特許第6101320号(P6101320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6101320-複合基板構造及びタッチ感知装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101320
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】複合基板構造及びタッチ感知装置
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/02 20060101AFI20170313BHJP
   G02B 1/113 20150101ALI20170313BHJP
   G02B 1/18 20150101ALI20170313BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20170313BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   B32B7/02 103
   G02B1/113
   G02B1/18
   G02B5/02 C
   G06F3/041 460
   G06F3/041 490
【請求項の数】19
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-160335(P2015-160335)
(22)【出願日】2015年8月17日
(65)【公開番号】特開2016-43694(P2016-43694A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2015年8月17日
(31)【優先権主張番号】201410414518.X
(32)【優先日】2014年8月21日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512299015
【氏名又は名称】ティーピーケイ タッチ ソリューションズ(シアメン)インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】シュー イージョン
(72)【発明者】
【氏名】シュー グオシュー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン チュンヨン
【審査官】 福井 弘子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−122837(JP,A)
【文献】 特開2006−126799(JP,A)
【文献】 特開平03−017690(JP,A)
【文献】 特開2014−043600(JP,A)
【文献】 特開2003−276109(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0052041(US,A1)
【文献】 特開昭63−160139(JP,A)
【文献】 特開昭61−091838(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0107246(US,A1)
【文献】 特開2011−167914(JP,A)
【文献】 特表2009−522602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
G02B 1/113
G02B 1/18
G02B 5/02
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、
前記透明基板上に配置され、第1反射防止膜を少なくとも備える反射防止層と、
前記反射防止層上に配置された防眩層と
を備え、
前記第1反射防止膜の屈折率は前記透明基板の屈折率より大きく、
前記防眩層及び前記透明基板は、前記反射防止層の2つの反対面にそれぞれ配置され、
前記防眩層の屈折率は、前記第1反射防止膜の屈折率より小さく、
前記防眩層は、前記反射防止層から離れた粗面を有し、
前記反射防止層は、前記第1反射防止膜と前記防眩層の間に配置された第2反射防止膜を更に備え、
前記第2反射防止膜の屈折率は、前記第1反射防止膜の屈折率より小さく、前記防眩層の屈折率以下であり、
前記第1反射防止膜及び前記第2反射防止膜は蒸着法又はスパッタリング法により形成される
複合基板構造。
【請求項2】
透明基板と、
前記透明基板上に配置され、第1反射防止膜を少なくとも備える反射防止層と、
前記反射防止層上に配置された防眩層と
を備え、
前記第1反射防止膜の屈折率は前記透明基板の屈折率より大きく、
前記防眩層及び前記透明基板は、前記反射防止層の2つの反対面にそれぞれ配置され、
前記防眩層の屈折率は、前記第1反射防止膜の屈折率より小さく、
前記防眩層は、前記反射防止層から離れた粗面を有し、
前記第1反射防止膜の数は1より多く、
前記反射防止層は、少なくとも1層の第2反射防止膜を更に備え、
前記第2反射防止膜の数は、前記第1反射防止膜の数より1層少なく、
前記第2反射防止膜及び前記第1反射防止膜が交互に積層され、
前記第2反射防止膜が前記第1反射防止膜の間に挟まれ、
前記第2反射防止膜の屈折率は、前記第1反射防止膜の屈折率より小さく、前記防眩層の屈折率以下である
複合基板構造。
【請求項3】
透明基板と、
前記透明基板上に配置され、第1反射防止膜を少なくとも備える反射防止層と、
前記反射防止層上に配置された防眩層と
を備え、
前記第1反射防止膜の屈折率は前記透明基板の屈折率より大きく、
前記防眩層及び前記透明基板は、前記反射防止層の2つの反対面にそれぞれ配置され、
前記防眩層の屈折率は、前記第1反射防止膜の屈折率より小さく、
前記防眩層は、前記反射防止層から離れた粗面を有し、
前記第1反射防止膜の数は1より多く、
前記反射防止層は、第2反射防止膜を更に備え、
前記第2反射防止膜と前記第1反射防止膜の数が一致し、
前記第2反射防止膜及び前記第1反射防止膜は交互に積層され、
前記反射防止層において、前記第1反射防止膜の一つが前記透明基板に隣接し、前記第2反射防止膜の一つが前記防眩層に隣接し、
前記第2反射防止膜の屈折率は、前記第1反射防止膜の屈折率より小さく、前記防眩層の屈折率以下である
複合基板構造。
【請求項4】
前記第1反射防止膜及び前記第2反射防止膜は蒸着法又はスパッタリング法により形成される
請求項2又は3に記載の複合基板構造。
【請求項5】
疎水性を有する防汚層を更に備え、
前記防汚層の厚みは前記防眩層の厚みより小さく、
前記防汚層は、前記防眩層の前記粗面上に配置され、
前記防汚層及び前記反射防止層は、前記防眩層の2つの反対面にそれぞれ配置される
請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合基板構造。
【請求項6】
前記防汚層の主な材料は有機シロキサン又は有機ペルフルオロポリエーテルである
請求項に記載の複合基板構造。
【請求項7】
前記防汚層の厚みは、18nmと25nmの間である
請求項5又は6に記載の複合基板構造。
【請求項8】
前記防汚層の接触角は90°より大きい
請求項5〜7のいずれか一項に記載の複合基板構造。
【請求項9】
前記防汚層は、スプレー法、蒸着法、又はスパッタリング法により形成される
請求項5〜8のいずれか一項に記載の複合基板構造。
【請求項10】
前記第1反射防止膜の主な材料が酸化ニオブ、酸化チタン、酸化タンタル、酸窒化シリコン、又は窒化シリコンであり、
前記第2反射防止膜の主な材料が酸化シリコン又はフッ化マグネシウムである
請求項1〜9のいずれか一項に記載の複合基板構造。
【請求項11】
前記第1反射防止膜の屈折率が1.8より大きく、
前記第2反射防止膜の屈折率が1.5より小さい
請求項1〜10のいずれか一項に記載の複合基板構造。
【請求項12】
前記第1反射防止膜の厚みが115nmと245nmの間であり、
前記第2反射防止膜の厚みが10nmと110nmの間である
請求項1〜11のいずれか一項に記載の複合基板構造。
【請求項13】
前記反射防止層の厚みは225nmと255nmの間である
請求項1〜12のいずれか一項に記載の複合基板構造。
【請求項14】
前記防眩層の主な材料は酸化シリコンである
請求項1〜13のいずれか一項に記載の複合基板構造。
【請求項15】
前記防眩層の厚みは100nm以下である
請求項1〜14のいずれか一項に記載の複合基板構造。
【請求項16】
前記防眩層の前記粗面の表面粗さは100nm以下であり、
前記表面粗さの値は前記防眩層の厚み以下である
請求項1〜15のいずれか一項に記載の複合基板構造。
【請求項17】
前記防眩層はエッチングを伴うスプレー法により形成される
請求項1〜16のいずれか一項に記載の複合基板構造。
【請求項18】
透明基板と、
前記透明基板上に配置され、第1反射防止膜及び第2反射防止膜を少なくとも備える反射防止層と、
前記反射防止層から離れた粗面を有する防眩層と、
疎水性を有し、前記防眩層上に配置された防汚層と
を備え、
前記第1反射防止膜及び前記第2反射防止膜が交互に積層され、
前記第1反射防止膜が前記透明基板に結合され、
前記防眩層及び前記透明基板は、前記反射防止層の2つの反対面にそれぞれ配置され、
前記防汚層及び前記反射防止層は、前記防眩層の2つの反対面にそれぞれ配置され、
前記第1反射防止膜の屈折率は、前記第2反射防止膜及び前記透明基板の屈折率より個別に大きく、
前記第2反射防止膜の屈折率は前記防眩層の屈折率以下である
複合基板構造。
【請求項19】
複合基板構造と、
タッチ感知ユニットと
を備え、
前記複合基板構造は、
透明基板と、
前記透明基板上に配置され、第1反射防止膜及び第2反射防止膜を少なくとも備える反射防止層と、
前記反射防止層から離れた粗面を有する防眩層と、
疎水性を有し、前記防眩層上に配置された防汚層と
を備え、
前記第1反射防止膜及び前記第2反射防止膜が交互に積層され、
前記第1反射防止膜が前記透明基板に結合され、
前記防眩層及び前記透明基板は、前記反射防止層の2つの反対面にそれぞれ配置され、
前記防汚層及び前記反射防止層は、前記防眩層の2つの反対面にそれぞれ配置され、
前記第1反射防止膜の屈折率は、前記第2反射防止膜及び前記透明基板の屈折率より個別に大きく、
前記第2反射防止膜の屈折率は前記防眩層の屈折率以下であり、
前記タッチ感知ユニットは、前記反射防止層及び前記防眩層が配置されない前記透明基板の他面に配置される
タッチ感知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合基板構造及びタッチ感知装置に関し、特に、反射防止性、防眩性、防汚性、及び耐擦傷性を有する複合基板構造及びタッチ感知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、タッチスクリーンは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートパソコン、及び様々な電子機器に適用されることの多い表示入力装置である。表示機能に関しては、タッチスクリーンの構造設計の違いにより、タッチスクリーンのスクリーン部の反射及びぎらつきの問題がスクリーンを見たときの品質に影響を及ぼすことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、反射防止及び防眩の効果を発揮する複合基板構造及びタッチ感知装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本開示の一態様は、透明基板、反射防止層、及び防眩層を備える複合基板構造を提供する。前記反射防止層は、前記透明基板上に配置され、第1反射防止膜を少なくとも含む。前記第1反射防止膜の屈折率は前記透明基板の屈折率より大きい。前記防眩層は、前記反射防止層上に配置される。前記防眩層及び前記透明基板は、前記反射防止層の2つの反対面にそれぞれ配置される。前記防眩層の屈折率は、前記第1反射防止膜の屈折率より小さい。前記防眩層は、前記反射防止層から離れた粗面を有する。前記複合基板構造は、前記反射防止層及び前記防眩層により、反射防止及び防眩の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示は、詳細な説明及び添付図面から、より完全に理解される。これらは説明のためのみに用いられ、本開示を限定するものではない。
【0006】
図1】本開示に係るタッチ感知装置のある実施形態を示す概略図である。
図2】本開示に係るタッチ感知装置のある実施形態を示す概略図である。
図3】本開示に係るタッチ感知装置のある実施形態を示す概略図である。
図4】本開示に係るタッチ感知装置のある実施形態を示す概略図である。
図5】本開示に係るタッチ感知装置のある実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、添付図面を参照して進められる以下の詳細な説明から明らかになるであろう。同一の符号は同一の構成要素に関連する。
【0008】
<<第1の装置>>
図1は、本開示の様々な実施形態に係るタッチ感知装置1の概略図である。タッチ感知装置1は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートパソコン、表示装置などに適用することができるが、それらに限定されない。
【0009】
具体的には、タッチ感知装置1は、複合基板構造2及びタッチ感知ユニット3を備える。タッチ感知ユニット3は、複合基板構造2の下に配置される。複合基板構造2は、透明基板21、反射防止層22、及び防眩層23を備える。
【0010】
ある実施形態において、透明基板21は、タッチ感知装置1のカバーガラス構造として機能するように、ガラスにより形成される。様々な実施形態において、透明基板21は、エチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、又はその他の硬質の又は柔軟な材料により形成されるが、列挙した材料に限定されない。
【0011】
反射防止層22は、透明基板21上に配置され、第1反射防止膜221を含む。第1反射防止膜221の屈折率は透明基板21の屈折率より大きく、厚みの好ましい範囲は約225nmと約255nmの間である。それゆえ、屈折率の特性及び厚みの設定により反射光が相殺的干渉を形成することができ、反射光の強さが効果的に低減されて反射防止効果が発揮される。
【0012】
また、本実施形態の第1反射防止膜221は、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化タンタル、酸窒化シリコン、窒化シリコン、又はその他の材料から蒸着法又はスパッタリング法により形成される。材料の選択にしたがい、第1反射防止膜221の屈折率の範囲は、反射防止の好ましい効果が得られるように、約1.8より大きい。しかしながら、様々な実施形態において、第1反射防止膜221の材料、屈折率、厚み、及び製造方法は、任意に変更可能であり、ここでの開示に限定されない。
【0013】
防眩層23は、反射防止層22上に配置される。防眩層23及び透明基板21は、反射防止層22の2つの反対面にそれぞれ配置される。防眩層23は、粗面231を有する。防眩層23の屈折率は第1反射防止膜221の屈折率より小さく、防眩層23の厚みは約100nm以下である。
【0014】
ある実施形態において、防眩層23は酸化シリコン又はその他の材料からエッチングを伴うスプレー法により形成され、その結果、粗面231が形成される。粗面231の表面粗さは、約100nm以下であり、その値は防眩層23の厚み以下である。光が当たると、粗面231は光を散乱する。そのため、ユーザがタッチ感知装置1を見たとき、ぎらつきの問題が軽減される。しかしながら、ある実施形態において、粗面231は規則的に起伏する形状によって示されるが、粗面231の形態はこれに限定されないことに留意する。粗面231は、規則的に起伏する粗面でも不規則に起伏する粗面でもよく、図面に示された形態に限定されない。
【0015】
さらに、本実施形態の防眩層23に用いられる材料にしたがって、防眩層23の屈折率は約1.5より小さく、防眩層23の屈折率は第1反射防止膜221の屈折率より小さい。また、ある実施形態において、防眩層23の好ましい厚みは約100nm以下である。そのため、そのような実施形態において、防眩層23は、前述の防眩機能を有するだけでなく、防眩層23が第1反射防止膜221に適合した屈折率及び厚みを有することにより、第1反射防止膜221とともに複合反射防止構造を形成するので、防眩及び反射防止効果が同時に発揮される。
【0016】
他方、タッチ感知ユニット3は、反射防止層22及び防眩層23が配置されない透明基板21の他面に配置される。タッチ感知ユニット3は、タッチ感知の機能を発揮するために、ブラックマスク、タッチ感知電極、及び信号伝送回路を少なくとも備える。
【0017】
それゆえ、様々な実施形態によれば、タッチ感知装置1に関して、タッチ感知装置1に光が当たったときに生じる反射とぎらつきの問題が反射防止層22及び防眩層23によって軽減されるので、利用品質が向上する。
【0018】
<<第2の装置>>
図2は、本開示の様々な実施形態に係るタッチ感知装置2の概略図である。ある実施形態と比較して、図2のタッチ感知装置2は、防汚層24を更に備える。防汚層24は疎水性を有し、防汚層24の厚みは防眩層23の厚みより小さい。防汚層24は、防眩層23の粗面231上に配置される。防汚層24及び反射防止層22は、防眩層23の2つの反対面にそれぞれ配置される。それゆえ、ユーザがタッチ感知装置2の表面上で自分の指又はスタイラスをスライドさせたとき、タッチ感知装置2は汚れや傷がつきにくい。
【0019】
ある実施形態において、防汚層24の材料として主に有機シロキサン又は有機ペルフルオロポリエーテルが用いられ、防汚層24はスプレー法、蒸着法、又はスパッタリング法により形成される。これらの材料は、疎水性及び耐擦傷性を有し、約90°より大きい接触角を有する。それゆえ、汚れ物資の付着力を低下させることができ、防汚機能が発揮される。
【0020】
さらに、ある実施形態において、防汚層24の厚みの好ましい範囲は、約18nmと約25nmの間である。そのような厚みは、防汚層24が画像品質に影響を及ぼさない優れた光線透過率を持つことを確実にする。また、防眩層23の粗面231が起伏した表面形態を呈するため、表面粗さは例えば約200nmであり、粗面231の落差(drop)に対する防汚層24の厚みの比は10%より小さい。すなわち、防眩層23と比べると、防汚層24は非常に薄い膜構造に分類される。それゆえ、ある実施形態において、防汚層24は防眩層23の粗面231を覆うが、防汚層24は粗面231の凹部を埋めないので、防汚層24自体が粗面231の表面形態に類似した起伏のある粗面を形成する。したがって、粗面231による防眩効果は影響を受けない。
【0021】
他方、物体表面の親水性及び疎水性は、材料自体の特性及びその表面粗さの影響を受ける。ある実施形態において、防汚層24に用いられる有機シロキサン及び有機ペルフルオロポリエーテルは両者ともに疎水性を有する材料であり、且つ、防汚層24は粗面231の上に形成されて同一の粗面を形成するため、これらの材料の特性及び粗面の構造的適合により防汚層24の疎水性及び防汚性が向上し、反射防止層22及び防眩層23の反射防止及び防眩の効果も影響を受けない。したがって、タッチ感知装置2は、反射防止層22、防眩層23、及び防汚層24により、反射防止、防眩、防汚、及び耐擦傷の効果を発揮する。また、防汚層24が滑らかな面ではなく粗面の上に形成されているため、防汚層24及び防眩層23の間が好適に接着し、ユーザのタッチ又はスライドによって防汚層24が容易に離れ落ちたり剥がれ落ちたりしない。
【0022】
防汚層24の態様に関してある実施形態のみを説明したが、防汚層24の構造を他の実施形態に直接的かつ一義的に適用してもよく、図2に関連して上に説明した実施形態に限定されないことに留意する。
【0023】
<<第3の装置>>
図3は、本開示の様々な実施形態に係るタッチ感知装置3の概略図である。ある実施形態に比べると、図3のタッチ感知装置3は、第2反射防止膜222を更に備える。第2反射防止膜222は、第1反射防止膜221及び防眩層23の間に配置される。第2反射防止膜222は、第1反射防止膜221の屈折率より小さく防眩層23の屈折率以下である屈折率を有する。また、第2反射防止膜222及び第1反射防止膜221は、多層膜の反射防止層22を形成する。第1反射防止膜221の厚みを約115nmと約245nmの間としてもよく、第2反射防止膜222の厚みを約10nmと約110nmの間としてもよい。
【0024】
具体的には、図3の第2反射防止膜222は、その材料として主に酸化シリコン又はフッ化マグネシウムを用いて、蒸着法又はスパッタリング法により形成される。第2反射防止膜222の屈折率は約1.5より小さく、その厚みの好ましい範囲は、約10nmと約15nmの間である。ある実施形態において、第2反射防止膜222の及び透明基板21の屈折率は第1反射防止膜221の屈折率より個別に小さい。また、第2反射防止膜222及び第1反射防止膜221の屈折率及び厚みを特性比例で選択すれば、透明基板21の反射問題を効果的に軽減することができる。
【0025】
他方、ある実施形態において、第2反射防止膜222が酸化シリコンにより形成されることにより、第2反射防止膜222及び防眩層23が同一の材料で形成される。製造順については、第2反射防止膜222は防眩層23より先に形成される。第2反射防止膜222が蒸着法、スパッタリング法、及び他の真空塗布法により形成されるため、第2反射防止膜222及び第1反射防止膜221の間の接着強度を、両者の材料が異なっていても、優れたものとすることができる。その結果、防眩層23を第2反射防止膜222の上にスプレー法により形成したとき、第2反射防止膜222及び防眩層23が同一材料であるため、これらの間の接着強度を優れたままとすることができる。それゆえ、第2反射防止膜222及び防眩層23の両者を酸化シリコンで形成すると、上述した約10nmから約15nmまでの比較的薄い厚みを第2反射防止膜222の形成に用いることができ、このようにして、第2反射防止膜222、防眩層23、及び第1反射防止膜221を連合して多層膜の反射防止構造を形成することができる。ある実施形態では、第2反射防止膜222は、反射防止機能を発揮する光学膜として機能するだけでなく、第1反射防止膜221及び防眩層23の間の接着層として機能する。
【0026】
<<第4の装置>>
図4は、本開示の様々な実施形態に係るタッチ感知装置4の概略図である。ある実施形態に比べると、図4の第1反射防止膜221が2層設けられ、第1反射防止膜221及び第2反射防止膜222が交互に積層され、第2反射防止膜222が2層の第1反射防止膜221の間に挟まれている。ある実施形態によれば、2層の第1反射防止膜221は、個別に異なる厚みに設定される。それゆえ、異なる波長の入射光の透過率が制御され、反射防止層22が異なる波長レンジの入射光に対して対応する反射防止効果を発揮する。
【0027】
上述した第1反射防止膜221及び第2反射防止膜222に関して、2層及び1層の例に加えて、より多くの層を用いる他の実施形態をここで考える。第1反射防止膜221の数は1より多く、第2反射防止膜222の数は第2反射防止膜222の数より1小さい。すなわち、ある実施形態において、第1反射防止膜221及び第2反射防止膜222が交互に積層され、第2反射防止膜222が第1反射防止膜221の間に挟まれるので、反射防止層22の比較的柔軟な態様が提供される。
【0028】
<<第5の装置>>
図5は、本開示の様々な実施形態に係るタッチ感知装置5の概略図である。ある実施形態に比べると、本実施形態の第2反射防止膜222が2層設けられ、第1反射防止膜221及び第2反射防止膜222が交互に積層され、第1反射防止膜221が透明基板21に結合され、第2反射防止膜222が防眩層23に結合される。したがって、防眩層23、第1反射防止膜221、第2反射防止膜222、及び透明基板21の間の屈折率が適合したままであり、これらの構造の間の厚みの設定が利用され、反射防止層22が上述した実施形態とは異なる反射防止構造を実現する。
【0029】
同様に、第1反射防止膜221及び第2反射防止膜222の数は、上に開示した2層に限定されない。第1反射防止膜221と第2反射防止膜222の数が一致し、第1反射防止膜221が透明基板21に隣接し、第2反射防止膜222が防眩層23に隣接することが可能である。
【0030】
また、ある実施形態と同様に、第2反射防止膜222が酸化シリコンで形成される場合、防眩層23に隣接する第2反射防止膜222の厚みの好ましい範囲は約10nm及び約15nmの間であり、材料が同一で互いに隣接する防眩層23及び第2反射防止膜222が協働して反射防止構造として機能し、第2反射防止膜222が防眩層23及び第1反射防止膜221の接着層として機能し得る。
【0031】
上述した実施形態をまとめると、本開示は、反射防止層22、防眩層23、及び防汚層24の様々な相互作用により複合基板構造2の様々な態様を実現することで、タッチ感知装置5に対して反射防止、防眩、防汚、及び耐擦傷の効果を提供する。
【0032】
本開示は特定の実施の形態を参照して説明されたが、この説明は、限定する意味で解釈されることを意図していない。代替的な実施の形態だけでなく、開示された実施の形態の様々な改良が当業者にとって明らかである。このため、添付の特許請求の範囲が、本開示の真の範囲内のすべての改良をカバーする。
【0033】
本願は、出願番号が201410414518.Xであって、出願日が2014年8月21日である中国特許出願に基づき優先権を主張し、当該中国特許出願のすべての内容を本願に援用する。
図1
図2
図3
図4
図5