(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のベルト層からなるベルト部、サイド部及びビード部を備えた未加硫であるケース部を形成し、該ケース部を加硫成形することにより得られる台タイヤの製造方法において、下記(a)、(b)及び(c)から選ばれる1つの配合方法を用い、かつトレッドゴム部の内層と同じゴム組成物の薄層を該ベルト部のタイヤ半径方向外側に配設することを特徴とする台タイヤの製造方法。
(a)該ベルト部の最外ベルト層の被覆ゴム組成物に、ゴム成分100質量部に対して、JIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜99m2/gのカーボンブラックを30〜60質量部、及びシリカを5質量部以下配合すること。
(b)該ベルト部が少なくとも3ベルト層からなり該ベルト層を構成する少なくとも1層のベルト被覆ゴム組成物に、ゴム成分100質量部に対して、JIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜99m2/gのカーボンブラックを40〜60質量部、及びシリカを5質量部以下配合すること。
(c)該ケース部がカーカスプライを備え該カーカスプライの被覆ゴム組成物に、ゴム成分100質量部に対して、JIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜90m2/gのカーボンブラックを40〜60質量部、及びシリカを5質量部以下配合すること。
前記配合方法として(a)を用い、前記ケース部の加硫時における前記最外ベルト層の到達温度が110〜160℃であり、前記ビード部の到達温度が125〜180℃であり、且つ該最外ベルト層の加硫最遅点の到達温度が該ビード部の加硫最遅点の到達温度より2〜25℃低いことを特徴とする請求項1に記載の台タイヤの製造方法。
前記配合方法として(b)を用い、前記ベルト部が少なくとも3ベルト層からなり、該ベルト層の内、少なくともタイヤ径方向最内ベルト層に前記被覆ゴム組成物を用いる請求項1に記載の台タイヤの製造方法。
前記ケース部の加硫時における前記最内ベルト層の到達温度が110〜160℃であり、前記ビード部の到達温度が125〜180℃であり、且つ前記最内ベルト層の加硫最遅点の到達温度が該ビード部の加硫最遅点の到達温度より2〜25℃低い請求項3に記載の台タイヤの製造方法。
前記配合方法として(a)を用い、前記ベルト部の最外ベルト層の被覆ゴム組成物の、初期荷重160g、周波数52Hz、歪み2%、測定温度25℃に於ける損失正接(tanδ)が、0.17以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の台タイヤの製造方法。
前記ベルト層の少なくともタイヤ径方向最内ベルト層の被覆ゴム組成物の、初期荷重160g、周波数52Hz、歪み2%、測定温度25℃に於ける損失正接(tanδ)が、0.17以下である請求項3又は4に記載の台タイヤの製造方法。
前記配合方法として(c)を用い、前記カーカスプライの被覆ゴム組成物の、初期荷重160g、周波数52Hz、歪み2%、測定温度25℃に於ける損失正接(tanδ)が、0.17以下であることを特徴とする請求項1に記載の台タイヤの製造方法。
複数のベルト層からなるベルト部、サイド部及びビード部を備えた未加硫であるケース部を加硫成形することにより台タイヤを形成し、少なくともトレッド部を備えたトレッド部材を加硫してプレキュアトレッド部材を形成した後、該台タイヤと該プレキュアトレッド部材とを接着して一体に加硫成形するタイヤの製造方法において、下記(a)、(b)及び(c)から選ばれる1つの配合方法を用い、かつトレッドゴム部の内層と同じゴム組成物の薄層を該ベルト部のタイヤ半径方向外側に配設することを特徴とするタイヤの製造方法。
(a)該ベルト部の最外ベルト層の被覆ゴム組成物に、ゴム成分100質量部に対して、JIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜99m2/gのカーボンブラックを30〜60質量部、及びシリカを5質量部以下配合すること。
(b)該ベルト部が少なくとも3ベルト層からなり該ベルト層を構成する少なくとも1層のベルト被覆ゴム組成物に、ゴム成分100質量部に対して、JIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜99m2/gのカーボンブラックを40〜60質量部、及びシリカを5質量部以下配合すること。
(c)該ケース部がカーカスプライを備え該カーカスプライの被覆ゴム組成物に、ゴム成分100質量部に対して、JIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜90m2/gのカーボンブラックを40〜60質量部、及びシリカを5質量部以下配合すること。
前記配合方法として(a)を用い、前記ケース部の加硫時における前記最外ベルト層の到達温度が110〜160℃であり、前記ビード部の到達温度が125〜180℃であり、且つ該最外ベルト層の加硫最遅点の到達温度が該ビード部の加硫最遅点の到達温度より2〜25℃低いことを特徴とする請求項8に記載のタイヤの製造方法。
前記配合方法として(a)を用い、前記台タイヤと前記プレキュアトレッド部材とを接着して一体に加硫するときの前記最外ベルト層の加硫最遅点の到達温度が、前記ケース部を加硫するときの最外ベルト層の加硫最遅点の到達温度より低いことを特徴とする請求項8又は9に記載のタイヤの製造方法。
前記配合方法として(b)を用い、前記ベルト部が少なくとも3ベルト層からなり、該ベルト層の内、少なくともタイヤ径方向最内ベルト層に前記被覆ゴム組成物を用いる請求項8に記載のタイヤの製造方法。
前記ケース部の加硫時における前記最内ベルト層の到達温度が110〜160℃であり、前記ビード部の到達温度が125〜180℃であり、且つ前記最内ベルト層の加硫最遅点の到達温度が該ビード部の加硫最遅点の到達温度より2〜25℃低い請求項11に記載のタイヤの製造方法。
前記台タイヤと前記プレキュアトレッド部材とを接着して一体に加硫するとき前記最内ベルト層の加硫最遅点の到達温度が、前記ケース部を加硫するときの前記最内ベルト層の加硫最遅点の到達温度より低い請求項11又は12に記載のタイヤの製造方法。
前記配合方法として(c)を用い、前記台タイヤと前記プレキュアトレッド部材とを接着して一体に加硫するときのクラウンセンター位置の前記カーカスプライの到達温度が、前記ケース部を加硫するときのクラウンセンター位置の該カーカスプライの到達温度より低いことを特徴とする請求項8に記載のタイヤの製造方法。
前記台タイヤとプレキュアトレッド部材とを未加硫クッションゴム層を介して接着し加硫成形することを特徴とする請求項8〜14のいずれか1項に記載のタイヤの製造方法。
前記配合方法として(a)を用い、前記ベルト部の最外ベルト層の被覆ゴム組成物の、初期荷重160g、周波数52Hz、歪み2%、測定温度25℃に於ける損失正接(tanδ)が、0.17以下であることを特徴とする請求項8〜10及び15のいずれか1項に記載のタイヤの製造方法。
前記ベルト層の少なくともタイヤ径方向最内ベルト層の被覆ゴム組成物の、初期荷重160g、周波数52Hz、歪み2%、測定温度25℃に於ける損失正接(tanδ)が、0.17以下である請求項11〜13及び15のいずれか1項に記載のタイヤの製造方法。
前記配合方法として(c)を用い、前記カーカスプライの被覆ゴム組成物の、初期荷重160g、周波数52Hz、歪み2%、測定温度25℃に於ける損失正接(tanδ)が、0.17以下であることを特徴とする請求項8又は14に記載のタイヤの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の台タイヤの製造方法は、複数のベルト層からなるベルト部、サイド部及びビード部を備えたケース部を加硫する台タイヤの製造方法において、下記(a)、(b)及び(c)から選ばれる少なくとも1つの配合方法を特徴とする。
(a)該ベルト部の最外ベルト層の被覆ゴム組成物に、ゴム成分100質量部に対して、JIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜99m
2/gのカーボンブラックを30〜60質量部配合すること。
(b)該ベルト部が少なくとも3ベルト層からなり該ベルト層を構成する少なくとも1層のベルト被覆ゴム組成物に、ゴム成分100質量部に対して、JIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜99m
2/gのカーボンブラックを40〜60質量部配合すること。
(c)該ケース部がカーカスプライを備え該カーカスプライの被覆ゴム組成物に、ゴム成分100質量部に対して、JIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜90m
2/gのカーボンブラックを40〜60質量部配合すること。
【0012】
本発明のタイヤの製造方法は、複数のベルト層からなるベルト部、サイド部及びビード部を備えたケース部を加硫して台タイヤを形成し、少なくともトレッド部を備えたトレッド部材を加硫してプレキュアトレッド部材を形成した後、該台タイヤと該プレキュアトレッド部材とを接着して一体に加硫成形するタイヤの製造方法において、下記(a)、(b)及び(c)から選ばれる少なくとも1つの配合方法を特徴とする。
(a)該ベルト部の最外ベルト層の被覆ゴム組成物に、ゴム成分100質量部に対して、JIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜99m
2/gのカーボンブラックを30〜60質量部配合すること。
(b)該ベルト部が少なくとも3ベルト層からなり該ベルト層を構成する少なくとも1層のベルト被覆ゴム組成物に、ゴム成分100質量部に対して、JIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜99m
2/gのカーボンブラックを40〜60質量部配合すること。
(c)該ケース部がカーカスプライを備え該カーカスプライの被覆ゴム組成物に、ゴム成分100質量部に対して、JIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜90m
2/gのカーボンブラックを40〜60質量部配合すること。
【0013】
以下、本発明の台タイヤ又はタイヤの製造方法の第1〜3実施態様を順に説明する。
本発明の台タイヤの製造方法の第1実施態様は、複数のベルト層からなるベルト部、サイド部及びビード部を備えたケース部を加硫する台タイヤの製造方法において、該ベルト部の最外ベルト層の被覆ゴム組成物に、ゴム成分100質量部に対して、JIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜99m
2/gのカーボンブラックを30〜60質量部配合することを特徴とする。
また、本発明のタイヤの製造方法の第1実施態様は、複数のベルト層からなるベルト部、サイド部及びビード部を備えたケース部を加硫して台タイヤを形成し、少なくともトレッド部を備えたトレッド部材を加硫してプレキュアトレッド部材を形成した後、該台タイヤと該プレキュアトレッド部材とを接着して一体に加硫成形するタイヤの製造方法において、該ベルト部の最外ベルト層の被覆ゴム組成物に、ゴム成分100質量部に対して、JIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜99m
2/gのカーボンブラックを30〜60質量部配合することを特徴とする。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積が25〜99m
2/gであることを要するのは、25m
2/g以上であれば被覆ゴム組成物の強度を確保でき、99m
2/g以下であれば、被覆ゴム組成物の低発熱性及び耐疲労性が良好となり、この範囲であれば、タイヤの低発熱性及び耐久性を向上することができるからである。低発熱性をより重視する観点から、窒素吸着比表面積が25〜90m
2/gであることがより好ましく、また、耐久性をより重視する観点から、窒素吸着比表面積が33〜99m
2/gであることがより好ましく、低発熱性及び耐久性の双方を向上する観点から33〜90m
2/gであることがさらに好ましい。
また、カーボンブラックの配合量が30〜60質量部であることを要するのは、30質量部以上であれば被覆ゴム組成物の強度を確保でき、60質量部以下であれば、被覆ゴム組成物の低発熱性及び耐疲労性が良好となり、この範囲であれば、タイヤの低発熱性及び耐久性を向上することができる。これらの観点から、カーボンブラックの配合量が35〜60質量部であることがより好ましい。
【0014】
本発明の台タイヤの製造方法の第2実施態様は、少なくとも3ベルト層からなるベルト部、サイド部及びビード部を備えたケース部を加硫する台タイヤの製造方法において、ベルト層を構成する少なくとも1層のベルト被覆ゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対して、JIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜99m
2/gのカーボンブラックを40〜60質量部配合してなることを特徴とする。
また、本発明のタイヤの製造方法の第2実施態様は、少なくとも3ベルト層からなるベルト部、サイド部及びビード部を備えたケース部を加硫して台タイヤを形成し、少なくともトレッド部を備えたトレッド部材を加硫してプレキュアトレッド部材を形成した後、該台タイヤと該プレキュアトレッド部材とを接着して一体に加硫成形するタイヤの製造方法において、ベルト層を構成する少なくとも1層のベルト被覆ゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対して、JIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜99m
2/gのカーボンブラックを40〜60質量部配合してなることを特徴とする。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積が25〜99m
2/gであることを要するのは、25m
2/g以上であれば被覆ゴム組成物の強度を確保でき、99m
2/g以下であれば、被覆ゴム組成物の低発熱性及び耐疲労性が良好となり、この範囲であれば、タイヤの低発熱性及び耐久性を向上することができるからである。これらの観点から、窒素吸着比表面積が33〜99m
2/gであることがより好ましく、33〜90m
2/gであることがさらに好ましい。
また、カーボンブラックの配合量が40〜60質量部であることを要するのは、40質量部以上であれば被覆ゴム組成物の強度を確保でき、60質量部以下であれば、被覆ゴム組成物の低発熱性及び耐疲労性が良好となり、この範囲であれば、タイヤの低発熱性及び耐久性を向上することができる。これらの観点から、カーボンブラックの配合量が45〜60質量部であることがより好ましい。
本発明のタイヤの製造方法の第2実施態様においては、少なくとも3ベルト層からなるベルト部のベルト層の内、少なくともタイヤ径方向最内ベルト層に前記被覆ゴム組成物を用いることが好ましい。
【0015】
本発明の台タイヤの製造方法の第3実施態様は、複数のベルト層からなるベルト部、カーカスプライ、サイド部及びビード部を備えたケース部を加硫する台タイヤの製造方法において、該カーカスプライの被覆ゴム組成物に、ゴム成分100質量部に対して、JIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜90m
2/gのカーボンブラックを40〜60質量部配合することを特徴とする。
また、本発明のタイヤの製造方法の第3実施態様は、複数のベルト層からなるベルト部、カーカスプライ、サイド部及びビード部を備えたケース部を加硫して台タイヤを形成し、少なくともトレッド部を備えたトレッド部材を加硫してプレキュアトレッド部材を形成した後、該台タイヤと該プレキュアトレッド部材とを接着して一体に加硫成形するタイヤの製造方法において、該カーカスプライの被覆ゴム組成物に、ゴム成分100質量部に対して、JIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜90m
2/gのカーボンブラックを40〜60質量部配合することを特徴とする。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積が25〜90m
2/gであることを要するのは、25m
2/g以上であれば被覆ゴム組成物の強度を確保でき、90m
2/g以下であれば、被覆ゴム組成物の低発熱性及び耐疲労性が良好となり、この範囲であれば、タイヤの低発熱性及び耐久性を向上することができるからである。これらの観点から、窒素吸着比表面積が33〜90m
2/gであることがより好ましい。
また、カーボンブラックの配合量が40〜60質量部であることを要するのは、40質量部以上であれば被覆ゴム組成物の強度を確保でき、60質量部以下であれば、被覆ゴム組成物の低発熱性及び耐疲労性が良好となり、この範囲であれば、タイヤの低発熱性及び耐久性を向上することができる。
なお、本発明のタイヤの製造方法に係る加硫方法を、以下「2段階加硫」ということがある。また、従来の生タイヤを1度に加硫する方法を、以下「1段階加硫」ということがある。
【0016】
以下、本発明の台タイヤ又はタイヤの製造方法の第1〜3実施態様に係るタイヤの各部材を説明する。
図1は、本発明の製造方法の第1又は第3実施態様により得られるタイヤの1例を示す断面模式図であり、
図2は、本発明の製造方法の第2実施態様により得られるタイヤの1例を示す断面模式図であり、
図3は、本発明の製造方法の第1実施態様により得られるタイヤの1例のベルト部を示す部分断面模式図である。
このタイヤ1の例では、一対のビードコア2及び2’からタイヤ半径方向外側にそれぞれスティフナー3及び3’が延在し、スティフナー3の外側からビードコア2で折り返され、馬蹄形のタイヤケース形状を形成し、反対側のビードコア2’で折り返され、スティフナー3’の外側で係止されるカーカスプライ4のタイヤ半径方向外側に複数のベルト層(
図1では、5a〜5dの4層であり、
図2では、5e〜5gの3層である。)からなるベルト部5が配設されている。このベルト部5のタイヤ半径方向外側にトレッド部8が配設されている。
また、カーカスプライ4の外側であって、トレッド部8とスティフナー3との間にサイドウォールゴム9が配設されている。このサイドウォールゴム9が配設されている部分をサイド部Mと称し、サイド部Mのタイヤ半径方向内側をビード部Nと称する。ビード部Nには、ビードコア2及び2’、スティフナー3及び3’等が配設されている。カーカスプライ4の内側には空気透過防止層としてインナーライナー10が配設されている。
ベルト部5をさらに詳述する。
図1及び
図3においては、ベルト層5a〜5d(最内ベルト層5a、交錯層を形成する内側ベルト層5b、交錯層を形成する外側ベルト層5c及び最外ベルト層5d)において、交錯層を形成する内側ベルト層5b端部近傍と交錯層を形成する外側ベルト層5c端部近傍との間には通常ベルトウェッジゴム6が配設され、ベルト層5a〜5dの各層端部には各層端部を被覆するベルトエンドカバーゴム7(7a〜7d)が配設されており、ベルトウェッジゴム6とベルトエンドカバーゴム7もベルト部5に包含される。
図1及び
図3に示すベルト部5のベルト層5a〜5dはいずれも、補強材(特に、スチールコード)とそれを被覆する被覆ゴム組成物とから構成される。
また、
図2に示すベルト層5e〜5gにおいて交錯層を形成するベルト層5e端部近傍、と5f端部近傍との間には通常ベルトウェッジゴム6が配設され、ベルト層5e〜5gの各層端部には各層端部を被覆するベルトエンドカバーゴム7(図示しないが、
図3と同様の配置である。)が配設されており、ベルトウェッジゴム6とベルトエンドカバーゴム7もベルト部に包含される。
図1及び2に示すカーカスプライ4は、補強材(特に、スチールコード)と被覆ゴム組成物とから構成されている。
なお、
図1、2、4及び
図5に示すタイヤ断面図の中心線CLをクラウンセンターと称する。
【0017】
図4及び5は、本発明の台タイヤ又はタイヤの製造方法(以下、本発明の製造方法と略称することがある。)の第1〜3実施態様に用いられる台タイヤAとプレキュアトレッド部材Bとの1例を示す断面模式図である。本発明においては、少なくともベルト部5、サイド部M及びビード部Nを備えたケース部を加硫して台タイヤAが形成される。通常、台タイヤAには、トレッドゴムの一部が薄層としてベルト部5のタイヤ半径方向外側に配設されている。プレキュアトレッド部材Bとの接着を良好にするためである。
【0018】
[最外ベルト層5dの被覆ゴム組成物]
本発明の製造方法の第1実施態様において、ベルト部5の構成は限定されないが、ベルト層5a〜5dの4層で構成される場合は、最内ベルト層5a、交錯層を形成する内側ベルト層5b、交錯層を形成する外側ベルト層5c及び最外ベルト層5dで構成されることが好ましい。
【0019】
[最内ベルト層5eの被覆ゴム組成物]
図2及び
図5に示すように、本発明の製造方法の第2実施態様における最内ベルト層5eはその上層のベルト層5fと交錯層を形成することが好ましい。本発明において、その被覆ゴム組成物の長時間使用後の亀裂性を改善することが重要である。但し上記被覆ゴム組成物は、ベルト層5e〜5gの全ての層の被覆ゴム組成物として用いるのが好ましいが、いずれかの一層に用いてもよい。上述のように、特に上記交錯層に用いることが好ましい。ここで、交錯層とはコード交差層とも称し、隣接する2層間でコード相互がタイヤ赤道面を挟み異なる方向に配列され、互いに交差するコード配列を有する傾斜ベルト層を意味する。
【0020】
[カーカスプライ4の被覆ゴム組成物]
本発明の製造方法の第3実施態様におけるカーカスプライ4は、馬蹄形のタイヤケース形状を形成するものであり、タイヤが耐圧容器としての機能を奏するために重要な部材である。このカーカスプライ4の被覆ゴム組成物の長時間使用後の亀裂性を改善することは、タイヤの耐久性向上のために重要である。小型トラック用及び大型車両用(トラック・バス用、建設車両用等)等の空気入りラジアルタイヤにおいては、通常、補強材であるスチールコードと被覆ゴム組成物とから構成されており、タイヤショルダー部及びカーカスプライ端部の耐亀裂性向上が重要である。
【0021】
(カーボンブラック)
本発明の製造方法の第1実施態様において最外ベルト層5dの被覆ゴム組成物に用いられるJIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜99m
2/gのカーボンブラック、第2実施態様において最内ベルト層5eの被覆ゴム組成物に用いられるJIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜99m
2/gのカーボンブラック、又は第3実施態様においてカーカスプライ4の被覆ゴム組成物に用いられるJIS K 6217−2:2001で規定された窒素吸着比表面積が25〜90m
2/gのカーボンブラックとしては、例えばHAF(窒素吸着比表面積:75〜80m
2/g)、HS−HAF(窒素吸着比表面積:78〜83m
2/g)、LS−HAF(窒素吸着比表面積:80〜85m
2/g)、FEF(窒素吸着比表面積:40〜42m
2/g)、GPF(窒素吸着比表面積:26〜28m
2/g)、SRF(窒素吸着比表面積:25〜28m
2/g)、N339(窒素吸着比表面積:88〜96m
2/g)、LI−HAF(窒素吸着比表面積:73〜75m
2/g)、IISAF(窒素吸着比表面積:97〜98m
2/g)、HS−IISAF(窒素吸着比表面積:98〜99m
2/g)などが挙げられる。これらの内、HAF、HS−HAF、LS−HAF、FEF、LI−HAF及びGPFが好ましい。
【0022】
(シリカ)
本発明の製造方法の第1実施態様における最外ベルト層5dの被覆ゴム組成物、第2実施態様における最内ベルト層5eの被覆ゴム組成物、又は第3実施態様におけるカーカスプライ4の被覆ゴム組成物に、カーボンブラックに加えて、所望により、シリカを配合してもよい。被覆ゴム組成物のゴム成分100質量部に対して、シリカを10質量部以下配合することが好ましい。
シリカとしては市販のあらゆるものが使用でき、なかでも湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカを用いるのが好ましく、湿式シリカを用いるのが特に好ましい。シリカのBET比表面積(ISO 5794/1に準拠して測定する)は40〜350m
2/gであるのが好ましい。BET比表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観点から、BET比表面積が80〜350m
2/gの範囲にあるシリカが更に好ましく、BET比表面積が120〜350m
2/gの範囲にあるシリカが特に好ましい。このようなシリカとしては東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールAQ」(BET比表面積 =220m
2/g)、「ニップシールKQ」、デグッサ社製商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積 =175m
2/g)等の市販品を用いることができる。
【0023】
(ゴム成分)
本発明の製造方法の第1実施態様における最外ベルト層5dの被覆ゴム組成物、第2実施態様における最内ベルト層5eの被覆ゴム組成物、又は第3実施態様におけるカーカスプライ4の被覆ゴム組成物に用いられるゴム成分としては、天然ゴム及び/又は合成ポリイソプレンゴム(IR)が好ましく、天然ゴムがより好ましい。他の合成ゴムとの併用の場合であっても、ゴム成分中、天然ゴムが60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、天然ゴム単独が特に好ましい。
他の合成ゴムとしては、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン-イソプレン共重合体(SIR)などが挙げられる。
【0024】
(接着促進剤)
本発明の製造方法の第1実施態様における最外ベルト層5dの被覆ゴム組成物、第2実施態様における最内ベルト層5eの被覆ゴム組成物、又は第3実施態様におけるカーカスプライ4の被覆ゴム組成物に、ゴム成分100質量部に対して、有機酸コバルト塩をコバルト量として0.4質量部以下配合することが好ましく、0.01〜0.4質量部配合することがより好ましく、0.02〜0.3質量部配合することがさらに好ましい。有機酸コバルト塩をコバルト量として0.4質量部以下配合すると、被覆ゴム組成物の耐老化性の低下を好適に防ぐことができる。また、有機酸コバルト塩をコバルト量として0.01質量部以上配合すれば、初期接着性が向上するのでより好ましい。
上記有機酸コバルト塩としては、ナフテン酸コバルト、ロジン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、或いは他の炭素数が5乃至20程度の直鎖状或いは分岐鎖のモノカルボン酸コバルト塩(例えば、商品名「マノボンドC」シリーズ、OM Group Inc.製)等を挙げることができる。
【0025】
(加硫剤)
本発明の製造方法の第1実施態様における最外ベルト層5dの被覆ゴム組成物、第2実施態様における最内ベルト層5eの被覆ゴム組成物、又は第3実施態様におけるカーカスプライ4の被覆ゴム組成物の加硫剤として、ゴム成分100質量部に対して、硫黄を7.0質量部以下配合することが好ましい。特に、3.0〜7.0質量部の範囲、更に好ましくは4.0〜6.0質量部の範囲である。硫黄を7.0質量部以下配合すれば、被覆ゴム組成物の耐老化性の低下を好適に防ぐことができる。また、硫黄を3.0質量部以上配合すれば、初期接着性が向上するのでより好ましい。
【0026】
(その他の配合剤)
本発明の製造方法の第1実施態様における最外ベルト層5dの被覆ゴム組成物、第2実施態様における最内ベルト層5eの被覆ゴム組成物、又は第3実施態様におけるカーカスプライ4の被覆ゴム組成物は、上述した配合剤の他に、他の配合剤、例えば、亜鉛華、有機酸(ステアリン酸等)などの加硫活性剤、加硫促進剤、シリカ以外の無機充填剤、老化防止剤、オゾン劣化防止剤、軟化剤などを添加することができる。
なお、加硫促進剤としては、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系促進剤が好適に用いられる。また、所望により、2−メルカプトベンゾチアゾ−ル、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド等のチアゾール系促進剤や、テトラベンジルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系促進剤を用いてもよい。
【0027】
(最外ベルト層5dの被覆ゴム組成物の加硫物性)
加硫ゴム物性において、ベルト部5の最外ベルト層5dの被覆ゴム組成物の、初期荷重160g、周波数52Hz、歪み2%、測定温度25℃に於ける損失正接(tanδ)は、低発熱性を向上する観点から、0.17以下であることが好ましい。
【0028】
(最内ベルト層5eの被覆ゴム組成物の加硫物性)
加硫ゴム物性において、ベルト部5のベルト層の少なくともタイヤ径方向最内ベルト層5eの被覆ゴム組成物の、初期荷重160g、周波数52Hz、歪み2%、測定温度25℃に於ける損失正接(tanδ)は、低発熱性を向上する観点から、0.17以下であることが好ましい。
【0029】
(カーカスプライ4の被覆ゴム組成物の加硫物性)
加硫ゴム物性において、カーカスプライ4の被覆ゴム組成物の、初期荷重160g、周波数52Hz、歪み2%、測定温度25℃に於ける損失正接(tanδ)は、低発熱性を向上する観点から、0.17以下であることが好ましい。
【0030】
本発明に係る被覆ゴム組成物の製造に用いられる混練装置として、バンバリーミキサー、ロール、インテンシブミキサー等が用いられる。
【0031】
本発明の製造方法において、前記ケース部を加硫して台タイヤAを製造する場合には、まず未加硫であるケース部を成形する。ケース部は、公知のタイヤ製造方法におけるグリーンタイヤの成形工程と同様にして成形される。例えば、成形ドラム上に未加硫ゴムがゴム引きされたカーカスプライを巻き付け、その両端部にビードコアをセットした後、その両端部を折り返し、更にサイドウォール部の未加硫ゴムを貼り付ける。次いで、その幅方向中央部を膨径させて断面馬蹄形の円環状にした後、カーカス層外周上に未加硫のベルト層を設け、その上に好ましくはトレッド部8の内層と同じゴム組成物の薄層を貼着して、ケース部を得ることができる。
上記ケース部を加硫金型(モールド)にセットして、加硫成形することにより、トレッド部8の一部を有するか、又はトレッド部8を全く有しない台タイヤAを得ることができる。
【0032】
本発明の製造方法において、前記ケース部(未加硫時の台タイヤA)の加硫方法が加硫金型により該ケース部を外側から包囲する方法であって、該ケース部のビード部側を第1加熱手段により加熱し、該ケース部のベルト部側を第2手段により加熱し、前記第2加熱手段によってベルト部側に与えられる単位体積当たりの熱量が前記第1加熱手段によってビード部側に与えられる単位体積当たりの熱量よりも少なくなるように加硫成形することが好ましい。
通常の重荷重用タイヤ(例えば、トラック・バス用空気入りラジアルタイヤ)においては、ケース部のベルト部側の厚みはビード部Nの最大厚みと比較して薄いので、ビード部N内に加硫最遅点が存在する。上記のように、ベルト部側に単位体積当たりの熱量を少なく、ビード部側に単位体積当たりの熱量を多く与えれば、ベルト部側及び/又はショルダー部(タイヤ肩部)側のカーカスプライが過加硫にならず、最外ベルト層5dの被覆ゴム組成物及び/又はカーカスプライ4の被覆ゴム組成物のスチールコード接着性(初期接着性及び長時間使用後の接着性の双方)が向上すると共に、tanδが低くなり低発熱性も向上するので好ましい。
【0033】
ベルト部側に単位体積当たりの熱量を少なく、ビード部側に単位体積当たりの熱量を多く与える手段としては、ケース部を加硫して台タイヤAを製造する場合、例えば、加硫金型内にケース部を入れて、ケース部の内側から加硫ブラダーにより圧力と熱を加えるが、この時、ケース部のビード部Nに相対する加硫金型の部分の第1加熱手段から、より高い温度で加熱し、ケース部のベルト部側に相対する加硫金型の部分の第2加熱手段から第1加熱手段より低い温度で加熱すればよい。
【0034】
本発明の製造方法の第1又は第3実施態様において、前記ケース部の加硫時における前記最外ベルト層5d(特に、最外ベルト層5dの加硫最遅点)の到達温度(以下、到達温度という。)が110〜160℃であり、ビード部N(特に、ビード部Nの加硫最遅点)の到達温度が125〜180℃であり、且つ最外ベルト層5dの加硫最遅点の到達温度がビード部Nの加硫最遅点の到達温度より2〜25℃低いことが好ましく、4〜25℃低いことがより好ましく、4〜20℃低いことがさらに好ましい。ベルト部側が過加硫になることを防ぎ、最外ベルト層5dの被覆ゴム組成物のスチールコード初期接着性及び低発熱性を向上させるためである。
最外ベルト層5d(特に、最外ベルト層5dの加硫最遅点)の到達温度が110℃以上であれば、加硫が好適に進行し好ましく、160℃以下であれば、スチールコードとの初期接着性が向上するので好ましい。また、ビード部N(特に、ビード部Nの加硫最遅点)の到達温度が125℃以上であれば、台タイヤAの加硫時間が短縮でき好ましく、180℃以下であれば、ビード部耐久性が向上して好ましい。
【0035】
また、本発明の製造方法の第2実施態様において、前記ケース部の加硫時における前記最内ベルト層5e(特に、最内ベルト層5eの加硫最遅点)の到達温度が110〜160℃であり、ビード部N(特にビード部Nの加硫最遅点)の到達温度が125〜180℃であり、且つ最内ベルト層5eの加硫最遅点の到達温度がビード部Nの到達温度より2〜25℃低いことを特徴とすることが好ましく、4〜25℃低いことがより好ましく、4〜20℃低いことがさらに好ましい。ベルト部側が過加硫になることを防ぎ、最内ベルト層5eの被覆ゴム組成物のスチールコード初期接着性及び低発熱性を向上させる。
最内ベルト層5eの(特に最内ベルト層5eの加硫最遅点)の到達温度が110℃以上であれば、加硫が好適に進行し好ましく、160℃以下であれば、スチールコードとの初期接着性が向上するので好ましい。また、ビード部N(特に最内ベルト層5eの加硫最遅点)の到達温度が125℃以上であれば、台タイヤAの加硫時間が短縮でき好ましく、180℃以下であれば、ビード部耐久性が向上して好ましい。
【0036】
他方、プレキュアトレッド部材Bを製造する場合には、幅方向断面が略台形状をした未加硫ゴムからなるトレッド素材を押出し機(図示せず)から押し出した後、所定長に切断し、その後、切断された帯状のトレッド素材を、例えば、上金型と下金型とを備えた加硫金型内にセットして加硫し、リング状のプレキュアトレッド部材Bを得る。このとき、プレキュアトレッド部材Bのリング状外面の長手方向に延びる複数本の溝が形成される。
加硫条件としては、100〜185℃程度、プレキュアトレッド部材Bの加硫完結までの時間で行うことが好ましい。
【0037】
上述のようにして得られた台タイヤAとプレキュアトレッド部材Bにおいては、加硫中にモールド面と接していたタイヤケーシング表面が未加硫ゴムと共架橋し難い性質があるので、接着性を確保することを目的として台タイヤAとプレキュアトレッド部材Bとの接着面となる外面の表層ゴムを取り除く(削り取る)ために、台タイヤAとプレキュアトレッド部材Bとの接着面を予めバフ機等により研磨することが好ましい。ただし、削り取る表層ゴムは、その目的からして、厚さ0.001mm以下の極めて薄い層で十分である。
表層ゴムを削り取る方法に関しては、表面粗さを好適範囲とすることができれば特に制限がなく、砥石、金属製研磨器具、不織布製研磨材などを用いて前記接着面を研磨すればよく、中でも削り取る表層ゴムの厚さを10nm〜1mmときわめて薄くするためには不織布製研磨材を用いることが好ましい。不織布製研磨材は研磨のために加えられた力がスプリング効果によって分散されるため削りすぎや深いスクラッチが入らず、上記のように表面層を均一に薄く削り取る(粗らす)ためには好ましい研磨材である。尚、上記不織布製研磨材は、既存のバフ機に装着することで研磨を実施することができる。不織布製研磨材として具体的には住友スリーエム株式会社製の「スコッチブライト」等が挙げられる。
【0038】
台タイヤAとプレキュアトレッド部材Bとの接着面となる外面は、投錨効果(アンカー効果ともいう。)により接着性を高めるため、前述のように表面を均一に粗らすことが好ましい。
次に、台タイヤAとプレキュアトレッド部材Bとを接着して一体に加硫成形しタイヤ1を得る。このとき、台タイヤAとプレキュアトレッド部材Bとを未加硫クッションゴム層を介して接着し加硫成形することが好ましい。未加硫クッションゴム層は、通常のシート状のクッションゴムでもよいし、液状ゴムを接着面に塗布して形成してもよい。
【0039】
当該クッションゴム組成物としては、通常のゴム組成物に用いられるゴム成分、各種加硫促進成分、架橋成分以外に、必要に応じて、補強充填材としてのカーボンブラック、軟化剤(オイル)、老化防止剤、硫黄などの架橋剤等の通常ゴム工業で使用される薬品類等を適宜配合することができる。なお、ゴム成分としては、天然ゴム(NR)又は合成ゴムを単独又はこれらをブレンドして使用することができる。合成ゴムとしては、例えば、合成ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、ハロゲン化ブチル等が挙げられる。当該ゴム組成物として、トレッドゴム組成物(特に、トレッドベースゴム組成物)を用いることが好ましい。
【0040】
次いで、プレキュアトレッド部材Bを貼付した台タイヤAを、図示していない加硫装置(例えば、加硫缶)に搬入して、未加硫クッションゴム層を加硫しタイヤ1とする。このとき、プレキュアトレッド部材Bは台タイヤAのクラウン部外周に共加硫接着される。
加硫条件としては、60〜140℃程度、クッションゴムの加硫完結までの時間で行うことが好ましい。
【0041】
この加硫時において、台タイヤAとプレキュアトレッド部材Bとを接着して一体に加硫するときの、本発明の製造方法の第1実施態様における最外ベルト層5dの加硫最遅点の到達温度が、ケース部を加硫するときの最外ベルト層5dの加硫最遅点の到達温度より低いことが好ましい。ケース部加硫の加硫度と、台タイヤAとプレキュアトレッド部材Bとの加硫の加硫度との全加硫度を過大にならないように適正化し、最外ベルト層5dの被覆ゴム組成物のスチールコード初期接着性、低発熱性及び耐久性を向上させるためである。
【0042】
この加硫時において、台タイヤAとプレキュアトレッド部材Bとを接着して一体に加硫するときの本発明の製造方法の第2実施態様における最内ベルト層5eの加硫最遅点の到達温度が、ケース部を加硫するときの最内ベルト層5eの加硫最遅点の到達温度より低いことが好ましい。ケース部加硫の加硫度と、台タイヤAとプレキュアトレッド部材Bとの加硫の加硫度との全加硫度を過大にならないように適正化し、最内ベルト層5eの被覆ゴム組成物の対スチールコード初期接着性、低発熱性及び耐久性を向上させるためである。
【0043】
この加硫時において、台タイヤAとプレキュアトレッド部材Bとを接着して一体に加硫するときの本発明の製造方法の第3実施態様におけるクラウンセンター位置のカーカスプライ4の到達温度が、ケース部を加硫するときのクラウンセンター位置の該カーカスプライ4の到達温度より低いことが好ましい。ケース部加硫の加硫度と、台タイヤAとプレキュアトレッド部材Bとの加硫の加硫度との全加硫度を過大にならないように適正化し、ベルト部側及びショルダー部(タイヤ肩部)側のカーカスプライ4の被覆ゴム組成物のスチールコード初期接着性、低発熱性及び耐久性を向上させるためである。
【実施例】
【0044】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、低転がり抵抗性、tanδ及び長時間使用後の耐亀裂性を下記の方法により評価した。
【0045】
<低転がり抵抗性>
各試作タイヤをドラム試験にて、80km/時の走行時のタイヤ接地面に発生する進行方向に対する抵抗を測定し、第2表においては比較例1の値を、第3表においては比較例20の値を、第5表においては比較例21の値を、第6表においては実施例25の値を、第8表においては比較例41の値を、第9表においては比較例59の値を、それぞれ100とし、以下の式により指数で表示した。この値が大きい程、転がり抵抗が小さく良好である。
低転がり抵抗性指数={(比較例1、20、21、41、59又は実施例25のタイヤの転がり抵抗)/(供試タイヤの転がり抵抗)}×100
<損失正接(tanδ)>
東洋清機(株)製のスペクトロメーター(動的粘弾性測定試験機)を用いて、初期荷重160g、周波数52Hz、歪2%、測定温度25℃でtanδを測定した。数値が小さい程、低発熱性であることを示す。
<長時間使用後のゴム組成物の耐亀裂性>
長時間熱老化後のJIS3号試験片の中心部に0.5mmの亀裂を入れ、室温で50〜100%の歪みで繰り返し疲労を与え、サンプルが切断するまでの回数を測定した。各歪みでの値を求め、その平均値を用いた。第2表においては比較例1の値を100として、第3表においては実施例12の値を100として、以下の式により指数表示した。指数値が大きい程、耐亀裂性が良好であることを示す。
長時間使用後の耐亀裂性指数={(供試サンプルが切断するまでの回数)/(比較例1又は実施例12のサンプルが切断するまでの回数)}×100
<長時間使用後の最内ベルト層の耐亀裂性>
成形、加硫した供試タイヤを正規内圧、正規荷重で、40℃の雰囲気下、速度60kmhrk、サイドフォース15kNを加え、ドラムテストを二日間行い、終了後最内ベルト層を取り出しベルト層端上の亀裂伸展長さを測定した。第5表においては比較例21の値を100として、第6表においては実施例23の値を100として、亀裂伸展長さ平均の長さを指数表示した。指数値が大きいほど、耐亀裂性が良好であることを示す。
長時間使用後の耐亀裂性指数={(供試サンプルが切断するまでの回数)/(比較例21又は実施例23のサンプルが切断するまでの回数)}×100
<長時間使用後のカーカスプライの耐亀裂性>
成形、加硫した供試タイヤを正規内圧、正規荷重で、40℃の雰囲気下、速度60km/hr、サイドフォース15kN加え、ドラムテストを2日間行い、終了後に最内層ベルト層5a端部位置とタイヤ最大幅位置との中点に位置するカーカスプライの被覆ゴムを取り出し、そのゴムサンプルに0.2mmの亀裂を入れ、室温で50〜100%の歪みで繰り返し疲労を与え、サンプルが切断するまでの回数を測定した。各歪みでの値を求め、その平均値を用いた。第8表においては比較例41を100として、第9表においては実施例36を100として、以下の式により指数表示した。指数値が大きい程、耐亀裂性が良好であることを示す。
長時間使用後の耐亀裂性指数={(供試サンプルが切断するまでの回数)/(比較例41又は実施例36のサンプルが切断するまでの回数)}×100
【0046】
実施例1〜14及び比較例1〜20
第1〜3表に示す最外層ベルト層の被覆ゴム組成物の配合処方により実施例1〜14及び比較例1〜20に用いられる34種類の被覆ゴム組成物を常法により製造した。これらの被覆ゴム組成物をタイヤ加硫時の最外層ベルト温度(2段階加硫の場合は、2段階の双方の温度)を再現するように加硫して、tanδ及び長時間使用後の耐亀裂性測定用試験片を得た。タイヤ加硫時の最外層ベルト温度は下記のタイヤサイズ11R22.5のタイヤにおける加硫方法において、ベルト最外層に熱伝対を埋め込み、加硫時間に対する温度変化を測定した結果を試験片の加硫温度にフィードバックすることによって再現された。
tanδは上記方法により測定した。次いで、窒素雰囲気の容器に封入したJIS3号試験片を、100℃、24時間ギヤ・オーブン中に放置して長時間熱老化後のJIS3号試験片を得た。これらの長時間熱老化後のJIS3号試験片を用いて長時間使用後の耐亀裂性を上記方法により測定した。結果を第2〜3表に示す。
【0047】
次に、タイヤサイズを11R22.5で共通にし、上記の内、実施例1〜14及び比較例11、13、16、18の18種類の被覆ゴム組成物をそれぞれ最外層ベルト層に用いた18種類の未加硫のケース部を準備した。
図4に示すように、ベルト部は4ベルト層からなるものであった。これらのケース部をそれぞれ加硫金型によりケース部を外側から包囲し、且つ内側から加硫ブラダーで加圧・加熱する方法(150℃の高圧水蒸気で加圧)で加硫し、台タイヤを製造した。このとき、ケース部のビード部側に相対する加硫金型ブロックの第1加熱手段を170℃に保ち、ケース部のベルト部側に相対する加硫金型ブロックの第2加熱手段を140℃に保った。これにより、前記第2加熱手段によってベルト部側に与えられる単位体積当たりの熱量が前記第1加熱手段によってビード部側に与えられる単位体積当たりの熱量よりも少なくなるようにした。最外ベルト層の加硫最遅点の到達温度が140℃であり、ビード部の加硫最遅点の到達温度が155℃であった。加硫時間はいずれも30分であった。
また、別途、トレッドパターンを予め型付けするように160℃で加熱して加硫成形したプレキュアトレッド部材を用意した。
【0048】
次に、これら台タイヤとプレキュアトレッド部材の接着面をバフ機により研磨した後、台タイヤとプレキュアトレッド部材とを接着するためのクッションゴムを第1表記載の配合内容により製造し、この未加硫クッションゴムシートを各台タイヤの接着面に貼着した。
次いで、各プレキュアトレッド部材を各台タイヤに貼り付け、その後、加硫装置により120℃で2時間加硫を行い、台タイヤとプレキュアトレッド部材とが接着された各タイヤを得た。このとき、最外ベルト層の加硫最遅点の到達温度は120℃であった。
得られた上記18種類のタイヤ(タイヤサイズ11R22.5)を用い、上記の方法に従い、低転がり抵抗性を評価した。評価結果を第2〜3表に示す。
【0049】
次に、タイヤサイズを11R22.5で共通にし、上記の内、比較例1〜10、12、14、15、17、19及び20の16種類の被覆ゴム組成物をそれぞれ最外層ベルト層に用いた16種類の未加硫のケース部を準備し、そのタイヤ半径方向外側に未加硫のトレッド部材を貼着して、16種類の生タイヤを得た。
図4に示すように、ベルト部は4ベルト層からなるものであった。これら16種類の生タイヤを通常の1段階加硫により加硫し、16種類のタイヤを製造した。
得られた上記16種類のタイヤ(タイヤサイズ11R22.5)を用い、上記の方法に従い、低転がり抵抗性を評価した。評価結果を第2〜3表に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
[注]
*1: HAF(N−330)、旭カーボン株式会社製、商品名「旭#70」(窒素吸着比表面積:77m
2/g)
*2: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」
*3: OM Group Inc.製、商品名「マノボンドC225」(登録商標)(コバルト含有率22.5%)
*4: N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーDZ」
*5: テトラベンジルチウラムジスルフィド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーTBZTD」
*6: N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーNS」
*7: 2−メルカプトベンゾチアゾ−ル、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーM−P」
【0052】
【表2】
【0053】
[注]
*8: JSR株式会社製、ポリイソプレンゴム(IR)、商品名「IR2200」
*9: HAF(N−330)、旭カーボン株式会社製、商品名「旭#70」(窒素吸着比表面積:77m
2/g)
*10: FEF(N−550)、旭カーボン株式会社製、商品名「旭#60」(窒素吸着比表面積:40m
2/g)
*11: GPF(N−660)、旭カーボン株式会社製、商品名「旭#55」(窒素吸着比表面積:26m
2/g)
*12: ISAF(N−220)、旭カーボン株式会社製、商品名「旭#80」(窒素吸着比表面積:115m
2/g)
*13: SRF−LS、東海カーボン株式会社製、商品名「シーストSP」(窒素吸着比表面積:23m
2/g)
*14: 東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールAQ」(BET比表面積220m
2/g)
【0054】
【表3】
[注]
*8〜*11及び*14は、第2表と同じである。
【0055】
実施例15〜25及び比較例21〜40
第4〜6表に示す最内ベルト層の被覆ゴム組成物の配合処方により実施例15〜25及び比較例21〜40に用いられる31種類の被覆ゴム組成物を常法により製造した。これらの被覆ゴム組成物をタイヤ加硫時の最内ベルト層の温度(2段加硫の場合は、2段階の双方の温度)を再現するように加硫して、tanδ測定用試験片を得た。タイヤ加硫時の最内ベルト層の温度は下記のタイヤサイズ11R22.5のタイヤにおける加硫方法において、最内ベルト層に熱伝対を埋め込み、加硫時間に対する温度変化を測定した結果を試験片の加硫温度にフィードバックすることによって再現された。tanδは上記方法により測定をした。測定結果を第5〜6表に示す。
【0056】
次に、タイヤサイズを11R22.5で共通にし、上記の内、実施例15〜25及び比較例27、30、32、36、38の16種類の被覆ゴム組成物をそれぞれ最内ベルト層に用いた16種類の未加硫のケース部を準備した。
図5に示すように、ベルト部は最内ベルト層を交錯層とする3ベルト層からなるものであった。これらのケース部をそれぞれ加硫金型によりケース部を外側から包囲し、且つ内側から加硫ブラダーで加圧・加熱する方法(150℃の高圧水蒸気で加圧)で加硫し、台タイヤを製造した。このとき、ケース部のビード部側に相対する加硫金型ブロックの第1加熱手段を170℃に保ち、ケース部のベルト部側に相対する加硫金型ブロックの第2加熱手段を140℃に保った。これにより、前記第2加熱手段によってベルト部側に与えられる単位体積当たりの熱量が前記第1加熱手段によってビード部側に与えられる単位体積当たりの熱量よりも少なくなるようにした。最内ベルト層の加硫最遅点の到達温度が150℃であり、ビード部の加硫最遅点の到達温度が155℃であった。加硫時間はいずれも30分であった。
また、別途、トレッドパターンを予め型付けするように160℃で過熱して加硫成形したプレキュアトレッド部材を用意した。
【0057】
これら台タイヤとプレキュアトレッド部材の接着面をバフ機により研磨した。
次いで、台タイヤとプレキュアトレッド部材とを接着するためのクッションゴムを第4表記載の配合内容により製造し、未加硫のクッションゴムシートが、先ず台タイヤに貼られ、続いて、各プレキュアトレッド部材を各台タイヤに貼り付け、その後、加硫装置(加硫缶)により120℃で2時間加硫を行い、台タイヤとプレキュアトレッド部材とが接着された各タイヤを得た。このとき、最内ベルト層の加硫最遅点の到達温度は120℃であった。
得られた上記16種類のタイヤ(タイヤサイズ11R22.5)を用い、上記の方法に従い、低転がり抵抗性及び長時間使用後の耐亀裂性を評価した。評価結果を第5〜6表に示す。
【0058】
次に、タイヤサイズを11R22.5で共通にし、上記の内、比較例21〜26、28、29、31,33〜35、37、39及び40の15種類の被覆ゴム組成物をそれぞれ最内ベルト層に用いた15種類の未加硫のケース部を準備し、そのタイヤ半径方向外側に未加硫のトレッド部材を貼着して、15種類の生タイヤを得た。
図5に示すように、ベルト部は最内ベルト層を交錯層とする3ベルト層からなるものであった。これら15種類の生タイヤを通常の1段階加硫により加硫し、15種類のタイヤを製造した。
得られた上記15種類のタイヤ(タイヤサイズ11R22.5)を用い上記の方法に従い、低転がり抵抗性及び長時間使用後の耐亀裂性を評価した。評価結果を第5〜6表に示す。
【0059】
【表4】
【0060】
[注]
*21: HAF(N−330)、旭カーボン株式会社製、商品名「旭#70」(窒素吸着比表面積:77m
2/g)
*22: スピンドルオイル
*23: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」
*24: OM Group Inc.製、商品名「マノボンドC225」(登録商標)(コバルト含有率22.5%)
*25: N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーNS」
*26: N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーDZ」
*27: テトラベンジルチウラムジスルフィド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーTBZTD」
【0061】
【表5】
【0062】
[注]
*21は、第4表と同じである。
*28: JSR株式会社製、ポリイソプレンゴム(IR)、商品名「IR2200」
*29: FEF(N−550)、旭カーボン株式会社製、商品名「旭#60」(窒素吸着比表面積:40m
2/g)
*30: GPF(N−660)、旭カーボン株式会社製、商品名「旭#55」(窒素吸着比表面積:26m
2/g)
*31: ISAF(N−220)、旭カーボン株式会社製、商品名「旭#80」(窒素吸着比表面積:115m
2/g)
*32: SRF−LS、東海カーボン株式会社製、商品名「シーストSP」(窒素吸着比表面積:23m
2/g)
*33: 東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールAQ」(BET比表面積220m
2/g)
【0063】
【表6】
[注]
*21、*28、*29及び*33は、第5表と同じである。
【0064】
実施例26〜38及び比較例41〜59
第7〜9表に示すカーカスプライの被覆ゴム組成物の配合処方により実施例26〜38及び比較例41〜59に用いられる32種類の被覆ゴム組成物を常法により製造した。
次に、タイヤサイズを11R22.5で共通にし、上記の内、実施例26〜38及び比較例50、52、55、57の17種類の被覆ゴム組成物をそれぞれカーカスプライに用いた17種類の未加硫のケース部を準備した。
図4に示すように、ベルト部は4ベルト層からなるものであった。これらのケース部をそれぞれ加硫金型によりケース部を外側から包囲し、且つ内側から加硫ブラダーで加圧・加熱する方法(150℃の高圧水蒸気で加圧)で加硫し、台タイヤを製造した。このとき、ケース部のビード部側に相対する加硫金型ブロックの第1加熱手段を170℃に保ち、ケース部のベルト部側に相対する加硫金型ブロックの第2加熱手段を140℃に保った。これにより、前記第2加熱手段によってベルト部側に与えられる単位体積当たりの熱量が前記第1加熱手段によってビード部側に与えられる単位体積当たりの熱量よりも少なくなるようにした。最外ベルト層の加硫最遅点の到達温度が140℃であり、クラウンセンター位置の該カーカスプライの到達温度が150℃であり、ビード部の加硫最遅点の到達温度が155℃であった。加硫時間はいずれも30分であった。
また、別途、トレッドパターンを予め型付けするように160℃で加熱して加硫成形したプレキュアトレッド部材を用意した。
【0065】
次に、これら台タイヤとプレキュアトレッド部材の接着面をバフ機により研磨した後、台タイヤとプレキュアトレッド部材とを接着するためのクッションゴムを第7表記載の配合内容により製造し、この未加硫クッションゴムシートを各台タイヤの接着面に貼着した。
次いで、各プレキュアトレッド部材を各台タイヤに貼り付け、その後、加硫装置により120℃で2時間加硫を行い、台タイヤとプレキュアトレッド部材とが接着された各タイヤを得た。このとき、最外ベルト層の加硫最遅点の到達温度は120℃であり、クラウンセンター位置の該カーカスプライの到達温度が120℃であった。
得られた上記17種類のタイヤ(タイヤサイズ11R22.5)を用い、上記の方法に従い、低転がり抵抗性及び長時間使用後の耐亀裂性を評価した。評価結果を第8〜9表に示す。
【0066】
次に、タイヤサイズを11R22.5で共通にし、上記の内、比較例41〜49、51、53、54、56、58及び59の15種類の被覆ゴム組成物をそれぞれカーカスプライに用いた15種類の未加硫のケース部を準備し、そのタイヤ半径方向外側に未加硫のトレッド部材を貼着して、15種類の生タイヤを得た。
図4に示すように、ベルト部は4ベルト層からなるものであった。これら15種類の生タイヤを通常の1段階加硫により加硫し、15種類のタイヤを製造した。
得られた上記15種類のタイヤ(タイヤサイズ11R22.5)を用い、上記の方法に従い、低転がり抵抗性及び長時間使用後の耐亀裂性を評価した。評価結果を第8〜9表に示す。
【0067】
【表7】
【0068】
[注]
*41: HAF(N−330)、旭カーボン株式会社製、商品名「旭#70」(窒素吸着比表面積:77m
2/g)
*42: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」
*43: OM Group Inc.製、商品名「マノボンドC225」(登録商標)(コバルト含有率22.5%)
*44: N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーDZ」
*45: テトラベンジルチウラムジスルフィド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーTBZTD」
*46: N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーNS」
*47: 2−メルカプトベンゾチアゾ−ル、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーM−P」
【0069】
【表8】
【0070】
[注]
*48: HAF(N−330)、旭カーボン株式会社製、商品名「旭#70」(窒素吸着比表面積:77m
2/g)
*49: FEF(N−550)、旭カーボン株式会社製、商品名「旭#60」(窒素吸着比表面積:40m
2/g)
*50: GPF(N−660)、旭カーボン株式会社製、商品名「旭#55」(窒素吸着比表面積:26m
2/g)
*51: ISAF(N−220)、旭カーボン株式会社製、商品名「旭#80」(窒素吸着比表面積:115m
2/g)
*52: SRF−LS、東海カーボン株式会社製、商品名「シーストSP」(窒素吸着比表面積:23m
2/g)
*53: 東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールAQ」(BET比表面積220m
2/g)
【0071】
【表9】
[注]
*48〜*50及び*53は、第8表と同じである。
*54: JSR株式会社製、ポリイソプレンゴム(IR)、商品名「IR2200」
【0072】
第2表及び第3表より明らかなように、実施例1〜14の最外ベルト層の被覆ゴム組成物のそれぞれは、比較例1〜20中の対比すべき最外ベルト層の被覆ゴム組成物と比較して、いずれもtanδ及び長時間使用後の耐亀裂性が良好であった。また、得られた実施例1〜14のタイヤはいずれも優れた低転がり性を示した。
また、第5表及び第6表より明らかなように、実施例15〜25の最内ベルト層の被覆ゴム組成物のそれぞれは、比較例21〜40中の対比すべき最内ベルト層の被覆ゴム組成物と比較して、いずれもtanδ及び長時間使用後の耐亀裂性が良好であった。また、得られた、実施例15〜25のタイヤはいずれも優れた低転がり性を示した。
さらに、第8表及び第9表より明らかなように、実施例26〜38のカーカスプライの被覆ゴム組成物のそれぞれは、比較例41〜59中の対比すべきカーカスプライの被覆ゴム組成物と比較して、いずれもtanδ及び長時間使用後の耐亀裂性が良好であった。また、得られた、実施例26〜38のタイヤはいずれも優れた低転がり性を示した。