【実施例1】
【0092】
図1は、本発明の固形物取り出し用キャップの蓋部材を開蓋した状態の斜視図、
図2は、
図1の固形物取り出し用キャップの正面図、
図3は、
図1の固形物取り出し用キャップの上面図、
図4は、
図1の固形物取り出し用キャップの底面図、
図5は、
図1のA−A線での断面図、
図6は、
図1の固形物取り出し用キャップを開蓋した状態の背面図、
図7は、固形物取り出し用キャップを閉蓋した状態の断面図、
図8〜
図12は、本発明の固形物取り出し用キャップを備えた固形物収容容器の使用状態を説明する部分拡大断面図、
図13は、案内溝部46の作用を説明する概略図である。
【0093】
図において、符号10は、全体で本発明の固形物収容容器を示している。
【0094】
図1〜
図9に示したように、固形物収容容器10は、固形物取り出し用キャップ12を備えており、この固形物取り出し用キャップ12は、固形物Tを収容した容器本体14の口部16に装着されるものである。
【0095】
なお、説明の便宜上、
図8〜
図12にのみ、固形物取り出し用キャップ12を容器本体14の口部16に装着した状態を示している。
【0096】
また、このような固形物Tとしては、例えば、錠剤、カプセル剤などの薬品類、チョコレート、キャンディー、ガムなどの粒状の菓子類などの固形物などがあるが、何らこれに限定されるものではない。
【0097】
また、固形物取り出し用キャップ12は、容器本体14の口部16に装着されるキャップ本体18を備えており、このキャップ本体18にヒンジ20を介して開閉可能に蓋部材22を連結している。
【0098】
このように蓋部材22が、キャップ本体18に対してヒンジ20を介して開閉可能に装着できるように構成されているので、蓋部材22の開閉動作が容易であり、これに応じて後述するような固形物Tの計量、取り出し操作が容易となる。
なお、ヒンジ20は、キャップ本体18の周縁部のいかなる位置に設けても良く、収容用凹部36に対して直線上となる位置に設けても良い。
【0099】
なお、もちろん、蓋部材22が、キャップ本体18に対してヒンジ20を介して開閉可能に装着するものではなく、蓋部材22が、キャップ本体18に対して、別体の蓋部材22を着脱自在に装着できるような別部材であっても構わない。
【0100】
この場合、固形物取り出し用キャップ12の材質としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリプロピレンなどの樹脂から構成することができる。
【0101】
なお、固形物取り出し用キャップ12の材質を透明な材料から作製することも可能である。この場合、例えば、透明な樹脂などを用いて固形物取り出し用キャップ12を成形することによって、固形物Tの収納の状態を蓋部材22の開閉前に容易に確認することができる。
また、実際に固形物収容容器10全体を逆さまにしても固形物Tが、収容用凹部36内に確実に収納されているとは限らず、固形物Tが収容用凹部36内に確実に収納されているか否かを外部から確認でき、空振りを防ぐ方法として有用である。
【0102】
また、この場合、2色成形方法や、個別に成形後の組立てる方法で、後述する収容用凹部36や落下防止突設部50などを、エラストマーやシリコンゴムなどの滑りが悪い材質で成形するのが望ましい。
【0103】
この場合には、後述するように、収容用凹部36上に所定量の固形物Tが、落下防止突設部50によって、確実に収容(載置)され、例えば、振動などで不用意に、収容用凹部36から飛び出して、進入用開口部42を介して、容器本体14の内部に落下するのを防止する機能が向上することになる。
【0104】
図8に示したように、キャップ本体18の側壁24の内周には、雌ネジ24aが形成されており、この雌ネジ24aを、容器本体14の口部16の外周に形成された雄ネジ16aに螺合することによって、キャップ本体18、すなわち、固形物取り出し用キャップ12を、容器本体14の口部16に装着することができるように構成されている。
【0105】
なお、この実施例では、キャップ本体18の雌ネジ24aを、容器本体14の口部16の雄ネジ16aに螺合することによって、固形物取り出し用キャップ12を、容器本体14の口部16に装着するように構成したが、いわゆるスナップフィット形式で構成することももちろん可能である。
【0106】
なお、蓋部材22の開閉を容易にするために、キャップ本体18の側壁24の外側には、開閉用凹部26が形成されているとともに、この開閉用凹部26に対応して、蓋部材22には、蓋部材22の一部が外側に突出する開閉用突出片28が形成されている。
【0107】
また、キャップ本体18の側壁24の内周側には、上方に突出する上部フランジ30が形成されており、この上部フランジ30の外側に、蓋部材22の内側を係止することにより、いわゆるスナップフィットにより、蓋部材22をキャップ本体18に係脱することができるように構成されている。
【0108】
さらに、
図1、
図3〜
図5、
図7〜
図9に示したように、キャップ本体18には、固形物Tを取り出すための取り出し用開口部32が形成されている。そして、この取り出し用開口部32の一部を覆うように、キャップ本体18には、略扇形状の上板部34が形成されている。
【0109】
また、この上板部34の上面には、固形物Tの形状に概略合致した形状、この実施例では、略円形形状の収容用凹部36が形成されている。
【0110】
さらに、
図1に示したように、キャップ本体18には、取り出し用開口部32の上方を覆うように、略ドーム屋根形状の案内板部38が形成されており、この案内板部38には、取り出し用開口部32の上方において、上板部34の方向に向かって上方に傾斜した案内面40が形成されている。
【0111】
また、
図1、
図2、
図5に示したように、これらの上板部34と案内板部38との間には、固形物取り出し用開口部32に連通した進入用開口部42が形成されている。
【0112】
一方、
図1、
図3に示したように、蓋部材22には、蓋部材22を閉蓋した際にキャップ本体18の上板部34の上方に位置する頂板部44の裏面に、上板部34の収容用凹部36に対応するように案内溝部46が形成されている。
【0113】
この案内溝部46の形状は、先端側に向かって
漸次幅が狭くなった形状で、丁度その先端部46aに、1個の固形物Tが侵入することができるような略楕円形状となっている。この場合、
図13に示したように、案内溝部46の先端部46aに、1個の固形物Tの半分以上、好ましくは、2/3以上が侵入する形状とするのが望ましい。
【0114】
さらに、
図5に示したように、キャップ本体18の上板部34が、進入用開口部42に向かって下方に傾斜した傾斜面48を備えている。
【0115】
なお、この場合、後述するように、固形物Tが、収容用凹部36内に確実に収容(載置)されるためには、
図5に示したように、傾斜角度αは、特に限定されるものではなく、固形物Tの種類などに応じて適宜設定すれば良く、例えば、ころがりにくい素錠や裸錠がころがり落ちる程度に設定するのが望ましい。
【0116】
また、収容用凹部36の凹部の深さは、後述するように、固形物Tが、収容用凹部36内に確実に収容(載置)されるためには、固形物Tの厚さの1/3以上の深さとするのが望ましい。
【0117】
さらに、
図1、
図5に示したように、上板部34に形成された収容用凹部36の進入用開口部42側の縁部に、落下防止突設部50が形成されている。
【0118】
また、
図4、
図5に示したように、キャップ本体18の上板部34の下面には、進入用開口部42に向かって上方に傾斜した案内傾斜面52を備えている。この場合、案内傾斜面52が、所定間隔離間して配置された複数の傾斜リブ54から形成されている。
【0119】
すなわち、この実施例の場合には、上板部34の端部34aに対して、直角な方向に所定間隔離間して形成された複数の傾斜リブ54から形成されている。
【0120】
このような複数の傾斜リブ54により案内傾斜面52を形成するので、軽量化が図れることになる。
【0121】
なお、この場合、後述するように、固形物収容容器10を天地逆さまの状態にすることによって、容器本体14内に収容された固形物Tが、キャップ本体18の上板部34の下面に形成された案内傾斜面52に沿って、キャップ本体18に形成された案内板部38の案内面40に移動し易くされるためには、
図5に示したように、傾斜角度βは、特に限定されるものではなく、固形物Tの種類などに応じて適宜設定すれば良く、例えば、ころがりにくい素錠や裸錠がころがり落ちる程度に設定するのが望ましい。
【0122】
また、
図1、
図4〜
図5に示したように、容器本体14に収容した被取り出し固形物Tより大きい寸法の、例えば、乾燥剤などの固形物Aが、進入用開口部42を介して通過するのを阻止するための板形状の通過阻止部材56が、案内板部38の下面に下方に立設されている。
【0123】
この場合、
図5に示したように、通過阻止部材56の基端部56aから上板部34の端部34aまでの空隙S1の幅T1が、通過阻止部材56の先端部56bから上板部34の端部34aまでの空隙S2の幅T2よりも狭く形成されている。
【0124】
また、
図3〜
図5に示したように、案内板部38の先端部分38aと、上板部34の端部34aとの間には、間隙S3が形成されている。
【0125】
しかしながら、図示しないが、案内板部38の先端部分38aを、上板部34の方向に延設して、案内板部38の先端部分38aと、上板部34の端部34aとの間に間隙S3が存在しないようにして、固形物収容容器10の使用者が、この間隙S3を見て、後述するように、固形物Tの計量取り出し操作をせずに、連続的な固形物Tの取り出しをしないようにすることもできる。
【0126】
このように構成される本発明の固形物取り出し用キャップ12を備えた固形物収容容器10の使用方法について、以下に説明する。
【0127】
先ず、
図8に示したように、予め、容器本体14に所定の量の固形物Tを充填しておき、キャップ本体18の雌ネジ24aを、容器本体14の口部16の雄ネジ16aに螺合することによって、固形物取り出し用キャップ12を、容器本体14の口部16に装着しておく。
【0128】
そして、
図9に示したように、所定量の固形物を、計量、取り出しする際には、蓋部材22をキャップ本体18に閉蓋して、固形物収容容器10を天地逆さまの状態にする。
【0129】
これにより、
図9の矢印で示したように、容器本体14内に収容された、例えば、錠剤などの固形物Tが、キャップ本体18に形成された案内板部38の案内面40に案内され、案内面40に沿って、上板部34と案内板部38との間に形成された進入用開口部42の方向に移動する。
【0130】
この場合、キャップ本体18の上板部34の下面に、進入用開口部42に向かって上方に傾斜した案内傾斜面52を備えているので、容器本体14内に収容された固形物Tが、キャップ本体18の上板部34の下面に形成された案内傾斜面52に沿って、キャップ本体18に形成された案内板部38の案内面40に移動し易くなる。
【0131】
これにより、容器本体14内に収容された固形物Tが、キャップ本体18に形成された案内板部38の案内面40に案内され、案内面40に沿って、上板部34と案内板部38との間に形成された進入用開口部42の方向に移動し易くなる。
【0132】
そして、進入用開口部42を通過した固形物Tは、蓋部材22の頂板部44の裏面に形成された案内溝部46に案内されて、キャップ本体18の上板部34の上面に形成された収容用凹部36の丁度上方に位置することになる。
【0133】
すなわち、案内溝部46の先端部46aに、1個の固形物Tが半分以上、好ましくは、2/3以上が侵入して整列した状態となって、キャップ本体18の上板部34の上面に形成された収容用凹部36の丁度上方に位置することになる。
【0134】
この状態で、
図10に示したように、固形物収容容器10の天地を元の状態に戻すことによって、
図10の矢印で示したように、キャップ本体18の上板部34の上面に形成された収容用凹部36上に、固形物Tが落下して、所定量(この実施例では、1個の)の固形物Tが収容(載置)されることになる。
【0135】
この場合、キャップ本体18の上板部34が、進入用開口部42に向かって下方に傾斜した傾斜面48を備えるので、固形物Tが、キャップ本体18の上板部34の進入用開口部42に向かって下方に傾斜した傾斜面48に案内される。
【0136】
これにより、キャップ本体18の上板部34の上面に形成された収容用凹部36上に所定量の固形物が収容(載置)され易くなる。
【0137】
この際、進入用開口部42を通過し、蓋部材22の頂板部44の裏面に形成された案内溝部46とキャップ本体18の上板部34の上面との間の収容空間S4内に進入する固形物Tは、蓋部材22の頂板部44の裏面に形成された案内溝部46と、キャップ本体18の上板部34に形成された進入用開口部42に向かって下方に傾斜した傾斜面48に案内されることになる。従って、一度に固形物Tが集合して堆積されず、中心部に位置する固形物Tの流れが優先されることになる。
【0138】
また、上板部34に形成された収容用凹部36の進入用開口部42側の縁部36aに、落下防止突設部50が形成されているので、キャップ本体18の上板部34の上面に形成された収容用凹部36上に所定量の固形物Tが、落下防止突設部50によって、確実に収容(載置)される。
【0139】
しかも、いったん収容用凹部36内に収容(載置)された固形物Tが、落下防止突設部50によって、例えば、振動などで不用意に、収容用凹部36から飛び出して、進入用開口部42を介して、容器本体14の内部に落下するのを防止することができる。
【0140】
また、余分に進入用開口部42を通過し、蓋部材22の頂板部44の裏面に形成された案内溝部46とキャップ本体18の上板部34の上面との間の収容空間S4内に進入した固形物Tは、
図10の矢印Bで示したように、進入用開口部42を介して、容器本体14の内部に落下することになる。
【0141】
すなわち、余分に進入用開口部42を通過し、蓋部材22の頂板部44の裏面に形成された案内溝部46とキャップ本体18の上板部34の上面との間の収容空間S4内に進入した固形物Tは、キャップ本体18の上板部34の進入用開口部42に向かって下方に傾斜した傾斜面48に沿って滑り落ちて、進入用開口部
42を介して、容器本体
14の内部に落下し易くなる。
【0142】
さらに、
図1、
図4〜
図5に示したように、容器本体14に収容した被取り出し固形物Tより大きい寸法の、例えば、乾燥剤などの固形物Aが、進入用開口部42を介して通過するのを阻止するための板形状の通過阻止部材56が、案内板部38の下面に下方に立設されている。
【0143】
すなわち、
図5に示したように、通過阻止部材56の基端部56aから上板部34の端部34aまでの空隙S1の幅T1が、通過阻止部材56の先端部56bから上板部34の端部34aまでの空隙S2の幅T2よりも狭く形成されている。
【0144】
このように構成することによって、案内板部38の下面に下方に立設された通過阻止部材56によって、例えば、乾燥剤などの容器本体
14に収容した被取り出し固形物Tより大きい寸法の固形物Aが、
図9の点線で示したように、進入用開口部42を介して通過するのを阻止することができる。
【0145】
すなわち、固形物収容容器10を天地逆さまの状態にすることによって、進入用開口部42に侵入しようとする、例えば、乾燥剤などの容器本体
14に収容した被取り出し固形物Tより大きい寸法の固形物Aが、通過阻止部材56の基端部56aから上板部34の端部34aまでの狭い空隙S1の幅T1によって、進入用開口部42に侵入しようとするのが阻止される。
【0146】
しかも、
図10の矢印Cで示したように、固形物収容容器10の天地を元の状態に戻した際に、進入用開口部42に侵入しようした被取り出し固形物Tより大きい寸法の固形物Aが、通過阻止部材56の先端部56bから上板部34の端部34aまでの広い空隙S2の幅T2によって、容器本体14内に落下し易くなる。
【0147】
これにより、進入用開口部42を介して誤って通過した、被取り出し固形物Tより大きい寸法の固形物Aによって、収容用凹部36が覆われて、所期の被取り出し固形物Tが、所定量取り出せない状態になるのを防止することができる。
【0148】
従って、このような被取り出し固形物Tより大きい寸法の固形物Aが誤って、進入用開口部42を介して通過して取り出されるのを防止することができる。
【0149】
そして、
図11の矢印で示したように、この状態で、蓋部材22をキャップ本体18から開蓋すれば、収容用凹部36上に収容(載置)された所定量の固形物Tを、例えば、固形物収容容器10を傾けたり、軽く振り出したり、指で摘まんだりすることによって、計量、取り出しすることができる。
【0150】
一方、連続して固形物Tを取り出すことが必要な場合には、
図12の矢印で示したように、蓋部材22をキャップ本体18から開蓋した状態で、固形物収容容器10を傾けて左右に振ったり(
図12(A)参照)、固形物収容容器を天地逆さまの状態にすることによって(
図12(B)参照)、進入用開口部42を介して、連続して固形物Tを取り出すことができる。
【0151】
従って、簡単な操作でかつ確実に所定の量(この実施例では、1個)の固形物Tを計量して取り出すことができるとともに、連続して固形物Tを取り出すことが必要な場合にも、連続して固形物Tを取り出すことができ、しかも、複雑な構成でなく、コストも低減可能な固形物取り出し用キャップ12およびこれを用いた固形物収容容器10を提供することができる。