特許第6101071号(P6101071)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101071
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】エンボス加工金属外装材
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/12 20060101AFI20170313BHJP
【FI】
   E04F13/12 101F
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-282197(P2012-282197)
(22)【出願日】2012年12月26日
(65)【公開番号】特開2014-125767(P2014-125767A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390018463
【氏名又は名称】アイジー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】荒木和彦
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−240294(JP,A)
【文献】 特開2004−300735(JP,A)
【文献】 特開2012−122225(JP,A)
【文献】 特開平10−018554(JP,A)
【文献】 特開2011−094327(JP,A)
【文献】 実開昭60−129431(JP,U)
【文献】 実開昭60−126638(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端部に雄型連結部、上端部に雌型連結部を形成した長尺状の金属外装材において、金属外装材の上下端部に凸部と凹部を交互に形成した凹凸群を長手方向に沿って連続状に複数個形成した列を形成し、かつ、凹部の面と凹凸群間の面とは同一平面ではないものとし、かつ、その列を上下方向に複数段形成し、その上下方向に複数段形成した列の間には成形間隙を設けたエンボス加工金属板により形成したことを特徴とするエンボス加工金属外装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築、構築物の外装を形成する金属外装材に関するものであり、金属製板材の成形加工による歪を化粧面の意匠部に表れ無いようにしたエンボス加工金属外装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、金属製板材をエンボスロールにより加工し、化粧面に凹凸を形成する方法は数多く上市されている。(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−146627号公報
【特許文献2】特開2011−094327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は「エンボス加工を施した金属板及びエンボス加工型」、特許文献2は「金属板と金属サイディング材ならびに金属板の成形型と製造方法」に係るものであり、金属板を成形する際のエンボス加工による端部の波打ち防止、両端の折り曲げ加工を容易にすることを目的としているものである。
【0005】
しかしながら、特許文献1、2共に、成形時の折り曲げ加工部にエンボス加工による凹凸が存在することが避けられず、成型加工の歪が金属製外装材の化粧面の意匠部にまで影響する恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような欠点を解決するために、下端部に雄型連結部、上端部に雌型連結部を形成した長尺状の金属外装材において、金属外装材の上下端部に凸部と凹部を交互に形成した凹凸群を長手方向に沿って連続状に複数個形成した列を形成し、かつ、凹部の面と凹凸群間の面とは同一平面ではないものとし、かつ、その列を上下方向に複数段形成し、その上下方向に複数段形成した列の間には成形間隙を設けたエンボス加工金属板により形成したことを特徴とするエンボス加工金属外装材に関するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るエンボス加工金属外装材によれば、(1)歪抑制エンボス加工部は、成形部の位置を避けてレイアウトが出来るので、成形の形状確保がし易く、成形時のクラックも入り難い。(2)歪抑制エンボス加工部が、長手方向に沿って連続状に形成され、かつ、上下方向に複数段形成されていることで、鉄板を幅方向で押さえる効果が高く、化粧面の意匠部からの鉄板の引き込みを軽減出来る。(3)歪抑制エンボス加工が掛かっている所は、加工硬化により鉄板の強度が高くなり、化粧面の意匠部が歪抑制エンボス加工部より強度が弱い場合成形時に歪みが意匠部に入り易くなってしまうが、歪抑制エンボス加工部にエンボスが掛かっていない成形間隙部分が上下方向に複数段形成した歪み抑制エンボス加工の列の間にあることで歪抑制エンボス加工部の強度を抑えることができ、歪みが化粧面の意匠部に入ることを防止できる。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係るエンボス加工金属外装材の代表例を示す断面図である。
図2】本発明に係るエンボス加工金属外装材の代表例を示す部分拡大断面図である。
図3】本発明に係るエンボス加工金属外装材の施工状態を示す断面図である。
図4】本発明に係るエンボス加工金属外装材に使用するエンボス加工金属板を示す正面図である。
図5】本発明に係るエンボス加工金属外装材を示す正面図である。
図6】本発明に係るエンボス加工金属外装材に使用するエンボス加工金属板を示す部分拡大図である。
図7】本発明に係るエンボス加工金属外装材の歪抑制エンボス加工部の代表例を示す説明図である。
図8】本発明に係るエンボス加工金属外装材のその他の実施例を示す説明図である。
図9】本発明に係るエンボス加工金属外装材のその他の実施例を示す説明図である。
図10】本発明に係るエンボス加工金属外装材のその他の実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0009】
以下に図面を用いて、本発明に係るエンボス加工金属外装材の一実施例について詳細に説明する。すなわち、エンボス加工金属外装材Aは図1図2(a)、(b)に示すように、エンボス加工金属板1と裏面材2で例えば合成樹脂発泡体からなる芯材3を、サンドイッチしたエンボス加工金属外装材Aである。また、図3は施工状態を示す断面図であり、αは躯体、βは固定具である。なお、図1図3においては、エンボス加工金属板1へのエンボス加工による凹凸は図示していない。
【0010】
エンボス加工金属外装材Aの全体形状の一例としては図1図2(a)、(b)に示すように、長尺で金属製の薄板からなるエンボス加工金属板1と裏面材2間に芯材3をサンドイッチし、幅方向の一端に形成した雄型連結部4、他端に形成した雌型連結部5とから形成し、エンボス加工部aを形成した化粧面6の下端には側壁7、上端には側壁8を形成したものである。
【0011】
さらに詳説すると、雄型連結部4は化粧面6下端を裏面側に屈曲した側壁7と、側壁7の先端を上方へ突出した上面9と、上面9の先端を下方に屈曲した係合片10と、上面9と係合片10とからなる係合溝11とから形成したものである。
【0012】
雌型連結部5は化粧面6の上端を裏面側に屈曲した側壁8と、側壁8の先端を上方に屈曲した目地底面12と、目地底面12の先端を折り返し下方に突出した下面13と、目地底面12と下面13とからなる嵌合片14と、下面13の先端を上方に屈曲して突出した固定面15と、下面13と固定面15とから形成した嵌合溝16とから形成したものである。なお、17は防水性強化のために形成したパッキンである。
【0013】
エンボス加工金属板1と裏面材2は金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をエンボスロール成形、あるいはプレス成形したものである。また、裏面材2としてはアルミニウム蒸着紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔(Al、Fe、Pb、Cu)、合成樹脂シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、ガラス繊維不織布等の1種、または2種以上をラミネートしたもの、あるいは防水処理、難燃処理されたシート状物からなるものでも良いものである。
【0014】
芯材3は例えばポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム等、の合成樹脂発泡体からなるものであり、エンボス加工金属板1、もしくは裏面材2の裏面側に吐出し、加熱して反応・発泡・硬化させてエンボス加工金属板1と裏面材2を一体に形成するものである。また、芯材3中には各種難燃材として軽量骨材(パーライト粒、ガラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン、水酸化アルミニウム等)、繊維状物(グラスウール、ロックウール、カーボン繊維、グラファイト等)を混在させ、耐火性、防火性を向上させることも出来る。
【0015】
エンボス加工金属外装材A同士は、係合片10が嵌合溝16へ、係合溝11には嵌合片14が連結されることにより、図3に示すように連結されるものである。
【0016】
図4はエンボス加工金属板1の成形前の板材を示す正面図、図5はエンボス加工金属板1の成形後の板材を示す正面図であり、化粧面6にエンボス加工部a、歪抑制エンボス加工部bを施したものである。
【0017】
エンボス加工部aのエンボス模様としては、図に示すエンボス模様の他に、リシン模様、メロン模様、スタッコ模様、ニシキ模様、ニューメロン模様、キャスト模様、スジメ模様(縦、横、斜め)、ディンプル模様、等からなるものである。
【0018】
歪抑制エンボス加工部bは、図6(a)、(b)、図7に示すように屋外側に突出した凸部18と、凹部19とから形成したものであり、図では3個の凸部18間に凹部19を形成した凹凸群20を複数個形成したものである。
【0019】
凸部18は図に示すように、エンボス加工金属外装材Aの長手方向に対して連続状に、かつ複数段形成するものであり、図では、四角形に形成しているが、その他に円、楕円、三角形、多角形、縦長形、横長形、などでも良い。
【0020】
歪抑制エンボス加工部bは、エンボス加工によりエンボス加工金属板1の化粧面6に凹凸状のエンボス加工を施す際に、エンボス加工による縮み量のバランスを確保する目的で形成するものであり、エンボス加工による化粧面6の意匠性を害するような歪み(凹凸)、後工程の雄型連結部4、雌型連結部5の成形を害するようなエンボス加工金属板1のキャンバー(進行方向における曲がり)、などの抑制と防止のために形成したエンボス加工である。
【0021】
凹凸群20の上下間には、図7に示すようにエンボスが形成されていない成形間隙cを形成し、この成形間隙部分にてエンボス加工金属板1の雄型連結部4、雌型連結部5の折り曲げ加工を行うようにすることにより、折り曲げ加工を行うロール成形時のエンボス加工金属板1の歪を低減することにより、ロール成形後のエンボス加工金属板1の歪の発生も低減できるものである。
【0022】
以上説明したのは本発明に係るエンボス加工金属外装材の一実施例に過ぎず、図8図10(a)〜(d)に示すような歪抑制エンボス加工部bを形成することが出来るものであり、図8は歪抑制エンボス加工部bの凹凸群20をちどり状に形成したもの、図9(a)〜(d)、図10(a)〜(d)は凸部18を四角状、円形状、楕円形状に形成した歪抑制エンボス加工部bを示す。ここで、例えば歪抑制エンボス加工部に、同一形状の連続を採用した場合は、NCなどのデータ加工がし易くなるという効果が生じる。
【符号の説明】
【0023】
α 躯体
β 固定具
A エンボス加工金属外装材
a エンボス加工部
b 歪抑制エンボス加工部
c 成形間隙
1 エンボス加工金属板
2 裏面材
3 芯材
4 雄型連結部
5 雌型連結部
6 化粧面
7 側壁
8 側壁
9 上面
10 係合片
11 係合溝
12 目地底面
13 下面
14 嵌合片
15 固定面
16 嵌合溝
17 パッキン
18 凸部
19 凹部
20 凹凸群
図1
図2
図3
図6
図7
図8
図9
図10
図4
図5