特許第6100967号(P6100967)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6100967オプトエレクトロニクス部品およびオプトエレクトロニクス部品の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100967
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】オプトエレクトロニクス部品およびオプトエレクトロニクス部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/14 20100101AFI20170313BHJP
【FI】
   H01L33/14
【請求項の数】13
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-506836(P2016-506836)
(86)(22)【出願日】2014年3月24日
(65)【公表番号】特表2016-518711(P2016-518711A)
(43)【公表日】2016年6月23日
(86)【国際出願番号】EP2014055857
(87)【国際公開番号】WO2014166724
(87)【国際公開日】20141016
【審査請求日】2015年12月9日
(31)【優先権主張番号】102013103601.5
(32)【優先日】2013年4月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ライラー クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ジニ ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】オフ ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】レフラー アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】バウアー アダム
【審査官】 島田 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−153838(JP,A)
【文献】 特開2012−064647(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/146668(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/080219(WO,A1)
【文献】 特開2006−228904(JP,A)
【文献】 特開2002−368269(JP,A)
【文献】 特開平11−220169(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0014713(US,A1)
【文献】 特開2008−297191(JP,A)
【文献】 特開平04−212478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型ドープ半導体層(109)およびp型ドープ半導体層(107)を備え、電磁放射を生成する目的の活性ゾーン(113)を備えるようにpn接合(111)が形成された半導体積層体(105)が設けられたキャリア(103)を備える、オプトエレクトロニクス部品(101)であって、
− 前記n型ドープ半導体層(109)および前記p型ドープ半導体層(107)の少なくとも一方は、それぞれが第1のドーピング濃度の複数のドープ領域(119)を備え、前記第1のドーピング濃度は、前記ドープ領域(119)を備える前記半導体層内の前記ドープ領域(119)の周囲エリア内の第2のドーピング濃度よりも高く、
− それぞれの前記ドープ領域(119)では、前記pn接合の逆方向降伏電圧が前記ドープ領域(119)の前記周囲エリア内の逆方向降伏電圧よりも低く、
− 前記ドープ領域(119)は、横方向に互いに離間して配置されており、
− 前記第2のドーピング濃度の領域は、隣接する各ドープ領域(119)間に設けられており、
前記ドープ領域(119)は、前記pn接合(111)を通って延在するように、かつ、前記n型ドープ半導体層(109)および前記p型ドープ半導体層(107)に接続するように形成されている、
オプトエレクトロニクス部品(101)。
【請求項2】
少なくとも1つのドープ領域(119)は、前記ドープ領域を備える前記半導体層内に形成された欠陥に隣接して形成されており、
前記欠陥は、エピチューブであり、
前記エピチューブは、1μm未満の直径を有し、前記半導体積層体の層を通って垂直に延在する、
請求項1に記載のオプトエレクトロニクス部品(101)。
【請求項3】
少なくとも1つのドープ領域(119)は、n型にドープされており、前記第2のドーピング濃度は、前記n型ドープ半導体層のドーピング濃度である、請求項1または2に記載のオプトエレクトロニクス部品(101)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのドープ領域(119)は、p型にドープされ、前記第2のドーピング濃度は、前記p型ドープ半導体層(107)のドーピング濃度である、請求項1〜のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス部品(101)。
【請求項5】
少なくとも1つのドープ領域(119)は、前記ドープ領域を備える前記半導体層内に形成された欠陥に隣接して形成されている、請求項1〜のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス部品(101)。
【請求項6】
前記欠陥は、Vピット(603)またはエピチューブである、請求項に記載のオプトエレクトロニクス部品(101)。
【請求項7】
少なくとも1つのドープ領域(119)は、前記ドープ領域を備える前記半導体層内に形成されたビア(403)に隣接して形成されている、請求項1〜のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス部品(101)。
【請求項8】
記ドープ領域を備える前記半導体層のドーピングが調節されている、請求項1〜のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス部品(101)。
【請求項9】
少なくとも1つのドープ領域(119)の面積は、少なくとも25μmである、請求項1〜のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス部品(101)。
【請求項10】
n型ドープ半導体層(109)およびp型ドープ半導体層(107)を備え、電磁放射を生成する目的の活性ゾーン(113)を備えるようにpn接合(111)が形成された、半導体積層体(105)をキャリア(103)上に設け、前記n型ドープ半導体層および前記p型ドープ半導体層(107)の少なくとも一方のドープ領域に、ドーパント(501)を添加し、その結果、前記ドープ領域(119)は、前記ドープ領域(119)を備える前記半導体層内の前記ドープ領域(119)の周囲エリア内の第2のドーピング濃度より高い第1のドーピング濃度でドープされ
前記ドープ領域(119)は、前記pn接合(111)を通って延在するように、かつ、前記n型ドープ半導体層(109)および前記p型ドープ半導体層(107)に接続するように形成されている、オプトエレクトロニクス部品(101)の製造方法。
【請求項11】
前記n型ドープ半導体層および前記p型ドープ半導体層の少なくとも一方の半導体層内に欠陥が形成され、前記欠陥には、前記ドーパント(501)が添加され、それにより、前記ドープ領域(119)は、前記欠陥に隣接して形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記n型ドープ半導体層および前記p型ドープ半導体層の少なくとも一方の半導体層内にビア(403)が形成され、前記ビア内に前記ドーパント(501)が導入され、それにより、前記ドープ領域(119)は、前記ビア(403)に隣接して形成される、請求項1011のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ドープ領域に前記ドーパント(501)を添加する前に、前記半導体積層体(105)の少なくとも1つの露出面に、前記ドーパント(501)によるドーピングに対する保護層を設ける、請求項1012のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オプトエレクトロニクス部品に関する。本発明は、さらに、オプトエレクトロニクス部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
弱い静電放電でさえ、絶えずオプトエレクトロニクス部品にダメージを与え得る。このようなオプトエレクトロニクス部品は、例えば、窒化インジウムガリウムチップであり得る。
【0003】
したがって、静電放電から保護するための対策が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
静電放電によって引き起こされるダメージから、より効率的に保護されるオプトエレクトロニクス部品を提供することが本発明の目的であると考えることができる。
【0005】
対応するオプトエレクトロニクス部品の製造方法を提供することも本発明の目的と考えることができる。
【0006】
かかる目的は、各独立請求項の主題によって達成される。有利な実施形態が各従属請求項に記載される。
【0007】
一態様によれば、n型ドープ半導体層およびp型ドープ半導体層を備え、電磁放射を生成する目的の活性ゾーンを備えるようにpn接合が形成された半導体積層体が設けられたキャリアを備える、オプトエレクトロニクス部品であって、
n型ドープ半導体層およびp型ドープ半導体層の少なくとも一方は、第1のドープ濃度のドープ領域を備え、前記第1のドープ濃度は、前記ドープ領域を備える半導体層内の前記ドープ領域の周囲エリア内の第2のドーピング濃度よりも高い、
オプトエレクトロニクス部品が提供される。
【0008】
さらなる態様によれば、n型ドープ半導体層およびp型ドープ半導体を備え、電磁放射を生成する目的の活性ゾーンを備えるようにpn接合が形成される、半導体積層体をキャリア上に設け、n型ドープ半導体層およびp型ドープ半導体層の少なくとも一方の領域に、ドーパントを添加し、その結果、前記領域は、前記領域を備える半導体層内の前記領域の周囲エリア内の第2のドーピング濃度より高い第1のドーピング濃度でドープされる、オプトエレクトロニクス部品の製造方法が提供される。すなわち、特に、n型ドープ半導体層およびp型ドープ半導体層の少なくとも一方を備える半導体積層体の領域に、ドーパントが添加される。
【0009】
一実施形態によれば、キャリアは、一般に、「基板」ともいわれ得る成長基板として形成されることができる。次いで、特に、半導体積層体の個別層(すなわち、特に、n型ドープ半導体層およびp型ドープ半導体層)を、かかる成長基板上に形成するかまたは成長させる。上記領域は、この時、特に半導体層の成長中にドープされることができる。特に、代替としてまたは追加的に、上記領域は、半導体層の成長後にドープされることができる。これは、特に、半導体積層体が依然として成長基板上に配置されている場合に当てはまる。成長基板は、例えば、サファイアを含むことができるか、または、サファイアで形成されることができる。
【0010】
一実施形態によれば、半導体積層体の半導体層を成長基板上に成長させた後で、半導体積層体の成長基板とは反対側に形成される面上に、キャリア基板を配置することができる。したがって、成長基板とキャリア基板とは、互いに対向し、半導体積層体は、成長基板とキャリア基板との間に設置、形成または配置される。特に、この配置では、代替としてまたは追加的に、上記領域は、適宜ドープされることができる。キャリア基板は、特に、ゲルマニウムまたはシリコンを含むか、または、ゲルマニウムまたはシリコンから形成されることができる。
【0011】
キャリア基板の配置後、特に、成長基板は、半導体積層体から剥離または除去されることができる。この場合、キャリア基板は特に、キャリアを形成し、次いで、好ましくは、代替としてまたは追加的に、上記領域はドープされることができる。このように、キャリア基板は、成長基板とは別である。
【0012】
上記領域にドーピングすること(すなわち、n型ドープ半導体層および/またはp型ドープ半導体層に、対応するドーピング濃度を付与すること)には、特に、半導体積層体の成長または形成の間に、上記領域が適宜ドープされる場合が含まれる。特に、上記領域にドーピングすることには、追加的にまたは代替として、後に(すなわち、半導体積層体の成長または形成後に)、例えばスパッタリングプロセスを使用して、領域が適宜ドープされる場合も含まれる。
【0013】
概して、特に上記領域は好ましくは、成長基板がキャリアとして設けられるときにドープされることができる。特に、代替としてまたは追加的に、上記領域は、多くの場合、例えばキャリア基板がキャリアとして設けられるときに、ドープされることができる。
【0014】
1つの領域に関する記述は、多くの場合、複数の領域についても当てはまり、その逆も同様である。
【0015】
したがって、本発明は、特に、n型ドープ半導体層およびp型ドープ半導体層の少なくとも一方に、上記領域を備える半導体層のドーピング(ドーピング濃度)よりも高いドーピング(ドーピング濃度)の領域を設けるというコンセプトを含む。すなわち、特に、ドープ半導体層は、均一にドープされるのではなく、むしろ、不均一なドーピング(ドーピング濃度)である。したがって、特に、ドープ半導体層のさまざまな領域が、さまざまにドープされる。半導体層が、このような領域を複数備える場合、ドーピングの調節またはドーピングにおける調節について説明することができる。すなわち、特に、これら領域によって、かかるドーピングの調節が行なわれる。
【0016】
ドーピング濃度が高い(高濃度の)ドープ領域を設けることによって、有利なことに、ドープ領域の周囲エリアの降伏挙動とは異なる当該ドープ領域の降伏挙動を実現することができる。特に、第1のドーピング濃度の領域の、特に逆方向降伏電圧は、当該第1のドーピング濃度の領域の周囲領域または周囲エリアの逆方向降伏電圧よりも低い。このように、上記領域の周囲エリアの逆方向降伏電圧は、より高いかまたはより大きい。
【0017】
特に、本オプトエレクトロニクス部品は、複数のドープ領域を備えることができ、これら複数のドープ領域は、互いに横方向に離間して配置される。横方向とは、nドープ半導体層等の主延在面に平行な方向である。第2のドーピング濃度の領域は、いずれの場合も隣接する各ドープ領域間に設けられることができる。したがって、ドーパント濃度の高い領域とドーパント濃度の低い領域が、横方向において交互に配置されることができる。かかるドーパント濃度の調節によって、降伏電圧を横方向においても調節することができる。
【0018】
pn接合の順方向は次のように定義される。電圧源の陰極は、n型ドープ半導体層上に当てられるかまたは配置され、電圧源の陽極は、p型ドープ半導体層上に配置されるかまたは当てられ、電流は、p型ドープ半導体層からn型ドープ半導体層に向かって流れる。これは、本オプトエレクトロニクス部品の作動に関して、本オプトエレクトロニクス部品が電磁放射を生成する場合も概ね同様である。
【0019】
pn接合の逆方向は次のように定義される。電圧源の陽極は、n型ドープ半導体層上に当てられ、電圧源の陰極は、p型ドープ半導体層上に当てられ、逆向きの電流は、生成された小数電荷キャリアに起因して流れるのみである。
【0020】
降伏電圧が低い領域が形成されることにより、潜在的な静電放電は、素早くかつ均一に流れて無くなり、その結果、オプトエレクトロニクス部品にダメージを与え得るかまたはオプトエレクトロニクス部品を破壊し得るのに十分な高さの電圧は、蓄積されない。したがって、本オプトエレクトロニクス部品は、有利なことに、静電荷によって引き起こされるダメージから保護される。
【0021】
静電放電によるダメージからの上記保護作用が半導体積層体に含まれているために、特に、有利なことに、外側保護ダイオード等の外側保護要素を設ける必要がない。かかる外側保護要素は、一般に、半導体積層体とは別に形成され、適宜、半導体積層体に接続される。しかしながら、これには、十分な大きさの構成スペースが必要である。したがって、外側保護要素を省略することにより、本オプトエレクトロニクス部品に必要な構成スペースは、かかる外側保護要素を備える既知のオプトエレクトロニクス部品と比べて削減される。
【0022】
提案する内側保護要素、すなわち、第1のドーピング濃度のドープ領域は、出射される電磁放射の輝度を減少させることもない。したがって、内側保護要素を設けることによる効率ロスがない。
【0023】
したがって、効率ロスを生じることなく、ESD保護が行なわれる。
【0024】
換言すれば、特に、内側保護要素、すなわち、第1のドーピング濃度のドープ領域が半導体積層体内または半導体積層体上に直接組み込まれていることによって、外側保護要素を設ける必要がない。したがって、有利なことに、本オプトエレクトロニクス部品の静電放電に対する安定性が向上する。さらに、半導体積層体の個々の半導体層の成長に関し、特定のエピタキシが必要とされない。それにより、製造プロセスは相当に単純化され、かつ、コストおよび製造時間は削減されることができる。
【0025】
したがって、有利なことに、高い費用効率、省スペース、ESDセキュアなオプトエレクトロニクス部品を製造することができる。本明細書において「ESDセキュア」は、特に、静電放電に対する耐性があることを意味する。「ESD」は、静電放電(Electrostatic Discharge)の省略形である。
【0026】
特定の実施形態において、本オプトエレクトロニクス部品または本方法のみに特に言及する場合であっても、先行する記述および以下の記述は、常に本方法および本オプトエレクトロニクス部品に当てはまることに留意されたい。実施形態がn型ドープ半導体層に言及するとき、対応する記述が、p型ドープ半導体層にも当てはまり、その逆も同様である。実施形態が1つのドープ領域にのみ言及するとき、対応する記述が、複数のドープ領域にも当てはまり、その逆も同様である。
【0027】
本発明における「ドーピング」は、特に、半導体層内にドーパントを導入する場合を含む。特に、ドーピングはまた、ドーパントを備えるドーピング層が半導体層の表面上に形成される場合を含むことができる。ドープ領域は、n型ドープ半導体層またはp型ドープ半導体層を形成するために半導体層をドーピングするときに特に形成されることができる。
【0028】
一実施形態によれば、複数のドープ領域を設けることができる。例えば、これら複数のドープ領域は、同一に、または、特に、異なるように形成されることができる。これらドープ領域のドーピング濃度は、各ドープ領域が異なるように形成される(すなわち、特に、異なるドーピング濃度を有する)ことができるとしても、対応するドープ半導体層内の、各ドープ領域の直接的な周囲エリア(すなわち、特に、各ドープ領域に直接隣接するエリア)のドーピング濃度よりも常に高い。特に、複数のドープ領域が、n型ドープ半導体層内に設けられることができる。好ましくは、複数のドープ領域が、p型ドープ半導体層内に設けられることができる。
【0029】
一実施形態によれば、上記領域は、半導体層の成長基板上での成長方向に対して横方向に延在することができる。すなわち、特に、成長方向に対する上記領域の横方向の広がりは、横断方向の広がりよりも大きい。ドープ領域は、特に、長方形である。好ましくは、ドープ領域は正方形である。正方形または長方形の辺長を、特に、3μmとすることができる。
【0030】
一実施形態によれば、上記領域を、n型にドープすることができ、第2のドーピング濃度を、n型ドープ半導体層のドーピング濃度とすることができる。
【0031】
一実施形態によれば、シリコン(Si)等のドーパントをn型ドーピング用のドーパントとすることができる。すなわち、特に、n型ドープ領域および/またはn型ドープ半導体層は、前記ドーパントでドープされる。かかるドーパントを、特に、n型ドーパントということもできる。n型ドーパントのドーピング濃度を、特に、n型ドーピング濃度ということもできる。特に、ゲルマニウム(Ge)、および/または、セレン(Se)、および/または、酸素(O)、および/または、硫黄(S)、および/または、テルル(Te)等の、当業者に既知の他のn型ドーパントを、追加的にまたは代替として添加することもできる。
【0032】
一実施形態によれば、上記領域をp型にドープすることができ、第2のドーピング濃度をp型ドープ半導体層のドーピング濃度とすることができる。n型ドープ領域およびn型ドープ半導体層についての記述は、必要な変更を加えて、p型ドープ領域およびp型ドープ半導体層に適用され、その逆も同様である。
【0033】
一実施形態によれば、マグネシウム(Mg)および/または炭素(C)のドーパントをp型ドーピング用に使用することができる。すなわち、特に、p型ドープ領域および/またはp型ドープ半導体層は、特に、p型ドーパントといわれる前記ドーパントの一方または両方でドープされることができる。p型ドーパントのドーピング濃度を、特に、p型ドーピング濃度ということもできる。特に、ベリリウム(Be)および/または亜鉛(Zn)等の、当業者に既知の他のp型ドーパントを、追加的にまたは代替として添加することもできる。
【0034】
一実施形態によれば、n型ドープ半導体層は、n型ドープ半導体層内のn型ドープ領域の周囲エリア内の第2のn型ドーピング濃度よりも高い第1のn型ドーピング濃度のn型ドープ領域を備え、また、p型ドープ半導体層は、p型ドープ半導体層内のp型ドープ領域の周囲エリア内の第2のp型ドーピング濃度よりも高い第1のp型ドーピング濃度のp型ドープ領域を備える。
【0035】
他の実施形態では、n型ドープ半導体層は、第1のn型ドーピング濃度の複数のn型ドープ領域を含むことができ、また、好ましくは、p型ドープ半導体層は、第1のp型ドーピング濃度の複数のp型ドープ領域を備えることができる。複数の第1のn型ドーピング濃度および/または複数の第1のp型ドーピング濃度は、それぞれ、好ましいことに、同一であっても異なっていてもよい。それでもなお、第1のn型ドーピング濃度および第1のp型ドーピング濃度は、それぞれ、常に、第2のn型ドーピング濃度および第2のp型ドーピング濃度よりも高い。
【0036】
一実施形態によれば、上記領域は、pn接合まで延在するように、かつ、特に、pn接合に接触するように形成されることができる。その結果、有利なことに、ドープ領域とpn接合との間の移行部内に、ツェナーダイオードのような挙動のゾーンが形成される。すなわち、特に、ドープ領域を設けることにより、半導体積層体内に内側ツェナーダイオードが形成されるに等しく、このツェナーダイオードは、外側ツェナーダイオードと類似の方法で静電放電によるダメージから保護することができる。
【0037】
さらなる実施形態によれば、上記領域は、pn接合を通って延在するように、かつ、n型ドープ半導体層とp型ドープ半導体層とを接続するように形成されることができる。すなわち、特に、ドープ領域は、一方のドープ半導体層から延在し、pn接合を通って他方のドープ半導体層内まで延在する。有利なことに、この場合も、内側ツェナーダイオードが形成される。両ドープ半導体層間を直接接続することによって、接触はさらに改善され、降伏電圧はさらに低減される。それにより、有利に、静電放電によるダメージに対するさらに有効な保護を実現することができる。
【0038】
他の実施形態によれば、上記領域は、上記領域を備える半導体層内に形成された欠陥に隣接して形成されることができる。すなわち、特に、n型ドープ半導体層および/またはp型ドープ半導体層は、それぞれ、欠陥を有し、この欠陥に隣接してドープ領域が形成される。「隣接」には、特に、ドープ領域が欠陥に直接接触している場合が含まれる。すなわち、特に、例えば、欠陥とドープ領域との間にはさらなる層は一切形成されない。上記領域は、欠陥に間接的に隣接して形成されることができる。すなわち、特に、例えば、欠陥と上記領域との間に1層以上の層が設けられる。
【0039】
一実施形態によれば、複数の欠陥、すなわち、特に、n型ドープ半導体層、および/または、好ましくは、p型ドープ半導体層内の複数の欠陥が形成されることができる。これら欠陥は、特に、同一であるように、または、好ましくは異なるように形成される。
【0040】
一実施形態によれば、欠陥を、Vピットとすることができる。Vピットは、例えば、特特定の成長条件において形成されることができる。Vピットは、特に、結晶欠陥を指し、特に、好ましくは転位上に生じ得る開いた六方晶系の結晶欠陥を指し、このVピットは、断面図視において、概して「V」字状である。すなわち、特に、これら欠陥は、いずれも、成長基板上の半導体層の成長方向を基準とする成長方向に大きくなる、特に、いずれも、相互に衝突するまで大きくなり、それにより、断面において「V」字状に認識されることができる。
【0041】
他の実施形態によれば、欠陥を、エピチューブとすることができる。エピチューブは、特に、極細の結晶欠陥を指し、特に、かかる結晶欠陥の直径は、1μm未満である。特に、直径を、数ナノメートル、特に0.1ナノメートルとすることができる。したがって、直径は、特に、0.1ナノメートル〜1μmとすることができる。かかる細い結晶欠陥は、特に、広範囲を通って、または、半導体積層体のさらなる層さえも通って、垂直に延びる、すなわち、延在することができる。かかるエピチューブの直径は、特に、成長方向に一定である。かかる結晶欠陥は、特に、転位上に形成されることができるか、または、転位において生じ、例えば、中空であってもよい。
【0042】
Vピットまたはエピチューブ等の欠陥は、本質的にツェナーダイオードの挙動を有し、また、この場合、欠陥の周囲の領域に比べて降伏電圧が低減されている。この欠陥は、特に、p型にドープされかつn型にドープされるときに、本質的にツェナーダイオードの挙動を有する。すなわち、特に、この欠陥は、活性ゾーン内に形成されることができる。かかる欠陥にドープ領域を設けることによって、有利なことに、既に備わっているダイオードの挙動、または、既に備わっているツェナーダイオードの挙動がさらに向上し、したがって、有利に、降伏電圧をさらに低減することができる。それにより、この場合、静電放電によるダメージに対するさらに向上した保護が実現されることができる。したがって、欠陥によって既に備わっているESD保護は、有利に、よりいっそう向上する。
【0043】
本発明における欠陥は、特に、n型ドープ半導体層内、または、p型ドープ半導体層内、または、アンドープ半導体層内、または、p型ドープおよびn型ドープの半導体層(例えば、電磁放射を生成する目的の活性ゾーン)内に形成されることができるか、または生じることができる。複数の欠陥の場合、これら欠陥は、好ましくは、それぞれ、上述の可能性のある半導体層のうちのいずれかの半導体層内で形成されることができるか、または、生じることができる。
【0044】
一実施形態によれば、上記領域は、上記領域を備える半導体層内に形成されたビアに隣接して形成されることができる。ビアは、特に、半導体積層体内の凹部または開口部またはキャビティを指す。すなわち、特に、ビアは、そのビア付近に、ドーピング濃度が高められたドープ領域を備える。「隣接」には、特に、直接近接することが含まれる。すなわち、特に、例えば、ビアとドープ領域との間にさらなる層が一切形成されない。したがって、ドープ領域は、特に、ビアに直接または直に接触する。ビアは、特に、間接的に近接して設けることもできる。すなわち、特に、ドープ領域は、ビアに間接的に隣接して配置されることができる。したがって、「間接的に隣接」とは、特に、1層以上の層または半導体層がドープ領域とビアとの間に設けられることができる場合を指す。
【0045】
一実施形態によれば、ビアを部分的にまたは完全にドーパントで充填することができる。
【0046】
一実施形態によれば、ビアは、トレンチ、特にメサトレンチとして形成されることができる。特に、トレンチの両側の壁にドーパントを添加することができる。
【0047】
さらなる実施形態によれば、上記領域は、上記領域を備える半導体層の、半導体積層体とは反対側の外面上に形成される。すなわち、特に、ドープ半導体層は、かかる外面に形成されることができ、形成された半導体層は、次いで、ドープ領域を形成する。
【0048】
ドープ半導体層がドープ領域を備えるという表現は、特に、ドープ領域が半導体層の外面上に形成される場合を含むことに留意されたい。この表現は、特に、ドープ領域が、直接、ドープ半導体層内に形成される場合を含む。
【0049】
上記外面を、半導体積層体の縁部、または、特にメサ縁部等とすることができる。
【0050】
一実施形態によれば、ドープ領域の面積を、少なくとも25μmとすることができる。好ましくは、上記領域の長さを、少なくとも5μm、幅を、少なくとも5μmとすることができる。すなわち、特に、上記領域の面積を、少なくとも5μm×5μmとすることができる。
【0051】
他の実施形態によれば、欠陥は、少なくとも1層のドープ半導体層内に形成され、この欠陥にドーパントが添加される。それにより、ドープ領域は、欠陥に隣接して形成される。
【0052】
他の実施形態によれば、ビアは、少なくとも1層のドープ半導体層内に形成され、このビア内にドーパントは導入される。それにより、ドープ領域は、ビアに隣接して形成される。
【0053】
さらに他の実施形態によれば、上記領域にドーパントを添加する前に、半導体積層体の少なくとも1つの露出領域(すなわち、被覆を除去したかまたは被覆されていない露出領域)に、ドーパントによるドーピングに対する保護層を設けることができる。これにより、有利に、確実に、半導体積層体のさらなる半導体層がドーパントによって汚染または汚損されないようにすることができる。例えば、p型ドープ半導体層のp型ドーピングは、有利に、n型ドープ領域用のn型ドーパントを添加する際にダメージを受けない。特に、ドーパントがp型ドーパントである場合、n型ドープ半導体層のn型ドーピングのダメージは、回避されることができる。
【0054】
一実施形態によれば、上記領域にドーパントを添加する前(すなわち、ドーピング前)に、半導体積層体の、ドープ領域が設けられるドープ半導体層に属していない1つ以上の領域を除去する。それにより、後続のドーピングステップで、ドーピング濃度が高いドープ領域の形成が望ましい半導体層は、良好にドープされる。したがって、特に、ドーピングによって、他の半導体層が汚染されるリスクはない。かかる他の半導体層が、いくつかの領域の除去によって、ドープ対象のゾーンから十分に離れた位置にあるからである。
【0055】
一実施形態によれば、キャリアは、基板として、特に成長基板として形成されることができる。
【0056】
一実施形態によれば、半導体積層体は、反射層、接触層、または反射防止層等のさらなる層を含む。
【0057】
図面と共に詳細に説明される例示的実施形態の以下の記載と共に、本発明の上述の性質、特徴、および利点、ならびに、これら性質、特徴、および利点を実現する方法がより明確に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】オプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図2】オプトエレクトロニクス部品の製造方法のフローダイアグラムである。
図3】さらなるオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図4】製造時における異なる時点の他のオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図5】製造時における異なる時点の他のオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図6】製造時における異なる時点のさらなるオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図7】製造時における異なる時点のさらなるオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図8】製造時における異なる時点のさらなるオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図9】製造時における異なる時点のさらなるオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図10】製造時における異なる時点の他のオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図11】製造時における異なる時点の他のオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図12】製造時における異なる時点の他のオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図13】製造時における異なる時点の他のオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図14】製造時における異なる時点のさらに別のオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図15】製造時における異なる時点のさらに別のオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図16】製造時における異なる時点のさらに別のオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図17】製造時における異なる時点のさらに別のオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図18】製造時における異なる時点のさらに別のオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図19】製造時における異なる時点の他のオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図20】製造時における異なる時点のさらに他のオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図21】製造時における異なる時点のさらに他のオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図22】製造時における異なる時点のさらに他のオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
図23】さらなるオプトエレクトロニクス部品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、同一の特徴には、同一の参照符号を付す。
【0060】
図1は、オプトエレクトロニクス部品101を示す。
【0061】
オプトエレクトロニクス部品101は、例えば、基板として、特に成長基板として、形成されることができるキャリア103を備える。半導体積層体105は、キャリア103上に形成される。半導体積層体105は、p型ドープ半導体層107およびn型ドープ半導体層109を含む。pn接合111が、n型ドープ半導体層109とp型ドープ半導体層107との間に形成され、電磁放射を生成する目的の活性ゾーン113を備える。
【0062】
オプトエレクトロニクス部品101の場合、半導体積層体105の個別の半導体層は、キャリアから見て、p型ドープ半導体層107、pn接合111、n型ドープ半導体層109の順序で、キャリア103に形成される。
【0063】
不図示の一実施形態では、n型半導体層109が、キャリア103から見て、最初に形成されることができる。
【0064】
不図示の他の例示的実施形態では、半導体積層体105は、さらなる層、特にさらなる半導体層(例えば、反射層、および/または、n型ドープ半導体層とp型ドープ半導体層との接触のための接触層)を備える。
【0065】
n型ドープ半導体層は、n型ドープ半導体層109内に形成されるドープ領域115を備える。ドープ領域115の第1のドーピング濃度は、ドープ領域115の周囲エリア内の第2のドーピング濃度よりも高く、第2のドーピング濃度は、n型ドープ半導体層109のドーピング濃度に一致する。すなわち、特に、n型ドープ半導体層109と比べて高い濃度のn型ドーパントがドープ領域115内に添加される。
【0066】
さらに、n型ドープ半導体層109は、同様に第2のドーピング濃度より高い第3のドーピング濃度が添加されるさらなるドープ領域117を含む。さらなるドープ領域117は、pn接合111まで延在し、それにより、有利なことに、内側ダイオード、特にツェナーダイオードが上記領域内に形成される。
【0067】
さらに、n型ドープ半導体層109は、同様に第2のドーピング濃度より高い第4のドーピング濃度のさらに別のドープ領域119を含む。かかるn型ドープ領域119は、n型ドープ半導体層109から、活性ゾーン113を備えるpn接合111を通ってp型ドープ半導体層107内まで延在し、それにより、さらなるn型ドープ領域119は、p型ドープ半導体層107およびn型ドープ半導体層109の二層を互いに接続する。
【0068】
かかる各ドープ領域を設けることによって、有利に、逆方向降伏電圧は、これらドープ領域において低減され、その結果、有利に、潜在的な静電放電は、これらドープ領域を介して速やかに流れて無くなることができる。これにより、有利なことに、静電放電によるダメージに対する保護がもたらされる。
【0069】
不図示のいくつかの実施形態では、ドープ領域115,117,119のうちから、それぞれ、複数の各領域が形成されることができる。特に、例えば、これら領域115,117,119のうちの1種類のみ(すなわち、特に、領域115のみ、領域117のみ、領域119のみ)が設けられることができる。
【0070】
不図示の他の実施形態では、n型ドープ領域115,117,119に加えて、または、これらn型ドープ領域の代わりに、対応するp型ドープ領域をp型ドープ半導体層107内に設けることができる。n型ドープ領域115,117,119についての記述は、特に、必要な変更を加えて、p型ドープ領域およびp型ドープ半導体層107に当てはまり、その逆も同様である。したがって、静電放電は、p型ドープ半導体層を介して流れて無くなることもできる。
【0071】
図2は、オプトエレクトロニクス部品の製造方法のフローダイアグラムを示す。
【0072】
ステップ201では、キャリア、特に、成長基板等の基板上に半導体積層体を形成する。半導体積層体は、n型ドープ半導体層およびp型ドープ半導体層を備える。すなわち、特に、ステップ201では、n型ドープ半導体層およびp型ドープ半導体層が、キャリア上に形成される。
【0073】
ステップ203では、n型ドープ半導体層およびp型ドープ半導体層を形成することにより、電磁放射を生成する目的の活性ゾーンを備えるpn接合が形成される。
【0074】
ステップ205では、n型ドープ半導体層およびp型ドープ半導体層の少なくとも一方の領域にドーパントを添加する。それにより、上記領域は、上記領域を備える半導体層内の上記領域の周囲エリア内の第2のドーパント濃度より高い第1のドーパント濃度でドープされる。
【0075】
すなわち、特に、例えば、n型ドープ半導体層にn型ドーパントを添加し、それにより、n型ドーピングが増加した1つ以上の領域を形成する。ドーピング濃度が高いかまたは濃いn型ドープ領域を備えるn型ドープ半導体層に関する記述は、必要な変更を加えて、p型ドープ半導体層の場合はp型ドーパントでドープされることができるp型ドープ半導体層に当てはまり、それにより、p型ドープ半導体層のドーピング濃度より高いかまたは濃いドーピング濃度の1つまたは複数の領域をp型ドープ半導体層内に形成することができる。
【0076】
図3は、さらなるオプトエレクトロニクス部品301を示す。
【0077】
オプトエレクトロニクス部品301は、p型ドープ半導体層107およびn型ドープ半導体層109を有する半導体積層体105を備える。明確にするために、オプトエレクトロニクス部品301のためのキャリアは、図示されていない。かかるキャリアは、例えば、p型ドープ半導体層107側、または、n型ドープ半導体層109側に設けられることができる。明確にするために、活性ゾーンを備えるpn接合は、同様に図示されていない。
【0078】
オプトエレクトロニクス部品301は、n型ドープ半導体層109内に形成される3つのドープ領域を備え、これらドープ領域117は、n型にドープされ、これらドープ領域117のドーピング濃度は、n型ドープ半導体層109のドーピング濃度より高い。これらドープ領域117は、n型ドープ半導体層109内で横方向に延在し、p型ドープ半導体層107に接触する。
【0079】
かかるドープ領域117を設けることにより、半導体積層体105内に擬似内側ダイオード(quasi-internal diode)が形成される。このダイオードは、参照符号305が付された対応する電気用図記号、特に、この場合はダイオード用の電気用図記号を用いて象徴的に図示される。比較のために、参照符号303が付された電気用図記号が図示されており、これは、同じくダイオード用の電気用図記号である。このダイオードの電気用図記号303は、n型ドープ半導体層109とp型ドープ半導体層107との間に図示され、かかる位置には、ドープ領域117は存在しない。ダイオードの電気用図記号303は、ダイオードの電気用図記号305より大きく図示されている。この位置では、降伏が起こる前により大きな降伏電圧が印加されなければならないからである。
【0080】
2つのダイオード303およびダイオード305の異なる降伏挙動が図3のグラフに図示される。電流Iが電圧Uに対してプロットされる。ダイオード305の特性曲線には、参照符号307が付されている。ダイオード303の特性曲線には、参照符号309が付されている。n型ドーピングが増加した領域、すなわち、領域117では、降伏電圧がより低いことがわかる。
【0081】
図4および図5は、製造時の異なる時点のさらなるオプトエレクトロニクス部品401を示す。
【0082】
図4は、n型ドープ半導体層109およびp型ドープ半導体層107を備える半導体積層体105を図示する。さらに、凹部403(ビアともいう)が半導体積層体105内に既に形成されている。ビア403は、エッチング等で形成されてもよい。ビア403は、p型ドープ半導体層107とn型ドープ半導体層109とを貫通して延在する。
【0083】
次いで、n型ドーパントがビア403内に導入され、この導入は、一例としてまたは象徴的に参照符号501が付された矢印を用いて示される。上記ドーパント(この場合、特に、n型ドーパント)を導入することにより、n型ドープ半導体層109内のビア403に隣接して形成される領域に、より高い濃度のn型ドーピングが添加される。n型ドープ領域117は、このように、n型ドープ半導体層109内に形成され、ビア403に直に隣接して延在する。
【0084】
さらに、オプトエレクトロニクス部品401は、半導体積層体105の露出外面(縁部、特にメサ縁部405といわれることもできる)を有する。n型ドーパントは、n型ドープ半導体層109の、かかる露出外面、特にメサ縁部405内にも同様に導入されることができ、したがって、n型ドープ半導体層109のかかる領域内にも、n型ドープ領域117は形成され、このn型ドープ領域のドーピング濃度は、n型ドープ半導体層109のドーピング濃度より高い。
【0085】
n型ドーパントは、n型ドーピング層が外面上に形成されて、次いで、ドープ領域を形成するように添加される。これは、p型ドーパントについても同様である。
【0086】
図4および図5は、n型ドープ半導体層109内のn型ドーピングを増加させた領域が設けられるオプトエレクトロニクス部品401を示しているが、例えば、p型ドープ半導体層107内の対応する領域のp型ドーピングを、n型ドープ半導体層109のn型ドープ領域117に加えてまたは当該n型ドープ領域117の代わりに、増加させることができる。
【0087】
図6図9は、製造時の異なる時点の他のオプトエレクトロニクス部品601を示す。
【0088】
図6は、例えば、基板、特に成長基板として形成されることができるキャリア103を備えるオプトエレクトロニクス部品601を示す。n型ドープ半導体層109が基板103上に形成され、n型ドープ半導体層は、欠陥、図示の実施形態ではVピット603を備える。かかるVピット603は、成長方向605(対応する参照符号が付された矢印で図示される)に開いている六方晶系の結晶欠陥を指す。かかる欠陥は、成長方向605に次第に大きくなり、したがって、断面において「V」字状に認識されることができる。
【0089】
明確にするために、Vピット603の対応する三次元図も図6に記載される。すなわち、特に、半導体層109は、断面においてV字状の結晶欠陥を有する。不図示の一実施形態では、例えば、同一であるように形成することも、異なるように形成することもできる上記複数のVピット603が形成されることができる。
【0090】
n型ドーパントをVピット603内に導入することができ、その結果、図7に示すように、n型ドープ領域117がVピット603内に形成され、n型ドープ半導体層109に設けられる。したがって、n型ドープ半導体層109は、当該n型ドープ半導体層109内のドーピング濃度と比べて高濃度のn型ドーピングが添加される領域を備える。特に、n型ドーパントがn型ドープ半導体層109内に進入または拡散し、したがって、n型ドープ半導体層109内で、高濃度のドープ領域を形成するように、Vピット603は充填されることができる。これは、p型ドーパントについても同様である。
【0091】
図7では、Vピット603は部分的にのみn型ドーパントで充填される。不図示の一実施形態では、Vピット603は、完全に、n型ドーパントで充填される。
【0092】
図8では、図7よりも時間的に後の時点の、対応する製造方法におけるオプトエレクトロニクス部品601を示す。すなわち、特に、Vピット603は、少なくとも部分的に、特に、完全に、n型ドーパントで充填され、次いで、p型ドープ半導体層107が、上述のように形成された層(すなわち、少なくとも部分的に充填されたVピット603を有するn型ドープ半導体層109)上に形成される(特に、成長方向605に成長する)。n型ドープ領域117を備えるゾーンの逆方向降伏電圧は、低減されており、したがって、電荷は、流れて無くなることができる。それにより、オプトエレクトロニクス部品601は、静電放電によるダメージから保護されることができる。
【0093】
図9は、オプトエレクトロニクス部品601の可能な一変形形態を示す。この形態の場合、Vピット603は、図7および図8と同様に、少なくとも部分的にn型ドーパントで充填される。さらに、このn型ドーパントの層は、Vピット603の外側のn型ドープ半導体層109の露出面に形成される。Vピット603内のn型ドーパント層の層厚さは、キャリア103に平行に延在する露出面上の、Vピット603の外側の領域におけるn型ドーパント層の層厚さよりも大きいかまたは厚い。Vピット603内のn型ドーパントの層厚さは、参照符号903が付された二重矢印で図示される。Vピットの外側のn型ドーパントのより薄い層厚さは、参照符号901が付された二重矢印で図示される。図8と同様に、p型ドープ半導体層107を、図9の層構造上に形成することができる(特に、成長させることができる)。
【0094】
図6図9に関してなされた記述は、必要な変更を加えて、1つ以上のVピットを備えるp型ドープ半導体層に当てはまる。
【0095】
不図示の一実施形態では、n型ドープ半導体層とp型ドープ半導体層とは、それぞれ、適宜ドープされた1つ以上のVピットを備える。
【0096】
図10図13は、それぞれが製造時における異なる時点のさらに他のオプトエレクトロニクス部品1001および1101を示す。
【0097】
図10は、キャリア103上に、キャリア103から見た場合の第1の層として、n型ドープ半導体層109を成長させたオプトエレクトロニクス部品1001を示す。個別の半導体層がキャリア103上に成長するため、キャリア103は、特に、成長基板または基板ということもできる。
【0098】
図11は、さらなるオプトエレクトロニクス部品1101を示す。さらなるオプトエレクトロニクス部品1101の場合、p型ドープ半導体層107が、n型ドープ半導体層109よりもキャリア103の近くに設けられる。
【0099】
特に、図10のオプトエレクトロニクス部品1001のキャリア103は、除去されており、この場合、p型ドープ半導体層107は、さらなるキャリア103上に形成または配置されている(図13の下図参照。当該図中で、上記さらなるキャリアは、参照符号1304で図示される)。
【0100】
図12および図13は、製造時における異なる時点のオプトエレクトロニクス部品1101を示しており、このオプトエレクトロニクス部品1101には、図10のオプトエレクトロニクス部品1001の関連する記述が、必要な変更を加えた上で、当てはまる。図13は、オプトエレクトロニクス部品1101の製造の可能な変形形態を示す。第1の変形形態が、参照符号1305Aが付された上図に示され、その下に、参照符号1305Bが付された下図に、第2の変形形態が示される。
【0101】
図12では、メサトレンチ1201が、半導体積層体105内にキャリア103までエッチングされている。その結果、半導体積層体105は、2つの部分に分割され、したがって、図12中で参照符号1101Aと参照符号1101Bとで示される2つのオプトエレクトロニクス部品を形成する。
【0102】
次いで、対応するn型ドーパントが、エッチングされたメサトレンチ1201内に導入されることができ、それにより、n型ドーピングが増加した領域が、メサトレンチ1201内の半導体積層体105のメサ縁部405上に形成される。特に、n型ドーパントは、半導体積層体105のメサ縁部405上、および、各オプトエレクトロニクス部品1101Aおよび1101Bの半導体積層体のメサトレンチ1201とは反対側の面上(すなわち、半導体積層体105のメサトレンチ1201とは反対側の面上)にも添加される。
【0103】
したがって、図13中の両図に示すように、n型ドープ半導体層109からpn接合111を介して、p型ドープ半導体層107まで延在するn型ドープ領域117が形成される。n型ドープ領域117を備える、n型ドープ半導体層109からp型ドープ半導体層107までの移行領域1301は、半導体積層体105の、n型ドーピングを増加させていない領域と比べて、逆方向降伏電圧が低い。
【0104】
図13は、上図において、参照符号1305Aで示される可能な一実施形態を示す。この実施形態では、キャリア103は、成長基板を形成する。成長基板を、サファイア等とすることができる。
【0105】
図13は、下図において、参照符号1305Bで示されるさらなる可能な実施形態を示し、これは、オプトエレクトロニクス部品1305Aのさらなる発展形態である。この実施形態では、成長基板(上図におけるオプトエレクトロニクス部品1305Aの要素103)は除去されている。除去前に、反射層1303が、p型ドープ半導体層107の成長基板103とは反対側の面上に形成されており、次いで、ゲルマニウムまたはシリコン等のキャリア基板1304が上記反射層1303上に形成され、その結果、反射層1303は、2つのオプトエレクトロニクス部品1101Aおよび1101Bを担持するために、これらオプトエレクトロニクス部品を接続する。次いで、成長基板103は除去される。この実施形態では、反射層1303は、特に、完成したオプトエレクトロニクス部品が成長基板ではなくキャリア基板をキャリアとして備える場合に設けられる。
【0106】
不図示の一実施形態では、n型ドーパントを添加または導入する前に、オプトエレクトロニクス部品1101Aおよび1101Bの露出面に保護層を設ける。したがって、例えば、p型ドープ半導体層107および/またはpn接合111の活性ゾーン113は、n型ドーパントでドープされない。
【0107】
n型ドーパントは、スパッタリング等によって導入されることができる。特に、これは、概して、例示した特定の実施形態から独立している。
【0108】
上記の、n型ドーパントおよびn型ドープ半導体層109に関する記述は、必要な変更を加えて、p型ドープ半導体層がp型ドーパントでドープされ、それにより、p型ドーピング濃度が高められた領域がp型ドープ半導体層107内に形成される実施形態にも当てはまる。本実施形態は、例えば、図10のオプトエレクトロニクス部品1001に基づくことができる。すなわち、特に、図12および図13と同様に、図10のオプトエレクトロニクス部品1001には、同様に、メサトレンチ1201が設けられ、次いで、オプトエレクトロニクス部品1001は、適宜、p型ドーパントでドープされる。
【0109】
図14図18は、製造時における異なる時点のオプトエレクトロニクス部品1401を示す。このオプトエレクトロニクス部品1401では、特に、図13のオプトエレクトロニクス部品1305Bと同様に、反射層1303を設けることができる。反射層1303は、図13のオプトエレクトロニクス部品1303Aと同様に省略することもできる。反射層1303を設けるか否かの決定は、特に、成長基板が除去されるか否かによる(すなわち、キャリア基板が設けられるか否かによる)。
【0110】
図10図13と同様に、ビア403または凹部も、オプトエレクトロニクス部品1401の半導体積層体105内にエッチングされるか形成される。相違点としては、凹部403は、キャリア103まで延在せず、n型ドープ半導体層109内で終端する。
【0111】
したがって、半導体積層体105の個別半導体層の露出面が形成され、n型ドーパントおよび/またはp型ドーパント等によってドープされることができ、したがって、例えば、それぞれn型ドープ半導体層109またはp型ドープ半導体層107のドーピング濃度より高いドーピング濃度の、対応するドープ領域が形成される。
【0112】
例えば、図16では、凹部403内の露出面は、スパッタリング等を用いて、対応する材料を個々の層内に導入することによって、シリコン等のn型ドーパントでドープされることができる。
【0113】
次いで、これらドープ領域117上、および、p型ドープ半導体層107上に、不活性化層1701を設ける(例えば、成長させる)。例えば、図17の不活性化層1701は、不活性化層1701を成長させるか、または、導入するか、または、設けることによって、ビア403の底部も被覆し、次いで、図17に同様に示すように、凹部403の側壁が不活性化層によって被覆された後に、不活性化層1701は除去される。
【0114】
次いで、次の層として、n型接触層1801が、図17の半導体積層体上に形成され(特に、成長し)、特にn型ドープ半導体層109に電気的に接触する。これは、図18に示される。
【0115】
図19は、他のオプトエレクトロニクス部品1901を示す。
【0116】
オプトエレクトロニクス部品1901が平面図で示される。複数のビア403および周辺メサ縁部405が示され、かかるメサ縁部は、ドーピング濃度が高められたドープ領域(不図示)を備え、それにより、広いエリアの全域にわたって、逆方向電圧が低減される。
【0117】
図20図22は、製造時における異なる時点のさらなるオプトエレクトロニクス部品2001を示す。
【0118】
明確にするために、半導体積層体105のためのキャリア103は、図示されていない。n型ドープ半導体層109によって包囲され、かつ、pn接合111を通ってp型ドープ半導体層107内まで延在するn型ドープ領域117が形成される。逆方向降伏が生じる際に、電流が流れる。この電流の流れは、参照符号2003の矢印によって図示される。参照符号2002は、ハッチングを施した領域を指し、この領域では、p型ドープ半導体層107とn型ドーピングを増加させたn型ドープ領域117とが重なっている。この場合、この領域2002内では、高濃度のn型ドーピングによって、p型導電性は低減され得る。可能性として、この領域2002内では、n型ドーピングによって、p型ドーピングの効力が失われ得る。本形態では、好ましくは、任意の反射層1303を設けることもできる。「任意」とは、特に、反射層1303を省略することができることを意味する。
【0119】
p型導電性の低減を回避するために、例えば、図21では、対応するn型ドーパントの導入前に(すなわち、領域117の形成前に)、p型ドープ半導体層107の対応する露出面上に保護層2101を形成する。特に、かかる保護層2101は、pn接合111の活性ゾーン113の対応する露出面上に形成されることもできる。これにより、有利なことに、n型ドーパントによる、後続のドーピングステップでは、ドーパントが活性ゾーン113およびp型ドープ半導体層107内に進入しないことが確実となる。
【0120】
図22では、保護層2101の代替または追加として、p型ドープ半導体層107の、および/または、活性ゾーンの一部の領域を除去することができ、それにより、p型ドープ半導体層107および活性ゾーン113の対応する縁部は、もはやn型ドープ半導体層109とは面一に延在しないようにすることができる。すなわち、特に、ドーピングステップでは、n型ドープ半導体層109の露出面のみがドープされ、p型ドープ半導体層107および活性ゾーン103はドープされない。上記除去領域は、参照符号2201が付された矢印によって模式的に示される。
【0121】
図23は、オプトエレクトロニクス部品2001と実質的に同様に構成されるさらなるオプトエレクトロニクス部品2301を示す。関連する記述を参照することができる。
【0122】
追加的な特徴として、オプトエレクトロニクス部品2301は、p型ドープ半導体層107上に形成される不活性化層2303を備える。不活性化層2303は、p型ドープ半導体層107の水平面2304に亘って、および、さらに、p型ドープ半導体層107の縁部2305の上に、キャリア103方向にドープ領域117まで延在する。したがって、不活性化層2303は、特に、p型ドープ半導体層107の、縁部2305に接するかまたは隣接する垂直外面2307、および、pn接合111の、外面2307に隣接するさらなる垂直外面2309をも被覆する。
【0123】
要するに、上述のように、本発明は、1つ以上の領域に、当該領域の周囲エリアと比べて、高濃度のn型ドーピングまたはp型ドーピングのいずれかが添加される程度に、p型ドープ半導体層およびn型ドープ半導体層の2層の少なくとも一方、特に、両半導体層に分子ドーピングを添加するというコンセプトを、特に含む。その結果、有利なことに、上記領域の降伏電圧は低く、したがって、好ましいことに、オプトエレクトロニクス部品の静電放電の場合に、電荷が上記低い降伏電圧によって流れて無くなることができる。それにより、有利なことに、特に、静電放電に対する、または、静電放電によって生じ得るダメージに対する保護が提供される。
【0124】
好ましい例示的な実施形態を用いて、本発明を図示し、詳細に説明した。しかしながら、本発明は、開示した例に限定されない。むしろ、当業者であれば、開示した例に基づき、本発明の保護範囲から逸脱することなく、他の変形形態を得ることができる。
【0125】
本特許出願は、独国特許出願第102013103601.5号の優先権を主張し、その開示内容は参照によって本明細書に援用される。
【符号の説明】
【0126】
101 オプトエレクトロニクス部品
103 キャリア
105 半導体積層体
107 p型ドープ半導体層
109 n型ドープ半導体層
111 pn接合
113 活性ゾーン
115 ドープ領域
117 ドープ領域
119 ドープ領域
201 半導体積層体を形成
203 pn接合が形成される
205 ドーパントを領域に添加
301 オプトエレクトロニクス部品
303 ダイオード
305 ダイオード
307 ダイオード305の特性曲線
309 ダイオード303の特性曲線
401 オプトエレクトロニクス部品
403 ビア
405 メサ縁部
501 ドーパント
601 オプトエレクトロニクス部品
603 Vピット
605 成長方向
801 逆方向電圧を低減したゾーン
901 Vピットの外側のドープ領域の厚さ
903 Vピット内のドープ領域の厚さ
1001 オプトエレクトロニクス部品
1101 オプトエレクトロニクス部品
1101A オプトエレクトロニクス部品
1101B オプトエレクトロニクス部品
1201 メサトレンチ
1301 移行領域
1303 反射層
1305A、1305B オプトエレクトロニクス部品
1401 オプトエレクトロニクス部品
1701 不活性化層
1801 n型接触層
1901 オプトエレクトロニクス部品
2001 オプトエレクトロニクス部品
2002 p型ドープ半導体層内のn型ドーピングとp型ドーピングとの重複領域
2003 逆方向降伏のための電流の流れ
2101 保護層
2201 除去領域
2301 オプトエレクトロニクス部品
2303 不活性化層
2304 水平面
2305 縁部
2307、2309 垂直面
図1
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