(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記昇降装置は、前記ドアが開いた状態において前記囲いボックスの内部空間側から前記乗物の車体の外側に向けて風を送る前記囲いボックスの前記壁面に設けられた送風口を備える請求項1記載の昇降装置付き乗物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の関連技術では、昇降装置の底面と凸凹の地面との間に生じ得る段差を確実に解消してスムーズに車椅子やスーツケースを昇降装置内に搬入したり昇降装置外に搬出することは保証されないという問題点があった。
【0007】
本発明の目的は、乗物への乗降をスムーズかつスピーディに行うことが可能な昇降装置付き乗物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の昇降装置付き乗物は、客室の床面の一部の領域の下方に設けられた3壁面および底面を有し、かつ、乗物の側面に設けられたドアで開閉される開放面を有する囲いボックスと、
前記囲いボックスの中を昇降する底板および対向する2つの側板からなる昇降機と、
前記囲いボックスの底面に収納される前記昇降機が降下した位置での地面との段差を解消するためのスロープ板と、
前記昇降機の領域を乗車用エリアおよび降車用エリアの2つに分ける間仕切り部材と、
を備える昇降装置
を有する。
【0009】
このように構成することにより、スロープ板により昇降装置の底面と凸凹の地面との間に生じ得る段差を確実に解消してスムーズに車椅子やスーツケースを昇降装置内に搬入したり昇降装置外に搬出することができる。
また、間仕切り部材により間仕切帯となる境界を設けることで乗車用エリアと降車用エリアを区分けして乗物への乗降をスムーズかつスピーディに行うことを可能とし、停車時間の短縮を図ることができる。
【0010】
また、本発明の昇降装置付き乗物は、前記昇降装置は、前記ドアが開いた状態において前記囲いボックスの内部空間側から前記乗物の車体の外側に向けて風を送る前記囲いボックスの前記壁面に設けられた送風口を備えることであってもよい。
このように構成することにより、囲いボックスの内部空間側から車体外側に風を送ることにより、車外から昇降装置の内部空間内に粉塵・埃・ゴミ等が入り込むことを抑制することができる。
【0011】
また、本発明の昇降装置付き乗物は、前記客室に、前記昇降機の昇降の際に前記昇降機への進入や落下を遮蔽する遮蔽部材を備えることであってもよい。
このように構成することにより、乗降客が昇降装置を利用する際に、降下し始めた昇降機に客室内に残された乗客が駆け込みで載ったり出たりする危険な行為を防止したり、物が落下することを防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、乗物への乗降をスムーズかつスピーディに行うことが可能な昇降装置付き乗物を提供することができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態における昇降装置付き乗物(バス)の構成を図面を参照しつつ説明する。なお、以下では乗物の一例としてバスを前提として詳説するが、乗物には船、電車、飛行機等が広く含まれる。
【0015】
図1に示すのは、バス50の扉51を閉めた状態の運行(走行)時等における斜視図である。
図1に示すX方向がバスの進行方向における前後方向、Y方向がバスの車幅(左右)方向、Z方向が上下(鉛直)方向を示している。左右方向は車体正面からの視点とする。
図1に示す状態では、昇降装置1は、扉51により隠れていて車外からは視認できない。すなわち、昇降装置1は、従来のバス50の車体を利用して車体外部に突出するものが一切なく車体内部の空間を工夫することのみで製作できるものである。また、昇降装置1は、バス50の車体の運転に支障がない前後輪の中間で右側面に面して配置されているが左側面であってもよい。バス50の構造上弱体化する箇所は適宜必要な補強が行われ強度が保たれている。
【0016】
昇降装置1に対向するバス50の車体の右側面にはスライド式の扉51が設けられ、昇降装置1がバス50の客室内から降下しきった状態になると扉51が開き、昇降装置1の右面側を開放して出入りを可能にする。バス50の本体の2枚の扉(長さは各1m20cm、合計2m40cm)は中央からそれぞれ左右に移動するスライド式(横開き)であり、閉まった状態では左右の扉が、扉用レールの中心に角材で設けられた戸当り70にゴム材等を利用して密に接合する。戸当り70は上・下を共にバス50の車体本体に立設し、精密かつ頑健・丈夫な構造に資するものであり、後述する間仕切り部材30としてのカーテンの片方の柱として利用することができるが、必須の構成要素ではない。さらに、扉51は、上吊り形式で、扉51の下端側のレールである1本のレールに扉51が覆い被さるように配置されている。したがって、運行時には昇降装置1の内部へ排気ガスや粉塵・埃・ゴミ等が空間内に入り込まない。
【0017】
また、バス50の運転席側の通常の昇降口52も予備として使用できるように存置されていてよい。
【0018】
図2に示す本実施の形態に係る昇降装置1(乗物としてバスを前提とする。船、電車、飛行機等を広く含む。)は、略直方体形状に組まれた3面の壁面を有する囲いボックス10と、囲いボックス10の内部で昇降する昇降機20とから主に構成されている。
図2に示すX方向がバスの進行方向における前後方向、Y方向がバスの車幅(左右)方向、Z方向が上下(鉛直)方向を示している。左右方向は車体正面からの視点とする。
以下、主に昇降装置1について説明するが、下記の図面の理解を容易化のため併せて参考にする。
図3(a)は、昇降機20が、バス50の客室内に上昇しきった状態を示す正面視における断面図である。
図3(b)は、昇降機20が、バス50の客室内から降下しきった状態を示す正面視における断面図である。
図4(a)は、昇降機20が、バス50の客室内に上昇しきった状態を示す側面視における断面図である。
図4(b)は、昇降機20が、バス50の客室内から降下しきった状態を示す側面視における断面図である。
【0019】
囲いボックス10は、バス50の客室内の床板を所定のスペースについて切り取り、この下方に地上25cm程度の高さ位置(道路の凸凹面を考慮した。)までに至る3面の壁面と底面を有し、軽量で強力な材質、例えば炭素繊維鋼材等で作製し、切り抜いた跡に車体の下方から嵌め込み密着させる。所定のスペースとは、例えば、人であれば10人〜15人程度、車椅子でも2台は一度に載せることができる広さであり、長さ寸法が2m40cm、幅寸法が70cmの略矩形であってよい。なお、所定のスペースは利用態様に応じて小型化・大型化されてもよい。
【0020】
囲いボックス10は、開放している面はバス50の後述する扉51に面し、扉51により閉ざされて内部空間を形成し、停車時に扉51が開いて乗降客が昇降装置1を使ってバス50に乗降する際には車体外側への出入口となる。
囲いボックス10の3面の壁面の右端、上端はそれぞれバス50の扉51、車体床板の車外側に密着可能にゴム部材等が付して設けられている。なお、扉51はバス50の停車中のみ開放し運行時には囲いボックス10と一体となって囲いボックス10の内部空間への排気ガスや粉塵・埃・ゴミ等の侵入を遮断する。
【0021】
図2(a)に示すように、囲いボックス10の底面のうち扉51側の辺以外の3辺(後述する昇降機20の内側の領域)と、その3辺のうち対向する2辺の中間の2箇所には角材60(例えば、高さ寸法20cm、幅寸法15cm)が付設されている。なお、1つの長辺に相当する位置の角材60は無くてもよい。角材60に囲われた広いスペースの間には2つのスロープ板11がそれぞれ収納されており、このスロープ板11は後述する昇降機20が降下しきった地点で、油圧機構により突出して(
図2(b)参照)地面との段差を解消するためのものであり、昇降機20が上昇を開始すると油圧機構により引き込まれて収納される。スロープ板11がなくても歩行者はあまり問題がないが、車椅子やベビーカーやキャスター付きキャリーケースなどでは大変であり、スロープ板11により乗車・降車をスムーズに行うことができる。
スロープ板11には、雨や雪によるスリップ抑制対策として、複数の小孔が穿設され、さらに表面に凸凹構造が設けられてもよい。
角材60には、スロープ板11用のガイドレール(不図示)が設けられている。また、スロープ板11の後端にはガイドレールの溝に適合したガイド部材が設けられ、ガイドレールの末端で停止する構成となっている。ガイドレールの末端近傍は下方に傾斜すること等によりスロープ板11の先端部分を接地させるように下降させる構造となっている。さらに好ましくは、後述する昇降機20の底板20aとの段差が生じない位置にスロープ板11を案内するガイドレール等の構造が採用される。このようなガイドレール機構は種々の公知の技術が適用されて実現されることであってよい。
【0022】
昇降機20は、底板20aと対向する2面をなす側板20bからなる。
昇降機20は、客室の床(通路)と同程度の厚み寸法で十分な強度があり、底板20aは、X方向の長さ寸法が例えば、2m40cm、Y方向の幅寸法が70cmの略矩形の板状体であるが、先に切り取った客室内の床材を使用してもよい。但し、客室の床(通路)と異なる着色が施され識別可能として安全が図られことが望ましい。
昇降機20は、囲いボックス10の対向する2面の壁面に沿って形成されている。
なお、囲いボックス10のその対向する2面の対向面側には、横揺れや振動によるズレ・移動を防止すべく昇降機20が沿って移動するためのガイドレール(不図示)が少なくとも3か所に設けられていてもよい。
また、昇降機20が客室内の床面の高さ位置まで上昇して停止した状態でガタつきなく固定し、想定外の衝撃が発生した場合等に昇降機20が落下することを防止すべく、囲いボックス10の壁面から進出後退するストッパー部材54が設けられている(
図4参照)。
上記のとおり昇降機20は、囲いボックス10に設けられたガイドレールに沿って昇降し、降下時は囲いボックス10の底面に至る地点である、囲いボックス10の底面に付設された角材60上で自動的に安着する。また、昇降機20は、上昇時はバス50の客室内の床面と一致する高さ位置で停止し、客室内の床面をなす。
昇降機20の昇降制御は不図示の駆動部(油圧を利用してシリンダを伸縮させることなど)により実施されるが、運転席において昇降機20近傍に設置された監視カメラからの映像を所定の表示装置に表示して運転者が視認して所定のボタン操作等により行ってもよく、また、助手(バスガイド等)が居る場合は手動で助手席でのボタン操作等により行ってもよい。
駆動部の揚上力はMAX1000kg〜1500kg位であることが望ましい。なお、昇降機20が昇降する際に、適切な高さで昇降動作を停止させるためのセンサーが設けられることが好ましい。
【0023】
囲いボックス10の3面の壁面の少なくともいずれかには、送風口12が、例えば2箇所設けられている。停車時に扉51が開いた状態の際に、内部空間側から車体外側へ向かって送風することにより、乗降客の乗降に伴って外からの粉塵・埃・ゴミ等が昇降機20に付着することを抑制する。なお、図示しない送風機構がバス50の車体に設置されている。
【0024】
また、変形例として、
図5、
図6に示すように、囲いボックス10の3面の壁面の少なくともいずれかには、パイプ12aとパイプ12bが敷設(埋設)されていることであってもよい。なお、図示しない送風機構(小型コンプレッサなど。)がバス50の車体に設置され、パイプ12aとパイプ12bが接続されている。
パイプ12aの所定位置には多数の小孔が設けられており、停車時に扉51が開いた状態の際に、内部空間側から車体外側へ向かって送風することにより、乗降客の乗降に伴って外からの粉塵・埃・ゴミ等が昇降機20に付着することを抑制する。
パイプ12bは、バス50の高温の排気ガス用の排気管の中を通るように配管してあり、これによりパイプ12bの内部空気の温度をある程度上昇させて、パイプ12bの所定位置に設けられた多数の小孔から温風を排出することにより、寒冷地等において寒い外で待っていた乗客を暖めることができる。なお、高温の排気ガスの熱を利用して、暖房を実現する原理は、バス50の車内全体にも適用可能である。
【0025】
また、さらなる変形例として、囲いボックス10の3面の壁面の少なくともいずれかには、下方に所定の大きさ(例えば径5cmの円形)の第一の送風口が複数箇所設けられると共に、上方に所定の大きさ(例えば径15cmの円形)の第二の送風口が1箇所設けられ、それぞれの後ろ側に設けられたパイプ12aとパイプ12bの一端側の開口部について、パイプ12aは第一の送風口のいずれかと、パイプ12bは第二の送風口に対応する箇所に位置させられることであってもよい。なお、送風機構(小型コンプレッサなど。)がバス50の車体に設置され、パイプ12aとパイプ12bが接続されている。
パイプ12aの一端側の開口部から複数の第一の送風口を通して、停車時に扉51が開いた状態の際に、内部空間側から車体外側へ向かって送風することにより、乗降客の乗降に伴って外からの粉塵・埃・ゴミ等が昇降機20に付着することを抑制する。
パイプ12bは、バス50の高温の排気ガス用の排気管の中を通るように配管してあり、これによりパイプ12bの内部空気の温度をある程度上昇させて、パイプ12bの一端側の開口部から1つの第二の送風口を通して温風を排出することで、寒冷地等において寒い外で待っていた乗客を暖めることができる。なお、高温の排気ガスの熱を利用して、暖房を実現する原理は、バス50の車内全体にも適用可能である。
【0026】
図2(a)に示すように、間仕切り部材30が油圧機構等により、カーテン状(蛇腹状)に折り畳まれた状態から、所定の厚み寸法の板状(昇降機20の底板20aから120cmの高さ寸法)に伸展され、昇降機20のスペースを2つの領域(乗車用エリア、降車用エリア)に分割・分離して、乗降客の乗り降りをスムーズかつスピーディに行うことを可能とする機能を有している。
なお、間仕切り部材30は必要に応じてカーテン状(蛇腹状)に折り畳まれたままの状態として、より多人数、車椅子等の乗降を容易にすることであってもよい。そして、カーテン状(蛇腹状)に折り畳まれた状態にある場合には、囲いボックス10の所定の壁面に収納されることであってもよい。
間仕切り部材30は、例えばカーテンであり、その場合、
図2(a)、(b)に示すように、上部カーテンレール71は囲いボックス10と戸当り70にわたって架設されており、カーテンの下方には重りを付けておいてもよい。このようにすると、昇降機20の乗車用エリアと降車用エリアを間違った場合でも、カーテンをくぐってエリア間を移動することが可能となる。
【0027】
なお、バス50の客室内には、遮蔽部材40としての所定の柵(高さ寸法120cm)が、昇降区域(床板を切り取られた所定のスペース)を囲うように設置されている。遮蔽部材40は、乗降客が昇降装置1を利用する際に、降下し始めた昇降機20に客室内に残された乗客が駆け込みで載ったり出たりする危険な行為を防止したり、物が落下することを防止する機能を有している。昇降機20が降下し始め、客室内の床(通路)と段差が生じた状態での、昇降機20への駆け込み・落下等を遮蔽して安全性の向上が図られている。
遮蔽部材40は、帯状の幕や横に二本の仕切り棒状(パイプ等)であってもよく、折り畳み式の幕の場合は15cm〜20cmの幅寸法の軽量化が図られた伸縮性幕であっても、蛇腹折り畳み式、カーテン式などであってもよい。
遮蔽部材40は、スライド式や観音開き式等の開閉機構を備え、昇降機20の利用に際して、適宜、自動又は手動で開閉することができる。
【0028】
上記のように構成された本実施の形態に係る昇降装置1を有するバス50における乗降客を乗降させるフローを以下に説明する。
バス50が運行(走行)中であり、客室内に乗客がおり、昇降機20の底板20aは、バス50の客室内の床面と一致する高さ位置で停止している状態から説明を始める。
なお、すべての動力は油圧装置(油圧工法)で実現されてよく、油圧装置用の補助バッテリをバス50に搭載しておき、事故等の非常時に活用することであってもよい。
【0029】
まず、バス50が停車した際(或いは停車するまで)に、降車を希望する乗客は、昇降機20のスペースが2つの領域(乗車用エリア、降車用エリア)に分割されているので、降車用エリア側(
図2の「降」マークが付されている領域)に載る。その近傍には、磁気カードのリーダ・ライタからなる自動改札機53が設置されており、降車の際のカード読み取り処理が行われてもよい。
なお、料金の徴収方法について、混乱や混雑防止のため車内に予め目立つように掲示しておき、色別の乗車券や利用カードを、助手が目視で確認したり、運転者がカメラによる画像をディスプレイ上で確認したり、さらに、料金を支払った乗客のみが昇降機20の領域の上に載ることができるようにするなどの種々の公知の仕組みが採用されてよい。
【0030】
次に、運転者や助手の操作に応じて、囲いボックス10に設けられたストッパー部材54が後退した後、駆動部が、昇降機20を囲いボックス10の中において角材60の高さ位置まで降下させる(
図3、
図4参照)。なお、ストッパー部材54は、囲いボックス10の内部に丸状に設備されて居り、昇降機20側には丸状の穴が設けられて居りそこに囲いボックス10の方から差込んで止め、また離すときは囲いボックス10の方から引き抜く。このとき昇降機20は油圧で留められている。
また、所定のセンサーにより昇降機20が下降を開始した時点を検知し、遮蔽部材40としての柵を閉じる。これにより、降下し始めた昇降機20に駆け込みで客室内に残っていた乗客が載ること等を防止することができる。さらに、客室内で遮蔽部材40が昇降区域の周囲を区画するため、床面にぽっかり開く穴に乗客が誤って落下したり、物を落とすことを予防することができる。
【0031】
次に、昇降機20は、囲いボックス10の中において角材60の高さ位置まで降下すると、囲いボックス10の底面に付設された複数の角材60(20cm×15cm)上で重量が分散されながら自動的に安着する。その後、バス50の車体側面にある扉51が開かれる(
図2参照)。
そして、送風機構により、囲いボックス10の壁面に設けられた複数の送風口12(或いはパイプ12a)から、昇降装置1の内部空間側からバス50の車体外側へ向かって送風を開始する。
また、囲いボックス10の底面に収納されているスロープ板11が自動的に油圧等でガイドレールに沿って突出し、この際、ガイドレールの末端近傍は下方に傾斜する構造等であるためスロープ板11の先端部分は自重等とも相俟って地面に接地することとなる。
したがって、バス50が停車している状態で高齢者、車椅子やベビーカー、両手にスーツケース等を持った利用者等がスロープ板11を通ってスムーズに降車することができる。
【0032】
一方、バス50に乗車する場合には、上記の降車とは基本的に逆のフローとなる。
バス50が停車している際に、停留所等で待機していた乗車を希望する利用客は、運転者や助手の操作に応じて、伸展させられた間仕切り部材30(例えばカーテンである。)により、昇降機20のスペースが2つの領域(乗車用エリア、降車用エリア)に分割されるので、乗車用エリア側(
図2の「乗」マークが付されている領域)に載る。これにより、昇降機20のスペースを2つの領域(乗車用エリア、降車用エリア)に分割して、乗降客の乗り降りをスムーズかつスピーディとすることを可能とする。その近傍には、磁気カードのリーダ・ライタからなる自動改札機53が設置されており、乗車の際のカード読み取り処理が行われてもよい。
【0033】
そして、バス50の車体側面にある扉51が閉じられ(このタイミングでパイプ12bから温風が排出されることであってもよい。)、運転者や助手の操作に応じて、間仕切り部材30(例えばカーテンである。)が折り畳まれた状態になり、囲いボックス10の所定の壁面に収納される。その後、運転者や助手の操作に応じて、駆動部が、昇降機20をバス50の客室内の床面と一致する高さ位置まで上昇させる(
図3、
図4参照)。
また、所定のセンサーにより昇降機20がバス50の客室内の床面と一致する高さ位置まで到達した時点を検知し上昇を停止させ、これにより、昇降機20に載っている利用客が客室内へ進み、座席に座ったり、立ったまま手摺・吊革につかまること等ができる。また、車椅子や大きな荷物等は邪魔にならない程度であれば昇降機20に載せたまま残しておいてもよい。
さらに、運転者や助手の操作に応じて、ストッパー部材54が突出して昇降機20と一体になり安定させる。
続いて、運転者や助手の操作に応じて、突出して昇降機に接合し安定する。
【0034】
昇降機20に載っていた利用客が全員客室内へ進み終わったら送風が止まり、スロープ板11が囲いボックス10に収納され、扉51も閉じられバス50が運行可能な状態となる。
【0035】
なお、例えばドア51の開閉、昇降はバス50のパーキングブレーキ作動時のみ動作可能とすることにより安全が図られる。
【0036】
上記の本実施の形態によれば、昇降機20は、一時に多くの人や車椅子等を載せて素早く昇降し、バス50の外部と客室内との移動経路を確保することでバスへの乗降を容易にするとともに、バス50への乗降をスムーズ、スピーディとすることを可能とし、さらに安全で清潔な昇降装置付き乗物を実現することができる。
【0037】
さらに、昇降機20(或いは昇降装置1)を左右に2つ並べて設置し、一方が上昇するタイミングで他方を下降するように運用すれば、バス50への乗降を同時並行的に実施することができ、バス50への乗降をよりスムーズ、スピーディとすることが可能となる。
【0038】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されてよい。
例えば、昇降機20に引出し式の椅子が設けられ、病弱の乗客等の便宜が図られることであってもよい。
【解決手段】客室の床面の一部の領域の下方に設けられた3壁面および底面を有し、かつ、乗物の側面に設けられたドアで開閉される開放面を有する囲いボックスと、前記囲いボックスの中を昇降する底板および対向する2つの側板からなる昇降機と、前記囲いボックスの底面に収納される前記昇降機が降下した位置での地面との段差を解消するためのスロープ板と、前記昇降機の領域を乗車用エリアおよび降車用エリアの2つに分ける間仕切り部材と、を備える昇降装置を有する昇降装置付き乗物。