(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0004】
心臓血管の手術及び他の医療的応用において、非常に薄くて(直径数ミリメータ)長い(30〜150cm以上)滅菌済カテーテルを、薄壁(例えば1〜1.5ミリメータの壁厚さ)の血管、例えば動脈及び静脈を含む生物的管腔(lumen)内まで送る必要があることが多い。
【0005】
数多くの血管疾患、例えば冠動脈疾患及び末端血管疾患は、動脈内でのアテローム性沈着物(プラーク)の堆積によって生じる。該プラークは、その動脈によって供給される組織への血流を制限する。冠動脈疾患(CAD)及び末端血管疾患(PAD)を含む、閉塞された身体血管によって生じる疾患により、身体は衰弱し、生命も脅かされかねない。慢性完全閉塞(CTO)により、手足の壊疽に至って切断を要する可能性があり、他の合併症につながって最終的に死に至るかもしれない。ますます、かかる閉塞の治療は、ガイドワイヤを疾患のある動脈に挿入し、閉塞領域に通すインターベンション治療を含むだろう。例えば、膨張したカテーテルバルーンからの圧力(例えばバルーン血管形成術)によって閉塞部を拡張し、より開けた位置としてもよく、及び/又は閉塞領域をステントによって開いた状態にしてもよい。かかる閉塞部の治療はまた、カテーテルを使用して動脈の内側からプラークを除去すること(例えばアテローム切除)を含んでもよい。
【0006】
動脈がプラークによって完全に閉塞されている場合、ガイドワイヤに閉塞部を通過させるのは極度に難しく、危険性を有する。閉塞部又はプラークは、比較的硬質の繊維状の材料で構成されていることもある。該材料は、多くの場合、硬質のカルシウム沈殿物を含む。ガイドワイヤ又はカテーテルをかかる閉塞部に通すと、ガイドワイヤは血管(例えば動脈)の壁を破裂させる可能性があり、動脈を形成する層に進入し、更には組織を損傷させる可能性もある。従って、閉塞した血管、特に慢性的に閉塞した血管を効率的に往来可能なガイドワイヤ位置決めデバイスに対するニーズがある。かかるデバイスは、ガイドワイヤの位置決めを可能にし、従ってステント及び他のデバイスの位置決めを可能にし、患者の転帰改善並びに患者の疾患率及び死亡率の減少につながる。
【0007】
さらに、カテーテルベースの心臓血管カテーテルがアテローム切除及び他の外科手術を誘導するのに役立つセンサを備えることに医療的重要性がある。事故による損傷のリスクを最小化するために、例えば、特定の組織が病変しているか否か、及び/又はカテーテルの切断部分が特定の血管層の界面からどれほど離れているかに関する、手術中の即時の可視的フィードバックを提供するセンサを有するのは有効であろう。従来、かかる外科手術のために、放射線イメージング方法及び超音波イメージングシステムが試みられてきた。しかしながら、超音波イメージング方法も放射線イメージング方法も、血管内部と血管外部との間の重要なミリメータの端部に対するカテーテルの動作を誘導するのを助ける充分な解決方法を有しない。さらに、標準の放射線技術は、組織がひどく石灰化していない限り、正常組織と病変組織とを容易に区別することができない。さらに通常、超音波システムのコンポーネントは、小さい範囲に実装するには大きすぎる。
【0008】
光コヒーレンストモグラフィ(OCT)は、例えば血管を含む管腔内を含んだ組織領域の画像化に特に有用な一技術として提案されてきた。基本的な段階で、光源から移動し、より離れた物体から散乱する光は、近くの物体から散乱する光よりも戻ってくるのにより長い時間が必要である、という事実にOCTは依存する。光の波動性に起因して、ミクロンスケールのさまざまな距離を進む光信号が引き起こす非常に小さなタイミングの差は、参照光信号に建設的干渉又は相殺的干渉をもたらす可能性がある。OCTシステムは、ターゲットの画像を得るために、生じる干渉を測定する。しかしながら、残念なことに、カテーテルにおいて使用するための、安定した信頼可能なOCTシステムを提供することは非常に難しいことがわかった。典型的なOCTシステムは、信号と付加された光とを区別するために、1つ以上の干渉計を必要とする。加えて、カテーテルに適用された場合、既知のOCTシステムの多く(しばしば高い割合で)が、管腔周囲を走査するためにカテーテル内で回転しているファイバを含む。通常、これらのシステムは、比較的大きい出力動作を必要とする。これは、OCT光路(例えばファイバ)を回転させ、管理するために必要な多くのコンポーネントが、光学的損失につながるからである。
【0009】
従って、カテーテルの応用及び使用に適合した、効率の良い頑強なOCTシステムに対するニーズがある。上記課題の多くを解決する改良した光コヒーレンストモグラフィ(OCT)システムを本明細書で説明している。
【0010】
図1を参照すると、標準的なOCTデバイスは、ターゲットアームと参照信号を発生する参照アームとを含む。干渉参照信号を供給するために、OCTデバイスは、光源からの照射光信号を、2つに等分又は不等分し、1つのターゲット光「ターゲットアーム」を通じて照射光の一部を興味あるターゲットに伝送し、照射光の他の部分を分離した参照アームへ向けて下方向に伝送することになる。分離した参照アームからの光は、ミラーに反射し戻ってきて、ターゲットに反射してターゲット光アームから戻ってきた、ターゲットに反射した後の散乱光と干渉する。既在のOCTデバイスでは、干渉効果を最大にするように、参照アームの長さをターゲットアームと正確に同じ長さに設計する。2つのビーム間で生じる干渉は、縞で知られる干渉効果を生み出す。該縞は、ターゲットの種々の層の相対屈折率を測定するのに使用可能である。この情報を使用して、物体の画像を作成することができる。
【0011】
OCTについてのより確立された応用と比較して、心臓血管カテーテルは、血管環境での一回の使用を意図したものであり、最も高いレベルの無菌状態を必要とする。かかる無菌状態を得るために、通常、心臓血管カテーテルは、工場滅菌可能な低価格の使い捨て品として製造する。医療処置の間、かかるカテーテルは工場滅菌容器から取り出すのが通常である。カテーテルの近位端は、カテーテルを制御するために必要とされる装置と接続し(この場合、カテーテル内のいずれかの光ファイバを駆動するのに使用するOCTエンジンとの接続も含む)、遠位端は患者の体に直接挿入する。カテーテルは、処置が一度終了すると廃棄する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
低価格の使い捨てカテーテルを製造することは、正確な参照アームの照合及び高価な光学機器に対するニーズの結果として困難である可能性がある。従って、低価格のOCTカテーテルに対するニーズもある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
OCTカテーテル、カテーテルシステム並びにそれらの使用方法及び製造方法について明細書で説明する。概して、明細書で説明するOCTカテーテル及びシステムは、患者に使用して身体管腔の内部構造を視覚化するのに好適である。これらのシステムにより、分岐部(bifurcation)、入口部(ostial)、蛇行(tortuosity)領域などの複雑な組織周辺及び該組織を通る進路誘導を含む、カテーテルの制御及び進路誘導が可能になるだろう。さらに、リアルタイムの有効なイメージング及び該イメージングの制御システムにより、手術時間を短くし、長期転帰及び短期転帰を改善することができるだろう。
【0014】
概して、光コヒーレンストモグラフィのためのシステムは、光放射線源、光ファイバ、受信用電子機器、界面媒質及び処理装置を含んでもよい。概して、光ファイバは、参照界面及びターゲットから反射した光放射線のための共通光路を提供するコアを有する。該コアは、第1屈折率を有する。明細書で説明するように、受信用電子機器は、参照界面及びターゲットから反射した光放射線を受信するように構成する。界面媒質は、参照界面に存在し、光ファイバと光学接触する。界面媒質は、第2屈折率を有する。受信用電子機器がショットノイズ限界から5dB内の総ノイズ範囲で動作するように、第1屈折率と第2屈折率とを不整合にしている。処理装置は、受信用電子機器が受信する光放射線に基づいて、ターゲットの画像を作成する。
【0015】
これらの実施形態は、次の特徴の1つ以上を含んでもよい。即ち、受信用電子機器がショットノイズ限界から3dB内の総ノイズ範囲で動作するように、第1屈折率と第2屈折率とを不整合にすることができる。また、受信用電子機器がショットノイズ限界から2dB内の総ノイズ範囲で動作するように、第1屈折率と第2屈折率とを不整合にすることができる。さらに、光放射線源は、掃引周波数光源が可能である。
【0016】
システムはさらに、界面媒質中にミラーを含んでもよく、該ミラーは、光ファイバからターゲットに向けて光放射線を反射するように構成することができる。該ミラーは、金で被覆したシリコンダイ(die)を含んでもよい。界面媒質は、固体の透明媒質でもよい。界面媒質は、コアの遠位端と光学接触可能である。
【0017】
システムはさらに、光源からコアの遠位端へ光放射線を中継するように構成した方向エレメントを含んでもよい。
【0018】
第1屈折率n
1と第2屈折率n
2とは、下記の式を満たすように不整合にすることができる。
【0019】
【数1】
【0020】
ここでP
inは、界面媒質に入射する前の、光ファイバの遠位端での光放射線の出力であり、P
outは、受信用電子機器がショットノイズ限界から5dB内の総ノイズ範囲で動作するように参照界面から反射した光放射線の出力である。概して、光コヒーレンストモグラフィと一緒に使用するためのカテーテルは、伸長性(elongate)カテーテル体、該伸長性カテーテル本体内の光ファイバ、及び界面媒質を含む。光ファイバは、参照界面及びターゲットから反射した光放射線のための共通光路を提供するコアを有する。該コアは、第1屈折率を有する。界面媒質は、光ファイバと光学接触している。界面媒質は、第2屈折率を有する。第1屈折率と第2屈折率とは、参照界面及びターゲットから反射した光放射線を受信するように構成された受信用電子機器がショットノイズ限界から5dB内の総ノイズ範囲で動作するように不整合にされている。
【0021】
この実施形態及び他の実施形態は、次の特徴の1つ以上を含んでもよい。即ち、受信用電子機器がショットノイズ限界から3dB内の総ノイズ範囲で動作するように、第1屈折率と第2屈折率とを不整合にすることができる。また、受信用電子機器がショットノイズ限界から2dB内の総ノイズ範囲で動作するように、第1屈折率と第2屈折率とを不整合にすることができる。
【0022】
システムはさらに、界面媒質中にミラーを含んでもよい。該ミラーは、光ファイバからターゲットに向けて光放射線を反射するように構成することができる。ミラーは、金被覆したシリコンダイを含んでもよい。界面媒質は、固体の透明媒質が可能である。界面媒質は、コアの遠位端と光学接続可能である。
【0023】
第1屈折率n
1と第2屈折率n
2とは、下記の式を満たすように不整合にすることができる。
【0024】
【数2】
【0025】
ここでP
inは、界面媒質に入射する前の、光ファイバの遠位端での光放射線の出力であり、P
outは、受信用電子機器がショットノイズ限界から5dB内の総ノイズ範囲で動作するように参照界面から反射した光放射線の出力である。
【0026】
概して、光コヒーレンストモグラフィを実施する方法は、コアを有する光ファイバを通じて光源からの光放射線を伝送することと、界面媒質を通じて光ファイバから光放射線を伝送することと、ターゲットから反射した光放射線及び参照界面から反射した光放射線を、光ファイバ中の共通光路に沿って検出器まで伝送することと、受信用電子機器で、反射後の光放射線を受信することと、受信用電子機器が受信する反射後の光放射線に基づいて、ターゲットの画像を作成することとを含み、コアは第1屈折率を有し、界面媒質は光ファイバと光学接触しており、界面媒質は第2屈折率を有し、受信用電子機器がショットノイズ限界から3dB内の総ノイズ範囲で動作するように、第1屈折率と第2屈折率とを不整合にする。
【0027】
この実施形態及び他の実施形態は、次の特徴の1つ以上を含んでもよい。即ち、受信用電子機器がショットノイズ限界から3dB内の総ノイズ範囲で動作するように、第1屈折率と第2屈折率とを不整合にすることができる。また、受信用電子機器がショットノイズ限界から2dB内の総ノイズ範囲で動作するように、第1屈折率と第2屈折率とを不整合にすることができる。
【0028】
光放射線を伝送することは、掃引光源放射線を含む光放射線を伝送することを含んでもよい。界面媒質を通じて光ファイバから光放射線を伝送することは、界面媒質中、光ファイバからミラーまで光放射線を伝送することを含んでもよい。
【0029】
概して、光コヒーレンストモグラフィのためのシステムは、光放射線源と、参照部及びターゲットから反射した光放射線のための共通光路を提供する光ファイバと、参照部及びターゲットから反射した光放射線を受信するための検出器と、参照界面に存在し、光ファイバの遠位端と光学接触している界面媒質と、埋込み(embedding)媒質内のミラーと、検出器が受信する光放射線に基づいてターゲットの画像を作成するための処理装置とを含む。ミラーは、反射被覆を有するシリコンダイを含む。
【0030】
この実施形態及び他の実施形態は、次の特徴の1つ以上を含んでもよい。即ち、反射被覆は、金属が可能である。また、該金属被覆は、金が可能である。さらに、反射被覆の厚さは、少なくともλ
min/2πÅが可能である。ここで、λ
minは、光ファイバ内の光の波長である。金属被覆の厚さは、約2800Åが可能である。
【0031】
システムはさらに、シリコンダイと反射被覆との間に接着層を含んでもよい。該接着層は、ニッケル、チタン又はクロムを含んでもよい。接着層の厚さは、50Å〜200Åが可能である。接着層の厚さは、約100Åが可能である。界面媒質は、接着剤を含んでもよい。
【0032】
ミラーは、少なくとも95%、例えば少なくとも98%を反射することが可能である。界面媒質は、固体の透明媒質が可能である。光放射線源は、掃引光源放射線を供給するように構成することができる。
【0033】
概して、光コヒーレンストモグラフィと一緒に使用するためのカテーテルは、伸長性カテーテル体と、該伸長性カテーテル体の中の光ファイバと、界面媒質と、該界面媒質内のミラーとを含む。光ファイバは、参照界面及びターゲットから反射した光放射線のための共通光路を提供する。該界面媒質は、参照界面に存在し、光ファイバの遠位端と光学接触している。ミラーは、反射被覆を有するシリコンダイを含む。
【0034】
この実施形態及び他の実施形態は、次の特徴の1つ以上を含んでもよい。即ち、界面媒質は、接着剤を含んでもよい。また、反射被覆は、金属が可能である。さらに、該金属被覆は、金が可能である。さらに、反射被覆の厚さは、少なくともλ
min/2πÅが可能である。ここで、λ
minは、光ファイバ内の光の波長である。さらに、金属被覆の厚さは、約2800Åが可能である。
【0035】
カテーテルはさらに、シリコンダイと反射被覆との間に接着層を含んでもよい。該接着層は、ニッケル、チタン又はクロムを含んでもよい。接着層の厚さは、50Å〜200Åが可能である。接着層の厚さは、約100Åが可能である。ミラーは、少なくとも95%、例えば少なくとも98%を反射することが可能である。
【0036】
概して、光コヒーレンストモグラフィを実施する方法は、光ファイバを通じて光源からの光放射線を伝送することと、光放射線から界面媒質に埋め込まれたミラーまで光放射線を伝送することと、ミラーからターゲットに向けて光放射線を反射することと、参照界面からの光放射線を反射することと、ターゲットから反射した光放射線及び参照界面から反射した光放射線を、光ファイバ内の共通光路に沿って検出器まで伝送することと、反射後の光放射線を検出器で受信することと、検出器が受信した、反射後の光放射線に基づいて、ターゲットの画像を作成することとを含み、前記ミラーは、反射被覆を有するシリコンダイを含み、前記界面媒質は、光ファイバのコアの遠位端と光学接触しており、前記参照界面は光ファイバと界面媒質との間に存在する。
【0037】
この実施形態及び他の実施形態は、次の特徴の1つ以上を含んでもよい。即ち、光放射線を伝送することは、掃引光源放射線を伝送することを含んでもよい。また、反射被覆は、金属が可能である。さらに、該金属被覆は、金が可能である。さらに、反射被覆の厚さは、少なくともλ
min/2πÅが可能である。さらに、金属被覆の厚さは、約2800Åが可能である。
【0038】
該方法はさらに、シリコンダイと反射被覆との間に接着層を含んでもよい。該接着層は、ニッケル、チタン又はクロムを含んでもよい。接着層の厚さは、50Å〜200Åが可能である。接着層の厚さは、約100Åが可能である。ミラーは、少なくとも95%、例えば少なくとも98%を反射することが可能である。
【0039】
概して、光コヒーレンストモグラフィのためのシステムは、光放射線源と、伸長性カテーテル体と、光ファイバと、伸長性カテーテル体の近位端に取り付けられたハンドルと、検出器と、処理装置とを含む。光ファイバは、伸長性カテーテル体の近位端から遠位端まで延びており、カテーテル体の遠位端に取り付けることができる。光ファイバは、参照部及びターゲットから反射した光放射線のための共通光路を提供する。ハンドルは、伸長性カテーテル体の長手軸周りの、ハンドルに対するカテーテル体及び光ファイバの回転を可能にするように構成されている。検出器は、参照部及びターゲットから反射した光放射線を受信する。処理装置は、検出器が受信した光放射線に基づいてターゲットの画像を作成する。
【0040】
この実施形態及び他の実施形態は、次の特徴の1つ以上を含んでもよい。即ち、光ファイバは、カテーテル体の遠位端の近くにのみ取り付けることができる。また、光ファイバの遠位端は、固体の透明媒質内に埋め込むことができる。さらに、光ファイバは、伸長性カテーテル体と同軸でなくてもよい。さらに、ハンドルは、巻取り機構を含んでもよく、該巻取り機構は、光ファイバの回転時に該光ファイバを巻き取るように構成可能である。さらに、ハンドルは、回転機構を含んでもよく、回転機構の1回転により、カテーテル体及び光ファイバを長手軸周りに1回以上回転させることができる。さらに、回転機構の1回転により、カテーテル体及び光ファイバを長手軸周りに少なくとも2回転させることができる。さらに、回転機構の1回転により、カテーテル体及び光ファイバを長手軸周りに約4回転させることができる。
【0041】
概して、光コヒーレンストモグラフィと一緒に使用するためのカテーテルは、伸長性カテーテル体と、光ファイバと、ハンドルとを含む。光ファイバは、伸長性カテーテル体の近位端から遠位端まで延びており、カテーテル体の遠位端に取り付ける。光ファイバは、参照部及びターゲットから反射した光放射線のための共通光路を提供する。ハンドルは、伸長性カテーテル体の長手軸周りの、ハンドルに対するカテーテル体及び光ファイバの回転を可能にするように構成されている。
【0042】
この実施形態及び他の実施形態は、次の特徴の1つ以上を含んでもよい。即ち、光ファイバは、カテーテル体の遠位端の近くにのみ取り付けることができる。また、光ファイバの遠位端は、固体の透明媒質内に埋め込むことができる。さらに、光ファイバは、伸長性カテーテル体と同軸でなくてもよい。
【0043】
ハンドルは、巻取り機構を含んでもよく、該巻取り機構は、光ファイバの回転時に該光ファイバを巻き取るように構成されている。ハンドルは、回転機構を含んでもよい。回転機構の1回転により、カテーテル体及び光ファイバを長手軸周りに1回以上回転させることができる。回転機構の1回転により、カテーテル体及び光ファイバを長手軸周りに少なくとも2回転させることができる。回転機構の1回転により、カテーテル体及び光ファイバを長手軸周りに約4回転させることができる。
【0044】
概して、光コヒーレンストモグラフィを導く方法は、光ファイバを通じて光源からの光放射線を伝送することと、光ファイバからターゲットの第1位置まで光放射線を伝送することと、ターゲットから反射した光放射線及び参照部から反射した光放射線を、光ファイバ内の共通光路に沿って検出器まで伝送することと、反射後の光放射線を検出器で受信することと、検出器が受信した反射後の光放射線に基づいて、ターゲットの第1位置の第1画像を作成することと、ターゲットの第2位置から第2画像を取得できるように、カテーテル体及び光ファイバを、カテーテル体の長手軸周りに手動で回転させることとを含み、前記光ファイバは、伸長性カテーテル体の近位端から遠位端まで延びており、カテーテル体の遠位端の近くで該カテーテル体に取り付けられる。
【0045】
この実施形態及び他の実施形態は、次の特徴の1つ以上を含んでもよい。即ち、光放射線を伝送することは、掃引光源放射線を伝送することを含んでもよい。また、伸長性カテーテル体及び光ファイバを回転させることは、カテーテル体の遠位端及び光ファイバの遠位端を回転させることを含んでもよい。さらに、光ファイバを回転させることは、カテーテル体の近位端に取り付けたハンドルの巻取り機構の周りに光ファイバを巻き取ることを含んでもよい。さらに、伸長性体及び光ファイバを回転させることは、該伸長性体及び光ファイバがハンドルに対して回転するように、カテーテル体の近位端に取り付けたハンドルの巻取り機構を回転させることを含んでもよい。さらに、回転機構を1回転させることにより、カテーテル体と光ファイバとを長手軸周りに1回以上回転させることができる。さらに、回転機構を1回転させることにより、カテーテル体と光ファイバとを長手軸周りに少なくとも2回転させることができる。さらに、回転機構を1回転させることにより、カテーテル体と光ファイバとを長手軸周りに約4回転させることができる。
【0046】
本明細書で説明する実施形態は、次の利点の1つ以上を含んでもよい。
【0047】
共通光路光ファイバと不整合の屈折率を有する界面媒質を有するOCTシステムを使用することによって、OCT受信用電子機器は、ショットノイズ限界から5dB内の総ノイズ範囲で動作する。好都合なことに、ショットノイズ限界から5dB内の総ノイズ範囲で動作することにより、受信用電子機器でのノイズが確実に小さくなる。受信用電子機器内でのノイズを低く保つことにより、より質の高い画像が得られる。例えば、アテローム除去カテーテルと一緒に使用した場合、好都合なことに、より質の高い画像が、ターゲット組織のより優れた特定を可能にする。
【0048】
OCTシステムの一部として、掃引光源放射線及び共通光路光ファイバを使用することにより、標準の時間領域OCTの実施形態、又はマイケルソン干渉計若しくはマッハツェンダー干渉計を使用する掃引光源の実施形態と比較して、大きく単純化した光学システムの使用が可能になる。これにより、光放射線の最も有効な利用が可能になり、同じく最適化した信号検出が可能になり、それに相当するより優れた画質が得られる。
【0049】
反射被覆を有するシリコンダイを界面媒質内に埋め込むことにより、ファイバからの光の組織への反射、及び組織から戻ってくる光のファイバ内への反射のための高反射率表面が得られる。該高反射率表面により、光放射線源からの光の大部分は、確実に組織から反射して戻ってくることになる。ターゲットから反射したより多くの光を有することにより、干渉縞のコントラストは向上し、より高画質の画像が得られる。
【0050】
カテーテル体の遠位端に取り付けた共通光路光ファイバと、伸長性カテーテル体の近位端に取り付けた、カテーテル及び光ファイバを回転させるためのハンドルとを含むOCTのためのシステムにより、光ファイバは、破壊されたり引き伸ばされたりすることなく、カテーテル体と一緒に回転する。光ファイバをカテーテル体と一緒に回転させることにより、確実に画像をカテーテル体の周囲360°で撮影することができる。カテーテル体周囲の360°の画像を撮影することにより、確実により多くの組織を画像化することができる。さらに好都合なことに、カテーテル体の遠位端に取り付けた光ファイバと、伸長性カテーテル体の近位端に取り付けた、カテーテル及び光ファイバを回転させるためのハンドルとを含むことにより、カテーテルと独立してファイバを回転させるための更なるかさ高い機構を有することを避けられる。
【0051】
これらの利点及び他の利点は、以降の説明及び請求項から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本明細書で説明する光コヒーレンストモグラフィ(OCT)カテーテル及びシステムは、動脈内疾患の診断及び/又は治療に対して特に有用であろう画像誘導血管内手術を提供するように構成されている。該システムは、カテーテル、アンビリカル(umbilical)接続及びコンソールを含んでもよい。該システムは、OCTを使用して、カテーテルカッター近くの血管内環境の画像を形成する。
図2Bは、本明細書でより詳細に説明するOCTシステムの一バリエーションの概略図を示している。
【0054】
管腔内の手術、例えばアテローム切除中に、正確にターゲット組織を特定できない結果として問題が生じる可能性がある。OCTのための共通光路光ファイバを有するカテーテルを使用することによって、ターゲット組織の適切な特定を向上させることが可能になる。
【0055】
図2を参照すると、共通光路OCTシステム100は、レーザー源102、例えば掃引周波数光源を含む。光ファイバ104は、レーザー源102からターゲット114へ放射線を伝送する。光ファイバ104は、界面媒質106と光学接触している。即ち、光ファイバを出射して界面媒質に入射する光は、1つの界面のみと接触する。いくつかの実施形態においては、
図2に示すように、光ファイバの端部を界面媒質106に埋め込む。
【0056】
共通光路OCTシステム100において、界面媒質106の屈折率は、光ファイバ104のコアの屈折率と異なる。これがフレネル反射を作り出し、光の一部は、コアを出射し、光のまた一部は反射して戻る。光ファイバ104を出射する光ビームの一部は、ターゲット114に衝突し、該ターゲット114によって反射又は散乱されることになる。この反射又は散乱された光の一部は、光ファイバ104の先端に順に再入射し、ファイバ104を通って反対方向に至る。ファラデーアイソレーションデバイス112、例えばファラデー効果光サーキュレータを使用して、出射する光源信号の経路と、ファイバの遠位端から戻ってくるターゲット信号及び参照信号とを分離することができる。反射又は散乱したターゲット光及びファイバ面からフレネル反射した参照光は、光ファイバ104の近位端に配置された検出器110に戻ることができる。
【0057】
OCTシステム100において反射又は散乱したターゲット光は、フレネル反射した参照光よりも長い距離を移動するので、反射又は散乱したターゲット光は、参照ビームを基準として、周波数、位相及び/又は時間を置き換えることができる。例えば、掃引光源放射線を使用した場合、ターゲットからの光は周波数が置き換えられることになる。反射又は散乱したターゲット光と参照光との間で、位相、時間又は周波数の置換えの違いを利用して、光ファイバの末端と、ターゲットの光反射領域又は光散乱領域との間で光路長差を得ることができる。波長走査型(swept source)OCTの場合、置換えは、搬送参照ビーム上でヘテロダイン化したビート周波数としてコード化される。参照アームと信号アームの光路が共通である上記着想の実施形態は、共通光路干渉計と呼ばれる。共通光路干渉計は、分離した参照アームを失くし、カテーテル構造に負担をかけないため、低コストの使い捨て器具に対する要求を満たす。
【0058】
レーザー源102は、ヘモグロビン及び水の両方が光をあまり吸収しない生体の窓、即ち800nm〜1.4μmの波長範囲で動作可能である。例えば、レーザー源102は、約1300nm〜1400nm、例えば約1310nm〜1340nmの中心波長で動作可能である。光ファイバ104は、レーザー源102によって与えられる波長範囲については、シングルモードの光ファイバが可能である。
【0059】
光ファイバ104のコア及び界面媒質106は、既知の大きさのフレネル反射を生み出すことができるように、具体的に選択した屈折率を有することができる。例えば、OCTシステムにおけるノイズが最小化するように屈折率を選択することができる。
【0060】
OCTシステムにおけるノイズは、少なくとも3つの源、即ち、ショットノイズ、熱ノイズ又はジョンソンノイズ、及び相対強度ノイズ(RINノイズ)に起因する。アナログ−デジタル変換過程に起因する更なるノイズがあるかもしれない。RINノイズは、光源固有のノイズに起因し、大きい参照出力で支配的な傾向がある。これは、最大レーザー光強度を制限することによって、又は代替の低RIN光源(レーザーでない)を用いて作業することによって、又は平衡検出を使用することによって抑えることができる。熱ノイズ(ジョンソンノイズ)は、低い参照出力で支配的な傾向があり、熱ノイズフロアより大きいDCフォトダイオード電流を生じる参照出力レベルで作業することにより避けることができる。
【0061】
ショットノイズは、RINノイズと熱ノイズ(ジョンソンノイズ)との間の範囲で支配的である。ショットノイズは、特定の信号を伝送するフォトン又は電子の数の統計変動により生じる。優れた設計がされたシステムにとって、ショットノイズはダイナミックレンジの制限要因である。従って、ファイバ104及び界面媒質106の屈折率は、OCTシステム100がショットノイズ限界付近で動作するように選択することができる。
【0062】
特定の受信装置のショットノイズ限界は、光検出器の応答性、所望の検出バンド幅、及び検出エレメントに入る参照DC出力によって定まる。ノイズ対出力の例示的なグラフを、
図3Bに示すノイズのタイプによって分類して
図3Aに示す。
図3A及び
図3Bのグラフは、それぞれ伝送(forward)出力10mW、中心波長1550nm、バンド幅20nm、検出バンド幅1MHz及び感度1A/Wを有するシステムを仮定している。
【0063】
ショットノイズ限界は、
図3Aの曲線の底の領域301であり、ノイズが最も小さい、又はショットノイズ限界に起因する劣化が最も小さい場所である。特定の受信装置についてのグラフ、例えば
図3A及び
図3Bに示すグラフを使用して、検出器での所望の出力P
detを決定すれば、ノイズをショットノイズ限界からの所望の範囲内の値にすることができる。例えば
図3Cは、
図3Bから抽出した値の表を示している。
図3Cを参照すると、出力が0.158μWの場合、ショットノイズ限界より2.36dB高い最小劣化点に受信装置が定まる。さらに、63.1nW〜251nWの間の参照出力の場合、ノイズをショットノイズ限界から3dBの範囲内にする。約25nW〜0.631μWの間の参照出力の場合、ノイズをショットノイズ限界から5dBの範囲内にする。
【0064】
所望のP
detを得るための、界面106から反射する全出力P
outを決定するために、式(1)に従って、検出器110の損失を考慮する必要がある。
【0066】
ここで、P
outは、参照界面から反射した出力であり、Lは、プローブの遠位端から検出器110までの光学的損失の総和である。ゆえに、P
detが0.2μW(ショットノイズ限界に対してできるだけ小さいノイズになるように決定した0.158μWを丸めて)に等しく、中間光学システムが、Lが10%であるように、90%の能率で動作すると仮定すると、P
outは、0.2μW/(0.9)=0.2222μWに等しい。
【0067】
界面媒質に入射する前の光ファイバの遠位端での転送出力は、P
inによって与えられる。ゆえに、それを仮定すると、P
inは10mWに等しい。
【0068】
さらに、P
out及びP
inを用いて、参照界面180の屈折率を式(3)に従って計算することができる。
【0070】
ここで、rは屈折率のフレネル係数である。ゆえに、P
outが0.2222μWであり、P
inが10mWであると仮定すると、式(2)及び式(3)を用いて算出して、rは0.004714に等しい。
【0071】
さらに、フレネルの式(式(4)に示す)は、垂直又は垂直に近い界面からの反射強度を支配する。ここで、透明媒質の屈折率はn
2、コアの屈折率はn
1で与えられる。
【0073】
光ファイバのコアの屈折率n
1は、製造者によって決定し、ファイバに依存して変化する。例えば、光ファイバは、コーニング(Corning)社のSMF−28e、コーニング社のClearCurve、OFS社のBF05717及びEZBend、高度なバンド損失抵抗を有するフジクラ社のSR−15e並びにドラカ(Draka)社のBendBrightXS及びBendBrightEliteが可能である。コーニング社のSMF−28eについては、1.3ミクロンでのコアの群屈折率は1.4677である。対して、フジクラ社のイメージファイバ(ImageFiber)は、約1.500のn
1を有する。
【0074】
それゆえ、|r|が式(3)に従って算出して0.004714であり、n
1が1.4677であることを仮定すると、界面媒質の屈折率n
2は、約1.4816又は1.4539である必要がある。従って、どちらの屈折率を有する界面媒質も、所望の参照反射を生み出すことになる。いくつかの実施形態においては、より容易に利用可能であること、及び/又はより優れた機械的特性、例えば張力を有することを理由として、より大きい屈折率を有する媒質が好ましい。
【0075】
システム100と一緒に使用する界面媒質は、例えば接着剤が可能である。要求される屈折率に依存して、界面媒質は、例えば熱硬化性接着剤であるM21−CLが可能である。別の例示的な界面媒質は、トリントン(コネチカット州)のダイマックス(Dymax)社が製造するライトウェルド(Light Weld)(登録商標)UV硬化性フォトニクス接着剤OP−4−20658である。硬化状態で屈折率1.585を有するこの接着剤は、液体状態で使用することができる、堅く透明なUV硬化性接着剤であり、UV光に数秒以内露光すると、硬化して剛体となる。別の例示的な透明媒質は、ビルリカ(マサチューセッツ州)のエポキシテクノロジー(Epoxy Technology)社が製造するエポテック(EpoTek)OG127−4又はOG116である。これは、硬化状態で屈折率1.602を有する。
【0076】
所望の正確な屈折率を有する界面媒質が見つからない場合(例えば、正確な抗張力を有しないため、又は生体適合しないために)、近い屈折率を有する界面媒質を選択することが可能であり、それに応じて入射出力P
inを適合させることができる。既知のr及び検出器での所望の出力P
detを使用して、要求される出力P
inを式(5)に従って決定することができる。
【0078】
いくつかの実装において、界面媒質を半液体状態で、例えばディスペンサ、インクジェット蒸着、吹き付け、塗装、浸漬又は他のプロセスによって付加することができる。その後、該媒質を、例えばUV硬化、熱硬化、化学的硬化、加熱又は他のプロセスによって硬化して固体にしてもよい。他のプロセスとして、例えば透明媒質の真空蒸着又は透明物質の直接機械的置き換えを使用してもよい。
【0079】
界面媒質は、λ
min/2πの最小厚さ(即ち、光ファイバの末端と界面媒質の末端との間の深度)を有することができる。ここで、λ
minは光ファイバ内の光の波長である。1250nmより大きい波長に対して、これは約200nm以上の値となる。界面媒質はまた、参照反射と、ターゲットがファイバの遠位出射面に接近可能な最小距離との間にオフセットを導入するのに充分大きい厚さを有することができる。
【0080】
図2並びに
図4A及び
図4Bに戻って参照すると、ミラー180は、カテーテルヘッドの小さい(約2mm)直径に適合し、反射して遠位カテーテル端の側面から最大1〜3mm隔てて配置された血管組織に入るように正確に設計して最適化することが好ましい。
図4Bに示すように、ミラー180は、反射被覆403を有するシリコンダイ401を含むことができる。該反射被覆403は、例えば金被覆が可能である。反射被覆403の厚さは、λ
min/2πより大きくてもよい。ここでλ
minは、光ファイバ内での光の波長である。例えば、金属被覆の厚さは、約2800Åより大きくてもよい。
【0081】
さらに、反射被覆403の下のシリコンダイ401の表面は、400nm未満の粗さ、例えば約300nmより優れた粗さ、例えば約200nmの粗さまで研磨可能である。接着剤、例えばニッケル、チタン、クロムを使用して、金被覆をシリコンダイに接着させることができる。接着剤の厚さは、約50Å〜200Å、例えば厚さ約100Åが可能である。この構成のミラー180は、少なくとも95%を反射する、例えば98%を反射可能である。
【0082】
ミラー180は、光ファイバ104のコアの、長手軸405に対する傾斜角が30°〜60°、例えば45°であるようにした傾斜上に配置することができる。さらに、該ミラー180は、光がファイバ104からミラー180まで移動して試料を出射するまでの総距離が100〜400μm、例えば200〜250μmであるように構成することができる。
【0083】
図3A及び
図3Bに示すように、本明細書で説明するイメージングシステムは、カテーテル、例えばアテローム除去カテーテル502と一緒に使用可能である。カテーテル502中に開口部2610を形成し、ファイバ104の遠位端を露出することができる。OCTミラー180は、カテーテル104の遠位端付近の開口部に配置することができ、界面媒質は、ファイバ502、溝部2608及び開口部2610を覆い又は埋め込むことができる。
【0084】
図5は、ファイバ光学カテーテル502を含む、OCTイメージングシステム500の主なコンポーネントの概略図を示す。カテーテル502は、例えば直径約2mmの血管に適合するように形成可能である。本構成において、OCT光装置504(光源、光サーキュレータ及び検出器を含む)は、カテーテル502の近位端に配置可能であり、画像処理装置及びディスプレイ506に接続可能である。カテーテル502の遠位端は、イメージファイバ及びミラーを含む。システム500は、種々の医療目的、例えばアテローム除去を目的として、患者の体内で使用するように設計されている。従って、他のコンポーネント、例えば真空部510、吸引制御部508及び屑(debris)容器512が有用であろう。
【0085】
本明細書で説明するシステムを使用して、人体の内部管腔、例えば血管内部の一部の比較的狭角な画像を作り出してもよい。単一OCT光ファイバを通じて組織の断面図を見ることが限定される結果、単一OCTが作り出す有用な画角は、最大数度である。医療的により有用な、血管の内部からの、例えば45°、90°、120°又はそれ以上広い円弧又は帯部(swath)の全景を作り出すために、光ファイバを含むカテーテルを回転させることができる。
【0086】
図6A及び
図6Bを参照すると、カテーテル502をファイバ取り込みシステム600に取り付けることができる。光ファイバ604は、カテーテル502を通じて延び、該カテーテル502の遠位端に取り付けることができる。代替として、ファイバ604をカテーテル502を通じて浮遊可能にし、例えばカテーテル502の遠位端にのみ取り付けることができる。そうすることにより、マイクロベンド又は応力誘起複屈折に起因する光学的損失の積み重ねを妨げることができる。さらに、ファイバ604をカテーテル502の中心長手軸から離して配置することができる。
【0087】
ファイバマネンジメントシステム600は、単一の内部取込みスプール(spool)606にファイバを取り込む。取込みスプールは、溝部608(
図6参照)が、光ファイバ604に適合する大きさになるように構成されている。光ファイバ608は、溝部608を上下に移動し(即ち、カテーテル502について半径方向に)、カテーテルのベンディング又は伸張を補償することができる。
【0088】
取込みシステム600は、伸張するように構成したOCTファイバ602以外の場所で、取込みスプールが回転しないように構成した物理的リミッタ610をさらに含む。さらに、トルクコントロールノブ614をカテーテル502の近位端に取り付けることができる。該ノブ614を使用して、カテーテルの回転、従ってファイバ604の回転を開始させることができる。例えば、ノブ614は、手動で動作させることができる。ノブ614はまた、近位制御装置618によってモータ駆動とし、イメージングエレメントのより制御されたセクタ掃引をもたらすことができる。ノブ614は、該ノブ614が1回転することによりカテーテル502及び光ファイバ604が1回以上回転するようにするように構成することができる。例として、光ファイバ604は、長手軸周りに少なくとも2回転、例えばカテーテル502が1回転するごとに約4回転することができる。
【0089】
取込みシステム内のエンコーダ612は、角度を検出し、ファイバ604の回転に関する情報を定常的に、OCTデータ取得システムを制御するコンピュータに中継している。この角度値をディスプレイアルゴリズムに組み込んで、管腔の内側の360°の画像を表示することができる。
【0090】
制御装置618は、カテーテルを探査し、角度及び縦方向の移動をコード化するために、エンコーダ612を有しないで、コンピュータの光学式マウスに使用されるものに似た「マウスチップ」位置センサを含んでもよい。マウスチップは、カテーテル表面(又は、外側の積層部が透明又は半透明である場合には編組)を探査し、隣接スナップショット間の特徴位置での差異を基礎として、X移動ベクトル及びY移動ベクトルを算出するように構成することができる。
【0091】
カテーテルの近位端を360°回転させても、必ずしも遠位端が360°の回転する訳ではない。特にカテーテルが、例えばイントロデューサシース、ガイドに起因する、長さ全体で分散した摩擦、及び特に狭い病変部での組織の摩擦を受ける場合はそうである。マウスチップを使用することによって、カテーテルの回転及び縦方向の移動を検出し、支持間隔(unsupported length)の影響を除くことができる。
【0092】
管腔702内のカテーテル502の例示的な画像又はディスプレイを
図7に示す。該ディスプレイは、カテーテルをどちらかの方向に回転させることで更新することができる。ディスプレイ全体はまた、X線を使用してカテーテル検査室(cath lab)で同時に得られる透視図に関して回転させ、向きを変えることができる。例えば、心膜が「上」又は「下」になるように画像を回転してもよい。ディスプレイを回転させ、カテーテルとディスプレイとの間の位置関係を知ることによって(また、血管内に重要な生理学的構造を実装することによって)、医師は、例えば閉塞部を正確に切断するために、必要に応じてデバイスの向きを変えることができる。
【0093】
本明細書で説明するOCTシステムは、約6〜15ミクロン、例えば8〜10ミクロンの分解能を有する、画像化する試料の光学特性に依存した1〜2mmの深度までの画像、例えば組織形態の画像を作成することができる。OCTシステムの距離解像度は、類似の超音波システムの距離分解能の約10倍高くすることができる。
【0094】
図8は、本明細書で説明するOCTシステム及びカテーテルを実装するためのシステム2700を示す。電源2713は、OCTエンジン2703、コンピュータ処理装置2707及び光学システム2711に電力を供給する。OCTエンジン2703内のトリガ2701をコンピュータ処理装置2707内のトリガ2705に接続し、画像処理を開始する。さらに、カテーテルハンドルエンコーダ2715をコンピュータ処理装置2707に取り付け、光ファイバの位置及び回転に関する信号を伝送する。OCT検出器2717をコンピュータ処理装置2707に取り付けて、最終画像を処理する。最終的に、ビデオ信号がコンピュータ処理装置からモニタ2709まで送信され、ユーザに画像を出力する。
【0095】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明するOCTシステム及びカテーテルは、ほぼ細胞構成レベルに達する非常に詳細な画像、及びカテーテルの最大切断範囲を超える視界を医師に付与できるのに充分な、約8〜10ミクロンの分解能、最大1〜2mmの深度で画像化することができる。さらに、本明細書で説明するOCTアテローム除去カテーテルは、好都合なことに、既在のOCTシステム及び超音波振動子よりもクロッシングプロファイルの影響が充分小さいイメージング能力を有することができる。
【実施例】
【0096】
一実施例において、画像誘導インターベンション用カテーテル(例えば上記OCTカテーテル)を使用して、末端動脈疾患及び冠動脈疾患(アテローム性動脈硬化)における未対処のニーズに対処することもできる。システムは、適度なフットプリントを有し、カテーテル検査室において、カテーテル検査室システムへの大規模な統合に対する必要性を有しないコンソールを含んでもよい。いくつかのバリエーションにおいて、本明細書で説明するシステムを他のカテーテルシステム(例えば誘導、制御、イメージングシステム)と一体化してもよい。システム障害の場合には、透視(fluoro)下で手術を開始/継続/終了できるように構成してもよい。システムはまた、無菌手術に対応できるように構成する。
【0097】
上述のように、本明細書で説明するOCTシステムにより、血管内の病変形態及び血管内でのデバイスの向きについてのリアルタイムの情報が得られるだろう。この特徴及び他の特徴はまた、複雑な組織(例えば、分岐部、入口部、蛇行領域、カーブでの切断部など)及びステント支柱周辺での優れた進路誘導を可能にするだろう。カテーテルを安全に使用して、病変組織を往来させ、より積極的な治療戦略と結びつく可能性のあるパーフォレーション(perforation)及びダイセクション(dissection)の発生率を減少させることができる。システムはまた、正確な手術成功の即時評価を可能にし、現在のインターベンション技術と比較して手術時間を短くするだろう。本明細書で説明するシステムは、血管壁形態の、リアルタイムかつ、医師が「病変/非病変」を決定する際に支援可能な正確性のレベルでの画像化を可能にするだろう。
【0098】
一実施例において、OCTシステムは、通常、組織形態が約8〜10ミクロンの分解能で、組織の光学特性に依存して1〜2mmの深度までリアルタイムで画像化できるように構成する。OCTの軸方向の分解能は充分高く、技師が得る画像は、光学顕微鏡から得られる組織像と充分類似し、結果として超音波画像又はMRI/CT画像よりも直感的に理解される。脂質含有量の小さい組織を通してOCTが画像化できる深度は、予定されているアテローム切除カテーテルについての切断深度を超える可視度を医師に付与し、推定上の切断安全域を算出できるようにする。
【0099】
前述のように、OCTは、カテーテルの応用について他の種々の技術的利点及び経済的利点を有する。カテーテルのクロッシングプロファイルへのOCT光ファイバの影響は、比較可能な最小の超音波変換機についてよりも充分小さい。通常、OCTの軸分解能は、超音波よりも10倍大きい。これが、画像解釈能力へと直接変わる。実質的な臨床的利点は、厚さ数百ミクロンの組織を除去することによって得られることが従前のアテローム切除術から知られているので、通常のOCTデバイスの限られた貫通深度は、多くの出願におけるこの出願における最も大きな関心ではない。貫通深度は、所期の最大切断深度と適合するだろう。特定の深度又は厚さを有する組織(除去されるターゲット組織)の領域を特定し、連続的に独立して扱ってもよい。例えば、非常に脂質に富む組織(壊死性コア)が、OCT画像における暗部(dark void)として現れる。
【0100】
充分な浸透深さ、及び光学システムのコンポーネントに対する適合性が得られるように、光学システムについての中心波長を選択してもよい。例えば、OCTシステムは、溶融石英ファイバ光学機器を通じて伝送可能な光を使用してもよい(主要な費用投資及び品質管理がなされてきた)。250〜2000nmの波長範囲が特に有用であろう。400nmより大きい波長が好ましいが、これらの波長範囲のいずれの値でもすぐにシングルモードファイバを得ることができる。他の波長を使用することも可能であるが、さらに赤外線領域へ伝送するファイバ材料についての大きな毒性問題があるかもしれない。また、好適な特性を有する光源は、取得するのが難しい。250nm未満では、空気誘導(air-guiding)型ファイバを使用してもよいが、好ましくない。本実施例において、約250〜2000nmの範囲を仮定している。
【0101】
ヘモグロビン及び水があまり光を吸収しない範囲に走査範囲を限定することにより、血液、生理食塩水又は混合物のいずれかの小さな環(annuli)を通じて「見る」ことは容易だろう。これが、約800nm〜1.4ミクロンの間の「生体の窓」の使用につながる。
【0102】
弾性光散乱技術を使用する場合、生体組織における貫入深度を制限する支配的な機構は、組織中のフォトン散乱断面である。より大きい散乱断面により、より少ないフォトンが
光源からターゲットまで弾性的に往来する。即ち、ターゲットでのたった一回の散乱により、有用な信号が減少する。散乱断面の大きさは、250〜2000nmの範囲に及ぶ波長の逆数のべき乗で変化する。該べき乗は、より短い波長で−4、より長い波長でより小さくなる。その値は、短い波長からより長い波長へ移行すると単調減少するので、ニーズが組織内をより深く見ることにあれば、光源の波長範囲は、より長い波長範囲へ偏ることが必要となる。この選択には、必ず妥協が伴う。より長い波長に移行することにより、より短い波長でのイメージングと同じ分解能を達成するためには、より高機能のレーザー光源が必要となるだろう。しかしながらこれは、解決可能な技術的課題である。
【0103】
いくつかのバリエーションにおいて、システムは、安価で高品質な部品の広い利用可能性を活かす。例えば、ファイバベースの通信は、3つの具体的な中心波長範囲、即ち800(LANのみ)、1310(Oバンド)及び1550nm(Cバンド)を展開してきた。本明細書で説明するシステムは、中心周波数の選択を1310nmに制限するかもしれないが、これは、他の2つの波長範囲を使用できないということを意味するのではない。例えば、800nmの中心波長範囲は眼科学では日常的に使用されるが、貫入深度は組織層分解能の犠牲となる可能性があり、ファイバ伝送は必須ではない(自由空間光通信(free-space optics)を使用してもよい)。
【0104】
いくつかのバリエーションにおいて、システムは、通信Oバンドで動作する。実際、1315〜1340nmの中心周波数範囲は、Oバンドにおける好適なレーザー源の利用可能性によって決定してもよい。
【0105】
OCTにおいて、主に三種類の光源/検出器、即ちいわゆる時間領域OCT、スペクトル領域(フーリエ領域又はスペクトルレーダ)OCT及び波長走査型OCTがある。本明細書で説明するOCTシステムの実施例は、波長走査型OCT(SS−OCT)であり、ビデオ速度イメージング、少ししか移動しない又は全く移動しないパーツ、ファイバの実装に好適である単純な光学システム、深度1mm以上のイメージング、及び移動環境の厳密さへの不感受性(insensitivity)が得られる。
【0106】
上記のように、種々の干渉計の構成が使用可能である。本明細書で説明するシステムは、共通光路干渉(CPI)システムである。これは、費用の制約がある資本設備及び使い捨て可能なデバイスを用いたカテーテルベースのイメージングという目標を考えた場合、種々の利点を有する。本明細書で説明するCPIシステムを有するSS−OCTは、フェルゲット(Fellgett)利得を維持する。フェルゲット利得又はマルチプレックス利得は、モノクロメータ又は走査遅延線の代わりに干渉計を使用する場合に得られる、分光技術の改善点である。該改善が生じるのは、干渉計を採用した場合、モノクロメータ又は走査遅延線によって、部分的に又は完全に途中で排除されたであろう放射線が、元の強度を保持するからである。これにより、より優れた効率性が得られる。この実施形態は、これを他のシステムと対比する。そこで、レーザー出力のほんの一部が、所定の時間に有用である。例えばライトラボ(Lightlab)(登録商標)M2システムは、走査遅延線を有するTD−OCTを使用するが、これはモノクロメータに対するフェルゲット利得を目的とするに等しい。臨床的に、フェルゲット利得はイメージング速度(フレーム更新速度)に影響を与え、ビデオ表示速度が大きく改善し、画像を解釈する際の不明確さが減少する。
【0107】
本明細書で説明するCPIシステムはまた、ジャキノ(Jacquinot)利得を維持する。ジャキノ利得が提示することには、損失のない光学システムにおいて、物体の輝度は画像の輝度に等しい。光学コンポーネントに起因する損失が無視できると仮定すると、干渉計の出力は、強度が入力強度にほぼ等しいであろう。従って、信号の検出が容易になる。これが直接画質、及びより解釈しやすい画像につながる。
【0108】
従って、本明細書で説明するCPIシステムにより、レーザー出力の非常に有効な利用が生じる。光は、参照反射に用いられるか、又は組織に当たって信号を生成するのに使用される。減衰器、追加の光学コンポーネント又は不使用の相反(reciprocal)光路において、光は減衰しない。このレーザー出力の有効利用は、臨床的に関連する、リアルタイムの血管内環境画像を表示するためのシステムの能力に最もよく現れており、大規模な後処理又はオンザフライの画像訂正を必要とすることがない。
【0109】
さらに、これらのシステムは「ダウンリード不感性(insensitive)」であり、カテーテルからコンソールまでの接続は、照合した参照遅延線に各カテーテルを標準装備させる(shipped)ことなくほぼ任意の長さを有する。これは、カテーテルに付加されたイメージングコンポーネントの追加の費用影響を最小化する。また、コンソールコンポーネントが、ほぼどこにでも位置することを可能にし、ワークフローが乱れる可能性を最小化し、無菌場に対する脅威を最小化する。
【0110】
本明細書で説明するシステムはまた、色収差に寄与しうる、イメージングシステムにおける光学コンポーネントの数を最小化する。この最小化は、レーザー分解能を最適化するレーザー源のスペクトル忠実度(fidelty)を維持する。これが直接画質、及びより解釈しやすい画像につながる。
【0111】
本明細書で説明する共通光路システムはまた、優れた位相安定性を有する。試料アームに影響する光路長の変化(温度変化、応力誘起複屈折など)はまた、参照アームにも同様に影響を与える。ZPD(ゼロ光路差)点(参照平面)から試料までの距離は、物理的に固定され、乱れに起因するばらつきの影響を受けない。OCTエンジンの優れた位相安定性と結合したこの優れた位相安定性が表すのは、ディスプレイのz軸(深さ方向)は、最小のジッタ(jitter)を有し、同様に、リアルタイムの画像解釈能力を最大化するということである。それはまた、そうでなければ不可能であろうデータの数学的操作を実施することを可能にする。例えば、本明細書で説明するシステムの一利点は、前FFT(pre-FFT)平均化を実施する能力であり、画質及び解釈能力を直接変換もするシステムのノイズフロア全体を小さくする。
【0112】
一実施例において、カテーテルは直径約2mmである(7Fが適合する)。生理食塩水で満ちた管腔内で、システムは、カテーテルのODから2mmのところで、界面(例えば血管壁)を検出することが可能になるであろう。このバリエーションにおいて、次のパラメータをカテーテル及びシステムに使用してもよい。
【0113】
【表1】
【0114】
検出器は、少なくとも10MHzまでは、感度のロールオフなしにDCからの搬送波上での光変調を検出することができる。エイリアシング(画像解釈を困難にする)を妨げるために、解釈可能なリアルタイムのイメージング能力を維持するために最低値20M−sample/sec(ナイキスト限界)で検出器の出力をデジタル化してもよい。従って、このデジタル化速度では、レーザーパルスごとに少なくとも630ポイントでキャプチャし、利用可能なレーザーバンド幅をアンダーサンプリングすることを避けることができる。
【0115】
実際の解像ターゲットは、健康な冠動脈の内膜である。システムの分解能により、ディスプレイ上で一本のはっきりした輝線として内膜(内皮層+内弾性層)を示すことができる。
【0116】
システムは、8〜10ミクロンのインパルス応答を有してもよい。この分解能は、要求されるレーザー走査範囲及び下記の式を通じてファイバハーネスにおけるすべての光学コンポーネントの要求されるバンド幅を決定する。
【0117】
【数7】
【0118】
ここで、δzは軸分解能であり、λは波長である。Δλはレーザー走査に対する波長範囲であり、nは媒質の屈折率であり、他の記号は、通常の意味を有する。この関係の起源は、ハイゼンベルグの不確定性原理である。種々の観察値がこの方程式から生じる。
【0119】
レーザー走査範囲Δλが充分広くない場合、δz(分解能)は損なわれ、屈折率が段階的に不連続である画像は、多くの画素について不鮮明になるであろう。システムの光学コンポーネントが制限される場合(代替としてクリッピング(clipping)又はヴィネッティング(vignetting)と呼ばれる)、システムの有効バンド幅は減少し、分解能は劣化する。分解能の式は、分数において中心波長の二乗を有するので、上述の理由で中心波長がより長くなった場合、それに比例して、より大きいレーザー走査範囲が、相当の軸分解能を達成する。通常、眼科学は、網膜に至るまで深く画像化する必要はないが、利用可能なレーザーが網膜層の充分高い分解能(1〜2ミクロンの厚さまで)を可能にする、800又は1000nmの中心周波数で実施される。
【0120】
いくつかのバリエーションにおいて、OCTシステムは、100nmより大きい走査範囲を有する。このエンジンの理論的分解能は、屈折率1.35を有する媒質中で6.35ミクロンである。少なくともナイキスト限界でデジタル化することと、走査したバンド幅を完全にサンプル化することと、ソフトウェアでの再スケール化手順はデータを歪ませないこととを規定した場合、本システムの理論的分解能は、インパルス応答制限で健康な冠動脈の内膜を示すのに充分な値である。
【0121】
レーザーの中心波長として1310nmを選択することは、この波長での実施を保証し、標準の試験プロトコルが存在する、市販の標準の通信コンポーネントを使用してもよいことを意味する。合理的かつ慣習的な受入検査(incoming inspection)プロシージャを使用して、システムに付加されるコンポーネントは画質を悪化させないことを実証することができる。
【0122】
上述のように、システムは、検出器を含む受信用電子機器を含んでもよい。動作する中心波長が1315〜1340nmで、半値全幅が100nmより大きい感度を有すること、及び検出器はショットノイズ限界領域にできるだけ近い範囲で動作することを仮定すると、システムが検出器に起因して充分なトランスインピーダンス利得を有することにより、デジタイザノイズがシステムのノイズフロアの支配的な原因とならない入力範囲でA/Dカードが動作するようにすることができる。
【0123】
カテーテルでの製造交差により、さまざまな遠位端の参照反射強度範囲が生じることになる。検出器は、参照反射出力の高い製造限界で飽和状態にならないように構成又は選択してもよい。一実施例において、システムは、FCレセプタクルパッケージ内で、光検出器内のアクティブエレメントとしてフェルミオニクス(Fermionics)社のFD80フォトダイオードを使用する。
【0124】
システムはまた、1)レーザーからカテーテルまでの低損失光路を提供し、2)カテーテルから検出器まで戻ってくる信号光を送信し、3)赤色レーザーダイオード信号の出射(bleed-in)を可能にして、ケーブルから遠位端までのファイバの迅速な完全性評価を可能にし、4)製造、較正及び現場使用(field service)のハウスキーピング(house keeping)信号を提供して、コンソールの製造、検証及び維持を容易にするように設計されたファイバハーネスを含んでもよい。
【0125】
ファイバハーネスの主要な一コンポーネントは、隔壁(bulk-head)FC/APCレセプタクルを上部に有し、光回路(例えば
図9に示す)を有する内蔵型の外枠でもよい。
【0126】
一実施例において、ファイバハーネスは、以下のものとして接続してもよい。#1入射OCT光源(例えばサンテック(Santec)社)。サンテックの出力は、ここで接続した。#2診断ポート(OSA/フォトダイオード/MZI較正)。#3診断ポート(OSA/フォトダイオード/MZI較正)。#4検出器への接続。#5反射したFBGマーカ(時間/波長較正ポイント)。#6カテーテルへの接続。#7伝送されたFBG信号(フォトダイオードスコープトリガ)。#8赤色レーザー光源への接続。接続部は、1260nmより小さいカットオフを有するシングルモードファイバと一緒に作成してもよい。入力部と出力部とは、光学的に分離する必要はない。
【0127】
いくつかのバリエーションにおいて、電気ハーネスを使用してもよい。該電気ハーネスは、1)イメージングシステムにおいて種々の電気コンポーネントのための絶縁状態を付与し、2)110VをOCTエンジン、スレイブモニタ及びコンピュータに分配し、3)検出器、赤色ダイオードレーザー、カテーテルハンドルのアジマス(azimuthal)位置エンコーダに対して、好適な電圧及びアンペア数の、制限され絶縁されたハウスキーピング出力を提供し、4)遠隔モニタにビデオ信号を送信し、5)コンソールに戻るカテーテルハンドルのアジマス角度エンコーダ信号を受信するように構成してもよい。
【0128】
ライン出力は、標準のIEC60320タイプのC14の電源コード入力オス・コネクタを通じてコンソールに入力してもよい。使用する電源コードは、ホスピタルグレード(Hospital grade)でもよく、コンソール末端に標準のIEC60320タイプのC13メス・コネクタを有してもよい。
【0129】
図10は、本明細書で説明するOCTシステムの概略図の一例を示す。本実施例において、周囲を点線で囲った項目は、コンソール本体の主要部の外側にある。アナログ信号相互接続部は、BNCコネクタと一緒に終端するRG58(U,A/U)パッチケーブルとともに作成することができる。(サンテック社の)トリガ出力信号は、減少していくエッジ信号(ハイゼット(high-z))であり、50Ωで終端するのは好ましくない。エンコーダ信号は、A/Dカードでのミニサーキット(Mini Circuits)社のローパスフィルタモジュールで終端し、スプリアス(spurious)ノイズを除去するのが好ましい。検出器信号は、A/Dカードでのミニサーキット社のローパスフィルタモジュールで終端し、無関係の周波数範囲でのいずれかのノイズを除去することが好ましい。
【0130】
図11は、ハンドルの一バリエーションを概略的に示している。
図12は、本明細書で説明するカテーテルの遠位端の一例を示している。この例において、カテーテルの遠位端は、上述の透明媒質に埋め込まれたコアを有するファイバを含む。ファイバは、0.0065のODを有し、被覆され平坦に切断された(90°)ポリアミドである。ポリアミドは、末端から約500ミクロン剥取される。コアと埋込み媒質との屈折率の不整合は、硬化後に32〜35dBの反射減衰を与える。
【0131】
光ファイバは、1260nm未満のカットオフを有してもよく、1270〜1380nmのシングルモードの性能を有してもよい(そして、SMF−28標準に適合するように製造してもよい)。異種のファイバは好まれない。これは、より高次元の空間モードを生成し、又はいずれの事象でも65dBよりも大きいスプリアス反射減衰を生み出す可能性があるからである。機械的接続(ピグテール及びパッチケーブル)は、シンプレクスケーブル、及び伸張を防ぐための緩いチューブテフロンアラミドファイバ内部環を内部に含んでもよい。外側のジャケット(Jacket)は、2mmのポリウレタンでもよい。コネクタは、0.25dBの最大挿入損失及び約65dBの最大反射損失を有するダイヤモンド社のE2108.6コネクタでもよい。
【0132】
遠位端参照反射(ミラー)は、少なくとも1つの反射界面を含んでもよく、約33.5dBの反射損失(公称(31〜35dB)を有してもよい。界面から最小組織接近ポイントまで200〜250ミクロンの固体の透明なオフセットがある。コンソールとカテーテルの遠位端との間で光学的不連続を仲介すること(interceding)は、個々の任意の表面について65dBの反射損失最大値未満に保持してもよい。8mm未満の距離を隔てた反射界面の数を最小化してもよい。上記パラメータは例示的にすぎず、当業者が理解できるように変化してもよいが、本明細書で説明する発明の精神は維持される。
【0133】
本明細書に含まれる実施例及び図面は、例示的であって、限定的でなく、対象を実践可能な特定の実施形態を示している。他の実施形態を利用し、そこから作り出してもよく、その結果、構造及び論理の置き換え並びに変化を、本開示の技術的範囲から逸脱しないように作り出すことができる。単に便宜的であって、本願の技術的範囲をいずれの単一の発明又は単一の概念に進んで限定することも意図しない用語「発明」は、実際に複数のことが開示される場合は、本発明の内容についてのかかる実施形態を、個々に又は集団的に参照してもよい。従って、本明細書では、特定の実施形態を図示し説明してきたが、同じ目的を達成するために算出したいずれの配置をも、示した特定の実施形態と置換してもよい。本開示は、さまざまな実施形態のいずれの及びすべての適応及び変化の実施形態をカバーすることを意図している。上記実施形態の組み合わせ及び本明細書において明示的には説明していない他の実施形態は、上記説明を再検討する際に当業者には明らかであろう。