特許第6101199号(P6101199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6101199解剖学的にフィットする右心サポート用経皮的VAD
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101199
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】解剖学的にフィットする右心サポート用経皮的VAD
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/10 20060101AFI20170313BHJP
   A61F 2/06 20130101ALI20170313BHJP
【FI】
   A61M1/10 100
   A61F2/06
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-512221(P2013-512221)
(86)(22)【出願日】2011年5月25日
(65)【公表番号】特表2013-529961(P2013-529961A)
(43)【公表日】2013年7月25日
(86)【国際出願番号】US2011037984
(87)【国際公開番号】WO2011150116
(87)【国際公開日】20111201
【審査請求日】2014年5月20日
(31)【優先権主張番号】61/396,344
(32)【優先日】2010年5月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510121444
【氏名又は名称】アビオメド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】コルベット スコット シー.
【審査官】 川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0087773(US,A1)
【文献】 特表2002−514472(JP,A)
【文献】 特表2002−515301(JP,A)
【文献】 米国特許第04985014(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/10
A61F 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト心臓の右心室の解剖学的構造によく一致した形状を提供するように構成された形状記憶材料を含むカニューレであって、肺動脈(PA)の近傍に位置するよう構成されたアウトフローポートと下大静脈(IVC)の近傍に位置するインフローポートとを有する、カニューレ
を備える装置であって、
該形状記憶材料によって提供される該形状にあるときに、
該カニューレが、右心房(RA)、三尖弁(TV)、および肺動脈弁(PV)を横切るように構成され、
該カニューレが、
IVCの横隔膜線維輪から該IVCとRAとの移行部(IVC-RA)までの経路に対応する第一のセクション、第一のセクション;
該IVC-RAからTVまでの経路に対応し、第一のセクションから63度±10%の第一の角度で延びる、第二のセクション;
該TVからPVまでの経路に対応し、第二のセクションから-30度±10%の第二の角度で延びる、第三のセクション;および
該PVとPAの左分枝との間の経路に対応し、第三のセクションから-87度±10%の第三の角度で延びる、第四のセクション
を備える、かつ
該第一のセクションが、インフローポートまでわたっており、該インフローポートがIVCの横隔膜線維輪を超えて位置するように構成されている、
装置。
【請求項2】
カニューレが、
ポイントAからポイントBまでわたっており該ポイントAの近傍にインフローポートを有する第一セグメントと;
該ポイントBからポイントCまでわたっている第二セグメントと;
該ポイントCからポイントDまでわたっている第三セグメントと;
該ポイントDからポイントEまでわたっており該ポイントEの近傍にアウトフローポートを有する第四セグメントと
を備える前記装置であって、
該第一、第二、および第三セグメントが、該ポイントA、B、およびCを含有する第一平面内に実質的にあり;
該第四セグメントが、該ポイントC、D、およびEを含有する第二平面内に実質的にあり、該第二平面が該第一平面に対して30度±10%の角度に向けられており;
該第一セグメントが、長さが28 mm±10%であり;
該第二セグメントが、長さが44 mm±10%であり;
該第三セグメントが、長さが48 mm±10%であり;
該第四セグメントが、長さが56 mm±10%であり;
該第二セグメントが、25 mm±10%の曲げ曲率半径で、該第一平面内で該第一セグメントに対し前記第一の角度に向けられており;
該第三セグメントが、45 mm±10%の曲げ曲率半径で、該第一平面内で該第一セグメントに対し前記第二の角度に向けられており;
該第四セグメントが、25 mm±10%の曲げ曲率半径で、該第二平面内で該第三セグメントに対し前記第三の角度に向けられている、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
ポイントEの近傍のポイントにおいて第四セグメントの端から伸びているピッグテール延長部であって、第二平面に対し-30度±10%の角度に向けられている第三平面内に実質的にあるピッグテール延長部
をさらに備える、請求項2記載の装置。
【請求項4】
カニューレが生体適合性材料で形成されている、請求項1、2、または3記載の装置。
【請求項5】
カニューレが、実質的に剛性の材料で形成されている、請求項1〜4のいずれか一項記載の装置。
【請求項6】
カニューレが、少なくとも部分的に可撓性材料で形成されている、請求項1〜4のいずれか一項記載の装置。
【請求項7】
カニューレが、ニチノールの囲みコイルで補強されたポリウレタンチューブを備える、請求項1〜6のいずれか一項記載の装置。
【請求項8】
カニューレを備える経皮的心室補助デバイスを備え、かつ該カニューレの中に位置する少なくとも1つのポンプを備える、請求項1〜7のいずれか一項記載の装置。
【請求項9】
右心房(RA)、三尖弁(TV)、および肺動脈弁(PV)を横切るように構成される形状を提供するように構成された形状記憶材料を含む、カニューレを形成する段階であって、
該カニューレが、
肺動脈(PA)の近傍に位置するよう構成されたアウトフローポートと下大静脈(IVC)の近傍に位置するインフローポートとを含み、かつ
該形状が、
IVCの横隔膜線維輪から該IVCとRAとの移行部(IVC-RA)までの経路に対応する第一のセクション;
該IVC-RAからTVまでの経路に対応し、該第一のセクションから63度±10%の第一の角度で延びる、第二のセクション;
該TVからPVまでの経路に対応し、該第二のセクションから-30度±10%の第二の角度で延びる、第三のセクション;および
該PVとPAの左分枝との間の経路に対応し、該第三のセクションから-87度±10%の第三の角度で延びる、第四のセクション
含み、該第一のセクションが、インフローポートまでわたっており、該インフローポートがIVCの該横隔膜線維輪を超えて位置するように構成されている
段階
を含む、方法。
【請求項10】
複数のヒト被験者の各々の右心室の解剖学的構造に対応する医用画像データを受け取る段階;
複数の解剖学的目印の位置を示す目印情報を決定するために、該医用画像データを処理する段階
該目印情報に基づいてカニューレ設計を生成する段階であって、
該カニューレ設計が、
肺動脈(PA)の近傍に位置するよう構成されたアウトフローポート;
下大静脈(IVC)の近傍に位置するインフローポートインフローポート;
IVCの横隔膜線維輪から該IVCとRAとの移行部(IVC-RA)までの経路に対応する第一のセクション;
該IVC-RAからTVまでの経路に対応し、第一のセクションから63度±10%の第一の角度で延びる、第二のセクション;
該TVからPVまでの経路に対応し、第二のセクションから-30度±10%の第二の角度で延びる、第三のセクション;および
該PVとPAの左分枝との間の経路に対応し、第三のセクションから-87度±10%第三の角度で延びる、第四のセクション
を備え、かつ
該第一のセクションが、インフローポートまでわたっており、該インフローポートがIVCの横隔膜線維輪を超えて位置するように構成されている、
前記カニューレ設計を生成する段階;および
該カニューレ設計に基づく形状を提供するように構成された形状記憶材料を含むカニューレを製作する段階
を含む方法。
【請求項11】
目印情報を決定するために医用画像データを処理する段階が、
複数のヒト被験者の各々について、IVC、RA、TV、PV、およびPAの位置を示す情報を生成する段階
を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
IVC、RA、TV、PV、およびPAの位置を示す情報が、
該IVCと該RAとの間の長さおよび角度;
該RAと該TVとの間の長さおよび角度:
該TVと該PVとの間の長さおよび角度;ならびに
該PVと該PAとの間の長さおよび角度
を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記第四のセクションから延びる水力的には延長しない延長部を含む、請求項1または2記載の装置。
【請求項14】
前記カニューレが、前記第四のセクションから延びる水力的には延長しない延長部を含む、請求項9記載の方法。
【請求項15】
前記カニューレ設計が、前記第四のセクションから延びる水力的には延長しない延長部を含む、請求項11〜13の何れか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2010年5月26日に提出された米国特許仮出願第61/396,344号の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
本開示は、概して、心室補助デバイスの分野に関する。心室補助デバイスすなわちVADは、不全をきたした心臓の機能を部分的または完全に置換するために用いられる機械的な循環用デバイスである。一部のVADは、典型的には心臓発作または心臓手術から回復中の患者用として、短期的な使用が意図されており、一方、他のVADは、典型的にはうっ血性心不全をきたした患者用として、長期的な使用(数ヶ月〜数年、場合によっては生涯)が意図されている。
【0003】
VADは、右心室(RVAD)もしくは左心室(LVAD)のいずれか、または一度に両方(BiVAD)を補助するように設計されている。これらの種類のどれが用いられるかは、主として、根底にある心疾患と、右心室の負荷を決定する肺動脈抵抗とに依存する。いくつかの用途では、右心をサポートする経皮的RVADが、肺動脈弁の向こう側まで血液を駆出する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
概要
本発明者らは、患者の大多数の解剖学的構造によく一致しかつ例えばRVADなどのVADデバイスでの使用に好適であるカニューレが提供されてもよいことを理解している。例えば、1つまたは複数の解剖学的目印の位置を決定するなどのため、1名または複数名の被験者の心臓の医用画像(例えばCTスキャンなど)を解析してもよい。この解析を用いて、ほとんどの患者の解剖学的構造に一致したカニューレ形状設計(例えば本明細書に説明する種類のものなど)を生成してもよい。
【0005】
第一の局面において、ヒト心臓の右心室の解剖学的構造によく一致した形状を有するカニューレを含む装置が開示される。いくつかの態様において、カニューレは、肺動脈(PA)の近傍に位置するよう構成されたアウトフローポートと、下大静脈(IVC)の近傍に位置するインフローポートとを有する。いくつかの態様において、カニューレは、右心房(RA)、三尖弁(TV)、および肺動脈弁(PV)を横切るように構成される。
【0006】
いくつかの態様において、カニューレは以下を含む:IVCの横隔膜線維輪からIVCとRAとの移行部(IVC-RA)までの経路に対応する第一のセクション;IVC-RAからTVまでの経路に対応する第二のセクション;TVからPVまでの経路に対応する第三のセクション;および、PVと肺動脈の左分枝との間の経路に対応する第四のセクション。いくつかの態様において、第一のセクションはインフローポートまでわたっており、インフローポートはIVCの横隔膜線維輪を超えて位置するように構成されている。
【0007】
いくつかの態様において、カニューレは以下を含む:ポイントAからポイントBまでわたっておりポイントAの近傍にインフローポートを有する第一セグメント;ポイントBからポイントCまでわたっている第二セグメント;ポイントCからポイントDまでわたっている第三セグメント;および、ポイントDからポイントEまでわたっておりポイントEの近傍にアウトフローポートを有する第四セグメント。いくつかの態様において、第一、第二、および第三セグメントは、ポイントA、B、およびCを含有する第一平面内に実質的にある。いくつかの態様において、第四セグメントは、ポイントC、D、およびEを含有する第二平面内に実質的にあり、第二平面は、第一平面に対して約30度の角度に向けられている。いくつかの態様において、第一セグメントは長さが約28 mmである。いくつかの態様において、第二セグメントは長さが約44 mmである。いくつかの態様において、第三セグメントは長さが約48 mmである。いくつかの態様において、第四セグメントは長さが約56 mmである。いくつかの態様において、第二セグメントは、約25 mmの曲げ曲率半径で、第一平面内で第一セグメントに対し約63度の角度に向けられている。いくつかの態様において、第三セグメントは、約45 mmの曲げ曲率半径で、第一平面内で第一セグメントに対し約-30度の角度に向けられている。いくつかの態様において、第四セグメントは、約25 mmの曲げ曲率半径で、第二平面内で第三セグメントに対し約-87度の角度に向けられている。
【0008】
いくつかの態様は、ポイントEの近傍のポイントにおいて第四セグメントの端から伸びているピッグテール延長部を含み、ピッグテール延長部は、第二平面に対し約-30度の角度に向けられている第三平面内に実質的にある。
【0009】
いくつかの態様において、カニューレは、生体適合性材料で形成される。
【0010】
いくつかの態様において、カニューレは、実質的に剛性の材料で形成される。
【0011】
いくつかの態様において、カニューレは、少なくとも部分的に可撓性である材料で形成される。
【0012】
いくつかの態様において、カニューレは、ニチノールの囲みコイルで補強されたポリウレタンチューブを含む。
【0013】
いくつかの態様は、カニューレを含み、かつカニューレの中に位置する少なくとも1つのポンプを含む、経皮的心室補助デバイスを有する。
【0014】
いくつかの態様において、カニューレは、ヒト成人母集団の少なくとも80%、ヒト成人母集団の少なくとも90%、ヒト成人母集団の少なくとも95%、またはそれ以上の解剖学的構造によく一致した形状を有する。
【0015】
別の局面において、上述の種類のカニューレを形成する段階を含む方法が開示される。
【0016】
別の局面において、上述のような装置をヒト心臓に移植する段階を含む方法が開示される。
【0017】
別の局面において、方法は以下の段階を含む:複数のヒト被験者の各々の右心室の解剖学的構造に対応する医用画像データを受け取る段階;複数の解剖学的目印の位置を示す目印情報を決定するために、医用画像データを処理する段階;および、目印情報に基づいてカニューレ設計を生成する段階。いくつかの態様は、カニューレ設計に基づいてカニューレを作製する段階を含む。
【0018】
いくつかの態様において、目印情報を決定するために医用画像データを処理する段階は、複数のヒト被験者の各々について、IVC、RA、TV、PV、およびPAの位置を示す情報を生成する段階を含む。
【0019】
いくつかの態様において、IVC、RA、TV、PV、およびPAの位置を示す情報は、以下を含む:IVCとRAとの間の長さおよび角度;RAとTVとの間の長さおよび角度;TVとPVとの間の長さおよび角度;ならびに、PVとPAとの間の長さおよび角度。
【0020】
いくつかの態様において、カニューレを作製する段階は、ヒト心臓の右心室の解剖学的構造によく一致した形状を有するカニューレであって、PAの近傍に位置するよう構成されたアウトフローポートとIVCの近傍に位置するインフローポートとを有するカニューレを作製する段階を含む。
【0021】
いくつかの態様において、カニューレは、右心房(RA)、三尖弁(TV)、および肺動脈弁(PV)を横切るように構成される。
【0022】
いくつかの態様において、カニューレは以下を含む:IVCの横隔膜線維輪からIVCとRAとの移行部(IVC-RA)までの経路に対応する第一のセクション;IVC-RAからTVまでの経路に対応する第二のセクション;TVからPVまでの経路に対応する第三のセクション;および、PVと肺動脈の左分枝との間の経路に対応する第四のセクション。
【0023】
いくつかの態様において、カニューレは、ヒト成人母集団の少なくとも80%、85%、90%、95%、またはそれ以上の解剖学的構造によく一致した形状を有する。
【0024】
別の局面において、上述の方法のいずれかを用いて作製されたカニューレを含む製品が開示される。
【0025】
本明細書に説明する本発明の局面および態様の各々は、単独で用いられてもよく、または互いに組み合わせて用いられてもよい。
【0026】
次に、添付の図面を参照しながら局面および態様を説明する。
[本発明1001]
ヒト心臓の右心室の解剖学的構造によく一致した形状を有するカニューレであって、肺動脈(PA)の近傍に位置するよう構成されたアウトフローポートと下大静脈(IVC)の近傍に位置するインフローポートとを有する、カニューレ
を備える装置。
[本発明1002]
カニューレが、右心房(RA)、三尖弁(TV)、および肺動脈弁(PV)を横切るように構成されている、本発明1001の装置。
[本発明1003]
カニューレが、
IVCの横隔膜線維輪から該IVCとRAとの移行部(IVC-RA)までの経路に対応する第一のセクション;
該IVC-RAからTVまでの経路に対応する第二のセクション;
該TVからPVまでの経路に対応する第三のセクション;および
該PVとPAの左分枝との間の経路に対応する第四のセクション
を備える、本発明1002の装置。
[本発明1004]
第一のセクションがインフローポートまでわたっており、該インフローポートがIVCの横隔膜線維輪を超えて位置するように構成されている、本発明1003の装置。
[本発明1005]
カニューレが、
ポイントAからポイントBまでわたっており該ポイントAの近傍にインフローポートを有する第一セグメントと;
該ポイントBからポイントCまでわたっている第二セグメントと;
該ポイントCからポイントDまでわたっている第三セグメントと;
該ポイントDからポイントEまでわたっており該ポイントEの近傍にアウトフローポートを有する第四セグメントと
を備える前記装置であって、
該第一、第二、および第三セグメントが、該ポイントA、B、およびCを含有する第一平面内に実質的にあり;
該第四セグメントが、該ポイントC、D、およびEを含有する第二平面内に実質的にあり、該第二平面が該第一平面に対して約30度の角度に向けられており;
該第一セグメントが、長さが約28 mmであり;
該第二セグメントが、長さが約44 mmであり;
該第三セグメントが、長さが約48 mmであり;
該第四セグメントが、長さが約56 mmであり;
該第二セグメントが、約25 mmの曲げ曲率半径で、該第一平面内で該第一セグメントに対し約63度の角度に向けられており;
該第三セグメントが、約45 mmの曲げ曲率半径で、該第一平面内で該第一セグメントに対し約-30度の角度に向けられており;
該第四セグメントが、約25 mmの曲げ曲率半径で、該第二平面内で該第三セグメントに対し約-87度の角度に向けられている、
前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1006]
ポイントEの近傍のポイントにおいて第四セグメントの端から伸びているピッグテール延長部であって、第二平面に対し約-30度の角度に向けられている第三平面内に実質的にあるピッグテール延長部
をさらに備える、本発明1005の装置。
[本発明1007]
カニューレが生体適合性材料で形成されている、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1008]
カニューレが、実質的に剛性の材料で形成されている、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1009]
カニューレが、少なくとも部分的に可撓性であり実質的に剛性の材料で形成されている、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1010]
カニューレが、ニチノールの囲みコイルで補強されたポリウレタンチューブを備える、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1011]
カニューレを備える経皮的心室補助デバイスを備え、かつ該カニューレの中に位置する少なくとも1つのポンプを備える、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1012]
カニューレが、ヒト成人母集団の少なくとも80%の解剖学的構造によく一致した形状を有する、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1013]
カニューレが、ヒト成人母集団の少なくとも90%の解剖学的構造によく一致した形状を有する、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1014]
カニューレが、ヒト成人母集団の少なくとも95%の解剖学的構造によく一致した形状を有する、前記本発明のいずれかの装置。
[本発明1015]
前記本発明のいずれかのカニューレを形成する段階
を含む、方法。
[本発明1016]
本発明1001〜1014のいずれかの装置をヒト心臓に移植する段階
を含む、方法。
[本発明1017]
複数のヒト被験者の各々の右心室の解剖学的構造に対応する医用画像データを受け取る段階;
複数の解剖学的目印の位置を示す目印情報を決定するために、該医用画像データを処理する段階;および
該目印情報に基づいてカニューレ設計を生成する段階
を含む方法。
[本発明1018]
カニューレ設計に基づいてカニューレを作製する段階をさらに含む、本発明1017の方法。
[本発明1019]
目印情報を決定するために医用画像データを処理する段階が、
複数のヒト被験者の各々について、IVC、RA、TV、PV、およびPAの位置を示す情報を生成する段階
を含む、本発明1017または1018の方法。
[本発明1020]
IVC、RA、TV、PV、およびPAの位置を示す情報が、
該IVCと該RAとの間の長さおよび角度;
該RAと該TVとの間の長さおよび角度:
該TVと該PVとの間の長さおよび角度;ならびに
該PVと該PAとの間の長さおよび角度
を含む、本発明1019の方法。
[本発明1021]
カニューレを作製する段階が、ヒト心臓の右心室の解剖学的構造によく一致した形状を有するカニューレであってPAの近傍に位置するよう構成されたアウトフローポートとIVCの近傍に位置するインフローポートとを有するカニューレを作製する段階を含む、
本発明1018〜1020のいずれかの方法。
[本発明1022]
カニューレが、右心房(RA)、三尖弁(TV)、および肺動脈弁(PV)を横切るように構成される、本発明1021の方法。
[本発明1023]
カニューレが、
IVCの横隔膜線維輪から該IVCとRAとの移行部(IVC-RA)までの経路に対応する第一のセクション;
該IVC-RAからTVまでの経路に対応する第二のセクション;
該TVからPVまでの経路に対応する第三のセクション;および
該PVと肺動脈の左分枝との間の経路に対応する第四のセクション
を備える、本発明1022の方法。
[本発明1024]
カニューレが、ヒト成人母集団の少なくとも90%の解剖学的構造によく一致した形状を有する、本発明1017〜1023のいずれかの方法。
[本発明1025]
本発明1018〜1024のいずれかの方法を用いて作製されたカニューレ
を備える製品。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】心臓の右心室に位置する経皮的VADを示した図である。
図2図2A〜2Eはそれぞれ、広範な被験者の右心室の解剖学的構造によく一致した形状を有するカニューレの異なる斜視図を示している。各図について、デカルト座標(x,y,z)のキーが、見る方向を示している。
図3】カニューレの設計パラメータの概要を示した表である。
図4】カニューレを設計する過程を示した図である。
図5】解剖学的目印の場所を決定した右心室カニューレフィット研究の結果を示している。
図6】複数の被験者の各々における解剖学的目印間の特徴的な長さを、その被験者の体表面積の関数として示したプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
好ましい態様の詳細な説明
図1を参照すると、急性右心不全を処置するためのカテーテル式経皮的VAD 100が示されている。図に示されているように、デバイスのインフロー101は下大静脈(IVC)内に存在し、可撓性のカニューレ105が右心房(RA)、三尖弁(TV)、および肺動脈弁(PV)を横切っており、そしてデバイスのアウトフロー102は肺動脈(PA)内に存在する。カニューレは駆動システムおよびポンプを収容していてもよく、これは例えば、Danvers, MAのAbiomed, IncからImpellaの商品名で入手可能であるVADに用いられている種類のものなどであってもよい。いくつかの態様において、本発明のデバイスは、最大4 L/分またはそれ以上のフローおよび最大2週間またはそれ以上のサポートを提供する。
【0029】
カニューレ105の形状は、ヒト心臓の右心室の解剖学的構造によく一致している。例えば、以下により詳しく説明するように、カニューレの形状は、例えば被験者の医用画像(例えばCTまたはMRIのスキャン画像など)のライブラリを用いるなどして、被験者母集団のフィット研究に基づいていてもよい。いくつかの態様において、カニューレは、母集団(例えば、ヒト成人母集団、ヒト成人男性母集団、ヒト成人女性母集団、所与の年齢範囲のヒト母集団など)の少なくとも80%、85%、90%、95%、またはそれ以上の解剖学的構造によくフィットする。
【0030】
図2A〜2EはRVADカニューレ105の1つの態様のいくつかの斜視図を示している。図2Aに示されているように、カニューレは、インフローポート101とアウトフローポート102との間にわたっており、そして、それぞれ1、2、3、および4と標識付けされた第一、第二、第三、および第四のセクションを含む。
【0031】
インフローポート101から始めると、カニューレ105は、ポイントAとポイントBとの間にわたっており実質的にまっすぐである28 mmの第一のセクション1を含む。次にカニューレ105は、ポイントBからポイントCまでわたっている第二のセクション2を含む。第二のセクション2は長さが44 mmである。第一のセクション1と第二のセクション2との間で形成される角度は63度で、曲率半径は25 mmである(図2Bを参照)。
【0032】
第二のセクション2の次には、ポイントCからポイントDまでわたっている第三のセクション3が続く。第三のセクションは長さが48 mmである。第二のセクションと第三のセクションとの間で形成される角度は-30度で、曲率半径は45 mmである(図2Cを参照)。第三のセクション3の次には、ポイントDからポイントEまでわたっている第四のセクション4が続く。第四のセクションは長さが56 mmである。ポイントC-D-Eにより規定される平面内において第三のセクションと第四のセクションとの間で形成される角度は-87度で、曲率半径は25 mmである(図2Cを参照)。
【0033】
ポイントEは、ポイントA-B-Cにより規定される平面の外にあることに注意されたい。図2Dに示されているように、ポイントA-B-Cにより規定される平面は、ポイントC-D-Eにより規定される平面に対して33度の角度に向けられている。
【0034】
いくつかの態様において、カニューレ13を機械的に延長するが水力的には延長しない(例えば柔らかい弾性材料などによる)延長部107が、カニューレ105のインプットポート101に隣接している。いくつかの態様において、体組織上での外傷的サポートを可能にするため、この延長部107にピッグテール先端109が提供されている。図2Eに示されているように、ピッグテール先端109は、ポイントC-D-Eにより規定される平面から、例えば-30度などの角度に向けられていてもよい。
【0035】
図3は、図2A〜2Eに示されているRVADカニューレの態様の、上述の寸法をまとめた表である。種々の態様において、長さ、半径、および/または角度の寸法は、以下に提示する値から、0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、10%など未満の分だけ異なっていてもよい。
【0036】
種々の態様において、カニューレ105は、内径が5〜10 mmの範囲内、例えば6 mmなどであり、外径が5〜10 mm、例えば7 mmなどである。いくつかの態様において、他の好適な寸法が用いられてもよい。カニューレは任意の好適な生体適合性材料で構築されていてもよい。材料は実質的に剛性であってもよく、または少なくとも部分的に可撓性であってもよい。1つの態様において、カニューレは、ニチノール(または他の好適な材料、例えば形状記憶を特徴とする材料など)のコイルで補強されたポリウレタンチューブで構築される。いくつかの態様において、ポリウレタン材料は、ドイツLeverkusenのBayer MaterialScience AGから入手可能である、Desmopan 355の商品名をもつ材料を含んでいてもよい。
【0037】
カニューレ105は、例えば成形、射出成形など、当技術分野において公知である任意の技法を用いて作製されてもよい。
【0038】
上述のように、カニューレ105は、右心室の解剖学的構造によく一致するように設計される。いくつかの態様において、カニューレの各セクションは、さまざまな解剖学的目印の予想される場所(例えば、解剖学的フィット研究を用いて見出されたこれら目印の平均的な場所に基づいて決定されたものなど)の間にわたるように設計される。例えば、上述の態様において、第一のセクション1は、IVCの横隔膜線維輪からIVCとRAとの移行部(IVC-RA)までの経路に対応する。第二のセクション2はIVC-RAからTVまでの経路に対応する。第三のセクション3はTVからPVまでの経路に対応する。第四のセクション4はPVとPAの左分枝との間の経路に対応する。図に示されているように、第一のセクション1の長さは、インフローポート101が横隔膜線維輪を超えて位置するように選択される。図に示されているように、第四のセクション4の長さは、アウトフローポート102が左PAの二又分岐部に位置し、延長部107が左PA内に存在するように選択される。
【0039】
理解されるべき点として、他の態様において、好適に選択された他の任意の目印が用いられてもよい。カニューレ形状が広範な患者の解剖学的構造に合うようにするには、患者ごとのばらつきが小さくかつ患者のサイズに強く依存しない(例えば患者の体表面積(BSA)によって決定されるなど)ような相対的な場所をもつ一群の目印を選択することが有利である。以下により詳しく説明するように、上述の目印は、これらの基準を両方とも満たしている。
【0040】
種々の態様において、RVADデバイス100は、1つまたは複数のポンプおよびポンプモーター駆動部(図には示していない)を封入した前述のカニューレ105を含む。当技術分野において公知である任意の好適なポンプおよび/または駆動部が用いられてもよい。いくつかの態様において、カニューレは、BiVADデバイスの構成要素であってもよい。
【0041】
いくつかの態様において、RVADは有利に小さく、血液に接触する表面積が例えば100 cm2 以下、75 cm2 以下、50 cm2 以下、25 cm2 以下、10 cm2 以下など(例えば10〜100 cm2 の範囲内など)のように小さい。
【0042】
いくつかの態様において、カニューレは、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2007年3月22日に提出された米国特許公開公報第20070066943号「Cannula Systems and Methods of Use」に説明されている種類のものなど、カテーテル式の技法を用いて心室に導入されてもよい。
【0043】
図4は、本明細書に説明する種類のカニューレを設計しそして作るための過程400を示している。段階401において、医用画像データ(例えば、一群の患者の心臓の3D CTまたはMRIスキャンなど)が(例えばデータベースなどから)受け取りまたは取得される。
【0044】
段階402において、一群の解剖学的目印が選択される(例えば、図2A〜2Eを参照しながら上述した目印など)。カニューレ形状が広範な患者の解剖学的構造に合うようにするには、患者ごとのばらつきが少なくかつ患者のサイズに強く依存しない(例えば患者の体表面積(BSA)によって決定されるなど)ような相対的な場所をもつ一群の目印を選択することが有利である。
【0045】
段階403において、解剖学的目印を位置出ししかつそれらの相対的(および/または絶対的)位置に関する情報を決定するため、画像データが解析される。目印は、(当技術分野において公知である任意の画像処理またはマシンビジョン技法を用いて)自動的に同定されてもよく、(例えば、検討のため医師に画像を提示するなどして)手動で同定されてもよく、またはそれらの組み合わせにより同定されてもよい。患者のサンプル母集団について目印の平均的な位置を決定してもよい。
【0046】
段階404において、段階404で行われた解析に基づいてカニューレ設計が生成される。例えば、広範な患者の心臓の解剖学的構造によく一致したカニューレ設計を提供するため、患者のサンプル母集団における目印の平均的な位置に基づいて、カニューレのさまざまなセクションのサイズおよび/または向きが決定されてもよい。カニューレ設計は、(例えば、パラメータのリストを含有するデータファイル、コンピュータ支援設計(CAD)ファイルなどとして)出力されてもよい。
【0047】
段階405において、段階404で生成されたカニューレ設計に基づいてカニューレが作られる。上述のように、カニューレは、当技術分野において公知である任意の公的な技法を用いて作製されてもよい。
【実施例】
【0048】
実施例−RVADカニューレ設計
以下に、カニューレ設計の1つの非限定的な実施例を提示する。
【0049】
BSAが1.5〜2.6 m2である患者の心臓の代表的な3D CTスキャン19件を用い、本明細書に説明する技法を用いてカニューレの幾何形状を最適化した。IVC、RA、TV、PV、およびPA間の長さおよび角度を、Mimicsソフトウェア(Materialise NV, Belgiumより入手可能)を用いて測定した。
【0050】
この研究の結果を図5にまとめた。長さおよび角度の標準偏差は6.3 mmおよび11.4度で、患者ごとのばらつきが小さいことが示された。さらに、図6に示されているように、BSA(体表面積)との相関は見出されなかった。図2A〜2Eおよび図3を参照しながら詳しく上述したように、平面内にないというTVの性質について考慮がなされ、一方、PAのL二又分岐部にデバイスのアウトフローを置くことにより3Dカニューレ構成が得られた。
【0051】
最適化されたこのカニューレ設計は、剛性のカニューレを想定すれば患者の95%またはそれ以上にフィットし、カニューレの可撓性を見込めば患者の100%にもフィットすることが見出された。死体による追加のフィット研究も行われ、これによりコンピュータモデリングの妥当性が確認された。
【0052】
ヒト成人心臓の右心室で使用するためのデバイスについて、いくつかの具体的な実施例を示したが、理解されるべき点として、本明細書に説明するデバイスおよび技法は、他の解剖学的部位(例えば左心室など)および/または例えばヒトでない動物被験体など他の種類の被験体にも拡張されうる。
【0053】
以上、さまざまな発明態様を本明細書に説明および提示したが、本明細書に説明する機能を行うため、ならびに/または、本明細書に説明する結果および/もしくは本明細書に説明する利点のうち1つまたは複数を得るための、他のさまざまな手段および/または構造を当業者は容易に想定できるものと考えられ、そのようなバリエーションおよび/または改変の各々は、本明細書に説明する発明態様の範囲内に入るものとみなされる。より一般的には、本明細書に説明するすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成は例示的なものであると意図されていること、ならびに、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は本発明の教示が用いられる具体的な用途によって異なりうることを、当業者は容易に理解できるであろう。当業者は、本明細書に説明する具体的な発明態様に対する多くの同等物を、認識するか、または日常的な実験法のみを用いて確認できるであろう。したがって、以上の態様は例示としてのみ提示されていること、ならびに、具体的に説明および特許請求されている以外の発明態様も、添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内において実施されうることが理解されるべきである。
【0054】
本開示の発明態様は、本明細書に説明する個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象としている。加えて、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の2つ以上の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が互いに矛盾するのでなければ、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0055】
上述の態様は任意の多数の様式で実施されうる。例えば、ハードウェア、ソフトウェア、またはその組み合わせを用いて態様が実施されてもよい。ソフトウェアで実施される場合、ソフトウェアコードは任意の好適なプロセッサまたはプロセッサの集合において実行されてもよく、これは単一のコンピュータで提供されていてもまたは複数のコンピュータに分散されていてもよい。
【0056】
さらに、理解されるべき点として、コンピュータは、ラックマウント式コンピュータ、デスクトップ式コンピュータ、ラップトップ式コンピュータ、またはタブレット式コンピュータなど、複数の形態のうち任意のもので具現化されていてもよい。加えて、コンピュータは、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、または他の任意の好適な可搬式もしくは固定式の電子デバイスなど、一般にコンピュータとはみなされていないが好適な処理能力を備えたデバイスに組み込まれていてもよい。
【0057】
コンピュータはまた、1つまたは複数の入力デバイスおよび出力デバイスをもっていてもよい。これらのデバイスを用いて、ほかにもあるが特に、ユーザーインターフェースを提示してもよい。ユーザーインターフェースを提供するために用いられうる出力デバイスの例としては、出力を視覚的に提示するためのプリンタまたは表示画面、および、出力を聴覚的に提示するためのスピーカまたは他の音響生成デバイスなどがある。ユーザーインターフェースのために用いられうる入力デバイスの例としては、キーボード、ならびに、マウス、タッチパッド、およびデジタル化タブレットなどのポインティングデバイスなどがある。別の例として、コンピュータは、音声認識または他の聴覚的フォーマットによって入力情報を受け取ってもよい。
【0058】
そのようなコンピュータは、1つまたは複数のネットワークによって任意の好適な形式で相互接続されていてもよく、そのようなネットワークとしては、ローカルエリアネットワーク、または、企業ネットワーク、インテリジェントネットワーク(IN)、もしくはインターネットなどのワイドエリアネットワークなどがある。そのようなネットワークは、任意の好適な技術に基づいていてもよく、任意の好適なプロトコルに従って動作してもよく、かつ、ワイヤレスネットワーク、ワイヤードネットワーク、または光ファイバーネットワークを含んでいてもよい。
【0059】
本明細書に説明する機能性の少なくとも一部を実施するために利用されるコンピュータは、メモリ、1つまたは複数の演算処理ユニット(本明細書において単に「プロセッサ」ともいう)、1つまたは複数の通信インターフェース、1つまたは複数の表示ユニット、および、1つまたは複数のユーザー入力デバイスを備えていてもよい。メモリは任意のコンピュータ可読媒体を備えていてもよく、かつ、本明細書に説明するさまざまな機能性を実施するためのコンピュータ命令(本明細書において「プロセッサ実行可能な命令」ともいう)を保存してもよい。演算処理ユニットは命令を実行するために用いられてもよい。通信インターフェースは、ワイヤードネットワーク、ワイヤレスネットワーク、バス、または他の通信手段に連結されていてもよく、かつこれにより、コンピュータが他のデバイスに通信を送ることおよび/または他のデバイスから通信を受け取ることを可能にしてもよい。表示ユニットは、例えば、命令の実行との関連においてユーザーがさまざまな情報を見ることを可能にするなどのために提供されてもよい。ユーザー入力デバイスは、例えば、ユーザーが手動調整を行うこと、選択すること、データもしくは他のさまざまな情報を入力すること、および/または命令の実行中に任意のさまざまな様式でプロセッサと対話することを可能にするなどのために提供されてもよい。
【0060】
本明細書に概説するさまざまな方法または処理は、さまざまなオペレーティングシステムまたはプラットフォームのうち任意の1つを利用する1つまたは複数のプロセッサで実行できるソフトウェアとしてコード化されていてもよい。加えて、そのようなソフトウェアは、複数の好適なプログラミング言語および/またはプログラミング用もしくはスクリプト用ツールのうち任意のものを用いて書かれてもよく、かつまた、フレームワークまたは仮想マシンで実行される実行可能な機械語コードまたは中間コードとしてコンパイルされてもよい。
【0061】
この点において、本発明のさまざまな概念は、1つまたは複数のコンピュータまたは他のプロセッサで実行されたときに上述の本発明のさまざまな態様を実施する方法を行う1つまたは複数のプログラムが書き込まれたコンピュータ可読式記憶媒体(または複数のコンピュータ可読式記憶媒体)(例えば、コンピュータメモリ、1つまたは複数のフロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、Field Programmable Gate Arrayもしくは他の半導体デバイス内の回路構成、または、他の非一時的な媒体もしくは有形のコンピュータ記憶媒体など)として実施されてもよい。コンピュータ可読媒体は、そこに保存された1つまたは複数のプログラムが1つまたは複数の異なるコンピュータまたは他のプロセッサにロードされて上述の本発明のさまざまな局面が実施されうるよう、可搬性であってもよい。
【0062】
本明細書において「プログラム(program)」または「ソフトウェア(software)」という用語は総称的な意味で用いられ、上述の態様のさまざまな局面を実施するようコンピュータまたは他のプロセッサをプログラムするために利用されてもよい任意の種類のコンピュータコードまたはコンピュータ実行可能命令のセットを指す。加えて、理解されるべき点として、1つの局面において、実行されたときに本発明の方法を行う1つまたは複数のコンピュータプログラムは、本発明のさまざまな局面を実施するうえで、単一のコンピュータまたはプロセッサ上に存在していなくてもよく、複数の異なるコンピュータまたはプロセッサの間にモジュール様式で分散していてもよい。
【0063】
コンピュータ実行可能命令は、1つまたは複数のコンピュータまたは他のデバイスにより実行される多数の形式であってもよく、例えばプログラムモジュールなどであってもよい。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを行うかまたは特定の抽象データ型を実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。典型的に、プログラムモジュールの機能性は、さまざまな態様において所望により組み合わせられるかまたは分散されてもよい。
【0064】
加えて、データ構造も、任意の好適な形式でコンピュータ可読媒体に保存されてもよい。説明を単純にするため、データ構造は、データ構造内の場所を介して関連付けされるフィールドをもつように示されてもよい。そのような関連性もまた同様に、フィールド間の関連性を伝えるコンピュータ可読媒体内の場所を伴う保存領域をフィールドに割り当てることによって実現されてもよい。しかし、データ構造のフィールドにおいて情報間の関連性を確立するため任意の好適なメカニズムが用いられてもよく、これには、ポインタ、タグ、またはデータ要素間の関連性を確立する他のメカニズムの使用を介したものも含まれる。
【0065】
加えて、本発明のさまざまな概念は1つまたは複数の方法として具現化されてもよく、その1例はすでに提供したとおりである。本発明の方法の一部として行われる行為は任意の好適な様式で順序立てされてもよい。したがって、提示したのと異なる順序で行為が行われるように態様が構築されてもよく、これには、実例的態様において順次的な行為として示されているものであっても、いくつかの行為を同時に行うことも含まれうる。
【0066】
本明細書において定義および使用されるすべての定義は、その支配において、辞書の定義、参照により組み入れられる文書における定義、および/または定義される用語の通常の意味を上回ると理解されるべきである。
【0067】
本明細書および特許請求の範囲において使用される不定冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、そうでないことが明示されているのでない限り、「少なくとも1つの(at least one)」を意味するものと理解されるべきである。
【0068】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「および(ならびに)/または(もしくは)(and/or)」という句は、等位接続された要素の「いずれかまたは両方(either or both)」、すなわち、一部の場合において接続的に存在し他の場合において離接的に存在する要素を意味するものと理解されるべきである。「および/または」を伴って列挙される複数の要素も同じ様式で解釈されるべきであり、すなわち、等位接続された要素のうち「1つまたは複数(one or more)」と解釈されるべきである。「および/または」の節によって具体的に特定された要素以外に、任意で他の要素が存在していてもよく、それは具体的に特定された要素と関連していてもまたは関連していなくてもよい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB(A and/or B)」への参照は、「含む、備える(comprising)」などのオープンエンド語句との関連において用いられた場合、1つの態様においてAのみを参照し(任意でB以外の要素を含む);別の態様においてBのみを参照し(任意でA以外の要素を含む);さらに別の態様においてAおよびBの両方を参照する(任意で他の要素を含む);などの可能性がある。
【0069】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「または(もしくは)(or)」は、上記に定義した「および/または」と同じ意味をもつものと理解されるべきである。例えば、列挙内の項目を分けるとき、「または」または「および/または」は包含的であると解釈されるべきであり、すなわち、複数または列挙の要素のうち少なくとも1つを含むが、1つより多くもまた含み、そして列挙されていない追加の項目も任意で含むと解釈されるべきである。そうでないことを明示している用語、例えば「〜のうち1つのみ(only one of)」もしくは「〜のうち厳密に1つ(exactly one of)」、または特許請求の範囲において用いられる場合の「〜からなる(consisting of)」などのみが、複数または列挙の要素のうち厳密に1つの要素を含むことを参照する。概して、本明細書において用いられる「または」という用語は、「いずれか(either)」、「〜のうち1つ(one of)」、「〜のうち1つのみ」、または「〜のうち厳密に1つ」など、排他性の用語が先行している場合にのみ、排他的な二者択一(すなわち「1つまたは他方であるが両方ではない(one or the other but not both)」)を示すものとして解釈されるべきである。特許請求の範囲において用いられる場合の「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」は、特許法の分野において用いられる通常の意味をもつ。
【0070】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「少なくとも1つの(at least one)」という句は、1つまたは複数の要素の列挙への参照において、要素の列挙内の任意の1つまたは複数の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素の列挙内に具体的に列挙されている各々の要素のうち少なくとも1つを必ずしも含んでいる必要はなく、かつ、要素の列挙内の要素の任意の組み合わせを排除しないと理解されるべきである。この定義はまた、「少なくとも1つの」という句が参照する要素の列挙内で具体的に特定された要素以外に、任意で要素が存在していてもよく、それは具体的に特定された要素と関連していてもまたは関連していなくてもよいことを許容する。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうち少なくとも1つ(at least one of A and B)」(または等価的に「AまたはBのうち少なくとも1つ(at least one of A or B)」、または等価的に「Aおよび/またはBのうち少なくとも1つ(at least one of A and/or B)」)は、1つの態様において、少なくとも1つであり任意で1つより多くを含むAであって、Bが存在しないこと(そして任意でB以外の要素を含むこと)を参照し;別の態様において、少なくとも1つであり任意で1つより多くを含むBであって、Aが存在しないこと(そして任意でA以外の要素を含むこと)を参照し;さらに別の態様において、少なくとも1つであり任意で1つより多くを含むA、および、少なくとも1つであり任意で1つより多くを含むB(そして任意で他の要素を含むこと)を参照する;などの可能性がある。
【0071】
以上の本明細書と同様に、特許請求の範囲において、「含む、備える(comprising)」、「含む(including)」、「帯びる(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」、「〜で構成される(composed of)」などのすべての移行句は、オープンエンドである、すなわち包含するが限定的でないことを意味すると理解されるべきである。United States Patent Office Manual of Patent Examining Proceduresのセクション2111.03に定められているように、「〜からなる(consisting of)」および「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」という移行句のみが、それぞれクローズドおよびセミクローズドの移行句である。
【0072】
以上の詳細な説明は、本発明が取りうる多数の形式のうち少数のみを説明したものである。この理由により、この詳細な説明は、限定としてではなく、例証として意図されている。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6