(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100971
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】自動車のフロントモジュールのバンパの支持構造
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/04 20060101AFI20170313BHJP
B60R 19/24 20060101ALI20170313BHJP
B62D 25/08 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
B60Q1/04 A
B60R19/24 M
B62D25/08 D
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-512238(P2016-512238)
(86)(22)【出願日】2014年4月12日
(65)【公表番号】特表2016-518287(P2016-518287A)
(43)【公表日】2016年6月23日
(86)【国際出願番号】EP2014000995
(87)【国際公開番号】WO2014180531
(87)【国際公開日】20141113
【審査請求日】2015年11月4日
(31)【優先権主張番号】102013007896.2
(32)【優先日】2013年5月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】コールマン,ウーア
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,アントン
【審査官】
竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−505681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/04
B60R 19/24
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のフロントモジュールの前端ビーム(34)にバンパビーム(12)を支持するためのバンパ(10)の支持構造であって、
前記前端ビーム(34)は、少なくとも1つのヘッドライト(30)およびそのヘッドライトハウジング(28)を保持し、
前記バンパビーム(12)は、バンパフェイシア(14)を保持し、ここで
前記バンパビーム(12)は、少なくとも1つの支持要素(22)を有し、
前記ヘッドライトハウジング(28)は、前記支持要素を受け入れる少なくとも1つのレセプタクル(26)を有し、
前記バンパビーム(12)は、前記支持要素(22)を前記レセプタクル(26)に挿入することにより前記ヘッドライトハウジング(28)に支持され、
前記支持要素(22)の支持が、車両の長手方向から見て前方に少なくとも部分的に開放されたレセプタクル(26)によってなされ、
前記レセプタクル(26)の内径が、支持要素(22)とレセプタクル(26)との間の車両の幅方向(y方向)、及び/又は車両の長手方向(x方向)への相対移動を可能とするサイズである
ことを特徴とする支持構造。
【請求項2】
前記支持要素(22)が、前記レセプタクル(26)の水平に延びる接触面(23)に重量がかかるように載置されることを特徴とする請求項1に記載の支持構造。
【請求項3】
前記接触面(23)の少なくとも一方が車両の幅方向(x方向)で前記支持要素(22)のストッパとして機能する制限壁(25、27)によって制限されることを特徴とする請求項2に記載の支持構造。
【請求項4】
前記レセプタクル(26)が、フレキシブルな保持ストラップ(31)を介して前記ヘッドライトハウジング(28)に、少なくとも振動を減衰するように連結されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の支持構造。
【請求項5】
前記バンパ(10)が前記支持要素(22)を介して車両の上下方向(z方向)だけで支持されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の支持構造。
【請求項6】
前記支持要素(22)が前記バンパビーム(12)と一体成形されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の支持構造。
【請求項7】
ヘッドライトハウジング(28)を有する自動車用ヘッドライト(30)であって、前記ヘッドライトハウジング(28)が、バンパフェイシア(14)を保持するために備えられたバンパ(10)のバンパビーム(12)の割り当てられた支持要素(22)を支持可能な少なくとも1つのレセプタクル(26)を含み、
前記支持要素(22)の支持が、車両の長手方向から見て前方に少なくとも部分的に開放されたレセプタクル(26)によってなされ、
前記レセプタクル(26)の内径が、支持要素(22)とレセプタクル(26)との間の車両の幅方向(y方向)、及び/又は車両の長手方向(x方向)への相対移動を可能とするサイズである
ことを特徴とするヘッドライト。
【請求項8】
前記レセプタクル(26)が、前記バンパビーム(12)を重量がかかるように載置するためのバンパビームの前記支持要素(22)用の接触面(23)を備えることを特徴とする請求項7に記載のヘッドライト。
【請求項9】
前記レセプタクル(26)が割り当てられた支持要素(22)の挿入方向に先細であることを特徴とする請求項7に記載のヘッドライト。
【請求項10】
前記レセプタクル(26)が、中間部材(36)とともに形成されることを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれか一項に記載のヘッドライト。
【請求項11】
前記レセプタクル(26)が、前記ヘッドライトハウジング(28)のそれぞれの固定点(32)の間で、自動車のフロントモジュールの前端ビーム(34)上に位置することを特徴とする請求項7〜請求項10のいずれか一項に記載のヘッドライト。
【請求項12】
請求項1に記載の支持構造を製造するための方法であって、
−前記バンパ(10)を、前端ビーム(34)の前方に配置するステップと、
−前記支持要素(22)を前記レセプタクル(26)内に挿入するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載の自動車のフロントモジュールのバンパの支持構造に関する。本発明は更に、請求項
7の前段に記載のヘッドライトに関する。最後に、本発明は自動車のフロントモジュールのバンパのこのような支持構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような支持構造では一般に、特にバンパのバンパフェイシアがこれと隣接する自動車の前端部と正確に、しかも好ましくは比較的小さい隙間でヘッドライトに密接することが望ましい。更に、自動車の長期運転時でも、それぞれ付属するヘッドライトに対するバンパフェイシアの沈降と降下を受けないようにするため、自動車の垂直方向でバンパ又はバンパフェイシアを特に十分に支持することが望ましい。すなわち、そうなると自動車のフロントの外観が損なわれ、その上、例えばバンパフェイシアとそれぞれのヘッドライトとの間に生じる隙間から水、汚れなどの浸入を許してしまうであろう。最後に、低コストの製造を達成するため、バンパを自動車のフロントモジュールにできるだけ簡単に取り付けることが望ましい。
【0003】
特許文献1には、ヘッドライトの下に配置された、バンパフェイシアを保持するバンパビームが固くネジ留めされるヘッドライトハウジングが記載されている。そのためにバンパビームは、ネジ連結のネジが係合し、他方の側に、ヘッドライトハウジング内に設けられたネジ山にネジ込まれる長穴を具備している。したがって、バンパビームが長穴に沿って自動車の長手方向、又は幅方向に移動され、かつ自動車の垂直方向にネジを締めることによって初めて、ヘッドライトに対するバンパビームの相対的な最終位置に達する。この固定配置には、量産される自動車の組み立て時に、バンパビームを位置合わせすると同時に、ネジをネジ山にネジ込まなければならないという高度の精密さと組み立て技術者の器用さが必要である。この組み立て労力は、バンパビームを複数の所定の切断点を越えてヘッドライトハウジングと一体形成する第2の変形形態によって回避される。しかし、その欠点はヘッドライトがいわゆる衝突安全、又は衝突修理試験の際に、すなわち低速での障害物との衝突時に、バンパビームがヘッドライトハウジングの所定切断点の領域で既に損傷し、交換しなけらばならないことにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2005 045 086 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の課題は、ヘッドライトに対する確実な位置合わせ、及びバンパの簡単な組み立てを実現できるような冒頭に記載の支持構造、ヘッドライト、ならびに前述のタイプの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は本発明により請求項1、
7、及び
12に記載の特徴を有する支持構造、ヘッドライト及び方法によって解決される。有利な実施形態は、本発明の好適な発展形態と共に従属請求項に記載されている。
【0007】
バンパの特に確実な支持と、前端領域、特にフロントモジュールへの簡単な取り付けがなされる、冒頭に記載の支持構造を製造するため、本発明により、バンパビームが少なくとも1つのそれぞれの支持要素を介してそれぞれ関連するヘッドライトハウジングで支持されるように構成される。言い換えると、バンパビームはそれぞれ、バンパをそれぞれ関連するヘッドライト上に、特に自動車の垂直方向(z方向)で支持する支持要素を含んでいる。この支持によって、特にバンパ、又はそれぞれの接合関連部品が相互に、又は前端領域、特にフロントモジュールに対して、追加部品なしで、又はその他の操作部材なしで、直接かつ調整自在に位置合わせすることが可能である。更に、少ない公差変動で組み立てることが可能である。少なくとも追加部品、又はその他の操作手段が省かれるため、重量及びコストの低減も可能である。更に、バンパビームを関連するヘッドライトハウジングに直接支持することによって、特に均一で隙間が少なく製造可能なそれぞれの突き合わせ接合が達成される。自動車の寿命にわたる長期運転でも、このそれぞれの突き合わせ接合は、バンパビームがフロントモジュールに直接支持されているために、変化しない。
【0008】
支持構造の特に有利な実施形態では、それぞれの支持構造はヘッドライトハウジング上に設けられた接触面で重量がかかるように載置される。バンパビームをヘッドライトハウジング上に簡単に着脱することによって、バンパの組み立てが特に簡単である。好適な実施形態では、ヘッドライトの組み立て時に、好ましくは平坦な接触面が水平に位置合わせされる。接触面が傾斜なく位置合わせされるため、バンパビームが接触面に沿って自動的に変位することが防止される。
【0009】
支持要素によるヘッドライトへのバンパの支持は、有利な実施形態では、単に自動車の上下方向だけで、つまり車両自身のz方向の座標系で行われる。言い換えると、バンパは好適には車両の幅方向(y方向)と車両の長手方向(x方向)でヘッドライトから離脱されるため、衝突時には、ヘッドライトを、特にそのハウジングを損傷せずに、バンパフェイシアを取り付けたバンパビームとヘッドライトとの相対移動が可能である。したがって、バンパは、事故による衝撃力によりヘッドライトに対応して移動するため、ヘッドライトを損傷する虞れのあるヘッドライトへの衝撃力を回避することができる。
【0010】
本発明の更なる実施形態では、支持要素をバンパビームに配置し、特にこれと一体形成することが有利であることが示されている。それによって、製造技術的に特に簡単であると同時にそれぞれのヘッドライトで支持することができるバンパビームが得られる。
【0011】
最後に、関連するヘッドライトハウジングのそれぞれのレセプタクルの安定性を、割り当てられた支持要素の安定性に適合させると有利であることが示されている。ヘッドライト側のレセプタクルの安定性を、関連するバンパ側の支持要素の安定性にこのように適合させることは、例えば適宜の材料、及び/又は壁厚を選択して行うことができる。その結果、それによってバンパに事故時の衝撃力が加わる際のヘッドライトハウジングの損傷を特に確実に防止することができる。
【0012】
支持構造に関連して前述した利点は、請求項
7に記載のヘッドライトにも同様に当てはまる。ヘッドライトは、バンパフェイシアを保持する役割を果たすバンパのバンパビームの割り当てられた支持要素を支持可能な、少なくとも1つのレセプタクルを有するヘッドライトハウジングを含んでいる。本発明により、ヘッドライトハウジングのこのレセプタクルは、比較的高重量のバンパを支持するように堅牢に実施されている。それによってバンパの組み立ても、バンパフェイシアとヘッドライトとの間の所望の継ぎ目の位置合わせの調整も簡単になる。
【0013】
それぞれの支持要素がヘッドライトハウジングに設けられた接触面に重量がかかるように載置される支持構造の、特に有利な実施形態では、接触面の少なくとも一方は、車両の幅方向(x方向)の支持要素のストッパとしての役割を果たす制限壁によって制限されている。それによって、バンパビームが横に移動した場合に、そのそれぞれの支持要素がヘッドライトハウジングによる支持から滑落することが防止される。更に、組み立て時に、ある程度の予備の位置合わせをすることもできる。
【0014】
有利な実施形態では、接触面の両側が車両の幅方向で、それぞれの制限壁によって制限されるようにされている。それによって、支持要素のレセプタクルへの取り付け/挿入方向も規定され、これは前方からの、すなわちx方向の、及び/又は上方からの、すなわちz方向の、又はこれらの両方向の重複運動によって行われる。
【0015】
本発明の発展形態によれば、レセプタクルは取り付け位置でバンパの割り当てられた支持要素を囲むシャフトとして形成される。このようなシャフトによって、対するバンパ側の支持要素の特に簡単な取り付けと支持がなされる。
【0016】
好適な実施形態では、バンパビーム支持要素を収容するシャフトの内径は、支持要素とレセプタクルとの間の相対移動が車両の幅方向(y方向)及び/又は車両の長手方向(x方向)で可能であるように、シャフト内に収容される支持要素の外径に適合される。ヘッドライトハウジングに対するバンパのz方向/車両の垂直方向での位置は、組み立て又は衝突によるヘッドライトに対するバンパの変位の際にも同じに保たれると共に、車両の客室方向及び車両の幅方向へのバンパビームの移動も、ヘッドライトに衝撃力が加わらずにある程度可能である。
【0017】
割り当てられた支持要素の挿入方向に、シャフトを円錐形に、又はその他の態様で先細に形成することが更に有利である。それによって、バンパをそれぞれのヘッドライトハウジング又はフロント領域、特にフロントモジュールに特に好適に取り付けることができる。
【0018】
バンパの割り当てられた支持要素用のそれぞれのレセプタクルは、好適には中間部材を介して、特に一体にヘッドライトハウジングに連結される。この中間部材によって特に好適な振動遮断、及びノイズ遮断が行われる。
【0019】
ヘッドライトの好ましい有利な実施形態では、それぞれのレセプタクルは曲げ弾性保持ストラップを介してヘッドライトハウジングに、少なくとも振動を減衰するように連結される。したがって、車両の運転中に、及び運転によって生じる振動はバンパ又はバンパビームからヘッドライト、特にヘッドライトハウジングに伝達されないか、損傷しない程度しか伝達されず、またはその他の方法で吸収/補償されるため、例えばコーティングされたリフレクタなどのヘッドライトの敏感な部分の損傷が防止される。
【0020】
曲げ弾性保持ストラップは、車両に取り付けたバンパが負荷を受けない状態ではヘッドライトハウジングの壁に対して斜めに突起しており、すなわちこの連結ストラップとヘッドライトハウジングとの間に、振動発生時のストラップの振動、又は過度の振動が、バンパからフロント領域に少なくとも間接的に車体と連結された、ヘッドライトハウジングに伝達されない自由空間が存在する。
【0021】
この曲げ弾性保持ストラップは、それぞれの支持要素を収容するレセプタクルの制限壁に取り付けられるか、又はこのレセプタクルの制限壁を形成することができる。好適な実施形態では、ヘッドライトハウジングへの曲げ弾性保持ストラップの連結はフィルムヒンジによって行われ、すなわちストラップはヘッドライトハウジングに取り付けられ、曲げ弾性連結は、適宜の壁厚と成形によって、また場合によっては適宜な材料選択によって達成される。
【0022】
最後に、レセプタクルが自動車のフロントモジュールへのヘッドライトハウジングのそれぞれの固定点の間に位置することが有利であることが示されている。それによって、特に車両の垂直方向でのバンパの最適な支持がなされる。
【0023】
本発明の支持構造、及び本発明のヘッドライトに関して上述した利点は、請求項
12に記載の方法にも同様に当てはまる。このことは更に、特に簡単で再現し易い手順によって特徴付けられる。
【0024】
本発明の更なる利点、特徴及び詳細は、好適な実施形態の以下の説明から、及び図面から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1a】外側、又は前側がバンパフフェイシアで積層された、断面で示されているバンパビームを有する乗用車のフロントモジュール用のバンパの部分背面図である。
【
図1b】外側、又は前側がバンパフフェイシアで積層された、断面で示されているバンパビームを有する乗用車のフロントモジュール用のバンパの部分側面断面図である。
【
図2a】バンパビームの付属する支持要素が挿入され、この図ではバンパによって車両の垂直方向で付属するヘッドライトで支持される、フロントモジュールの前端部のビームに保持されたそれぞれのヘッドライトがシャフト状のレセプタクルを具備する乗用車のフロントモジュールでのバンパの支持構造の部分斜視図である。
【
図2b】バンパビームの付属する支持要素が挿入され、この図ではバンパによって車両の垂直方向で付属するヘッドライトで支持される、フロントモジュールの前端部のビームに保持されたそれぞれのヘッドライトがシャフト状のレセプタクルを具備する乗用車のフロントモジュールでのバンパの支持構造の部分平面図である。
【
図3a】
図2a、2bの支持構造の部分斜視断面図である。
【
図3b】
図2a、2bの支持構造の側面断面図である。
【
図4a】
図2aから3bの支持構造の車両の上下方向に沿って延びる断面の部分断面図である。
【
図4b】
図2aから3bの支持構造の車両の幅方向に沿って延びる断面の部分断面図である。
【
図5a】バンパビームの付属する支持要素が挿入されるそれぞれのヘッドライトハウジングのシャフトとして形成されたレセプタクルの、車両の長手方向に延びる断面に沿った部分平面図である。
【
図5b】バンパビームの付属する支持要素が挿入されるそれぞれのヘッドライトハウジングのシャフトとして形成されたレセプタクルの、車両の長手方向に延びる断面に沿った部分斜視断面図である。
【
図6a】ヘッドライト又はフロントモジュールへのバンパの取り付けを順に説明する対応するヘッドライトハウジング及びバンパの部分側面断面図である。
【
図6b】ヘッドライト又はフロントモジュールへのバンパの取り付けを順に説明する対応するヘッドライトハウジング及びバンパの部分側面断面図である。
【
図6c】ヘッドライト又はフロントモジュールへのバンパの取り付けを順に説明する対応するヘッドライトハウジング及びバンパの部分側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1aには、乗用車の前端部用のバンパ10の部分背面図が、また
図1bには部分断面側面図が示されている。このバンパ10は、外側にバンパフェイシア14が積層され、これを担持する部分的に見えるバンパビーム12を含んでいる。バンパフェイシア14は特に、更に後述する左ヘッドライト用の開口16、フロントグリルが挿入される冷却空気用の開口18、及び例えばフォグライトなどの下部照明ユニット用の開口20を界接している。
【0027】
バンパビーム12から特に、図示した実施形態では、全部で2つの支持要素22の1つが見え、この支持要素は全体がプラスチック製で、一体に製造されたバンパビーム12の対応部分24から車両の長手方向、すなわち
図4aに示す車両独自の座標系のx方向に、また後方に向けてほぼ水平に突出する。言い換えると、バンパビーム12は、この図では車両の右側に右ヘッドライトに関連する同一の第2の支持要素22を含んでいる。これは勿論、図示していない。
【0028】
それぞれの支持要素22によって、乗用車のフロントモジュールにバンパ10の支持構造が形成され、これについては特に
図2aから4bの概要で更に説明する。
【0029】
特に
図2a〜3bから分かるように、バンパビーム12又はバンパ10を支持するための支持要素22は、特に
図2a及び2bに示されるように、ヘッドライト30のそれぞれのヘッドライトハウジング28の内側に配置された、付属するレセプタクル26内に全体が挿入されている。したがって車両の前方走行方向の視線方向には、ヘッドライトハウジングの左縁領域の右ヘッドライトに備えられたレセプタクル26と、ヘッドライトハウジングの右縁領域の左ヘッドライトに備えられたレセプタクル26とがある。したがって、ヘッドライトの両方のレセプタクル26はそれぞれ、車両の長手方向中心軸に面する側、すなわちそれぞれのヘッドライトハウジングに通常備えられているラジエータグリルに面する側に備えられている。それぞれのヘッドライトハウジング28は、特に
図2a及び4aから分かるように、複数の固定要素によって、その背後に配置された、
図3a及び3bに示されるフロントモジュールの前端ビーム34に固定点32で固定されている。したがって、対応するヘッドライトハウジング28の付属する支持要素22のそれぞれのレセプタクル26は、車両の上下方向(z方向)から見て両方の固定点32の間に配置されている。
【0030】
レセプタクル26は、
図3aから4bに示す実施形態では、図示した取り付け位置でバンパビーム12の割り当てられた支持要素22の外周側を囲むシャフトとして形成されている。
【0031】
特に、
図4a及び4bに示す支持構造の背面図、又は正面図から分かるように、断面が略三角形の支持要素22は長方形のそれぞれのシャフト状レセプタクル26内に受容され、支持要素22はこの場合は、車両の上下方向(z方向)だけでヘッドライトハウジング28に支持されている。これに対して車両の幅方向(y方向)、及び車両の長手方向(x方向)では、アーム状の支持要素22はレセプタクル26に対して移動可能である。レセプタクル26の側面の制限壁25及び27はこの公差移動を制限する。レセプタクル26又はシャフトの床は、ヘッドライトを車両に取り付けた状態では水平に、又は少なくとも実質的に水平に配置された平坦面によって形成されており、すなわち車両のy方向及びx方向に延在する仮想平面上に位置している。バンパビーム12の、ひいてはバンパ10全体の各々の支持要素22がこの平面に重量がかかるように載置されるため、この表面は接触面23と呼ばれる。
【0032】
図4bにある程度示されているように、支持要素22はヘッドライトハウジング12の接触面23に全面的に載置されるのではなく、支持要素22とレセプタクル26との間の有効な接触面積を減少させる、互いに離間した部分を有しているため、それに応じて保持力が低下し、より少ない力で取り付けることができる。
【0033】
したがってバンパ10は、この場合は2つの支持要素22を有するバンパビーム12によって、対応する左右のヘッドライト30それぞれのヘッドライトハウジング28に対応するそれぞれのレセプタクル26で支持されることが分かる。車両の上下方向(z方向)でのこのような支持によって、ヘッドライト30に対する、特にヘッドライトハウジング28、及びそれぞれの開口16内に挿入されるヘッドライトカバー(ここでは図示せず)に対するバンパ10、及び特にバンパフェイシア14の最適な位置決めがなされる。通常はシェード、又はカバープレートの形態で形成されるヘッドライトカバーは、光源から照射される光を透過することができる少なくとも1つの光透過領域を備えている。ヘッドライトカバーは更に光拡散板として形成されてもよく、光拡散板として機能することもできる。
【0034】
その際、事故による衝撃力によるバンパ10の損傷を回避し、特に運転中に発生する振動を好ましくはヘッドライト10に伝達せず、少なくとも減衰された形態でバンパビーム12からヘッドライトに伝達するようにして、通常の運転でヘッドライトの敏感な部品を損傷しないようにするため、対応するヘッドライトハウジング28のそれぞれのレセプタクル26は、その形状、及び壁厚の寸法、及び以下に更に記載するヘッドライトハウジングとの結合によって、実際のヘッドライトハウジング28から離脱される。その際、それぞれのレセプタクル26の安定性は、それ以外の方法、例えば適切な材料選択によって、割り当てられたバンパ側の支持要素22の安定性と異なるようにすることができる。しかし最も重要な点は、事故による衝撃力、及び支持要素22の後方への変位が生じた場合にヘッドライトハウジング28、又はレセプタクル26の損傷が生じないように、好適にはレセプタクル26、及び対応する支持要素22が互いに調整されることである。
【0035】
更に、特に
図5a及び5bから、レセプタクル26が挿入方向、すなわち車両の長手方向(x方向)前方から後方に先細に形成されていることが分かる。それによって、対応する支持要素22の特に好適で簡単な挿入を確実にすることができる。この場合、断面が長方形のシャフトとして形成されたレセプタクル26自体は、中間部材36を介してプラスチック製のヘッドライトハウジング28と一体に形成される。
【0036】
この中間部材36は、図示した実施形態では、比較的堅牢なフィルムヒンジ状の曲げセグメント31を介してヘッドライトハウジング28の基体と一体に、かつフレキシブルに連結、又は形成された保持ストラップ29によって形成されている。
図5aによれば、曲げ/ヒンジ軸はこの図の画面に対して垂直に、すなわち車両の上下方向(z方向)に、かつバンパビーム側の支持要素がヘッドライト側のレセプタクルに挿入される方向に対して垂直に延びている。レセプタクル26をヘッドライトハウジング28に結合するこの配置と構成には、レセプタクル26がヘッドライトハウジング28から少なくとも大幅に振動遮断され、すなわちフレキシブルな保持ストラップ29がバンパから生じる振動を少なくとも減衰し、好適には吸収することによって、振動がヘッドライトハウジング28に伝達されず、又は損傷を生じない程度しか伝達されないという利点がある。これは、ヘッドライトハウジングの基体に対するレセプタクル26の振動を減衰する、
図5aに示す二重矢印33の方向への補償運動によって行われる。しかし同時に、z方向へのこの結合の剛性は高く、すなわちレセプタクル26は、走行方向及び逆方向に、すなわち車両の幅方向に延びる軸を中心に、実質的に傾倒することがない。
【0037】
特に有利な実施形態では、保持ストラップ29及びレセプタクル26の制限壁27が互いに一体に形成され、それによってヘッドライトハウジング、軸受31(曲げ領域)、保持ストラップ29及び制限壁が一体に構成されている。
【0038】
ここで最後に
図6aから6cを参照して、バンパ10を取り付け、又はフロントモジュールにバンパ10の支持構造を製造するための可能な手順を説明する。
【0039】
図6aに示すように、そのために先ずバンパビーム12、又はバンパ10の上端部38が車両の長手方向(x方向)の前方に傾倒する位置を向くように、バンパ10が前端ビーム34の前方に配置される。バンパ10又はバンパビーム12は、この位置から、上端部38が車両の長手方向(x方向)後方に、すなわち車両前部に向かう方向に移動するように矢印40に沿って、視線の反時計回り方向に傾倒される。この傾倒によって、それぞれの支持要素22は、それぞれより高いヘッドライト側のレセプタクル26内にネジ込まれる。その際、レセプタクル26のそれぞれのシャフトは、特に
図2a及び2bから分かるように、上壁42の領域に跳ね返るように形成されるため、それぞれの支持要素22がレセプタクル26のそれぞれのシャフトの下壁44に当接するまで、支持要素28を前記のようにそれぞれの割り当てられた支持要素22にネジ込むことが可能である。
【0040】
図6bに示すように、それに続いて、矢印41で示すように、それぞれの支持要素22をヘッドライトの割り当てられたレセプタクル26内に挿入することができる。
【0041】
図6cは、取り付け工程の終了後の支持構造を示しており、ここではバンパ10はそれぞれの支持要素22を介して割り当てられたレセプタクル26内に、車両の上下方向(z方向)に支持されるのに対して、フロントモジュールのその他の部品に対してバンパ10の最適な位置決めを可能にするために、バンパ10は車両の幅方向(y方向)、及び車両の長手方向(x方向)に更に自由に移動される。
【0042】
要約すると、本発明による支持構造及び本発明によるヘッドライトによって、y/x方向へのバンパの移動ベクトルが自由な、フロントモジュールの前方のバンパの、より正確には車体側に固定されたヘッドライトハウジングへのバンパビームのz方向での支持が実現されることが分かる。図示した好適な実施形態を参照して前述したように、バンパからヘッドライトハウジングへの力の伝達を避けるための運転中の最適な振動遮断、及びノイズ遮断を容易に実現することができる。更に、バンパビームをヘッドライトハウジング上に配置又は載置することによって、追加部品なしで、又は例えば組み立てゲージなどの操作部材なしで、接合関連部品が直接、調整なしで位置合わせされることが、特に有利である。