特許第6101318号(P6101318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビステオン グローバル テクノロジーズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許6101318表示要素を自動車内に装着するための装置
<>
  • 特許6101318-表示要素を自動車内に装着するための装置 図000002
  • 特許6101318-表示要素を自動車内に装着するための装置 図000003
  • 特許6101318-表示要素を自動車内に装着するための装置 図000004
  • 特許6101318-表示要素を自動車内に装着するための装置 図000005
  • 特許6101318-表示要素を自動車内に装着するための装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101318
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】表示要素を自動車内に装着するための装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20170313BHJP
【FI】
   B60R11/02 C
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-159940(P2015-159940)
(22)【出願日】2015年8月13日
(65)【公開番号】特開2016-41578(P2016-41578A)
(43)【公開日】2016年3月31日
【審査請求日】2015年8月14日
(31)【優先権主張番号】10 2014 111 676.3
(32)【優先日】2014年8月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505450755
【氏名又は名称】ビステオン グローバル テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ローデ
(72)【発明者】
【氏名】ディルク ノルテン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス ゴットシャルク
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル グレーバーシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】テオドロ デウス
【審査官】 森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−072479(JP,A)
【文献】 特開2008−114808(JP,A)
【文献】 特開2007−308124(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0168590(US,A1)
【文献】 特開2014−193713(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0005917(US,A1)
【文献】 特開平09−109788(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第10338304(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示要素(2)を自動車の車室内に装着するための装置(1)であって、
第1の構成要素(3a)及び少なくとも第2の構成要素(3b)からなる保持要素(3)を備え、
前記第1の構成要素(3a)は、金属、プラスチック、又は炭素のいずれかの材料でU字形に一体に形成された単一の部材であり、その両端部に互いに平行に位置合わせされた脚をそれぞれ備えており、
前記第2の構成要素(3b)は、前記車室内に配置装着されるものである
前記第1の構成要素(3a)の各脚の下端部と前記第2の構成要素(3b)の上端部とは、互いに上下方向に凹凸で嵌合された状態で接合部(5)によって連結されており、前記第1の構成要素(3a)は、前記第2の構成要素(3b)に対して前記接合部(5)の回転軸(6)を中心に枢動可能であり、
前記第2の構成要素(3b)は、前記接合部(5)の領域に配置されたトリガー要素(8)を備えており、このトリガー要素(8)は、前記接合部(5)を既定の限界値より小さい力が作用すると係止し、少なくとも前記既定の限界値の力が作用すると、前記接合部(5)の前記回転軸(6)を中心とした前記第1の構成要素(3a)の回転移動(11)ができるように構成されていることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
前記トリガー要素(8)は、前記接合部(5)を前記自動車の運転方向に固定し、前記力の作用が前記限界値に達したときに前記接合部(5)の回転移動(11)を前記自動車の前記運転方向にするように配置されるものである請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
前記トリガー要素(8)は、前記自動車の運転方向に前記接合部(5)の背面側に配置されるものである請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記トリガー要素(8)は、既定の限界点として組み込まれている請求項1乃至3の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記表示要素(2)は、前記保持要素(3)の前記第1の構成要素(3a)上に配置されるものである請求項1乃至4の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記回転軸(6)は、水平方向(x)に位置合わせされるものである請求項1乃至5の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記合部(5)は、単一の共通の回転軸(6)を有する請求項記載の装置(1)。
【請求項8】
限界停止部(7)は、前記接合部(5)の前記領域に配置され、前記接合部(5)を既定の限界値より小さい力が作用すると前記自動車の運転方向と反対方向に係止し、少なくとも前記既定の限界値の力が作用すると、前記自動車の前記運転方向と反対に接合部(5)の回転移動ができるように組み込まれている請求項1乃至の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記限界停止部(7)は、前記自動車の運転方向に接合部(5)の正面側に配置されるものである請求項記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示要素を自動車の車室内に装着し保持要素を備えるための装置に関し、保持要素は第1の構成要素及び少なくとも第2の構成要素として組み込まれる。第2の構成要素又はさらなる構成要素は、車室内に配置固定される。
【背景技術】
【0002】
特に車室の空調設備、ナビゲーション又は乗員用のエンターテインメントに関する自動車の操作は、もはや関連表示装置を含み、センターコンソール上又は上部ダッシュボード上に配置統合された共通の操作スイッチを用いて制御されるだけではなく、ダッシュボード上又はセンターコンソールの領域内に単体として配置されたタッチスクリーン及び表示要素の利用も増加している。
【0003】
以下に「表示要素」と総称されるデバイスの独立型の適用に表示要素は配置され、強い張力及び圧縮力に耐えるように固定されなければならない。また、強い張力及び圧縮力は、例えば不適正な使用によってもたらされる可能性もある。独立型として配置された、固定装着された表示要素は200N〜1000Nの範囲で異なる方向の強い張力に曝される可能性がある。
【0004】
しかしながら、同時に、独立型として配置された表示要素はいわゆる頭部衝撃試験の安全要件も満たさなければならず、試験では強い圧縮力が表示要素上に短時間加えられ、表示要素は圧縮力を受けなければならない。
【0005】
独立型として配置された、堅固で可撓性がなく装着された表示要素は、先行技術から公知であり、確かに非常に強い張力に耐えるが、表示要素は、頭部の衝撃中に生じるエネルギーの吸収に対して充分な安全性を提供しない。それゆえ、従来の実施形態では、この種の表示要素は、頭部衝撃試験の安全要件を満たさない。表示要素の公知の固定装着された配置は、低い衝撃力に適するに過ぎない。
【0006】
可動の表示装置、特に、枢動可能又は折り畳み可能な表示装置は、自動車では公知である。しかしながら、表示要素は、例えば頭部の衝撃中に生じるような圧縮力を考慮せずに枢動される。
【0007】
例えば、特許文献1(独国特許出願公開第10338304号明細書)は、頭上に配置された車両のためのエンターテインメント・システムを開示しており、特にビデオモニターを収納位置と引出し位置との間で枢動し保持するためのヒンジアセンブリ群も開示している。
【0008】
この場合、ヒンジアセンブリ群は、筐体及びビデオモニターを保持するためのモニターカバーを含む。カバーは旋回軸又は回転軸を中心に筐体上で枢動可能であるように設置される。さらに、筐体上又はカバー上に摩擦要素が配置され、摩擦要素は、カバー上又は筐体上に配置された接触面上に置かれて摺動接触して位置付けられる。摩擦要素は、回転軸から半径方向にずれている。回転軸を中心にカバーが回転することに起因して、摩擦要素は、接触面に沿って摺動する。
【0009】
さらに、駆動力として電気モータを備える装置が先行技術から公知であり、電気モータは、既定を超える張力又は圧縮力が装置に掛かると、表示要素をダッシュボード又はセンターコンソール内の停止位置に運ぶ。例えば、不適正な使用又は事故による応力が過度である場合、表示要素は電気モータを用いて保護位置に移動される。
【0010】
特許文献2(米国特許出願公開第2002/005917号明細書)は、表示要素を収容するための筐体及び表示要素を含む自動車の車室用表示装置を開示している。表示要素は、天井に配置されそれによって頭上に配置されており、回転軸を中心に使用位置と収納位置との間で枢動可能に装着される。収納位置では、表示要素は筐体内の少なくとも一部に配置されるが、使用位置では、表示面が視聴者に見えるように表示要素は筐体から突出する。表示装置は、表示要素を筐体内で収納状態に係止するためにクランプ機構をさらに提供される。
【0011】
表示装置は、例えば事故で非常に強い圧縮力に曝される間、必要に応じて車両の運転方向において天井に向かって枢動するために安全機能をさらに提供され、それによって表示要素が乗員に衝突する可能性のある物体になることを防止される。
【0012】
したがって、非常に強い圧縮力に曝されると折り畳むことができる特許文献2から公知の表示装置は、乗員の安全を目指す特性を有する。しかしながら、表示装置は、及ぼされる張力により収納位置又は使用位置のいずれかに運ばれなければならないので、表示装置は、張力に対して同時に充分な耐性を確保する目的で配置されていない。
【0013】
先行技術から公知のシステムは、筐体又は収納位置に運ばれるべき表示要素を備える特性を有し、表示要素を動かすプロセスは、圧縮力又は張力が加わることによってもたらされる。それゆえシステムは強い張力を吸収し、同時に既定の圧縮力を超えると自動車の運転方向に衝突物がないように、画定された回転軸を中心にこの方向に枢動するか又は折り畳む目的で配置されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】独国特許出願公開第10338304号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/005917号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明によって解決されるべき課題は、自由に又は堅固に設置された表示要素を自動車の車室に装着するための装置を提供することである。この装置は、車両の運転方向の強い張力を吸収でき、同時に既定の圧縮力を超えたときに衝突物が現れることなくこの方向から移動させることができる。
【0016】
装置は複雑性を最小にし、その遂行及び生産を単純にするべきである。それによって装置には最小の製造費及び維持費しか掛からず、有効な費用効果であるべきである。
【0017】
課題は、独立請求項の特性をもつ対象物によって解決される。さらなる発展は、従属の請求項に特定されている。
【0018】
課題は、表示要素を自動車の車室内に装着するための本発明による装置によって解決される。表示要素は、車室内に自由に堅固に配置される。装置は、保持要素を提供され、保持要素は第1の構成要素及び少なくとも第2の構成要素からなる。保持要素の第2の構成要素又はさらなる構成要素は車室内に配置装着される。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の概念によれば、第1の構成要素及び第2の構成要素又はさらなる構成要素が回転軸を中心に枢動可能であるように、第1の構成要素及び第2の構成要素又はさらなる構成要素は接合部により互いに連結される。トリガー要素は、接合部の領域に配置され、接合部を既定の限界値より小さい力が作用すると係止し、少なくとも既定の限界値の力が作用すると接合部の回転移動ができるように設計される。
【0020】
接合部の係止とは、接合部が堅固であり、接合部によって連結された保持要素の領域間で回転移動ができないことを意味することが理解される。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、トリガー要素は、接合部を自動車の運転方向に係止するのを促進し、接合部を力の作用が限界値に達したときに誘引し、接合部を自動車の運転方向に回転移動させるように配置される。基本的に運転方向に作用する力は、以下において圧縮力を意味することが理解される。
【0022】
本発明のさらなる発展によれば、トリガー要素は自動車の運転方向に、したがって水平方向に接合部の背面側に配置される。
【0023】
トリガー要素は、本明細書では保持要素の第2の構成要素と堅固に連結されることが好ましいので、保持要素の第2の構成要素とトリガー要素は一体として設計される。
【0024】
本発明のさらに有益な実施形態には、トリガー要素が所定の限界点として配置されることが含まれる。
【0025】
これに関する所定の限界点は、材料の機械的特性又は物理的特性と併せて構造のタイプによって決定された構造要素を意味する。例えば限界値を超える力の作用による損傷又は過負荷の場合、構造要素は、それによって潜在的な損傷を回避もしくは最小にする、又は特殊機能を果たすために明確にかつ予想通りに損傷する。
【0026】
表示要素は、好ましくは、保持要素の第1の構成要素上に配置される。保持要素の第1の構成要素と表示要素は互いに堅固に連結される。堅固な連結は、例えばクリップで留める、又は嵌め込む又はネジで連結することによって確保される。
【0027】
保持要素の第2の構成要素又はさらなる構成要素及びそれぞれの接合部に対する第1の構成要素の回転移動の回転軸は、好ましくは、水平方向に位置合わせされる。好ましくは、水平方向は、この場合自動車の同様の水平な運転方向に垂直に走る。
【0028】
本発明の好ましい実施形態によれば、保持要素の第1の構成要素は、互いに平行に位置合わせされた2つの脚からU字形に設計され、1つの交差結合部は、脚の第1の端部上に配置される。同時に脚の開放端部は、それぞれが結合部により第2の構成要素と結合される。表示要素は好ましくは脚と脚の交差結合部との間に配置される。結合部は好ましくは共通の回転軸を有する。
【0029】
本発明のさらなる発展によれば、限界停止部は接合部の領域に配置され、接合部を既定の限界値より小さい力が作用すると自動車の運転方向と反対方向に係止し、少なくとも既定の限界値の力が作用すると自動車の運転方向と反対に接合部の回転移動ができるように設計される。基本的に自動車の運転方向と反対方向に影響を及ぼす力は、以下において張力を意味することが理解される。
【0030】
本発明のさらなる実施形態によれば、限界停止部は自動車の運転方向、したがって水平方向に接合部の正面に配置される。
【0031】
同時に限界停止部は、保持要素の第2の構成要素と堅固に連結されることが好ましいので、保持要素の第2の構成要素と限界停止部は一体として設計される。
【0032】
本発明による表示要素を装着するため、特に独立型の表示要素を装着するための折り畳み可能又は枢動可能な装置は、過度の力による損傷から保護し、過度の応力から保護するために設計されている。同時に装置は画定された力、特に画定された圧縮力に耐え、さらに反対方向に作用する画定された張力にも耐えることができる。しかしながら、装置は、力がある特定の限界値を超えるとすぐに接合部により回転移動が実行されるようにも設計されている。
【0033】
原料又は限界停止部の交差部と組み合わせて使用される材料の弾性限界などの物理的特性により、装置が耐えられる最大張力を画定することができる。回転移動を誘引する可能な最大圧縮力は、さらに材料の物理的特性と組み合わせて既定の限界点としてトリガー要素の適切な構造設計を通して画定される。
【0034】
要約すれば、表示要素を装着するための本発明による装置は、以下のさらなる利益によって特徴付けられる。すなわち、単純な物理的概念により構造及び使用される要素の複雑性を最小にでき、単純で費用効果の高い製造及び維持ができる。
【0035】
本発明の実施形態のさらなる詳細、特性及び利点は、関連図を参照に以下の設計例の記載に説明されている。図面は表示要素を備えた装置を示す。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】使用位置における表示要素の正面斜視図である。
図2】使用位置における保持要素を備えた表示要素の背面斜視図である。
図3】使用位置における限界停止部及びトリガー要素を備えた保持要素の領域の拡大図である。
図4】トリガー要素を誘引後の位置における、限界停止部及びトリガー要素を備えた保持要素の正面斜視図である。
図5】トリガー要素を誘引後の位置における、限界停止部及びトリガー要素を備えた保持要素の背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1及び図2は、それぞれが使用位置に示された、表示要素2の正面斜視図における装置1、及び表示要素2の背面斜視図において保持要素3を加えた装置1を示す。表示要素2を備えた装置1は、この場合自動車のダッシュボードの上部領域又はセンターコンソールに配置される。
【0038】
表示要素2は、基本的にx、y方向に延び、奥行をz方向に有し、乗員に情報を表示するために正面に表示領域を提供され、表示要素2は、裏側で保持要素3と堅固に連結される。表示要素2及び保持要素3は、連結された単一装置を形成する。
【0039】
U字形に設計され、好ましくは金属から作成される保持要素3は、自動車の車室内のダッシュボード又はセンターコンソール上に保持要素4を用いて配置装着される。金属の他に保持要素3の材料は、プラスチック及び/又はダイアモンドもしくは石炭などの炭素であることも可能である。
【0040】
保持要素4は、この場合ネジ又はボルトを挿入するための開放端部上の開口としてU字形に設計される。表示要素2は、保持要素3の領域内に配置され、保持要素3は、脚及び脚の連結部によって包囲される。脚はこの場合垂直方向yに位置合わせされるが、脚の連結部は水平方向xに位置合わせされ、脚は互いに上端で結合される。
【0041】
保持要素3は、2つの構成要素3a及び3bに分割して設計される。第1の構成要素3aは、それぞれが接合部5により第2の構成要素3bと連結される。第2の構成要素3bは、この場合U字形領域3aの脚の下端に配置される。保持要素3の構成要素3a、3bの連結要素としての接合部5は、共通の回転軸6を有する。回転軸6は水平方向xに位置合わせされる。
【0042】
第1の構成要素3aは、回転軸6を中心に枢動可能に連結されるのと対照的に、第2の構成要素3bは、ダッシュボード又はセンターコンソールと堅固に連結される。
【0043】
第2の構成要素3bは、それぞれが限界停止部7を端部上に有し、限界停止部7は、第1の構成要素3a並びにトリガー要素8と位置合わせされる。限界停止部7は接合部5の正面領域に配置される一方で、トリガー要素8は接合部5の裏面領域に配置される。ここで言及した正面領域及び裏面領域は、それぞれ垂直方向zに広がり、接合部5の回転軸6を通る、すなわちx方向又は自動車の運転方向(driving direction)を通る面を指す。保持要素3の正面領域は、表示要素2の方向に、かつ乗員の方に向けて位置合わせされる。保持要素3の背面領域は表示要素2の逆に、かつ乗員の逆に向けて位置合わせされる。
【0044】
限界停止部7及びトリガー要素8は、接合部5を水平方向zに制限し、これは回転軸6に垂直に位置合わせされ、回転軸6も図3に示されている。図3は、装置1の使用位置における接合部5の領域並びに限界停止部7及びトリガー要素8を備えた保持要素3の拡大図を示す。
【0045】
各接合部5は、限界停止部7とトリガー要素8との間に水平方向zに配置される。限界停止部7及びトリガー要素8が保持要素3の第2の構成要素3bの一部であり、第2の構成要素3bに堅固に連結されており、それぞれが接合部5の領域の第1の構成要素3aに嵌合するので、限界停止部7及びトリガー要素8は、第1の構成要素3aが第2の構成要素3bに対して回転移動するのを防ぎ、したがって表示要素2が回転軸6を中心に回転移動するのを防ぐ。接合部5は、堅固であり、図1図3による限界停止部7及びトリガー要素8の配置では枢動しない。接合部5は固定されている。
【0046】
棒状又は短冊状に設計された限界停止部7及びトリガー要素8は、第2の構成要素3b及び保持要素3から垂直方向yに突出し、接合部5及び保持要素3の第1の構成要素3aのz方向に接触面を有する。接触面はx、y方向から広がる面上に配置され、それぞれは保持要素3の第2の構成要素3bから離れた端部上で水平方向xに位置合わせされた直線縁部によって閉ざされる。
【0047】
第1の構成要素3aは、接合部5の領域に成型物を提供され、それぞれが一方は、水平方向xに位置合わせされた直線縁部と一致し、他方は限界停止部7及びトリガー要素8の接触面と一致する。保持要素3の第1の構成要素3aの端部は、それによって同様に接合部5の領域に接触面を有し、限界停止部7及びトリガー要素8の接触面に嵌合する。それゆえ第2の構成要素3bの限界停止部7及びトリガー要素8並びに第1の構成要素3aは、互いに隣接面上に嵌合して配置される。第1の構成要素3aの縁部は、水平方向xに成型物を提供され、同時に限界停止部7の縁部に嵌合し、同様に水平方向xにトリガー要素8上に配置される。水平縁部及び垂直に位置合わせされた接触面を嵌合することにより、接合部5は安定し装置の使用中に硬質状態に保持される。
【0048】
第1の構成要素3aの成型物はさらに接合部5の領域の肘部に延在する表面を提供され、これはトリガー要素8に面する接触面と第2の構成要素3bに面する垂直端部との間に形成される。この場合肘部面は、接合部5の回転軸6に半径を有する。トリガー要素8、その結果堅固に配置された第2の構成要素3bに対する第1の構成要素3aの回転移動が誘引されると、肘部面は、第1の構成要素3aに面する第2の構成要素3bの垂直端部を通過し、回転移動に追加の障害物が現れることはない。その結果誘引に必要な圧縮力は、トリガー要素8の特有の配置及び配列によって単独に画定される。
【0049】
保持要素3の正面領域に配置された限界停止部7は、装置1に作用する張力の方向9に位置合わせされ、方向9に作用する200N〜1000Nの範囲の張力に対して設計される。これらの張力値を超えるときのみ、限界停止部7はその力に耐えられず炸裂するので、回転軸6を中心とする回転移動が張力により方向9へもたらされることが可能である。張力はこのプロセスで主に水平方向zに作用する。方向9は、張力の主要成分の方向を示す。
【0050】
装置1は、損傷することなく既定の最大張力に耐えることができる。
【0051】
図4及び図5は、保持要素3を備えた表示要素2の正面斜視図における装置1に加えて、保持要素3を備えた表示要素2の背面斜視図における装置1を示し、それぞれは、トリガー要素8を誘引後の位置にある。トリガー要素8は、方向10に作用する圧縮力の限界値を超えると、回転軸6を中心とする接合部5の回転移動1が解除される。このプロセスにおける圧縮力は張力と反対に主に水平方向zに作用する。方向10は、圧縮力の主要成分の方向を示す。
【0052】
保持要素3の後方領域に配置されたトリガー要素8は、装置1に作用する圧縮力に位置合わせされた方向10に配置され、方向10に作用する圧縮力のある特定値に対して設計される。既定の圧縮力値を超えるときのみ、トリガー要素8はその圧縮力に耐えられず炸裂するので、回転軸6を中心とする回転移動11が圧縮力により方向10へもたらされることが可能である。
【0053】
それを受けてトリガー要素8が炸裂する既定の最大圧縮力に対する耐性は、構造のタイプ、例えばトリガー要素8の交差部の設計及び使用される材料の物理的特性によって画定される。トリガー要素は、保持要素3上の規定の限界点として設計される。既定の限界点としてのトリガー要素8の材料は、金属、プラスチック及び/又は炭素を含むことができる。
【0054】
方向9への張力の最小値を超えることにより限界停止部7が炸裂し、並びに方向10への圧縮力の最小値を超えることによりトリガー要素8が炸裂し、それによって回転軸6を中心とする接合部5の回転移動の画定された誘引は、限界停止部7の交差部及びそれぞれが使用される材料の弾性限界と組み合わせたトリガー要素8によって画定される。限界停止部7の交差部及びそれぞれが使用されるそれぞれの材料の弾性限界と組み合わせたトリガー要素8により、可能な最大張力並びに可能な最大圧縮力又は衝撃力が画定され、それを受けて装置1のラッチ操作が誘引される。
【0055】
共通の回転軸6を有する接合部5の配置により、回転軸がさらに画定され、その回転軸を中心に装置1、特に表示要素2が必要に応じて回転される。
【0056】
限界値を超える圧縮力が掛かると、装置1を後方(z方向の反対方向であり自動車の運転方向を意味する)に折り畳むことができるので、例えば乗員又は乗員の頭部の衝突は後方の衝撃衝突などの間に緩和される。
【符号の説明】
【0057】
1 装置
2 表示要素
3 保持要素
3a 保持要素の第1の構成要素
3b 保持要素の第2の構成要素
4 保持要素の装着
5 接合部
6 回転軸
7 限界停止部
8 トリガー要素
9 張力の方向
10 圧縮力の方向
11 回転軸を中心とした装置の回転移動
図1
図2
図3
図4
図5