(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
直流非接地式電路に絶縁抵抗監視装置を接続し、切替手段を介して正極側,負極側にそれぞれ接続された分圧用抵抗体を切り替えて流れる電流値を、検出用抵抗体を有する電流検出手段で検出し、検出された電流値と電路電圧検出値を演算手段に入力して直流電路と大地間の正極側及び負極側絶縁抵抗を算出し、絶縁抵抗監視を行なうものにおいて、
前記演算手段に過渡現象時用演算部を設け、
過渡現象時用演算部は、前記切替手段により分圧用抵抗体を切り替えて分圧比変更時の過渡現象の電圧波形変化量から正極側,負極側で同じ時間幅で各別に複数回電圧を計測し、各計測値からそれぞれ正極側の時定数と負極側の時定数を求め、求めた各時定数から過渡現象が終息したときの最終電圧値を演算し、
前記演算手段の演算部は、過渡現象時用演算部が算出した過渡現象が終息したときの最終電圧値から、前記正極側及び負極側絶縁抵抗を算出するよう構成すると共に、
前記過渡現象時用演算部は、
前記検出用抵抗体の計測された今回の電圧計測値と前回に計測された電圧計測値との電圧差を微分値で求める微分演算機能と、
求まった微分値から正極側及び負極側の各時定数τa,τbを求める時定数演算機能と、
前記各時定数τa,τbから分圧比を変更したときの時間でのピーク電圧値を演算するピーク電圧演算機能と、
過渡現象が終息したときの電圧を演算する最終電圧演算機能を備えたことを特徴とした絶縁抵抗監視装置。
【背景技術】
【0002】
非接地式直流電路用の絶縁抵抗監視装置としては特許文献1が公知となっており、
図7はその特許文献1に記載された絶縁抵抗監視装置の構成図を示したものである。1は直流電源、2,3は直流電源1に接続された正極側及び負極側の電路で、電路2,3の電圧を分圧用抵抗体R1,R3で分圧する。分圧用抵抗体R1,R3の分圧点と大地間の分圧比を切替え変更する切替手段42を設け、この切替手段42と大地E間に電流検出手段43を設けて分圧用抵抗体R1,R3の分圧点と大地E間に流れる電流を検出する。
【0003】
切換手段42は、正極側と負極側の分圧用抵抗体R1,R3に補助分圧抵抗体R6を交互に接続して分圧比を変更し、それぞれ変更したときに流れる電流を電流検出手段43で検出し、検出したそれぞれの電流と電路電圧から演算手段47によって正極側電路2と大地E間、および負極側電路3と大地E間の絶縁抵抗値を算出する。算出値は、可視可能に表示する計測表示手段49または絶縁抵抗値が所定値以下となったときに警報手段50を介して警報を発するように構成される。
【0004】
なお、41は電路電圧検出手段、45は増幅回路で、電路電圧検出手段41と増幅回路45からのアナログ信号はA/D変換器46に入力されてディジタル信号に変換され、演算手段47に出力される。演算手段47は、正極側絶縁抵抗をR2、負極側絶縁抵抗をR4としたとき、各絶縁抵抗は次式で算出される。
【0005】
R2=(V4a−V4b)×V/(V4b×I5a−V4a×I5b)
R4=(V2b−V2a)×V/(V2b×I5a−V2a×I5b)
ただし、Vは電路電圧、R1,R3は分圧用抵抗体、R6は補助分圧抵抗体、R5は電流検出手段が有する検出用抵抗体で、これらの値は既知。V2,V4は電圧で、これに付されている数字の抵抗体の電圧、Iは電流を示し、これに付されている数字の抵抗に流れる電流。a,bは切替手段での切り替え時のオン接点を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図7で示す絶縁抵抗監視装置では、監視する電路と大地間に対地静電容量がないか、あってもその値は小さくて電流検出手段43で検出する検出信号に対地静電容量の影響がないものとして演算している。この検出方法は、分圧用抵抗体R1,R3の分圧比を、補助分圧抵抗体R6を正極側と負極側に交互に切り替えて変更するため、電路と大地間に大きな対地静電容量が存在すると電流検出手段43が有する検出用抵抗体R5に過渡電流が流れ電圧が安定するまでに時間がかかり、切替時間が短いと正確な電圧が計測できない。このため、電圧が安定するまで切替時間を長くすると検出に時間が掛かり過ぎるという問題があった。また、切替時間を長くするとこの間に電路電圧が大きく変動してしまうことがあり、演算結果に誤差が生じて正確な絶縁抵抗の検出ができなくなる課題があった。
【0008】
本発明が目的とするところは、短時間に、正確な絶縁抵抗の検出を可能とする絶縁抵抗監視装置と検出電圧推定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、直流非接地式電路に絶縁抵抗監視装置を接続し、切替手段を介して正極側,負極側にそれぞれ接続された分圧用抵抗体を切り替えて流れる電流値を、検出用抵抗体を有する電流検出手段で検出し、検出された電流値と電路電圧検出値を演算手段に入力して直流電路と大地間の正極側及び負極側絶縁抵抗を算出し、絶縁抵抗監視を行なうものにおいて、
前記演算手段に過渡現象時用演算部を設け、
過渡現象時用演算部は、前記切替手段により分圧用抵抗体を切り替えて分圧比変更時の過渡現象の
電圧波形変化量から正極側,負極側で同じ時間幅で各別に複数回電圧を計測し、各計測値からそれぞれ正極側の時定数と負極側の時定数を求め、求めた各時定数から過渡現象が終息したときの最終電圧値を演算し、
前記演算手段の演算部は、過渡現象時用演算部が算出した過渡現象が終息したときの最終電圧値から、前記正極側及び負極側絶縁抵抗を算出するよう構成
すると共に、
前記過渡現象時用演算部は、
前記検出用抵抗体の計測された今回の電圧計測値と前回に計測された電圧計測値との電圧差を微分値で求める微分演算機能と、
求まった微分値から正極側及び負極側の各時定数τa,τbを求める時定数演算機能と、
前記各時定数τa,τbから分圧比を変更したときの時間でのピーク電圧値を演算するピーク電圧演算機能と、
過渡現象が終息したときの電圧を演算する最終電圧演算機能を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明は、過渡現象時用演算部による過渡現象が終息したときの電圧値の演算は、
前記切替手段による切り替えで分圧比を変更したときの時間t0からt1,t2,t3,t4及び時間t5からt6,t7,t8,t9時間が経過したときの、前記電流検出手段が有する検出用抵抗体のそれぞれの電圧値V5a(t1),V5a(t2),V5a(t3),V5a(t4)、及びV5b(t6),V5b(t7),V5b(t8),V5b(t9)を計測し、過渡現象が終息したときの正極側及び負極側の最終電圧V5ar,V5brを次式で求めることを特徴とする。
V5ar=V5a(tx)−V5ac×exp^(−tx/τa)
V5br=V5b(tx)−V5bc×exp^(−tx/τb)
ただし、t0<t1<t2<t3<t4及びt5<t6<t7<t8<t9とし、txは過渡現象が終息するまでの任意時間、V5a(tx),V5b(tx)は検出用抵抗体の電圧計測値、V5ac,V5bcは時間t0及びt5での過渡応答のピーク電圧、τa,τbは時定数。
【0012】
また、本発明は、直流非接地式電路に絶縁抵抗監視装置を接続し、切替手段を介して正極側,負極側にそれぞれ接続された分圧用抵抗体を切り替えて流れる電流値を、検出用抵抗体を有する電流検出手段で検出し、検出された電流値と電路電圧検出値を演算手段に入力して直流電路と大地間の正極側及び負極側絶縁抵抗を算出し、絶縁抵抗監視を行なう方法において、
前記演算手段に過渡現象時用演算部を設け、
過渡現象時用演算部は、前記切替手段により分圧用抵抗体の切り替えたときの過渡現象の
電圧波形変化量から正極側,負極側で同じ時間幅で各別に複数回電圧を計測し、各計測値からそれぞれ正極側の時定数と負極側の時定数を求め、求めた各時定数から過渡現象が終息したときの最終電圧値を演算し、
前記過渡現象時用演算部による過渡現象が終息したときの電圧値の演算は、
前記切替手段による切り替えで分圧比を変更したときの時間t0からt1,t2,t3,t4及び時間t5からt6,t7,t8,t9時間が経過したときの、前記検出用抵抗体のそれぞれの電圧値V5a(t1),V5a(t2),V5a(t3),V5a(t4)、及びV5b(t6),V5b(t7),V5b(t8),V5b(t9)を計測し、過渡現象が終息したときの正極側及び負極側の最終電圧V5ar,V5brを次式で求めることを特徴とした絶縁抵抗監視装置の検出電圧推定方法。
V5ar=V5a(tx)−V5ac×exp^(−tx/τa)
V5br=V5b(tx)−V5bc×exp^(−tx/τb)
ただし、t0<t1<t2<t3<t4及びt5<t6<t7<t8<t9とし、txは過渡現象が終息するまでの任意時間、V5a(tx),V5b(tx)は検出用抵抗体の電圧計測値、V5ac,V5bcは時間t0及びt5での過渡応答のピーク電圧、τa,τbは時定数。
【発明の効果】
【0013】
以上のとおり、本発明によれば、分圧用抵抗体の切り替による分圧比の変更時に、直流電路と大地間の対地静電容量による過渡現象が生じても、過渡現象の終息時の最終推定電圧に基づいて検出用抵抗体による絶縁抵抗の計測を行うことで、計測時間の短縮が可能となるものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明の絶縁抵抗監視装置4の構成図を示したもので、
図7で示す特許文献1と同一部分若しくは相当する部分に同一符号を付してその説明を省略する。すなわち、本発明では、演算手段47に過渡現象終了前の電圧値を算出する過渡現象時用演算部47Aを追加したもので、他は
図7と同様である。したがって、本発明における演算手段47は、追加された過渡現象時用演算部47Aと特許文献1が有する演算部47Bを備えている。
【0016】
図1において、切替制御手段48は演算手段47からの指令により分圧比の切替手段42内の接点を切り替える。この切り替えは、正極側電路2側の分圧用抵抗体R1に接続される接点をa側接点、負極側電路3側の分圧用抵抗体R3に接続される接点をb側接点とし、一方がオンのとき他方がオフとなって所定の時間間隔でオン・オフ制御される。補助分圧抵抗体R6は、a側接点がオンのとき分圧用抵抗体R3と直列に接続されて、分圧比はR1/(R3+R6)となって分圧比が変更される。b側接点オンのときも同様に変更される。
【0017】
R2は本発明が検出監視しようとする正極側電路2と大地E間の正極側絶縁抵抗、R4は負極側電路3と大地E間の負極側絶縁抵抗で、C2は正極側電路2と大地E間の正極側対地静電容量、C4は負極側電路3と大地E間の負極側対地静電容量である。この正極側、負極側絶縁抵抗R2,R4は電路が正常の状態では無限大に近く、電路と大地間の絶縁が劣化することにより抵抗値に変化が現れる。
【0018】
今、正極側電路2と大地E間の絶縁が劣化して正極側絶縁抵抗R2が発生すると、分圧比の切替手段42の接点a側がオン、b側がオフ状態のときは、分圧用抵抗体R3に補助分圧抵抗体R6が加わり、分圧比はR1/(R3+R6)となって分圧された電流は電流検出手段43から大地Eに流れる。接点b側がオン、接点a側がオフのときには、分圧比は(R1+R6)/R3となり、分圧された電流は電流検出手段43から大地Eに流れる。
【0019】
電流検出手段43は、切替手段42で分圧比を切り替えたときに流れる電流をそれぞれ検出し、検出信号を増幅回路45、A/D変換器46を介して演算手段47に入力する。演算手段47は、それぞれの入力信号と電路電圧検出手段41からの電圧信号を基に正極側、負極側絶縁抵抗R2,R4を、過渡現象時用演算部47A及び演算部47Bで算出する。演算手段47での演算結果は、計測表示手段49において可視可能な状態で数字やグラフなどで表示する。また、警報手段50で、絶縁抵抗値が予め設定した値以下となったとき音や光によって警報を発する。
【0020】
図2は、演算手段47による演算説明用の等価回路図を示したものである。また、
図3は、
図2における分圧比の切替手段42のa側接点がオン、b側接点がオフの場合を示し、
図4は、a側接点がオフ、b側接点がオンの場合をそれぞれ示したものである。
【0021】
以下、これら各等価回路によって正極側、負極側絶縁抵抗R2,R4の抵抗値の算出について説明する。なお、式中での記号a,bの符号は、a側接点及びb側接点がそれぞれオンの状態を示し、I1〜I5及びV1〜V5はそれぞれ分圧用抵抗体、検出用抵抗体、絶縁抵抗R1〜R5に流れる電流およびその抵抗間の電圧を示す。また、R3aはR3+R6、R1bはR1+R6を示している。
【0022】
今、
図1〜
図4で示した対地静電容量C2,C4が有る状態での検出用抵抗体R5の波形は
図5(a)のようになり、過渡現象が終息したときの検出用抵抗体R5の電圧V5a=V5ar,V5b=V5brは、過渡現象が終息するまで待たないと計測できない。本発明では、この電圧V5a及びV5bを過渡現象の終息を待たずに過渡現象時用演算部47Aにより、電流検出手段に生じる電圧変化量から最終の検出電圧を演算するものである。以下過渡現象時用演算部47Aと演算部47Bによる演算を具体的に説明する。
【0023】
(1).過渡現象時用演算部47Aによる演算について
切替手段42で正極側、負極側の分圧用抵抗体R1,R3に補助分圧抵抗体R6を交互に接続して分圧比を変更したときに、電路と大地間の対地静電容量と絶縁抵抗および分圧用抵抗体と補助分圧抵抗体で電流検出手段43に生じる電圧変化量から正極側の時定数τaと負極側の時定数τbを求め、この時定数τa,τbから過渡現象が終息したときの電流検出手段における検出信号V5a,V5bを下記により演算する。
【0024】
先ず、
図6で示すように切替手段42によりa接点オンで分圧比を変更したときの時間t0からt1、t2、t3、t4時間が経過したときの検出用抵抗体の各電圧値V5a(t1) 、V5a(t2)、 V5a(t3)、 V5a(t4)を計測し、時間t2−t1の時間差と電圧V5a(t2)−V5a(t1)の電圧差から(1)式で電圧V5a(t2)の微分値V5a(t2)’を求める。
【0025】
V5a(t2)’=[V5a(t2)−V5a(t1)]/(t2−t1) … (1)
同様に時間t4−t3の時間差と電圧V5a(t4)−V5a(t3)の電圧差から(2)式で電圧V5a(t4)の微分値V5a(t4)’を求める。
【0026】
V5a(t4)’=[V5a(t4)−V5a(t3)]/(t4−t3) … (2)
ただし、同じ時間幅の微分値とするため、(t2−t1)=(t4−t3)とする。
【0027】
次に、(1)、(2)式で求めた微分値V5a(t2)’、V5a(t4)’から(3)式により時定数τaを求める。
【0028】
τa=(t4−t2)/ln[V5a(t4)’/V5a(t2)’] … (3)
ただし、lnは自然対数
次に、時定数τaからa接点オンで分圧比を変更したときの時間t0でのピーク電圧V5acを(4)式により求める。
【0029】
V5ac=[V5a(t4)−V5a(t2)]/[exp^(−t4/τa)−exp^(−t2/τa)]
… (4)
次に、過渡現象が終息したときの最終電圧V5arを(5)式により求める。
【0030】
V5ar=V5a(tx)−V5ac×exp^(−tx/τa) … (5)
ただし、txは過渡現象が終息するまでの任意の時間で、V5a(tx)はその時の電圧計測値とする。
【0031】
切替手段42によりb接点オンで分圧比を変更したときの時間t5からt6、t7、t8、t9時間が経過したときの検出用抵抗体の各電圧値V5b(t6 ) 、V5b(t7)、V5b(t8)、V5b(t9)を計測し、時間t7−t6の時間差と電圧V5b(t7)−V5b(t6)の電圧差から(6)式で電圧V5b(t7)の微分値V5b(t7)’を求める。
【0032】
V5b(t7)’=[V5b(t7)−V5b(t6)]/(t7−t6) … (6)
同様に時間t9−t8の時間差と電圧V5b(t9)−V5b(t8)の電圧差から(7)式で電圧V5b(t9)の微分値V5b(t9)’を求める。
【0033】
V5b(t9)’=[V5b(t9)−V5b(t8)]/(t9−t8) … (7)
ただし、同じ時間幅の微分値とするため、(t7−t6)=(t9−t8)とする。
【0034】
次に、(6)、(7)式で求めた微分値V5b(t9)’、V5b(t7)’から(8)式により時定数τbを求める。
【0035】
τb=(t9−t7)/ln[V5b(t9)’/V5b(t7)’] … (8)
ただし、lnは自然対数
次に、時定数τbからb接点オンで分圧比を変更したときの時間t5でのピーク電圧V5bcを(9)式により求める。
【0036】
V5bc=[V5b(t9)−V5b(t7)]/[exp^(−t9/τb)−exp^(−t7/τb)]
… (9)
次に、過渡現象が終息したときの最終電圧V5brを(10)式により求める。
【0037】
V5br=V5b(tx)−V5bc×exp^(−tx/τb) … (10)
ただし、txは過渡現象が終息するまでの任意の時間で、V5b(tx)はその時の電圧計測値とする。
なお、上記では計測点を4点として説明したが、V5a(tx)または V5b(tx)を計測する時間を等間隔とすることで任意の3点でも構わない。
【0038】
過渡現象が終息したときの最終電圧V5a、V5bで、演算部47Bを用いて正極側絶縁抵抗R2と負極側絶縁抵抗R4の演算を行う。
【0039】
(2).演算部47Bによる演算について
過渡現象が終息したときの最終電圧V5a、V5bで、演算部47Bを用いて正極側絶縁抵抗R2と負極側絶縁抵抗R4の演算を行う。
【0040】
図1〜
図4に示した対地静電容量C2,C4がない状態での検出用抵抗体R5の波形は
図5(b)のようになるため、時間t3,t4またはt8,t9で計測したときに検出用抵抗体R5の電圧値に変化が見られない。その時には、時間t3,t4またはt8,t9で計測した検出用抵抗体の電圧値をV5arまたはV5brとし、以下の手順で算出する。
【0041】
<a側接点オン、b側接点オフのとき>
最初に電路電圧Vと検出用抵抗体R5の電圧V5aを計測する。この電圧V5aからそこに流れる電流I5aをV5a/R5で求め、次に(11)式から抵抗R1に流れる電流I1aを求める。
【0042】
I1a=(V+R3a×I5a)/(R1+R3a) … (11)
そして、抵抗R1の電圧V1aは、V1a=I1a×R1で求める。
【0043】
次に、抵抗R3aに流れる電流I3aは、I3a=I1a−I5aで求まり、その電圧V3aはI3a×R3aで求まる。
次に、抵抗R2の電圧V2aは、V2a=V1a+V5aで求め、抵抗R4の電圧V4aは、V3a−V5aで求まる。
【0044】
抵抗R2に流れる電流I2aは(12)式で求まり、また、抵抗R2は(13)式で求まる。
【0045】
I2a=(V−R4×I5a)/(R2+R4)=V2a/R2 … (12)
R2=V2a×(R2+R4)/(V−R4×I5a) … (13)
<b側接点オン、a側接点オフのとき>
最初に電路電圧Vと検出用抵抗体R5の電圧V5bを計測する。この電圧V5bからそこに流れる電流I5bをV5b/R5で求め、次に(14)式から抵抗R1に流れる電流I1bを求める。
【0046】
I1b=(V+R3×I5b)/(R1b+R3) … (14)
そして、抵抗R1bの電圧V1bは、V1b=I1b×R1bで求める。
【0047】
次に、抵抗R3に流れる電流I3bは、I3b=I1b−I5bで求まり、その電圧V3bはI3b×R3で求まる。
次に、抵抗R2の電圧V2bは、V2b=V1b+V5bで求め、抵抗R4の電圧V4bは、V3b−V5bで求まる。
【0048】
抵抗R2に流れる電流I2bは(15)式で求まり、また、抵抗R2は(15)式より(16)式で求まる。
【0049】
I2b=(V−R4×I5b)/(R2+R4)=V2b/R2 … (15)
R2=V2b×(R2+R4)/(V−R4×I5b) … (16)
(13)式と(16)式による計算結果から、
V2a×(R2+R4)/(V−R4×I5a)=V2b×(R2+R4)/(V−R4×I5b) …… (17)
が成り立ち、これから負極側絶縁抵抗体R4は、
R4=(V2b−V2a)×V/(V2b×I5a−V2a×I5b) … (18)
で求まる。
【0050】
同様に、
I4a=(V+R2×I5a)/(R2+R4)=V4a/R4 … (19)
R4=V4a×(R2+R4)/(V+R2×I5a) … (20)
同様に、
I4b=(V+R2×I5b)/(R2+R4)=V4b/R4 … (21)
R4=V4b×(R2+R4)/(V+R2×I5b) … (22)
(20),(22)式の両計算結果から
V4a×(R2+R4)/(V+R2×I5a)=V4b×(R2+R4)/(V+R2×I5b)が成り立ち、これから正極側絶縁抵抗R2は、
R2=(V4a−V4b)×V/(V4b×I5a−V4a×I5b) … (23)
で求まる。