【実施例】
【0033】
実施例1
1Lのステンレス鋼バッチ式反応器中で、500gのL−ラクチド(PuraLact L(登録商標)、Purac)が窒素雰囲気下で溶融され、そして130℃まで加熱された。約10gのラクチド溶融物試料が、供給材料分析のために抜き出された。130℃に達した後に、0.15gのZr触媒錯体II(308ppm)が、粉末として反応器に移された。重合化させる溶融物は、180℃まで加熱させられ、重合が5時間進行し、一方で、試料が、設定された時間間隔後に取り出されて、動力学および分子量の進展を決定した。絶対M
wが決定され、71%の転化率で94kg/molであった。PSに対するM
wは、256kg/molであった。ポリマーの光学純度は、99.4%Lであった。
【0034】
実施例2
重合が、実施例1に記載された手順に従って実施されたが、使用されたZr触媒錯体IIの量は、0.33g(676ppm)であった。最終PLAの絶対M
wが決定され、93%の転化率で167kg/molであった。PSに対するM
wは、358kg/molであった。ポリマーの光学純度は、99.2%Lであった。
【0035】
実施例3
別の重合が、実施例1に記載された手順に従って実施されたが、使用されたZr触媒錯体IIの量は、0.66g(1345ppm)であった。最終PLAの絶対M
wが測定され、96%の転化率で134kg/molであった。PSに対するM
wは、276kg/molであった。ポリマーの光学純度は、99.0%Lであった。
【0036】
実施例4
1Lのステンレス鋼バッチ式反応器中で、500gのL−ラクチド(PuraLact L(登録商標)、Purac)が窒素雰囲気下で溶融され、そして130℃まで加熱された。約10gのラクチド溶融物試料が、供給材料分析のために抜き出された。130℃に達した後に、0.36gの1−ヘキサノール(0.07wt%)が共開始剤として加えられた。次に、0.22gのHf(
tBuL)OiPr.HOiPr(450ppm)が、粉末として反応器に移された。重合化させる溶融物は、180℃まで加熱させられ、重合が4時間進行し、一方で、試料が、設定された時間間隔後に取り出されて、動力学および分子量の進展を決定した。最終PLAのM
wがポリスチレン標準に対して決定され、62%の転化率で64kg/molであった。ポリマーの光学純度は、99.2%Lであった。
【0037】
実施例5
1Lのステンレス鋼バッチ式反応器中で、500gのL−ラクチド(PuraLact L(登録商標)、Purac)が窒素雰囲気下で溶融され、そして130℃まで加熱された。約10gのラクチド溶融物試料が、供給材料分析のために抜き出された。130℃に達した後に、0.37gの1−ヘキサノール(0.08wt%)が共開始剤として加えられた。次に、0.32gのZr触媒錯体II(640ppm)が、粉末として反応器に移された。重合化させる溶融物は、180℃まで加熱させられ、重合が5時間進行し、一方で、試料が、設定された時間間隔後に取り出されて、動力学および分子量の進展を決定した。最終PLAの絶対M
wが決定され、95%の転化率で114kg/molであった。PSに対するM
wは、234kg/molであった。ポリマーの光学純度は、99.5%Lであった。
【0038】
実施例6
重合が、実施例4に記載された手順に従って実施されたが、使用された共開始剤1−ヘキサノールの量は、0.72g(0.15wt%)であった。最終PLAの絶対M
wが決定され、96%の転化率で88kg/molであった。PSに対するM
wは、182kg/molであった。ポリマーの光学純度は、99.6%Lであった。
【0039】
実施例7
重合が、実施例4に記載された手順に従って実施されたが、使用された共開始剤1−ヘキサノールの量は、3.54g(0.73wt%)であった。最終PLAの絶対M
wが決定され、96%の転化率で24kg/molであった。PSに対するM
wは、47kg/molであった。ポリマーの光学純度は、99.8%Lであった。
【0040】
比較例1
1Lのステンレス鋼バッチ式反応器中で、500gのL−ラクチド(PuraLact L(登録商標)、Purac)が窒素雰囲気下で溶融され、そして130℃まで加熱された。約10gラクチド溶融物試料が、供給材料分析のために抜き出された。130℃に達した後に、0.4gの1−ヘキサノール(0.08wt%)が共開始剤として加えられた。次に、0.15gのスズオクトエート(Sn(C
8H
150
2)
2)(300ppm)が、粉末として反応器に移された。重合化させる溶融物は、180℃まで加熱させられ、重合が3時間進行し、一方で、試料が、設定された時間間隔後に取り出されて、動力学および分子量の進展を決定した。ポリスチレンに対する最終PLAのM
wが決定され、96%の転化率で242kg/molであった。
【0041】
図2は、本発明による実施例1〜4の新規の触媒系を使用するポリラクチド製造の反応動力学を示す、いくつかの典型的な曲線を示す。特に、この図は、180℃の反応温度での重合混合物中のラクチドの濃度c(重量パーセント)を時間(t)の関数として示し、全て、上述の一連の分析に基づいている。これらのデータから、触媒の投与量が、重合速度を決定すると結論付けられ得る。添加量が高いほど、重合が速く起こる。触媒の数百ppmの選択された範囲内で、高い転化率がほんの数時間で達成され得ることが明らかである。
【0042】
図3は、本発明による実施例2、5、および7の新規の触媒系を使用するポリラクチド製造の反応動力学を示す、追加のいくつかの典型的な曲線を示す。特に、この図は、180℃の反応温度での重合混合物中のラクチドの濃度c(重量パーセント)を時間t(分)の関数として示し、全て、上述の一連の分析に基づいている。これらのデータから、共開始剤の使用が、重合速度をさらに上昇させると結論付けられ得る。共開始剤の添加量が高いほど、より高い重合速度が観察される。
【0043】
表1から、共開始剤は、ポリラクチドの分子量を制御するために使用されうることがまた結論付けられ得る。ほとんどのポリマー用途へのアクセスを提供する分子量が達せられ得る。
【0044】
【表1】
【0045】
図4は、比較例1に従って、300ppmのスズオクトエートを触媒とする重合についての典型的な重合曲線を示す。
図3および4を合わせると、本明細書に記載されている新規のZr触媒が、公知のSnオクトエート触媒の動力学と同程度である動力学を示すと結論付けられる。
【0046】
本発明が、前述の説明において詳細にわたって例証され、記載された一方で、かかる記載は、説明のためまたは例示のためであり、制限的でないと考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態および実験に限定されない。開示された実施形態に対する改変例は、開示および特許請求の範囲の研究から、本発明を行う当業者によって理解され、そして行われ得る。
【0047】
特許請求の範囲における、用語「含む」は、その他の要素または工程を排除せず、不定冠詞「a」または「an」は、複数形を排除しない。ある手段が、互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せが有利に使用され得ないことを示さない。