(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発光式標識板は、近接センサーが移動体を検知したときに標識文字などを表す面発光体を発光させて、移動体の運転手や歩行者に標識を強く意識させるようになされている。本件は、これとは異なる構成によって、誘目性の高い発光標示が可能な道路標識装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る道路標識装置は、第一の道路標識と、該第一の標識の縦方向又は横方向に配置された第二の道路標識とを備え、
前記第一の道路標識及び第二の道路標識には、透光性の表示板と発光体とがそれぞれ設けられ、
前記各表示板の後方から前記各発光体からの光が透過されて前記各表示板の前方へ発光標示するようになされると共に、
前記各発光体が点滅発光して、前記第一の道路標識の表示板と前記第二の道路標識の表示板とがそれぞれ点滅発光標示し、
前記第一の道路標識の表示板と、該第一の道路標識と標示内容及び外形が異なる前記第二の道路標識の表示板とがそれぞれ交互に発光表示する
ように設けられており、
前記第二の道路標識は、前記第一の道路標識と別体に形成され、該第一の道路標識が取り付けられた支柱に取り付けられて、前記第一の道路標識に対して上下縦方向に間隔をあけて配置されており、
別体に形成されると共に外形が異なる前記第一の道路標識と第二の道路標識とがそれぞれ交互に発光表示することを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係る道路標識装置によれば、第一の道路標識と、この第一の標識の縦方向又は横方向に配置させた第二の道路標識とを備え、前記第一の道路標識と第二の道路標識に、透光性の表示板と発光体とをそれぞれ設けて、前記各表示板の後方から前記各発光体からの光を透過させて前記各表示板を前方へ発光標示させるので、夜間でも各表示板の標示が容易に視認できる。
また、前記各発光体が点滅発光して、前記第一の道路標識の表示板と前記第二の道路標識の表示板とがそれぞれ点滅発光標示するので、異なる2箇所で点滅発光することで観者の注意が引きつけられ、各表示板の標示への誘目性が高められる。
【0008】
また、前記第一の道路標識の表示板と前記第二の道路標識の表示板とがそれぞれ交互に発光標示するように、前記各発光体を点滅発光させ
るので、発光により表される標示内容と共に、標示位置が変化するように視認されるので、各表示板の標示への観者の誘目性がより高められ
る。
【発明の効果】
【0009】
発明に係る道路標識装置によれば、誘目性の高い発光標示ができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図面において、1は道路標識装置である。
本実施形態の道路標識装置1は、上方に配置された第一の道路標識2と、その真下に配置された第二の道路標識5とを備えており、これらは立設された支柱Pにそれぞれ取り付けられている。
【0012】
本実施形態の第一の道路標識2と第二の道路標識5とは、多角形形状に形成された表示部と、その周囲を囲う枠部とを備えている。
具体的には、本実施形態の第一の道路標識2は、一時停止場所を示す規制標識であり、逆三角形状に形成された表示部3と、その周囲を囲う枠部4とを備えている。
前記表示部3は、赤色の背景に、逆三角形状の縁に沿って表される白色の枠線表示と、中央付近に表される白色の「止まれ」の文字表示が形成されている。
【0013】
枠部4は、表示部3の3個の辺に沿ってそれぞれ配置された直線形状の3本の枠材4aと、表示部3の3個の隅部分にそれぞれ配置された円弧形状の連結部材4bとを備え、各枠材4aの端をそれぞれ連結部材4bで固定して連結させて、逆三角形のリング状の枠部4を形成させている。
本実施形態の枠材4aはアルミニウム押出形材により形成し、連結部材4bはアルミダイカストで形成させているが、これに限るものではなく、他の金属や樹脂などを材料に用いて形成させてもよい。
【0014】
第一の道路標識2の上部には、縦断面が三角形状に形成された発電部Bが後方へ突出するように取り付けられて設けられている。
上方へ向けられた発電部Bの上面には太陽電池B1が設けられ、この太陽電池B1で生起された電力を発電部B内に内装された蓄電部B2へ蓄えるようになされている。
蓄電部B2は、後述する発光体81及び発光体91へ電気的に接続されており、蓄えた電力を供給してこれらを発光させるように設けられている。
また、発電部Bには、発光体81及び発光体91の点灯と消灯とを制御する制御部(図示せず)が内装されている。
【0015】
図3は
図1の第二の道路標識5を示す正面図である。
本実施形態の第二の道路標識5は、横断歩道の存在を示す指示標識であり、五角形形状に形成された表示部6と、その周囲を囲う枠部7とを備えている。
前記表示部6は、青色の背景に、五角形形状の縁に沿って表される白色の枠線表示と、中央付近に表される白色の歩行者の図形表示が形成されている。
【0016】
枠部7は、表示部6の左上、右上、左横、右横、下の5個の辺に沿ってそれぞれ配置された直線形状の5本の枠材7aと、表示部6の上端、左下、右下に位置する3個の隅部分にそれぞれ配置された円弧形状の連結部材7bとを備えている。そして、左上と右上に配置された枠材7aの端同士、及び左横と下に配置された枠材7aの端同士、及び右横と下に配置された枠材7aの端同士を、前記各連結部材7bによりそれぞれ固定して連結させて、五角形形状のリング状の枠部7を形成させている。
また、右上と右横に配置された枠材7aの端同士、及び左上と左横に配置された枠材7aの端同士は、前記連結部材7bとは異なる固定部材(図示せず)によってそれぞれ固定されている。
本実施形態の枠材7aは、前記枠材4aと同じ断面形状のアルミニウム押出形材により形成させており、また、本実施形態の連結部材7bはアルミダイカストで形成させているが、これに限るものではなく、他の金属や樹脂などを材料に用いて形成させてもよい。
【0017】
図4は
図2のA−A断面図である。
図4においては、図の簡略化のために発電部Bの図示を省略している。
本実施形態の枠材4aは、第一の道路標識2の表示部3の端に配置される支持部41と、この支持部41から表示部3の内側へ突出する板形状の抱持部42を備えている。この抱持部42は、支持部41の全長に亘り、その前側及び後側からそれぞれ1個づつ合計2個突出して形成されており、この支持部41と各抱持部42により枠材4aは断面コの字形状に形成されている。
【0018】
各枠材4aは、突出する各抱持部42の間に前記表示部3の縁を挿入させて、表示部3を固定させている。
具体的には、前記表示部3は、透光性を有する表示板31と、その後方に配置させた導光板32と、更にその後方に配置させた背面板33とを備えており、各抱持部42の間に表示板31、導光板32、背面板33の三つの辺の縁をそれぞれ挿入させた各枠材4aの、それぞれの端を各連結部材4bで連結させてリング状の枠部4に形成させることで、表示板31、導光板32、背面板33がそれぞれ枠部4から外れないように設けている。
また、表示板31と導光板32との間、及び導光板32と背面板33との間には、隙間を設けてパッキンSを取り付けており、このパッキンSは各枠材4aの各抱持部42間に挿入されるように、表示板31、導光板32、背面板33のそれぞれの縁付近に取り付けている。
【0019】
3本の枠材4aの内、表示部3の上方に配置させた枠材4aには、各抱持部42の間に収納させて照明部8を取り付けている。
具体的には、本実施形態の照明部8は直線棒状に形成させ、前記枠材4aの略全長に亘るように取り付けており、表示板31、導光板32、背面板33の縁と、枠材4aの支持部41の内側面との間に配置させている。
【0020】
照明部8は、下方に開口する断面コの字形状の直線棒状のホルダ83を備え、このホルダ83の長手方向に長い基板82をホルダ83の内側に収納させて取り付けている。
そして、この基板82の下面には、発光ダイオードである発光体81を長手方向に沿って等間隔に複数並設させている。各発光体81は、下方へ向けて発光するように基板82に取り付けており、照明部8は各発光体81からの光がホルダ83の開口から下方へ向けて発せられるように設けている。
【0021】
前記導光板32は、その上方の縁が前記各発光体81の真下に位置するように配置させており、各発光体81からの光が導光板32の縁からその内側へ入光するように設けている。
本実施形態の導光板32は、無色透明な板体に形成され、その後面の全体に亘って多数の光拡散体32aをドット状に付着させて設けている。これは、導光板32の縁から入光した光が各光拡散体32aに反射され、導光板32の前面側を面発光させるように構成されている。
また、本実施形態の導光板32は、後面にドット状の光拡散体32aを設けた構成を用いているが、これに限るものではなく、縁から入光させた光によって前面側を面発光させる導光板であれば好適に用いることができる。例えば、透光性を有する乳白色に形成された導光板などを用いてもよい。
【0022】
背面板33は、金属板や樹脂板などを好適に用いることができ、本実施形態の背面板33はアルミニウム板で形成されている。また、本実施形態の背面板33は、前面側を全面に亘り白色に塗装しており、前面側に配置された導光板32からの光を効率的に導光板32側へ反射させるように設けている。
【0023】
表示板31は、前面側に前記赤色の背景や、白色の枠線表示、白色の「止まれ」の文字表示などの標示を設けている。そして、表示板31は全面が透光性を備え、後方に配置されて面発光する導光板32からの光を全体的に透過させて、夜間において前記標示が明るく輝いて視認性を向上させている。
【0024】
図5は
図3のA−A断面図である。
本実施形態の第二の道路標識5の断面の構成は、
図4に示される第一の道路標識2と同様に設けている。
即ち、本実施形態の枠材7aは、前記枠材4aと同一形状の断面に形成させており、第二の道路標識5の端に配置させる支持部71と、この支持部71から突出する二個の板形状の抱持部72を備えた、断面コの字形状に形成させている。
【0025】
各枠材7aは、各抱持部72の間に前記表示部6の縁を挿入させて固定させている。
前記表示部6は、前面側に歩行者の図形表示などの標示を設けた透光性を有する表示板61と、その後方に配置させた導光板62と、更にその後方に配置させた背面板63とを備えており、各抱持部72の間に表示部6の五つの辺の縁をそれぞれ挿入させた各枠材7aを、各連結部材7bや前記固定部材で連結させ、リング状の枠部7に形成させて、表示部6を固定させている。
【0026】
5本の枠材7aの内、表示部6の左上及び右上に配置された2本の枠材7aには、直線棒状に形成された照明部9を各抱持部72の間に収納させて、それぞれ取り付けている。
本実施形態の照明部9は、前記照明部8と同じ構成に形成させており、断面コの字形状の棒状のホルダ93と、その内側に収納させた基板92と、この基板の下面に並設させた複数の発光体91とを備えている。
【0027】
前記各発光体91からの光を、前記導光板62の縁からその内側へ入光させて導光板62の前面側を面発光させ、この導光板62からの光を前記表示板61から全体的に透過させて、夜間における表示板61の標示の視認性を向上させている。
【0028】
図6は
図1の第一の道路標識2と第二の道路標識5との発光パターンの実施の一形態を示す図である。
第一の道路標識2の各発光体81と、及び第二の道路標識5の各発光体91とは、前記第一の道路標識2の発電部Bに内装させた制御部によって点灯と消灯を制御され、予め制御部に記憶させた発光パターンで点滅発光するように設けられている。
本実施形態の第一の道路標識2の各発光体81は、発光時間T2の間点灯して他の時間は消灯する点滅発光を、周期T1で繰り返して、表示板31を点滅発光させるように設けられている。
また、本実施形態の第二の道路標識5の各発光体91は、発光時間T5の間点灯して他の時間は消灯する点滅発光を、周期T4で繰り返して、表示板61を点滅発光させるように設けられている。
そして、前記表示板61は、前記表示板31の発光より間隔T3だけ遅れて発光するように設けられている。
【0029】
本実施形態の道路標識装置1において、周期T1と周期T4とが同じ時間となされ、発光時間T2と発光時間T5とが同じ時間となされると共に、間隔T3が周期T1及び周期T4の二分の一の時間となされている。即ち、第一の道路標識2と第二の道路標識5とが交互に点滅するようになされている。
詳細には、周期T1及び周期T4が2秒となされ、発光時間T2及び発光時間T5が0.2秒となされ、間隔T3が1秒となされている。
【0030】
前記第一の道路標識2の表示板31と前記第二の道路標識5の表示板61とがそれぞれ点滅発光して発光標示することで、点滅発光が異なる2箇所でなされて観者の注意を引きつけやすくなり、表示板31と表示板61の標示への誘目性が高められる。
また、それぞれ異なる内容の標示が設けられた前記表示板31と表示板61とが、それぞれ交互に点滅発光して発光標示するので、それぞれが発光標示する標示の内容が切り替わるように観者から視認されると共に、標示の位置が変動するように視認されるので、表示板31と表示板61の標示への誘目性が高められる。
【0031】
前記第一の道路標識2と第二の道路標識5の発光のパターンはこれに限るものではなく、T1〜T5の時間をそれぞれ調整してもよい。例えば、間隔T3をゼロに設けて、前記第一の道路標識2と第二の道路標識5とが、それぞれ同時に点灯して同時に消灯するような点滅発光を繰り返すように設けてもよい。
【0032】
また、本実施形態の道路標識装置1は、支柱Pを用いて第一の道路標識2と第二の道路標識5とを前記支柱Pの上下縦方向に配置させているが、これに限るものではなく、左右横方向に配置させてもよい。
【0033】
本実施形態の道路標識装置1は、道路交通上の禁止や制限、指定などを表す規制標識に分類される標識を第一の道路標識2に用い、交通上の地点等の指示などを表す指示標識に分類される標識を第二の標識5に用いて構成している。このように、表す内容が異なる標識をそれぞれ点滅発光標示させることで、前記第一の道路標識2と、第二の道路標識5の双方へ観者の注意が引きつけられて、それぞれの標示の内容が認識しやすくなされるので、好ましい。
【0034】
また、本実施形態の道路標識装置1は、逆三角形形状に形成され表示板31の背景が赤色に設けられた規制標識を第一の道路標識2に用い、五角形形状に形成され表示板61の背景が青色に設けられた指示標識を第二の道路標識5に用いて構成している。このように、背景の色調と外形とがそれぞれ異なる標識をそれぞれ点滅発光標示させることで、前記第一の道路標識2と、第二の道路標識5の双方へ観者の注意がより引きつけられるので、好ましい。
尚、第一の道路標識2の表示板31と、第二の道路標識5の表示板61との背景の色調が異なることで、それぞれの点滅発光標示の明るさが大きく異なって視認されないように、それぞれに内装される各発光体81及び各発光体91へ供給される電力の電流の大きさをそれぞれ調整してもよい。
【0035】
本実施形態の道路標識装置1は、上方から下方へ至るほど幅狭となる逆三角形状の規制標識を第一の道路標識2に用い、上方から下方へ至るほど幅広となる五角形形状の指示標識を第二の道路標識5に用いると共に、前記第一の道路標識2と第二の道路標識5とを上下に配置させて構成している。これらがそれぞれ交互に点滅発光標示することで、標示位置の上下の変動によって、前記第一の道路標識2と第二の道路標識5との形状の違いがより明確に認識されるようになされ、観者の注意がより引きつけられるので、好ましい。