー図8の160ステップの並列運転停止確認処理の詳細を図17を用いて説明する。
図17は紙面の都合上、図17A図17Bに分割しているが、符号A、Bで連続している。以下の説明は、図17A図17Bをまとめて図17として説明する。図17において、実施例1での並列運転停止確認処理の詳細を説明する図13と相違する点が、630−2ステップと633−2ステップであり、その他は、同じであるので、相違点のみ以下説明する。
【0077】
622−2ステップで並列運転停止条件を成立としたあと、630−2ステップで変速運転しているポンプが高温状態でない場合には、633−2ステップで変速運転中のポンプの運転を停止し、634−2ステップに進む。他のステップは、図13と同様である。
【0078】
本実施例3のように、圧力制御を行なうための変速運転するポンプと、高温状態において冷却のために運転するポンプを区別し制御する場合には、図18に示すようにインバータの停止判断を行なうと良い。高温状態において電動機の温度を下げるには回転速度を下げるのが望ましく、また、圧力制御を行なうための変速運転するポンプのみで必要な水量を供給できているのであれば、冷却のために運転するポンプは、図10の圧力制御処理において、300ステップから302ステップを通り、回転速度を徐々に下げていく。
【0079】
図18において、710ステップで制御装置より停止の指示があった場合には712ステップに進む。710ステップで制御装置より停止の指示がない場合でも、711ステップでHzNが不揮発性メモリ3003に予め記憶されている電動機の最低回転速度NMIN以下である場合は712ステップに進む。712ステップで電動機の運転を停止する。711ステップでHzNがNMINを超過している場合には、713ステップで電動機の運転を継続する。
【0080】
回転速度が低下すると電動機と連動して動作する冷却ファンの冷却効率も下がり、十分な冷却効果が期待できない。そのため高温状態におけるポンプが所定の回転速度を下回った場合には電動機の運転を停止するのが望ましい。このように冷却効果が期待できなくなった場合、または冷却が十分で、かつ給水に必要ではない場合には電動機の運転を停止させる。
【0081】
以上のように、本実施例では、運転している電動機またはインバータが所定の温度を超えている場合には、所定の温度を超えている電動機またはインバータに停止の指示を出さないことで、高温状態である電動機を停止させることで電動機と連動して動作する冷却ファンが停止し、電動機内の温度が上昇するのを防ぐことが出来る。また、圧力制御を行なうための変速運転するポンプと、高温状態において冷却のために運転するポンプを区別し制御することで、負荷を分散しつつ、安定した圧力制御を行なうことが出来る。
【実施例4】
【0082】
本実施例4は、電動機またはインバータをオーバーロードとならないよう予め定める所定の値を超えて運転し、電動機またはインバータが所定の温度を超えた場合に、停止している電動機を制御するインバータに運転の指示を出し、ポンプを並列運転させることを特徴とする。
すなわち、運転を行なっている電動機の負荷電流値が定格電流値として定める所定の値を超えた場合においても、該運転を行なっている電動機が所定の温度を超えるまでは、該運転を行なっている電動機を制御する前記インバータは回転速度低下の指示を出さない。
【0083】
また、運転を行なっている電動機が所定の温度を超えるまでは、運転を行なっていない電動機を制御するインバータに運転の指示を出さない。
【0084】
さらに、運転を行なっている電動機が所定の温度を超えている場合、圧力制御のための速度制御を行なっている電動機の回転速度が、締切状態における吐き出し揚程を満たす回転速度未満であり、前記所定の温度を超えている電動機の回転速度が、締切状態における吐き出し揚程を満たす回転速度以上である場合に、圧力制御のための速度制御を行なっている電動機を制御するインバータに運転を停止する指示を出す。
【0085】
電動機またはインバータが高温になるまで回転速度の上昇を認めることで、ポンプ1台あたりの供給水量が増え、より高効率な運転を行なうことができる。さらには設置環境によらず最大の能力を発揮することができる。
【0086】
以下、本実施例4を、図面を用いて説明する。
【0087】
本実施例4では、インバータは図10の303ステップにおいて、圧力制御を行なうために加速指示を行なう際に、各々の運転台数における運転速度の上限値であるN1A、N2A、N3Aを超えて、ポンプ効率や安全性を考慮した不揮発性メモリ3002番地の電動機の最高回転速度NMAXまで加速することを認める。ここで最高回転速度における制限を設けるのは、連続運転時における電動機やインバータの温度上昇を防ぐためではなく、ポンプ毎に有するポンプの性能特性から回転速度を上げても、効率が下がるために出力が上がらなくなる速度があるので、低効率の運転を防止するため、および電動機の回転軸の回転速度に対する負荷を考慮して設けるものである。
【0088】
回転速度をN1A、N2A、N3Aを超えて設定することで図19に示す通り、ポンプ1台で給水可能な範囲が広がる。一般的にポンプは高速回転を行なっている時に効率が高くなるため、極力少ない運転台数を高い回転速度で運転する方が給水装置全体の効率が良くなり、省エネ化が図れる。
【0089】
図19に示す通り、推定末端圧一定制御の場合は、目標圧力P0、P1、P2、P3は給水装置の目標吐出側圧力HSと同じ値であり、吐出圧力一定制御の場合はP0、P1、P2、P3はそれぞれ異なる値であり、HSもP0、P1、P2、P3のいずれかと同じ、または異なる値となる。
【0090】
本実施例4の場合には、ポンプ1台で給水可能な範囲が変動する為、P1、P2、P3が変化する(本実施例4ではこれを区別するためにP1’、P2’、P3’と記す)。よって並列運転開始圧力および並列運転停止圧力が不揮発性メモリ3021番地から3024番地に予め記憶されている所定値ではなく、ポンプ1台での給水範囲に応じて変化する。そのため、並列運転停止速度も同様に変化する。
【0091】
並列運転開始時におけるP1’、P2’、P3’は、電動機またはインバータが所定の温度を超えた時点の給水装置の吐出側圧力DPNとする。2台目のポンプを運転させる場合、運転開始時の回転速度N2D’は、締切状態においてDPN(この場合においてP1’)を満たす回転速度であることが望ましいので、ポンプ性能は周波数に対して流量は1次関数で比例し、吐出側圧力は2次関数で比例し、電流値は3次関数で比例するポンプ相似則を利用し、以下の式(1)で求める。
【0092】
N2D’={(P2’÷P2)×N2D}0.5 ・・・(1)
同様に3台目のポンプを運転させる場合の運転開始時の回転速度N3D’は、以下の式(2)で求める。
【0093】
N3D’={(P3’÷P3)×N3D}0.5 ・・・(2)
高温状態において電動機の温度を下げるには回転速度を下げるのが望ましく、給水中に電動機が回転速度を下げ、縮退運転を行なうことが考えられる。このことも考慮し、並列運転停止時には、次の2つの条件で並列運転停止条件成立とすると良い。
1.電動機が所定の温度を超えていることを示す信号の出力を停止し、図13に示す並列運転停止条件が成立した場合
2.所定の温度を超えている電動機の回転速度が、締切状態における吐き出し揚程を満たす回転速度未満である場合
実施例3のように、圧力制御を行なうための変速運転するポンプと、高温状態において冷却のために運転するポンプを区別し制御する場合には、さらに3番目の条件を加える。
3.圧力制御のための速度制御を行なっている電動機の回転速度が、締切状態における吐き出し揚程を満たす回転速度未満であり、所定の温度を超えている電動機の回転速度が、締切状態における吐き出し揚程を満たす回転速度以上である場合
すなわち、回転速度(HzV)が、締切状態において並列運転停止圧力(運転台数2台の場合はP2’、3台の場合はP3’)を出力するのに必要な回転速度:並列運転停止速度(運転台数2台の場合はN2D’、3台の場合はN3D’)を下回るということは、そのHzVで運転するポンプは給水に貢献しておらず、仕事をしていない状態である。よって、回転速度が並列運転停止速度を下回った場合に、並列運転を停止させる。
【0094】
以上のように、本実施例では、電動機またはインバータをオーバーロードとならないよう予め定める所定の値を超えて運転し、電動機またはインバータが所定の温度を超えた場合に、停止している電動機を制御するインバータに運転の指示を出し、ポンプを並列運転させる。すなわち、運転を行なっている電動機の負荷電流値が定格電流値として定める所定の値を超えた場合においても、該運転を行なっている電動機が所定の温度を超えるまでは、該運転を行なっている電動機を制御する前記インバータは回転速度低下の指示を出さない。また、運転を行なっている電動機が所定の温度を超えるまでは、運転を行なっていない電動機を制御するインバータに運転の指示を出さない。さらに、運転を行なっている電動機が所定の温度を超えている場合、圧力制御のための速度制御を行なっている電動機の回転速度が、締切状態における吐き出し揚程を満たす回転速度未満であり、前記所定の温度を超えている電動機の回転速度が、締切状態における吐き出し揚程を満たす回転速度以上である場合に、圧力制御のための速度制御を行なっている電動機を制御するインバータに運転を停止する指示を出す。
【0095】
これにより、電動機またはインバータが高温になるまで回転速度の上昇を認めることで、電動機を限界まで運転することが出来、ポンプ1台あたりの供給水量が増え、より高効率な運転を行なうことができる。さらには設置環境によらず最大の能力を発揮することができる。
【0096】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、実施例では、インバータが電動機のハウジングの一部に取り付けられており、インバータ内に設けられた温度検出器を使用して複数の電動機のハウジング温度または複数のインバータの温度を検出するとして説明したが、インバータと電動機が別体でインバータと電動機それぞれの設けられた温度検出器でそれぞれの温度を検出しても良い。また、ポンプ3台を例として説明したが、台数は3台に限らず、2台以上の給水システムにおいて適用できることは自明である。また、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0097】
9・・・ハウジング、10−1、10−2、10−3・・・ポンプ、
17・・・圧力検出手段、20−1、20−2、20−3・・・電動機、
25・・・冷却ファン、7、30−1、30−2、30−3・・・インバータ、
33−1、33−2、33−3、43・・・記憶部、40・・・制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17A
図17B
図18
図19