【実施例】
【0048】
実施例−RVADカニューレ設計
以下に、カニューレ設計の1つの非限定的な実施例を提示する。
【0049】
BSAが1.5〜2.6 m
2である患者の心臓の代表的な3D CTスキャン19件を用い、本明細書に説明する技法を用いてカニューレの幾何形状を最適化した。IVC、RA、TV、PV、およびPA間の長さおよび角度を、Mimicsソフトウェア(Materialise NV, Belgiumより入手可能)を用いて測定した。
【0050】
この研究の結果を
図5にまとめた。長さおよび角度の標準偏差は6.3 mmおよび11.4度で、患者ごとのばらつきが小さいことが示された。さらに、
図6に示されているように、BSA(体表面積)との相関は見出されなかった。
図2A〜2Eおよび
図3を参照しながら詳しく上述したように、平面内にないというTVの性質について考慮がなされ、一方、PAのL二又分岐部にデバイスのアウトフローを置くことにより3Dカニューレ構成が得られた。
【0051】
最適化されたこのカニューレ設計は、剛性のカニューレを想定すれば患者の95%またはそれ以上にフィットし、カニューレの可撓性を見込めば患者の100%にもフィットすることが見出された。死体による追加のフィット研究も行われ、これによりコンピュータモデリングの妥当性が確認された。
【0052】
ヒト成人心臓の右心室で使用するためのデバイスについて、いくつかの具体的な実施例を示したが、理解されるべき点として、本明細書に説明するデバイスおよび技法は、他の解剖学的部位(例えば左心室など)および/または例えばヒトでない動物被験体など他の種類の被験体にも拡張されうる。
【0053】
以上、さまざまな発明態様を本明細書に説明および提示したが、本明細書に説明する機能を行うため、ならびに/または、本明細書に説明する結果および/もしくは本明細書に説明する利点のうち1つまたは複数を得るための、他のさまざまな手段および/または構造を当業者は容易に想定できるものと考えられ、そのようなバリエーションおよび/または改変の各々は、本明細書に説明する発明態様の範囲内に入るものとみなされる。より一般的には、本明細書に説明するすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成は例示的なものであると意図されていること、ならびに、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は本発明の教示が用いられる具体的な用途によって異なりうることを、当業者は容易に理解できるであろう。当業者は、本明細書に説明する具体的な発明態様に対する多くの同等物を、認識するか、または日常的な実験法のみを用いて確認できるであろう。したがって、以上の態様は例示としてのみ提示されていること、ならびに、具体的に説明および特許請求されている以外の発明態様も、添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内において実施されうることが理解されるべきである。
【0054】
本開示の発明態様は、本明細書に説明する個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象としている。加えて、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の2つ以上の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が互いに矛盾するのでなければ、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0055】
上述の態様は任意の多数の様式で実施されうる。例えば、ハードウェア、ソフトウェア、またはその組み合わせを用いて態様が実施されてもよい。ソフトウェアで実施される場合、ソフトウェアコードは任意の好適なプロセッサまたはプロセッサの集合において実行されてもよく、これは単一のコンピュータで提供されていてもまたは複数のコンピュータに分散されていてもよい。
【0056】
さらに、理解されるべき点として、コンピュータは、ラックマウント式コンピュータ、デスクトップ式コンピュータ、ラップトップ式コンピュータ、またはタブレット式コンピュータなど、複数の形態のうち任意のもので具現化されていてもよい。加えて、コンピュータは、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、または他の任意の好適な可搬式もしくは固定式の電子デバイスなど、一般にコンピュータとはみなされていないが好適な処理能力を備えたデバイスに組み込まれていてもよい。
【0057】
コンピュータはまた、1つまたは複数の入力デバイスおよび出力デバイスをもっていてもよい。これらのデバイスを用いて、ほかにもあるが特に、ユーザーインターフェースを提示してもよい。ユーザーインターフェースを提供するために用いられうる出力デバイスの例としては、出力を視覚的に提示するためのプリンタまたは表示画面、および、出力を聴覚的に提示するためのスピーカまたは他の音響生成デバイスなどがある。ユーザーインターフェースのために用いられうる入力デバイスの例としては、キーボード、ならびに、マウス、タッチパッド、およびデジタル化タブレットなどのポインティングデバイスなどがある。別の例として、コンピュータは、音声認識または他の聴覚的フォーマットによって入力情報を受け取ってもよい。
【0058】
そのようなコンピュータは、1つまたは複数のネットワークによって任意の好適な形式で相互接続されていてもよく、そのようなネットワークとしては、ローカルエリアネットワーク、または、企業ネットワーク、インテリジェントネットワーク(IN)、もしくはインターネットなどのワイドエリアネットワークなどがある。そのようなネットワークは、任意の好適な技術に基づいていてもよく、任意の好適なプロトコルに従って動作してもよく、かつ、ワイヤレスネットワーク、ワイヤードネットワーク、または光ファイバーネットワークを含んでいてもよい。
【0059】
本明細書に説明する機能性の少なくとも一部を実施するために利用されるコンピュータは、メモリ、1つまたは複数の演算処理ユニット(本明細書において単に「プロセッサ」ともいう)、1つまたは複数の通信インターフェース、1つまたは複数の表示ユニット、および、1つまたは複数のユーザー入力デバイスを備えていてもよい。メモリは任意のコンピュータ可読媒体を備えていてもよく、かつ、本明細書に説明するさまざまな機能性を実施するためのコンピュータ命令(本明細書において「プロセッサ実行可能な命令」ともいう)を保存してもよい。演算処理ユニットは命令を実行するために用いられてもよい。通信インターフェースは、ワイヤードネットワーク、ワイヤレスネットワーク、バス、または他の通信手段に連結されていてもよく、かつこれにより、コンピュータが他のデバイスに通信を送ることおよび/または他のデバイスから通信を受け取ることを可能にしてもよい。表示ユニットは、例えば、命令の実行との関連においてユーザーがさまざまな情報を見ることを可能にするなどのために提供されてもよい。ユーザー入力デバイスは、例えば、ユーザーが手動調整を行うこと、選択すること、データもしくは他のさまざまな情報を入力すること、および/または命令の実行中に任意のさまざまな様式でプロセッサと対話することを可能にするなどのために提供されてもよい。
【0060】
本明細書に概説するさまざまな方法または処理は、さまざまなオペレーティングシステムまたはプラットフォームのうち任意の1つを利用する1つまたは複数のプロセッサで実行できるソフトウェアとしてコード化されていてもよい。加えて、そのようなソフトウェアは、複数の好適なプログラミング言語および/またはプログラミング用もしくはスクリプト用ツールのうち任意のものを用いて書かれてもよく、かつまた、フレームワークまたは仮想マシンで実行される実行可能な機械語コードまたは中間コードとしてコンパイルされてもよい。
【0061】
この点において、本発明のさまざまな概念は、1つまたは複数のコンピュータまたは他のプロセッサで実行されたときに上述の本発明のさまざまな態様を実施する方法を行う1つまたは複数のプログラムが書き込まれたコンピュータ可読式記憶媒体(または複数のコンピュータ可読式記憶媒体)(例えば、コンピュータメモリ、1つまたは複数のフロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、Field Programmable Gate Arrayもしくは他の半導体デバイス内の回路構成、または、他の非一時的な媒体もしくは有形のコンピュータ記憶媒体など)として実施されてもよい。コンピュータ可読媒体は、そこに保存された1つまたは複数のプログラムが1つまたは複数の異なるコンピュータまたは他のプロセッサにロードされて上述の本発明のさまざまな局面が実施されうるよう、可搬性であってもよい。
【0062】
本明細書において「プログラム(program)」または「ソフトウェア(software)」という用語は総称的な意味で用いられ、上述の態様のさまざまな局面を実施するようコンピュータまたは他のプロセッサをプログラムするために利用されてもよい任意の種類のコンピュータコードまたはコンピュータ実行可能命令のセットを指す。加えて、理解されるべき点として、1つの局面において、実行されたときに本発明の方法を行う1つまたは複数のコンピュータプログラムは、本発明のさまざまな局面を実施するうえで、単一のコンピュータまたはプロセッサ上に存在していなくてもよく、複数の異なるコンピュータまたはプロセッサの間にモジュール様式で分散していてもよい。
【0063】
コンピュータ実行可能命令は、1つまたは複数のコンピュータまたは他のデバイスにより実行される多数の形式であってもよく、例えばプログラムモジュールなどであってもよい。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを行うかまたは特定の抽象データ型を実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。典型的に、プログラムモジュールの機能性は、さまざまな態様において所望により組み合わせられるかまたは分散されてもよい。
【0064】
加えて、データ構造も、任意の好適な形式でコンピュータ可読媒体に保存されてもよい。説明を単純にするため、データ構造は、データ構造内の場所を介して関連付けされるフィールドをもつように示されてもよい。そのような関連性もまた同様に、フィールド間の関連性を伝えるコンピュータ可読媒体内の場所を伴う保存領域をフィールドに割り当てることによって実現されてもよい。しかし、データ構造のフィールドにおいて情報間の関連性を確立するため任意の好適なメカニズムが用いられてもよく、これには、ポインタ、タグ、またはデータ要素間の関連性を確立する他のメカニズムの使用を介したものも含まれる。
【0065】
加えて、本発明のさまざまな概念は1つまたは複数の方法として具現化されてもよく、その1例はすでに提供したとおりである。本発明の方法の一部として行われる行為は任意の好適な様式で順序立てされてもよい。したがって、提示したのと異なる順序で行為が行われるように態様が構築されてもよく、これには、実例的態様において順次的な行為として示されているものであっても、いくつかの行為を同時に行うことも含まれうる。
【0066】
本明細書において定義および使用されるすべての定義は、その支配において、辞書の定義、参照により組み入れられる文書における定義、および/または定義される用語の通常の意味を上回ると理解されるべきである。
【0067】
本明細書および特許請求の範囲において使用される不定冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、そうでないことが明示されているのでない限り、「少なくとも1つの(at least one)」を意味するものと理解されるべきである。
【0068】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「および(ならびに)/または(もしくは)(and/or)」という句は、等位接続された要素の「いずれかまたは両方(either or both)」、すなわち、一部の場合において接続的に存在し他の場合において離接的に存在する要素を意味するものと理解されるべきである。「および/または」を伴って列挙される複数の要素も同じ様式で解釈されるべきであり、すなわち、等位接続された要素のうち「1つまたは複数(one or more)」と解釈されるべきである。「および/または」の節によって具体的に特定された要素以外に、任意で他の要素が存在していてもよく、それは具体的に特定された要素と関連していてもまたは関連していなくてもよい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB(A and/or B)」への参照は、「含む、備える(comprising)」などのオープンエンド語句との関連において用いられた場合、1つの態様においてAのみを参照し(任意でB以外の要素を含む);別の態様においてBのみを参照し(任意でA以外の要素を含む);さらに別の態様においてAおよびBの両方を参照する(任意で他の要素を含む);などの可能性がある。
【0069】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「または(もしくは)(or)」は、上記に定義した「および/または」と同じ意味をもつものと理解されるべきである。例えば、列挙内の項目を分けるとき、「または」または「および/または」は包含的であると解釈されるべきであり、すなわち、複数または列挙の要素のうち少なくとも1つを含むが、1つより多くもまた含み、そして列挙されていない追加の項目も任意で含むと解釈されるべきである。そうでないことを明示している用語、例えば「〜のうち1つのみ(only one of)」もしくは「〜のうち厳密に1つ(exactly one of)」、または特許請求の範囲において用いられる場合の「〜からなる(consisting of)」などのみが、複数または列挙の要素のうち厳密に1つの要素を含むことを参照する。概して、本明細書において用いられる「または」という用語は、「いずれか(either)」、「〜のうち1つ(one of)」、「〜のうち1つのみ」、または「〜のうち厳密に1つ」など、排他性の用語が先行している場合にのみ、排他的な二者択一(すなわち「1つまたは他方であるが両方ではない(one or the other but not both)」)を示すものとして解釈されるべきである。特許請求の範囲において用いられる場合の「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」は、特許法の分野において用いられる通常の意味をもつ。
【0070】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「少なくとも1つの(at least one)」という句は、1つまたは複数の要素の列挙への参照において、要素の列挙内の任意の1つまたは複数の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素の列挙内に具体的に列挙されている各々の要素のうち少なくとも1つを必ずしも含んでいる必要はなく、かつ、要素の列挙内の要素の任意の組み合わせを排除しないと理解されるべきである。この定義はまた、「少なくとも1つの」という句が参照する要素の列挙内で具体的に特定された要素以外に、任意で要素が存在していてもよく、それは具体的に特定された要素と関連していてもまたは関連していなくてもよいことを許容する。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうち少なくとも1つ(at least one of A and B)」(または等価的に「AまたはBのうち少なくとも1つ(at least one of A or B)」、または等価的に「Aおよび/またはBのうち少なくとも1つ(at least one of A and/or B)」)は、1つの態様において、少なくとも1つであり任意で1つより多くを含むAであって、Bが存在しないこと(そして任意でB以外の要素を含むこと)を参照し;別の態様において、少なくとも1つであり任意で1つより多くを含むBであって、Aが存在しないこと(そして任意でA以外の要素を含むこと)を参照し;さらに別の態様において、少なくとも1つであり任意で1つより多くを含むA、および、少なくとも1つであり任意で1つより多くを含むB(そして任意で他の要素を含むこと)を参照する;などの可能性がある。
【0071】
以上の本明細書と同様に、特許請求の範囲において、「含む、備える(comprising)」、「含む(including)」、「帯びる(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」、「〜で構成される(composed of)」などのすべての移行句は、オープンエンドである、すなわち包含するが限定的でないことを意味すると理解されるべきである。United States Patent Office Manual of Patent Examining Proceduresのセクション2111.03に定められているように、「〜からなる(consisting of)」および「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」という移行句のみが、それぞれクローズドおよびセミクローズドの移行句である。
【0072】
以上の詳細な説明は、本発明が取りうる多数の形式のうち少数のみを説明したものである。この理由により、この詳細な説明は、限定としてではなく、例証として意図されている。