【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のプライマー組成物は、脂環式ポリイソシアネートとポリオールとの反応物(A)、イソシアヌレート環を有するポリイソシアネートと数平均分子量が200〜1500であるジオールとの反応物(B)、及びエポキシシラン化合物(C)を含有することを特徴とする。
【0011】
[反応物(A)]
反応物(A)は、脂環式ポリイソシアネートとポリオールとが反応してウレタン結合を形成してなるウレタンプレポリマーが好ましい。また、反応物(A)は、イソシアヌレート環を有していないことが好ましい。
【0012】
反応物(A)に用いられる脂環式ポリイソシアネートは、1分子中に、脂環式骨格を有し、イソシアネート基を2個以上有すると共に、少なくとも1個のイソシアネート基が脂環式骨格と結合している化合物である。
【0013】
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビシクロヘプタントリイソシアネート、及び芳香族ポリイソシアネートの水添加物などが挙げられる。脂環式ポリイソシアネートは、一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
【0014】
芳香族ポリイソシアネートとしては、ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、及びポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどが挙げられる。芳香族ポリイソシアネートの水添加物として、具体的には、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水添XDI)などが挙げられる。
【0015】
なかでも、脂環式ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、及び1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが好ましい。
【0016】
反応物(A)に用いられるポリオールは、1分子中に、ヒドロキシ基を2個以上有する化合物である。
【0017】
ポリオールとしては、エチレングリコール、ジニチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオベンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリアルキレンポリオール、及びポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。これらのポリオールは、一種単独で用いられてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0018】
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、これらのランダム共重合体やブロック共重合体、及びビスフェノールAのポリオキシアルキレン変性体などが挙げられる。
【0019】
ポリエステルポリオールとしては、多価カルボン酸とジオール化合物との反応により得られるポリエステルポリオールが挙げられる。多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ドデカン二酸、1,5−ナフタル酸、2,6−ナフタル酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、及びドデカメチレンジカルボン酸等のジカルボン酸などが挙げられる。また、ジオール化合物としては、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及びシクロヘキサンジオールなどが挙げられる。
【0020】
ポリカプロラクトンポリオールとしては、ポリオール化合物にラクトン化合物を開環付加重合して得られるポリカプロラクトンポリオールが挙げられる。ポリオール化合物としては、ポリエステルポリオールにおいて上述したポリオール化合物と同様のものが挙げられる。また、ラクトン化合物としては、β−プロピオラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、メチル−ε−カプロラクトン、ジメチル−ε−カプロラクトン、及びトリメチル−ε−カプロラクトンなどが挙げられる。
【0021】
ポリアルキレンポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール、及び水素化ポリイソプレンポリオールなどが挙げられる。
【0022】
ポリカーボネートポリオールとしては、ポリヘキサメチレンカーボネートポリオール、及びポリシクロヘキサンジメチレンカーボネートポリオールなどが挙げられる。
【0023】
なかでも、反応物(A)に用いられるポリオールとしては、トリメチロールプロパンが好ましい。
【0024】
反応物(A)の合成は、ポリオールを加熱して溶融させた後、溶融させたポリオールに窒素雰囲気下で脂環式ポリイソシアネートを添加して、ポリオールと脂環式ポリイソシアネートとを反応させることにより行われる。
【0025】
ポリオールと脂環式ポリイソシアネートとの反応において、脂環式ポリイソシアネートが有するイソシアネート基(NCO)の合計と、ポリオールが有するヒドロキシ基(OH)の合計とのモル比([NCO]/[OH])を、1.0〜5.0とするのが好ましい。モル比([NCO]/[OH])が1.0未満では、プライマー組成物が硬化後に皮膜を形成できない恐れがある。また、モル比([NCO]/[OH])が5.0を超えると、多量に存在する遊離イソシアネート基が、プライマー組成物の硬化を阻害する恐れがある。
【0026】
[反応物(B)]
反応物(B)は、イソシアヌレート環を有するポリイソシアネートと数平均分子量が200〜1500であるジオールとが反応してウレタン結合を形成してなるウレタンプレポリマーが好ましい。
【0027】
反応物(B)に用いられるイソシアヌレート環を有するポリイソシアネートは、1分子中に、3個のイソシアネート基(−NCO)が重合して形成された環構造を有し、且つイソシアネート基を2個以上有する化合物である。
【0028】
イソシアヌレート環を形成するために重合させるイソシアネート基は、芳香族ポリイソシアネート化合物、脂肪族ポリイソシアネート化合物、及び脂環式ポリイソシアネート化合物などのポリイソシアネート化合物が有しているイソシアネート基であればよい。なかでも、脂肪族ポリイソシアネート化合物、及び脂環式ポリイソシアネート化合物が有しているイソシアネート基が好ましい。
【0029】
脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。また、脂環式ポリイソシアネート化合物としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、及びビシクロヘプタントリイソシアネートなどが挙げられる。
【0030】
イソシアヌレート環を有するポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネート(IPDI)のイソシアヌレート体が好ましく挙げられる。イソシアヌレート環を有するポリイソシアネートは、一種単独で用いられてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0031】
イソシアヌレート環を有するポリイソシアネートとしては、市販品を使用することもできる。例えば、IPDIのイソシアヌレート体の市販品としては、エボニック デグサ社製 商品名「VESTANAT T1890E」などが挙げられる。また、HDIのイソシアヌレート体の市販品としては、旭硝子ケミカル社製 商品名「デュラネート TPA−100」、「デュラネート TKA−100」、「デュラネート MFA−75B」、「デュラネート MHG−80B」、及び「デュラネート TLA−100」などが挙げられる。
【0032】
反応物(B)に用いられるジオールの数平均分子量は、200〜1500に限定されるが、300〜1200が好ましい。ジオールの数平均分子量が低過ぎると、プライマー組成物の硬化物が優れた柔軟性を発揮できない恐れがある。また、ジオールの数平均分子量が高過ぎると、プライマー組成物の硬化物が柔軟になり過ぎて接着性が低下する恐れがある。
【0033】
なお、本発明において、ジオールの数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求められた値とする。例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置 TOSOH社製 商品名「HLC−8121GPC/HT」
測定条件 カラム:TSKgelGMHHR−H(20)HT×3本
TSKguardcolumn−HHR(30)HT×1本
移動相:o−DCB 1.0mL/分
サンプル濃度:1mg/mL
検出器:ブライス型屈折計
標準物質:ポリスチレン(TOSOH社製 分子量:500〜8420000)
溶出条件:145℃
SEC温度:145℃
【0034】
反応物(B)に用いられるジオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。ジオールは、一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。ジオールを用いてなる反応物(B)によれば、接着性に優れると共に、硬化後に優れた柔軟性を発揮することができるプライマー組成物を提供することができる。なかでも、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールが好ましい。
【0035】
ポリプロピレングリコールとしては、市販品を用いることもできる。市販品としては、旭硝子社製 商品名「エクセノール420」、「エクセノール720」などが挙げられる。
【0036】
プライマー組成物中における反応物(B)の含有量は、反応物(A)100重量部に対して、5〜500重量部が好ましく、30〜300重量部がより好ましい。反応物(B)の含有量が低過ぎると、プライマー組成物の耐湿熱接着性及び耐凍結融解接着性が低下する恐れがある。また、反応物(B)の含有量が高過ぎると、プライマー組成物の硬化物が柔軟になり過ぎる恐れがある。
【0037】
[エポキシシラン化合物(C)]
エポキシシラン化合物(C)は、1分子中に、加水分解性シリル基と、エポキシ基を有する官能基又はエポキシ基とを含む化合物である。
【0038】
加水分解性シリル基は、加水分解性基が珪素原子に結合した基である。この加水分解性基としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシド基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシド基などが挙げられる。
【0039】
加水分解性シリル基としては、反応後に有害な副生成物を生成しないので、アルコキシ基が珪素原子に結合したアルコキシシリル基が好ましい。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、フェノキシ基、及びベンジルオキシ基などが挙げられ、メトキシ基、及びエトキシ基が好ましい。
【0040】
エポキシシラン化合物(C)としては、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシシル)エチルメチルトリメトキシシラン、及びβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。エポキシシラン化合物(C)は、一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
【0041】
なかでも、エポキシシラン化合物(C)としては、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。
【0042】
エポキシシラン化合物(C)としては、市販品を用いることもできる。例えば、信越化学工業社製 商品名「KBM−303」、「KBM−402」、「KBM−403」、「KBE−402」、及び「KBE−403」などが挙げられる。
【0043】
プライマー組成物中におけるエポキシシラン化合物(C)の含有量は、反応物(A)100重量部に対して、5〜50重量部が好ましく、10〜40重量部がより好ましく、15〜35重量部が特に好ましい。エポキシシラン化合物(C)の含有量が低過ぎると、プライマー組成物の耐湿熱接着性及び耐凍結融解接着性が低下する恐れがある。また、反応物(B)の含有量が高過ぎると、プライマー組成物の硬化物が柔軟になり過ぎる恐れがある。
【0044】
[他の成分]
本発明のプライマー組成物は、必要に応じて、酢酸エチル及び酢酸ブチルなどの溶媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、並びに充填剤などの他の成分を含んでいてもよい。
【0045】
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルべンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ぺンチルフェニル)]アクリレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンなどのヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)などのイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどのリン系酸化防止剤などが挙げられる。酸化防止剤は、一種単独で用いられてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0046】
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤;サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。紫外線吸収剤は、一種単独で用いられてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0047】
(充填剤)
充填剤としては、例えば、雲母、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、ケイソウ土、尿素系樹脂、スチレンビーズ、焼成クレー、及び澱粉などが挙げられる。
【0048】
本発明のプライマー組成物は、シーリング材を施工するために用いられることが好ましい。本発明のプライマー組成物を用いることにより、シーリング材と、建築物や自動車などの構造物を構成する部材との接着性を向上させることができる。
【0049】
シーリング材の種類としては、シリコーン系、変成シリコーン系、ポリサルファイド系、ポリウレタン系、アクリルウレタン系、アクリル系、SBR系、ブチルゴム系、ポリイソブチレン系が挙げられる。
【0050】
部材を構成する材料としては、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属、ガラス、モルタル、石膏、コンクリート、及びセラミックスなどが挙げられる。金属からなる部材には、その耐食性を向上させるために、アクリル系樹脂やメラミン−アクリル系樹脂などの電着塗装やアルマイト処理などの表面処理が行われていてもよい。
【0051】
本発明のプライマー組成物は、表面処理が行われた金属からなる部材と、シーリング材との接着性を向上させるために用いられることが特に好ましい。従来のプライマー組成物では、表面処理が行われた金属からなる部材に対しては優れた接着性を発揮することが難しかった。したがって、このような難接着性部材に対して本発明のプライマー組成物を用いることにより、本発明の効果を最大限に発揮することができる。
【0052】
本発明のプライマー組成物の使用方法としては、例えば、構造物を構成している部材表面にプライマー組成物を塗工して硬化させた後、部材の接合部や隙間にシーリング材を充填して硬化させればよい。プライマー組成物は、部材表面のうちシーリング材が塗工される面に少なくとも塗工されればよい。