特許第6101414号(P6101414)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101414
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】梱包方法及び梱包体
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/05 20060101AFI20170313BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   B65D81/05
   B65D77/20 R
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-29542(P2013-29542)
(22)【出願日】2013年2月19日
(65)【公開番号】特開2014-156279(P2014-156279A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田近 悟
(72)【発明者】
【氏名】荻田 芳巳
【審査官】 佐野 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−276957(JP,A)
【文献】 特開2011−111205(JP,A)
【文献】 特開2004−299700(JP,A)
【文献】 特開2008−254752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/05
B65D 77/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被梱包物をベース資材と包装フィルムとで包装して被梱包物包装体を形成し、これを箱に入れて梱包するようにした梱包方法であって、
ベース資材の上に載置した被梱包物を包装フィルムで覆うと共に、
該包装フィルムの両端部を前記ベース資材の裏面に接着するに際し、
前記包装フィルムをベース資材及び被梱包物の周囲を巻回させ、包装フィルムの先端部同士を重ね合わせて、その状態で1カ所で接着することによって被梱包物包装体を形成するようにしたことを特徴とする梱包方法。
【請求項2】
包装フィルムの両端部のベース資材の裏面への接着は、前記包装フィルムの両端部を引き寄せてベース資材の裏面に接着するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の梱包方法。
【請求項3】
ベース資材の裏面には、予め被接着手段が設けられ、該被接着手段によって包装フィルムがベース資材に接着されるようになされたことを特徴とする請求項1又は2に記載の梱包方法。
【請求項4】
被接着手段は、合成樹脂フィルムがベース資材の裏面に予め貼り付けられ、
包装フィルムの両端部が前記合成樹脂フィルムに対して熱溶着されることによってベース資材の裏面に接着されるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の梱包方法。
【請求項5】
ベース資材の表面には、載置される被梱包物がベース資材に対して滑らないように滑り止め手段が付与されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の梱包方法。
【請求項6】
ベース資材は、平坦な板状部材により形成され、被梱包物を載置する平面視略矩形状のベース本体と、該ベース本体と一体に形成された複数の折曲片とを備えており、
該折曲片を折り曲げてベース資材を箱に入れると、前記折曲片が箱の内側の底面、側壁面及び蓋部の裏面に当接して、箱内で移動することができないものとなされ、
これにより、被梱包物包装体を箱に入れて梱包すると、被梱包物は、箱内で移動することができないようになされていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の梱包方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかの梱包方法により被梱包物が梱包された梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な物品、特に食品や薬品その他の工業製品、あるいは工業製品の部品などを被梱包物として梱包する梱包方法及び当該方法により梱包された梱包体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
言うまでもなく、従来から様々な物品が色々な形で梱包されて、輸送され或いは保管されている。例えば、工業製品やその部品等が製造され、それらが他の工場や物流センター、商店、或いは消費者の自宅などへ運ばれる際に、いわゆるダンボール箱に梱包して搬送されることが多い。これら製品等の梱包に関しては、被梱包物が破損しないように十分な対策が必要とされる。
【0003】
これに関しては、被梱包物を入れても十分に余裕のある大きさの箱を用意すると共に、当該箱内に発泡部材やエア緩衝材などの緩衝材を入れ、これを被梱包物の周囲に詰めて空間部を埋めることによって被梱包物を箱内の中心位置に保持させるという梱包方法が広く用いられてきた。このような梱包方法よれば、被梱包物を収容した箱を揺すっても、あるいは落としたとしても被梱包物は箱内の所定位置に保持され、また前記緩衝材がクッションの役割を果たすことによって、被梱包物は破損することがない。
【0004】
ところが、上記のような梱包手段においては、梱包資材の使用量が多いため問題である。そこで、近年は被梱包物を熱収縮性のフィルムで包装し、これを箱の中に固定するという方法が利用されている(下記特許文献1〜2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−122326号公報
【特許文献2】特開2008−030777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
確かに上記熱収縮性のフィルムを用いた従来の梱包方法によれば、梱包資材の使用量が減り、資源の無駄遣いを少なくすることができる。しかしながら、この従来の梱包方法においては、被梱包物を熱収縮性のフィルムで覆った後、当該被梱包物及び熱収縮性のフィルムの全体に熱を付与してフィルムを収縮させる必要がある。それゆえ、食品や薬品、電子部品などで熱に弱い製品の梱包には用いることができない。
【0007】
本発明は、上述のような問題点を克服するためになされたものであり、梱包資材の使用量を減らし、かつ被梱包物に熱を付与しなくとも好適に被梱包物を梱包することのできる梱包方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明に係る梱包方法は、被梱包物をベース資材と包装フィルムとで包装して被梱包物包装体を形成し、これを箱に入れて梱包するようにした梱包方法であって、ベース資材の上に載置した被梱包物を包装フィルムで覆うと共に、該包装フィルムの両端部を前記ベース資材の裏面に接着するに際し、前記包装フィルムをベース資材及び被梱包物の周囲を巻回させ、包装フィルムの先端部同士を重ね合わせて、その状態で1カ所で該ベース資材に接着することによって被梱包物包装体を形成するようにしたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る梱包方法によれば、ベース資材の上に載置した被梱包物を包装フィルムで覆うようにして、該包装フィルムの両端部を前記ベース資材の裏面に接着するだけで、被梱包物をベース資材と包装フィルムとの間に挟持させて保持でき、これにより形成された被梱包物包装体を箱に入れるだけで梱包が可能となるので、簡単な構成で且つ被梱包物に熱を付与することなく被梱包物を梱包することができる。
【0010】
また、本発明に係る梱包方法において、包装フィルムの両端部のベース資材の裏面への接着は、前記包装フィルムの両端部を引き寄せてベース資材の裏面に接着するようにしてもよい。このようにすれば、被梱包物がより確実にベース資材と包装フィルムとの間に挟持されるので、輸送中でも被梱包物がベース資材に対してズレる恐れが少なくなる。
【0011】
さらに、本発明に係る梱包方法において、ベース資材の裏面には、予め被接着手段が設けられ、該被接着手段によって包装フィルムがベース資材に接着されるようにしてもよく、また、前記被接着手段は、合成樹脂フィルムがベース資材の裏面に予め貼り付けられ、包装フィルムの両端部が前記合成樹脂フィルムに対して熱溶着されることによってベース資材の裏面に接着されるようにしてもよい。このようにすれば、簡単な構成で梱包が可能となる。
【0012】
また、本発明に係る梱包方法において、ベース資材の表面には、載置される被梱包物がベース資材に対して滑らないように滑り止め手段が付与されているようにすることができる。このようにすれば、より確実に被梱包物を所定の位置に固定することができる。
【0013】
さらに、本発明に係る梱包方法において、ベース資材は、平坦な板状部材により形成され、被梱包物を載置する平面視略矩形状のベース本体と、該ベース本体と一体に形成された複数の折曲片とを備えており、該折曲片を折り曲げてベース資材を箱に入れると、前記折曲片が箱の内側の底面、側壁面及び蓋部の裏面に当接して、箱内で移動することができないものとなされ、これにより、被梱包物包装体を箱に入れて梱包すると、被梱包物は、箱内で移動することができないようにしてもよい。このようにすれば、前記折曲片を折り曲げてベース資材を箱に入れて梱包するだけで、被梱包物は、箱内で移動することがないので、簡単な構成で確実に被梱包物を保護することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり、本発明に係る梱包方法によれば、ベース資材の上に載置した被梱包物を包装フィルムで覆うようにして、該包装フィルムの両端部を前記ベース資材の裏面に接着するだけで、被梱包物をベース資材と包装フィルムとの間に挟持させて保持でき、これにより形成された被梱包物包装体を箱に入れるだけで梱包が可能となるので、従来の梱包方法のように多量の緩衝材を用いなくとも、また被梱包物全体に熱を付与しなくとも、簡単な構成で被梱包物を箱内の所定位置に固定でき、かつ被梱包物をしっかりと保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る梱包方法によって梱包された梱包体の一実施形態を示す説明図であり、被梱包物包装体を箱の中に収容する様子を示した斜視図である。
図2】本発明に係る梱包方法におけるベース資材の一実施形態を示す底面図である。よって梱包された梱包体の側断面図である。
図3】本発明に係る梱包方法におけるベース資材の一実施形態を示す平面図である。
図4】本発明に係る梱包方法に用いる梱包機の一実施形態であって、その収納状態を示す斜視図である。
図5図4に示した、本発明に係る梱包方法に用いる梱包機の一実施形態であって、その使用状態を示す斜視図である。
図6】本発明に係る梱包方法の一実施形態における梱包の過程を示す要部説明図である。
図7】同じく本発明に係る梱包方法の一実施形態における梱包の過程を示す要部説明図である。
図8】同じく本発明に係る梱包方法の一実施形態における梱包の過程を示す要部説明図である。
図9】同じく本発明に係る梱包方法の一実施形態における梱包の過程を示す要部説明図である。
図10】本発明に係る梱包方法の一実施形態における梱包の過程を示す説明図であって、梱包機の要部を示した斜視図である。
図11】本発明に係る梱包方法の一実施形態における梱包の過程を示す説明図であって、梱包機の要部を示した斜視図である。
図12】本発明に係る梱包方法の一実施形態における梱包の過程を示す説明図であって、梱包機の要部を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る梱包方法を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明することとする。
【0017】
図1は、本発明に係る梱包方法によって梱包された梱包体(図1における被梱包物包装体1を箱2に入れて梱包したもの)の一実施形態を示すものであり、この梱包体は、ベース資材3の上に載置した被梱包物Mをフィルム4で覆うと共に、当該包装フィルム4の両端部をベース資材4の裏面に接着することによって被梱包物包装体1を形成し、これを箱2に入れて梱包体となされるものである。この実施形態における箱2とベース資材3とは、いずれも所謂ダンボール紙によって形成されている。また、フィルム4は、所謂ストレッチフィルムであり、例えば後述する梱包機5によってベース資材3及び被梱包物Mを巻回するようにしている。この実施形態における梱包方法については後で詳述するが、概要のみ説明すると、図5及び図10〜12示すように、上流側搬送面541に載置されたベース資材3および被梱包物Mが、下流側搬送面542の方へと搬送されるようになされており、その間、梱包機本体51内において、包装フィルム4がベース資材4上に載置された被梱包物Mを覆うと共にその両端部がベース資材3の裏面に接着されて被梱包物包装体1が形成されるようになされている。
【0018】
ベース資材3は、この実施形態においては上述のとおりダンボール紙によって形成され、図2及び図3に示すように、ベース本体31と、ベース本体31に左右に一体的に形成された2つの折曲片32とを備える。また、ベース資材3を図2及び図3に示す一点鎖線で折り曲げたときに、図1に示すようにベース本体31より下方へ突出する第一突出片34と、ベース本体の左右方向に突出する第二突出片35とを備える。このような構成を備えることによって、折曲片32、第一突出片34、及び第二突出片35が、箱2内の底面、側壁面及び蓋部の裏面に接するようになされ、これにより被梱包物包装体1が箱2内で動かないように固定されると共に、箱2と被梱包物Mとの間に所定の間隔を空けることで輸送中の被梱包物の破損を防止することができる。
【0019】
尚、ベース資材3は、ダンボールに限られず、所謂プラスチックダンボールや、合成樹脂製のシート材などから任意に選択した材料により形成することができる。この点、前記プラスチックダンボールや合成樹脂製のシートを用いた場合、当該ベース資材3を繰り返し使用するようにしてもよい。
【0020】
また、図2に示すように、ベース資材3の裏面には、包装フィルムを熱溶着(ヒートシール)するための被接着手段としての接着フィルム33が貼り付けられている。この実施形態においては、この接着フィルム33は、OPP(延伸ポリプロピレン)フィルムを用いている。この接着フィルムは、後述する包装フィルム4を熱溶着することが可能な熱可塑性合成樹脂製フィルムであれば任意の材料で形成されていてもよいが、PP、LDPE、LLDPE、HDPEなどのオレフィン系樹脂で形成され、20μm〜40μmの厚みを備えているのが好ましい。
【0021】
また、図3に示すように、ベース資材3の表面の中央部には、被梱包物が輸送中に滑るのを防止するための滑り止め手段37が設けられている。この実施形態における滑り止め手段37は、ポリエステルフィルム上にシリコンゴムを積層したシートが貼りつけられている。この滑り止め手段37は上記構成に限られるものではなく、シリコンのほか、ウレタンやEVA、LLDPE等からなる摩擦係数の大きなフィルム又はシートが貼りつけられ、あるいはラミネートされるようにしてもよい。あるいは、粘着性を有する防滑剤(例えばスチレン−アクリル系の合成高分子系防滑剤)や、被粘着性の防滑剤(例えば無機含有高分子系防滑剤)をベース資材3の表面に塗布するようにしてもよく、又は防滑性のインクをベース資材3の表面に印刷するようにしてもよい。
【0022】
包装フィルム4は、この実施形態においては、厚さ50μmのLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)フィルムが用いられている。この包装フィルム4は、被梱包物Mを覆うときに、当該被梱包物Mの形状に沿うと共に被梱包物Mが包装フィルム4に対してズレないように、適度な伸びと粘着性を備えている必要がある。この包装フィルム4としては、上記LLDPEのほか、LDPE、HDPE、PPなどのオレフィン系樹脂フィルムを用いるのが好ましいが、被梱包物Mの種類によっては、ウレタン樹脂、EVAなどを選択して用いるようにしてもよい。
【0023】
以上のような構成をそなえるベース資材3及び包装フィルムを用いて被梱包物Mを梱包するのであるが、その梱包の過程の一実施形態を図4図12に沿って説明する。
【0024】
図5及び図6は、本発明に係る梱包方法により被梱包物Mを梱包する梱包機5を示している。図5は収納状態であって、この状態から搬送台52を開き(図6の矢印P)、また搬送台支持脚53を開いて(図6の矢印Q)、図6に示した使用状態とする。図5における操作部56には、電源スイッチや動作スイッチ、停止スイッチなどの各種操作スイッチが設けられている。
【0025】
被梱包物Mを梱包するには、先ず上流側(図5における右側)の搬送台52上面の搬送面54にベース資材3を置き、当該ベース資材3の上に被梱包物Mを載置する。このベース資材3及び被梱包物Mは下流側(図5における左側)の搬送台52へ搬送されるまでの間に、梱包機本体51内で梱包される。尚、上流側の搬送面54(541)及び下流側の搬送面54(542)は、いずれもベルトコンベヤにより構成されており、これによって、当該搬送面54上に載置された物品は、上流側から下流側へ搬送される。尚、梱包機本体51の上面には開閉自在の蓋部55が設けられており、当該蓋部55下(梱包機本体51内)には長尺の包装フィルム4を巻回したフィルム巻体4Rが収納されている。
【0026】
図6図9は、本発明に係る梱包方法の一実施形態における梱包過程を示したものであって、梱包機5の側面から見た要部説明図である。ここで、4Rは包装フィルムのフィルム巻体であり、61及び62は、フィルムを挟持するためのフィルム掴み具である。また、71は、包装フィルム4を押さえるように且つ被梱包物Mに沿うようにして巻くためのラップロールであり、72は、包装フィルム4をベース資材3の裏面側へ巻回して当該ベース資材3の裏面に押しつけるための押さえロールである。尚、当該ラップロール71及び押さえロール72は、それぞれの両端部において接続棒73を介して互いに接続されている。
【0027】
さらに、81は、下方から梱包フィルム4をベース資材3に押しつけるためのフィルム押さえ手段であり、82は、包装フィルム4をベース資材3に対して熱溶着するためのヒーターである。また、83は、包装フィルム4を切断するためのカッターである。
【0028】
図6(ア)に示すように、先ずはフィルム掴み具61、62がフィルム巻体4Rから垂れ下がった包装フィルム4の先端部を挟持した状態で、上流側の搬送面54からベース資材3および被梱包物Mが矢印方向に搬送される。尚、図10は、図6(ア)の状態を示した参考斜視図であり、要部のみを表した説明図である。ベース資材3は、フィルム4に接してもさらに下流側へ送り出され、図6(イ)の状態、すなわち包装フィルム4の先端部がベース資材3の裏面に熱溶着される位置において停止する。ここで、先ずは図6(ウ)に示すように、フィルム押さえ手段81及びヒーター82が上昇し、フィルム押さえ手段81が包装フィルム4をベース資材3の前端部の裏面に押しつける。続いて、図6(エ)に示すように、ヒーター82がさらに上昇し、ヒーター82の先端部が包装フィルム4をベース資材3に押し付け、当該個所を加熱する。そうすると、上述のようにベース資材3の裏面には接着フィルム33が貼りつけられているため、包装フィルム4はベース資材3の裏面に熱溶着される。その後、フィルム掴み具62が斜め下方へ移動し、包装フィルム4の先端部を離す。
【0029】
続いて、図6(オ)に示すように、フィルム掴み具61が右方向へ移動し、ヒーター82が下降する。さらに、図6(カ)に示すように、フィルム押さえ手段81とヒーター82が下降する。
【0030】
その状態において、図6(キ)に示すように、ベース資材3及び被梱包物Mは、さらに下流側へと搬送される。そうして、ベース資材3の後端部がラップロール71を超えて下流側へ搬送されたときに、すなわち図7(ク)の位置において、ベース資材3は再度停止させられる。尚、図11は、図7(ク)の状態を示した参考斜視図であり、要部のみを表した説明図である。
【0031】
そうすると、図7(ケ)の矢印で示すように、ラップロール71及び押さえロール72が下降し、図7(コ)で示した位置において停止する。図7(サ)〜図7(ス)に示すように、この位置において、押さえロール72及び接続棒73がラップロール71の軸芯を中心軸として回動し、図8(セ)に示したように押さえロール72が下方から包装フィルム4をベース資材4の後端部裏面に押し付ける。尚、図12は、図7(シ)の状態を示した参考斜視図であり、要部のみを表した説明図である。
【0032】
梱包機5は、フィルム巻体4Rからのフィルム4の引き出しに必要な力を調整する調整手段を備えているのが好ましい。そのような手段を備え、包装フィルム4の引き出しに必要な力を調整することにより、包装フィルム4が十分に引っ張られた状態で、すなわち図8(セ)において包装フィルム4の両端部が十分に引き寄せられた状態で、被梱包物Mを覆うようにすることができる。
【0033】
上記のような状態において、図8(ソ)に示したように、カッター83が上昇し、包装フィルム4を切断する。続いて図8(タ)に示すように、カッター83が下降して、代わりにフィルム押さえ手段81及びヒーター8が上昇し、フィルム押さえ手段81が、包装フィルム4をベース資材3後端部の裏面に押しつける。続いて、図8(チ)に示すように、ヒーター82がさらに上昇し、ヒーター82の先端部が包装フィルム4をベース資材3に押し付け、当該個所を加熱する。そうすると、上述のようにベース資材3の裏面には接着フィルム33が貼りつけられているため、包装フィルム4はベース資材3の後端部裏面に熱溶着される。その後、図8(ツ)に示すように、ヒーター82が下降する。さらに、図8(テ)に示すように、フィルム押さえ手段81とヒーター82が下降する。
【0034】
その後、図9(ト)〜(ヌ)の順に動作することによって、ラップロール71及び押さえロール72が元の状態に復帰し、これによって図6(ア)の初期状態へと戻る。
【0035】
以上のようにして、包装フィルム4の両端部を十分に引っ張って引き寄せるようにしてベース資材3の裏面に接着することにより、被梱包物Mは、ベース資材3と包装フィルム4との間にしっかりと挟持される。それゆえ、梱包体の輸送時等においても、被梱包物Mはベース資材4に対して、あるいは包装フィルム4に対してズレることがなく、所定の位置に保持されるので、被梱包物Mが破損する恐れが極めて少なくなる。
【0036】
尚、繰り返しになるが、さらに、ベース資材3に設けられた折曲片32、第一突出片34、及び第二突出片35が、箱2内の底面、側壁面及び蓋部の裏面に接するようになされ、これにより被梱包物包装体1が箱2内で動かないように固定されると共に、箱2と被梱包物Mとの間に所定の間隔を空けることで、作業者が箱を落とした場合であっても被梱包物Mは容易に破損しないものとなり、輸送中の被梱包物の破損を防止することができる。
【0037】
また、上述の実施形態において示したように熱溶着を利用した場合であっても、ベース資材3の裏面の一部に熱を付与するだけであって、被梱包物を加熱する必要がなく、それゆえ熱によって変質してしまう恐れのある医薬品や化粧品、食品、電子部品等も好適に梱包することができる。
【0038】
以上のとおり、具体的な実施形態を示して本発明に係る梱包方法及び梱包体を説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々に形態等を変更することが可能なものである。すなわち、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定され、また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるものである。
【0039】
例えば、上述した実施形態においては、熱溶着(ヒートシール)により包装フィルム4をベース資材3の裏面に接着することとしたが、これに代えて、例えばベース資材4の裏面に両面テープを貼り付けるようにしてもよいし、ホットメルトなどの手段を用いることもできる。また、上述した実施形態においては、包装フィルム4の両端部をそれぞれベース資材3の裏面の前端部および後端部に接着することとしているが、これに代えて例えば包装フィルム4をベース資材3及び被梱包物の周囲を巻回させ、包装フィルム4の先端部同士を重ね合わせて、その状態で1カ所でベース資材3に接着するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 被梱包物包装体
2 箱
3 ベース資材
31 ベース本体
32 折曲片
4 包装フィルム
5 梱包機


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12