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特許6101419電子機器、制御回路及び発光素子の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101419
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】電子機器、制御回路及び発光素子の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 15/05 20060101AFI20170313BHJP
   G03B 15/03 20060101ALI20170313BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   G03B15/05
   G03B15/03 X
   H04N5/225 F
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-28878(P2011-28878)
(22)【出願日】2011年2月14日
(65)【公開番号】特開2012-168332(P2012-168332A)
(43)【公開日】2012年9月6日
【審査請求日】2014年2月3日
【審判番号】不服2015-18942(P2015-18942/J1)
【審判請求日】2015年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】507364997
【氏名又は名称】サイプレス セミコンダクター コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】平野 健
(72)【発明者】
【氏名】山田 知和
【合議体】
【審判長】 鉄 豊郎
【審判官】 河原 正
【審判官】 西村 仁志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−233714(JP,A)
【文献】 特開2003−255914(JP,A)
【文献】 特開2007−33745(JP,A)
【文献】 特開2008−276041(JP,A)
【文献】 特開2009−86068(JP,A)
【文献】 特開2001−215573(JP,A)
【文献】 特開2010−122336(JP,A)
【文献】 特表2005−536849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 15/05
G03B 15/00
H04N 5/222-5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子に接続されたキャパシタと、
放電期間において前記キャパシタの電荷の変化量を測定する測定回路と、
測定された前記電荷の変化量と、前記キャパシタの特性に応じた基準値との差分に応答して、前記発光素子の発光量を制御する制御部と
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記発光素子に接続された抵抗素子を有し、
前記制御部は、前記発光量の制御として前記抵抗素子の抵抗値を制御することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子機器であって、
前記電荷の変化量に基づいて前記基準値を生成する基準値生成回路と、
前記測定回路を、前記制御部及び前記基準値生成回路の何れか一方に選択的に接続するセレクタと、有し、
前記セレクタは、前記測定回路が第1期間において前記電荷の変化量を測定している場合に前記測定回路を前記基準値生成回路と接続し、前記測定回路が第2期間において前記電荷の変化量を測定している場合に前記測定回路を前記制御部と接続することを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器であって、
前記第1期間は前記キャパシタの充電期間であり、前記第2期間は前記キャパシタの放電期間であることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器であって、
前記充電期間に、前記キャパシタに一定の電流を供給する電源回路を有し、
前記放電期間に、前記キャパシタから前記発光素子に電流が供給されることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
放電期間において、発光素子に接続されたキャパシタの電荷の変化量を測定する測定回路と、
前記電荷の変化量と、前記キャパシタの特性に応じた基準値とを比較し、測定された前記電荷の変化量と前記基準値との差分に応じた信号を出力して、前記発光素子の発光量を制御する比較回路とを有することを特徴とする制御回路。
【請求項7】
請求項6に記載の制御回路であって、
前記電荷の変化量に基づいて前記基準値を生成する基準値生成回路と、
前記測定回路を、前記比較回路及び前記基準値生成回路の何れか一方に選択的に接続するセレクタとを有し、
前記セレクタは、前記測定回路が第1期間において前記電荷の変化量を測定している場合に前記測定回路を前記基準値生成回路と接続し、前記測定回路が第2期間において前記電荷の変化量を測定している場合に前記測定回路を前記比較回路と接続することを特徴とする制御回路。
【請求項8】
請求項7に記載の制御回路であって、
前記測定回路は、前記電荷の変化量として、発光素子に接続されたキャパシタの電荷の変化量を測定することを特徴とする制御回路。
【請求項9】
請求項8に記載の制御回路であって、
前記第1期間は前記キャパシタの充電期間であり、前記第2期間は前記キャパシタの放電期間であることを特徴とする制御回路。
【請求項10】
発光素子に接続されたキャパシタの放電期間の電荷の変化量を測定し、
その測定した電荷の変化量と、前記キャパシタの特性に応じた基準値との差分に応答して、前記発光素子の発光量を制御すること
を特徴とする発光素子の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、制御回路及び発光素子の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、DC−DCコンバータによって発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を定電流制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、発光ダイオード列に直列にセンス抵抗とFETとを接続し、センス抵抗に発生する電圧により発光ダイオードに流れる電流を測定し、その測定値に基づいてFETのオン抵抗を制御することにより、発光ダイオードに流れる電流を略一定に制御する技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−122336号公報
【特許文献2】国際公開第2004/019148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、DC−DCコンバータによる定電流制御では、発光ダイオードに流れる電流を直接モニタしていないため、発光ダイオードや素子のばらつきが生じると、発光ダイオードに流れる電流にもばらつきが生じる。このため、この場合には上記電流に対して過剰な設計マージンが必要となる。また、センス抵抗で発光ダイオードに流れる電流をモニタして発光ダイオードに流れる電流を制御する場合には、センス抵抗による損失が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、発光素子と、前記発光素子に接続されたキャパシタと、前記キャパシタの電荷の変化量を測定する測定回路と、前記電荷の変化量と基準値との差分に応答して、前記発光素子の発光量を制御する制御部とを有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一観点によれば、電流制御の精度を向上させつつも、消費電力の増大を抑制させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態のデジタルカメラの全体構成を示すブロック図。
図2】制御回路の内部構成例を示すブロック回路図。
図3】制御回路の動作を説明するためのタイミングチャート。
図4】制御回路の動作を説明するためのタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態を図1図4に従って説明する。まず、デジタルカメラ1の全体構成を図1に従って説明する。
レンズ部10は、被写体からの光を集光する複数のレンズ(フォーカスレンズ11等)と、これらのレンズを通過した光の量を被写体照度に応じて調整する絞り(図示略)とを備え、集光された被写体の光を撮像素子13に出力する。ここで、フォーカスレンズ11は、ピントを調整するためのレンズであり、レンズ移動機構12によって駆動され、光軸に沿って前後に移動される。なお、このレンズ移動機構12は、デジタル信号処理部(Digital Signal Processor:DSP)15から供給される制御信号により駆動制御される。
【0009】
上記撮像素子13は、ベイヤ配列のカラーフィルタを備え、レンズ部10を通過して入射される入射光に応じた撮像信号(アナログ信号)をA/D(Analog to Digital)変換部14に出力する。なお、撮像素子13としては、CCD(charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどを用いることができる。
【0010】
A/D変換部14は、上記撮像信号をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号を画像データとしてDSP15に出力する。
DSP15は、A/D変換部14から入力される画像データに対して各種画像処理を施し、その画像処理後の画像データを記録媒体16に格納したり、表示部17に出力したりする。なお、記録媒体16としては、例えばコンパクトフラッシュ(登録商標)やSDメモリカード(登録商標)などの携帯型メモリカードである。表示部17としては、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)や有機EL(Electronic Luminescence)などを用いることができる。
【0011】
入力部18は、ユーザにより操作されるシャッタボタンやメニューボタン等の各種スイッチを有している。ユーザはこれらの各種スイッチを操作することにより、写真撮影や撮影モードの変更などを行うことができる。例えばシャッタボタンが半押し操作されることによってオートフォーカス制御等の撮影準備処理が行われ、全押し操作されることによって実際の撮影処理が行われる。なお、シャッタボタン等が操作されると、入力部18は、その操作に応じた操作信号をホストCPU19に出力する。
【0012】
ホストCPU19は、入力部18からの各種操作信号に基づいて、ROM(図示略)に記憶された各種プログラムを実行することにより、デジタルカメラ1の各部を統括的に制御する。このホストCPU19は、DSP15と通信を行うとともに、制御回路20を制御する。例えばホストCPU19は、シャッタボタンの全押し操作に伴って撮影指令を示す操作信号が入力部18から入力されると、発光部30を発光させるための発光信号SLを制御回路20に出力する。
【0013】
制御回路20は、ホストCPU19からの制御信号(発光信号SLや充電信号Sch等)に応じて、発光部30を駆動制御する。具体的には、制御回路20は、撮影タイミングにおいて、発光部30内の発光ダイオード31を撮像に必要な一定時間だけ発光させる。
【0014】
次に、制御回路20及び発光部30の内部構成例を図2に従って説明する。
発光部30は、発光ダイオード31と、発光ダイオード31のアノードに第1端子が接続され第2端子がグランドに接続されるキャパシタC31と、発光ダイオード31のカソードにドレインが接続されソースがグランドに接続されるNチャネルMOSトランジスタT31とを有している。
【0015】
制御回路20は、キャパシタC31に電流Icを供給するDC−DCコンバータ21と、キャパシタC31の電荷の変化量を測定する測定回路22と、その電荷の変化量に対応する増幅電圧Vaと基準電圧Vrとの差分に応答して、発光ダイオード31の発光量を制御する制御部23とを有している。また、制御回路20は、キャパシタC31の電荷の変化量に応じて上記基準電圧Vrを生成する基準値生成回路24と、測定回路22と制御部23又は基準値生成回路24とを選択的に接続するセレクタ27とを有している。
【0016】
DC−DCコンバータ21は、スイッチSW0を介して、発光ダイオード31のアノードとキャパシタC31の第1端子に接続されるとともに、測定回路22に接続されている。このDC−DCコンバータ21は、スイッチSW0がオンされると、一定電圧に制御した出力電圧をキャパシタC31に供給し、キャパシタC31に一定の電流Icを流す(充電期間)。この電流によってキャパシタC31は充電され、キャパシタC31の第1端子の電圧(充電電圧Vch)が一定の傾斜で上昇される。なお、スイッチSW0がオフされた場合には、キャパシタC31から駆動電流Idが発光ダイオード31に流れて、その発光ダイオード31がストロボ発光する(放電期間)。
【0017】
スイッチSW0は、ホストCPU19(図1参照)から入力されるHレベルの充電信号Schに応答してオンする一方、Lレベルの充電信号Schに応答してオフする。この充電信号Schは、例えばシャッタボタンの半押し操作に応答してHレベルとなり、キャパシタC31の充電電圧Vchが所定の設定電圧に達したときにLレベルとなる。
【0018】
次に、測定回路22の内部構成例を説明する。
測定回路22内のスイッチSW1,SW2の各第1端子には、キャパシタC31の第1端子が接続されている。スイッチSW1の第2端子は、コンデンサC21の第1端子に接続されるとともに、オペアンプ22Aの非反転入力端子に接続されている。コンデンサC21の第2端子は、グランドに接続されている。また、スイッチSW2の第2端子は、コンデンサC22の第1端子に接続されるとともに、オペアンプ22Aの反転入力端子に接続されている。コンデンサC22の第2端子は、グランドに接続されている。なお、本実施形態では、コンデンサC21の容量値とコンデンサC22の容量値とは同一値である。
【0019】
スイッチSW1及びスイッチSW2は、3つのクロック信号CKa,CKb,CKcの信号レベルの組み合わせに応じてオンオフ制御される。ここで、図3に示すように、クロック信号CKaは、所定周波数のクロック信号であり、クロック信号CKcは、クロック信号CKaを4分周した信号である。また、クロック信号CKbは、キャパシタC31の充電期間にはクロック信号CKaを2分周した信号を論理反転させた信号となり、キャパシタC31の放電期間にはクロック信号CKaを2分周した信号となる。そして、スイッチSW1は、クロック信号CKaがHレベル、クロック信号CKbがLレベル、及びクロック信号CKcがLレベルのときにオンされ、それ以外の信号レベルの組み合わせではオフされる。また、スイッチSW2は、クロック信号CKaがHレベル、クロック信号CKbがHレベル、及びクロック信号CKcがLレベルのときにオンされ、それ以外の信号レベルの組み合わせではオフされる。
【0020】
このようなスイッチSW1がオンされると、オペアンプ22Aの非反転入力端子には上記キャパシタC31の充電電圧Vchが供給される。また、この充電電圧Vchは、コンデンサC21の第1端子にも供給される。このため、コンデンサC21の第1端子の電圧は、上記キャパシタC31の充電電圧Vchと等しくなる。
【0021】
一方、スイッチSW1がオフされると、オペアンプ22Aの非反転入力端子とコンデンサC21の第1端子には充電電圧Vchが供給されなくなる。すると、オペアンプ22Aの非反転入力端子の電圧は、コンデンサC21の第1端子の電圧、すなわち、スイッチSW1をオフする直前の電圧をコンデンサC21により保持した電圧となる。このとき、コンデンサC21により保持された電圧は、スイッチSW1のオフタイミングにおけるキャパシタC31に充電された電荷量に対応する電圧値となる。
【0022】
同様に、スイッチSW2がオンされると、オペアンプ22Aの反転入力端子には上記キャパシタC31の充電電圧Vchが供給される。また、この充電電圧Vchは、コンデンサC22の第1端子にも供給される。このため、コンデンサC22の第1端子の電圧は、上記キャパシタC31の充電電圧Vchと等しくなる。
【0023】
一方、スイッチSW2がオフされると、オペアンプ22Aの反転入力端子とコンデンサC22の第1端子には充電電圧Vchが供給されなくなる。すると、オペアンプ22Aの反転入力端子の電圧は、コンデンサC22の第1端子の電圧、すなわち、スイッチSW2をオフする直前の電圧をコンデンサC22により保持した電圧となる。このとき、コンデンサC22により保持された電圧は、スイッチSW2のオフタイミングにおけるキャパシタC31に充電された電荷量に対応する電圧値となる。
【0024】
オペアンプ22Aは、両入力端子の端子電圧の差電圧を増幅した増幅電圧Vaを制御部23又は基準値生成回路24に出力する。このオペアンプ22Aの出力端子は、セレクタ27の共通端子Pcに接続されている。ここで、上記増幅電圧Vaは、スイッチSW1のオフタイミングにおけるキャパシタC31の電荷量に対応する電圧とスイッチSW2のオフタイミングにおけるキャパシタC31の電荷量に対応する電圧との差分であるため、キャパシタC31の電荷Qの変化量ΔQ(図3参照)に相当する。
【0025】
セレクタ27の共通端子Pcは、基準値生成回路24に接続される第1端子P1と、制御部23に接続される第2端子P2とに接続されている。このセレクタ27は、上記充電信号Schの信号レベルに応じて切り替え制御される。具体的には、セレクタ27は、Hレベルの充電信号Schに応じて共通端子Pcと第1端子P1、つまり測定回路22と基準値生成回路24とを接続し、Lレベルの充電信号Schに応じて共通端子Pcと第2端子P2、つまり測定回路22と制御部23とを接続する。
【0026】
次に、基準値生成回路24の内部構成例を説明する。
基準値生成回路24内のサンプルホールド回路25には、上記セレクタ27の第1端子P1が接続されている。このため、サンプルホールド回路25には、セレクタ27の共通端子Pcと第1端子P1とが接続された場合に、つまりキャパシタC31の充電時に、測定回路22から増幅電圧Vaが供給される。また、サンプルホールド回路25には、上記クロック信号CKcがサンプリングクロックとして供給される。このサンプルホールド回路25は、クロック信号CKcに応答して、増幅電圧Vaをサンプルホールドしてホールド電圧Vhを生成する。本実施形態では、サンプルホールド回路25は、Lレベルのクロック信号CKcが入力されている期間に、そのクロック信号CKcが立ち下がる直前に入力される増幅電圧Vaを保持し、その保持した増幅電圧Vaをホールド電圧Vhとしてオペアンプ26の非反転入力端子に出力する。また、サンプルホールド回路25は、Hレベルのクロック信号CKcが入力されている期間に、測定回路22から入力される増幅電圧Vaをそのままホールド電圧Vhとしてオペアンプ26の非反転入力端子に出力する。
【0027】
オペアンプ26の出力端子は、NチャネルMOSトランジスタT21のゲートに接続されている。トランジスタT21は、そのドレインがPチャネルMOSトランジスタT22のドレインに接続されるとともに、ソースがオペアンプ26の反転入力端子と抵抗R21の第1端子とに接続されている。その抵抗R21の第2端子はグランドに接続されている。
【0028】
上記オペアンプ26は、反転入力端子の端子電圧をホールド電圧Vhと等しくするように、トランジスタT21を制御する。すなわち、抵抗R21の第1端子の電圧がホールド電圧Vhになるように制御される。したがって、抵抗R21の両端子間には、この抵抗R21の抵抗値と、両端子間の電位差(ホールド電圧Vh)とに応じた電流I1が流れる。すなわち、電流I1は、ホールド電圧Vh(増幅電圧Va)に比例した電流となる。
【0029】
上記トランジスタT22は、そのソースに高電位側の電源電圧Vccが供給される。また、トランジスタT22のゲートは、同トランジスタT22のドレインと、スイッチS1,S2,S3をそれぞれ介してPチャネルMOSトランジスタT23,T24,T25のゲートとに接続されている。これらトランジスタT23,T24,T25のソースには電源電圧Vccが供給される。したがって、スイッチS1がオンされると、トランジスタT22,T23がカレントミラー回路として機能し、スイッチS2がオンされると、トランジスタT22,T24がカレントミラー回路として機能し、スイッチS3がオンされると、トランジスタT22,T25がカレントミラー回路として機能する。これらカレントミラー回路は、入力側のトランジスタT22と出力側の各トランジスタT23,T24,T25との電気的特性に応じて、抵抗R21に流れる電流I1に比例した電流を出力側のトランジスタに流す。
【0030】
また、出力側のトランジスタT23,T24,T25のドレインは抵抗R22の第1端子に共通して接続されるとともに、その抵抗R22の第2端子はグランドに接続されている。このため、抵抗R22には、スイッチS1〜S3のオンオフによって選択されるカレントミラー回路から上記ホールド電圧Vhに比例した電流I1に応じた電流が供給される。例えば出力側のトランジスタT23が入力側のトランジスタT22と同一の電気的特性を有し、その出力側のトランジスタT23に接続されるスイッチS1のみがオンされると、上記電流I1と同一の電流値の電流I2が抵抗R22に供給される。ここで、出力側のトランジスタT23,T24,T25の電気的特性の設定やスイッチS1〜S3のオンオフ設定は、例えば当該制御回路20に接続される発光ダイオード31の特性や数に応じて決定される。
【0031】
そして、抵抗R22の抵抗値及び電流I2の電流値に応じて決定される抵抗R22の第1端子の電圧が基準電圧Vrとして制御部23内のオペアンプ23Aの非反転入力端子に供給される。
【0032】
このように構成された基準値生成回路24は、キャパシタC31の充電時における増幅電圧Va(キャパシタC31の電荷Qの変化量ΔQ)をホールド電圧Vhとして保持し、そのホールド電圧Vhに応じた基準電圧Vrを生成する。なお、キャパシタC31の放電時においては、セレクタ27の共通端子Pcと第2端子P2とが接続されて当該基準値生成回路24が測定回路22から切り離されるが、サンプルホールド回路25で上記増幅電圧Vaが保持されているため、その増幅電圧Va(ホールド電圧Vh)に応じて生成される基準電圧Vrが制御部23に供給される。
【0033】
次に、制御部23の内部構成例を説明する。
上記オペアンプ23Aの反転入力端子には、上記セレクタ27の第2端子P2が接続されている。このため、オペアンプ23Aの反転入力端子には、セレクタ27の共通端子Pcと第2端子P2とが接続された場合、つまりキャパシタC31の放電時に、測定回路22から増幅電圧Vaが供給される。このオペアンプ23Aの出力端子は、スイッチSW3を介して発光部30内のNチャネルMOSトランジスタT31のゲートに接続されている。また、オペアンプ23Aの出力端子は、コンデンサC23と抵抗R23とを介して同オペアンプ23Aの反転入力端子に帰還されている。このオペアンプ23Aは、増幅電圧Vaと基準電圧Vrとの差分に応じた出力電圧をスイッチSW3の第1端子に供給する。具体的には、オペアンプ23Aは、増幅電圧Vaと基準電圧Vrとの差分に応じて、上記トランジスタT31のオン抵抗を制御する出力電圧(制御信号)を出力する。
【0034】
このスイッチSW3は、その共通端子がトランジスタT31のゲートに接続され、第1端子がオペアンプ23Aの出力端子に接続され、第2端子がグランドに接続されている。このスイッチSW3は、ホストCPU19(図1参照)からの発光信号SLの信号レベルに応じて切り替え制御される。具体的には、スイッチSW3は、発光ダイオード31の発光指令を示すHレベルの発光信号SLに応じて共通端子と第1端子とを接続し、Lレベルの発光信号SLに応じて共通端子と第2端子とを接続する。そして、スイッチSW3は、オペアンプ23Aの出力電圧又はグランドレベルの電圧を制御信号ScとしてトランジスタT31のゲートに出力する。なお、トランジスタT31は、オペアンプ23Aの出力電圧に応じてオンされ、グランドレベルの電圧に応じてオフされる。
【0035】
このように構成された制御部23は、Hレベルの発光信号SLが入力されるまでは、グランドレベルの制御信号ScをトランジスタT31のゲートに供給する。すると、トランジスタT31がオフされ、発光ダイオード31に駆動電流Idが流れないため、発光ダイオード31は発光されない。一方、発光ダイオード31の発光指令を示すHレベルの発光信号SLが入力されると、制御部23は、増幅電圧Vaと基準電圧Vrとの差分に応じた制御信号ScをトランジスタT31のゲートに供給する。この制御信号Scの増減に応じてトランジスタT31のオン抵抗が可変され、それに伴って発光ダイオード31に流れる駆動電流Idが可変されて発光ダイオード31の発光量が可変される。このとき、制御部23→発光部30→測定回路22→セレクタ27→制御部23というフィードバックループによって、増幅電圧Va(キャパシタC31の電荷Qの変化量ΔQ)が基準電圧Vrと等しくなるように、トランジスタT31のオン抵抗が制御される。これにより、発光ダイオード31の発光量が略一定になるように制御される。
【0036】
なお、デジタルカメラ1は電子機器の一例、DC−DCコンバータ21は電源回路の一例、制御部23は比較回路の一例、発光ダイオード31は発光素子の一例、トランジスタT31は抵抗素子の一例、基準電圧Vrは基準値の一例である。
【0037】
次に、このように構成された制御回路20の動作を図3及び図4に従って説明する。なお、これら図3及び図4において、縦軸及び横軸は、説明を簡潔にするため、適宜拡大、縮小して示している。
【0038】
今、例えばユーザによってシャッタボタンが半押し操作されて撮影準備処理が開始されると、ホストCPU19からHレベルの充電信号Schが制御回路20に出力される(時刻t1)。制御回路20では、Hレベルの充電信号Schに応答して、スイッチSW0がオンされるとともに、セレクタ27の共通端子Pcが第1端子P1と接続され、測定回路22と基準値生成回路24とが接続される。すると、DC−DCコンバータ21から出力される略一定の電流IcによってキャパシタC31が充電される。これにより、キャパシタC31に充電される電荷Qが一定の傾斜で増加する。
【0039】
このとき、所定周波数のクロック信号CKaと、クロック信号CKaを2分周させた信号を反転させたクロック信号CKbと、クロック信号CKcを4分周させたクロック信号CKcとが図示しない発振器や分周器等で生成される。これらクロック信号CKa,CKb,CKcがそれぞれHレベル、Hレベル、Lレベルになると、スイッチSW2がオンされる。すると、コンデンサC22の第1端子の電圧がキャパシタC31の充電電圧Vchと等しくなる。続いて、クロック信号CKaがLレベルに遷移されると(時刻t2参照)、スイッチSW2がオフされる。すると、オペアンプ22Aの反転入力端子の電圧は、スイッチSW2をオフする直前の電圧をコンデンサC22により保持した電圧、すなわち、時刻t2におけるキャパシタC31の電荷Qに対応する電圧となる。
【0040】
次に、クロック信号CKa,CKb,CKcがそれぞれHレベル、Lレベル、Lレベルになると、スイッチSW1がオンされる(時刻t3参照)。すなわち、スイッチSW2のオンから所定時間経過後にスイッチSW1がオンされる。すると、コンデンサC21の第1端子の電圧がキャパシタC31の充電電圧Vchと等しくなる。続いて、クロック信号CKaがLレベルに遷移されると(時刻t4)、スイッチSW1がオフされる。すると、オペアンプ22Aの非反転入力端子の電圧は、スイッチSW1をオフする直前の電圧をコンデンサC21により保持した電圧、すなわち時刻t4におけるキャパシタC31の電荷Qに対応する電圧となる。ここで、上述したように、オペアンプ22Aの反転入力端子の電圧は、時刻t2におけるキャパシタC31の電荷Qに対応する電圧である。このため、このときのオペアンプ22Aから出力される増幅電圧Vaは、所定期間(時刻t2〜t4)におけるキャパシタC31の電荷Qの変化量ΔQに対応する電圧となる。換言すると、増幅電圧Vaは、キャパシタC31の特性を反映した電圧となる。そして、基準値生成回路24では、Hレベルのクロック信号CKcに応答して増幅電圧Vaがホールド電圧Vhとして保持され、その保持されたホールド電圧Vhに応じた基準電圧Vrが生成される。これにより、発光ダイオード31に実際に接続されるキャパシタC31の特性に応じた基準電圧Vrを生成することができる。
【0041】
このような一連の動作が繰り返し実行され、キャパシタC31の充電電圧Vchが所定の設定電圧に達すると(時刻t5参照)、Lレベルの充電信号Schが制御回路20に入力される。すると、Lレベルの充電信号Schに応答して、スイッチSW0がオフされるとともに、セレクタ27の共通端子Pcが第2端子P2と接続され、測定回路22と制御部23とが接続される。これにより、キャパシタC31への充電、つまりキャパシタC31の充電期間が終了する。
【0042】
次に、例えばユーザによってシャッタボタンが全押し操作されると、ホストCPU19からHレベルの発光信号SLが制御回路20に出力される(時刻t6参照)。すると、スイッチSW3の共通端子が第1端子に接続され、制御部23からの制御信号Scによって発光部30内のトランジスタT31がオンされるとともに、そのオン抵抗が制御される。なお、この放電開始時の制御信号Scは、予め設定された固定電圧となる。このような制御信号Scによって制御されたトランジスタT31のオン抵抗に応じて、キャパシタC31に蓄えられた電荷Qが放電され、キャパシタC31から発光ダイオード31に駆動電流Idが流れる。すなわち、キャパシタC31の放電期間(発光ダイオード31の発光期間)が開始される。なお、図3に示すように、この放電期間では、キャパシタC31の電荷Qが徐々に減少する。
【0043】
また、このとき、所定周波数のクロック信号CKaと、クロック信号CKaを2分周させたクロック信号CKbと、クロック信号CKcを4分周させたクロック信号CKcとが生成される。ここで、クロック信号CKbは、上記充電期間と論理が反転している。このため、クロック信号CKa,CKb,CKcがそれぞれHレベル、Lレベル、Lレベルになるタイミングが先に発生し(時刻t6参照)、スイッチSW1が先にオンする。その後、クロック信号CKaのLレベルへの遷移に伴ってスイッチSW1がオフされ(時刻t7参照)、クロック信号CKaのHレベルの遷移に伴ってスイッチSW2がオンされ(時刻t8参照)、続くクロック信号CKaのLレベルへの遷移に伴ってスイッチSW2がオフされる(時刻t9参照)。このように、キャパシタC31の放電期間では、スイッチSW1,SW2のオンする順序が上記充電期間とは逆になる。このため、電荷Qの変化の方向(傾斜の向き)が上記充電期間と逆になる放電期間においても、電荷Qの変化量ΔQ(の絶対値)を測定することができる。具体的には、このときのオペアンプ22Aでは、時刻t7のキャパシタC31の電荷Qに対応する電圧が非反転入力端子に供給され、時刻t9のキャパシタC31の電荷Qに対応する電圧が反転入力端子に供給されているため、所定期間(時刻t7〜t9)における電荷Qの変化量ΔQに対応する増幅電圧Vaがオペアンプ22Aから出力される。換言すると、このときの増幅電圧Vaは、発光ダイオード31に流れる駆動電流Idに応じた電圧となる。そして、制御部23では、増幅電圧Vaと上記充電期間に生成された基準電圧Vrとの差分に応じた制御信号Scが生成される。これにより、増幅電圧Vaが基準電圧Vrと等しくなるようにトランジスタT31のオン抵抗が制御され、発光ダイオード31に流れる駆動電流Idが一定となるように制御される。
【0044】
具体的には、図4に示すように、上記測定した増幅電圧Vaが基準電圧Vrよりも低い場合には(時刻t10参照)、オペアンプ23Aから出力される制御信号Scが高くなる(矢印参照)。これにより、トランジスタT31のオン抵抗が減少し、キャパシタC31から発光ダイオード31に流れる駆動電流Idが増加する。このとき、駆動電流Idの増加に伴ってキャパシタC31の電荷Qの変化量ΔQが大きくなり、増幅電圧Vaが上昇して基準電圧Vrに近づく。また、上記駆動電流Idの増加に伴って、発光ダイオード31の発光量も増加する。
【0045】
逆に、測定した増幅電圧Vaが基準電圧Vrよりも高い場合には、オペアンプ23Aから出力される制御信号Scが低くなる。これにより、トランジスタT31のオン抵抗が増大し、駆動電流Idが減少する。このとき、駆動電流Idの減少に伴ってキャパシタC31の電荷Qの変化量ΔQが小さくなり、増幅電圧Vaが低下して基準電圧Vrに近づく。このような動作が繰り返されることにより、発光ダイオード31に流れる駆動電流Idが略一定の電流に制御され、ひいては発光ダイオード31の発光量が略一定になるように制御される。
【0046】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)発光ダイオード31に接続されたキャパシタC31の電荷Qの変化量ΔQを測定し、その電荷Qの変化量ΔQに対応する増幅電圧Vaと基準電圧Vrとの差分に応答して、発光ダイオード31の発光量を制御するようにした。これによれば、電荷Qの変化量ΔQの測定によって擬似的に駆動電流Idを測定することができるため、駆動電流Idの電流値を精度良く制御することができ、発光ダイオード31の発光量を精度良く制御することができる。したがって、駆動電流Idに対する過剰なマージンを不要にすることができる。また、駆動電流Idの測定にセンス抵抗を使用していないため、センス抵抗による損失の発生を好適に抑制することができ、発光ダイオード31の発光量を制御するための消費電力の増大を抑制することができる。
【0047】
(2)キャパシタC31の充電期間に、そのキャパシタC31の電荷Qの変化量ΔQ(キャパシタC31の特性値)に応じて基準電圧Vrを生成するようにした。これにより、発光ダイオード31に実際に接続されているキャパシタC31の特性値に応じて基準電圧Vrが生成されるため、キャパシタC31の容量変更や温度特性の補正などにも対応することができる。
【0048】
(3)DC−DCコンバータ21から供給される電流IcによってキャパシタC31を充電し、その充電された電荷を放電させることで発光ダイオード31に駆動電流Idを供給するようにした。すなわち、制御回路20及び発光部30は、発光ダイオード31に駆動電流Idを供給するための定電流源を内蔵していない。このため、制御回路20及び発光部30における発熱を好適に抑制することができる。
【0049】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記実施形態では、キャパシタC31の充電期間に、そのキャパシタC31の電荷Qの変化量ΔQを測定し、その変化量ΔQに応じた基準電圧Vrを生成するようにした。これに限らず、例えばキャパシタC31の放電期間内の所定期間(例えば、放電期間開始から上記変化量ΔQを1回測定するまでの期間)に、キャパシタC31の特性に応じた基準電圧Vrを生成するようにしてもよい。
【0050】
・あるいは、上述した充電期間における制御(基準電圧Vrの生成)を省略するようにしてもよい。この場合には、例えば基準電圧VrをキャパシタC31の特性に応じて予め設定される電圧とすればよい。このような構成によっても、上記実施形態の(1)と同様の効果を奏する。
【0051】
なお、このような制御回路20を、発光ダイオード31を一定の電流で点灯させる点灯装置などに適用させるようにしてもよい。
・上記実施形態では、抵抗素子の一例としてNチャネルMOSトランジスタT31を開示したが、PチャネルMOSトランジスタを用いてもよい。また、抵抗素子として制御信号Scによって抵抗値が可変される可変抵抗を用いてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、制御信号ScによりトランジスタT31のオン抵抗を制御することで、発光ダイオード31の発光量を制御するようにしたが、発光ダイオード31の発光量を制御可能であれば制御信号Scの制御対象は特に限定されない。
【0053】
・上記実施形態では、発光素子として発光ダイオード31に具体化したが、これに限定されない。
・上記実施形態では、電子機器としてデジタルカメラ1に具体化したが、これに限定されない。例えば電子機器としてビデオカメラに具体化してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 デジタルカメラ
20 制御回路
21 DC−DCコンバータ
22 測定回路
23 制御部
24 基準値生成回路
27 セレクタ
31 発光素子
C31 キャパシタ
T31 NチャネルMOSトランジスタ
図1
図2
図3
図4