(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6100945
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】玩具システム及び玩具
(51)【国際特許分類】
H04B 5/02 20060101AFI20170313BHJP
A63H 5/00 20060101ALI20170313BHJP
A63H 30/04 20060101ALI20170313BHJP
A63H 33/00 20060101ALI20170313BHJP
A63H 33/22 20060101ALI20170313BHJP
H01Q 7/00 20060101ALI20170313BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
H04B5/02
A63H5/00 C
A63H30/04 A
A63H33/00 P
A63H33/22 A
H01Q7/00
H01Q1/24 C
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-66977(P2016-66977)
(22)【出願日】2016年3月30日
【審査請求日】2016年7月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】宮本 栄一
【審査官】
川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−160781(JP,A)
【文献】
特開2008−185994(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/114491(WO,A1)
【文献】
特開平11−313017(JP,A)
【文献】
特開平09−098014(JP,A)
【文献】
特開平08−293724(JP,A)
【文献】
特開2014−212383(JP,A)
【文献】
特開2013−223117(JP,A)
【文献】
特表2004−515289(JP,A)
【文献】
特表2005−509501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 5/00 − 5/02
H01Q 7/00 − 7/08
H01Q 1/24
G06K 17/00
G06K 19/00 − 19/18
A63H 5/00
A63H 30/04
A63H 33/00
A63H 33/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具システムであって、
前記玩具システムは、
第1電子情報を保持し第1アンテナコイルを有し、カード形状をした第1情報保持媒体と、
第2電子情報を保持し第2アンテナコイルを有し、フィギュア形状をした第2情報保持媒体と、
非接触通信装置を備えた玩具とからなり、
前記非接触通信装置は、
アンテナコイルと、
前記アンテナコイルを介して前記第1情報保持媒体乃至前記第2情報保持体との間で伝達される信号を処理する信号処理回路と、
を備え、
前記アンテナコイルは、第1コイルループ部と、前記第1コイルループ部の内側に配置された第2コイルループ部と、を有し、
前記第1コイルループ部の口径は、前記第1アンテナコイルより大きく形成され、
前記第2コイルループ部の口径は、前記第1アンテナコイルより小さく、且つ、前記第2アンテナコイルより大きく形成され、
前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部を貫く直線まわりに同じ方向に巻かれ且つ互いに直列に前記信号処理回路に接続されており、
前記玩具は、
動作部と、
前記動作部を動作させるための第1動作データを前記第1情報保持媒体が保持する前記第1電子情報に関連付けて記憶し、前記動作部を動作させるための第2の動作データを前記第2情報保持媒体が保持する前記第2電子情報に関連付けて記憶した記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記第1および第2の動作データのうち前記非接触通信装置によって取得された前記第1または第2電子情報のうちのいずれかに対応する動作データに基づいて前記動作部を動作させる制御部と、を備え、
前記動作部は、音、光、表示、動きの少なくとも一つを含む演出を出力する
玩具システム。
【請求項2】
請求項1記載の玩具システムであって、
前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、同一軸上に配置されている玩具システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の玩具システムであって、
前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、互いに相似なループ形状を有する玩具システム。
【請求項4】
請求項1又は3記載の玩具システムであって、
前記第1アンテナコイルは、カード型タグに形成されている玩具システム。
【請求項5】
請求項1又は3記載の玩具システムであって、
前記第2アンテナコイルは、チップ型タグに形成されている玩具システム。
【請求項6】
第1電子情報を保持し第1アンテナコイルを有し、カード形状をした第1情報保持媒体乃至
第2電子情報を保持し第2アンテナコイルを有し、フィギュア形状をした第2情報保持媒体と、の間で無線通信する非接触通信装置を備えた玩具であって、
前記非接触通信装置は、
アンテナコイルと、
前記アンテナコイルを介して前記情報保持媒体との間で伝達される信号を処理する信号処理回路と、
を備え、
前記アンテナコイルは、第1コイルループ部と、前記第1コイルループ部の内側に配置された第2コイルループ部と、を有し、
前記第1コイルループ部の口径は、前記第1アンテナコイルより大きく形成され、
前記第2コイルループ部の口径は、前記第1アンテナコイルより小さく、且つ、前記第2アンテナコイルより大きく形成され、
前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部を貫く直線まわりに同じ方向に巻かれ且つ互いに直列に前記信号処理回路に接続されており、
前記玩具は、
動作部と、
前記動作部を動作させるための第1動作データを前記第1情報保持媒体が保持する前記第1電子情報に関連付けて記憶し、前記動作部を動作させるための第2の動作データを前記第2情報保持媒体が保持する前記第2電子情報に関連付けて記憶した記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記第1および第2の動作データのうち前記非接触通信装置によって取得された前記第1または第2電子情報に対応する動作データに基づいて前記動作部を動作させる制御部と、を備え、
前記動作部は、音、光、表示、動きの少なくとも一つを含む演出を出力する玩具。
【請求項7】
請求項6記載の玩具であって、
前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、同一軸上に配置されている玩具。
【請求項8】
請求項6又は7記載の玩具であって、
前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、互いに相似なループ形状を有する玩具。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか一項記載の玩具であって、
前記第1アンテナコイルは、カード型タグに形成されている玩具。
【請求項10】
請求項6から8のいずれか一項記載の玩具であって、
前記第2アンテナコイルは、チップ型タグに形成されている玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子情報を保持する情報保持媒体との間で無線通信する非接触通信装置及び玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
NFC(Near field communication)として知られる比較的近距離の非接触通信では、一般に、非接触通信装置と情報保持媒体との間に形成される交流磁界を伝送媒体として信号が伝達される。
【0003】
非接触通信装置及び情報保持媒体それぞれのアンテナは、一般に、ループコイルによって構成されている。非接触通信装置のアンテナコイルに交流電流が流されることによって交流磁界が形成され、この交流磁界によって情報保持媒体のアンテナコイルに誘導起電力が発生し、情報保持媒体のアンテナコイルに流れる電流で情報保持媒体のICが駆動される。そして、情報保持媒体のICに保持された電子情報が、交流磁界に乗せられて情報保持媒体のアンテナコイルから非接触通信装置のアンテナコイルに送信される。
【0004】
非接触通信装置のアンテナコイルの口径は情報保持媒体のアンテナコイルの口径より大きく、非接触通信装置の通信可能領域は、アンテナコイルの口径やアンテナコイルに流れる電流にもよるが、アンテナコイルの口径を直径とする概ね球状の領域である。この領域内に情報保持媒体のアンテナコイルが配置される場合に、非接触通信装置と情報保持媒体との間に安定した通信が確立される。
【0005】
非接触通信装置の通信可能領域を拡大するには非接触通信装置のアンテナコイルの口径を大きくすればよいが、情報保持媒体のアンテナコイルの口径に対して不釣り合いな程に非接触通信装置のアンテナコイルの口径が大きいと、情報保持媒体との間で通信が安定しない場合がある。特許文献1に記載されたアンテナ装置では、比較的小口径のアンテナ素子が複数並べられ通信可能領域の拡大が図られており、さらに領域内の各所での通信の安定化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−167144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
情報保持媒体のアンテナコイル及びICは、これらが一体とされたタグの形態で情報保持媒体に設けられている。タグの形態には、例えばアンテナコイル及びICがカードサイズの樹脂に封入されたカード型や、アンテナコイル及びICがチップサイズの樹脂に封入されたチップ型などの種々の形態がある。アンテナコイルの口径はタグの形態に応じて異なり、アンテナコイルの周囲に形成される交流磁界の性質もまたタグの形態に応じて異なる。例えばカード型のタグのアンテナコイルでは、比較的に広い範囲におよぶ磁界が形成され、チップ型のタグのアンテナコイルでは、比較的に狭い範囲に集中する磁界が形成される。
【0008】
非接触通信装置のアンテナコイルは、対象とする形態のタグに応じて設計され、異なる形態のタグとの間では、上記の磁界の性質の相違に起因して、通信不能となる又は通信可能領域が狭まる虞があった。特許文献1に記載されたアンテナ装置では、通信可能領域を拡大する観点から比較的小口径のアンテナ素子が複数並べられており、このアンテナ素子に対応した比較的小型のタグとの間の通信可能領域の拡大が図られるが、比較的大型のタグとの間での通信可能領域の拡大は望めない。また、アンテナ素子を複数使用するため、製造コストの増加が懸念される。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、種々の形態の情報保持媒体から電子情報を取得できる非接触通信装置及び玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る非接触通信装置は、電子情報を保持する情報保持媒体との間で無線通信する非接触通信装置であって、アンテナコイルと、前記アンテナコイルを介して前記情報保持媒体との間で伝達される信号を処理する信号処理回路と、を備え、前記アンテナコイルは、第1コイルループ部と、前記第1コイルループ部の内側に配置された第2コイルループ部と、を有し、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部を貫く直線まわりに同じ方向に巻かれ且つ互いに直列に前記信号処理回路に接続されていることを特徴とする。
また、本発明に係る非接触通信システムは、電子情報を保持する情報保持媒体との間で無線通信する非接触通信システムであって、前記非接触通信システムは、第1アンテナコイルを有する第1情報保持媒体と、第2アンテナコイルを有する第2情報保持媒体と、非接触通信装置と、を備え、前記非接触通信装置は、アンテナコイルと、前記アンテナコイルを介して前記情報保持媒体との間で伝達される信号を処理する信号処理回路と、を備え、前記アンテナコイルは、第1コイルループ部と、前記第1コイルループ部の内側に配置された第2コイルループ部と、を有し、前記第1コイルループ部の口径は、前記第1アンテナコイルより大きく形成され、前記第2コイルループ部の口径は、前記第1アンテナコイルより小さく、且つ、前記第2アンテナコイルより大きく形成され、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部を貫く直線まわりに同じ方向に巻かれ且つ互いに直列に前記信号処理回路に接続されていることを特徴とする。
また、本発明に係る非接触通信システムにおいては、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、同一軸上に配置されていてもよい。
また、本発明に係る非接触通信システムにおいては、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、互いに相似なループ形状を有してもよい。
また、本発明に係る非接触通信システムは、前記第1アンテナコイルは、カード型タグに形成されていてもよい。
また、本発明に係る非接触通信システムは、前記第2アンテナコイルは、チップ型タグに形成されていてもよい。
また、本発明に係る玩具は、前記非接触通信システムによって構成される通信部と、動作部と、前記動作部を動作させるための複数の動作データを前記電子情報に関連付けて記憶した記憶部と、前記記憶部に記憶された前記複数の動作データのうち前記通信部によって取得された前記電子情報に対応する動作データに基づいて前記動作部を動作させる制御部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る玩具においては、前記動作部は、音、光、表示、動きの少なくとも一つを含む演出を出力してもよい。
また、本発明に係る非接触通信装置は、電子情報を保持し第1アンテナコイルを有する第1情報保持媒体と、電子情報を保持し第2アンテナコイルを有する第2情報保持媒体と、の間で無線通信する非接触通信装置であって、前記非接触通信装置は、アンテナコイルと、前記アンテナコイルを介して前記情報保持媒体との間で伝達される信号を処理する信号処理回路と、を備え、前記アンテナコイルは、第1コイルループ部と、前記第1コイルループ部の内側に配置された第2コイルループ部と、を有し、前記第1コイルループ部の口径は、前記第1アンテナコイルより大きく形成され、前記第2コイルループ部の口径は、前記第1アンテナコイルより小さく、且つ、前記第2アンテナコイルより大きく形成され、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部を貫く直線まわりに同じ方向に巻かれ且つ互いに直列に前記信号処理回路に接続されていることを特徴とする。
また、本発明に係る非接触通信装置においては、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、同一軸上に配置されてもよい。
また、本発明に係る非接触通信装置においては、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、互いに相似なループ形状を有してもよい。
また、本発明に係る非接触通信装置においては、前記第1アンテナコイルは、カード型タグに形成されていてもよい。
また、本発明に係る非接触通信装置においては、 前記第2アンテナコイルは、チップ型タグに形成されていてもよい。
また、本発明に係る玩具システムにおいては、玩具システムであって、前記玩具システムは、第1電子情報を保持し第1アンテナコイルを有し、カード形状をした第1情報保持媒体と、第2電子情報を保持し第2アンテナコイルを有し、フィギュア形状をした第2情報保持媒体と、非接触通信装置を備えた玩具とからなり、前記非接触通信装置は、アンテナコイルと、前記アンテナコイルを介して前記第1情報保持媒体乃至前記第2情報保持体との間で伝達される信号を処理する信号処理回路と、を備え、前記アンテナコイルは、第1コイルループ部と、前記第1コイルループ部の内側に配置された第2コイルループ部と、を有し、前記第1コイルループ部の口径は、前記第1アンテナコイルより大きく形成され、前記第2コイルループ部の口径は、前記第1アンテナコイルより小さく、且つ、前記第2アンテナコイルより大きく形成され、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部を貫く直線まわりに同じ方向に巻かれ且つ互いに直列に前記信号処理回路に接続されており、前記玩具は、動作部と、前記動作部を動作させるための第1動作データを前記第1情報保持媒体が保持する前記第1電子情報に関連付けて記憶し、前記動作部を動作させるための第2の動作データを前記第2情報保持媒体が保持する前記第2電子情報に関連付けて記憶した記憶部と、前記記憶部に記憶された前記第1および第2の動作データのうち前記非接触通信装置によって取得された前記第1または第2電子情報のうちのいずれかに対応する動作データに基づいて前記動作部を動作させる制御部と、を備え、前記動作部は、音、光、表示、動きの少なくとも一つを含む演出を出力することを特徴とする。
また、本発明に係る玩具システムにおいては、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、同一軸上に配置されていてもよい。
また、本発明に係る玩具システムにおいては、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、互いに相似なループ形状を有してもよい。
また、本発明に係る玩具システムにおいては、前記第1アンテナコイルは、カード型タグに形成されていてもよい。
また、本発明に係る玩具システムにおいては、前記第2アンテナコイルは、チップ型タグに形成されていてもよい。
また、本発明に係る玩具においては、第1電子情報を保持し第1アンテナコイルを有し、カード形状をした第1情報保持媒体乃至第2電子情報を保持し第2アンテナコイルを有し、フィギュア形状をした第2情報保持媒体と、の間で無線通信する非接触通信装置を備えた玩具であって、前記非接触通信装置は、アンテナコイルと、前記アンテナコイルを介して前記情報保持媒体との間で伝達される信号を処理する信号処理回路と、を備え、前記アンテナコイルは、第1コイルループ部と、前記第1コイルループ部の内側に配置された第2コイルループ部と、を有し、前記第1コイルループ部の口径は、前記第1アンテナコイルより大きく形成され、前記第2コイルループ部の口径は、前記第1アンテナコイルより小さく、且つ、前記第2アンテナコイルより大きく形成され、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部を貫く直線まわりに同じ方向に巻かれ且つ互いに直列に前記信号処理回路に接続されており、前記玩具は、動作部と、前記動作部を動作させるための第1動作データを前記第1情報保持媒体が保持する前記第1電子情報に関連付けて記憶し、前記動作部を動作させるための第2の動作データを前記第2情報保持媒体が保持する前記第2電子情報に関連付けて記憶した記憶部と、前記記憶部に記憶された前記第1および第2の動作データのうち前記非接触通信装置によって取得された前記第1または第2電子情報に対応する動作データに基づいて前記動作部を動作させる制御部と、を備え、前記動作部は、音、光、表示、動きの少なくとも一つを含む演出を出力することを特徴とする。
また、本発明に係る玩具においては、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、同一軸上に配置されていてもよい。
また、本発明に係る玩具においては、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、互いに相似なループ形状を有してもよい。
また、本発明に係る玩具においては、前記第1アンテナコイルは、カード型タグに形成されていてもよい。
また、本発明に係る玩具においては、前記第2アンテナコイルは、チップ型タグに形成されていてもよい。
【0011】
また、本発明に係る非接触通信装置においては、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、同一軸上に配置されてもよい。
【0012】
また、本発明に係る非接触通信装置においては、前記第1コイルループ部及び前記第2コイルループ部は、互いに相似なループ形状を有してもよい。
【0013】
また、本発明に係る玩具は、前記非接触通信装置によって構成される通信部と、動作部と、前記動作部を動作させるための複数の動作データを前記電子情報に関連付けて記憶した記憶部と、前記記憶部に記憶された前記複数の動作データのうち前記通信部によって取得された前記電子情報に対応する動作データに基づいて前記動作部を動作させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る玩具においては、前記動作部は、音、光、表示、動きの少なくとも一つを含む演出を出力してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、種々の形態の情報保持媒体から電子情報を取得できる非接触通信装置及び玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態を説明するための、非接触通信装置及び玩具の斜視図である。
【
図3】(A)は
図1の第1コイルループ部によって形成される交流磁界の模式図であり、(B)は
図1の第2コイルループ部によって形成される交流磁界の模式図であり、(C)は
図1のアンテナコイルの周囲に形成される交流磁界の強度分布の模式図である。
【
図5】(A)は
図1の玩具のアンテナコイルと
図4の情報保持媒体のアンテナコイルとの関係を示す平面図であり、(B)は断面図である。
【
図7】(A)は
図1の玩具のアンテナコイルと
図6の情報保持媒体のアンテナコイルとの関係を示す平面図であり、(B)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。また、図面は、符号の向きに見るものとする。
【0018】
図1には、本発明の実施形態を説明するための、非接触通信装置及び玩具の一例を示す。
【0019】
玩具10は、電子情報を保持する情報保持媒体との間で電子情報を授受し、情報保持媒体から取得した電子情報に基づいて動作するものである。
【0020】
玩具10は、情報保持媒体との間で無線通信する非接触通信装置20を備える。非接触通信装置20は、玩具10の外形を形成する図示省略の筐体に収容されている。非接触通信装置20は、アンテナコイル21と、アンテナコイル21を介して情報保持媒体との間で伝達される信号を処理する信号処理回路が実装された回路基板22とを有する。
【0021】
アンテナコイル21は、第1コイルループ部211と、第1コイルループ部211の内側に配置される第2コイルループ部212とを有する。第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212は、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212を貫く直線CLまわりに同じ方向に巻かれ、且つ互いに直列に回路基板22の信号処理回路に接続されている。本例では、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212は、互いに相似な略円形状のループ形状を有し、直線CLを中心軸として互いに同一軸上に且つ略同一平面上に配置されている。
【0022】
図2は、玩具10の機能ブロックを示す。
【0023】
図2に示すように、玩具10は、通信部31、動作部32、記憶部33、制御部34、電源部35、及び操作部36を有する。
【0024】
通信部31は、アンテナコイル21及び回路基板22に実装された信号処理回路23を有する非接触通信装置20によって構成され、情報保持媒体100との間で信号を伝達する。動作部32は、スピーカ等の発音体やLED等の発光素子を含み、音及び光の少なくとも一方を含む演出を出力可能に構成されている。記憶部33は、ROM等を含み、動作部32を動作させるための複数の動作データを、情報保持媒体100に保持される電子情報に関連付けて記憶している。なお、動作部32はほかに、表示媒体等による表示体やモータ等による動作機構等も含むことができる。
【0025】
制御部34は、CPUを主体として構成され、通信部31、動作部32、記憶部33を統括して制御する。制御部34は、記憶部33に記憶された複数の動作データのうち、通信部31によって情報保持媒体100から取得される電子情報に対応する動作データに基づいて動作部32を動作させる。
【0026】
電源部35は、通信部31、動作部32、記憶部33、及び制御部34に動作電力を供給する。操作部36は、電源スイッチや、通信部31による通信開始を制御部34に指示するスイッチを含む。
【0027】
玩具10との間で通信する情報保持媒体100は、アンテナコイル101及びIC102を有しており、IC102には電子情報が保持されている。
【0028】
玩具10と情報保持媒体100との間の通信は、以下のようにして行われる。
【0029】
操作部36のスイッチ操作によって通信開始の指示がなされると、玩具10のアンテナコイル21に交流電流が供給され、アンテナコイル21の周囲に交流磁界が形成される。交流磁界に配置された情報保持媒体100のアンテナコイル101には誘導起電力が発生して電流が流れ、アンテナコイル101が接続されたIC102が駆動される。そして、IC102に保持された電子情報に基づいて変調された信号が交流磁界に乗せられて情報保持媒体100のアンテナコイル101から玩具10のアンテナコイル21に送信され、アンテナコイル21にて受信された信号が信号処理回路23によって復調され、電子情報が取り出される。
【0030】
図3は、アンテナコイル21の周囲に形成される交流磁界の一例を示す。
【0031】
アンテナコイル21の周囲に形成される交流磁界は、第1コイルループ部211によって形成される交流磁界と、第2コイルループ部212によって形成される交流磁界とが合成されたものである。
【0032】
第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212は、上記のとおりに、直線CLまわりに同じ方向に巻かれ且つ互いに直列に回路基板22の信号処理回路23に接続されていることから、第1コイルループ部211によって形成される交流磁界と第2コイルループ部212によって形成される交流磁界との位相は同じである。
【0033】
したがって、第1コイルループ部211の内側且つ第2コイルループ部212の外側、即ち第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212の非重畳領域では互いに弱め合い、第2コイルループ部212の内側領域、即ち第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212の重畳領域では互いに強め合う。したがって、アンテナコイル21の周囲に形成される交流磁界は、第1コイルループ部211の導体の近傍、及び第2コイルループ部212の内側領域にピークを有する磁界強度分布を呈する。
【0034】
アンテナコイル21の第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212は、好ましくは、直線CLを中心として同一軸上に配置される。これにより、アンテナコイル21の周囲に形成される交流磁界の強度分布の軸対称性を高めることができ、通信感度分布を均一化できる。
【0035】
また、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212は、好ましくは、互いに相似なループ形状を有する。これにより、アンテナコイル21の周囲に形成される交流磁界の強度分布の軸対称性を高めることができ、通信感度分布を均一化できる。
【0036】
また、好ましくは、第1コイルループ部211と第2コイルループ部212とは、ほぼ同一平面上に設けられるのが好ましい。
【0037】
次に、
図4から
図7を参照して、玩具10の使用例について説明する。
【0038】
図4及び
図5に示す情報保持媒体は、カード100Aであり、カード100Aには、アンテナコイル101A及びIC102Aが一体とされたカード型タグ103Aが埋め込まれて形成されている。
【0039】
図5(A)に示すように、カード100Aのカード型タグ103Aに形成されているアンテナコイル101Aは、カード100Aの縁部に沿ってループ状に形成された比較的大口径の回路パターンからなる。アンテナコイル101Aの口径は、玩具10のアンテナコイル21の第1コイルループ部211の口径より小さく、第2コイルループ部212の口径より大きい。
【0040】
図5(B)に示すように、アンテナコイル101Aは、アンテナコイル21の周囲に形成される交流磁界の強度分布において、第2コイルループ部212の内側領域のピークからは外れるが、第1コイルループ部211の導体の近傍のピーク内に配置され、玩具10とカード100Aとの間に安定した通信が確立される。
【0041】
図6及び
図7に示す情報保持媒体は、フィギュア100Bであり、フィギュア100Bの足には、アンテナコイル101B及びIC102Bが一体とされたチップ型タグ103Bが埋め込まれている。
【0042】
図7(A)に示すように、フィギュア100Bのチップ型タグ103Bに形成されているアンテナコイル101Bの口径は、玩具10のアンテナコイル21の第1コイルループ部211の口径よりも小さく、さらに第2コイルループ部212の口径よりも小さい。
【0043】
図7(B)に示すように、アンテナコイル101Bは、アンテナコイル21の周囲に形成される交流磁界の強度分布において、第1コイルループ部211の導体の近傍のピークからは外れるが、第2コイルループ部212の内側領域のピーク内に配置され、玩具10とフィギュア100Bとの間に安定した通信が確立される。
【0044】
以上、説明したとおり、非接触通信装置20を備える玩具10によれば、一組のアンテナコイル21及び信号処理回路23によって、種々の形態の情報保持媒体から電子情報を取得できる。
【0045】
上述した非接触通信装置20及び玩具10では、アンテナコイル21は、第1コイルループ部211と、第1コイルループ部211の内側に配置された第2コイルループ部212とを有する。そして、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212は、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212を貫く直線CLのまわりに同じ方向に巻かれ且つ互いに直列に回路基板22に接続されている。このため、種々の形態(大きさ)の情報保持媒体との間で読み込み及び書き込みの通信を確立することができる。
【0046】
なお、本発明の非接触通信装置及び玩具は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。例えば、玩具10が情報保持媒体100のIC102に保持された電子情報を取得する例について説明したが、IC102が書き換え可能に構成され、玩具10がIC102に電子情報を書き込むように構成することもできる。
【符号の説明】
【0047】
10 玩具
20 非接触通信装置
21 アンテナコイル
22 回路基板
23 信号処理回路
31 通信部
32 動作部
33 記憶部
34 制御部
35 電源部
36 操作部
100 情報保持媒体
100A カード
100B フィギュア
101 アンテナコイル
101A アンテナコイル
101B アンテナコイル
103A カード型タグ
103B チップ型タグ
211 第1コイルループ部
212 第2コイルループ部
CL 直線
【要約】
【課題】種々の形態の情報保持媒体から電子情報を取得できる非接触通信装置及び玩具を提供する。
【解決手段】玩具10の非接触通信装置20は、アンテナコイル21と、アンテナコイル21を介して情報保持媒体100との間で伝達される信号を処理する信号処理回路23が実装された回路基板22とを備え、アンテナコイル21は、第1コイルループ部211と、第1コイルループ部211の内側に配置された第2コイルループ部212と、を有し、第1コイルループ部211及び第2コイルループ部212は、直線CLまわりに同じ方向に巻かれ且つ互いに直列に信号処理回路23に接続されている。
【選択図】
図1