特許第6100973号(P6100973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6100973好ましくは水溶性の活性成分の濃縮物の調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6100973
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】好ましくは水溶性の活性成分の濃縮物の調製方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/18 20060101AFI20170313BHJP
   A01N 25/28 20060101ALI20170313BHJP
   A01N 47/40 20060101ALI20170313BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20170313BHJP
   A01P 11/00 20060101ALI20170313BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20170313BHJP
   A01P 7/02 20060101ALI20170313BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   B01J13/18
   A01N25/28
   A01N47/40 Z
   A01P13/00
   A01P11/00
   A01P7/04
   A01P7/02
   A01P3/00
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-518072(P2016-518072)
(86)(22)【出願日】2014年8月21日
(65)【公表番号】特表2016-532637(P2016-532637A)
(43)【公表日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】EP2014067836
(87)【国際公開番号】WO2015025001
(87)【国際公開日】20150226
【審査請求日】2016年3月25日
(31)【優先権主張番号】13181187.9
(32)【優先日】2013年8月21日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516050588
【氏名又は名称】クビツダ アグロ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ラウヒ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ミュールアンガー
【審査官】 松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−501716(JP,A)
【文献】 特開平10−137578(JP,A)
【文献】 特表2010−520348(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101781851(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/02
A01N 25/28
A01N 47/40
A01P 3/00
A01P 7/02
A01P 7/04
A01P 11/00
A01P 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性活性剤の濃縮物の調製方法であって、
a.固体の活性剤を出発物質として用い、分散剤の添加を伴う無水プロセスで、前記活性剤の結晶を第一の有機溶媒中に均一に分布させ、
b.無水プロセスで、ポリマー形成剤を得られた溶液に添加し、
c.無水プロセスで、第三の有機溶媒中の少なくとも2つの官能基を有する架橋剤を得られた溶液中に添加し、
前記ポリマー形成剤は、リメチレンポリフェニルイソシアネート類、及びこれらの混合物から成る群から選択され、
前記架橋剤は、NCO基にとって少なくとも二官能性の架橋剤であり、少なくとも化学量論量において添加され、前記架橋剤は、トリエタノールアミン(TEA)であるか、又はトリエタノールアミン(TEA)を含む、方法。
【請求項2】
工程aにおいて、前記出発物質を含む溶液の粘度を適切な助剤で調整する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程bにおいて、前記ポリマー形成剤は第二の有機溶媒中に添加されている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程bにおいて、前記第二の有機溶媒中の前記ポリマー形成剤の溶液又は得られた溶液のいずれかの粘度を、適切な助剤を添加することによって調整する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程cにおいて、前記第三の有機溶媒中の前記架橋剤の溶液又は得られた溶液のいずれかの粘度を、適切な助剤を添加することによって調整する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリメチレンポリフェニルイソシアネート類は、25〜35%の平均NCO含量を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリメチレンポリフェニルイソシアネート類は、30〜32%の平均NCO含量を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記活性剤が、生物学的活性剤、殺虫剤、除草剤、殺かび剤、殺ダニ剤、殺藻剤、殺菌剤、微生物抑制剤、殺鼠剤、抗生物活性剤、防虫剤、誘引剤、及びフェロモンらなる群から選択される、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記分散剤がポリビニルピロリドン誘導体である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒又は複数の前記溶媒が、植物油のエステル、テルペン炭化水素、脂肪族及び芳香族炭化水素、分岐又は分岐のない形態の天然及び合成の脂肪族及び芳香族アルコールのエーテル及びエステル、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記溶媒又は複数の前記溶媒は、8〜16の炭素原子を有し反応性ヒドロキシル基を有さない、飽和中鎖脂肪酸のメチルエステル及びエチルヘキシルエステルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒又は複数の前記溶媒は、モノ−又はポリ不飽和中鎖脂肪酸のメチルエステル及びエチルヘキシルエステルである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒又は複数の前記溶媒は、オレンジテルペンである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマー形成剤と前記架橋剤との間の反応を、10〜80℃の温度で行う、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記反応を、40〜60℃の温度で行う、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマー形成剤と前記架橋剤との間の反応を、1℃以上、それぞれ使用される有機溶媒の引火点温度未満の温度で行う、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記反応を、5℃以上、それぞれ使用される有機溶媒の引火点温度未満の温度で行う、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記反応を、10℃より高く、それぞれ使用される有機溶媒の引火点温度未満の温度で行う、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマー形成剤と前記架橋剤との間の反応を、使用される前記溶媒又は複数の前記溶媒が、反応条件下で潜在的に爆発性雰囲気を形成しないような低い蒸気圧を有する温度で行う、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティングを提供することによって、固体の、水溶性の、活性剤又は複数の活性剤の混合物をカプセル化する方法であって、コーティングによって、コーティングされた粒子の水溶性が所定の態様において少なくとも低減するが、しかしながら、活性剤又は複数の活性剤の混合物の所望の効果が得られるまでの時間は特に遅延される、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの活性成分は、1リットル当たり数グラム、典型的には0.1〜50g/Lの範囲の水溶性を有する結晶の形態で存在する。適用の後の雨、土壌の水分、洗浄手順等は活性剤の流失(いわゆる「浸出」)を生ずるので、この特徴は、温度変化の間の再結晶による安定な懸濁液の形態の製剤、及び湿った条件下での適用の両方を妨げ又は阻む。これは、効果の低減、及び活性剤の例えば水中への望ましくない侵入に繋がり、その結果、環境的逆効果になる可能性がある。
【0003】
これまでに、この問題は、機械的圧縮(例えばプレス)、流動床又はコーティングパン内で、ワックス、樹脂、及びポリマーでコーティングすること、液相中でのマイクロカプセル化又はマトリクス封入によって製剤を製造することによって対処されてきた。しかしながら、これらの公知の方法は多くの欠点を示す。
【0004】
例えば、機械的圧縮は、活性剤の溶解性に実質的に影響することができず、表面を硬くして水の吸収を単に遅らせるだけである。
【0005】
融解又は溶解した樹脂、ワックス、又はポリマーを吹付けることによる、流動床又はコーティングパンにおけるコーティングは、通常、粉末の形態で存在する活性剤上のコーティング物質の比較的不均一な分布につながる。空気撹拌又は機械的に移動して、層内の粒子が相互に接触するため、摩耗と適用との間の平衡状態が起こり、活性剤に適用することができるコーティングの厚みが全体で制限される。
【0006】
内側の疎水性相が外側の水性相と接触すると、ほとんどの場合、活性剤が少なくとも部分的に溶解して封入されないので、水溶性活性剤を使用すると、水性環境におけるマイクロカプセル化は失敗する。
【0007】
内側相が水性相を表し外側相が油性相を表す逆相封入の間、水と非混合性の溶媒中に活性剤を溶解することが必要であり、これは達成可能な最大濃度を限定することにつながり、又は活性剤が融解した形態で存在しなければならず、これは必ずしも可能でないか若しくは望ましくない。さらに、封入後の再結晶の間の融解した活性剤の形態の変化は、カプセルの爆発につながる可能性があり、その場合、保護の大部分が失われる。
【0008】
固体形態の活性剤の粒子を外側の連続相によって封入し、その後粉砕、摩滅、又はミリングすることによって機械的に処理しなければならないマトリクス封入においては、すでに保護された粒子が、必然的に再びこの粉砕プロセスに部分的に暴露され、同様に保護の大部分が失われる。
【0009】
独国特許出願公開第10 2010 028826号公報A1は、重合反応による活性剤の封入をともなう、活性剤を含むマイクロカプセルを調製する方法であって、マイクロカプセルはエポキシ樹脂を主成分とし、反応条件下で活性剤は液体又は固体のいずれかとして存在してもよい、方法を開示している。
【0010】
欧州特許出願公開第0841088号公報A2から、マイクロカプセルであって、その壁がアミノ基含有架橋剤とイソシアネートとの反応生成物、又はそのような反応生成物からなる、マイクロカプセルが公知である。マイクロカプセルは、そのように製造され、それは、通常3〜25μmの直径を有し、ノンカーボンコピー紙に使用される。通常、使用される方法は、カプセル化する物質を疎水性オイル中に溶解して、壁を形成することができるポリイソシアネートと混合し、次に水で処理して水中油エマルジョンを形成する、界面重合又は界面重付加の化学的原則に基づく。このエマルジョンを次に架橋剤と混合し、それによって、オイルと水との間の界面にポリマーフィルムが形成される。架橋剤としての官能性を有する、ジアミン又はポリアミン、ジオール、ポリオール、及びアミノアルコールの使用可能性が言及されている。同様の従来技術は、調製したマイクロカプセルが電気泳動的なイメージディスプレイ装置で使用可能である、独国特許出願公開第10 2004 059977号公報A1からも公知である。再び界面重合又は界面重付加の原則が使用されており、独国特許出願公開第10 2010 028826号公報A1による方法で水中油エマルジョンを処理している。
【0011】
国際特許出願公開第2012/069805号公報A1は、主に有機液体から調製されるキャリア中のカプセル化された固体粒子から分散を調製する方法であって、粒子状固体、液体媒体、及び分散剤1グラムにつき少なくとも3.0mmolの反応性基を有するポリマー分散剤を含む分散体を提供することと、これらの反応性基の少なくともいくつかを介したポリマー分散剤の架橋であって、それによって粒子状固体が架橋ポリマー分散剤によってカプセル化される、架橋と、(残存する)反応性基を介したポリマー分散剤に末端基を提供する剤の共有結合とを含み、残存する有機液体キャリアが一つ又は複数の有機液体及び任意に水を含み、ただし分散は30質量パーセント以上の水を含まない、方法を開示している。
【0012】
水溶性活性剤のこれらの公知の技術は、使用可能でないか、又は非常に限られた方法であることが理解される。
【0013】
本発明の発明主題にとって最も近い従来技術は、米国特許第5,911,923号明細書B1(Work等)であり、可能性のある固体活性剤の封入を開示している。文献は、活性剤のマイクロカプセル化する方法であって、活性剤を有機連続相中に分散させ、多官能イソシアン酸エステル及びジオール又はポリオールを、任意の重合触媒の存在下で添加する、方法に関する。適切なイソシアネートが記載されており、その中でもフェニレンジイソシアナート、適切なジオールもまた言及されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2010 028826号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第0841088号公報
【特許文献3】独国特許出願公開第10 2004 059977号公報
【特許文献4】国際特許出願公開第2012/069805号公報
【特許文献5】米国特許第5,911,923号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、それぞれの個々の粒子が、均一な厚みの所定の保護層でコーティングされ、それによって、所定の再現性がある持続性の疎水化が達成されるように、固体、結晶、若しくは微結晶の形態で、又は非晶質、微多孔粒子に結合した形態で活性剤がコーティングされた、水溶性活性剤の濃縮物を提供することを目的とする。以下、使用される用語「活性剤」は、異なる複数の活性剤の混合物もまた意味する。同様に、用語「活性剤の結晶」は、固体、結晶、若しくは微結晶の形態の、又は非晶質、微多孔粒子に結合した形態の、活性剤若しくは複数の活性剤の混合物を意味する。
【0016】
本発明の溶液は、固体の活性剤を出発物質として用いた無水プロセスで、分散剤が添加された第一の有機溶媒中に、活性剤の結晶を均一に分布させ、得られた溶液の粘度を適切な添加物で任意に調整し、任意に第二の有機溶媒中のポリマー形成剤を得られた溶液に添加し、それによって、添加される溶液又は得られる溶液のいずれかの粘度を、適切な助剤を添加することによって任意に調整し、第三の有機溶媒中の少なくとも2つの官能基を有する架橋剤を得られた溶液に加え、ここで再び、添加される溶液又は得られた溶液の粘度を、適切な助剤を加えることによって任意に調整することから成る。ポリマー形成剤は、平均NCO含量(25〜35%、特に好ましくは30〜32%)を有する、低粘度の「ポリメリックMDI」の種類のポリメチレンポリフェニルイソシアネートであり、例えば、Dow Chemical社製Voranate M220製品、及びHuntsman社製Suprasec 5025製品である。トルエンジイソシアネート(TDI)は、適切なポリマー形成剤としても確認されており、低粘度及び低酸性度を有するもの、例えば、Dow Chemical社製Voranate T−80製品もまた好ましい。しかしながら、より高粘度を有する製品は、最初に上記有機溶媒で希釈しなければならず、活性剤の濃縮物とポリマー形成剤の濃縮物との間の好ましくない混合比につながる。
【0017】
分散剤を添加することによって得られた懸濁液を、適切な撹拌及び/又は分散手段によって、好ましくは均一に保ちつつ、ポリマー形成剤を、凝集(クランピング)の形態の局所的反応が起こらない程度にゆっくり加える。必要に応じて、ポリマー形成剤は、適切な溶媒で希釈することもでき、及び/又はこの目的のために適切な分散剤の助けを借りて乳化してもよい。架橋剤を有する懸濁液を反応温度に保ち、重縮合プロセスがほとんど完了するまで激しく撹拌を続ける。これは、形成されたコーティングされた結晶がそれらの表面粘着性を失い、したがって攪拌機のスイッチを切って自由流動させた後にもはや共に凝集せず、塊りを含まない懸濁液が維持される場合である。ここで、完成した、コーティングされた、離散的な活性剤の結晶を含むこの懸濁液を、室温へと冷やし、適切な分散剤及び安定剤を添加することによって、又は任意に乾燥した粉末若しくは顆粒を得るための更なるプロセス工程を行うことによって、販売できる製品へと変換することができる。Evonik社製Aerosil(登録商標)200の種類の、懸濁液フュームドシリカ、及びEvonik社製Sipemat(登録商標)22の種類の沈殿シリカの直接使用は、特に適切な安定剤であることが分かった。その後水中で自発的乳化が起こる場合、適切な乳化剤を添加することが必要である。この目的で、エトキシル化C11〜C15合成アルコール、例えば、Dow社製Tergitol(登録商標)15 S 7の種類、Croda社製Brij(登録商標)05及びO10のポリオキシエチレンオレイルエーテル、ならびにRhodia社製Geronol(登録商標)VO 2003の種類の脂肪酸のポリエチレングリコールエステルは、特に適切であることが分かった。懸濁液を乾燥製剤へと変換するために、本技術分野の水準において公知の吸収及び乾燥プロセスを主に用いることができ、特に減圧乾燥、噴霧乾燥、流動床乾燥、及び流動床顆粒化であり、必要であれば適切な保護コロイド、バインダー、湿潤剤、及び充填材を添加して、それぞれ部分的な蒸発流、及び少なくとも部分的な若しくはより良好な完全な溶媒回収を任意に伴う。本発明の全体の処理は気圧的に解放して行うことができるが、しかしながら、選択した溶媒の蒸気圧及び引火点によっては、部分的に若しくは完全に、不活性気体の下で、又は正圧若しくは負圧の下で行うことができ、本発明の好ましい実施形態は、適切な溶媒を選択することによって潜在的な爆発性雰囲気を回避した、大気圧下でのインサイチュ(in−situ)コーティングである。物理的方法、例えば、連続的に混合する方法、薄膜反応器、紫外線照射、又は超音波処理を用いた、可能であるが必ずしも必要ではない重縮合の更なる加速は、明確に本発明の一部である。
【0018】
コーティングのための適切な基材は、原則として、反応温度において融解した形態で存在せず、ポリマー形成剤と適合する表面を有し、それらがポリマー形成剤から化学的に攻撃されないことを意味する、そのような活性剤である。それらに任意に吸収される剤を有する多層粒子及び微多孔粒子もまた基材と考えることができる。ここで、活性剤は、生物学的活性剤、特に殺虫剤、除草剤、殺カビ剤、殺ダニ剤、殺藻剤、殺菌剤、微生物抑制剤、殺鼠剤、抗生物活性剤、及び防虫剤、誘引剤、フェロモン剤、及び一般に誘引する又は反発する香り又は味、並びにそのような剤の混合物として一般に理解される。活性剤は、コーティングする前に、インサイチュの重縮合に適する、1〜500μm、好ましくは3〜50μmの粒子径であることが好ましい。これは、物理化学的な特性、例えば融点、沸点、硬度、最小点火エネルギー、燃焼性、特定の伝導率等によって変化することがあり、乾式又は好ましくは湿式ミリング、例えばピンミル、ジェットミル、又はボールミルによって達成することができる。
【0019】
分散剤は、第一の有機溶媒中で使用される活性剤の結晶の間隔を互いに保つのに役立ち、その後の活性剤の結晶の封入を可能にし、又は任意に使用される第二の有機溶媒中のポリマー形成剤を乳化する。特に適切な分散剤は、ポリビニルピロリドン誘導体、特にISP社製の、特にAgrimer(登録商標)AL 22、及びSurfadone(登録商標)LP 100又は300である。当然、分散剤は、使用される溶媒と適合しなければならない。
【0020】
使用される溶媒は、特定の低粘度を有しなければならず、活性剤若しくは場合により複数の活性剤の混合物は、その溶媒に不溶性でなければならず、溶媒は、ヒドロキシル基及び/又はアミノ基を含まないものでなければならず、ポリマー形成剤又は架橋剤は、それらのそれぞれの溶媒に可溶性でなければならない。単一の溶媒で要求を満たすこともでき、すなわち、第一、第二、及び第三の有機溶媒は同一であってもよい。この目的のために考慮に値する物質のなかでも、具体的には植物油のエステル、特に8〜16の炭素原子を有しあらゆる反応性ヒドロキシル基を有しない、飽和中鎖脂肪酸、あるいはモノ−又はポリ不飽和中鎖脂肪酸のメチルエステル及びエチルヘキシルエステルであってよい。例えば、そのような適切な溶媒は、Oleon社製の商品名Radia(登録商標)7118の下で市販されている。これらの好ましい溶媒が、それらの溶解性のため被覆される活性剤に適していない場合、他の溶媒、例えばテルペン炭化水素、特にオレンジテルペン、脂肪族及び芳香族炭化水素、並びに分岐又は分岐のない形態の天然及び合成の脂肪族及び芳香族アルコールのエーテル及びエステル、並びにそのような溶媒の混合物を用いることができる。これに対して、モノ−及びポリアルコールにおいて、ポリオール、アミン、第四級(quats)、及び一般に高極性又はイオン性の溶媒は、それらの反応性のためポリマー形成剤には不適当であることが分かった。好ましくは、有機溶媒は、Surfadone(登録商標)LP 300、オレンジテルペン、又はトリブチルシトラートである。
【0021】
好ましくは、ポリマー形成剤は、所望のコーティング厚に必要な量で加える。この量は、活性剤の懸濁液の濃度、粒子径、並びに疎水化のために必要な層厚に依存する。活性剤及びポリマー形成剤の含有率は、それぞれ、0.1%〜500%、好ましくは15%〜100%であることができ、活性物質に関する質量パーセントとして表される。
【0022】
好ましくは、本発明の反応は、10〜80℃の間、好ましくは40〜60℃の間、又は低くとも1℃、より好ましくは低くとも5℃の温度、特に好ましくは10℃より高くそれぞれ使用される有機溶媒の引火点未満の温度、及び/又は使用される溶媒若しくは複数の溶媒が、反応条件下で潜在的な爆発性雰囲気を生じないような低い蒸気圧を有する温度で行う。
【0023】
本発明の好ましい実施形態によれば、架橋剤は、NCO基にとって少なくとも二官能性の架橋剤であり、ポリマー形成剤のNCO基の全てが架橋し、それによって活性剤の粒子の表面上のポリウレタン層をインサイチュ(in situ)で形成するように、少なくとも化学量論量で添加する。文献によると、NCO基にとって適切な反応パートナーは、選択された溶媒に可溶性であって溶媒と化学的に反応しない、多価アルコール、ポリオール、ジアミン、トリアミン、及びポリアミン、及びこれらの混合物であろう。驚くべきことに、エタノールアミン、特にトリエタノールアミン(TEA)は、特に適切な反応剤であることが分かった。原理的には、文献から公知の反応剤、例えばDETA(ジエチレントリアミン)、EDA(エチレンジアミン)、TEDA(トリエチレンジアミン)、HMD(ヘキサメチレンジアミン)を用いることもできるが、しかしながら、ポリウレタン層のより有利でない特徴、特により低い機械的強度につながる可能性がある。
【0024】
ここで、以下の例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、しかしながら、本発明は制限されない。
【実施例】
【0025】
例1(基本)
以下の工程において、ポリウレタンの疎水性層を有するアセタミプリド結晶のコーティングを記載する。
【0026】
I.5〜6μmの平均粒径d50を有する乾燥ミリングされたアセタミプリド50gを、Oleon NV社(オランダ)製のRadia(登録商標)7118(メチルラウリン酸エステル)142g、及びISP International Specialty Products社(アメリカ)製のAgrimer(登録商標)AL 22(アルキル化ポリビニルピロリドン)2.9gの溶液中に、室温で、高剪断ミキサーで分散させ、次に50℃に加熱した。
【0027】
II.Dow Chemical社(アメリカ)製のVoranate(登録商標)M 220(ポリメタ−イレンポリフェニルイソシアネート)9.4g、及びISP International Specialty Products社(アメリカ)製のSurfadonee(登録商標)LP 300(直鎖Nアルキル−2−ピロリドン)3.5gからなる混合物を、分散にゆっくり滴下して加え、次に混合物を10分間撹拌した。
【0028】
III.3.7gのトリエタノールアミン(TEA)、及び9.4gのSurfadonee(登録商標)LP300から溶液を調製し、約60分間かけて非常にゆっくり滴下して加えた。
【0029】
IV.充分な反応速度のため、温度を50〜60℃に維持した。約10分後に反応が開始し、溶液が増粘し始めた。コーティング反応の間、懸濁液の過剰の増粘を回避するために、IKA Werke Co.KG社(ドイツ)製Ultra Turrax(登録商標)ホモジナイザーで、溶液を勢いよく攪拌した。反応の間、不適切に撹拌すると、ポリマー塊りの形成につながり、結果として不均一なコーティングにつながることがある。
【0030】
V.分散を、50℃で更に2時間攪拌し、次に再び室温に冷却した。
【0031】
コーティングのレベル又は質を決定するために、用意した分散を、完成したフィルム中のアセタミプリドの含有量が2g/kgとなるような量で、液体水性構造物保護フィルム中へと分散させた。
【0032】
8mgのコーティングされたアセタミプリドに対応する4gのこの液体フィルムを、100mLの水中に抽出し、アセタミプリドの含有量をHPLC−UVで決定した。
【0033】
以下の結果を得た。
【表1】
【0034】
文献によると、アセタミプリドは、通常、20℃で400mg/100mLの溶解性を有する。上表に掲げた結果から、結晶のコーティングによって溶解性が著しく低減されたことが明らかとなった。
【0035】
例2(ポリマー形成剤の量による疎水化の制御)
この例では、例1と比較してポリマー形成剤の量を2倍にし、溶媒としてオレンジテルペン中でコーティングを行った。
【0036】
I.5〜6umの平均粒径を有する挽いたアセタミプリド50gを、135gのオレンジテルペン、及び2.5のAgrimer(登録商標)AL 22からなる溶液中に、室温で、高剪断ミキサーを用いて分散させ、次に溶液を45℃に加熱した。
【0037】
II.25.2gのVoranate(登録商標)M220を、Jungbunzlauer社(オーストラリア)製のCitrofol(登録商標)B1(アセチルトリブチルシトラート)25.2gと混合し、分散へとゆっくり滴下して加えた。
【0038】
III.9.2gのトリエタノールアミンを、高剪断混合の下、60分間かけて分散へとゆっくり滴下して加えた。分散を常に撹拌した。
【0039】
IV.溶液がもはや増粘しなくなったら混合を止め、反応を完了した。今回の場合、更に30分撹拌した後であった。
【0040】
V.反応終了後、分散を40℃で2時間撹拌した。
【0041】
例1に記載した方法と同じ方法を使用して、コーティングの質を調べた。
【表2】
【0042】
この場合、ポリマーを2倍にすると、結果として活性剤の結晶の疎水化が2倍になった。この例によって、コーティングが他の溶媒中でも働くことを実証することができた。
【0043】
例3(量の範囲の決定)
ここでは、ポリマー形成剤の量を、例1と比較して50%減らした。
【0044】
この実験は、例1と同様に実施した。
しかしながら、Voranate M 220(登録商標)の量を9.2gから4.6gに減らし、トリエタノールアミンの量を3.7gから1.85gに減らした。
【0045】
例1及び2に記載されているような品質試験をすると、すでに30分後にアセタミプリドの100%が溶解したことを示した。したがって、コーティングは不十分であった。
【0046】
例4(温度範囲の決定)
量及び試剤は例1に対応するが、しかしながら、ここでは、コーティングプロセスの間、バッチ全体を冷やして、温度を常に15℃に保った。その結果、反応が2時間後にやっと始まり、非常にゆっくり進行した。また、溶液は、集中的に攪拌したにもかかわらず、小さなペーストが生じる程度に非常に増粘した。
【0047】
この挙動の理由は、粒子を共に凝集させる、低温における分散体の粘度の増大である。したがって、低温でコーティングを実施するためには、低粘度の分散媒質が好ましい。
【0048】
得られたカプセルの質は、例1の質と非常によく似ていた。
【0049】
例5(架橋剤の変化による影響)
例1と同じ製造方法を選択したが、架橋剤としてトリエタノールアミンの代わりにジエタノールアミンを使用した。コーティングプロセスの間、溶液の粘度が大きく増大し、柔らかい塊につながった。結晶は、ポリマーで十分に被覆されていなかった。
【0050】
例1及び2に記載したような品質試験をしたところ、30分後にすでにアセタミプリドの80%が溶解したことが分かった。
【0051】
例6(溶媒の変化による影響)
この実験では、異なる植物油エステル、エチルヘキシルオレイン酸エステル(Oleon社のRadia(登録商標)7331)を溶媒として使用して、アセタミプリドの結晶をコーティングする試みを行った。
ポリマー形成剤と溶媒との混和性が不十分で、反応が起こる可能性があったことから、充分な結晶のコーティングがなく、試みは中止しなければならなかった。
【0052】
例7(18.89gポリマー/100gアセタミプリドを有する、アセタミプリドのコーティング)この試験は、工程を説明した例1の基本に基づいて行った。わずかにより高い、60℃の温度を選択した。
【0053】
成分 量
Radia(登録商標)7118 509.0g
Agrimer(登録商標)AL22 10.3g
−60℃まで加熱−
挽いたアセタミプリド @98.0% 180.0g
−Ultra Turrax(登録商標)で分散させる−
ポリマー形成剤(下記参照)プレミックス 47.5g
−ゆっくり加えて、10分間撹拌する−
架橋剤(下記参照)プレミックス 44.3g
−30分にわたってゆっくり加えて、勢いよく撹拌する−
−温度を60℃に1時間保持する−
Radia(登録商標)7118 80.0g
−室温に冷却し、終夜撹拌する−
合計 871.0g
【0054】
ポリマー形成剤プレミックス 量
Surfadonee(登録商標)LP 300 10.3g
Voranate(登録商標)M220 34.0g
合計 44.3g
【0055】
架橋剤プレミックス 量
Surfadone(登録商標)LP 300 34.0g
トリエタノールアミン(TEA) @100.0% 13.4g
合計 47.5g
【0056】
例8(9.44gポリマー/100gアセタミプリドを有する、アセタミプリドのコーティング)
ポリマー形成剤プレミックス及び架橋剤プレミックスの量を、例7と比較して半分にし、したがって、コーティングの計算量も同様に半分にした。
【0057】
成分 量
Radia(登録商標)7118 554.9g
Agrimer(登録商標)AL 22 10.3g
−60℃まで加熱−
挽いたアセタミプリド98.0% 180.0g
−Turrax(登録商標)で分散させる−
ポリマー形成剤(下記参照)プレミックス 23.73g
−ゆっくり添加し、約10分間撹拌する−
架橋剤(下記参照)プレミックス 22.1g
−15分以内にゆっくり添加する−
−温度を60〜65℃に1時間保持する−
Radia(登録商標)7118 80.0g
−室温に冷却し、終夜撹拌する−
合計 871.0g
【0058】
ポリマー形成剤プレミックス 量
Surfadonee(登録商標)LP 300 5.1g
Voranate(登録商標)M220 17.0g
合計 22.1g
【0059】
架橋剤プレミックス 量
Surfadonee(登録商標)LP 300 17.0g
トリエタノールアミン(TEA) @100.0% 6.7g
合計 23.7g
【0060】
比較目的で、米国特許第5,911,923号明細書B1の例を行ったが、米国特許第5,911,923号明細書B1に従い使用した溶媒(トルエン、酢酸エチル、及び大豆油の混合物)中の得られたマイクロカプセルの分散は安定でないことが証明され、さらに得られたマイクロカプセルは薄い壁厚のみを示し、したがって、活性剤はマイクロカプセルを通って急速に拡散することができた。本発明において好ましく用いられる溶媒を用いたとき、すでに著しい改善が得られた。例9は、本発明における好ましい溶媒を用いた(しかしながら架橋剤としてジアミンを用いない)、使用した活性剤の実質的に改善した封入をすでに有する、米国特許第5,911,923号明細書B1に従う方法を示す。
【0061】
例9(18.89gポリマー/100gアセタミプリドを有する、アセタミプリドのコーティング)
この実験では、本発明において好ましいアミノアルコールの代わりにジオール(この場合、プロピレングリコール)を使用し、重合触媒存在下で重合反応を行った。ここでは、ポリウレタンの調製で一般的に用いられる1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを触媒として利用した。算出されたコーティング厚は、例7と同じであった。
【0062】
成分 量
Radia(登録商標)7118 512.2g
Agrimer(登録商標)AL 22 10.3g
−60〜65℃に加熱する−
挽いたアセタミプリド @98.0% 180.0g
−Turrax(登録商標)でよく分散させる−
ポリマー形成剤プレミックス(下記参照) 44.30g
−ゆっくり添加し、約10分間撹拌する−
架橋剤触媒プレミックス(下記参照) 44.3g
−60〜65℃で、滴下してゆっくり添加する−
合計 791.0g
収量 791.0mL
【0063】
ポリマー形成剤プレミックス 量
Surfadone(登録商標)LP 300 10.3g
Voranate(登録商標)M220 34.0g
合計 44.3g
収量 44.3mL
【0064】
架橋剤触媒プレミックス 量
Surfadone(登録商標)LP 300 34.0g
プロピレングリコール 9.5g
DABCO 0.8g
合計 44.3g
収量 44.3mL
【0065】
例10(比較例、本発明によらない、16.00gポリマー/100gアセタミプリドを得るための、o/wエマルジョン法による典型的なマイクロカプセル化)
これは、公開された文献に基づいて当業者に実施されているような、本発明によらない薬剤封入の典型的な方法である。この方法では、活性物質アセタミプリドを非水溶性溶媒(有機相)中に溶解し、水性媒体(水相)中に乳化したが、欠点は、乳化の間に水がアセタミプリドの一部をすでに溶解するということである。ポリイソシアネートを用いて、ポリマーをカプセル化し、それは表面重合において架橋剤としてジアミンと結合し、そしてポリ尿素のシェルを形成した。
【0066】
成分 量
水相 @50℃ 939g
油相 @60℃ 610g
エチレンジアミン溶液 20%強度 17g
−Turrax(登録商標)でカプセル化−
−50℃で2時間撹拌する−
Silfoam(登録商標)SRE、Wacker Chemie AG社(ドイツ)製の消泡剤、消泡剤 15.1g
Glucopon(登録商標)215 UP BASF社(ドイツ)製の非イオン性界面活性剤 56g
−−−−残りは省略
Lonza社(イタリア)製Proxel(登録商標)GXL、殺生物剤
4.0g
クエン酸 7.9g
脱ミネラル水 126.6g
Brenntag社(オーストラリア)製Rhodopol(登録商標)、2%のキサンタンゴム23 183g
合計 1958g
収量 1958mL
【0067】
油相 量
Purasolv(登録商標)EHL、2−エチルヘキシル−L−乳酸エステル
395g
Voranate(登録商標)M 220 16g
アセタミプリド 100g
Purasolv(登録商標)EHL 99g
合計 610g
収量 610mL
【0068】
水相 量
脱イオン水 713g
Silfoam(TM) SRE 0.5g
Agrimer(登録商標)AL−10 LC 11.9g
Glucopon(登録商標)215 UP 3.7g
PVP K−30(登録商標)、水溶性ポリビニルピロリドン 32g
Silfoam(登録商標)SRE、消泡剤 0.3g
脱イオン水 178g
合計 939g
収量 939mL
【0069】
最後の4つの例7〜10について、以下、これらの封入の質を比較する。この目的のために、2g/kgアセタミプリドの含有量を有する、例1及び2の品質制御においてすでに言及した液体構造物保護フィルムを調製及び乾燥した。乾燥フィルムを、100mLの水で抽出し、水中に溶解したアセタミプリドの量を経時的に分析的に決定した。
【0070】
例7の品質制御(TEAを有する本発明の実施形態、18.89gポリマー/100gアセタミプリド):
【表3】
【0071】
例8の品質制御(TEAを有する本発明の実施形態;9.44gポリマー/100gアセタミプリド):
【表4】
【0072】
例9の品質制御(ジオール、及びDABCOを有する実施形態;18.89gポリマー/100gアセタミプリド):
【表5】
【0073】
例10の品質制御(比較例)(乳化工程を有する本発明の実施形態によらない方法、16.00gポリマー/100gアセタミプリド):
【表6】
【0074】
本発明によるコーティングの実施形態では、従来の非創意的な実施形態よりも、活性成分が非常にゆっくり放出されることを明確に認めることができた。アセタミプリドを活性剤として使用した場合、100gのアセタミプリド当たり約19gのポリマー形成剤の量に始まる、構造物保護フィルムにとって適切な溶液の遅延が起こった。ポリマー形成剤の量を半分に減らすと、例3及び8に示すように、もはや適切な溶液の遅延には繋がらなかった。
【0075】
特定の用途にとって最適なポリマー形成剤の量は、特にコーティング基材の形状及び平均粒径に依存し、それぞれの目的のために、算出及び実験によってそれを決定することは当業者次第である。以下、本発明の実施形態を列記する。
〔1〕
水溶性活性剤の濃縮物の調製方法であって、固体の活性剤を出発物質として用い、分散剤の添加を伴う無水プロセスで、前記活性剤の結晶を第一の有機溶媒中に均一に分布させ、得られた溶液の粘度を適切な助剤で任意に調整し、任意に第二の有機溶媒中のポリマー形成剤を得られた溶液に添加し、添加される溶液又は得られた溶液のいずれかの粘度を、適切な助剤を添加することによって任意に調整し、第三の有機溶媒中の少なくとも2つの官能基を有する架橋剤を得られた溶液中に戻し、ここで再び、添加される溶液又は得られた溶液のいずれかの粘度を、適切な助剤を添加することによって任意に調整し、前記ポリマー形成剤は、低粘度の、好ましくは25〜35%、最も好ましくは30〜32%の平均NCO含量の、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート類、及びこれらの混合物から成る群から選択される、方法。
〔2〕
前記活性剤が、生物学的活性剤、殺虫剤、除草剤、殺かび剤、殺ダニ剤、殺藻剤、殺菌剤、微生物抑制剤、殺鼠剤、抗生物活性剤、防虫剤、誘引剤、フェロモン、及び一般に誘引又は反発する香り又は味、並びにこれらの活性剤の混合物からなる群から選択される、項目1に記載の方法。
〔3〕
前記分散剤がポリビニルピロリドン誘導体である、項目1又は2に記載の方法。
〔4〕
前記溶媒又は複数の前記溶媒が、植物油のエステル、特に8〜16の炭素原子を有し反応性ヒドロキシル基を有さない、飽和中鎖脂肪酸、あるいはモノ−又はポリ不飽和中鎖脂肪酸のメチルエステル及びエチルヘキシルエステル、テルペン炭化水素、特にオレンジテルペン、脂肪族及び芳香族炭化水素、分岐又は分岐のない形態の天然及び合成の脂肪族及び芳香族アルコールのエーテル及びエステル、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、項目1〜3のいずれか一項に記載の方法。
〔5〕
前記反応を、10〜80の間、好ましくは40〜60℃の間、又は低くとも1℃、より好ましくは低くとも5℃の温度、最も好ましくは10℃より高くそれぞれ使用される有機溶媒の引火点温度未満、及び/又は使用される前記溶媒又は複数の前記溶媒が、反応条件下で潜在的に爆発性雰囲気を形成しないような低い蒸気圧を有する温度で行う、項目1〜4のいずれか一項に記載の方法。
〔6〕
前記架橋剤は、NCO基にとって少なくとも二官能性の架橋剤であり、少なくとも化学量論量において添加され、前記架橋剤は、好ましくは、エタノールアミン、特にトリエタノールアミン(TEA)であるか、又はエタノールアミン、特にトリエタノールアミン(TEA)を含む、項目1〜5のいずれか一項に記載の方法。
〔7〕
項目1〜6のいずれか一項に記載の方法によって得られる、コーティングされた活性剤の結晶を含む、粉末又は顆粒。