(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、チャック付き袋が多く利用されている。このチャック付き袋は、密閉性に優れており、また、繰り返しの開封操作が可能であることから、食品、お菓子、医薬品等を収納するため等に重宝されている。
そして、一般的なチャック付き袋は、合成樹脂のフィルムや、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の複合素材で形成されている。
【0003】
図10,11に示すように、チャック付き袋100は袋本体部111を有する。この袋本体部111は、2枚の袋構成部材111A,111Bを重ね合わせた状態で、その周縁部が熱溶着によって固着される熱溶着部111Cとなっている。
そして、袋本体部111の内部は、開口部112と、商品Cを収納する商品収納部113とで構成されている。
【0004】
また、袋本体部111の開口部112側に近い位置でかつ内側には、当該袋本体部111の幅方向に沿って、開口部112と商品収納部113とを仕切ると共に繰り返し開封するためのチャック部114が設けられている。
さらに、このチャック部114と上記開口部112側の熱溶着部111Cとの間には、袋を開閉可能とするための切取り線部115が設けられ、この切取り線部115は、上記開封チャック部114と平行となっている。
そして、一般的なチャック付き袋100においては、チャック部114と切取り線部115との隙間L(
図11参照)は、10mm程度のものが多い。
なお、
図10は、切取り線部115に沿って切取って開口部112と商品収納部113とを切り離した状態を示す。また、切取り線部115はミシン目状に印刷等により記されている。
【0005】
チャック部114は周知の形状、例えば、長手方向に連続した凸状部を有する帯状シートと、この凸状部に対応する凹状部を有する帯状シートとで構成され、これらの凸状部と凹状部とを互いに嵌め合わせることでシールすることができるようになっている。
また、凸状部と凹状部との嵌め合わせを外すことで開放することができる。
このような凸状部と凹状部とはいずれも、例えば、シートの表面にリブ状に肉盛りされて一体形成されている。
【0006】
そして、チャック付き袋100の商品収納部113から食品等の商品Cを取出すには、まず、鋏等で切取り線部115に沿って切り取った後、チャック部114を開いて、商品収納部113から商品Cを取り出すことになる。また、商品Cを取り出した後は、チャック部114を閉じれば商品Cを密封状態に保存することができる。
【0007】
上記のようなチャック付き袋100では、その開口部112側に形成された切取り線部115を鋏等で切り取ると、
図10に示すように、開口部112と商品収納部113とに分離される。そして、このとき、
図11に示すように、2枚の袋構成部材111A,111Bの切取り線部115が同じ軌跡を辿ることになる。
この場合、上述のように、チャック部114と切取り線部115との間隔は10mm未満のものが多く、切取り線部115とチャック部11との間隔が狭いうえ、チャック付き袋100が合成樹脂のフィルム等で形成されているので滑りやすく、切取り線部115に沿って切り取った後の開口部分を掴み難い。その結果、チャック付き袋100を開け難いという問題が生じている。
【0008】
そして、以上のような問題を解決して袋の開封を容易にしようと様々な提案がなされている。
例えば、「開口部分に切り込み溝を有する物品収納袋」が知られている(特許文献1参照。)
この特許文献1に開示された「開口部分に切り込み溝を有する物品収納袋」では、開口部分の表裏に溝が切り込まれており、この溝に沿ってちぎり取るような構成となっており、器具を用いることなく袋の開封ができるようになっております。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記特許文献1に開示された「開口部分に切り込み溝を有する物品収納袋」では、袋の切り込み溝の形成が困難である、と言う問題が生じている。
すなわち、上記「開口部分に切り込み溝を有する物品収納袋」では、密閉部分とチャックとの間において開口部分の表裏に切り込み溝が形成されており、この切り込み溝に沿ってちぎり取ることで、確かに器具を用いることなく容易に開封することができる。
【0011】
ところで、上記「開口部分に切り込み溝を有する物品収納袋」を含み、一般的なチャック付袋は、前述のように、合成樹脂のフィルムや、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の複合素材で形成されている。
そして、これらの素材の厚さは、ほとんどが、0.04〜0.08mmの厚さ寸法に仕上げられている。
【0012】
ところが、特許文献1の「開口部分に切り込み溝を有する物品収納袋」では、上記のような0.04〜0.08mmの極めて薄い素材に切り込み溝を形成しなければならない。
この場合、切り込み溝が浅いと、うまくちぎり取ることができず、他の部位をちぎり取ることになり、ちぎり取り作業が困難である。
これとは逆に、切り込み溝が深いと、少しの力でちぎれてしまうので取扱いに細心の注意を払う必要があり、作業効率が悪い。また、切り込み溝があまり深いと、袋構成用の素材を貫通してしまう。そうすると、その時点で開口部が開いてしまい、袋としての商品価値がなくなる。また、切り込み溝が、断続的に深い部位が形成されている場合、その部位から細かいゴミや埃が入り込むおそれがあり、そのごみ等がチャックを開いたとき、物品収納部に入り込むおそれがある。
【0013】
また、特許文献1の
図4〜9に示すように、切り込み溝は、切断部分あるいは切断部分に相当する直線状の切り込み溝からチャック側に向かって凸状に形成されており、この凸状の切り込み溝とチャックとの間隔が狭くなっている。そのため、袋の素材が表裏で段差状になっていても、凸状の切り込み溝がチャックに近いので、その切り込み溝を掴みにくく開封作業がし難いと言う問題がある。
【0014】
〔目的〕
本発明は上記各問題点を解決するために提案されたものであり、簡単な形状の切取り線部とすることができると共に容易に切り取ることができ、かつ切取り線部に沿って切取った後、袋の開封作業が容易となるチャック付き袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るチャック付き袋は、2枚の袋構成部材を重ね合わせた状態でその周縁部を熱溶着して形成された袋本体部を備え、
この袋本体部の幅方向に沿って設けられ当該袋本体部の内部空間を商品収納部と開口部とに仕切ると共に前記商品収納部を開閉自在にシールするチャック部と、前記開口部に設けられ前記袋本体部開封用の直線状かつミシン目状の切取り線部とを有するチャック付き袋において、
前記切取り線部を、前記袋本体部の幅方向両端部側に形成された端部側切取り部と、当該端部側切取り部に連続すると共に前記袋本体部の幅方向の中央領域部側に
形成された中央部側切取り部とで形成し、
前記端部側切取り部を、前記袋本体部の幅方向の両端部からそれぞれ幅方向の中央領域部近傍まで延びた直線状の第1の切取り部で構成し、
前記中央部側切取り部を、前記各第1の切取り部における前記中央領域部の端部にそれぞれ連続すると共に前記開口部の周縁部側に膨出した第2の切取り部で構成し、かつこの第2の切取り部を、前記各第1の切取り部の端部からそれぞれ前記開口部の周縁部側に向けて斜めに延びた第3の切取り部と、これらの各第3の切取り部の端部にそれぞれ連続すると共に前記各第1の切取り部と平行に形成された第4の切取り部とを含み構成し、
前記2枚の袋構成部材のうちの1枚に、前記第3の切取り部間にわたると共に前記第4の切取り部と平行かつ当該第4の切取り部から前記各第1の切取り部側に低くなる段差をもって形成された第5の切取り部を設け、
前記第4の切取り部および第5の切取り部と前記チャック部との間隔を前記各第1の切取り部と前記チャック部との間隔よりも大きく設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のチャック付き袋では、切取り線部が、端部側切取り部と中央部側切取り部とで構成されているので簡単な形状とすることができ、その切取り線部に沿って切取るだけでよいので、容易に切り取ることができる。
また、
切取り線部に沿って切取ったとき、第4の切取り部と第5の切取り部とが段差になっており、かつ第4の切取り部とチャック部および第5の切取り部とチャック部との間隔が、それぞれ第1の切取り部とチャック部との間隔よりも大きくなっているので、片方の手で第4の切取り部と第5の切取り部との段差部を摘んで第5の切取り部から離れる方に反らすと、第5の切取り部側が離れる。その後、もう片方の手で第5の切取り部側の袋構成部材を容易に摘むことができるので、第4の切取り部と第5の切取り部とを左右に引っ張れば袋を容易に開けることができる。その結果、切取り線部に沿って切取った後の袋の開封作業が容易となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1実施形態〕
以下に、
図1〜
図3に基づいて本発明のチャック付き袋の第1実施形態を説明する。
【0019】
これらの
図1〜
図3に示すように、チャック付き袋10は袋本体部11を備えている。この袋本体部11は、前述のように、PP、PE、PET等の複合素材で形成され、2枚の袋構成部材11A,11B(
図3参照)の周縁部11Cを熱溶着することで仕上げられている。
そして、このチャック付き袋10には、袋本体部11の開口部12側と商品Cを収納する商品収納部13とを仕切るチャック部14が設けられている。
【0020】
チャック部14は、前述のように、帯状シート等に一体的に設けられた凸状部と、この凸状部に対応する凹状部が一体的に設けられた帯状シート等で構成されている。
そして、凸状部と凹状部とを嵌め合わせることで商品収納部13の密閉性を維持し、凸状部と凹状部との嵌め合わせを解除することで商品収納部13から商品Cを取り出すことができるようになっている。
【0021】
袋本体部11において、チャック部14と開口部12側の周縁部11Cとの間には、例えば、黒色でミシン目状に記された切取り線部15が設けられている。この切取り線部15は、袋本体部11の幅方向の一端から他端まで連続して形成されている。
【0022】
図1に示すように、切取り線部15は、袋本体部11の幅方向両端部の周縁部11Cからそれぞれ幅方向の中央領域部まで延びた端部側切取り部である第1の切取り部15A,15Aと、これらの各第1の切取り部15A,15Aにおける中央領域部の端部にそれぞれ連続すると共に、開口部12の周縁部11C側に膨出した中央部側切取り部である第2の切取り部15Bとで構成されている。
なお、例えば、袋本体部11の幅方向の周縁部11C側近傍位置で、一方側の第1の切取り部15Aに沿って、切り口を示す鋏のマークを印刷しておくと、利用者に分かりやすい。
【0023】
上記第2の切取り部15Bは、各第1の切取り部15A,15Aの中央領域部の端部にそれぞれ連続すると共に、上記開口部12側の周縁部11Cに向かって延びた第3の切取り部15C,15Cと、これらの第3の切取り部15C,15Cの端部同士を結びかつ上記第1の切取り部15A,15Aと平行な第4の切取り部15Dとで構成されている。
【0024】
そして、
図2にも示すように、第4の切取り部15D,15Dの上端部側は狭い傾斜になっている。
すなわち、第4の切取り部15D,15Dの上端部間の間隔は寸法W1に設定されており、第4の切取り部15D,15Dの基端部間の間隔は寸法W2に設定されている。
そのため、第1の切取り部15A,15Aと、第2の切取り部15Bを構成する第3,第4の切取り部15C,15C,15Dとに沿って切取ったとき、袋本体部11の開口部12の中央領域部に略台形状の膨出部が形成されることになる。そして、この膨出部が袋開封作業用の摘み部16となっている。
【0025】
ここで、第4の切取り部15Dの上端部の寸法W1が狭いと、反復開封するうちに千切れてしまうおそれがあるので、第4の切取り部15Dの幅寸法W1は、袋本体部11の全体幅寸法の例えば半分程度の寸法に設定することが好ましい。ただし、この寸法に限定されない。
また、第4の切取り部15D,15Dの基端部間の間隔の寸法W2は、第3の切取り部15C,15Cが、第4の切取り部15Dの両端部から第4の切取り部15D,15Dの基端部側に向かって広がる方向の、例えば30°の傾斜となるように設定されている。
【0026】
上述のように、各切取り線部15A,15C,15Dに沿って切取ったとき、第4の切取り部15Dと前記チャック部14との間隔L1(
図3参照)が広くなって、前述のように、摘み部16が形成されるので、商品収納部13を開けるとき、その摘み部16を指で容易に掴んで開けることができる。その結果、チャック部14を容易に開くことができ、言い換えれば、袋の開封が容易となる。
【0027】
すなわち、第1の切取り部15Aの上方に摘み部16が形成されるので、
図3に示すように、摘み部16の上端となる第4の切取り部15Dの上端と、チャック部14との間の長さ寸法L1が、第1の切取り部15Aとチャック部14との間の長さ寸法Lと比較して、例えば2倍程度に長くなっている。
つまり、従来の一般的なチャック付き袋100の切取り線部115とチャック部114との間の長さ寸法L(
図11参照)より2倍程度長くなっている。そのため、摘み部16を指で摘み易くなるので、その後、両手で引っ張れば容易に開くことができる。
【0028】
また、各第1の切取り部15A,15Aと第3の切取り部15C,15Cとの交点部分は、
図2に示すように、所定の大きさのR状に形成されている。そのため、
図3(B)に示すように、摘み部16を掴んで左右(袋本体部11の幅方向と直交する方向)に引っ張るときに、上記交点部分に加わる力により摘み部16の交点部分から裂けることを防止することができるようになっている。
【0029】
次に、
図3に基づいて、チャック付き袋10を開く手順を説明する。
まず、
図1に示す状態から、チャック付き袋10を一方の第1の切取り部15Aおよび第2の切取り部15Bを構成する第3の切取り部15C、第4の切取り部15Dに沿って鋏等で切取る。
そうすると、
図2に示すように、袋本体部11を構成する袋構成部材11A,11Bの第1の切取り部15A,15Aと第4の切取り部15Dとの間に、略台形状の摘み部16,16が形成されるので、それぞれの摘み部16,16を、
図3(A)、(B)に示すように、両手の指で摘むと共に互いに反対方向(前記左右方向)に引っ張れば、チャック部14、ひいてはチャック付き袋10を容易に開くことができる。
チャック付き袋10を閉じる場合は、商品収納部13内の空気を抜きながら、チャック部14を指で挟んでスライドさせ、チャック部14の凸状部と凹状部とを嵌め合わせればよい。
【0030】
以上に説明したような構成の本第1実施形態のチャック付き袋10によれば、次のような効果が得られる。
(1)切取り線部15が第1の切取り部15A,15Aと第2の切取り部15Bとで構成されているので簡単な形状とすることができ、その切取り線部に沿って切取るだけでよいので、容易に切り取ることができる。
【0031】
(2)第2の切取り部15Bを構成する第4の切取り部15Dとチャック部14との間の寸法L1の間隔は、従来のチャック付き袋100のチャック部114と切取り線部115との間の寸法Lより、例えば、約2倍の大きさの寸法となっており、その部位が摘み部16となっているので、その摘み部16を親指と人差し指とでずらすようにすれば2枚の袋構成部材11A,11Bを容易に指で掴むことができ、その後は、両手の指で掴んで左右に引っ張ればチャック部14を開けることができる。その結果、チャック付き袋10の開封が容易となる。
【0032】
(3)第1の切取り部15A,15Aと第3の切取り部15C,15Cとの交点部はRで連続しており、摘み部16を掴んで開くときに交点部に掛る圧力を逃がすことができるので、摘み部16が交点部から破損するのを防止することができる。
【0033】
(4)第4の切取り部15Dの幅寸法W1が袋本体部11の全体幅寸法の、例えば半分程度の寸法に設定されており、しかも、摘み部16が第1の切取り部15A側が広い台形状に形成されているので、袋を開けるときに掴む部分が大きくなる。その結果、チャック付き袋10を反復開封しても摘み部16が千切れるおそれは少ない。
【0034】
〔第2実施形態〕
次に、
図4〜7に基づいて本発明のチャック付き袋の第2実施形態を説明する。
【0035】
本第2実施形態のチャック付き袋20は、切取り部25を、
図4,5に示すように、第1の切取り部25A,25Aと、第2の切取り部25Bとで構成し、この第2の切取り部25Bを、第3の切取り部25C,25C、第4の切取り部25D、および第5の切取り部25Eとで構成したものである。
第5の切取り部25Eは、第4の切取り部25Dと第1の切取り部25Aとの間で、前記袋本体部11を構成する2枚の袋構成部材11A,11Bのうちの、例えば1枚の袋構成部材11B(
図7参照)に、第4の切取り部25Dと平行に設けられている。
そして、第1の切取り部25A,25Aが端部側切取り部であり、第2の切取り部25Bが中央端部側切取り部を構成している。
【0036】
なお、本第2実施形態のチャック付き袋20と、第1実施形態のチャック付き袋10とは、それぞれの切取り部25,15の形状が異なるだけで、その他の構成は全く同じである。そのため、チャック付き袋10と同一構造の部位には同一符号を付すと共に、それらの詳細な説明は省略し、異なる部分のみ詳細に説明する。
【0037】
上記チャック付き袋20の第1の切取り部25A,25Aと、第2の切取り部25Bを構成する第3の切取り部25C,25Cおよび1枚の袋構成部材11Aに形成された第4の切取り部25Dとは、前記第1実施形態の第1の切取り線部15A,25Aと、第1の切取り線部15Bを構成する第3の切取り線部15C,25Cおよび第4の切取り線部15Dと同一形状となっている。
【0038】
ここで、前記第1実施形態の第1の切取り線部15A,15Aと第2の切取り線部15Bを構成するに沿って切取ったとき、2枚の袋構成部材11A,11Bの切取り端部は同一軌跡となる。
そのため、第4の切取り部15Dとチャック部14との間の寸法L1が、第1の切取り線部15Aの切取り端部とチャック部14との寸法より大きく形成されていても、2枚の袋構成部材11A,11Bの切取り端部が同一軌跡なので、当該袋構成部材11A,11Bを開く際に手間取ることもあり、袋本体部11の開き難さは若干残る。
【0039】
そこで、本第2実施形態では、前述のように、第2の切取り部25Bを構成する第4の切取り部25Dを2枚の袋構成部材11A,11Bのうちの1枚の袋構成部材11Bに設けると共に、残りの袋構成部材11Aに第5の切取り部25Eを設け、これらの第4の切取り部25Dの上端と第5の切取り部25Eの上端との間に段差を設けたものである。そして、この段差により、チャック付き袋20の開封をより容易にしたものである。
【0040】
以上のような構成の第2実施形態では、
図4の状態から、まず、第1〜4の切取り部25A,25B,25C,25Dに沿って順次切取ると、
図5の状態となる。このときは、まだ、第5の切取り部25Eが残った状態である。
【0041】
次に、
図5の状態から第5の切取り部25Eに沿って切取ると、
図6の状態となる。そして、このとき、第1の切取り部25Aと第4の切取り部25Dとの間に第1の摘み部26Aが形成され、第4の切取り部25Dと第1の切取り部25Aとの間に第2の摘み部26Bが形成されることになる。
【0042】
なお、第2実施形態では、第5の切取り部25Eが1枚の袋構成部材11Bに設けられており、この第5の切取り部25Eは、第1〜4の切取り部25A,25B,25C,25Dを切取った後で切取るようになっているが、第5の切取り部25Eと第1〜4の切取り部25A,25B,25C,25Dとを同時に切取るおそれがある。
そこで、これらの切取り作業の順序を間違えないように、第1〜4の切取り部25A,25B,25C,25Dの部分に、例えば、黒色で「手順1」の表記をし、第5の切取り部25Eを次に切取るように、その部分に、同じように「手順2」の表記をすることが好ましい。
そして、第5の切取り部25Eに「手順2」の表記の他に、鋏のマークを印刷しておくと利用者にとってより分かりやすく、間違いなく切取ることができる。また、「手順2」を赤色で表記すれば「手順1」の黒色と区別が付きやすいので好適である。
【0043】
以上の切取り部25の状態を
図7に基づいて説明する。
図7(A)、(B)は、
図6のXII−XII線に沿った断面図である。
図7(A)に示すように、チャック部14と第1の切取り部25Aとの間隔は寸法Lとなっており、第1の切取り部25Aと第5の切取り部25Eとの間隔は寸法L4、第4の切取り部25Dと第5の切取り部25Eとの間隔は寸法L3となっている。
つまり、第4の切取り部25Dと第5の切取り部25Eとの間には、寸法L3の分の段差が形成されている。そして、第1の切取り部25Aと第4の切取り部25Dとの間隔は寸法L2となっている。
【0044】
また、チャック部14と第4の切取り部25Dとの間隔は寸法L1となっており、この寸法L1は、チャック部14と第1の切取り部25Aとの寸法Lの略2倍に設定されている。
つまり、チャック部14と第4の切取り部25Dとの間隔の寸法L1は、従来の一般的なチャック付袋100のチャック部114と切取り線部115との間の寸法L(
図11参照)の略2倍となっている。
【0045】
上記したように、チャック部14から第4の切取り部25Dまでの寸法L1に対して、チャック部14から第5の切取り部25Eまでは寸法L3となっているので、第1の摘み部26Aおよび第2の摘み部26Bを構成するそれぞれの上端からチャック部14までの長さが異なっている。
その結果、
図7(B)に示すように、片方の手で長い部分、つまり、袋構成部材11Aの第1の摘み部26Aを持って反らすと、短い部分、つまり、袋構成部材11Bの第2の摘み部26Bが第1の摘み部26Aから離れた状態となるので、第2の摘み部26Bを摘まみやすくなり、その後は、両摘み部26A,26Bを掴んだ状態でそれらを左右に引っ張ればよく、チャック部14、言い換えれば、チャック付き袋20の開封作業がより一層容易となる。
【0046】
次に、本第2実施形態のチャック付き袋20を開く手順を説明する。
まず、
図4の状態から、第1の切取り部25A、第3,4の切取り部25C,25Dに沿って、すなわち「手順1」の記号に従い鋏等で切取って
図5の状態とする。
次いで、
図5の状態から、第5の切取り部25Eに沿って、すなわち「手順2」の記号に従い切取り、
図6の状態とする。
【0047】
その後、
図7(B)に示すように、第1の摘み部26Aを掴んで反らし、その後、段差がついた第2の摘み部26Bを掴んで、各摘み部26A,26Bを左右(袋構成部材11A,11Bが離れる方向)に引っ張ればよく、開きやすくなって、チャック部14の開封が容易となる。
チャック付き袋10を閉じる場合は、商品収納部13内の空気を抜きながら、チャック部14を指で挟んでスライドさせ、チャック部14の凸状部と凹状部とを嵌め合わせればよい。
【0048】
以上に説明した本第2実施形態のチャック付き袋20によれば、前記(1)〜(4)と略同様の効果を得ることができる他、次のような効果が得られる。
(5)チャック部14から第1の摘み部26Aおよび第2の摘み部26Bの上端までの長さが異なっているので、片方の手で長い部分(第1の摘み部26A)を持って反らすと、短い部分(第2の摘み部26B)が離れた状態となる。そのため、両摘み部26A,26Bを摘まみやすくなり、その後は、両摘み部26A,26Bを掴んで左右に引っ張ればよく、開きやすくなって、チャック部14、ひいてはチャック付き袋20の開封作業がより一層容易となる。
【0049】
(6)第5の切取り部25Eは、第1の切取り部25A,25A、第3の切取り部25C、第4の切取り部25Dを切取った後で切取るようになっているが、第1の切取り部25A、第3,4の切取り部25A,25B,25Cの部分に「手順1」の表記、第5の切取り部25Eの部分に「手順2」の表記が記載されているので、第5の切取り部25Eと、第1の切取り部25A、第3,4の切取り部25A,25B,25Cとを同時に切取る間違いを防止することができる。
【0050】
〔第3実施形態〕
次に、
図8に基づいて本発明のチャック付き袋の第3実施形態を説明する。
なお、本第3実施形態のチャック付き袋30と、第1実施形態のチャック付き袋10とは、それぞれの切取り線部35,15の形状が異なるだけで、その他の構成は全く同じである。そのため、チャック付き袋10と同一構造の部位には同一符号を付すと共に、それらの詳細な説明は省略する。
【0051】
本第3実施形態のチャック付き袋30では、
図8に示すように、切取り線部35が、袋本体部11の幅方向両端部でチャック部14の上方位置、かつ幅方向の周縁部11Cに設けられた端部側切取り部である第1の切取り部35Aと、この第1の切取り部35Aから袋本体部11の幅方向中央領域部に向かって設けられた中央部側切取り部である円弧状の第2の切取り部35Bと、で構成されている。
そして、第1の切取り部35Aから第2の切取り部35Bに沿って切取ったとき形成される円弧状の突出部が、袋開封作業用の摘み部36となっている。
なお、
図8は、袋本体部11を、切取り線部35に沿って切取って、前記開口部12側と商品収納部13側とに切り離した状態を示す。
【0052】
以上のようなチャック付き袋30では、
図8に示すように、第2の切取り部35Bの上端部とチャック部14との間隔が、前記第1実施形態のチャック付き袋10の第3の切取り部15Cとチャック部14との間隔と略同じ寸法L1となるように設定されている。
そして、第1の切取り部35Aと第2の切取り部35Bを切取った後、チャック部14と第2の切取り部35Bとの間に摘み部36が形成されるようになっている。
【0053】
このような第3実施形態のチャック付き袋30では、次のような効果を得ることができる。
(7)袋本体部11の幅方向に連続して形成された第1の切取り部35Aと第2の切取り部35Bに沿って切取るだけで袋を開けることができる。その結果、切取り線部15の形状を工夫するだけですむので、チャック付き袋30を、何らの付帯物を設けることなく簡単な構成とすることができる。
【0054】
(8)第1の切取り部35Aと第2の切取り部35Bに沿って切り取ったとき形成される摘み部36の上端部、つまり第2の切取り部35Bとチャック部14との間の寸法L1が、従来のチャック付き袋100のチャック部114と切取り線部115との間の寸法Lより大きな寸法、例えば、約2倍の寸法となっているので、親指と人差し指とでずらすようにすれば摘み部36の2枚の片を容易に指で掴むことができ、その後は、両手の指で掴んで左右に引っ張ればチャック部14を開けることができる。その結果、チャック付き袋30の開封が容易となる。
【0055】
〔第4実施形態〕
次に、
図9に基づいて本発明のチャック付き袋の第4実施形態を説明する。
なお、本第4施形態のチャック付き袋40と、第1実施形態のチャック付き袋10とは、それぞれの切取り部25,15の形状が異なるだけで、その他の構成は全く同じである。そのため、チャック付き袋10と同一構造の部位には同一符号を付すと共に、それらの詳細な説明は省略する。
【0056】
本第4実施形態のチャック付き袋40では、前記第3実施形態の切取り線部35の第2の切取り部35Bに第3の切取り部45Cを追加した形状としたものである。
すなわち、
図9に示すように、チャック付き袋40は、その切取り線部45が、本体部11の幅方向両端部の周縁部11Cに設けられた端部側切取り部である第1の切取り部45Aと、これらの切取り線部45Aに連続すると共に、本体部11の幅方向中央領域部が、チャック部14側から前記開口端部11D側の周縁部11Cの下方側に向いて突出した中央部側切取り部である円弧形状の第2の切取り部45Bと、この第2の切取り部45Bの開口端部11D側寄りに前記チャック部14と平行な第3の切取り部45Cを設けたものである。そして、第3の切取り部45Cも中央部側切取り部を構成している。
【0057】
以上のような構成の第4実施形態では、まず、第1,2の切取り部45A,45Bに沿って順次切取った後、第3の切取り部45Cを切取ると、第2の切取り部45Bと第3の切取り部45Cとの間に第1の摘み部46Aが形成され、第3の切取り部45Cとチャック部14との間に第2の摘み部46Bが形成される。
なお、
図9は、袋本体部11の、前記開口部12側と商品収納部13側とが切り離された状態を示す。
【0058】
なお、第4実施形態では、第3の切取り部45Cが1枚の袋構成部材11Bに設けられており、この第3の切取り部45Cは、第2の切取り部45Bを切取った後で切取るようになっているが、第3の切取り部45Cと第2の切取り部45Bを同時に切取るおそれがある。
そこで、これらの切取り作業の順序を間違えないように、第1,2の切取り部45A,45Bの部分に、例えば、黒色で「手順1」の表記をし、第3の切取り部45Cを次に切取るように、その部分に、同じように「手順2」の表記をすることが好ましい。
そして、第3の切取り部45Cに「手順2」の表記の他に、鋏のマークを印刷しておくと利用者にとってより分かりやすく、間違いなく切取ることができる。また、「手順2」を赤色で表記すれば「手順1」の黒色と区別が付きやすいので好適である。
【0059】
そして、このような第4実施形態のチャック付き袋40によれば、前記(5)〜(8)と略同様の効果を得ることができる。
【0060】
以上、前記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は前記各実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、前記各実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
【0061】
例えば、前記第1実施形態の摘み部16および第2実施形態の摘み部26A,26Bは、それぞれ略台形形状に形成されているが、これに限らない。
台形形状に替えて、半円形あるいは横長の半楕円形形状の摘み部とすることもできる。要は、袋本体の幅方向中央領域部とチャック部14との間隔が、袋本体の幅方向両端部とチャック部14との間隔より大きな寸法に設定されていればよい。
【課題】簡単な形状の切取り線部とすることができると共に容易に切り取ることができ、かつ切取り線部に沿って切取った後、袋の開封作業が容易となるチャック付き袋を提供。
【解決手段】チャック付き袋10を、周囲が熱溶着部11Cとなった袋本体部11を備えて構成し、この袋本体部11の商品収納部13と開口部12との間にシール用のチャック部14を設け、かつ当該チャック部14の開口部12側に切取り線部15を設ける。そして、切取り線部15を、袋本体部11の幅方向両端部側に形成された端部側切取り部15Aと、端部側切取り部15Aに続くと共に袋本体部11の幅方向の中央領域部に延びた中央部側切取り部15B,15Cとで形成し、中央部側切取り部15Cとチャック部14との間隔を端部側切取り部15Aとチャック部14との間隔よりも大きく設定した。