【文献】
Franck Amblard et al.,Synthesis, cytotoxicity, and antiviral activities of new neolignans related to honokiol and magnolol,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2007年,vol.17,p.4428−4431
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
5〜24個の環炭素原子を有するシクロアルカンのジアルデヒドとヒドロキシ芳香族化合物とを縮合させ、2以下の多分散度を有するポリフェノール化合物の混合物をもたらす段階と、ポリフェノール化合物の混合物をエーテル化反応に供して、混合物中に存在するフェノール基を式HR1C=CR1−CH2−O−および/またはH2R1C−CR1=HC−O−の基[式中、部分R1は、独立に、水素または1〜3個の炭素原子を有する非置換もしくは置換アルキルを表す]に部分的または完全に変換する段階を含み、
ヒドロキシ芳香族化合物とアルデヒド基との比率が少なくとも4である、請求項6に記載のエチレン性不飽和モノマーの混合物を製造する方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ジおよびポリシアネートから製造される熱硬化性樹脂の誘電特性および耐熱性は、熱硬化性樹脂マトリックスの炭化水素含量を増加させることにより改善することができると考えられている。そのような1つの方法は、用いるジまたはポリシアネートモノマーの炭化水素含量を増加させることである。本願発明者らは、例えば、シアネートモノマーと共重合させることができる炭化水素に富む重合性エチレン性不飽和モノマーを用いることによって熱硬化性樹脂マトリックスの炭化水素含量を増加させる他の方法を今回発見した。
【0005】
具体的には、本願発明者らは、とりわけ、高い割合の非極性炭化水素基を含むモノマーのクラスを発見した。炭化水素構造の組み込みはこれらのモノマーを組み込む熱硬化性混合物の熱特性および硬化プロファイルに有害であることが技術により予測されることがあり得るが、まさにその逆のことが観察された(下の実施例および比較実験を参照)。したがって、モノマーの炭化水素部分は、それから製造される熱硬化性混合物の硬化挙動に対する有害な影響なしに、高い耐熱性、低い水分吸収および優れた誘電特性をもたらすことから、望ましいことがわかった。本発明のモノマーの高い炭化水素含量が、硬化開始および終了温度を上昇させることなく、エンタルピー硬化エネルギーを調節し得ることが意外にも発見された。硬化時のこの発熱の減少は、本発明のモノマーより小さい割合の非極性炭化水素基を含むモノマーの硬化に起因する可能性があるき裂または層間はく離などの損傷を予防する助けとなり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式(I)
【化1】
のエチレン性不飽和モノマーを提供する[式中、
各mは、独立に、0、1または2であり、
部分R
aおよびR
bは、独立に、合計約5〜約24個の炭素原子を含む場合によって置換されている脂肪族基を表し、R
aおよびR
bは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合によって置換されている、および/または場合によって不飽和の、および/または場合によって多環式の脂肪族環構造を形成していてよく、
部分Rは、独立に、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、1つまたは2つのアルキル基を場合によって有するアミノ、場合によって置換されているアルキル、場合によって置換されているシクロアルキル、場合によって置換されているアルコキシ、場合によって置換されているアルケニル、場合によって置換されているアルケニルオキシ、場合によって置換されているアリール、場合によって置換されているアラルキル、場合によって置換されているアリールオキシおよび場合によって置換されているアラルコキシを表し、
部分Qは、独立に、水素、HR
1C=CR
1−CH
2−またはH
2R
1C−CR
1=HC−を表し、部分R
1は、独立に、水素または1〜約3個の炭素原子を有する場合によって置換されているアルキルを表し、ただし、両部分Qが水素であり、R
aおよびR
bが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、少なくとも約8個(例えば、少なくとも約9個または少なくとも約10個)の環メンバーを有する脂肪族環構造を形成しない場合、少なくとも1つの部分Rは、HR
1C=CR
1−CH
2−またはH
2R
1C−CR
1=HC−を表す]。
【0007】
一態様において、式(I)のモノマーは、式(Ia)
【化2】
のエチレン性不飽和モノマーであってもよい[式中、
nは、約5〜約24の値を有し、
各mは、独立に、0、1または2であり、
部分Rは、独立に、ハロゲン、シアノ(−CN)、ニトロ、ヒドロキシ、好ましくは1〜約6個の炭素原子を有する1つまたは2つのアルキル基を場合によって有するアミノ、好ましくは1〜約6個の炭素原子を有する非置換または置換アルキル、好ましくは約5〜約8個の炭素原子を有する非置換または置換シクロアルキル、好ましくは1〜約6個の炭素原子を有する非置換または置換アルコキシ、好ましくは3〜約6個の炭素原子を有する非置換または置換アルケニル、好ましくは3〜約6個の炭素原子を有する非置換または置換アルケニルオキシ、好ましくは6〜約10個の炭素原子を有する非置換または置換アリール、好ましくは7〜約12個の炭素原子を有する非置換または置換アラルキル、好ましくは6〜約10個の炭素原子を有する非置換または置換アリールオキシならびに好ましくは7〜約12個の炭素原子を有する非置換または置換アラルコキシを表し、
部分Qは、独立に、水素、HR
1C=CR
1−CH
2−またはH
2R
1C−CR
1=HC−を表し、部分R
1は、独立に、水素または1〜約3個の炭素原子を有する非置換もしくは置換アルキルを表し、ただし、両部分Qが水素である場合、少なくとも1つの部分Rは、HR
1C=CR
1−CH
2−またはH
2R
1C−CR
1=HC−を表し、
上の式(Ia)に含まれる任意の非芳香族環状部分は、1つもしくは複数の置換基を場合によって有していてよく、および/または1つもしくは複数の二重結合を場合によって含んでいてよく、および/または場合によって多環式であってよい]。
【0008】
式(Ia)のモノマーの一態様において、nは、約9〜約16の値を有していてよく、例えば、nは、9、10または11の値を有していてよく、特に11に等しくてよい。
【0009】
式(I)/(Ia)のモノマーの他の態様において、各mは、独立に、0または1であってよい。
【0010】
式(I)/(Ia)のモノマーの他の態様において、部分Qは、独立に、HR
1C=CR
1−CH
2−またはH
2R
1C−CR
1=HC−を表していてよい。
【0011】
さらなる態様において、部分R
1は、独立に、水素またはメチルを表していてよい。例えば、部分Qは、同じであってよく、アリル(=2−プロペニル)、メタリル(=2−メチル−2−プロペニル)または1−プロペニルを表してもよい。
【0012】
式(I)のモノマーの非限定的な例としては、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンビス(アリルエーテル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカンビス(メタリルエーテル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンビス(アリルエーテル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンビス(メタリルエーテル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタンビス(アリルエーテル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタンビス(メタリルエーテル)、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2(1H)イリデンビス(アリルエーテル)、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2(1H)イリデンビス(メタリルエーテル)、5,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダンビス(アリルエーテル)および5,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダンビス(メタリルエーテル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンビス(アリルエーテル)の部分的または完全なクライゼン転位生成物、ならびに例えば1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロドデカンビス(アリルエーテル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロドデカンビス(メタリルエーテル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカンビス(アリルエーテル)および1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカンビス(メタリルエーテル)などの、少なくとも1つの芳香環上にクライゼン転位を阻止するように少なくとも1個のオルト置換基を有するモノマーなどがある。式(I)のモノマーの好ましい例は、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンビス(アリルエーテル)=1,1−ビス[4−(2−プロペニルオキシ)フェニル]シクロドデカンである。
【0013】
本発明はまた、式(II)
【化3】
のエチレン性不飽和モノマーを提供する[式中、
pは、0または1〜約19の整数であり、
各mは、独立に、0、1または2であり、
部分Rは、独立に、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、1〜約6個の炭素原子を有する1つまたは2つのアルキル基を場合によって有するアミノ、好ましくは1〜約6個の炭素原子を有する非置換または置換アルキル、好ましくは約5〜約8個の炭素原子を有する非置換または置換シクロアルキル、好ましくは1〜約6個の炭素原子を有する非置換または置換アルコキシ、好ましくは3〜約6個の炭素原子を有する非置換または置換アルケニル、好ましくは3〜約6個の炭素原子を有する非置換または置換アルケニルオキシ、好ましくは6〜約10個の炭素原子を有する非置換または置換アリール、好ましくは7〜約12個の炭素原子を有する非置換または置換アラルキル、好ましくは6〜約10個の炭素原子を有する非置換または置換アリールオキシ、および好ましくは7〜約12個の炭素原子を有する非置換または置換アラルコキシを表し、
部分Qは、独立に、水素、HR
1C=CR
1−CH
2−またはH
2R
1C−CR
1=HC−を表し、部分R
1は、独立に、水素または1〜約3個の炭素原子を有する非置換もしくは置換アルキルを表し、ただし、4つのすべての部分Qが水素である場合、少なくとも1つの部分Rは、HR
1C=CR
1−CH
2−またはH
2R
1C−CR
1=HC−を表し、
上の式(II)に含まれる任意の非芳香族環状部分は、1つもしくは複数の置換基を場合によって有していてよく、および/または1つもしくは複数の二重結合を場合によって含んでいてよい]。
【0014】
上の式(II)のモノマーの一態様において、pは、1〜約14の値を有していてよい。例えば、pは、1、2または3の値を有していてよく、特に1に等しくてよい。
【0015】
式(II)のモノマーの他の態様において、各mは、独立に、0または1であってよい。
【0016】
他の態様において、部分Qは、独立に、HR
1C=CR
1−CH
2−またはH
2R
1C−CR
1=HC−を表していてよい。
【0017】
さらなる態様において、部分R
1は、独立に、水素またはメチルを表していてよい。例えば、部分Qは、同じであってよく、アリル(=2−プロペニル)、メタリル(=2−メチル−2−プロペニル)または1−プロペニルを表す。
【0018】
上の式(II)のモノマーの非限定的な例としては、ジメチルシクロヘキサンテトラフェノールテトラ(アリルエーテル)、ジメチルシクロヘキサンテトラフェノールテトラ(メタリルエーテル)、ジメチルシクロヘキサンテトラフェノールテトラ(1−プロペニルエーテル)、ジメチルシクロオクタンテトラフェノールテトラ(アリルエーテル)、ジメチルシクロオクタンテトラフェノールテトラ(メタリルエーテル)、ジメチルシクロオクタンテトラフェノールテトラ(1−プロペニルエーテル)、ジメチルシクロヘキサンテトラフェノールテトラ(アリルエーテル)の部分的なまたは完全なクライゼン転位生成物、および少なくとも1つの芳香環上にクライゼン転位を阻止するように少なくとも1つの置換基を有するモノマーなどがある。式(II)のモノマーの好ましい例は、ジメチルシクロヘキサンテトラフェノールテトラ(アリルエーテル)である。
【0019】
本発明はまた、上に示した式(I)/(Ia)および(II)のエチレン性不飽和モノマー(その様々な態様を含む)のポリマー(すなわち、ホモおよびコポリマー)およびプレポリマーも提供する。
【0020】
本発明はまた、(i)上の式(I)/(Ia)の少なくとも1つのモノマーおよび/またはそのプレポリマー、(ii)上の式(II)の少なくとも1つのモノマーおよび/またはそのプレポリマー、ならびに(iii)上の式(I)/(Ia)および(II)のモノマーと異なる少なくとも1つのモノマーおよび/またはそのプレポリマーの少なくとも2つを含む第1の重合性混合物も提供する。
【0021】
第1の混合物の一態様において、少なくとも1つのモノマー(iii)は、1つまたは複数の重合性エチレン性不飽和部分、芳香族ジおよびポリシアネート、芳香族ジおよびポリシアナミド、ジおよびポリマレイミドならびにジおよびポリグリシジルエーテルを含むモノマーから選択することができる。
【0022】
他の態様において、第1の混合物は、少なくとも成分(i)および(iii)を含んでいてよく、或いは少なくとも成分(ii)および(iii)を含んでいてよい。
【0023】
他の態様において、第1の混合物の成分(iii)は、式(III)
【化4】
のジシアネート化合物および/またはそのプレポリマーを含んでいてよい[式中、
nは、約5〜約24の値を有し、
各mは、独立に、0、1または2であり、
部分Rは、独立に、ハロゲン、シアノ、ニトロ、好ましくは1〜約6個の炭素原子を有する非置換または置換アルキル、好ましくは約5個〜約8個の炭素原子を有する非置換または置換シクロアルキル、好ましくは1〜約6個の炭素原子を有する非置換または置換アルコキシ、好ましくは3〜約6個の炭素原子を有する非置換または置換アルケニル、好ましくは3〜約6個の炭素原子を有する非置換または置換アルケニルオキシ、好ましくは6〜約10個の炭素原子を有する非置換または置換アリール、好ましくは7〜約12個の炭素原子を有する非置換または置換アラルキル、好ましくは6〜約10個の炭素原子を有する非置換または置換アリールオキシ、および好ましくは7〜約12個の炭素原子を有する非置換または置換アラルコキシを表し、
上の式(III)に含まれる任意の非芳香族環状部分は、1つもしくは複数の置換基を場合によって有していてよく、および/または1つもしくは複数の二重結合を場合によって含んでいてよく、および/または場合によって多環式であってよい]。
【0024】
上のジシアネート化合物の一態様において、nは、約9〜約16の値を有していてよい。例えば、nは、9、10または11の値を有していてよく、特に11に等しくてよい。他の態様において、各mは、独立に、0または1であってよい。式(III)のジシアネート化合物の特定の(および好ましい)例は、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカンである。
【0025】
第1の混合物の他の態様において、その成分(iii)は、式(IV)
【化5】
のポリシアネート化合物および/またはそのプレポリマーを含んでいてよい[式中、
pは、0または1〜約19の整数であり、
各mは、独立に、0、1または2であり、
部分Rは、独立に、ハロゲン、シアノ、ニトロ、好ましくは1〜約6個の炭素原子を有する非置換または置換アルキル、好ましくは約5〜約8個の炭素原子を有する非置換または置換シクロアルキル、好ましくは1〜約6個の炭素原子を有する非置換または置換アルコキシ、好ましくは3〜約6個の炭素原子を有する非置換または置換アルケニル、好ましくは3〜約6個の炭素原子を有する非置換または置換アルケニルオキシ、好ましくは6〜約10個の炭素原子を有する非置換または置換アリール、好ましくは7〜約12個の炭素原子を有する非置換または置換アラルキル、好ましくは6〜約10個の炭素原子を有する非置換または置換アリールオキシ、および好ましくは7〜約12個の炭素原子を有する非置換または置換アラルコキシを表し、
部分Qの少なくとも2つは、−CNを表し、残りの部分Qは、水素を表し、
上の式(IV)に含まれる任意の非芳香族環状部分は、1つもしくは複数の置換基を場合によって有していてよく、および/または1つもしくは複数の二重結合を場合によって含んでいてよい]。
【0026】
上のポリシアネート化合物の一態様において、4つのすべての部分Qは、−CNを表していてよい。他の態様において、各mは独立に、0もしくは1であってよく、および/またはpは、1〜約14の値を有していてよい。例えば、pは、1、2または3の値を有していてよく、特に1に等しくてよい。式(IV)のポリシアネート化合物の特定の例は、ジメチルシクロヘキサンテトラフェノールテトラシアネートである。
【0027】
第1の混合物の他の態様において、混合物は、重合触媒、共硬化剤、難燃剤、難燃剤の相乗剤、溶媒、充填剤、接着促進剤、湿潤助剤、分散助剤、表面改質剤、熱可塑性ポリマーおよび離型剤から選択される1つまたは複数の物質をさらに含んでいてよい。
【0028】
本発明はまた、上の式(I)/(Ia)の少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーおよび/またはそのプレポリマーならびに重合触媒、共硬化剤、難燃剤、難燃剤の相乗剤、溶媒、充填剤、接着促進剤、湿潤助剤、分散助剤、表面改質剤、熱可塑性ポリマーおよび離型剤から選択される1つまたは複数の物質を含む第2の混合物を提供する。例えば、第2の混合物は、重合性モノマーおよび/または上の式(I)/(Ia)の少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーと共重合性であるモノマーを実質的に含んでいなくてよい。
【0029】
本発明はまた、上の式(II)の少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーおよび/またはそのプレポリマーならびに重合触媒、共硬化剤、難燃剤、難燃剤の相乗剤、溶媒、充填剤、ガラス繊維、接着促進剤、湿潤助剤、分散助剤、表面改質剤、熱可塑性ポリマーおよび離型剤から選択される1つまたは複数の物質を含む第3の混合物を提供する。
【0030】
一態様において、上に示した第1、第2および第3の混合物のそれぞれ(その様々な態様を含む)は、部分的に重合(例えば、前重合またはBステージ)または完全に重合していてよく、本発明はまた、そのような部分的または完全に重合した(好ましくは実質的に完全に重合した)混合物を含む製品を提供する。例えば、製品またはその一部は、電気積層品、IC(集積回路)基板、キャスティング、コーティング、ダイアタッチおよびモールドコンパウンド配合物、複合材料ならびに接着剤であってよい。
【0031】
本発明はまた、例えば、上の式(II)の1つまたは複数のエチレン性不飽和モノマーを含む、エチレン性不飽和モノマーの混合物を製造する方法を提供する。該方法は、約2以下の、例えば、約1.8以下、約1.5以下、または約1.3以下の多分散度を有するポリフェノール化合物の混合物をもたらす芳香族ヒドロキシ基とアルデヒド基との比率での約5〜約24個の環炭素原子を有するシクロアルカンのジアルデヒドとヒドロキシ芳香族(例えば、フェノール)化合物との縮合を含む。次にポリフェノール化合物の混合物をエーテル化反応に供して、混合物中に存在する芳香族ヒドロキシ基を式HR
1C=CR
1−CH
2−O−および/またはH
2R
1C−CR
1=HC−O−のエーテル基に部分的または完全に変換することができ、式中、部分R
1は、独立に、水素または1〜約3個の炭素原子を有する非置換もしくは置換アルキルを表す。
【0032】
方法の一態様において、芳香族ヒドロキシ基の数とアルデヒド基の数の比は、少なくとも約4、例えば、少なくとも約5、少なくとも約5.5または少なくとも約6であってよい。
【0033】
方法の他の態様において、シクロアルカンは、約6〜約19個の環炭素原子、例えば、6、7または8個の環炭素原子、特に6個の環炭素原子を有していてよい。
【0034】
他の態様において、ジアルデヒドは、シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド(例えば、1,3−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒドおよび/または1,4−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド)を含んでいてよく、および/またはヒドロキシ芳香族化合物は、フェノールを含んでいてよい。
【0035】
方法の他の態様において、部分R
1は、独立に、水素またはメチルを表してもよい。例えば、式HR
1C=CR
1−CH
2−O−および/またはH
2R
1C−CR
1=HC−O−の基は、アリル、メタリルまたは1−プロペニルを表していてよい。
【0036】
本発明はまた、それ自体として、或いは部分的に重合(例えば、前重合もしくはBステージ)もしくは完全に重合した、および/または部分的もしくは完全に共重合した形の、上で示した方法により得ることができるエチレン性不飽和モノマーの混合物(その様々な態様を含む)を提供する。
【0037】
この混合物の一態様において、混合物の多分散度は、約1.8以下、例えば、約1.5以下、もしくは約1.3以下であってよく、および/または1分子当たりのヒドロキシ基の平均数は、少なくとも約4、例えば、少なくとも約5もしくは少なくとも約6であってよい。
【0038】
本発明の他の特徴および利点は、あとに続く本発明の説明において示すこととし、説明から一部明らかであるか、または本発明の実施により知ることができる。本発明は、書面による説明およびその特許請求の範囲により特に示されている組成物、生成物および方法によって実現され、達成されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0039】
特に断らない限り、化合物または成分への言及は、単独の化合物または成分、ならびに化合物の混合物のような、他の化合物または成分と組み合わされた化合物または成分を含む。
【0040】
本明細書で用いているように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに他の状況が示されない限り、複数の言及した事柄を含む。
【0041】
特に示す場合を除いて、本明細書および特許請求の範囲で用いる成分の量、反応条件などを表すすべての数は、すべての例において「約」という用語により修飾されていると理解すべきである。したがって、そうではないと示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に示される数値パラメーターは、本発明によって得られることが求められる所望の特性によって変化し得る近似値である。少なくとも、また特許請求の範囲の範囲への同等物の原則の適用を制限する企図とみなすべきではなく、各数値パラメーターは、有効数字の数および通常の概数にする慣例に照らして解釈すべきである。
【0042】
さらに、本明細書における数値範囲の列挙は、当範囲内のすべての数値および範囲の開示であるとみなされる。例えば、範囲が約1〜約50である場合、例えば、1、7、34、46.1、23.7或いは当範囲内の他の任意の値または範囲を含むと考えられる。
【0043】
詳細は、例として、また本発明の実施形態の説明に役立つ考察の目的のために本明細書に示し、本発明の原理および概念の側面の最も有用で、容易に理解される記述であると考えられることを記載するために示す。この点に関して、本発明の基本的理解、すなわち、本発明のいくつかの形態を実際にどのように具体化することができるかを当業者に明らかにする記述に必要とする以上に詳細に本発明の実施形態を示す試みはしない。
【0044】
上に示したように、本発明は、とりわけ、式(I)のエチレン性不飽和モノマーを提供する。
【化6】
【0045】
上の式(I)における部分R
aおよびR
bは、独立に、合計約5〜約24個の炭素原子を含む場合によって置換されている脂肪族基を表す。通常、脂肪族部分R
aおよびR
bにおける炭素原子の総数は、少なくとも約6、例えば、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9または少なくとも約10であるが、約18以下、例えば、約16以下、または約12以下である。脂肪族部分は、線状、分枝状または環状で、飽和または不飽和であってよい。その非限定的例は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシルおよびシクロヘキシルメチルなどの線状または分枝アルキル基およびアルケニル基、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基ならびにアルキルシクロアルキルおよびシクロアルキルアルキル基、ならびに対応するモノおよびジ不飽和基である。さらに、これらの基は、1つまたは複数(例えば、1、2、3または4)の置換基により置換されていてよい。置換基の非限定的な例は、F、ClおよびBrならびに芳香族基(例えば、フェニルなど)である。また、しばしば部分R
aおよびR
bの1つは、メチルまたはエチル、特に、メチルを表す。
【0046】
上の式(I)における部分R
aおよびR
bはまた、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合によって不飽和の、および/または場合によって置換されている、および/または少なくとも約6個の環炭素原子を有する場合によって多環式の脂肪族環構造を形成していてよい。対応する化合物の例は、式(Ia)の化合物である。
【化7】
【0047】
上の式(Ia)におけるnの値は、約5より低くなく、例えば、約6より低くなく、約7より低くなく、約8より低くなく、約9より低くなく、または約10より低くなく、また約24以下、例えば、約16以下、約14以下、または約12以下、また好ましくは8、9、10、11または12、特に11に等しい(すなわち、シクロドデシリデン構造を生じさせる)。
【0048】
上の(Ia)における環状脂肪族部分は、1つもしくは複数の(例えば、1、2、3もしくは4つの)二重結合を場合によって含んでいてよく、および/または1つもしくは複数の(例えば、1つ、2つもしくは3つの)置換基を有していてよく、および/または場合によって多環式(例えば、二環式もしくは三環式)であってよい。複数の置換基が存在する場合、置換基は、同じまたは異なっていてよい。環状脂肪族部分に存在していてよい置換基の非限定的な例は、アルキル基、例えば、1〜約6個の炭素原子を有する場合によって置換されているアルキル基(例えば、メチルまたはエチル)、ヒドロキシ、好ましくは1〜約6個の炭素原子を有する1つまたは2つのアルキル基を場合によって有するアミノならびに例えば、F、ClおよびBrなどのハロゲン原子である。アルキル基は、例えば、F、ClおよびBrなどの例えば、1つまたは複数のハロゲン原子で置換されていてよい。
【0049】
上の式(I)/(Ia)における各mの値は、独立に、0、1または2である。好ましくは、mの値は、同じであり、および/または0または1である。
【0050】
上の式(I)/(Ia)における部分Rは、独立に、ハロゲン(例えば、F、ClおよびBr、好ましくはClまたはBr)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、1〜約6個の炭素原子を好ましくは有する1つまたは2つのアルキル基を場合によって有するアミノ、1〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換または置換アルキル、約5〜約8個の炭素原子を好ましくは有する非置換または置換シクロアルキル、1〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換または置換アルコキシ、3〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換または置換アルケニル、3〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換または置換アルケニルオキシ、6〜約10個の炭素原子を好ましくは有する非置換または置換アリール、7〜約12個の炭素原子を好ましくは有する非置換または置換アラルキル、6〜約10個の炭素原子を好ましくは有する非置換または置換アリールオキシ、および7〜約12個の炭素原子を好ましくは有する非置換または置換アラルコキシを表す。
【0051】
「アルキル」および「アルケニル」という用語を本明細書および添付の特許請求の範囲で用いる場合には、これらの用語が例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルなどの対応する環状脂肪族基も含むことを認識すべきである。また、2つのアルキルおよび/またはアルケニル基が脂肪族または芳香族環の2つの(好ましくは隣接する)炭素原子に結合している場合、それらを結合させてアルキレンまたはアルケニレン基を形成させることができ、これが、この基が結合している炭素原子と一緒になって、好ましくは5または6員環構造をもたらす。非隣接炭素原子の場合、この環構造は、二環式化合物を生じさせる可能性がある。
【0052】
上のアルキル基R(1つまたは2つのアルキル基を有していてよい上のアミノ基に存在してよいアルキル基を含む)およびアルコキシ基は、1〜約4個の炭素原子、特に、1または2個の炭素原子をしばしば含む。これらの基の非限定的な具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシなどがある。アルキルおよびアルコキシ基は、1つまたは複数(例えば、1、2または3つ)の置換基で置換されていてよい。複数の置換基が存在する場合、置換基は、同じまたは異なっていてよく、好ましくは同じである。これらの置換基の非限定的な例としては、例えば、F、ClおよびBrなどのハロゲン原子などがある。置換アルキルおよびアルコキシ基の非限定的な特定の例としては、CF
3、CF
3CH
2、CCl
3、CCl
3CH
2、CHCl
2、CH
2Cl、CH
2Br、CCl
3O、CHCl
2O、CH
2ClOおよびCH
2BrOなどがある。
【0053】
上のアルケニルおよびアルケニルオキシ基は、3または4個の炭素原子、特に3個の炭素原子をしばしば含む。これらの基の非限定的な特定の例としては、アリル、メタリルおよび1−プロペニルなどがある。アルケニルおよびアルケニルオキシ基は、1つまたは複数(例えば、1、2または3つ)の置換基で置換されていてよい。複数の置換基が存在する場合、置換基は、同じまたは異なっていてよく、好ましくは同じである。これらの置換基の非限定的な例としては、例えば、F、ClおよびBrなどのハロゲン原子などがある。
【0054】
上のアリールおよびアリールオキシ基は、しばしばフェニルおよびフェノキシ基である。アリールおよびアリールオキシ基は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)の置換基で置換されていてよい。複数の置換基が存在する場合、置換基は、同じまたは異なっていてよい。これらの置換基の非限定的な例としては、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、例えば、F、ClおよびBrなどのハロゲン、1〜約6個の炭素原子、例えば、1〜約4個の炭素原子を有する場合によってハロゲンで置換されたアルキル(例えば、メチルまたはエチル)、1〜約6個の炭素原子、例えば、1〜約4個の炭素原子を有する場合によってハロゲンで置換されたアルコキシ(例えば、メトキシまたはエトキシ)、および1〜約6個の炭素原子、例えば、1〜約4個の炭素原子を有する1つまたは複数のアルキル基(例えば、メチルまたはエチル)を場合によって有していてよいアミノなどがある。置換アリールおよびアリールオキシ基の非限定的な特定の例としては、トリル、キシリル、エチルフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、トリルオキシ、キシリルオキシ、エチルフェノキシ、クロロフェノキシおよびブロモフェノキシなどがある。
【0055】
上のアラルキルおよびアラルコキシ基は、しばしばベンジル、フェネチル、ベンジルオキシまたはフェネトキシ基である。これらの基は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)の置換基で置換されていてよい(あったとしても、好ましくはアリール環上)。複数の置換基が存在する場合、置換基は、同じまたは異なっていてよい。これらの置換基の非限定的な例としては、例えば、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、例えば、F、ClおよびBrなどのハロゲン、1〜約6個の炭素原子、例えば、1〜約4個の炭素原子を有する場合によってハロゲンで置換されたアルキル(例えば、メチルまたはエチル)、1〜約6個の炭素原子、例えば、1〜約4個の炭素原子を有する場合によってハロゲンで置換されたアルコキシ(例えば、メトキシまたはエトキシ)、ならびに1〜約6個の炭素原子、例えば、1〜約4個の炭素原子を有する1つまたは複数のアルキル基(例えば、メチルまたはエチル)を場合によって有していてよいアミノなどがある。
【0056】
上の式(I)/(Ia)における部分Qは、独立に、水素、HR
1C=CR
1−CH
2−またはH
2R
1C−CR
1=HC−を表し、部分R
1は、独立に、水素または1〜約3個の炭素原子を有する非置換もしくは置換(好ましくは非置換)アルキルを表す。好ましい部分Qは、アリルである。さらに、部分Qが同じであることが好ましい。部分Qが水素と異なることも好ましい。また好ましくは、部分Qの少なくとも1つは水素と異なる。
【0057】
上のアルキル部分R
1の非限定的な特定の例としては、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルなどがある。メチルが好ましい。これらのアルキル基上に1つまたは複数の置換基が存在する場合、それらは、例えば、F、ClおよびBrなどのハロゲンであってよい。
【0058】
式(I)/(Ia)の上のモノマーの非限定的な例としては、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンビス(アリルエーテル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカンビス(メタリルエーテル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカンビス(1−プロペニルエーテル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンビス(アリルエーテル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンビス(メタリルエーテル)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロデカンビス(1−プロペニルエーテル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタンビス(アリルエーテル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタンビス(メタリルエーテル)、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2(1H)イリデンビス(アリルエーテル)、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2(1H)−イリデンビス(メタリルエーテル)、5,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−インダンビス(アリルエーテル)および5,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダンビス(メタリルエーテル)などがある。
【0059】
式(I)/(Ia)の上のモノマーのさらなる非限定的な例は、部分Qの少なくとも1つがHR
1C=CR
1−CH
2−またはH
2R
1C−CR
1=HC−を表す、式(I)/(Ia)の化合物の部分的または完全なクライゼン転位生成物を含む。例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンビス(アリルエーテル)の場合、そのようなクライゼン転位生成物は、式(A)および(B)の化合物を含む。
【化8】
【0060】
式(I)の上のモノマーのさらなる非限定的な例は、少なくとも1つの芳香環上にクライゼン転位を阻止するように少なくとも1つの置換基を有するモノマーを含む。そのようなモノマーの非限定的な特定の例は、式(C)によって表される。
【化9】
【0061】
式(I)/(Ia)のモノマーは、当業者に周知である方法により製造することができる。例えば、これらのモノマーは、式(V):
【化10】
のビスフェノールのエーテル化により製造することができる[式中、
m、R
a、R
bおよびRは、HR
1C=CR
1−CH
2−またはH
2R
1C−CR
1=HC−の基を含む化合物の式(I)について上に示した意味を有する]。
【0062】
式(V)のビスフェノールは、例えば、当技術分野で周知である方法を用いてフェノールとケトンとの縮合により製造することができる。これらの方法の例は、全開示が参照により本明細書に組み込まれている、例えば、米国特許第4,438,241号およびドイツ特許第3345945号に記載されている。概して、ケトンを通常、非限定的な例がHClもしくはH
2SO
4などの鉱酸、アリールスルホネート、シュウ酸、ギ酸または酢酸などである、酸触媒の存在下で大過剰のフェノールで処理する。例えば、メルカプタンなどの共触媒を加えることができる。可溶性酸触媒を用いるよりも、スルホン酸化架橋ポリスチレンビーズの層を用いることも一般的である。適切なケトン出発物質の非限定的な例は、例えば、シクロヘキサノン、2−ブロモシクロヘキサノン、2−クロロシクロヘキサノン、2−メチル−シクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、2−イソプロピルシクロヘキサノン、3−イソプロピルシクロヘキサノン、4−イソプロピルシクロヘキサノン、2−n−ブチルシクロヘキサノン、3−n−ブチルシクロヘキサノン、4−n−ブチルシクロヘキサノン、2−sec−ブチルシクロヘキサノン、3−sec−ブチルシクロヘキサノン、4−sec−ブチルシクロヘキサノン、2−イソブチルシクロヘキサノン、3−イソブチルシクロヘキサノン、4−イソブチルシクロヘキサノン、2−t−ブチルシクロヘキサノン、3−t−ブチルシクロヘキサノン、4−t−ブチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,4−ジイソプロピルシクロヘキサノン、3,5−ジイソプロピルシクロヘキサノン、2,4−ジ(t−ブチル)−シクロヘキサノン、3,5−ジ(t−ブチル)シクロヘキサノン、2−t−ブチル−6−メチルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキサノン、2,4,6−トリ(t−ブチル)シクロヘキサノン、4−シクロペンチルシクロヘキサノン、4−シクロヘキシルシクロヘキサノン、4−シクロヘキシル−2−メチルシクロヘキサノン、2−シクロヘキセノン、3−シクロヘキセノン、6−ブロモ−2−シクロヘキセノン、6−クロロ−2−シクロヘキセノン、2−メチル−2−シクロヘキセノン、6−メチル−2−シクロヘキセノン、4−イソプロピル−2−シクロヘキセノン、4−イソブチル−2−シクロヘキセノン、4−t−ブチル−2−シクロヘキセノン、イソホロン、2−メチル−3−シクロヘキセノン、6−メチル−3−シクロヘキセノン4−イソプロピル−3−シクロヘキセノン、4−イソブチル−3−シクロヘキセノン、4−t−ブチル−3−シクロヘキセノンおよび3,3,5−トリメチル−3−シクロヘキセノン、4−シクロヘキシル−2−シクロヘキセノン、4−シクロヘキシル−3−シクロヘキセノン、4−シクロペンチル−2−シクロヘキセノン、4−シクロヘキシル−6−メチル−2−シクロヘキセノン、シクロドデカノン、シクロデカノン、ノルボルナノン、ノルボルネノン、アダマンタノンおよび他の多環式炭化水素由来のケトンなどの環状脂肪族ケトン、ならびに例えば2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、2,4,8−トリメチル−4−ノナノン、2−デカノン、3−デカノン、2−ウンデカノン、6−ウンデカノン、2−メチル−4−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノンおよび4−ドデカノンなどの脂肪族ケトンを含む。適切なフェノール出発物質の非限定的な例には、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、2−エチルフェノール、2−オクチルフェノール、2−ノニルフェノール、2,6−キシレノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジ(t−ブチル)フェノール、2−t−ブチルフェノール、2−sec−ブチルフェノール、2−n−ブチルフェノール、2−シクロヘキシルフェノール、4−シクロヘキシルフェノール、2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール、α−デカロンおよびβ−デカロンなどがある。
【0063】
この縮合化学がフェノールのo−アルキル化などの生成物、ケトンによるフェノールの複数のアルキル化に由来するオリゴマーおよび酸触媒転位生成物の混合物を生じさせうることは当技術分野で周知である。これらの不純物は、除去するか、またはシアン化反応の出発物質として用いる物質中に残すことができる。ある面では、これらの不純物は、最終シアノ化生成物の融点を低下させる点で有用でありうる。これは、それをより可溶性にし、結晶化する傾向を低減することにより、シアネートを配合することを準備することをより容易にしうるものである。オリゴマーの存在は、シアネートおよびしたがってその配合製品の粘度を増加させる傾向がある。これは、適用例によって有用または有害な特性でありうる。
【0064】
非限定的な例として、式(V)のビスフェノールのアリル化は、例えば、炭酸アリルメチルを用いたカーボネート交換(transcarbonation)反応、或いは例えば、ハロゲン化アリル、ハロゲン化メタリルなどとアルカリ試薬および相間移動触媒などの任意選択の触媒を用いた直接アリル化反応により達成することができる。炭酸アリルメチルは、通常、炭酸アリルメチルおよび炭酸ジアリルの混合物を生成するアリルアルコールと炭酸ジメチルとの反応により製造される。粗混合物および純粋な炭酸アリルメチルの両方をアリル化剤ならびに塩化アリル、臭化アリル、塩化メタリル、臭化メタリルなどのハロゲン化アリルとして用いることができる。
【0065】
好ましい方法は、炭酸アリルメチルを式(V)のビスフェノールと化学量論的に反応させて、ビスフェノールのヒドロキシ基の本質的に完全なアリル化をもたらし、対応するアリルエーテル(アリルオキシ)基を得る、カーボネート交換反応を用いるものである。直接アリル化反応においては、ハロゲン化アリルをビスフェノールのヒドロキシ基と化学量論的に反応させることができる。反応条件によって、この反応で変化し得る量のクライゼン転位生成物が認められ、O−およびC−アリル化生成物の混合物がもたらされる。
【0066】
式(V)のビスフェノールと塩化アリルなどのハロゲン化アリルとの直接アリル化反応は、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、NaOH)の水溶液などのアルカリ試薬の存在下で行わせることができる。所望ならば、例えば、1,4−ジオキサンなどの不活性溶媒および例えば、ハロゲン化ベンジルトリアルキルアンモニウムまたはハロゲン化テトラアルキルアンモニウムなどの相間移動触媒を用いることができる。約25°〜約150℃の反応温度が使用可能であり、約50°〜約100℃の温度が好ましい。
【0067】
約15分〜約8時間の反応時間が使用可能であり、約2時間〜約6時間の反応時間が好ましい。
【0068】
ハロゲン化アリルと式(V)のビスフェノールのヒドロキシ基との1対1モル比での反応により、ビスフェノール(V)の大部分の量(約80%以上)のヒドロキシ基が−O−CH
2−CH=CH
2基に変換された、アリル化ビスフェノールが得られる。少量(約20%以下)のアリル基は、熱的に誘導されたクライゼン転位を受け、それにより、転位が起ったヒドロキシ基に対して芳香族環のオルトおよび/またはパラ位上に存在するであろう。カーボネート交換反応における炭酸アリルメチルと、または直接アリル化反応におけるハロゲン化アリルとビスフェノールのヒドロキシ基との1対1未満のモル比での反応により、ビスフェノールの部分的アリル化がもたらされ、若干の遊離のヒドロキシ基が残る。これらの部分的にアリル化されたビスフェノール組成物はさほど好ましくないが、それらは本発明の組成物としてなお有用である。
【0069】
本発明はまた、式(II)のエチレン性不飽和モノマーを提供する。
【化11】
【0070】
上の式(II)において、pは、0または1〜約19、例えば、約14まで、約12まで、もしくは例えば、1、2、3、4、5、6および7などの約8までの整数であり、1、2もしくは3が好ましく、1が特に好ましい。
【0071】
上の式(II)に示す環状脂肪族部分は、1つまたは複数(例えば、1、2、3または4つ)の二重結合を有していてよく、および/または1つまたは複数(例えば、1、2または3つ)の置換基を有していてよい(環状脂肪族部分は、通常いかなる二重結合および/または置換基をも含まないが)。複数の置換基が存在する場合、置換基は、同じまたは異なっていてよい。環状脂肪族部分に存在していてよい置換基の非限定的な例は、アルキル基、例えば、1〜約6個の炭素原子を有する場合によって置換されているアルキル基(例えば、メチルまたはエチル)、ヒドロキシ、1〜約6個の炭素原子を有する1つまたは2つのアルキル基を場合によって有するアミノならびに例えば、F、ClおよびBrなどのハロゲン原子である。アルキル基は、例えば、F、ClおよびBrなどの例えば、1つまたは複数のハロゲン原子で置換されていてよい。
【0072】
上の式(II)における各mの値は、独立に、0、1または2である。好ましくは、mの値は、同じであり、および/または0もしくは1である。
【0073】
上の式(II)における部分Rは、独立に、ハロゲン(例えば、F、ClおよびBr、好ましくはClまたはBr)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、1〜約6個の炭素原子を好ましくは有する1つまたは2つのアルキル基を場合によって有するアミノ、1〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換または置換アルキル、約5〜約8個の炭素原子を好ましくは有する非置換または置換シクロアルキル、1〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換または置換アルコキシ、3〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換または置換アルケニル、3〜約6個の炭素原子を好ましくは有する非置換または置換アルケニルオキシ、6〜約10個の炭素原子を好ましくは有する非置換または置換アリール、7〜約12個の炭素原子を好ましくは有する非置換または置換アラルキル、6〜約10個の炭素原子を好ましくは有する非置換または置換アリールオキシ、および7〜約12個の炭素原子を好ましくは有する非置換または置換アラルコキシを表す。
【0074】
上のアルキル基(1つまたは2つのアルキル基を有していてよい上のアミノ基に存在していてよいアルキル基を含む)およびアルコキシ基は、1〜約4個の炭素原子、特に、1または2個の炭素原子をしばしば含む。これらの基の非限定的な特定の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシなどがある。アルキルおよびアルコキシ基は、1つまたは複数(例えば、1、2または3つ)の置換基で置換されていてよい。複数の置換基が存在する場合、置換基は、同じまたは異なっていてよく、好ましくは同じである。これらの置換基の非限定的な例としては、例えば、F、ClおよびBrなどのハロゲン原子などがある。置換アルキルおよびアルコキシ基の非限定的な例としては、CF
3、CF
3CH
2、CCl
3、CCl
3CH
2、CHCl
2、CH
2Cl、CH
2Br、CCl
3O、CHCl
2O、CH
2ClOおよびCH
2BrOなどがある。
【0075】
上のアルケニルおよびアルケニルオキシ基は、3または4個の炭素原子、特に3個の炭素原子をしばしば含む。これらの基の非限定的な特定の例としては、アリル、メタリルおよび1−プロペニルなどがある。アルケニルおよびアルケニルオキシ基は、1つまたは複数(例えば、1、2または3つ)の置換基で置換されていてよい。複数の置換基が存在する場合、置換基は、同じまたは異なっていてよく、好ましくは同じである。これらの置換基の非限定的な例としては、例えば、F、ClおよびBrなどのハロゲン原子などがある。
【0076】
上のアリールおよびアリールオキシ基は、しばしばフェニルおよびフェノキシ基である。アリールおよびアリールオキシ基は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)の置換基で置換されていてよい。複数の置換基が存在する場合、置換基は、同じまたは異なっていてよい。これらの置換基の非限定的な例としては、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、例えば、F、ClおよびBrなどのハロゲン、1〜約6個の炭素原子、例えば、1〜約4個の炭素原子を有する場合によってハロゲンで置換されたアルキル(例えば、メチルまたはエチル)、1〜約6個の炭素原子、例えば、1〜約4個の炭素原子を有する場合によってハロゲンで置換されたアルコキシ(例えば、メトキシまたはエトキシ)、ならびに1〜約6個の炭素原子、例えば、1〜約4個の炭素原子を有する1つまたは複数のアルキル基(例えば、メチルまたはエチル)を場合によって有していてよいアミノなどがある。置換アリールおよびアリールオキシ基の非限定的な例としては、トリル、キシリル、エチルフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、トリルオキシ、キシリルオキシ、エチルフェノキシ、クロロフェノキシおよびブロモフェノキシなどがある。
【0077】
上のアラルキルおよびアラルコキシ基は、しばしばベンジル、フェネチル、ベンジルオキシまたはフェネトキシ基である。これらの基は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)の置換基で置換されていてよい(あったとしても、好ましくはアリール環上)。複数の置換基が存在する場合、置換基は、同じまたは異なっていてよい。これらの置換基の非限定的な例としては、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、例えば、F、ClおよびBrなどのハロゲン、1〜約6個の炭素原子、例えば、1〜約4個の炭素原子を有する場合によってハロゲンで置換されたアルキル(例えば、メチルまたはエチル)、1〜約6個の炭素原子、例えば、1〜約4個の炭素原子を有する場合によってハロゲンで置換されたアルコキシ(例えば、メトキシまたはエトキシ)、ならびに1〜約6個の炭素原子、例えば、1〜約4個の炭素原子を有する1つまたは複数のアルキル基(例えば、メチルまたはエチル)を場合によって有していてよいアミノなどがある。
【0078】
上の式(II)における部分Qは、独立に、水素、HR
1C=CR
1−CH
2−またはH
2R
1C−CR
1=HC−を表す。部分R
1は、独立に、水素または1〜約3個の炭素原子を有する非置換もしくは置換(好ましくは非置換)アルキルを表す。好ましい部分Qは、アリルである。また、部分Qが水素と同じ、および/または異なることが好ましい。好ましくは、部分Qの少なくとも1つは、水素と異なる。より好ましくは、少なくとも2つまたは少なくとも3つの部分Qは、水素と異なる。
【0079】
上のアルキル部分R
1の非限定的な特定の例としては、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルなどがある。メチルが好ましい。これらのアルキル基に1つまたは複数の置換基が存在する場合、それらは、例えば、F、ClおよびBrなどのハロゲンであってよい。
【0080】
式(II)の上のモノマーの非限定的な例としては、ジメチルシクロヘキサンテトラフェノールテトラ(アリルエーテル)、ジメチルシクロヘキサンテトラフェノールテトラ(メタリルエーテル)、ジメチルシクロヘキサンテトラフェノールテトラ(1−プロペニルエーテル)、ジメチルシクロオクタンテトラフェノールテトラ(アリルエーテル)、ジメチルシクロオクタンテトラフェノールテトラ(メタリルエーテル)、ジメチルシクロオクタンテトラフェノールテトラ(1−プロペニルエーテル)、ジメチルシクロヘキサンテトラフェノールテトラ(アリルエーテル)の部分的なまたは完全なクライゼン転位生成物、および少なくとも1つの芳香環上にクライゼン転位を阻止するように少なくとも1つの置換基を有するモノマーなどがある。
【0081】
上の式(II)のモノマーは、約2以下の、例えば、約1.5以下の、または約1.3以下の多分散度(Mw/Mn)を有するポリフェノール化合物の混合物をもたらす芳香族ヒドロキシ基とアルデヒド基との比での約5〜約24個の環炭素原子を含む対応するシクロアルカンのジアルデヒドと対応するヒドロキシ芳香族(例えば、フェノール)化合物(例えば、フェノールなど)との縮合を含み、ポリフェノール化合物の得られた混合物をエステル化反応に場合によって供して、混合物に存在するフェノール基を式HR
1C=CR
1−CH
2−O−および/またはH
2R
1C−CR
1=HC−O−(式中、R
1は、独立に、水素または1〜約3個の炭素原子を有する非置換もしくは置換アルキルを表す)のエーテル基に部分的または完全に変換することを含む、方法によって製造することができる。この方法により、類似の構造であるが、より高いおよびより低い分子量(より高いまたはより低い程度の縮合)を有する他のモノマーと混合した式(II)のモノマーが得られる。
【0082】
上の方法の出発物質である環状脂肪族ジアルデヒドは、当業者に周知である方法により製造することができる。非限定的な例として、シクロヘキサン(1,3および/または1,4)−ジカルボキシアルデヒドは、例えば、シクロヘキセンカルボキシアルデヒドのヒドロホルミル化により生成させることができ、またシクロヘキセンカルボキシアルデヒドは、例えば、ブタジエン、ピペリリン、イソプレンおよびクロロプレンなどの共役ジエンと親ジエン反応剤としての例えば、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒドまたはシンナムアルデヒドなどの場合によって置換されたα,β−不飽和アルデヒドとのディールス−アルダー反応により製造することができる。この点に関しては、全体の開示が参照により本明細書に組み込まれている、例えば、米国特許第6,252,121号および特願2002−212109を参照することができる。これら(全く限定的ではない)の反応は、以下のように概略を示すことができる。
【化12】
【0083】
ディールス−アルダー反応において共役ジエンとして、例えばシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンまたはフランなどの環状ジエンを用いることにより、以下のスキームに示すように、二環式不飽和アルデヒドを得ることができる。
【化13】
【0084】
環状脂肪族ジカルボキシアルデヒドは、例えば、米国特許第5,138,101号およびドイツ特許第19814913号に記載されているように、例えば、シクロオクタジエンなどの環状ジオレフィンのヒドロホルミル化により、或いはシクロペンタンジカルボキシアルデヒドを生成させるためのノルボルネンなどの二環式オレフィンのオゾン分解(例えば、Perry、J. Org. Chem.、42巻、829〜833頁、1959年を参照)により製造することもできる。これらの3つの文書の全開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0085】
シクロアルカンジカルボキシアルデヒド(またはシクロアルカンジカルボキシアルデヒドの混合物)と例えば、(非置換)フェノールとの縮合により、シクロアルカンジカルボキシアルデヒドテトラフェノールならびにより高い(およびより低い)縮合の程度を有する化合物を含むポリフェノール化合物の混合物が得られる。該方法は、高い平均機能性を有する非常に低い多分散度の生成物を生成させることを可能にするものである。例えば、シクロヘキサンジカルボキシアルデヒドおよびフェノールを出発物質として用いる場合、約930の重量平均分子量(Mw)と約730の数平均分子量(Mn)および/または1分子当たり平均約6つのヒドロキシ基を有する生成物を通常生成させることができる。該方法では、オリゴマー化を低く保つために芳香族ヒドロキシル基の数とアルデヒド基の数との比較的高い比(例えば、約6:1)を用いることが好ましい。過剰のヒドロキシ芳香族化合物は、次いで、例えば、蒸留により除去することができる。
【0086】
非限定的な例として、例えば、シクロヘキサンジカルボキシアルデヒドテトラフェノールなどのシクロアルカンテトラフェノール(およびそれとの混合物中に存在する可能性がある関連するフェノール化合物)のアリル化は、例えば、炭酸アリルメチルを用いたカーボネート交換反応、或いは例えば、ハロゲン化アリル、ハロゲン化メタリルなどとアルカリ試薬および相間移動触媒などの任意選択の触媒を用いた直接アリル化反応により達成することができる。炭酸アリルメチルは、通常、炭酸アリルメチルおよび炭酸ジアリルの混合物を生成するアリルアルコールと炭酸ジメチルとの反応により製造される。粗混合物および純粋な炭酸アリルメチルの両方をアリル化剤ならびに塩化アリル、臭化アリル、塩化メタリル、臭化メタリルなどのハロゲン化アリルとして用いることができる。
【0087】
好ましい方法は、炭酸アリルメチルをシクロアルカンテトラフェノールと化学量論的に反応させて、シクロアルカンテトラフェノールのヒドロキシ基の本質的に完全なアリル化をもたらし、対応するアリルエーテル(アリルオキシ)基を得る、カーボネート交換反応を用いるものである。直接アリル化反応においては、ハロゲン化アリルをシクロアルカンテトラフェノールのヒドロキシ基と化学量論的に反応させることができる。反応条件によって、この反応で変化し得る量のクライゼン転位生成物が認められ、O−およびC−アリル化生成物の混合物がもたらされる。
【0088】
シクロアルカンテトラフェノールと塩化アリルなどのハロゲン化アリルとの直接アリル化反応は、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、NaOH)の水溶液などのアルカリ試薬の存在下で行わせることができる。所望ならば、例えば、1,4−ジオキサンなどの不活性溶媒および例えば、ハロゲン化ベンジルトリアルキルアンモニウムまたはハロゲン化テトラアルキルアンモニウムなどの相間移動触媒を用いることができる。約25°〜約150℃の反応温度が使用可能であり、約50°〜約100℃の温度が好ましい。
【0089】
約15分〜約8時間の反応時間が使用可能であり、約2時間〜約6時間の反応時間が好ましい。ハロゲン化アリルとシクロアルカンテトラフェノールのヒドロキシ基との1対1モル比での反応により、テトラフェノールの大部分の量(約80%以上)のヒドロキシ基が−O−CH
2−CH=CH
2基に変換された、アリル化シクロアルカンテトラフェノールが得られる。少量(約20%以下)のアリル基は、熱的に誘導されたクライゼン転位を受け、それにより、転位が起ったヒドロキシ基に対して芳香族環のオルトおよび/またはパラ位上に存在するであろう。カーボネート交換反応における炭酸アリルメチルと、または直接アリル化反応におけるハロゲン化アリルとテトラフェノールのヒドロキシ基との1対1未満のモル比での反応により、テトラフェノールの部分的アリル化がもたらされ、若干の遊離のヒドロキシ基が残る。これらの部分的にアリル化されたシクロアルカンテトラフェノール組成物はさほど好ましくないが、それらは本発明の組成物としてなお有用である。
【0090】
本発明はまた、上に示した式(I)/(Ia)および(II)のエチレン性不飽和モノマー(その様々な態様を含む)のポリマー(すなわち、ホモおよびコポリマー)ならびにプレポリマー(Bステージ形)を提供する。
【0091】
上の式(I)/(Ia)および(II)のモノマーのホモポリマーまたはコポリマーは、溶媒の存在下または不存在下(好ましくは溶媒の不存在下)でフリーラジカル生成触媒および/または促進剤の存在下または不存在下での加熱により製造することができる。約120℃〜約350℃の温度を単独重合に一般に用い、約150℃〜約250℃の温度が好ましい。
【0092】
重合のために場合によって用いることができる適切なフリーラジカル生成触媒としては、エチレン性不飽和モノマーのフリーラジカル重合に一般に用いられるものが挙げられる。その特定かつ非限定的な例としては、有機過酸化物およびヒドロ過酸化物ならびにアゾおよびジアゾ化合物などがある。フリーラジカル生成触媒の好ましい例としては、ペルオキシ安息香酸ブチル、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、それらの混合物などがある。フリーラジカル生成触媒は、例えば、存在するモノマーおよび/またはプレポリマーの総重量に基づく約0.001〜約2重量%の濃度で用いることができる。
【0093】
重合のために場合によって用いることができる適切な促進剤としては、エチレン性不飽和モノマーのフリーラジカル重合に一般に用いられるものが挙げられる。その特定かつ非限定的な例としては、有機酸の金属塩などがある。促進剤の好ましい例としては、コバルトナフテネートおよびオクチル酸コバルトなどがある。促進剤は、例えば、存在するモノマーおよび/またはプレポリマーの総重量に基づく約0.001〜約0.5重量%の濃度で用いることができる。
【0094】
本発明の上の式(I)/(Ia)および(II)のモノマーの部分的単独重合(オリゴマー化または前重合またはBステージ)は、例えば、上に示したものより低い重合温度および/または短い重合反応時間を用いることによって成し遂げることができる。次いで前重合モノマーの硬化は、後の時点に、または単一硬化段階を含む前重合の直後に完了させることができる。(ホモ)重合の進行は、粘度測定および/または赤外分光光度分析および/またはゲルパーミエーションクロマトグラフ分析により好都合なことに追跡することができる。
【0095】
本発明のエチレン性不飽和モノマーは、様々な他のモノマーおよび/またはプレポリマーと共重合させることができる。対応する共重合性混合物において、式(I)/(Ia)および/または(II)の1つまたは複数のモノマーおよび/またはそのプレポリマーは、例えば、重合性成分の総重量に基づく約5重量%〜約95重量%、例えば、約10重量%〜約90重量%、または約25重量%〜約75重量%の量で存在していてよい。
【0096】
式(I)/(Ia)のモノマーおよび/またはそのプレポリマーと、および/または式(II)のモノマーおよび/またはそのプレポリマーと共重合させることができるモノマーおよび/またはプレポリマーの非限定的な例は、アリルモノマーおよび/またはそのプレポリマーを含む。アリルモノマーおよびそのプレポリマーの特定かつ非限定的な例としては、アリル−s−トリアジン、アリルエーテル、アリルエステル、ジエチレングリコールビス(炭酸アリル)、アリルフェノールならびにリン含有アリルモノマーおよびそのプレポリマーなどがある。本発明のモノマーと共重合させることができるこれらならびに他のアリルモノマーおよび/またはプレポリマーは、例えば、全開示を参照により本明細書に組み込まれている、John Wiley and Sons, Inc.により刊行されたEncyclopedia of Polymer Science and Technology、1巻、750〜807頁(1964年)に記載されている。本発明用の好ましいアリルモノマーおよび/またはそのプレポリマーとしては、イソシアヌル酸トリアリル、2,4,6−トリス(アリルオキシ)−s−トリアジン、ヘキサアリルメラミン、ヘキサ(アリルオキシメチル)メラミン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、1,2,3−メタリルオキシプロパン、o−ジアリルビスフェノールA、ヘキサメタリルジペンタエリトリトール、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、ジエチレングリコールビス(炭酸アリル)およびリン酸アリルジフェニルなどがある。アリルモノマーおよび/またはプレポリマーは、個別に、またはそれらを組み合わせて用いることができる。
【0097】
本発明のモノマーと共重合させることができるモノマーおよび/またはプレポリマーのさらなる非限定的な例は、芳香族ジおよびポリシアネート、芳香族ジおよびポリシアナミド、ジおよびポリマレイミド、ビスフェノールAまたはテトラブロモビスフェノールAのビスビニルベンジルエーテル、ビスフェノールAまたはテトラブロモビスフェノールAのジプロパルギルエーテル、ならびに例えば、ビスフェノールAまたはビスフェノールFのジグリシジルエーテルなどのジおよびポリグリシジルエーテル(エポキシ樹脂)、フェノールノボラックまたはクレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、ならびに全開示を参照により特に本明細書に組み込まれている、これと同時に出願した「ポリフェノール化合物および環状脂肪族部分を含むエポキシ樹脂ならびにその製造の方法(POLYPHENOLIC COMPOUNDS AND EPOXY RESINS COMPRISING CYLCOALIPHATIC MOIETIES AND PROCESS FOR THE PRODUCTION THEREOF)」と題する同時譲渡出願(整理番号65221)に記載されているエポキシ樹脂などがある。
【0098】
もちろん、本発明のモノマーおよび/またはそのプレポリマーを、例えば、1つまたは複数の(a)シアネートもしくはシアナミド基および重合性エチレン性不飽和基の両方を同じ分子に含む少なくとも1つの化合物;(b)1,2−エポキシ基および重合性エチレン性不飽和基の両方を同じ分子に含む少なくとも1つの化合物;(c)マレイミド基およびシアネート基の両方を同じ分子に含む少なくとも1つの化合物;(d)少なくとも1つのポリアミン;(e)少なくとも1つのポリフェノール等などの他の成分とも共重合させることが可能である。
【0099】
本発明のモノマーおよび/またはそのプレポリマーと共重合させることができるジシアネートの非限定的な例は、式(III)のジシアネート化合物および/またはそのプレポリマーを含む。
【化14】
【0100】
上の式(III)において、n、mおよびRならびに環状脂肪族部分は、式(Ia)に関して上に示したものと同じ意味(例示的および好ましい意味を含む)を有していてよい。式(III)の化合物は、全開示を参照により特に本明細書に組み込まれている、これと同時に出願した「高脂肪族炭素含量を有する芳香族ジシアネート化合物(AROMATIC DICYANATE COMPOUNDS WITH HIGH ALIPHATIC CARBON CONTENT)」と題する同時譲渡出願(整理番号66499)により十分に記載されている。
【0101】
本発明のモノマー(プレポリマー)と共重合させることができるモノマー(プレポリマー)のさらなる非限定的な例は、シアノ基の1つが、例えば、部分R
1が式(I)/(Ia)に関して上に示したように定義される式HR
1C=CR
1−CH
2−O−またはH
2R
1C−CR
1=HC−O−の基などのエチレン性不飽和基により置換されている上の式(III)のシアネート化合物を含む。
【0102】
本発明のモノマーおよび/またはそのプレポリマーと共重合させることができるシアネートのさらなる非限定的な例は、式(IV)の化合物および/またはそのプレポリマーを含む。
【化15】
【0103】
上の式(IV)において、p、mおよびRならびに環状脂肪族部分は、式(II)に関して上に示したものと同じ意味(例示的および好ましい意味を含む)を有していてよい。さらに、部分Qの少なくとも2つは、−CNを表し、残りの部分Qは、好ましくは水素を表す。例えば、少なくとも3つまたは4つのすべての部分Qは、−CNを表してもよい。式(IV)の化合物は、全開示を参照により特に本明細書に組み込まれている、これと同時に出願した「芳香族ポリシアネート化合物およびその製造の方法(AROMATIC POLYCYANATE COMPOUNDS AND PROCESS FOR THE PRODUCTION THEREOF)」と題する同時譲渡出願(整理番号66500)により十分に記載されている。
【0104】
本発明のモノマーおよび/またはプレポリマーと共重合させることができる化合物のさらなる非限定的な例は、部分Qの少なくとも1つが−CNを表し、少なくとも1つの他の部分Qが、部分R
1が式(I)および(II)に関して上に示した通りである式HR
1C=CR
1−CH
2−またはH
2R
1C−CR
1=HC−の基を表す、上の式(IV)の化合物およびそのプレポリマーを含む。例えば、式(IV)における部分Qの2つは、−CNを表していてよく、残りの部分Qの1つまたは2つは、式HR
1C=CR
1−CH
2−またはH
2R
1C−CR
1=HC−の基を表していてよい。
【0105】
本発明の(共)重合性混合物およびそれぞれそれから製造される生成物は、例えば、例えば、重合性混合物およびそれから製造される生成物に一般に存在する1つまたは複数の添加物などの1つまたは複数の他の物質をさらに含んでいてよい。そのような添加物の非限定的な例としては、重合触媒、共硬化剤、難燃剤、難燃剤の相乗剤、溶媒、充填剤、ガラス繊維、接着促進剤、湿潤助剤、分散助剤、表面改質剤、熱可塑性樹脂および離型剤などがある。
【0106】
本発明に用いる共硬化剤の非限定的な例としては、ジシアンジアミド、置換グアニジン、フェノール樹脂、アミノ化合物、ベンゾオキサジン、酸無水物、アミドアミンおよびポリアミドなどがある。
【0107】
本発明に用いる触媒の非限定的な例としては、遷移金属錯体、イミダゾール、ホスホニウム塩、ホスホニウム錯体、第三級アミン、ヒドラジド、Ancamine 2441およびK61B(Air Productsから入手可能な修飾脂肪族アミン)、Ajinomoto PN−23またはMY−24などの「潜在性触媒」ならびに修飾尿素などがある。
【0108】
本発明に用いる難燃剤および相乗剤の非限定的な例としては、リン含有分子(DOP−エポキシ反応生成物)、DOPOの付加物(6H−ジベンゾ[c,e][1,2]オキサホスホリン−6−オキシド)、マグネシウム水和物、ホウ酸亜鉛およびメタロセンなどがある。
【0109】
本発明に用いる溶媒(例えば、加工性を改善するための)の非限定的な例としては、アセトン、メチルエチルケトンおよびDowanol(登録商標)PMA(Dow Chemical Companyから入手可能なプロピレングリコールメチルエーテル酢酸エステル)などがある。
【0110】
本発明に用いる充填剤の非限定的な例としては、約0.5nm〜約100μmの粒径範囲を有する機能性および非機能性粒状充填剤などがある。その特定の例としては、シリカ、アルミナ三水和物、酸化アルミニウム、金属酸化物、カーボンナノチューブ、銀フレークもしくは粉末、カーボンブラックおよび黒鉛などがある。
【0111】
本発明に用いる接着促進剤の非限定的な例としては、修飾オルガノシラン(エポキシ化、メタクリル、アミノ、アリル等)、アセチルアセトネート、硫黄含有分子およびチタネートおよびジルコネートなどがある。
【0112】
本発明に用いる湿潤および分散助剤の非限定的な例としては、例えば、Byk900シリーズおよびW9010などの修飾オルガノシランならびに修飾過フッ化炭化水素などがある。
【0113】
本発明に用いる表面改質剤の非限定的な例としては、多くがドイツのByk−Chemieから入手可能な滑りおよび光沢添加物などがある。
【0114】
本発明に用いる熱可塑性樹脂の非限定的な例としては、例えば、ポリフェニルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、フッ化ポリビニリデン、ポリエーテルイミド、ポリフタルイミド、ポリベンゾイミダゾール、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂およびポリウレタンなどの反応性および非反応性熱可塑性樹脂などがある。
【0115】
本発明に用いる離型剤の非限定的な例としては、例えば、カルナウバワックスなどのワックスなどがある。
【0116】
本発明のモノマーは、とりわけ、プリント回路基板および集積回路パッケージング(IC基板など)用材料の製造用の熱硬化性コモノマーとして有用である。それらは、高速プリント回路基板、集積回路パッケージングおよびアンダーフィル接着剤用のマトリックス樹脂を調合するのに特に有用である。コモノマーとして、それらは、熱硬化性マトリックス中の炭化水素の量を調節するのにも有用でありうる。
【0117】
さらに、本発明のモノマーは、例えば、予測される高度の靭性、耐食性および耐湿性を有する堅いガラス状ポリマーを製造するために、フリーラジカル生成触媒および/または促進剤を用いて単独重合させることができる。これらのホモポリマーの実用性は、CR−39としても公知であるポリ[ジエチレングリコールビス(炭酸アリル)]が役割を果たし、光学レンズを含む同じ用途にありうるが、高い機械的特性を有する。
【実施例1】
【0118】
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのビス(アリルエーテル)の合成
アリルアルコール(101.58g、1.75モル)、炭酸ジメチル(157.55g、1.75モル)およびナトリウムメトキシド触媒(0.18g、0.065重量%)を500ml三口丸底ガラス反応器に加え、窒素雰囲気中で撹拌しながら室温(23℃)に維持した。反応器にさらに冷却凝縮器、温度計、磁気撹拌および自動温度調節器により制御される加熱マントルを取り付けた。炭酸アリルメチル、炭酸ジアリルおよびメタノールの平衡混合物が反応器の内容物を15.5℃に冷却するに伴って急速に生成した。13分後に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン(28.31g、ヒドロキシ基の0.1606当量)を反応器に加え、続いて、トリフェニルホスフィン(0.56g、0.204重量%)および炭素上5%パラジウム(0.38g、0.127重量%)の混合物を加えた。1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンは、高圧液体クロマトグラフ(HPLC)分析により99.76面積%と分析され、残余部は、2つの微量成分(0.09および0.15面積%)からなっていた。加熱を開始したところ、次の127分にわたって反応温度が79〜80℃に達した。反応混合物を77.5〜80℃に8時間維持し、次いで室温に冷却し、中間(medium)焼結ガラス漏斗上に充填した珪藻土の層を通して真空ろ過した。回収したろ液を100℃の最高油浴温度、1.7mmHgの圧力の真空でロータリーエバポレーターにより蒸発して、室温で粘着性固体になった透明な淡黄色液体(35.04g)を得た。
【0119】
HPLC分析により、96.78面積%の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのアリルエーテルと単一微量成分(3.22面積%)としての残余の存在が明らかになった。単一微量成分は、生成物をジクロロメタン(100ml)に溶解し、得られた溶液を、中間焼結ガラス漏斗上に支持されたシリカゲル(粒径230〜400メッシュ、平均細孔径60オングストローム、表面寸法550m
2/g)の深さ2インチ、直径1.75インチの層に通すことによって除去した。追加のジクロロメタンを用いてシリカゲル層から溶出した後に、黄色帯が最初の領域に留まっていた。ロータリーエバポレーターによる蒸発により、33.98g(分離収率98.94%)の黄白色の粘着性固体が得られた。
【0120】
HPLC分析により、99.57面積%の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのアリルエーテルおよび2つの微量成分(0.22および0.21面積%)としての残余の存在が明らかになった。KBrプレート上の生成物のフィルム試料の赤外分光光度分析により、不飽和C−H伸縮(3032、3058、3081cm
−1)、飽和C−H伸縮(2862、2934cm
−1[両方にショルダーが存在])、C=C伸縮(1581、1607cm
−1)、C−O伸縮(1026cm
−1)およびCH=CH
2変形(924、998cm
−1)について予測された範囲におけるピークが明らかになり、それに伴ってヒドロキシ基の吸収が全く存在しなかったことから、フェノール性ヒドロキシル基のアリルエーテル基への完全な変換が確認された。
【実施例2】
【0121】
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのビス(アリルエーテル)の熱的に誘導される単独重合
実施例1における1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのビス(アリルエーテル)の一部(10.00mg)の示差走査熱量測定(DSC)分析を1分間当たり35立方センチメートルで流れる窒素の気流中で25℃から400℃まで1分間当たり5℃の加熱速度を用いて行った。アリル基の単独重合に起因した発熱の対が認められ、第1の発熱については開始181.5℃、極大253.4℃、終点283.9℃で、1g当たり243.4ジュールのエンタルピーを伴っており、第2の発熱については開始284.8℃、極大351.3℃、終点396.2℃で、1g当たり181.5ジュールのエンタルピーを伴っていた。DSC分析から回収したホモポリマーは、透明でコハク色の堅い固体であった。
【0122】
(比較実験A)
イソプロピリデンジフェノールのビス(アリルエーテル)の合成
アリルアルコール(101.58g、1.75モル)、炭酸ジメチル(157.55g、1.75モル)およびナトリウムメトキシド触媒(0.18g、0.065重量%)を500ml三口丸底ガラス反応器に加え、窒素雰囲気中で撹拌しながら室温(23℃)に維持した。反応器にさらに冷却凝縮器、温度計、磁気撹拌および自動温度調節器により制御される加熱マントルを取り付けた。炭酸アリルメチル、炭酸ジアリルおよびメタノールの平衡混合物が反応器の内容物を15.5℃に冷却するに伴って急速に生成した。13分後にイソプロピリデンジフェノール(=ビスフェノールA、18.33g、ヒドロキシ基の0.1606当量)を反応器に加え、続いて、トリフェニルホスフィン(0.56g、0.204重量%)および炭素上5%パラジウム(0.38g、0.127重量%)の混合物を加えた。イソプロピリデンジフェノールは、HPLC分析により99.72面積%と分析され、残余は、2つの微量成分(0.09および0.19面積%)からなっていた。加熱を開始したところ、次の101分にわたって反応温度が78℃に達した。反応混合物を78℃に8時間維持し、次いで室温に冷却し、中間焼結ガラス漏斗上に充填した珪藻土の層を通して真空ろ過した。回収したろ液を100℃の最高油浴温度、2.9mmHgの圧力の真空でロータリーエバポレーターにより蒸発して、室温で液体のままであった透明なコハク色液体(25.21g)を得た。
【0123】
HPLC分析により、95.25面積%のイソプロピリデンジフェノールのアリルエーテルと12の微量成分(0.05〜2.13面積%の範囲)としての残余の存在が明らかになった。2.13面積%からなる単一微量成分ならびに他の微量成分は、生成物をジクロロメタン(75ml)に溶解し、得られた溶液を、中間焼結ガラス漏斗上に支持されたシリカゲル(粒径230〜400メッシュ、平均細孔径60オングストローム、表面寸法550m
2/g)の深さ2インチ、直径1.75インチの層に通すことによって除去した。追加のジクロロメタンを用いてシリカゲル層から溶出した後に、黄色帯が最初の領域に留まっていた。ロータリーエバポレーターによる蒸発により、23.32g(分離収率94.17%)の淡黄色液体が得られた。
【0124】
HPLC分析により、99.51面積%のイソプロピリデンジフェノールのアリルエーテルと3つの微量成分(0.13、0.05および0.31面積%)としての残余の存在が明らかになった。KBrプレート上の生成物のフィルム試料の赤外分光光度分析により、不飽和C−H伸縮(3039、3061、3083cm
−1)、飽和C−H伸縮(2870、2931[ショルダーが存在]、2966cm
−1)、C=C伸縮(1581、1608cm
−1)、C−O伸縮(1025cm
−1)およびCH=CH
2変形(926、998cm
−1)について予測された範囲におけるピークが明らかになり、それに伴ってヒドロキシル基の吸収が全く存在しなかったことから、フェノール性ヒドロキシル基のアリルエーテル基への完全な変換が確認された。
【0125】
(比較実験B)
イソプロピリデンジフェノールのビス(アリルエーテル)の熱的に誘導される単独重合
比較実験Aからのイソプロピリデンジフェノールのビス(アリルエーテル)の一部(11.20mg)のDSC分析を1分間当たり35立方センチメートルで流れる窒素の気流中で25℃から400℃まで1分間当たり5℃の加熱速度を用いて行った。アリル基の単独重合に起因した発熱の対が認められ、第1の発熱については開始201.4℃、極大253.4℃、終点278.6℃で、1g当たり267.1ジュールのエンタルピーを伴っており、第2の発熱については開始278.6℃、極大351.2℃、終点387.2℃で、1g当たり212.2ジュールのエンタルピーを伴っていた。DSC分析から回収したホモポリマーは、透明でコハク色の堅い固体であった。
【表1】
【0126】
(参照実施例1)
1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカンの合成
250ml三口ガラス丸底反応器に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン(17.63g、0.10ヒドロキシル当量)およびアセトン(125ml、1gのビスフェノール当たり7.09ml)を入れた。反応器にさらに冷却器(0℃に維持)、温度計、過熱窒素入口(1LPM N
2を用いた)および磁気撹拌を装着した。撹拌を開始して、21.5℃の溶液を得た。臭化シアン(11.12g、0.105モル、1.05:1臭化シアン:ヒドロキシル当量比)を溶液に加え、その溶液に直ちに溶解した。撹拌溶液を冷却し、−5℃に平衡させた後に、冷却用のドライアイス−アセトン浴を反応器の下に置いた。トリエチルアミン(10.17g、0.1005モル、1.005トリエチルアミン:ヒドロキシル当量比)を、注射器を用いて反応温度を−5〜0℃に維持するように分割して加えた。トリエチルアミンの総添加時間は、30分であった。トリエチルアミンの最初の分割量の添加で、撹拌溶液に濁りが起り、後続の添加で、トリエチルアミン臭化水素酸塩の白色スラリーが生成した。
【0127】
−5〜0.5℃での8分間の後反応の後の反応生成物の試料の高圧液体クロマトグラフ(HPLC)分析により、0.68面積%の未反応の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、4.43面積%のモノシアネートおよび93.98面積%のジシアネートと7つの微小ピークとしての残余部の存在が明らかになった。−5〜0℃での累積45分間の後反応の後の反応生成物の試料のHPLC分析により、0.84面積%の未反応の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、5.34面積%のモノシアネートおよび93.51面積%のジシアネートと1つの微小ピークとしての残余部の存在が明らかになった。
【0128】
累積101分間の後反応の後に、生成物スラリーを磁気撹拌脱イオン水(1.5リットル)のビーカーに加えて、水性スラリーとした。5分間の撹拌の後に、ろ紙による水性スラリーの重力ろ過により、白色粉末の生成物を回収した。脱イオン水を用いて生成物をろ紙からすすぎ落としてビーカーに入れ、総容積を200mlとした後、ジクロロメタン(200ml)を加えた。ジクロロメタン層中に溶液が形成された。混合物を分液漏斗に加え、十分に混合し、静置し、次いで、ジクロロメタン層を回収し、水層を廃棄した。ジクロロメタン溶液を分液漏斗に再び加え、新たな脱イオン水(200ml)でさらに2回抽出した。
【0129】
得られた濁りをおびたジクロロメタン溶液を粒状硫酸ナトリウム無水物(5g)上で乾燥して、透明な溶液とし、次いでこれを、枝付き真空フラスコに取り付けた60ml中間焼結ガラス漏斗上に充填した硫酸ナトリウム無水物(25g)の層に通した。透明なろ液を50℃の最高油浴温度を用いて真空が<3.5mmHgとなるまでロータリーエバポレーターで蒸発した。合計19.81g(未補正分離収率98.43%)の白色結晶性生成物が回収された。生成物の試料のHPLC分析により、0.47面積%の未反応1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、3.09面積%のモノシアネートおよび96.44面積%のジシアネートの存在が明らかになった。
【0130】
(参照実施例2)
高純度の1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカンを生成させるための合成および再結晶
参照実施例1の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのジシアネートの合成を繰り返したが、規模を2倍増加させた。38.86gの回収生成物は、HPLC分析により、未反応1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン0.69面積%、モノシアネート3.91面積%およびジシアネート95.40面積%と分析された。沸騰アセトン(50ml)中溶液を形成させ、次いで、23℃に24時間保持することにより、再結晶を行った。傾斜により結晶性生成物からアセトン溶液を除去した。湿潤結晶性生成物の一部のHPLC分析により、検出可能な未反応1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンは存在せず、1.02面積%のモノシアネートおよび98.98面積%のジシアネートが存在することが明らかになった。アセトン(40ml)からの湿潤結晶性生成物の2回目の再結晶の後に真空オーブン中での50℃で48時間にわたる乾燥により20.12gの光輝性白色生成物が得られ、HPLC分析により、検出可能な未反応1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンは存在せず、0.42面積%のモノシアネートおよび99.58面積%のジシアネートが示された。2回の再結晶のアセトン溶液傾斜物を合わせた後、溶液を28mlの容積まで濃縮したところ、光輝性白色生成物(8.39g)の第2の収穫が得られ、HPLC分析により、微量(積分不可能)の未反応1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、2.28面積%のモノシアネートおよび97.72面積%のジシアネートが示された。
【実施例3】
【0131】
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのビス(アリルエーテル)(25重量%)および1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカン(75重量%)の熱的に誘導される共重合
1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカン(0.5034g、75重量%)および実施例1の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのビス(アリルエーテル)(0.1678g、25重量%)をガラスバイアルにはかり入れ、これにジクロロメタン(1.5ml)を加えた。1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカンのHPLC分析により、99.44面積%のジシアネートおよび0.56面積%のモノシアネートが示された。バイアルを振とうして溶液とし、これをアルミニウムトレーに加えた。揮発分除去を真空オーブン中で40℃で30分間行い、ジクロロメタンを除去して均一な混合物を得た。混合物の一部(9.70および10.00mg)のDSC分析を1分間当たり35立方センチメートルで流れる窒素の気流中で25℃から400℃まで1分間当たり5℃の加熱速度を用いて行った。
【0132】
吸熱が認められ、平均で開始99.0℃(98.07および99.96℃)、極小118.8℃(118.72℃および118.93℃)および終点126.5℃(124.61℃および128.40℃)であり、1g当たり11.5ジュール(1g当たり10.13および12.76ジュール)のエンタルピーを伴っていた(カッコ内は個別値)。アリルおよびシアネート基の共重合(+任意の単独重合)に起因した発熱が認められ、平均で開始172.2℃(170.58℃および173.90℃)、極大249.1℃(248.30℃および249.80℃)および終点292.9℃(289.54℃および296.18℃)であり、1g当たり487.1ジュール(1g当たり474.9および499.2ジュール)のエンタルピーを伴っていた(カッコ内は個別値)。DSC分析から回収したコポリマーは、透明でコハク色の堅い固体であった。
【0133】
(比較実験C)
イソプロピリデンジフェノールのビス(アリルエーテル)の(25重量%)および1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカン(75重量%)の熱的に誘導される共重合
1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカン(0.4004g、75重量%)および比較実験Aのイソプロピリデンジフェノールのビス(アリルエーテル)(0.1335g、25重量%)をガラスバイアルにはかり入れ、これにジクロロメタン(1.5ml)を加えた。1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカンのHPLC分析により、99.44面積%のジシアネートおよび0.56面積%のモノシアネートが示された。バイアルを振とうして溶液とし、これをアルミニウムトレーに加えた。揮発分除去を真空オーブン中で40℃で30分間行い、ジクロロメタンを除去して均一な混合物を得た。
【0134】
混合物の一部(10.00および10.20mg)のDSC分析を1分間当たり35立方センチメートルで流れる窒素の気流中で25℃から400℃まで1分間当たり5℃の加熱速度を用いて行った。吸熱が認められ、平均で開始69.6℃(67.73℃および71.52℃)、極小114.4℃(113.96℃および114.81℃)および終点127.7℃(125.08℃および130.29℃)であり、1g当たり40.3ジュール(1g当たり38.86および41.78ジュール)のエンタルピーを伴っていた(カッコ内は個別値)。アリルおよびシアネート基の共重合(+任意の単独重合)に起因した発熱が認められ、平均で開始173.0℃(172.95℃および172.95℃)、極大252.5℃(250.70℃および254.22℃)および終点291.2℃(289.54℃および292.86℃)であり、1g当たり512.5ジュール(1g当たり510.4および514.6ジュール)のエンタルピーを伴っていた(カッコ内は個別値)。DSC分析から回収したコポリマーは、透明でコハク色の堅い固体であった。
【表2】
【実施例4】
【0135】
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのビス(アリルエーテル)(25重量%)および1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカン(75重量%)のコポリマーのガラス転移温度
実施例3における残りの混合物の硬化を次の硬化スケジュールを用いてオーブン中で完了させた:150℃で1時間、200℃で1時間、250℃で1時間。硬化生成物の一部(28.2および35.0mg)のDSC分析により、214.3℃(212.85℃および215.83℃)(カッコ内は個別値)の平均ガラス転移温度が示された。
【0136】
(比較実験D)
イソプロピリデンジフェノールのビス(アリルエーテル)の(25重量%)および1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカン(75重量%)のコポリマーのガラス転移温度
比較実験Cにおける残りの混合物の硬化を次の硬化スケジュールを用いてオーブン中で完了させた:150℃で1時間、200℃で1時間、250℃で1時間。硬化生成物の一部(31.0および29.7mg)のDSC分析により、184.48℃(184.14℃および184.82℃)(カッコ内は個別値)の平均ガラス転移温度が示された。
【表3】
【実施例5】
【0137】
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのビス(アリルエーテル)(50重量%)および1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカン(50重量%)の熱的に誘導される共重合
1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカン(0.2978g、50重量%)および実施例1の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのビス(アリルエーテル)(0.2978g、50重量%)をガラスバイアルにはかり入れ、これにジクロロメタン(1.5ml)を加えた。1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカンのHPLC分析により、99.44面積%のジシアネートおよび0.56面積%のモノシアネートが示された。バイアルを振とうして溶液とし、これをアルミニウムトレーに加えた。揮発分除去を真空オーブン中で40℃で30分間行い、ジクロロメタンを除去して均一な混合物を得た。
【0138】
混合物の一部(9.70および10.70mg)のDSC分析を1分間当たり35立方センチメートルで流れる窒素の気流中で25℃から400℃まで1分間当たり5℃の加熱速度を用いて行った。吸熱は認められなかった。アリルおよびシアネート基の共重合(+任意の単独重合)に起因した発熱が認められ、平均で開始173.7℃(171.05℃および176.27℃)、極大246.5℃(245.96℃および247.01℃)および終点282.0℃(281.01℃および282.91℃)であり、1g当たり414.2ジュール(1g当たり403.2および425.1ジュール)のエンタルピーを伴っていた(カッコ内は個別値)。DSC分析から回収したコポリマーは、透明でコハク色の堅い固体であった。
【0139】
(比較実験E)
イソプロピリデンジフェノールのビス(アリルエーテル)の(50重量%)および1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカン(50重量%)の熱的に誘導される共重合
1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカン(0.2945g、50重量%)および比較実験Aの4,4’−イソプロピリデンジフェノールのビス(アリルエーテル)(0.2945g、50重量%)をガラスバイアルにはかり入れ、これにジクロロメタン(1.5ml)を加えた。1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカンのHPLC分析により、99.44面積%のジシアネートおよび0.56面積%のモノシアネートが示された。バイアルを振とうして溶液とし、これをアルミニウムトレーに加えた。揮発分除去を真空オーブン中で40℃で30分間行い、ジクロロメタンを除去して均一な混合物を得た。
【0140】
混合物の一部(11.20および11.80mg)のDSC分析を1分間当たり35立方センチメートルで流れる窒素の気流中で25℃から400℃まで1分間当たり5℃の加熱速度を用いて行った。吸熱が認められ、平均で開始71.53℃(68.21℃および74.84℃)、極小101.13℃(99.49℃および102.76℃)および終点116.55℃(115.60℃および117.50℃)であり、1g当たり15.17ジュール(1g当たり12.03および18.30ジュール)のエンタルピーを伴っていた(カッコ内は個別値)。アリルおよびシアネート基の共重合(+任意の単独重合)に起因した発熱が認められ、平均で開始186.93℃(186.69℃および187.17℃)、極大246.60℃(241.78℃および251.42℃)および終点282.20℃(280.54℃および283.85℃)であり、1g当たり446.9ジュール(1g当たり402.4および491.3ジュール)のエンタルピーを伴っていた(カッコ内は個別値)。アリル基の単独重合に起因した第2の発熱が認められ、平均で開始293.10℃(292.38℃および293.81℃)、極大352.98℃(350.00℃および355.95℃)および終点392.86℃(392.86℃および392.86℃)であり、1g当たり60.9ジュール(1g当たり51.78および70.10ジュール)のエンタルピーを伴っていた(カッコ内は個別値)。DSC分析から回収したコポリマーは、透明でコハク色の堅い固体であった。
【表4】
【実施例6】
【0141】
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのビス(アリルエーテル)(50重量%)および1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカン(50重量%)のコポリマーのガラス転移温度
実施例5における残りの混合物の硬化を次の硬化スケジュールを用いてオーブン中で完了させた:150℃で1時間、200℃で1時間、250℃で1時間。硬化生成物の一部(33.8および34.3mg)のDSC分析により、>260℃での残存発熱が示された。2回目の走査後に、144.57℃(140.98℃および148.15℃)(カッコ内は個別値)の平均ガラス転移温度が測定された。>330℃での残存発熱が認められたので、3回目の走査を完了させた。平均ガラス転移温度は160.03℃(159.52℃および160.53℃)であり、残存発熱は認められなかった。
【0142】
(比較実験F)
イソプロピリデンジフェノールのビス(アリルエーテル)の(50重量%)および1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカン(50重量%)のコポリマーのガラス転移温度
比較実験Eにおける残りの混合物の硬化を次の硬化スケジュールを用いてオーブン中で完了させた:150℃で1時間、200℃で1時間、250℃で1時間。硬化生成物の一部(33.4および35.4mg)のDSC分析により、>260℃での残存発熱が示された。2回目の走査後に、121.52℃(118.65℃および124.38℃)(カッコ内は個別値)の平均ガラス転移温度が測定され、残存発熱は認められなかった。3回目の走査を行ったところ、ガラス転移温度の変化はなかった。
【表5】
【実施例7】
【0143】
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのビス(アリルエーテル)(25重量%)およびイソプロピリデンジフェノールのジシアネート(75重量%)の熱的に誘導される共重合
4,4’−イソプロピリデンジフェノールのジシアネート(2.5518g、75重量%)および実施例1の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのビス(アリルエーテル)(0.8506g、25重量%)をガラスバイアルにはかり入れた。4,4’−イソプロピリデンジフェノールのジシアネートのHPLC分析により、100面積%のジシアネートが示された。バイアルの内容物を緩やかに加熱し(75℃を超えなかった)、旋回させることによって混合して溶液とした。
【0144】
混合物の一部(12.80および14.10mg)のDSC分析を1分間当たり35立方センチメートルで流れる窒素の気流中で25℃から400℃まで1分間当たり5℃の加熱速度を用いて行った。吸熱が認められ(1つの試料においてのみ)、開始30.29℃、極小74.59℃および終点81.00℃であり、1g当たり66.59ジュールのエンタルピーを伴っていた。アリルおよびシアネート基の共重合(+任意の単独重合)に起因した発熱が認められ、平均で開始196.65℃(192.86℃および200.44℃)、極大252.51℃(249.33℃および255.68℃)および終点289.78℃(286.70℃および292.86℃)であり、1g当たり651.8ジュール(1g当たり615.2および688.4ジュール)のエンタルピーを伴っていた(カッコ内は個別値)。DSC分析から回収したコポリマーは、透明でコハク色の堅い固体であった。
【0145】
(比較実験G)
イソプロピリデンビスフェノールのビス(アリルエーテル)(25重量%)およびイソプロピリデンジフェノールのジシアネート(75重量%)の熱的に誘導される共重合
4,4’−イソプロピリデンジフェノールのジシアネート(2.5518g、75重量%)および実施例1のシクロドデカンビスフェノールのビス(アリルエーテル)(0.8506g、25重量%)をガラスバイアルにはかり入れた。4,4’−イソプロピリデンジフェノールのジシアネートのHPLC分析により、100面積%のジシアネートが示された。4,4’−イソプロピリデンジフェノールのビス(アリルエーテル)のHPLC分析により、99.51面積%のアリルエーテルと3つの微量成分(0.13、0.05および0.31面積%)としての残余の存在が明らかになった。バイアルの内容物を緩やかに加熱し(75℃を超えなかった)、旋回させることによって混合して溶液とした。
【0146】
混合物の一部(11.40および12.80mg)のDSC分析を1分間当たり35立方センチメートルで流れる窒素の気流中で25℃から400℃まで1分間当たり5℃の加熱速度を用いて行った。吸熱が認められ、平均で開始31.00℃(30.29℃および31.71℃)、極小71.48℃(71.35℃および71.61℃)および終点79.82℃(78.63℃および81.00℃)であり、1g当たり64.6ジュール(1g当たり62.10および67.01ジュール)のエンタルピーを伴っていた(カッコ内は個別値)。アリルおよびシアネート基の共重合(+任意の単独重合)に起因した発熱が認められ、平均で開始195.70℃(194.75℃および196.65℃)、極大256.11℃(255.56℃および256.65℃)および終点286.94℃(285.75℃および288.12℃)であり、1g当たり769.3ジュール(1g当たり757.9および780.7ジュール)のエンタルピーを伴っていた(カッコ内は個別値)。DSC分析から回収したコポリマーは、透明でコハク色の堅い固体であった。
【表6】
【実施例8】
【0147】
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのビス(アリルエーテル)(25重量%)およびイソプロピリデンジフェノールのジシアネート(75重量%)のコポリマーのガラス転移温度
実施例7における残りの混合物の硬化を次の硬化スケジュールを用いてオーブン中で完了させた:150℃で1時間、200℃で1時間、250℃で1時間。硬化生成物の一部(31.1および31.8mg)のDSC分析により、>250℃での残存発熱が示された。2回目の走査後に、176.94℃(176.04℃および177.83℃)(カッコ内は個別値)の平均ガラス転移温度が測定され、残存発熱の後に385.04℃(382.91℃および387.17℃)(カッコ内は個別値)の平均温度で発熱性分解が始まった。
【0148】
(比較実験H)
イソプロピリデンビスフェノールのビス(アリルエーテル)(25重量%)およびイソプロピリデンジフェノールのジシアネート(75重量%)のコポリマーのガラス転移温度
比較実験Gにおける残りの混合物の硬化を次の硬化スケジュールを用いてオーブン中で完了させた:150℃で1時間、200℃で1時間、250℃で1時間。硬化生成物の一部(30.4および30.8mg)のDSC分析により、>200℃での残存発熱が示された。2回目の走査後に、162.47℃(158.70℃および166.23℃)(カッコ内は個別値)の平均ガラス転移温度が測定され、残存発熱の後に354.2℃(351.6℃および356.8℃)(カッコ内は個別値)の平均温度で発熱性分解が始まった。
【表7】
【実施例9】
【0149】
触媒を用いる1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのビス(アリルエーテル)(25重量%)および1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカン(75重量%)の共重合
1,1−ビス(4−シアノトフェニル)シクロドデカン(0.7709g、75重量%)、実施例1のシクロドデカンビスフェノールのビス(アリルエーテル)(0.2570g、25重量%)および6%コバルトナフテネート(0.0051g、0.5重量%)をガラスバイアルにはかり入れ、これにジクロロメタン(1.5ml)を加えた。1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカンのHPLC分析により、99.44面積%のジシアネートおよび0.56面積%のモノシアネートが示された。バイアルを振とうして溶液とし、これをアルミニウムトレーに加えた。揮発分除去を排気型オーブン中で40℃で30分間行い、ジクロロメタンを除去して均一な混合物を得た。
【0150】
混合物の一部(10.1および12.5mg)のDSC分析を1分間当たり35立方センチメートルで流れる窒素の気流中で25℃から400℃まで1分間当たり5℃の加熱速度を用いて行った。吸熱が認められ、平均で開始51.62℃(41.67℃および61.57℃)、極小85.29℃(79.93℃および90.64℃)および終点93.09℃(90.48℃および95.70℃)であり、1g当たり16.22ジュール(1g当たり8.65および23.79ジュール)のエンタルピーを伴っていた(カッコ内は個別値)。アリルおよびシアネート基の共重合(+任意の単独重合)に起因した発熱が認められ、平均で開始93.09℃(90.48℃および95.70℃)、複合した極大162.04および238.36℃(161.28℃、162.79℃、236.93℃および239.78℃)ならびに終点283.38℃(282.43℃および284.33℃)であり、1g当たり422.6ジュール(1g当たり413.0および432.1ジュール)のエンタルピーを伴っていた(カッコ内は個別値)。DSC分析から回収したコポリマーは、透明でコハク色の堅い固体であった。
【0151】
(比較実験I)
触媒を用いるイソプロピリデンジフェノールのビス(アリルエーテル)(25重量%)およびイソプロピリデンジフェノールのジシアネート(75重量%)の共重合
4,4’−イソプロピリデンジフェノールのジシアネート(0.7727g、75重量%)、比較実験Aの4,4’−イソプロピリデンジフェノールのビス(アリルエーテル)(0.2576g、25重量%)および6%コバルトナフテネート(0.0052g、0.5重量%)をガラスバイアルにはかり入れ、これにジクロロメタン(1.5ml)を加えた。4,4’−イソプロピリデンジフェノールのジシアネートのHPLC分析により、100面積%のジシアネートが示された。4,4’−イソプロピリデンジフェノールのビス(アリルエーテル)のHPLC分析により、99.51面積%のアリルエーテルと3つの微量成分(0.13、0.05および0.31面積%)としての残余の存在が明らかになった。バイアルを振とうして溶液とし、これをアルミニウムトレーに加えた。揮発分除去を真空オーブン中で40℃で30分間行い、ジクロロメタンを除去して均一な混合物を得た。
【0152】
混合物の一部(8.7および11.1mg)のDSC分析を1分間当たり35立方センチメートルで流れる窒素の気流中で25℃から400℃まで1分間当たり5℃の加熱速度を用いて行った。吸熱が認められ、平均で開始37.64℃(35.50℃および39.77℃)、極小69.39℃(69.21℃および69.56℃)および終点79.35℃(79.11℃および79.58℃)であり、1g当たり50.19ジュール(1g当たり48.64および51.73ジュール)のエンタルピーを伴っていた(カッコ内は個別値)。アリルおよびシアネート基の共重合(+任意の単独重合)に起因した発熱が認められ、平均で開始81.48℃(80.53℃および82.43℃)、複合した5つの極大:128.16℃、166.08℃、180.61℃、227.93℃および253.76℃(127.45℃および128.87℃、165.84℃および166.31℃、178.50℃および182.71℃、227.45℃および228.40℃、253.52℃および253.99℃)ならびに終点283.85℃(281.48℃および286.22℃)であり、1g当たり611.0ジュール(1g当たり571.9および650.1ジュール)のエンタルピーを伴っていた(カッコ内は個別値)。DSC分析から回収したコポリマーは、透明でコハク色の堅い固体であった。
【表8】
【実施例10】
【0153】
触媒を用いて製造した1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのビス(アリルエーテル)(25重量%)および1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカン(75重量%)のコポリマーの熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)
1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカン(3.00g、75重量%)、実施例1の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのビス(アリルエーテル)(1.00g、25重量%)および6%コバルトナフテネート(0.0040g、0.1重量%)をガラスバイアルにはかり入れ、これにジクロロメタン(2.0ml)を加えた。1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカンのHPLC分析により、99.44面積%のジシアネートおよび0.56面積%のモノシアネートが示された。バイアルを振とうして溶液とし、これを円筒形のアルミニウムパンに加えた。揮発分除去を真空オーブン中で50℃で30分間行い、ジクロロメタンを除去して均一な混合物を得た。硬化を次の硬化スケジュールを用いてオーブン中で行った:100℃で1時間、150℃で1時間、200℃で2時間、250℃で1時間。硬化させ、アルミニウムパンから離型した後に、堅く、透明でコハク色のディスクが回収された。
【0154】
硬化生成物の一部(33.0および34.3mg)のDSC分析を1分間当たり35立方センチメートルで流れる窒素の気流中で25℃から400℃まで1分間当たり5℃の加熱速度を用いて行った。残存発熱が>260℃で認められ、181.83℃(185.80℃および177.85℃)(カッコ内は個別値)の平均ガラス転移温度が測定された。硬化生成物の一部(20.3110mg)のTGAを動的窒素雰囲気中で25℃から600℃まで1分間当たり10℃の加熱速度を用いて行った。400.42℃の開始温度および446.57℃の終了温度を有する段階的変化が認められた。最初の試料重量の99.00、95.00および90.00%における温度は、それぞれ243.23℃、373.76℃および396.76℃であった。
【0155】
(比較実験J)
触媒を用いて製造したイソプロピリデンジフェノールのビス(アリルエーテル)(25重量%)および4,4’−イソプロピリデンジフェノールのジシアネート(75重量%)のコポリマーの熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)
4,4’−イソプロピリデンジフェノールのジシアネート(3.00g、75重量%)、比較実験Aの4,4’−イソプロピリデンジフェノールのビス(アリルエーテル)(1.00g、25重量%)および6%コバルトナフテネート(0.0040g、0.1重量%)をガラスバイアルにはかり入れ、これにジクロロメタン(2.0ml)を加えた。4,4’−イソプロピリデンジフェノールのジシアネートのHPLC分析により、100面積%のジシアネートが示された。4,4’−イソプロピリデンジフェノールのビス(アリルエーテル)のHPLC分析により、99.51面積%のアリルエーテルと3つの微量成分(0.13、0.05および0.31面積%)としての残余の存在が明らかになった。バイアルを振とうして溶液とし、これを円筒形のアルミニウムパンに加えた。揮発分除去を真空オーブン中で50℃で30分間行い、ジクロロメタンを除去して均一な混合物を得た。硬化を次の硬化スケジュールを用いてオーブン中で行った:100℃で1時間、150℃で1時間、200℃で2時間、250℃で1時間。硬化させ、アルミニウムパンから離型した後に、堅く、透明でコハク色のディスクが回収された。
【0156】
硬化生成物の一部(32.3および34.4mg)のDSC分析を1分間当たり35立方センチメートルで流れる窒素の気流中で25℃から400℃まで1分間当たり5℃の加熱速度を用いて行った。残存発熱が>260℃で認められ、133.16℃(134.03℃および132.29℃)(カッコ内は個別値)の平均ガラス転移温度が測定された。硬化生成物の一部(6.3330mg)のTGAを動的窒素雰囲気中で25℃から600℃まで1分間当たり10℃の加熱速度を用いて行った。386.55℃の開始温度および428.25℃の終了温度を有する段階的変化が認められた。最初の試料重量の99.00、95.00および90.00%における温度は、それぞれ227.28℃、323.19℃および385.32℃であった。
【表9】
【実施例11】
【0157】
触媒を用いて製造した1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンのビス(アリルエーテル)(25重量%)および1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカン(75重量%)のコポリマーの耐湿性
実施例10における硬化コポリマーディスクの残りの一部を秤量し、脱イオン水(40ml)とともに4オンスガラスジャーに加え、密閉し、次いで55℃に維持したオーブン中に入れた。ディスクを指定の間隔で取り出し、水分を吸い取って乾燥し、秤量し、次いで、試験の継続のために密閉ジャーに戻した。最初からの重量の変化を各時間間隔ごとに計算し、表に示す以下の結果を得た。
【0158】
(比較実験K)
触媒を用いて製造したイソプロピリデンジフェノールのビス(アリルエーテル)(25重量%)および4,4’−イソプロピリデンジフェノールのジシアネート(75重量%)のコポリマーの耐湿性
比較実験Jにおける硬化コポリマーディスクの残りの一部を秤量し、脱イオン水(40ml)とともに4オンスガラスジャーに加え、密閉し、次いで55℃に維持したオーブン中に入れた。ディスクを指定の間隔で取り出し、水分を吸い取って乾燥し、秤量し、次いで、試験の継続のために密閉ジャーに戻した。最初からの重量の変化を各時間間隔ごとに計算し、以下の表に示す結果を得た。
【表10】
【0159】
(参照実施例3)
ジメチルシクロヘキサンのテトラフェノールの合成および特性決定
フェノール(598g、6.36モル)およびシクロヘキサンジカルボキシアルデヒド(74.2g、0.53モル、1,3−および1,4−異性体の混合物;フェノール基とアルデヒド基との比=6:1、フェノールとシクロヘキサンジカルボキシアルデヒドとの当量比=3:1)を一緒に1L五口反応器に加えた。混合物を500rpm機械的撹拌機で撹拌しながら50℃に加熱した。50℃、大気圧で、p−トルエンスルホン酸(PTSA)(合計1.3959g、0.207重量%)を6つに分けて30分間にわたって加えた。各PTSAの添加のたびに温度が数度上昇した。6つ目のPTSAの添加後に、温度調節器を70℃に設定し、反応器に真空をかけた。反応器の内容物が整流器に溢れることを避けるために、反応器の圧力を徐々に低くして、反応溶液から水を除去した。還流が止まったとき、反応器に通気し、水(48g)を加えた。
【0160】
水(79g)およびNaHCO
3(0.6212g)を加えて、PTSAを中和した。反応器内容物が室温に冷却したとき、内容物全体を2L分液漏斗に移した。メチルエチルケトン(MEK)を加え、内容物を水で数回洗浄して、PTSA塩を除去した。溶媒および過剰なフェノールをロータリーエバポレーターを用いて除去し、熱ノボラックをアルミニウムフォイル上に注いだ。フェノールとシクロヘキサンジカルボキシアルデヒドの反応により、以下の理想化された構造を有するテトラフェノール(ジメチルシクロヘキサンのテトラフェノール)が主生成物として生成した。
【化16】
【0161】
紫外分光光度分析で118.64のヒドロキシ当量(HEW)が示された。高圧液体クロマトグラフ(HPLC)分析を、生成物中に存在する24(異性体)成分を分解するように調節した。
【0162】
本発明をその特定の形態(version)に関してかなり詳細に記述したが、他の形も可能であり、示した形態の改変形態、変更形態および同等物は、本明細書を読み、図面を検討することにより当業者には明らかになるであろう。また、本明細書における形態の様々な特徴を様々な方法で組み合わせて、本発明の付加的な形態を提供することができる。さらに、特定の用語は、記述を明瞭にする目的のために用いたものであって、本発明を限定するものではない。したがって、添付の特許請求の範囲は、本明細書に含まれる好ましい形態の記述に限定されるべきではなく、そのようなすべての改変形態、変更形態および同等物を本発明の真の精神および範囲に入るように含めるべきである。
【0163】
本発明を十分に記述したので、本発明の方法は、本発明の範囲およびその実施形態から逸脱することなく、広く、同等の範囲の条件、製法および他のパラメーターを用いて実施することができることは当業者に理解されるであろう。
また、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
(1)式(I):
【化17】
[式中、
各mは、独立に、0、1または2であり、
部分RaおよびRbは、独立に、合計約5〜約24個の炭素原子を含む場合によって置換されている脂肪族基を表し、RaおよびRbは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合によって置換されている、および/または場合によって不飽和の、および/または場合によって多環式の脂肪族環構造を形成していてよく、
部分Rは、独立に、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、1つまたは2つのアルキル基を場合によって有するアミノ、場合によって置換されているアルキル、場合によって置換されているシクロアルキル、場合によって置換されているアルコキシ、場合によって置換されているアルケニル、場合によって置換されているアルケニルオキシ、場合によって置換されているアリール、場合によって置換されているアラルキル、場合によって置換されているアリールオキシおよび場合によって置換されているアラルコキシを表し、
部分Qは、独立に、水素、HR1C=CR1−CH2−またはH2R1C−CR1=HC−を表し、部分R1は、独立に、水素または1〜約3個の炭素原子を有する場合によって置換されているアルキルを表し、
ただし、両部分Qが水素であり、RaおよびRbが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、少なくとも約8個の環メンバーを有する脂肪族環構造を形成しない場合、少なくとも1つの部分Rは、HR1C=CR1−CH2−またはH2R1C−CR1=HC−を表す]
のエチレン性不飽和モノマー。
(2)式(Ia):
【化18】
[式中、
m、RおよびQは、上記(1で定義した通りであり、
nは、約5〜約24の値を有し、
ただし、両部分Qが水素である場合、少なくとも1つの部分Rは、HR1C=CR1−CH2−またはH2R1C−CR1=HC−を表し、
上の式(Ia)に含まれる任意の非芳香族環状部分は、1つもしくは複数の置換基を場合によって有していてよく、および/または1つもしくは複数の二重結合を場合によって含んでいてよく、および/または場合によって多環式であってよい]
のモノマーである、(1)に記載のエチレン性不飽和モノマー。
(3)nが約9〜約16の値を有する、上記(2)に記載のモノマー。
(4)nが、9、10または11の値を有する、上記(2)に記載のモノマー。
(5)各mが独立に、0または1である、上記(1から4のいずれか一項に記載のモノマー。
(6)部分Qが、独立に、HR1C=CR1−CH2−またはH2R1C−CR1=HC−を表す、上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のモノマー。
(7)部分R1が、独立に、水素またはメチルを表す、上記(1)から(6)のいずれか一項に記載のモノマー。
(8)部分Qが同じであり、アリル、メタリルまたは1−プロペニルを表す、上記(1)から(7)のいずれか一項に記載のモノマー。
(9)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンビス(アリルエーテル)である、上記(1)から(7)のいずれか一項に記載のモノマー。
(10)式(II):
【化19】
[式中、
pは、0または1〜約19の整数であり、
各mは、独立に、0、1または2であり、
部分Rは、独立に、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、1つまたは2つのアルキル基を場合によって有するアミノ、場合によって置換されているアルキル、場合によって置換されているシクロアルキル、場合によって置換されているアルコキシ、場合によって置換されているアルケニル、場合によって置換されているアルケニルオキシ、場合によって置換されているアリール、場合によって置換されているアラルキル、場合によって置換されているアリールオキシ、および場合によって置換されているアラルコキシを表し、
部分Qは、独立に、水素、HR1C=CR1−CH2−またはH2R1C−CR1=HC−を表し、部分R1は、独立に、水素または1〜約3個の炭素原子を有する場合によって置換されているアルキルを表し、ただし、4つのすべての部分Qが水素である場合、少なくとも1つの部分Rは、HR1C=CR1−CH2−またはH2R1C−CR1=HC−を表し、
上の式(II)に含まれる任意の非芳香族環状部分は、1つもしくは複数の置換基を場合によって有していてよく、および/または1つもしくは複数の二重結合を場合によって含んでいてよい]
のエチレン性不飽和モノマー。
(11)pが1〜約14の値を有する、上記(10)に記載のモノマー。
(12)pが、1、2または3の値を有する、上記(10)に記載のモノマー。
(13)各mが、独立に、0または1である、上記(10)から(12)のいずれか一項に記載のモノマー。
(14)部分Qが、独立に、HR1C=CR1−CH2−またはH2R1C−CR1=HC−を表す、上記(10)から(13)のいずれか一項に記載のモノマー。
(15)部分R1が、独立に、水素またはメチルを表す、上記(10)から(14)のいずれか一項に記載のモノマー。
(16)部分Qが同じであり、アリル、メタリルまたは1−プロペニルを表す、上記(10)から(15)のいずれか一項に記載のモノマー。
(17)ジメチルシクロヘキサンテトラフェノールテトラ(アリルエーテル)である、上記(10)から(16)のいずれか一項に記載のモノマー。
(18)上記(1)から(17)のいずれか一項に記載のモノマーのポリマーまたはプレポリマー。
(19)(i)上記(1)から(9)のいずれか一項に記載の少なくとも1つのモノマーおよび/またはそのプレポリマー、(ii)上記(10)から(17)のいずれか一項に記載の少なくとも1つのモノマーおよび/またはそのプレポリマー、ならびに(iii)(i)および(ii)と異なる少なくとも1つのモノマーおよび/またはそのプレポリマーの少なくとも2つを含む重合性混合物。
(20)少なくとも1つのモノマー(iii)が、1つまたは複数の重合性エチレン性不飽和部分、芳香族ジおよびポリシアネート、芳香族ジおよびポリシアナミド、ジおよびポリマレイミドならびにジおよびポリグリシジルエーテルを含むモノマーから選択される、上記(19)に記載の混合物。
(21)少なくとも(i)および(iii)を含む、上記(19)または(20)に記載の混合物。
(22)少なくとも(ii)および(iii)を含む、上記(19)から(21)のいずれか一項に記載の混合物。
(23)(iii)が、式(III):
【化20】
[式中、
nは、約5〜約24の値を有し、
各mは、独立に、0、1または2であり、
部分Rは、独立に、ハロゲン、シアノ、ニトロ、場合によって置換されているアルキル、場合によって置換されているシクロアルキル、場合によって置換されているアルコキシ、場合によって置換されているアルケニル、場合によって置換されているアルケニルオキシ、場合によって置換されているアリール、場合によって置換されているアラルキル、場合によって置換されているアリールオキシ、および場合によって置換されているアラルコキシを表し、
上の式(III)に含まれる任意の非芳香族環状部分は、1つもしくは複数の置換基を場合によって有していてよく、および/または1つもしくは複数の二重結合を場合によって含んでいてよい]
のジシアネート化合物および/またはそのプレポリマーを含む、上記(19)から(22)のいずれか一項に記載の混合物。
(24)式(III)のジシアネート化合物が1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロドデカンを含む、上記(23)に記載の混合物。
(25)(iii)が、式(IV):
【化21】
[式中、
pは、0または1〜約19の整数であり、
各mは、独立に、0、1または2であり、
部分Rは、独立に、ハロゲン、シアノ、ニトロ、場合によって置換されているアルキル、場合によって置換されているシクロアルキル、場合によって置換されているアルコキシ、場合によって置換されているアルケニル、場合によって置換されているアルケニルオキシ、場合によって置換されているアリール、場合によって置換されているアリールオキシ、および場合によって置換されているアラルコキシを表し、
部分Qの少なくとも2つは、−CNを表し、残りの部分Qは、水素を表し、
上の式(IV)に含まれる任意の非芳香族環状部分は、1つもしくは複数の置換基を場合によって有していてよく、および/または1つもしくは複数の二重結合を場合によって含んでいてよい]
のポリシアネートおよび/またはそのプレポリマーを含む、上記(19)から(24)のいずれか一項に記載の混合物。
(26)式(IV)において4つのすべての部分Qが−CNを表す、上記(25)に記載の混合物。
(27)式(IV)のポリシアネート化合物がジメチルシクロヘキサンテトラフェノールテトラシアネートを含む、上記(26)に記載の混合物。
(28)重合触媒、共硬化剤、難燃剤、難燃剤の相乗剤、溶媒、充填剤、接着促進剤、湿潤助剤、分散助剤、表面改質剤、熱可塑性ポリマーおよび離型剤から選択される1つまたは複数の物質をさらに含む、上記(19)から(27)のいずれか一項に記載の混合物。
(29)上記(1)から(17)のいずれか一項に記載の少なくとも1つのモノマーおよび/またはそのプレポリマー、ならびに重合触媒、共硬化剤、難燃剤、難燃剤の相乗剤、溶媒、充填剤、接着促進剤、湿潤助剤、分散助剤、表面改質剤、熱可塑性ポリマーおよび離型剤から選択される1つもしくは複数の物質を含む混合物。
(30)部分的または完全に重合した、上記(29)に記載の混合物。
(31)上記(19)から(30)のいずれか一項に記載の重合混合物を含む製品。
(32)電気積層品、IC基板、キャスティング、コーティング、ダイアタッチおよびモールドコンパウンド配合物、複合材料ならびに接着剤の少なくとも1つである、上記(31)に記載の製品。
(33)約2以下の多分散度を有するポリフェノール化合物の混合物をもたらす芳香族ヒドロキシ基とアルデヒド基との比率で約5〜約24個の環炭素原子を有するシクロアルカンのジアルデヒドとヒドロキシ芳香族化合物とを縮合させる段階と、ポリフェノール化合物の混合物をエーテル化反応に供して、混合物中に存在するフェノール基を式HR1C=CR1−CH2−O−および/またはH2R1C−CR1=HC−O−の基[式中、部分R1は、独立に、水素または1〜約3個の炭素原子を有する非置換もしくは置換アルキルを表す]に部分的または完全に変換する段階を含む、エチレン性不飽和モノマーの混合物を製造する方法。
(34)芳香族ヒドロキシ基とアルデヒド基との比率が少なくとも約4である、上記(33)に記載の方法。
(35)シクロアルカンが、6、7または8個の炭素原子を有する、上記(33)または(34)に記載の方法。
(36)ジアルデヒドがシクロヘキサンジカルボキシアルデヒドを含み、ヒドロキシ芳香族化合物がフェノールを含む、上記(33)から(35)のいずれか一項に記載の方法。
(37)上記(33)から(36)のいずれか一項に記載の方法により得られるエチレン性不飽和モノマーの混合物。