(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0018】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る傾斜センサ装置の取付位置を説明するための模式図である。傾斜センサ装置はレベリングECU1に含まれ、このレベリングECU1は、例えば車体300のダッシュボード付近に設置される。なお、レベリングECU1あるいは傾斜センサ装置の設置位置は特に限定されず、例えば前照灯ユニット210内に設けられてもよい。レベリングECU1は、例えば車両に搭載されたライトスイッチ等からオートレベリング制御の実施を指示されると、オートレベリング制御を開始する。
【0019】
オートレベリング制御において、レベリングECU1は、傾斜センサの出力値を用いて車両のピッチ方向の傾斜角度の情報を生成する。そして、レベリングECU1は、得られた情報を用いてレベリングアクチュエータ226(
図2参照)を制御し、前照灯ユニット210に搭載された車両用灯具としての灯具ユニット10(
図2参照)の光軸を車両姿勢に応じた角度に調節する。このように、車両姿勢に基づき灯具ユニットのレベリング調整をリアルタイムで行うオートレベリング制御を実施することで、車両姿勢が変化しても前方照射の到達距離を最適に調節することができる。
【0020】
図2は、車両用灯具を含む前照灯ユニットの概略鉛直断面図である。前照灯ユニット210は、左右対称に形成された一対の前照灯ユニットが車両の車幅方向左右に1つずつ配置された構造を有する。左右に配置された前照灯ユニットは実質的に同一の構成であるため、以下では右側の前照灯ユニット210Rの構造を説明し、左側の前照灯ユニット210Lの説明は適宜省略する。前照灯ユニット210Rは、車両前方側に開口部を有するランプボディ212と、この開口部を覆う透光カバー214とを有する。ランプボディ212は、車両後方側に着脱カバー212aを有する。ランプボディ212と透光カバー214とによって灯室216が形成されている。灯室216には灯具ユニット10が収納されている。
【0021】
灯具ユニット10には、灯具ユニット10の上下左右方向の揺動中心となるピボット機構218aを有するランプブラケット218が形成されている。ランプブラケット218は、ランプボディ212に支持されたエイミング調整ネジ220と螺合している。灯具ユニット10の下面には、スイブルアクチュエータ222の回転軸222aが固定されている。スイブルアクチュエータ222は、ユニットブラケット224に固定されている。ユニットブラケット224には、レベリングアクチュエータ226が接続されている。レベリングアクチュエータ226は、例えばロッド226aを矢印M,N方向に伸縮させるモータなどで構成されている。灯具ユニット10は、ロッド226aが矢印M,N方向に伸縮することで後傾姿勢、前傾姿勢となり、これにより光軸Oのピッチ角度を下方、上方に向けるレベリング調整ができる。
【0022】
灯具ユニット10は、回転シェード12を含むシェード機構18、バルブ14、リフレクタ16を内壁に支持する灯具ハウジング17、及び投影レンズ20を備える。バルブ14は、白熱球やハロゲンランプ、放電球、LEDなどが使用可能である。リフレクタ16は、少なくとも一部が楕円球面状であり、バルブ14から放射された光を反射する。バルブ14からの光及びリフレクタ16で反射した光は、一部が回転シェード12を経て投影レンズ20へと導かれる。回転シェード12は、回転軸12aを中心に回転可能な円筒部材であり、切欠部と複数のシェードプレート(図示せず)とを備える。切欠部又はシェードプレートのいずれかが光軸O上に移動されて、所定の配光パターンが形成される。投影レンズ20は、平凸非球面レンズからなり、後方焦点面上に形成される光源像を反転像として灯具前方の仮想鉛直スクリーン上に投影する。
【0023】
続いて、実施形態1に係る傾斜センサ装置について詳細に説明する。
図3は、実施形態1に係る傾斜センサ装置、及び傾斜センサを車体に取り付けるセンサ取付構造の概略分解斜視図である。センサ取付構造100は、傾斜センサを車体300に取り付けるための構造であって、傾斜センサ装置102と、傾斜センサ装置102を車体300の所定位置に取り付ける取付部104とを備える。
【0024】
傾斜センサ装置102は、車両の傾斜角度の算出に用いられる傾斜センサ110を搭載する基板120と、基板120を収容するケース140とを備える。基板120は、第1主表面121aに所定の配線パターンを有し、傾斜センサ110、制御装置としてのCPU122、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、基板120への入力電圧の監視、各種スイッチ等からの信号入力、通信等のための入力インターフェース(入力I/F)、レベリングアクチュエータ226への制御信号の出力、通信等のための出力インターフェース(出力I/F)、メモリ等が実装される。CPU122は、傾斜センサ110の出力値を用いて車両の傾斜角度の情報を生成し、当該情報を用いて灯具ユニット10の光軸調節を制御する。したがって、傾斜センサ装置102は、レベリングECU1の一部を構成している。本実施形態において、傾斜センサ110は加速度センサである。また、基板120には、車両側からの車速信号やライトスイッチ信号等の入力、もしくは、生成した情報の外部への出力のためのコネクタ124が搭載されている。本実施形態では、基板120は平面視で四角形であり、一辺側にコネクタ124が設けられている。
【0025】
ケース140は、扁平な直方体形状であり、本体部142と、蓋部144とを有する。本体部142は、基板120の収容空間141を有する、容器状の部材である。本体部142は、ケース140の側壁に対応する面に開口142aを有する。また、本体部142は、開口142aの延在方向と交わり、互いに対向する2つの側壁142bの内側面に、ケース140の主表面と平行に延びる基板ガイド146を有する。2つの側壁142bの外側面には、開口142a寄りの領域に、蓋部144とのランス係合用の凸部148が設けられている。また、2つの側壁142bの外側面には、中央部に、取付部104との係合用の凸部150が設けられている。蓋部144は、本体部142の開口142aを塞ぐ部材であり、ケース140の側壁を構成している。蓋部144は、本体部142の側壁142bに接続される側壁に、ランス係合用のフック152が設けられている。フック152は、凸部148に合わせた形状の開口部を有する。また、蓋部144は、本体部142に収容された基板120のコネクタ124を外部に臨ませるための開口部154を有する。
【0026】
また、傾斜センサ装置102は、基板120の主表面に対し略平行な第1方向(
図3において矢印A及び矢印Bで示す方向)における、基板120とケース140との位置決めをする第1位置決め構造と、基板120の主表面に対し略垂直な第2方向(
図3において矢印Cで示す方向)における、基板120とケース140との位置決めをする第2位置決め構造とを有する。第1位置決め構造及び第2位置決め構造については、後に詳細に説明する。
【0027】
取付部104は、略平板状の部材であり、一方の端部側に2本の平板状の腕部105が設けられている。2本の腕部105は、ケース140の2つの側壁142bの間隔よりも広く、2つの凸部150の頂部間距離よりも狭い間隔をあけて、互いの主表面が対向するように配置されている。2つの腕部105には、それぞれ円形の開口部106が設けられている。取付部104の他方の端部側には、車体300に接続される接続部107が設けられている。接続部107の所定位置には、ねじ等の締結部材108が挿通される貫通孔(図示せず)が設けられている。
【0028】
基板120は、コネクタ124とは反対側の端部から、開口142aを介して本体部142の収容空間141に挿入され、基板ガイド146に沿って差し込まれる。本実施形態では、傾斜センサ110やCPU122が基板120の上側(
図3における上側)に配置されるようにして、基板120が本体部142に収容される。基板120が本体部142に収容された後、開口142aに蓋部144が嵌め合わされる。蓋部144は、コネクタ124が開口部154に挿通されるようにして本体部142の開口142aに嵌め合わされ、凸部148とフック152のランス係合により、本体部142に固定される。コネクタ124は、開口部154からケース外部に露出する。コネクタ124には、基板120と外部機器とを接続するためのハーネスが接続される。
【0029】
ケース140は、側壁142bの凸部150が腕部105の開口部106に嵌合され、2つの腕部105で把持された状態で取付部104に連結される。取付部104は、接続部107の貫通孔と車体300の連結孔302とが重なるように位置合わせされ、貫通孔及び連結孔302に締結部材108が挿通されることにより、車体300に固定される。
【0030】
以下、本実施形態に係る傾斜センサ装置102の第1位置決め構造及び第2位置決め構造について説明する。
図4(A)は、実施形態1に係る傾斜センサ装置における、ケース本体部を開口側から見た概略側面図である。
図4(B)は、ケース本体部の内壁に設けられた位置決め構造の概略を示す図である。
図5(A)は、基板の平面模式図である。
図5(B)は、傾斜センサ装置内部の概略構造を示す平面透視図である。
図5(A)及び
図5(B)では、基板120に搭載された傾斜センサ110、CPU122等の図示を省略している。また、
図5(B)では、基板120の上面に当接する基板受部160及び基板受部162を破線で示している。以下では便宜上、ケース140の主表面と平行で2つの側壁142bと直交する方向を左右方向とし、ケース140の主表面と平行で側壁142bと平行な方向を前後方向とし、ケース140の主表面と直交する方向を上下方向として説明する。
【0031】
図4(A)及び
図4(B)に示すように、ケース140は、基板120を挟んで蓋部144と対向する本体部142の第1内壁156に、突起部158が設けられている。第1内壁156は、側壁142bと略直交する側壁の内側面である。本体部142と突起部158とは、ガラスエポキシ基板等からなる基板120よりも柔らかいポリブチレンテレフタレート(PBT)等の樹脂材料で一体成形されてなる。突起部158は、第1内壁156から蓋部144若しくは開口142aに向けて、側壁142bに平行な側面を持つようにして突出している。また、突起部158は、第1内壁156の上下方向に延在している。突起部158は、左右方向位置については第1内壁156の略中央に設けられ、上下方向の位置については2つの基板ガイド146と略同一の位置に設けられている。
【0032】
突起部158の上端側には、本体部142の下側の主表面と対向する基板受部160が設けられている。本実施形態では、左右方向に延在する突起部161が第1内壁156に設けられて、突起部158の上端部と接している。突起部161は、突起部158よりも蓋部144側に突出し、また突起部158よりも左右方向に長く延在している。突起部161は、本体部142の下側の主表面と対向する平面を有し、この平面が基板受部160を構成している。また、
図3に示すように、蓋部144には、収容空間141側に突出するとともに、左右方向に所定の間隔をあけて配置された、2つの基板受部162が設けられている。2つの基板受部162は、2つの側壁142bよりも左右方向内側に設けられ、蓋部144が本体部142に嵌め合わされた状態で、収容空間141内に配置される。また、基板受部162は、その上端部と基板ガイド146の下端部との高さ(ケース140の主表面からの距離)が略一致するように配置されている。さらに、蓋部144には、収容空間141側を向く面の左右方向略中央に、本体部142の第1内壁156に向けて突出する突起部164が設けられている。
【0033】
図5(A)に示すように、基板120は、本体部142の第1内壁156と対向する第1側面126に突起受部128が設けられている。本実施形態において、突起受部128は、第1側面126から、本体部142への基板120の挿入方向Dに対して略平行に基板120が切り込まれてなる溝部で構成されている。突起受部128は、第1側面126の左右方向略中央に配置され、基板120の第1主表面121aから反対側の第2主表面121b(
図6(B)参照)にかけて延在している。また、基板120は、蓋部144と対向する第2側面130に突起受部132が設けられている。本実施形態において、突起受部132は、第2側面130から、挿入方向Dと略平行に基板120が切り込まれてなる溝部で構成されている。突起受部132は、第2側面130の左右方向略中央に配置され、基板120の第1主表面121aから第2主表面121bにかけて延在している。
【0034】
基板120の突起受部128と本体部142の突起部158とは、突起部158の幅寸法(突起部158の突出方向に対して略直交する方向の長さ)が、突起受部128の幅寸法よりも若干大きくなるように、互いの寸法関係が定められている。また、突起部158の突出長さが、突起受部128の溝の深さよりも小さくなるように、互いの寸法関係が定められている。一方、基板120の突起受部132と蓋部144の突起部164とは、突起部164の幅寸法が、突起受部132の幅寸法と略同等もしくは若干小さくなるように、互いの寸法関係が定められている。また、突起部164の突出長さが、突起受部132の溝の深さよりも小さくなるように、互いの寸法関係が定められている。突起部158と突起受部128の寸法関係は、後述する突起部の突起受部への圧入が実施可能となるように適宜設定することができる。
【0035】
基板120上側の第1主表面121aにおける、突起受部128周辺の領域134は、基板120がケース140に収容された状態で、基板受部160が当接する領域である。基板120の左右端部で第1側面126から第2側面130に向かって延びる領域135は、基板120がケース140に収容された状態で、基板ガイド146と係合する領域である。基板120上側の第1主表面121aにおける、第2側面130側の左右角部に位置する領域136は、基板120がケース140に収容された状態で、基板受部162が当接する領域である。
【0036】
図5(B)に示すように、基板120が本体部142に挿入されると、基板120の突起受部128に、本体部142の突起部158が圧入される。本実施形態では、本体部142への基板120の挿入方向Dと、突起受部128への突起部158の圧入方向とは同一である。そのため、本体部142への基板120の挿入とともに突起部158が突起受部128に圧入される。突起部158は、基板120よりも柔らかい材料からなるため、突起部158が突起受部128に進入する際、突起部158が突起受部128の側面に押圧されて変形する。このように、突起部158が突起受部128に圧入されることで、主に基板120とケース140との第1方向における位置決めがなされる。
【0037】
また、本体部142に蓋部144が嵌め合わされると、基板120の突起受部132に、蓋部144の突起部164が挿入される。本実施形態では、蓋部144の本体部142への取付方向と、突起受部132への突起部164の挿入方向とが同一であるため、本体部142への蓋部144の嵌合とともに突起部164が突起受部132に挿入される。基板120の第1側面126側が、突起受部128への突起部158の圧入により位置決めされ、第1側面126と対向する第2側面130側が、突起受部132への突起部164の挿入により位置決めされることで、基板120とケース140との第1方向における位置決めがより確実になされる。
【0038】
また、基板120が本体部142に挿入されると、基板120の領域135が基板ガイド146に係合する。そして、基板120が突起部161(
図4(A)参照)の下側に入り込み、第1主表面121aの領域134が基板受部160に当接する。また、蓋部144が本体部142に嵌め合わされると、基板120が基板受部162の下側に入り込み、基板受部162が第1主表面121aの領域136に当接する。これらにより、基板120とケース140との第2方向における位置決めがなされる。なお、突起受部128への突起部158の圧入、及び/又は突起受部132への突起部164の挿入によっても、第2方向における両者の位置決めがある程度はなされる。
【0039】
したがって、本実施形態の傾斜センサ装置102において、上述した第1位置決め構造は、ケース140に設けられた突起部158,164と、基板120に設けられた突起受部128,132とで構成され、突起受部128に突起部158が圧入され、突起受部132に突起部164が挿入されて基板120とケース140とが位置決めされる構造を有する。また、上述した第2位置決め構造は、基板ガイド146と、基板受部160,162と、基板120の上下主表面とで構成されている。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る傾斜センサ装置102は、傾斜センサ110を搭載する基板120と、基板120を収容するケース140と、基板120の主表面と略平行な第1方向における基板120とケース140との位置決めをする第1位置決め構造と、基板120の主表面と略垂直な第2方向における基板120とケース140との位置決めをする第2位置決め構造とを備える。これにより、基板120とケース140との位置精度を高めることができるため、車両に対して傾斜センサ110を精度良く取り付けることができる。そのため、車両用灯具としての灯具ユニット10のオートレベリング制御を高精度に実施することができる。
【0041】
また、第1位置決め構造は、ケース140に設けられた突起部158,164と、基板120に設けられた突起受部128,132とを有し、突起受部128に突起部158が圧入され、突起受部132に突起部164が挿入されて、基板120とケース140とが位置決めされる構造を有する。そのため、部品点数の増大を招くことなく、より簡単な構造で基板120とケース140との位置決めをすることができる。また、本体部142への基板120の挿入方向Dと、突起受部128への突起部158の圧入方向とが同一方向となるように設定されている。そのため、本体部142への基板120の挿入とともに突起部158を突起受部128に圧入することができる。これにより、傾斜センサ装置102の組み立てを簡略化することができる。また、蓋部144に突起部164が設けられ、蓋部144と対向する基板120の第2側面130に突起受部132が設けられている。これにより、基板120とケース140との第1方向における位置決めを、より高精度に行うことができる。
【0042】
なお、本実施形態では、突起部158,164がケース140に、突起受部128,132が基板120に設けられているが、突起部が基板120に、突起受部がケース140に設けられてもよい。また、第2位置決め構造についても、第1位置決め構造と同様に基板120及びケース140のいずれか一方に設けられた突起部と、他方に設けられた突起受部と、を有し、突起受部に突起部が圧入されて、基板120とケース140とが位置決めされる構造であってもよい。また、第2位置決め構造のみが、突起部と突起受部との圧入により基板120とケース140とが位置決めされる構造であってもよい。
【0043】
(実施形態2)
実施形態2に係る傾斜センサ装置102は、第1位置決め構造及び第2位置決め構造が異なる点を除いて、実施形態1の構成と共通する。以下、実施形態2に係る傾斜センサ装置102について実施形態1と異なる構成を中心に説明する。
【0044】
図6(A)は、実施形態2に係る傾斜センサ装置における、ケース本体部の内壁に設けられた位置決め構造の概略を示す図である。
図6(B)は、実施形態2に係る傾斜センサ装置における位置決め構造を説明するための模式図である。
図6(A)に示すように、本体部142の第1内壁156に設けられた突起部158は、その下端部に、2つの圧入代部166を有する。2つの圧入代部166は、一方の側壁142bと対向する突起部158の側面から、当該一方の側壁142b側に突出する凸部と、他方の側壁142bと対向する突起部158の側面から、当該他方の側壁142b側に突出する凸部とで構成されている。本実施形態において、圧入代部166は、基板120の挿入方向D(
図3参照)と平行な方向から見て半円形状を有し、円弧部分が側方に突出している。したがって、突起部158は、下端部において幅寸法が大きくなっている。圧入代部166は、その上端部166aから基板受部160までの距離が、基板120の厚さよりも小さくなるように配置されている。
【0045】
図6(B)に示すように、基板120が本体部142に挿入されると、基板120の突起受部128に突起部158が進入する。このとき、突起部158の圧入代部166が突起受部128に圧入される。圧入代部166は、基板120よりも柔らかい樹脂材料等で突起部158と一体成形されている。そのため、基板120が本体部142に差し込まれると、突起受部128の側面と第2主表面121bとで形成される基板120の角部138が、圧入代部166の表面に陥入する。圧入代部166は、角部138に押圧されて変形するか、角部138により表面が削り取られる。突起受部128に圧入代部166が圧入されることで、基板120とケース140との第1方向の位置決めがなされる。
【0046】
実施形態1のように突起部158が圧入代部166を有しない構成では、突起部158が突起受部128に圧入されるように両者の幅寸法が調整されて、突起受部128への突起部158の圧入により基板120とケース140とが位置決めされる。しかしながら、この場合は、突起受部128及び突起部158に極めて高い寸法精度が要求されうる。これに対し、本実施形態では、突起部158がその下端部に、突起受部128の幅方向に突出する圧入代部166を有する。そして、基板120の角部138が圧入代部166に嵌合している。すなわち、基板120とケース140との嵌合構造における基板120側の嵌合部を、突起受部128の側面から角部138としている。また、ケース140側の嵌合部を突起部158の側面から圧入代部166としている。
【0047】
したがって、本実施形態の第1位置決め構造によれば、基板120及びケース140の外形の寸法公差や、突起受部128及び突起部158の寸法公差によって、突起受部128及び突起部158の寸法関係にばらつき(誤差)があっても、ばらつきに応じて圧入代部166への角部138の陥入量が変化するため、突起受部128への突起部158の圧入を確保することができる。すなわち、圧入代部166への角部138の陥入量の増減により、上述の寸法関係のばらつきを吸収することができる。これにより、突起受部128及び突起部158に要求される寸法精度を下げることができる。なお、圧入代部166の形状は、挿入方向Dと平行な方向から見て、突起部158の下端部に近づくほど幅が広くなる三角形状等であってもよい。
【0048】
また、本実施形態では、突起受部128を構成する溝部のうち、傾斜センサ110が搭載される第1主表面121aとは反対側の第2主表面121b寄りの領域(基板120の厚さ方向の中央部から第2主表面121bまでの領域)に、突起部158の圧入代部166が圧入されている。これにより、突起部158の圧入により生じる基板120の第1主表面121a側の歪みを小さくすることができ、基板120の歪みにより傾斜センサ110等にかかる応力を小さくすることができる。また、基板120の角部138と圧入代部166とが嵌合する構造としているため、突起部158の側面と突起受部128の側面とが押圧し合う構造に比べて、突起部158の変形部分を小さくすることができる。そのため、基板120にかかる応力自体を小さくすることができ、基板120の歪みを小さくすることができる。これらの結果、傾斜センサ110等の素子を基板120により確実に接続することができるため、オートレベリング制御の精度低下を抑制できる。
【0049】
また、実施形態1と同様に、基板120の第2側面130に設けられた突起受部132に、蓋部144の突起部164が挿入されることで、基板120とケース140との第1方向における位置決めがなされる。また、基板120の第1主表面121aが基板受部160に当接するとともに、圧入代部166に角部138が陥入することで、基板120の第2主表面121bが圧入代部166に当接している。すなわち、基板受部160と突起部158とにより形成される溝部(突起受部)に、基板120(突起部)が圧入されている。これにより、基板120とケース140との第2方向の位置決めがされる。したがって、突起部158の圧入代部166は、第1位置決め構造の一部を構成するとともに、第2位置決め構造の一部を構成している。
【0050】
なお、本実施形態では、第1側面126の第1主表面121a側から第2主表面121b側の全域に溝部が延在しているが、第2主表面121b寄りの領域のみに溝部が設けられて、この第2主表面121b寄りの領域に設けられた溝部に突起部158が圧入される構造であってもよい。
【0051】
(実施形態3)
実施形態3に係る傾斜センサ装置102は、第1位置決め構造及び第2位置決め構造が異なる点を除いて、実施形態1の構成と共通する。以下、実施形態3に係る傾斜センサ装置102について実施形態1と異なる構成を中心に説明する。
【0052】
図7(A)は、実施形態3に係る傾斜センサ装置の内部の概略構造を示す平面透視図である。
図7(B)は、実施形態3に係る傾斜センサ装置における蓋部の模式図である。なお、
図7(A)では、基板120に搭載された傾斜センサ110、CPU122、コネクタ124等の図示を省略している。
図7(A)に示すように、ケース140は、本体部142の第1内壁156に、ケース140の主表面に略直交する方向から見て、略三角形状の突起部158を有する。突起部158は、三角形の頂点の1つが蓋部144側に突出するように配置されている。基板120が本体部142に挿入されると、突起受部128の側面と基板120の第1側面126とで形成される2つの角部139aが、突起部158の三角形の辺に相当する2つのテーパ面159aに当接する。
【0053】
また、ケース140は、蓋部144の収容空間141側を向く面に、ケース140の主表面に略直交する方向から見て、略三角形状の突起部164を有する。突起部164は、三角形の頂点の1つが第1側面126側に突出するように配置されている。蓋部144が本体部142に嵌め合わされると、突起受部132の側面と基板120の第2側面130とで形成される2つの角部139bが、突起部164の三角形の辺に相当する2つのテーパ面159bに当接する。ここで、蓋部144は、弾性変形可能であり、例えば
図7(B)に示すように、本体部142に嵌め合わせられる前の状態で、突起部164が設けられた壁部167がフック152の突出方向に迫り出した湾曲形状を有する。そして、蓋部144は、本体部142に嵌め合わせられると、壁部167が略平坦な形状(
図7(A)参照)に弾性変形する。
【0054】
すなわち、蓋部144は、本体部142に嵌め合わされた状態で、壁部167の弾性変形により付勢力Fを発生させることができ、これにより本体部142の第1内壁156に向けて基板120を付勢することができる。本実施形態では、蓋部144の壁部167による基板120の付勢により、第1方向における基板120とケース140との位置決めがされる。この場合、基板120の外形寸法や突起受部128,132の寸法のばらつき(公差)、ケース140の外形寸法や突起部158,164の寸法のばらつきを、蓋部144の弾性を利用して吸収できるため、基板120を遊びゼロでケース140に固定することができる。また、突起部を突起受部に圧入する構造では突起部及び突起受部に極めて高い寸法精度が要求されるが、蓋部144の弾性により基板120を本体部142に付勢して両者を位置決めする構造によれば、突起部及び突起受部に求められる寸法精度を低減させることができる。
【0055】
また、本実施形態では、基板120の角部139aを、突起部158のテーパ面159aへ当接させている。また、基板120の角部139bを、突起部164のテーパ面159bへ当接させている。これにより、上述した寸法のばらつきを、基板120の挿入方向Dにおける位置のばらつきに変換することができる。一方で、本実施形態では、蓋部144の挿入方向Dの弾性変形により基板120を本体部142に付勢している。そのため、基板120の位置のばらつきに応じて蓋部144の弾性変形量を変化させることができるため、基板120の位置のばらつきを吸収することができる。これにより、基板120とケース140とをより高精度に位置決めすることができる。
【0056】
蓋部144は、本体部142に嵌め合わされた状態で壁部167が平坦となるように、壁部167の本体部142側への迫り出し量I(
図7(B)参照)が定められることが好ましい。これにより、傾斜センサ装置102の完成状態において、蓋部144の変形を目立たせなくすることができる。壁部167の迫り出し量Iは、例えば、基板120やケース140の外形の寸法公差や、突起受部128,132及び突起部158,164の寸法公差等の合計値に基づいて設定することができる。例えば、寸法公差の合計値が最小であるときに壁部167が平坦となるように、迫り出し量Iが設定される。
【0057】
本実施形態に係る傾斜センサ装置102の第2位置決め構造は、例えば実施形態1と同様に、基板ガイド146、基板受部160,162、基板120の第1主表面121a及び第2主表面121bにより実現することができる。あるいは、第2位置決め構造を、蓋部144の弾性により本体部142の内壁に基板120を付勢する構造としてもよい。なお、本実施形態では、突起部158,164がケース140に、突起受部128,132が基板120に設けられているが、突起部が基板120に、突起受部がケース140に設けられてもよい。
【0058】
上述の各実施形態に係る傾斜センサ装置102と、光軸Oを調節可能な車両用灯具としての灯具ユニット10と、制御装置としてのCPU122とにより、実施形態に係る車両用灯具システムが構成される。本実施形態では、基板120にCPU122が搭載されているが、CPU122は他の場所に設けられてもよい。
【0059】
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態を組み合わせたり、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などの変形を加えることも可能であり、そのような組み合わせられ、もしくは変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれる。上述の各実施形態同士、及び上述の各実施形態と変形との組合せによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態及び変形それぞれの効果をあわせもつ。
【0060】
上述の各実施形態において、突起部及び突起受部を設ける位置や設置数は、適宜設定することができる。また、上述の各実施形態では、傾斜センサ110として加速度センサを用いているが、傾斜センサ110は、ジャイロセンサ(角速度センサ、角加速度センサ)や地磁気センサ等であってもよい。