特許第6101246号(P6101246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6101246-給湯システム 図000002
  • 特許6101246-給湯システム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101246
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20060101AFI20170313BHJP
   F24H 1/10 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   F24H1/00 602P
   F24H1/10 301Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-262792(P2014-262792)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-121855(P2016-121855A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2015年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 悠也
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−185233(JP,A)
【文献】 特開2004−37045(JP,A)
【文献】 特開2003−113792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 1/10
F24H 1/18
F24H 4/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器を有する給湯器と、
熱交換器に水を送水するマグネットポンプと、
熱交換器に送水される水の流量を検出する水量検出部と、
水量検出部で検出される流量に基づいて送水不良を判定する制御部と、を備え、
制御部は、マグネットポンプを作動させて熱交換器に水を送水する運転中、水量検出部で検出される流量が所定の脱調判定流量未満となった場合、一時的にマグネットポンプへの通電を停止させた後、マグネットポンプへの通電を再開させ
水量検出部で検出される流量が脱調判定流量より高い所定の第1判定流量未満を所定の第1判定時間継続した場合、管路の詰り等の経年劣化による送水不良が生じたと判定する給湯システム。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯システムにおいて、
制御部は、マグネットポンプへの通電の停止及び再開が行われても、水量検出部で検出される流量が脱調判定流量未満である場合、マグネットポンプの故障が生じたと判定する給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯システムに関する。特に、本発明は、マグネットポンプにより熱交換器に水を送水する運転が行われる給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーナで加熱される熱交換器と、熱交換器に接続された入水管路及び出湯管路と、熱交換器に水を送水するポンプと、熱交換器に送水される水の流量を検出する水量センサとを備えた給湯システムが知られている。例えば、即湯給湯システムにおいては、給湯運転が行われていないときにポンプを作動させて入水管路、熱交換器、及び出湯管路で循環路を形成して水を循環させ、管路内の水が所定温度となるように循環保温運転が行われている。また、貯湯式給湯システムでも、貯湯槽と熱交換器とを入水管路となる戻り管及び出湯管路となる往き管で接続して循環路を形成し、同様に、ポンプを作動させて貯湯槽と熱交換器との間で貯湯水を循環させ、貯湯水の温度が所定温度に維持されるように循環保温運転が行われている。さらに、風呂の追焚き回路を有する追焚き給湯システムでは、浴槽と熱交換器とを入水管路である戻り管及び出湯管路である往き管で接続して循環路を形成し、ポンプを作動させて浴槽と熱交換器との間で浴槽水を循環させ、浴槽水の温度が所定温度となるように追焚き循環運転が行われている。
【0003】
これらの給湯システムでは、水量センサで検出される流量に基づき運転中のバーナの燃焼量が制御されているが、管路の詰まりやポンプ故障等が生じると送水不良が発生する。そのため、運転が正常終了する前に水量センサで検出される流量が所定流量未満になると、送水不良が生じたと判定して、運転を強制的にエラー停止させている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−353981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記給湯システムのポンプとして、水漏れの少ないマグネットポンプが使用される場合がある。この種のマグネットポンプは、駆動源であるモータに接続された駆動用マグネットと、管路の一部を構成するケーシング内に、駆動用マグネットと隔壁を介して対向配置された従動用マグネットと、従動用マグネットに取り付けられたインペラとを有している。従って、マグネットポンプに通電してモータを駆動すると、磁気吸引力により駆動用マグネットと従動用マグネットとが回転し、それに伴ってインペラが回転することにより、送水が行われる。
【0006】
しかしながら、電源の瞬停(瞬間的な停電や瞬間的に大きな電圧降下)が生じた場合、モータの停止によって駆動用マグネットの回転は直ちに停止するが、従動用マグネットは管路内の水流によって緩やかに回転した状態となる。そのため、駆動用マグネットと従動用マグネットのマグネットカップリングが外れ、ポンプが脱調状態となる。そして、電源が瞬停から回復してポンプへの通電が再開されると、駆動用マグネットは高速で回転しはじめるが、従動用マグネットは低速で回転しているため、両マグネットの回転速度には大きな差が生じる。その結果、従動用マグネットが駆動用マグネットに固定されず、水流が停止すると、駆動用マグネットのみが回転し、送水が停止する。従って、上記のような瞬停による脱調が生じると、管路の詰りやポンプ故障等は生じていないにも関わらず、水量センサで検出される流量が所定流量未満となって、強制的に運転がエラー停止されてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、マグネットポンプを作動させることにより熱交換器に送水する運転が行われる給湯システムにおいて、瞬停による不要なエラー停止を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
熱交換器を有する給湯器と、
熱交換器に水を送水するマグネットポンプと、
熱交換器に送水される水の流量を検出する水量検出部と、
水量検出部で検出される流量に基づいて送水不良を判定する制御部と、を備え、
制御部は、マグネットポンプを作動させて熱交換器に水を送水する運転中、水量検出部で検出される流量が所定の脱調判定流量未満となった場合、一時的にマグネットポンプへの通電を停止させた後、マグネットポンプへの通電を再開させ
水量検出部で検出される流量が脱調判定流量より高い所定の第1判定流量未満を所定の第1判定時間継続した場合、管路の詰り等の経年劣化による送水不良が生じたと判定する給湯システムである。
【0009】
上記給湯システムによれば、マグネットポンプを作動させる運転中に、水量検出部で検出される流量が所定の脱調判定流量未満になると、直ちに送水不良と判定するのでなく、一時的にマグネットポンプへの通電を停止させるから、通電の停止中に従動用マグネットの回転速度が低下すれば、瞬停によりマグネットポンプのマグネットカップリングが外れて脱調が生じている場合、従動用マグネットを停止している駆動用マグネットに再度、固定することができる。そして、管路の詰りやポンプ故障等が生じていなければ、マグネットポンプへの通電を再開させることにより流量は回復するから、不要なエラー停止を回避して、運転を継続させることができる。
【0011】
そして、瞬停によりマグネットポンプの脱調が生じている場合、送水が行われないから、短時間内に流量が大きく低下する。一方、経年劣化による管路の詰りやマグネットポンプの送水能力の低下が生じている場合、脱調が生じている場合よりも流量の低下は少ない。また、上記のような経年劣化の要因によって送水不良が生じている場合、一旦低下した流量は回復し難いから、低下した流量での送水は一定時間継続する。従って、マグネットポンプの脱調による流量の低下を判断する脱調判定流量よりも高い第1判定流量未満の流量が、所定の第1判定時間継続していれば、経年劣化の要因により送水不良が生じていると判定できる。
【0012】
上記給湯システムにおいて、好ましくは、
制御部は、マグネットポンプへの通電の停止及び再開が行われても、水量検出部で検出される流量が脱調判定流量未満である場合、マグネットポンプの故障が生じたと判定する。
【0013】
上記給湯システムによれば、マグネットポンプへの通電及び再開が行われても、水量検出部で検出される流量が脱調判定流量未満であれば、マグネットポンプの故障と判定するから、確実に給湯器の停止等の対処を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明の給湯システムによれば、マグネットポンプを作動させる運転中に瞬停によるマグネットポンプの脱調が生じて流量が低下しても、マグネットポンプを脱調から復帰させることができる。これにより、不要なエラー停止を防止でき、マグネットポンプを作動させて熱交換器に水を送水する循環保温運転や追焚き循環運転等の循環運転を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る給湯システムの一例を示す概略模式図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る給湯システムにおいて循環保温運転中に送水不良を判定する制御動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明を適用した即湯給湯システムの概略模式図である。図1に示すように、本実施の形態の即湯給湯システムは、温水利用先に設けられた混合水栓P1に対して速やかに湯水を供給可能な即湯機能を備えており、熱交換器21に供給される水をバーナ22からのガスの燃焼排ガスにより加熱し湯水を生成する給湯器11と、熱交換器21に水を供給する入水管路12と、熱交換器21から混合水栓P1に湯水を出湯する出湯管路13と、水供給源Kから混合水栓P1に水を導く出水管路14と、熱交換器21をバイパスして入水管路12と出湯管路13とを接続するバイパス管路15と、熱交換器21から出湯された湯水を混合水栓P1をバイパスして、入水管路12へ導くための循環管路16とが設けられている。
【0017】
入水管路12には、上流側から順に、入水管路12を流れる水の流量を検出する水量センサ(水量検出部)24と、出湯管路13に対して熱交換器21から出湯する湯水とバイパス管路15から供給される水との混合割合を調整可能な水量分配弁26と、入水管路12内の水温を検知する入水温度センサ27とが設けられており、出湯管路13には、出湯管路13内の湯水の温度を検出する出湯温度センサ30が設けられている。
【0018】
循環管路16は、一端が、入水管路12とバイパス管路15との接続部よりも上流側で入水管路12と接続され、他端が、出湯管路13とバイパス管路15の接続部よりも下流側で出湯管路13と接続されている。また、循環管路16には、循環保温運転時に作動する循環用ポンプであるディスクタイプのマグネットポンプ31と、入水管路12から循環管路16に水が流入するのを防止する逆止弁32とが設けられている。なお、循環管路16は、出湯管路13と出水管路14とを接続するように設けられてもよい
図示しないが、本実施の形態のマグネットポンプ31は、モータ軸に固定された駆動用マグネットを有する駆動室と、インペラ軸に固定された従動用マグネット及び従動用マグネットに取付られたインペラを有するインペラ室とが隔壁を介して配設されている。従って、磁気吸引力により従動用マグネットが駆動用マグネットに固定された状態でモータが回転すると、インペラが回転して、配管の一部を構成するインペラ室内の水が下流側に送水される。
【0019】
給湯器11内には、バーナ22へのガスの供給量を調節するガス調整弁ユニット23と、給湯システム全体の運転を制御する制御ユニット(制御部)Cが設けられている。ガス調整弁ユニット23、水量センサ24、水量分配弁26、入水温度センサ27、出湯温度センサ30、マグネットポンプ31はそれぞれ、電気配線を通じて制御ユニットCに接続されている。また、図示しないが、制御ユニットCには、給湯システムの動作を指示するための操作端末が電気配線を通じて接続されている。
【0020】
制御ユニットCは、マイクロコンピュータからなり、CPU、ROM、RAM、タイマなどを備え、混合水栓P1の湯出口から所定温度の湯水を出湯する給湯運転、及び給湯運転が行われていないときに、管路内の水を保温する循環保温運転を実行する。また、図示しないが、制御ユニットCは、回路構成として、混合水栓P1が開栓されると、出湯温度センサ30で検出される出湯温度が給湯設定温度となるようにバーナ22の燃焼量を制御する給湯運転制御部と、給湯運転が行われていないときに、マグネットポンプ31を作動させて管路内に水を循環させながら、出湯温度センサ30で検出される出湯温度が保温設定温度となるようにバーナ22の燃焼量を制御する循環保温運転制御部と、マグネットポンプ31の作動を制御するポンプ制御部と、ガス調整弁ユニット23を比例制御してバーナ22へのガス量を制御するガス量制御部と、水量分配弁26の開度を調整して熱交換器21への流量を制御する流量制御部と、循環保温運転中、水量センサ24で検出される流量に基づき、マグネットポンプ31の脱調や、管路の詰り等による送水不良を判定する送水不良判定部と、送水不良を判定する判定流量や判定時間、流量、入水温度、給湯設定温度、及び燃焼量の対応関係のデータテーブルや各種運転プログラムなどが格納されたデータ格納部とを備えている。
【0021】
本実施の形態の給湯システムで給湯運転が実行される場合、使用者が混合水栓P1を開栓して、水量センサ24で検出される流量が所定の最低作動水量(例えば、2.7L/min)以上になると、制御ユニットCは、ガス調整弁ユニット23でバーナ22へ供給されるガス量を点火ガス量に調整して、バーナ22を点火する。そして、水量センサ24で検出される流量、入水温度センサ27で検出される入水温度、及び給湯設定温度に基づいて、出湯温度センサ30で検出される出湯温度が給湯設定温度となるように水量分配弁26の開度を調整するとともに、ガス調整弁ユニット23でバーナ22へのガス量を比例制御する。なお、混合水栓P1の閉栓等により水量センサ24で検出される流量が最低作動水量未満になると、バーナ22が消火される。
【0022】
次に、本実施の形態の給湯システムでマグネットポンプ31を作動させる循環保温運転が実行される場合に送水不良を判定する制御動作について、図2のフローチャートに従って説明する。なお、本実施の形態の給湯システムでは、給湯運転が実行されていない状態で、出湯温度センサ30で検出される出湯管路13内の湯水の温度が所定の保温開始温度(例えば、40℃)以下になると、循環保温運転が開始され、出湯管路13内の湯水の温度が所定の保温設定温度(例えば、60℃)以上になると、循環保温運転が停止するように設定されている。
【0023】
給湯運転が実行されていない状態で、循環保温運転が開始すると、制御ユニットCは、マグネットポンプ31に通電して、所定の回転数でモータを回転させる(ステップST1)。すると、熱交換器21内の水が、出湯管路13、循環管路16、及び入水管路12を通って、熱交換器21に帰還する循環路が形成される。
【0024】
水量センサ24で検出される流量が最低作動水量(例えば、2.7L/min)以上になると、給湯運転と同様に、点火処理を実行し、バーナ22を点火させる。そして、水量センサ24で検出される流量、入水温度センサ27で検出される入水温度、及び保温設定温度に基づいて、出湯温度センサ30で検出される出湯温度が所定の保温設定温度となるように、水量分配弁26の開度を調整するとともに、ガス調整弁ユニット23でバーナ22へのガス量を比例制御する(ステップST2)。これにより、管路内の水が加熱されるから、混合水栓P1が開栓されると、出湯管路13を通じて出湯先に速やかに湯水が供給される。
【0025】
循環保温運転中、本実施の形態の給湯システムでは、脱調、及び管路の詰り等の経年劣化の要因による送水不良やマグネットポンプ31の故障が判定される。
【0026】
まず、経年劣化の要因による流量の低下を検出するため、所定の第1判定流量(例えば、6L/min)未満の流量が、所定の第1判定時間(例えば、10秒間)継続するかどうかが判定される(ステップST3)。経年劣化により管路の詰り等が進行した場合、所定回転数でマグネットポンプ31を作動させても流量が低下するものの、瞬停により脱調が生じた場合よりも、流量の低下は少なく、また低下した流量は一定時間継続する。このため、第1判定流量には、脱調による送水不良を判定するときの脱調判定流量よりも高い流量が設定され、第1判定時間は、脱調判定時間よりも長い時間が設定される。
【0027】
循環保温運転中、第1判定流量未満の流量が第1判定時間継続しない場合(ステップST3で、No)、水量センサ24で検出される流量がモニタされ、所定の脱調判定流量(例えば、0.5L/min)未満の流量が所定の脱調判定時間(例えば、2秒間)継続するかどうかが判定される(ステップST4)。すなわち、瞬停によってマグネットポンプ31の脱調が生じた場合、駆動用マグネットと従動用マグネットとのマグネットカップリングが外れた状態となるから、駆動用マグネットが回転していても、送水が行われず、脱調前に比べて流量が大きく低下する。従って、短時間でも脱調判定流量未満の流量が検出された場合、マグネットポンプ31の脱調が生じた可能性が考えられる。
【0028】
上記脱調判定において、水量センサ24で検出される流量が脱調判定流量未満を脱調判定時間継続した場合(ステップST4で、Yes)、制御ユニットCは、送水不良回数の履歴に「1」を加算して、送水不良回数を更新し(ステップST5)、送水不良回数が所定回数(例えば、2回)でなければ(ステップST6で、No)、マグネットポンプ31への通電を一時的に所定の停止時間(例えば、10秒間)停止させる(ステップST7〜ST8)。これにより、瞬停から電源が回復して駆動用マグネットのみが高速で回転している場合、駆動用マグネットの回転が停止するから、流量が低下して従動用マグネットの回転速度が低下すると、駆動用マグネットと従動用マグネットの回転速度の差が小さくなり、磁気吸引力により従動用マグネットを駆動用マグネットに再度、固定できる。なお、マグネットポンプ31への通電の停止時間は、循環保温運転時の流量や管路の大きさ等に応じて適宜設定される。
【0029】
マグネットポンプ31への通電の停止時間が経過すると(ステップST8で、Yes)、制御ユニットCは、マグネットポンプ31への通電を再開する(ステップST9)。そして、流量が低下してバーナ22が消火されているため、上記と同様に、流量が最低作動水量以上に回復すれば点火処理を行い、循環保温運転中、水量センサ24で検出される流量が第1判定流量未満を第1判定時間継続するかどうか、及び脱調判定流量未満を脱調判定時間継続するかどうかを判定する(ステップST2〜ST4)。
【0030】
マグネットポンプ31への一時的な通電の停止及び再開後、水量センサ24で検出される流量が第1判定流量未満を第1判定時間継続せず、且つ脱調判定流量未満を脱調判定時間継続しなければ(ステップST3及びST4で、No)、経年劣化の要因による送水不良も生じておらず、またマグネットポンプ31への一時的な通電の停止及び再開によってマグネットポンプ31が脱調から復帰したと考えられるから、送水不良回数を確認し、送水不良回数が記憶されていれば、送水不良回数を「0」に戻す(ステップST10及びST11)。これにより、次回の循環保温運転時に水量センサ24で検出される流量が脱調判定流量未満に低下した場合、再度、マグネットポンプ31への一時的な通電の停止及び再開が行われるから、直ちにエラー停止が行われるのを防止できる。
【0031】
一方、マグネットポンプ31への一時的な通電の停止及び再開後、水量センサ24で検出される流量が第1判定流量未満を第1判定時間継続しないが、再度、水量センサ24で検出される流量が脱調判定流量未満を脱調判定時間継続すると(ステップST3で、No、ステップST4で、Yes)、マグネットポンプ31への一時的な通電の停止及び再開によっても送水状態が復帰しなかったと判断できる。このため、送水不良回数の履歴が所定回数(例えば、2回)となった場合(ステップST6で、Yes)、マグネットポンプ31に故障が生じたと判定してマグネットポンプ31への通電を停止させて、循環保温運転をエラー停止させる(ステップST12及びST13)。
【0032】
循環保温運転中、水量センサ24で検出される流量が徐々に低下して第1判定流量未満を第1判定時間継続する場合(ステップST3で、Yes)、経年劣化による管路の詰り等の虞があるから、図示しない操作端末等からエラー警告が報知される(ステップST14)。そして、水量センサ24で検出される流量がさらに低下して脱調判定流量よりは高いが第1判定流量よりは低い第2判定流量(例えば、4L/min)未満を第2判定時間(例えば、10秒間)継続する場合、熱交換器21に十分な流量で水が送水されず、マグネットポンプ31に負荷がかかり過ぎる不具合があるとして、マグネットポンプ31への通電を停止させて、循環保温運転をエラー停止させる(ステップST16及びST17)。これにより、経年劣化による管路の詰り等で上記不具合が生じることを防止できる。
【0033】
以上詳細に説明したように、本実施の形態の給湯システムによれば、マグネットポンプ31を作動させて熱交換器21に水を循環させる循環保温運転中、水量センサ24で検出される流量が脱調判定流量未満になると、一時的にマグネットポンプ31への通電を停止させるから、瞬停によりマグネットポンプ31の脱調が生じている場合には、駆動用マグネットの回転停止により、駆動用マグネットと従動用マグネットの回転速度の差が小さくなり、従動用マグネットを駆動用マグネットに再度、固定できる。そして、一時的に通電を停止させた後、通電を再開させることにより、マグネットポンプ31を脱調から復帰させることができる。これにより、循環保温運転をエラー停止させることなく、継続させることができる。そして、上記給湯システムによれば、エラー停止させることなく、マグネットポンプ31を脱調から復帰させることができるから、使用者は、給湯システムをリセットする必要もない。これにより、使い勝手を向上できる。
【0034】
また、上記実施の形態の給湯システムによれば、マグネットポンプ31への通電の停止及び再開を行っても、水量センサ24で検出される流量が脱調判定流量未満となった場合、マグネットポンプ31の故障と判定して、循環保温運転をエラー停止させるから、熱交換器21に送水されない状態で循環保温運転が継続されるのを確実に防止できる。
【0035】
さらに、上記実施の形態の給湯システムによれば、瞬停による脱調判定とは別に、水量センサ24で検出される流量が脱調判定流量よりも高い第1判定流量未満を第1判定時間継続する場合、管路の詰り等の経年劣化による送水不良と判定するから、脱調による送水不良と区別して判定できる。これにより、マグネットポンプ31を作動させる循環保温運転を行いながら、経年劣化による送水不良と瞬停による送水不良を判定できるから、一層、利便性の高い給湯システムを提供することができる。
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、即湯給湯システムにおける循環保温運転について説明したが、マグネットポンプを作動させて熱交換器に水を送水する運転であれば、本発明を適用することができる。また、上記実施の形態では即湯給湯システムについて説明したが、既述した貯湯槽を有する貯湯式給湯システムや追焚き循環路を有する追焚き給湯システム等のマグネットポンプを作動させる運転が行われる給湯システムに本発明を適用することができる。
(2)上記実施の形態では、マグネットポンプへの通電の停止及び再開は1回のみ行っているが、複数回行ってもよい。
(3)上記実施の形態では、経年劣化による送水不良を判定するために第1及び第2判定流量が設定されているが、1段階の第1判定流量のみが設定されてもよい。
(4)上記実施の形態では、脱調判定流量未満の流量が脱調判定時間継続するかどうかから脱調判定を行っているが、脱調判定時間の経過を待つことなく、マグネットポンプへの通電を停止させてもよい。
【符号の説明】
【0036】
11 給湯器
24 水量センサ(水量検出部)
31 マグネットポンプ
12 入水管路
13 出湯管路
21 熱交換器
31 マグネットポンプ
C 制御ユニット(制御部)
図1
図2