特許第6101210号(P6101210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許61012102つのラインを有すると共に共有されたピクセルを有するリニア画像センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101210
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】2つのラインを有すると共に共有されたピクセルを有するリニア画像センサ
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/374 20110101AFI20170313BHJP
   H04N 5/3745 20110101ALI20170313BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   H04N5/335 740
   H04N5/335 745
   H01L27/14 A
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-552963(P2013-552963)
(86)(22)【出願日】2012年2月10日
(65)【公表番号】特表2014-510447(P2014-510447A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】EP2012052267
(87)【国際公開番号】WO2012107542
(87)【国際公開日】20120816
【審査請求日】2015年1月13日
(31)【優先権主張番号】1151097
(32)【優先日】2011年2月10日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507200868
【氏名又は名称】ウードゥヴェ セミコンダクターズ
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】ギヨン、マリー
(72)【発明者】
【氏名】リゴザ、ティエリー
【審査官】 松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−199989(JP,A)
【文献】 米国特許第07268815(US,B1)
【文献】 特開2006−080937(JP,A)
【文献】 特開2009−033520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/374
H01L 27/146
H04N 5/3745
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動及び電荷蓄積によって動作する電荷転送画像センサであって、前記センサは、P個のピクセルの2つの隣接するラインを有し、且つ、前記センサの目的は、前記2つのラインの同一ランクの2つのピクセル内の画像ポイントによって生成される電荷の加算を伴う前記ピクセルの2つのラインによる連続的な同一の画像ラインの観測であり、前記ピクセルの各々は、個々のフォトダイオード(PD1、PD’1)と、電荷保存ノード(FD)と、一方が個々のフォトダイオードに隣接すると共に他方が電荷保存ノードに隣接した個々の転送ゲートと、を有するMOS技術の能動型ピクセルである、センサにおいて、
前記電荷保存ノードは、前記同一ランクの2つのピクセルに共通していることと、且つ、シーケンシング手段は、周期的サイクルを確立するように設計されており、前記周期的サイクルは、前記保存ノードの電位の再初期化と、前記保存ノードの前記再初期化電位のサンプリングと、前記サンプリングの直後における前記第1ピクセルの前記フォトダイオードから前記共通保存ノードへの電荷の第1転送と、その後の、前記周期的サイクルの末尾における前記第2ピクセルの前記フォトダイオードから前記保存ノードへの電荷の第2転送であって、前記2回の転送の間に前記保存ノードの前記電位の再初期化は伴っていない、電荷の第2転送と、前記電荷の前記第2転送の後における前記保存ノードの前記電位のサンプリングと、を連続的に有することと、
第1サイクルの間に、前記第1サイクルの再初期化の後に、且つ、このサイクルの前記電荷の2回の転送の前に、前記保存ノードの前記電位を表す第1サンプルを保存する手段(SHR)と、このサイクルにおける前記フォトダイオードから前記保存ノードへの前記2回の電荷転送の後の前記保存ノードの前記電位を表す電位の第2サンプルを保存する手段(SHS)と、第2サイクルの再初期化の後に、前記第1サンプルとは別個に、且つ、前記第1サンプルを失うことなしに、前記保存ノードの前記電位を表す第3サンプルを保存する手段(SHR’)と、前記第2サイクルに、前記第2及び前記第1サンプルの間の差のアナログ−デジタル変換を実現する手段と、を有することと、
それぞれ、前記第1及び前記第3サンプルを保存するための別個の第1及び第3コンデンサ(Cr、Cr’)と、連続したサイクルの間で、前記2つのコンデンサの一方又は他方をアナログ−デジタルコンバータ(ADC)の入力に対して交互にリンクさせるスイッチング手段(LR、LR’)と、前記第2サンプルを保存するために前記コンバータの別の入力に対してリンクされた第2コンデンサ(Cs)と、を有し、前記第1サンプルは、前記連続したサイクルの間で、前記第1の2つのコンデンサのうちの一方に、且つ、次いで、他方に、交互に保存されることと
特徴とする画像センサ。
【請求項2】
運動及び電荷蓄積によって動作する電荷転送画像センサであって、前記センサは、P個のピクセルの2つの隣接するラインを有し、且つ、前記センサの目的は、前記2つのラインの同一ランクの2つのピクセル内の画像ポイントによって生成される電荷の加算を伴う前記ピクセルの2つのラインによる連続的な同一の画像ラインの観測であり、前記ピクセルの各々は、個々のフォトダイオード(PD1、PD’1)と、電荷保存ノード(FD)と、一方が個々のフォトダイオードに隣接すると共に他方が電荷保存ノードに隣接した個々の転送ゲートと、を有するMOS技術の能動型ピクセルである、センサにおいて、
前記電荷保存ノードは、前記同一ランクの2つのピクセルに共通していることと、且つ、シーケンシング手段は、周期的サイクルを確立するように設計されており、前記周期的サイクルは、前記保存ノードの電位の再初期化と、前記保存ノードの前記再初期化電位のサンプリングと、前記サンプリングの直後における前記第1ピクセルの前記フォトダイオードから前記共通保存ノードへの電荷の第1転送と、その後の、前記周期的サイクルの末尾における前記第2ピクセルの前記フォトダイオードから前記保存ノードへの電荷の第2転送であって、前記2回の転送の間に前記保存ノードの前記電位の再初期化は伴っていない、電荷の第2転送と、前記電荷の前記第2転送の後における前記保存ノードの前記電位のサンプリングと、を連続的に有することと、
第1サイクルの間に、前記第1サイクルの再初期化の後に、且つ、このサイクルの前記電荷の2回の転送の前に、前記保存ノードの前記電位を表す第1サンプルを保存する手段(SHR)と、このサイクルにおける前記フォトダイオードから前記保存ノードへの前記2回の電荷転送の後の前記保存ノードの前記電位を表す電位の第2サンプルを保存する手段(SHS)と、第2サイクルの再初期化の後に、前記第1サンプルとは別個に、且つ、前記第1サンプルを失うことなしに、前記保存ノードの前記電位を表す第3サンプルを保存する手段(SHR’)と、前記第2サイクルに、前記第2及び前記第1サンプルの間の差のアナログ−デジタル変換を実現する手段と、を有することと、
2つのアナログ−デジタルコンバータ(ADC、ADC’)と、前記第1及び前記第3サンプルをそれぞれ取得する第1及び第3コンデンサ(Cr、Cr’)であって、前記2つのコンデンサのそれぞれは、個々のコンバータの第1入力に対してリンクされている、第1及び第3コンデンサと、前記第2サンプルを保存するために前記コンバータのうちのそれぞれのコンバータの第2入力に対してリンクされた第2コンデンサ(Cs)と、を有し、前記コンバータは、前記第2コンデンサ内に保存されている前記サンプルと前記第1又は前記第3コンデンサ内に保存されている前記サンプルの間の差の変換を提供するために、前記連続したサイクルの間に、交互に使用されることと
特徴とする画像センサ。
【請求項3】
前記シーケンシング手段は、奇数サイクル及び偶数サイクルの交互の変化の間に、
a)サイクルの開始時点における前記電荷保存ノードの前記電位の再初期化と、
b)その後の、奇数サイクルにおける前記第1コンデンサ(Cr)内での、或いは、偶数サイクルにおける前記第3コンデンサ(Cr’)内での、前記保存ノードの前記電位のサンプリングと、
c)その後の、前記第1ピクセルの前記フォトダイオードから前記保存ノードへの電荷の全体転送と、
d)その後の、前記サイクルの前記末尾に向かう、前記第2ピクセルの前記フォトダイオードから前記保存ノードへの前記電荷の全体転送と、
e)その後の前記第2コンデンサ内における前記保存ノードの前記電位のサンプリングと、
f)その後の、前記後続のサイクルの間における、前記保存ノードの前記電位の再初期化及び後続の偶数サイクルにおける前記第3コンデンサ(Cr’)内での、又は後続の奇数サイクルにおける前記第1コンデンサ(Cr)内での、前記電位の第2サンプリング、並びに、最後の、ステップeにおいて前記第2コンデンサ内に保存された前記サンプルとステップbにおいて前記第1又は前記第3コンデンサ内に保存された前記サンプルの間の差のアナログ−デジタル変換であって、従って、前記第1及び第3コンデンサの役割は、それぞれのサイクルにおいて相互に交換される、再初期化及び第2サンプリング並びにアナログ−デジタル変換と、
の連続的な動作を循環的に実行するように設計されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の画像センサ。
【請求項4】
運動及び電荷蓄積によって動作する電荷転送画像センサであって、前記センサは、P個のピクセルの2つの隣接するラインを有し、且つ、前記センサの目的は、前記2つのラインの同一ランクの2つのピクセル内の画像ポイントによって生成される電荷の加算を伴う前記ピクセルの2つのラインによる連続的な同一の画像ラインの観測であり、前記ピクセルの各々は、個々のフォトダイオード(PD1、PD’1)と、電荷保存ノード(FD)と、一方が個々のフォトダイオードに隣接すると共に他方が電荷保存ノードに隣接した個々の転送ゲートと、を有するMOS技術の能動型ピクセルである、センサにおいて、
前記電荷保存ノードは、前記同一ランクの2つのピクセルに共通していることと、且つ、シーケンシング手段は、周期的サイクルを確立するように設計されており、前記周期的サイクルは、前記保存ノードの電位の再初期化と、前記保存ノードの前記再初期化電位のサンプリングと、前記サンプリングの直後における前記第1ピクセルの前記フォトダイオードから前記共通保存ノードへの電荷の第1転送と、その後の、前記周期的サイクルの末尾における前記第2ピクセルの前記フォトダイオードから前記保存ノードへの電荷の第2転送であって、前記2回の転送の間に前記保存ノードの前記電位の再初期化は伴っていない、電荷の第2転送と、前記電荷の前記第2転送の後における前記保存ノードの前記電位のサンプリングと、を連続的に有することと、
第1サイクルの間に、前記第1サイクルの再初期化の後に、且つ、このサイクルの前記電荷の2回の転送の前に、前記保存ノードの前記電位を表す第1サンプルを保存する手段(SHR)と、このサイクルにおける前記フォトダイオードから前記保存ノードへの前記2回の電荷転送の後の前記保存ノードの前記電位を表す電位の第2サンプルを保存する手段(SHS)と、第2サイクルの再初期化の後に、前記第1サンプルとは別個に、且つ、前記第1サンプルを失うことなしに、前記保存ノードの前記電位を表す第3サンプルを保存する手段(SHR’)と、前記第2サイクルに、前記第2及び前記第1サンプルの間の差のアナログ−デジタル変換を実現する手段と、を有することと、
2つのアナログ−デジタルコンバータ(ADC、ADC’)と、前記第1及び前記第3サンプルをそれぞれ取得する第1及び第3コンデンサ(Cr、Cr’)であって、前記2つのコンデンサのそれぞれは、個々のコンバータの第1入力にリンクされている、第1及び第3コンデンサと、2つのサイクルのうちの1つのサイクルにおいて交互に前記第2サンプルを保存するように、前記コンバータのうちのそれぞれのコンバータの第2入力に対してそれぞれリンクされた第2及び第4コンデンサ(Cs、Cs’)と、を有し、コンバータのうちの1つのコンバータは、前記第2コンデンサ内に保存されている前記サンプルと前記第1コンデンサ内に保存されている前記サンプルの間の差の変換を提供し、前記他方のコンバータは、前記第4コンデンサ内に保存されている前記サンプルと前記第3コンデンサ内に保存されている前記サンプルの間の差の変換を提供すること
特徴とする画像センサ。
【請求項5】
前記シーケンシング手段は、奇数サイクル及び偶数サイクルの交互の変化の間に、
a)サイクルの開始点における前記電荷保存ノードの前記電位の再初期化と、
b)その後の、奇数サイクルにおける前記第1コンデンサ(Cr)内での又は偶数サイクルにおける前記第3コンデンサ(Cr’)内での前記保存ノードの前記電位のサンプリングと、
c)その後の、前記第1ピクセルの前記フォトダイオードから前記保存ノードへの電荷の全体転送と、
d)その後の、前記サイクルの末尾に向かう、前記第2ピクセルの前記フォトダイオードから前記保存ノードへの前記電荷の全体転送と、
e)その後の、奇数サイクルにおける前記第2コンデンサ内での又は偶数サイクルにおける前記第4コンデンサ内での前記保存ノードの前記電位のサンプリングと、
f)その後の、前記後続のサイクルの間における、前記保存ノードの前記電位の再初期化及び後続の偶数サイクルにおける前記第3コンデンサ内での又は後続の奇数サイクルにおける前記第1コンデンサ内でのこの電位の第2サンプリング、並びに、最後の、前記第2コンデンサ内に保存されている前記サンプルと前記第1コンデンサ内に保存されている前記サンプルの間の差の後続の偶数サイクルにおける前記第1コンバータによるアナログ−デジタル変換又は前記第4コンデンサ内に保存されている前記サンプルと前記第3コンデンサ内に保存されている前記サンプルの間の差の前記第2コンバータによる後続の奇数サイクルにおけるアナログ−デジタル変換と、
の連続的な動作を循環的に実行するように設計されていることを特徴とする請求項に記載の画像センサ。
【請求項6】
それぞれのピクセルは、前記ピクセルに固有の前記フォトダイオードと、前記ピクセルに固有の前記転送ゲートと、前記同一ランクの2つのピクセルに共通する前記保存ノードに加えて、前記保存ノードの電位を基準電位に再初期化する前記2つのピクセルに共通する再初期化トランジスタ(T2)と、前記2つのピクセルに共通すると共に前記保存ノードに対してリンクされたそのゲートを有する読取りトランジスタ(T3)と、を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像センサに関し、且つ、更に詳しくは、スキャナモードにおいて、一度に1つの画像ラインを観測するように意図されたリニア画像センサに関する。これらのセンサは、一定の速度でセンサを通過するように被写体又はシーンを動かすことにより、且つ、観測されたラインの並置によって画像を再構築することにより、被写体又はシーンの完全な画像を収集する。
【0002】
これらのセンサは、特に、コンベアベルト上に配置された製品の工業検査のために使用される。その他の用途は、例えば、空間観測の分野において可能である。
【背景技術】
【0003】
解決策を提供するのに望ましい課題の1つが、センサとの関係における被写体の相対的な運動が非常に高速である場合にも十分な振幅の画像信号を得るというものである。実際に、運動が高速である場合には、運動の方向において画像が非常に低い分解能を有することになることを回避するべく、光蓄積時間を非常に短くしなければならないことを理解されたい。但し、蓄積時間が非常に短い場合には、わすかな数の光子しか、センサのピクセルによって収集されない。特に、ピクセル自身の製造とセンサを制御すると共に収集された電子画像を処理するように機能する周辺電子回路の間において許容される互換性に起因し、能動型ピクセルMOS技術が好ましい。
【0004】
更には、画像の読出しの信号対ノイズ比を改善するために、運動及び信号蓄積によって動作するマルチリニアストリップを使用することが、これまで長年にわたって提案されており(「Time Delay Integration」の略称であるTDIセンサと呼ばれている)、この場合には、シーンがセンサを通過するのに伴って、シーンの同一のラインを観測するN個の感光ラインによって取得された連続した画像の加算により、観測対象のシーンのポイントのラインの画像を改善している
【0005】
一定の露光時間においては、感度は、ラインの数Nの比率で改善される。信号対ノイズ比は、Nの平方根からNまでの範囲を取り得る比率で改善される。
【0006】
CCD技術によるTDIセンサの製造は、相対的に容易であり、ポイントごとの信号の加算は、シーン及びセンサの相対的な変位と同期した状態で、以前のラインにおいて収集及び蓄積された電荷をピクセルのライン内に放出することにより、簡単に実行される。観測対象の画像ラインによって生成された電荷をN回にわたって蓄積したピクセルの最後のラインを読み出してもよい。
【0007】
MOS技術によるTDIセンサの製造は、相対的に困難であり、これには、CCDセンサ方式で電荷を転送することによって動作するゲートを有するがピクセル間における乏しい転送のリスクを有する別の技術をも伴うピクセルの製造が必要である。これらのピクセルは、能動型ピクセルではなく、これらは、ピクセル内に、電荷保存及び転送手段のみを有し、電荷−電圧又は電荷−電流変換のための手段を有してはいない。
【0008】
更には、ピクセルの複数のラインを有するセンサの使用は、観測対象のシーンの運動の同期レベルが低いか又は規則性が乏しい場合には、問題をもたらす場合があり、実際に、運動が十分に同期していないか又は規則性が十分でない場合には、様々なラインによって観測された信号の加算は、誤ったものとなることが指摘されよう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明によれば、ピクセルの1つのラインのみを有すると共にピクセルの製造のための複雑な技術の使用を伴わないMOS技術センサとの関係において改善された感度及び改善された信号対ノイズ比を有する非常に高速のリニアセンサを製造するための解決策が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による解決策は、TDIモードにおいて動作するが、それにも拘らず、ピクセル内における電荷−電圧変換を伴う能動型ピクセルを使用するピクセルの2つのラインのみの使用に基づいている。本発明によれば、2つのラインの同一ランクのピクセルは、それぞれ、フォトダイオードと、フォトダイオード内に蓄積された電荷を電荷保存ノードに転送するようにフォトダイオード及び保存ノードに隣接した転送ゲートを有する電荷保存用のノードと、を使用している。保存ノードは、同一ランクの2つのピクセルの間で共有されており、且つ、2つのフォトダイオードの電荷は、この電荷に起因してノードが取得する電位の読取りの前に、このノードに対して連続的に転送され、2回の電荷転送を分離している時間間隔は、ピクセルの2つのラインを連続的に過ぎる同一の画像ラインの通過を分離する時間に実質的に対応している。
【0011】
従って、1つのピクセルの内部に位置するが2つのピクセルに共通する保存ノードは、観測対象のシーンとセンサの間の相対的な運動において同一の画像ポイントを観察する2つの異なるフォトダイオードから生じた電荷の2つのパケットの連続的な到着を観察する。
【0012】
この結果、ピクセルの2つのラインに限定した際には、即ち、感度及び信号対ノイズ比の観点において中程度の利得に限定した際には、ピクセルを製造するために技術を大幅に変更する必要性は存在せず、ピクセルは、従来のMOS技術の能動型ピクセル(通常は、1つのフォトダイオードといくつかのトランジスタを有するピクセルである)に留まることができることが判明した。
【0013】
従って、本発明は、運動及び電荷蓄積によって動作する電荷転送画像センサを提案し、このセンサは、2つのラインの同一ランクの2つのピクセル内の画像ポイントによって収集された電荷の加算を伴うピクセルの2つのラインによる連続的な同一の画像ラインの観測を目的としたP個のピクセルの2つの隣接するラインを有し、これらのピクセルは、フォトダイオードと、電荷保存ノードと、フォトダイオード及び保存ノードに隣接した転送ゲートからなる電荷をフォトダイオードから保存ノードに転送する手段と、を有するMOS技術の能動型ピクセルであり、電荷保存ノードは、同一ランクの2つのピクセルに共通しており、且つ、シーケンシング手段は、保存ノードの電位の再初期化と、保存ノードの再初期化された電位のサンプリングと、サンプリングの直後における第1ピクセルのフォトダイオードから共通保存ノードへの電荷の第1転送と、周期的サイクルの末尾における第2ピクセルのフォトダイオードから保存ノードへの電荷の第2転送であって、2回の転送の間には、保存ノードの電位の再初期化が伴っていない、第2転送と、電荷の第2転送の後の保存ノードの電位のサンプリングと、を連続的に有する周期的サイクルを確立するように設計されていることを特徴としている。
【0014】
2回の電荷転送は、一方は、サイクルの開始点の後に非常に迅速に実行され、他方は、サイクルの末尾の非常にわずかに前において実行される。これらを分離している時間間隔は、実質的に、画像ラインがピクセルの第1ラインとピクセルの第2ラインの間において運動した間隔である。周期的なサイクルタイムは、この持続時間よりもわずかに大きく、その理由は、電荷の第1転送は、再初期化された電位のサンプリングの前に実行することができず、且つ、電荷の第2転送は、保存ノードの電位の最後のサンプリングの瞬間において終了しなければならないためである。
【0015】
実際に、ピクセルは、ピクセルに固有のフォトダイオード及び同一ランクの2つのピクセルに共通する保存ノードに加えて、一側においては個々のフォトダイオードに隣接すると共に他側においては共通保存ノードに隣接した個々の転送ゲートと、2つのピクセルに共通する再初期化トランジスタと、2つのピクセルに共通する読取りトランジスタと、を有する。
【0016】
第1実施形態においては、センサは、同一ランクの2つのピクセルごとに、再初期化の後の保存ノードの電位のサンプルと、電荷のダブル転送の後の保存ノードの電位のサンプルと、をそれぞれ受け取るように、2つのサンプリングコンデンサのみを有する読取り回路を有する。アナログ−デジタルコンバータは、これらのコンデンサ内に保存されている電圧の差を循環的に変換する。
【0017】
この場合に、シーケンシング手段は、連続的且つ循環的に、
−第1サイクルの開始点において、電荷保存ノードの電位の再初期化を、
−次いで、第1コンデンサ内における保存ノードの電位のサンプリングを、
−次いで、第1ピクセルのフォトダイオードから保存ノードへの電荷の全体転送を、
−次いで、第1サイクルの末尾に向かって、第2ピクセルのフォトダイオードから保存ノードへの電荷の全体転送を、
−次いで、第2コンデンサ内における保存ノードの電位のサンプリングを、
−次いで、第2サイクルの間において、保存ノードの電位の再初期化及び第1コンデンサ内におけるこの電位の第2サンプリングを、そして、
−この後においてのみ、第1サイクルの末尾の後において、第2コンデンサ内に保存されている第1サイクルのサンプルと第1コンデンサ内に保存されている第2サイクルのサンプルの間の差のアナログ/デジタル変換を、
実行する。
【0018】
このダブルサンプリングは、相関ダブルサンプリングではない。
【0019】
別の実施形態においては、相関ダブルサンプリングが実行される。センサは、同一ランクの2つのピクセルごとに、3つのサンプリングコンデンサを有する読取り回路を有し、これらのうちの第1及び第3サンプリングコンデンサは、再初期化の後の電位のサンプリングに専用であり、第2サンプリングコンデンサは、電荷のダブル転送の後のサンプリングに専用である。
【0020】
この結果、シーケンシング手段は、奇数サイクル及び偶数サイクルの交互の変化の間に、連続的に、
a)サイクルの開始点において、再初期化トランジスタによる電荷保存ノードの電位の再初期化を
b)次いで、奇数サイクルにおいて第1コンデンサ内での、或いは、偶数サイクルにおいて第3コンデンサ内での、保存ノードの電位のサンプリングを、
c)次いで、第1ピクセルのフォトダイオードから保存ノードへの電荷の全体転送を、
d)次いで、サイクルの末尾に向かって、第2ピクセルのフォトダイオードから保存ノードへの電荷の全体転送を、
e)次いで、第2コンデンサ内における保存ノードの電位のサンプリングを、そして、
f)次いで、後続のサイクルの間において、保存ノードの電位の再初期化及び後続の偶数サイクルにおける第3コンデンサ内における又は後続の奇数サイクルにおける第1コンデンサ内におけるこの電位の第2サンプリング、並びに、ステップeにおいて第2コンデンサ内に保存されたサンプルとステップbにおいて第1又は第3コンデンサ内に保存されたサンプルの間の差のアナログ−デジタル変換を、
を実行し、従って、第1及び第3コンデンサの役割が、それぞれのサイクルにおいて相互交換されている。
【0021】
このダブルサンプリングは、相関ダブルサンプリングである。
【0022】
この場合には、2つの異なる実施形態が想定され、一実施形態においては、ピクセルの信号に起因した変換のために単一のアナログ−デジタルコンバータが存在しており、且つ、第1コンデンサ又は第3コンデンサは、進行中に、サイクルに応じて、このコンバータの1つの入力に交互に接続される。コンバータのもう1つの入力は、第2コンデンサにリンクされている。別の実施形態においては、2つのコンバータが設けられ、一方は、第1コンデンサに接続された入力を有し、他方は、第3コンデンサに接続された入力を有し、且つ、一方の又は他方のコンバータの出力は、進行中に、サイクルに応じて、交互に使用される。この第2のケースにおいては、相関ダブルサンプリングをそれぞれのサイクルにおいて実行できるようにしているのは、第1又は第3コンデンサ内における保存の選択肢の交互の変化ではなく、コンバータの選択肢の交互の変化である。
【0023】
更に別の実施形態においては、2つのアナログ−デジタルコンバータと、それぞれ第1及び第3サンプルを取得する第1及び第3コンデンサであって、2つのコンデンサのそれぞれは、個々のコンバータの第1入力にリンクされている、第1及び第3コンデンサと、2つのサイクルのうちの1つのサイクルにおいて交互に第2サンプルを保存するように、それぞれのコンバータの第2入力にそれぞれリンクされた第2及び第4コンデンサと、が存在しており、コンバータのうちの1つは、第2コンデンサ内に保存されているサンプルと第1コンデンサ内に保存されているサンプルの間の差の変換を提供し、他方のコンバータは、第4コンデンサ内に保存されているサンプルと第3コンデンサ内に保存されているサンプルの間の差の変換を提供する。
【0024】
この結果、シーケンシング手段は、奇数サイクル及び偶数サイクルの交互の変化の間に、
a)サイクルの開始点における電荷保存ノードの電位の再初期化と、
b)その後の奇数サイクルにおける第1コンデンサ内での又は偶数サイクルにおける第3コンデンサ内での保存ノードの電位のサンプリングと、
c)その後の第1ピクセルのフォトダイオードから保存ノードへの電荷の全体転送と、
d)その後の、サイクルの末尾に向かう、第2ピクセルのフォトダイオードから保存ノードへの電荷の全体転送と、
e)その後の奇数サイクルにおける第2コンデンサ内での又は偶数サイクルにおける第4コンデンサ内での保存ノードの電位のサンプリングと、
f)その後の、後続のサイクルの間における、保存ノードの電位の再初期化及び後続の偶数サイクルにおける第3コンデンサ内での又は後続の奇数サイクルにおける第1コンデンサ内でのこの電位の第2サンプリング、並びに、最後の、第2コンデンサ内に保存されているサンプルと第1コンデンサ内に保存されているサンプルの間の差の後続の偶数サイクルにおける第1コンバータによるアナログ−デジタル変換、或いは、第4コンデンサ内に保存されているサンプルと第3コンデンサ内に保存されているサンプルの間の差の第2コンバータによる後続の奇数サイクルにおけるアナログ―デジタル変換と、
の連続した動作を循環的に実行するように設計されている。
【0025】
本発明のその他の特性及び利点については、添付図面を参照して提供される以下の詳細な説明を参照することにより、明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明によるリニアセンサのピクセルの構成の図を示す。
図2】列導体にリンクされたピクセルから生じた信号を読み取る回路を示す。
図3】この読取りを許容する信号のタイムチャートを示す。
図4】読取り回路の変形形態を示す。
図5図4の変形と関連した信号のタイムチャートを示す。
図6】別の読取り回路の変形形態を示す。
図7】更に別の読取り回路の変形形態を示す。
図8図7の変形と関連した信号のタイムチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明によるセンサのピクセルの構成を示している。ピクセルの2つの隣接したラインが存在している。2つのライン内の同一ランクのピクセルは、画像の運動の方向にアライメントされた状態において、図1においては、上から下に、互いに並んだ状態で位置している。それぞれのピクセルは、光子を電荷に変換するフォトダイオードと、後から電荷を読み出すことができるように、生成された電荷を一時的に保存するべく機能する電荷保存ノードと、を有する。
【0028】
フォトダイオードは、好ましくは、所謂「ピン(pinned)」フォトダイオードであり、これは、フォトダイオードの内部電位が、光生成された電荷が存在していない状態において、そのフォトダイオードが製造されている半導体基板の電位である表面拡散に起因した固定値に維持されることを示している。
【0029】
保存ノードFDは、電荷を、その内部に放出してもよく、且つ、その電荷を読み取るために必要な時間にわたって保持してもよい浮動拡散である。
【0030】
電荷保存ノードは、2つのラインに属する同一ランクの2つのピクセルの間において共有されている。2つのピクセルの組に対応した保存ノードは、FDとして表記されている。フォトダイオードは、個別であり、且つ、従って、同一ランクのピクセルに対応したフォトダイオードの場合に、それぞれPD1及びPD’1として表記されているピクセル当たりに1つのフォトダイオードが存在している。好ましくは、物理的構造は、対称性を有しており、且つ、これにより、ピクセルは、その共通保存ノードのそれぞれの側に配置されており、その結果、2つのフォトダイオードの電荷をこれら2つのフォトダイオードの間に位置した同一の保存ノード内に放出することができるようになっている。
【0031】
同一ランクのピクセルの間の距離、即ち、例えば、これら2つのピクセルのフォトダイオードの中心の間の距離は、既知であり、且つ、2つのライン内のすべてのピクセルについて同一である。この距離は、TDIモードにおける動作のために重要である。実際に、ピクセルの2つのラインを連続的に通過する観測対象のシーンラインの運動の速度とフォトダイオードから保存ノードへの電荷転送の瞬間の間の同期を保証することが必要となる。この原理は、実際には、まずは、既定の持続時間にわたる画像部分の観測を通じてピクセルのフォトダイオード内に生成された電荷を、そして、次いで、同一の持続時間にわたって、且つ、同一の画像ポイントが第2フォトダイオードによって観測されている間に、ピクセルの他方のラインの同一ランクのフォトダイオード内において生成された電荷を、保存ノード内に放出するというものである。
【0032】
ピクセルは、個々のフォトダイオードPD1、PD’1及び共通保存ノードFDに加えて、個々の転送トランジスタT1、T’1を更に有しており、これらの転送トランジスタT1、T’1は、個々のフォトダイオードPD1、PD’1を共通保存ノードにリンクしており、且つ、これらのトランジスタのうちの一方又は他方をターンオンすることによってフォトダイオードのうちの一方又は他方の電荷の保存ノードへの転送を可能にしている。転送トランジスタT1又はT’1は、基本的に、フォトダイオード及び保存ノードに隣接した転送ゲートから構成されている。フォトダイオード及び保存ノードは、トランジスタのソース及びドレインを構成している。転送トランジスタT1は、第1ラインのすべてのピクセルに共通する導体TG1によって制御されている。転送トランジスタT'1は、センサの第2ラインのピクセルのすべてに共通する導体TG’1によって制御されている。
【0033】
2つのピクセルに共通する保存ノードを再初期化するトランジスタT2により、保存ノードの電位を基準電位VREFPに再初期化することができる。このトランジスタは、2つのラインのすべてのピクセルに共通する制御導体RSTによって制御されている。
【0034】
2つのピクセルに共通する読取りトランジスタT3は、そのゲートが保存ノードにリンクされており、且つ、保存ノードの電位に対応した電位をそのソース上に転送することができるように、電圧フォロワとして取り付けられている。そのドレインは、電源電位にリンクされており、電源電位は、電位VREFPであってもよい(但し、必須ではない)。
【0035】
最後に、2つのピクセルに共通する起動トランジスタT4により、フォロワトランジスタT3のソースを同一ランクの2つのピクセルと関連付けられた「列導体」COLと呼ばれる導体に対してリンクすることができる。ライン内のそれぞれのランクごとに、個別の列導体が存在している。起動トランジスタT4は、2つのラインのすべてのピクセルに共通する導体SELによって制御されている。このトランジスタT4及びその制御導体は、センサがピクセルの2つのラインのみを有する場合には、任意選択であり、読取りトランジスタT3のソースを列導体に対して直接的にリンクさせることができよう。トランジスタT4は、同一の列導体を使用する2つのラインのいくつかの独立したグループがセンサ上に形成されている場合には(2つのグループは、TDIモードにおいて一緒に動作していないが、グループの2つのラインがTDIモードにおいて動作している場合には)、有用であろう。
【0036】
列導体は、好ましくは、トランジスタT4がターンオンされた際にトランジスタT3が電圧フォロワとして動作できるようにする定電流源に対してリンクされている。
【0037】
フォトダイオードによって収集されると共に保存ノードFDに転送された電荷は、このノードの電位を変更し、且つ、同一ランクの2つのピクセルと関連付けられた列導体COL上において読み出される。サンプリング及びアナログデジタル変換回路が列導体の最下部にリンクされている。この回路は、すべての列に共通したものであってもよいが、その場合には、様々なピクセルを順番に読み取るように、それぞれの列導体をこの共通回路に対して順番にルーティングしなければならないであろう。但し、図1に概略的に示されているように、それぞれの列ごとに、個別のサンプリング及び変換回路CLを有することが好ましい。様々な読取り回路は、マルチプレクサにリンクされており、このマルチプレクサは、様々なピクセルに対応したデジタル化信号をデジタル出力S上において送信する。
【0038】
読取り回路の観点において、いくつかの実施形態が可能であり、且つ、本発明者らは、最も単純な実施形態から開始することとする。
【0039】
この実施形態においては、図2に示されているように、読取り回路CLは、2つのサンプリングコンデンサCr及びCsと、2つのスイッチKr及びKsと、2つのコンデンサ内に保存されている電圧の差を変換するように、その入力が2つのコンデンサに対してリンクされているアナログ−デジタルコンバータADCと、を有する。第1コンデンサCrは、保存ノードの再初期化レベルのサンプリングに専用である。第2コンデンサは、ピクセルによって収集された輝度に関する有用な情報を表すレベルのサンプリングに専用である。
【0040】
この実施形態における動作タイムチャートが図3に示されている。これらの様々なラインは、様々な導体TG1、TG’1、RSTに印加された制御信号と、スイッチKr及びKsにそれぞれ印加された信号SHR及びSHSと、を示している。
【0041】
これらの信号は、センサの前面における観測対象のシーンの運動の速度に対応した周期Tcにより、循環的に確立され、サイクルタイムTcは、ピクセル(フォトダイオードPD1)の第1ラインからピクセル(フォトダイオードPD’1)の第2ラインに通過するために観測対象のシーンラインが所要する時間である。一般に、運動は、連続的なものとなるが、不連続であると想定することも可能であり、この場合には、シーンラインは、1サイクルタイムにわたってピクセルの第1ラインの前面に留まり、且つ、次いで、ピクセルの第2ライン上に運動し、且つ、同一のサイクル時間にわたってそこに留まる。
【0042】
読取りサイクルが、図3に示されており、且つ、CYC1、CYC2、CYC3と付番されている。それぞれのサイクルは、
−保存ノードFDの電位の再初期化のためのラインRST上における短いパルスの放出と、その結果としての、このノード内に存在する電荷の放出と、
−スイッチKrを閉路するための短いパルスSHRの放出による、列導体上に存在する電位のレベルへのコンデンサCrの充電と保存ノードの再初期化レベルの通知と、
−転送トランジスタT1をターンオンする短い転送パルスのラインTG1上における放出であって、(以前のサイクルの短いパルスTG1の末尾から)以前のサイクルにおいてフォトダイオードPD1によって蓄積された電荷が保存ノードFD内に放出され、パルスTG1の開始点は、サイクルの開始点のわずかに後に、但し、それにも拘わらず、パルスSHRの末尾の後に、位置している、放出と、
−サイクルの末尾に向かう、後続のサイクルに属する(ラインRST上の)再初期化パルスの非常にわずかに前における、転送トランジスタT’1をターンオンする短い転送パルスのラインTG’1上における放出であって、(以前のサイクルの転送パルスTG’1の末尾から)このサイクルにおいてフォトダイオードPD’1によって蓄積された電荷が、フォトダイオードPD1によって以前のサイクルにおいて蓄積された電荷を既に収容している保存ノードFD内に放出される、放出と、
−その後の、サイクルの最後のステップとしての、スイッチKsを閉路すると共にコンデンサCs内において電荷のダブル放出の後の保存ノードの電位を表す電位のレベルをサンプリングする短いパルスSHSの放出と、
の動作を連続的に有する。
【0043】
注)ラインSELは、存在する場合には、少なくともパルスSHR及びSHSにおいて起動される(トランジスタT4がターンオンされる)。
【0044】
従って、コンデンサCs内には、フォトダイオードPD1によって持続時間Tcのサイクルにわたって蓄積された電荷及びフォトダイオードPD’1によって持続時間Tcの後続のサイクルにおいて蓄積された電荷の合計がサンプリングされている。フォトダイオードPD’1がサイクルタイムTcに対応したシフトを伴ってシーンを観測していることから、電荷の合計は、実際に、フォトダイオードの2つのラインによる同一の画像ラインの観測に対応しており、且つ、従って、TDIモードが有効である。コンデンサCr内に保存されている保存ノードの再初期化電位は、差分計測を実行するように機能する。
【0045】
アナログ−デジタル変換は、サイクルの末尾の後に、即ち、後続のサイクルにおいて、実行される。理論的には、パルスSHSの直後に、但し、非常に接近して後続している次のサイクルのパルスSHRの前に、アナログ−デジタル変換を実行するための時間が得られるはずである。実際には、これらのパルスが1つに非常に近接しているため、この時間は、得られない。従って、アナログ−デジタル変換は、この第2サンプリングパルスSHRの後においてのみ、実行する必要がある(図3の変換CONV1、CONV2、CONV3のために必要とされる持続時間は、先行するサイクルCYC1、CYC2、CYC3に関係している)。換言すれば、電荷保存ノードは、充填され、次いで、放出され、これにより、充填されたレベルと後から放出されたレベルの間に差が実現される。従って、これには、ダブルの、但し、相関してはいないサンプリングが伴っている。相関ダブルサンプリングには、保存ノードを空にすると共にその後に充填することにより、充填に起因した実際の寄与度を観察することが必要となろう。相関ダブルサンプリングは、それぞれの切り替えの際に保存ノードの再初期化レベルの小さな変動によって生成されるkTCノイズと呼ばれるノイズを低減するために、非常に好ましい。
【0046】
相関ダブルサンプリングを許容するために、画像センサは、第1サイクルの間において、この第1サイクルの再初期化の後に、且つ、このサイクルの電荷の2回の転送の前に、保存ノードの電位を表す第1サンプルを保存する手段と、このサイクルにおけるフォトダイオードから保存ノードへの2回の電荷転送の後の保存ノードの電位を表す電位の第2サンプルを保存する手段と、第1サンプルから、且つ、第1サンプルを失うことなしに、第2サンプルの再初期化の後に、保存ノードの電位を表す第3サンプルを別個に保存する手段と、第2サイクルにおいて、第2及び第1サンプルの間の差のアナログ−デジタル変換を実行する手段と、を有する。
【0047】
この結果、第3サンプルが収集された際に第1サンプルを失わないように、それぞれ、第1及び第3サンプルを保存するべく、2つの別個のコンデンサが設けられる。
【0048】
図4は、相関ダブルサンプリングを可能にする読取り回路の実施形態を示している。これは、3つのコンデンサCr、Cr’、及びCsと、個々のコンデンサCr、Cr’、及びCs内の列導体の電位のレベルを保存できるようにする個々の信号SHR、SHR’、及びSHSによって制御されるスイッチKr、Kr’、及びKsと、最後に、アナログ−デジタルコンバータADCの入力とコンデンサCr及びCr’の間に接続された2つのスイッチLR及びLR’と、を有する。
【0049】
この構成によれば、短いパルスSHRにおいて第1コンデンサCr内に、或いは、短いパルスCr’において第3コンデンサCr’内に、再初期化電位のレベルを保存することができる。保存ノードの充填の後の電位のレベルは、その一部については、パルスSHSにより、第2コンデンサCs内に依然として保存されている。コンデンサCsは、コンバータのもう1つの入力にリンクされている。コンデンサCsと2つのコンデンサCr又はCr’のうちの1つの間の電圧の差を変換するという目的で、スイッチLR又はスイッチLR’の作動を選択することにより、適宜、第1コンデンサCr又は第3コンデンサCr’が選択される。
【0050】
この結果、回路は、図3のタイムチャートのように、それぞれがピクセルの第1ラインから第2ラインへの画像ラインの変位の時間に対応する持続時間Tcの奇数及び偶数ランクの連続したサイクルCYC1、CYC2、CYC3に分解された図5のタイムチャートによって動作する。
【0051】
第1サイクルは、
−保存ノードFDの電位の再初期化のためのラインRST上における短いパルスの放出と、その結果としての、このノード内に存在する電荷の放出と、
−スイッチKrを閉路するための短いパルスSHRの放出により、列導体上に存在している電位のレベルへの第1コンデンサCrの充電及び保存ノードの再初期化レベルの通知と、
−転送トランジスタT1をターンオンする短い転送パルスのラインTG1上における放出であって、(以前のサイクルの短いパルスTG1の末尾から)以前のサイクルにおいてフォトダイオードPD1によって蓄積された電荷が保存ノードFD内に放出され、パルスTG1の開始点は、サイクルの開始点のわずかに後に、但し、それにも拘らず、パルスSHRの末尾の後に、位置している、放出と、
−サイクルの末尾に向かう、後続のサイクルに属する(ラインRST上の)再初期化パルスの非常にわずかに前における、転送トランジスタT’1をターンオンする短い転送パルスのラインTG’1上における放出であって、(以前のサイクルの転送パルスTG’1の末尾から)このサイクルにおいてフォトダイオードPD’1によって蓄積された電荷は、フォトダイオードPD1によって以前のサイクルにおいて蓄積された電荷を既に収容している保存ノードFD内に放出される、放出と、
−サイクルの末尾における、スイッチKsを閉路すると共に電荷のダブル放出の後の保存ノードの電位を表す電位のレベルを第2コンデンサCs内においてサンプリングする短いパルスSHSの放出と、
の動作を連続的に有する。
【0052】
第2サイクルは、パルスSHR’がパルスSHRの代わりに放出され、且つ、この結果、保存ノードの再初期化電位が、第1Cr内においてではなく、第3コンデンサCr’内においてサンプリングされるという事実を除いて、第1サイクルと同一である。第3サイクルの場合も、第1サイクルと同様となる。従って、再初期化レベルは、交互に、奇数サイクルにおいてはコンデンサCr内に、且つ、偶数サイクルにおいてはコンデンサCr’内に、保存される。
【0053】
奇数サイクルの末尾において、パルスSHSの放出の後に、コンデンサCs内に保存されている電圧とコンデンサCr内に保存されている電圧の間の差のアナログ−デジタル変換が実行される。逆に、偶数サイクルの末尾においては、パルスSHSの放出の後に、コンデンサCs内に保存されている電圧とコンデンサCr内に保存されている電圧の間の差のアナログ−デジタル変換が実行される。従って、スイッチLRは、奇数サイクルの末尾において、この変換を目的として閉路されるのに対して、変換を目的として偶数サイクルの末尾において閉路されるのは、スイッチLR’である。
【0054】
これらの変換を実行するために時間を利用可能である。実際に、コンデンサCr内に収容されている情報が変換のために使用される際には、スイッチLRが閉路され、新しい再初期化レベルが非常に迅速にサンプリングされるというという事実は、なんの障害をも生成せず、新しいレベルが、コンデンサCrのレベルを妨げることなしに、もう1つのコンデンサCr’内においてサンプリングされる。逆に、偶数サイクルの末尾においては、保存ノードの再初期化及びコンデンサCr内におけるそのサンプリングは、コンデンサCr’内に収容されている情報を妨げることがない。従って、逆ではなく再初期化レベルと再初期化に後続する電荷充填レベルの間に差が実際に実現される相関ダブルサンプリングを伴う変換を実行することが可能である。
【0055】
図4の場合には、スイッチLR及びLR’は、コンバータの1つの入力に向かってコンデンサCr又はコンデンサCr’を交互にルーティングするように機能し、もう1つの入力は、常に、コンデンサCsにリンクされている。
【0056】
図6に示されている変形実施形態においては、スイッチLR及びLR’を使用して連続したサイクルの間においてコンデンサCr又はコンデンサCr’を交互にコンバータに向かってルーティングする代わりに、読取り回路が2つのアナログ−デジタルコンバータADC及びADC’を有するようにしてもよく、これらのコンバータのうちの1つは、コンデンサCs内に収容されているサンプルとコンデンサCr内に収容されているサンプルの間の差を変換し、且つ、これらのコンバータのうちの他方は、コンデンサCs内に収容されているサンプルとコンデンサCr’内に収容されているサンプルの間の差を変換する。コンバータADC及びADC’の出力は、計測が常に相関ダブルサンプリングによって実行されるように、奇数及び偶数サイクルの間において交互に使用される。この場合には、コンデンサCr及びCr’は、スイッチLR及びLR’を伴うことなしに、コンバータに対して直接的にリンクされている。
【0057】
変換は、2つのコンバータ内において、周期Tcにより、システマチックなものであってもよく、且つ、この場合には、1つのコンバータの出力は、奇数サイクルの末尾において選択され、且つ、もう1つのコンバータの出力は、奇数サイクルの末尾において選択される。或いは、さもなければ、この代わりに、変換は、コンバータADCについては、奇数サイクルの末尾においてのみ、実行され、且つ、コンバータADC’については、奇数サイクルの末尾においてのみ、実行される。
【0058】
図7に示されている別の変形実施形態においては、2つのコンバータADC及びADC’と、コンデンサのうちの1つのコンデンサ内において、且つ、次いで、もう1つのコンデンサ内において、2つのサイクルうちの1つのサイクルにおいて有用な信号をサンプリングするように、(コンデンサCr及びCr’と同様に)交互に動作する2つのコンデンサCs及びCs’と、が設けられている。コンデンサCs及びCs’のそれぞれは、個々のコンバータの入力にリンクされている。更なるスイッチSHS’により、列の有用な信号をコンデンサCs’内に保存することができる。
【0059】
この結果、図8に示されているタイムチャートは、サンプリングパルスSHSが、パルスSHS’とちょうど同様に、2サイクル(2・Tc)の周期を有しており、且つ、パルスSHSが、パルスSHS’との関係において1サイクル(持続時間Tc)だけシフトされているという点が図5と異なっている。更には、コンバータのそれぞれは、2サイクルの周期によってサンプリングを実行する。従って、1つのコンバータADC(又は、ADC’)による変換は、もう1つのコンバータに接続されたコンデンサCs’(又は、Cs)宛てのパルスSHS’(又は、SHS)の到着の際に終了する必要がないため、変換を実行するために更なる時間が得られる。更には、コンバータのうちの一方による変換を他方のコンバータによって実行される変換が終了する前に開始してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8