(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る柱梁連結構造体の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る柱梁連結構造体1を示す斜視図である。
図2〜
図5は、柱梁連結構造体1を示す図であって、
図2は正面図、
図3は上面図、
図4は右側面、
図5は左側面である。
図6は、第一支柱11を示す三面図である。
図7は、第二支柱12を示す三面図である。
図8は、梁21を示す三面図である。
【0017】
各図において、柱梁連結構造体1の幅方向をX方向(第一水平方向)、厚み方向をY方向(第二水平方向)、高さ方向をZ方向と呼ぶ。例えば、
図2では、紙面左右方向をX方向、紙面前後方向をY方向、紙面上下方向をZ方向と呼ぶ。
【0018】
柱梁連結構造体1は、床面に対して略垂直に立設する支柱群10と、この支柱群10の間に掛け渡される梁群20と、支柱群10と梁群20を連結する天側連結部材30と、を備える。
【0019】
また、柱梁連結構造体1は、支柱群10を連結する床側連結部材40を備える。
さらに、柱梁連結構造体1は、支柱群10の間に配置される支柱間板15、梁群20の間に配置される梁間板25、支柱間板15及び梁間板25を固定する間板固定具50を備える。
【0020】
支柱群10は、断面略四角形の細長い柱部材を少なくとも4本以上備える。具体的には、支柱群10は、複数本の第一支柱11と4本の第二支柱12とから構成される。つまり、柱梁連結構造体1の最小構成では、支柱群10は、4本の第二支柱12のみからなる。
第一支柱11と第二支柱12の外形は同一であるが、後述する天側継手取付穴11h及び床側継手取付穴11iの深さのみが異なる。
本実施形態では、支柱群10は、24本の第一支柱11と4本の第二支柱12とから構成される。
また、X方向に向けて並べた(Y方向の同一位置に配置した)2本の第一支柱11又は2本の第二支柱12は、支柱組10sと呼ばれる。本実施形態では、支柱群10は、14組の支柱組10sから構成される。
【0021】
第一支柱(支柱)11は、断面略四角形の細長い柱部材である。第一支柱11には、木材や樹脂を用いることができる。第一支柱11は、例えば、長さ2389mm、幅160mm、厚み30mmである。
第一支柱11の上端部11uには、略正菱形の天側継手取付穴(第一ボス穴)11hが、主面11sを厚み方向に貫通するように形成される。同様に、下端部11vには、天側継手取付穴11hと同一形状の床側継手取付穴(第二ボス穴)11iが、主面11sを厚み方向に貫通するように形成される。さらに、下端面11tには、略矩形のガイドレール取付溝11jが、主面11sを厚み方向に貫通するように形成される。
また、主面11sのうち、天側継手取付穴11hと床側継手取付穴11iの間には、複数の間板固定具取付穴11kが形成される。間板固定具取付穴11kは、例えば4つの丸穴である。間板固定具取付穴11kは、主面11sを厚み方向に貫通する場合であってもよいし、厚みの半分程度の深さであってもよい。一対の主面11sのうちの任意の面に設けることができる。さらに、間板固定具取付穴11kを全く設けない場合であってもよい。
【0022】
第二支柱(支柱)12は、第一支柱11とほぼ同一形状である。第二支柱12には、木材や樹脂を用いることができる。
第二支柱12には、第一支柱11と同様に、天側継手取付穴11h、床側継手取付穴11i、ガイドレール取付溝11j、間板固定具取付穴11kが形成される。間板固定具取付穴11kの位置、深さは、第一支柱11の場合と同様に、任意に設定できる。間板固定具取付穴11kを全く設けない場合であってもよい。
もっとも、第二支柱12では、天側継手取付穴11h、床側継手取付穴11i及びガイドレール取付溝11jは、主面11sを厚み方向に貫通するものではなく、厚みの半分程度の深さに形成される。そして、天側継手取付穴11h及び床側継手取付穴11iの底面には、主面11sを厚み方向に貫通する貫通孔11mが形成される。
【0023】
支柱群10を構成する複数の第一支柱11と第二支柱12は、X方向の二箇所においてY方向に向けて一定間隔を空けて配置される。つまり、Y方向に向けて二列(右列、左列)に並ぶように配置される。
【0024】
支柱群10のうち、各列のY方向の最前部と最後部には、第二支柱12が配置される。各列のY方向の最前部と最後部以外には、第一支柱11が配置される。つまり、支柱群10のうち、Y方向に最前部及び最後部には、2本の第二支柱12(支柱組10s)がそれぞれ配置される(2つの支柱組10s)。そして、第二支柱12からなる2つの支柱組10sの間に、第一支柱11からなる12組の支柱組10sが配置される。
【0025】
X方向において、2本の第二支柱12の距離(第一支柱11の支柱組10sの間隔)、及び2本の第一支柱11の距離(第二支柱12の支柱組10sの間隔)は、同一である。例えば、2680mmスパンである(2940mmピッチ)。
Y方向において、隣接する第一支柱11と第二支柱12の距離(隣接する第一支柱11と第二支柱12の間隔)、及び隣接する2本の第一支柱11の距離(隣接する第一支柱11同士の間隔)は、同一である。例えば、220mmスパンである(250mmピッチ)。
【0026】
梁群20は、断面略四角形の細長い梁部材を少なくとも1本以上備える。具体的には、梁群20は、1本以上の梁21から構成される。つまり、柱梁連結構造体1の最小構成では、梁群20は、1本の梁21のみからなる。
本実施形態では、梁群20は、13本の梁21から構成される。
梁21は、例えば、長さ3000mm、幅160mm、厚み30mmである。つまり、梁21は、幅と厚みが第一支柱11及び第二支柱12と同一である。
【0027】
梁群20を構成する13本の梁21は、X方向に向けて略水平に配置される。
梁21の両端側(右端部21u、左端部21v)が、第一支柱11や第二支柱12の上端部11uとそれぞれ交わるように配置される。
そして、梁21は、Y方向において隣接する第一支柱11と第二支柱12の間、及びY方向において隣接する第一支柱11同士の間に配置される。つまり、Y方向において、第一支柱11、第二支柱12及び梁21の距離は、それぞれ同一である。例えば、95mmスパンである(150mmピッチ)。
したがって、Y方向において、隣接する梁21同士の距離(隣接する梁21同士の間隔)も同一である。例えば、220mmスパンである(250mmピッチ)。
【0028】
梁21は、第一支柱11とは、長さが異なる以外はほぼ同一形状である。梁21には、木材や樹脂を用いることができる。
梁21の右端部21uには、天側継手取付穴11h及び床側継手取付穴11iと同一形状の右側継手取付穴(第一ボス穴)21hが、主面21sを厚み方向に貫通するように形成される。同様に、左端部21vには、右側継手取付穴21hと同一形状の左側継手取付穴(第一ボス穴)21iが、主面21sを厚み方向に貫通するように形成される。
主面21sのうち、右側継手取付穴21hと左側継手取付穴21iの間には、間板固定具取付穴11kと同一形状の間板固定具取付穴21kが複数形成される。間板固定具取付穴11kは、例えば4つの丸穴である。間板固定具取付穴21kは、主面21sを厚み方向に貫通する場合であってもよいし、厚みの半分程度の深さであってもよい。さらに、間板固定具取付穴21kを全く設けない場合であってもよい。
なお、梁21には、ガイドレール取付溝11jと同様な溝は、存在しない。
【0029】
図9〜
図11は、天側連結部材30を示す図であり、
図9は正面図、
図10は上面図、
図11は側面図である。
図12は、天側ジョイント31を示す三面図である。
図13は、ジョイント補強環具32、33を示す二面図である。
図14は、天側スペーサ34を示す三面図である。
図15は、天側スペーサカバー35を示す三面図である。
【0030】
天側連結部材(第一連結部材)30は、支柱群10の上端部11uと梁群20の左右端部21u,21vをそれぞれ、Y方向に沿って一定間隔で連結するための金具である。
天側連結部材30は、天側ジョイント31(31A,31B)、天側スペーサ34、天側スペーサカバー35、鬼目ナット36を組み合わせたものである。
本実施形態では、支柱群10と梁群20に木材や樹脂を用いるため、補強用の金具として、ジョイント補強環具32,33を併せて用いている。
【0031】
天側ジョイント(第一継手具)31は、アルミダイカスト部品であって、略正菱形の挿入部31d、挿入部31dの一端に配置された略矩形のフランジ31f、フランジ31fを挟んで挿入部31dとは反端側に突出するコ字形の突出部31gを備える。突出部31gのコ字形が上方に開口するように配置される。
挿入部(一端)31dの突出長さは、例えば14mmであり、第一支柱11、第二支柱12及び梁21の厚みのほぼ半分である。
突出部(他端)31gの突出長さ(フランジ31fの厚みを含む)は、例えば47mmであり、Y方向における第一支柱11、第二支柱12及び梁21の距離(例えば95mmスパン)のほぼ半分である。
挿入部31dの中心には、Y方向に向けて形成された挿入部貫通孔31h又は挿入部タップ穴31jが設けられる。
突出部31gの先端側には、Z方向に向けて形成された突出部貫通孔31iが設けられる。
なお、挿入部31dに挿入部貫通孔31hを形成したものを天側ジョイント31A、挿入部31dに挿入部タップ穴31jを形成したものを天側ジョイント31Bと呼ぶ。
【0032】
ジョイント補強環具(第一補強環具)32,33は、断面四角環形に形成されたアルミ押出材である。
ジョイント補強環具32,33は、第一支柱11及び第二支柱12の天側継手取付穴11h又は梁21の右側継手取付穴21h、左側継手取付穴21iに対して内嵌される。さらに、ジョイント補強環具32,33は、天側ジョイント31(31A,31B)の挿入部31dに対して略隙間なく外嵌される。つまり、ジョイント補強環具32,33は、天側ジョイント31と、第一支柱11、第二支柱12又は梁21の間に介在する。これにより、ジョイント補強環具32,33は、天側ジョイント31に作用した負荷により、第一支柱11、第二支柱12又は梁21に割れ等が発生することを防止する。
ジョイント補強環具32は、Y方向の厚みが第一支柱11や梁21の厚みと同一であり、天側継手取付穴11h、右側継手取付穴21h又は左側継手取付穴21iに対して装着(内嵌)される。
ジョイント補強環具33は、Y方向の厚みがジョイント補強環具32の約半分であり、第二支柱12の天側継手取付穴11hに対してのみ装着(内嵌)される。
【0033】
天側スペーサ(第一間座具)34は、断面コ字形に形成されたアルミ押出材であって、天側ジョイント31の突出部31gの略2倍の長さ(例えば89mm)を有する。つまり、Y方向における第一支柱11、第二支柱12及び梁21の距離(例えば95mmスパン)とほぼ同一である。
天側スペーサ34は、コ字形が下方に開口するように配置される。
天側スペーサ34のコ字形の内部(底部34aと一対の側壁34cで囲まれた空間)には、天側ジョイント31の突出部31gが収容される。天側スペーサ34の一対の側壁34cの間の距離は、天側ジョイント31の突出部31gの幅と同一である。一対の側壁34cの高さは、突出部31gよりも高く、側壁34cの先端内側には、側壁係合溝34dが形成される。
また、底部34aには、底部タップ穴34bが2つ設けられる。
【0034】
天側スペーサカバー35は、断面コ字形に形成された板状のアルミ押出材であって、天側スペーサ34と同一の長さを有する。
天側スペーサカバー35の主面35aの幅は、天側スペーサ34の一対の側壁34cの間の距離と同一である。天側スペーサカバー35の一対の側壁35bの先端外側には、側壁係合爪35cが形成される。
【0035】
天側連結部材30の組み立て方法、すなわち支柱群10の上端部11uと梁群20の左右端部21u,21vをそれぞれ連結する手順は、以下の通りである。
【0036】
最初に、第一支柱11の天側継手取付穴11hに対して、ジョイント補強環具32を内嵌する。同様に、第二支柱12の天側継手取付穴11hに対して、ジョイント補強環具33を内嵌する。さらに、梁21の右側継手取付穴21hと左側継手取付穴21iに対して、ジョイント補強環具32を内嵌する。
【0037】
次に、第一支柱11、第二支柱12及び梁21に内嵌したジョイント補強環具32,33に対して、天側ジョイント31Aの突出部31gを挿入する。
具体的には、第一支柱11の一対の主面11sのうち、後側(+Y方向)から前側(−Y方向)に向けて、天側ジョイント31Aの挿入部31dをジョイント補強環具32に対して挿入する。この際、天側ジョイント31Aの突出部31gのコ字形が上方に開口するように挿入する。同様に、梁21に内嵌した2つのジョイント補強環具33に対して天側ジョイント31Aの挿入部31dを挿入する。
また、4本の第二支柱12に内嵌したジョイント補強環具33に対して天側ジョイント31Aの挿入部31dを挿入する。
【0038】
また、第一支柱11及び梁21に内嵌したジョイント補強環具32に対して、天側ジョイント31Bの突出部31gを挿入する。
具体的には、第一支柱11の一対の主面11sのうち、前側(−Y方向)から後側(+Y方向)に向けて、天側ジョイント31Bの挿入部31dをジョイント補強環具32に対して挿入する。この際、天側ジョイント31Bの突出部31gのコ字形が上方に開口するように挿入する。同様に、梁21に内嵌した2つのジョイント補強環具33に対して天側ジョイント31Bの挿入部31dを挿入する。
【0039】
また、4本の第二支柱12に形成された貫通孔11mに対して鬼目ナット36を挿入固定する。鬼目ナット36は、天側継手取付穴11hが形成された主面11sとは反対側の主面11sから挿入する。
【0040】
次に、第一支柱11及び梁21に装着した2つの天側ジョイント31(31A,31B)同士を六角穴付ボルトにより締結する。
具体的には、第一支柱11に装着した天側ジョイント31Aの突出部31gの挿入部貫通孔31hに六角穴付ボルトを挿入し、天側ジョイント31Bの突出部31gの挿入部タップ穴31jに螺合する。これにより、天側ジョイント31Aのフランジ31fと天側ジョイント31Bのフランジ31fが一対の主面11sに当接して挟み込むため、天側ジョイント31A,31Bが第一支柱11に強固に固定される。また、天側ジョイント31の挿入部31dと第一支柱11の天側継手取付穴11hが円柱形でなく略正菱形(多角形)に形成されているため、天側ジョイント31A,31Bが第一支柱11に対して回転することもない。
同様に、梁21に装着した天側ジョイント31A,31Bを六角穴付ボルトにより締結して、固定される。
【0041】
4本の第二支柱12では、一方の主面11sに装着した天側ジョイント31Aの突出部31gの挿入部貫通孔31hに六角穴付ボルトを挿入し、鬼目ナット36のタップ穴に螺合する。これにより、天側ジョイント31Aのフランジ31fと鬼目ナット36のフランジ36f一対の主面11sに当接して挟み込むため、天側ジョイント31Aと鬼目ナット36が第一支柱11に強固に固定される。
【0042】
次に、隣接配置する部材(第一支柱11、第二支柱12及び梁21)に固定された天側ジョイント31同士を突き合わせる(対向させる)。
例えば、第一支柱11の天側ジョイント31の突出部31gと梁21の天側ジョイント31の突出部31gとを突き合わせる。そして、突き合わせた2つの突出部31gに対して、上側から天側スペーサ34を覆い被せる。さらに、2つの突出部31gの突出部貫通孔31iにそれぞれ六角穴付ボルトを挿入し、天側スペーサ34の底部34aの2つの底部タップ穴34bに螺合する。これにより、第一支柱11の天側ジョイント31と梁21の天側ジョイント31が天側スペーサ34に対して連結固定される。
また、天側スペーサ34の長さ方向(Y方向)の両端が第一支柱11の天側ジョイント31のフランジ31fと梁21の天側ジョイント31のフランジ31fにそれぞれ当接するので、隣接する第一支柱11と梁21の距離が規定される。
【0043】
最後に、天側スペーサ34の一対の側壁34cの先端に、天側スペーサカバー35を装着する。具体的には、天側スペーサ34の側壁34cの先端内側に形成された側壁係合溝34dに対して、天側スペーサカバー35の側壁35bの先端外側に形成された側壁係合爪35cを係合させる。
これにより、天側スペーサ34のコ字形の内部に収容された天側ジョイント31や六角穴付ボルトが、天側スペーサカバー35により覆われるので、見栄えがよくなる。
【0044】
上述した天側連結部材30の組み立て方法を繰り返すことにより、支柱群10の上端部11uと梁群20の左右端部21u,21vをそれぞれ連結する。
以上により、柱梁連結構造体1の基本構成が完成する。
【0045】
柱梁連結構造体1では、第一支柱11、第二支柱12及び梁21が同一の厚みを有する。また、第一支柱11、第二支柱12及び梁21に対して、同一形状の継手取付穴(天側継手取付穴11h、右側継手取付穴21h及び左側継手取付穴21i)が厚み方向に貫通するように形成される。そして、これら継手取付穴に対して、天側連結部材30の天側ジョイント31が共通して装着される。さらに、天側連結部材30の天側スペーサ34が天側ジョイント31同士を連結する。
このような構成により、Y方向における第一支柱11と梁21の配置順序を任意かつ容易に変更することが可能である。また、第一支柱11及び梁21の数を任意かつ容易に増減できる。
Y方向において、第一支柱11同士を隣接配置してもよいし、梁21同士を隣接配置してもよい。第一支柱11と梁21を規則的に配置してもよいし、不規則に配置してもよい。
柱梁連結構造体1の全体のバランスを考慮して、第一支柱11と梁21の配置順序を決定すればよい。
なお、本実施形態では、Y方向の最前部と最後部には、必ず第二支柱12が配置される。
【0046】
図16〜
図18は、床側連結部材40を示す図であり、
図16は正面図、
図17は側面図、
図18は下面図である。
図19は、床側ジョイント41を示す三面図である。
図20は、床側スペーサ44を示す三面図である。
図21は、床側スペーサカバー45を示す三面図である。
図22は、床側ガイドレール46を示す二面図である。
【0047】
床側連結部材(第二連結部材)40は、支柱群10の下端部11vをY方向に沿って一定間隔で連結するための金具である。
床側連結部材40は、床側ジョイント41(41A,41B)、床側スペーサ44、床側スペーサカバー45、床側ガイドレール46、鬼目ナット36を組み合わせたものである。
本実施形態では、支柱群10に木材や樹脂を用いるため、補強用の金具として、ジョイント補強環具32,33を併せて用いている。
【0048】
床側ジョイント(第二継手具)41は、天側ジョイント31と略同一形状のアルミダイカスト部品である。すなわち、床側ジョイント41は、略正菱形の挿入部(一端)31d、挿入部31dの一端に配置された略矩形のフランジ31f、フランジ31fを挟んで挿入部31dとは反端側に突出するコ字形の突出部(他端)31gを備える。また、挿入部31dの中心には、挿入部貫通孔31h又は挿入部タップ穴31jが設けられる。突出部31gの先端側には、突出部貫通孔31iが設けられる。
床側ジョイント41は、天側ジョイント31とは異なって、フランジ31fの下端に形成された一対のフランジ脚部41eを備える。
挿入部31dに挿入部貫通孔31hを形成したものを床側ジョイント41A、挿入部31dに挿入部タップ穴31jを形成したものを床側ジョイント41Bと呼ぶ。
【0049】
ジョイント補強環具(第二補強環具)32,33は、第一支柱11及び第二支柱12の床側継手取付穴11iに対して内嵌される。さらに、ジョイント補強環具32,33は、床側ジョイント41(41A,41B)の挿入部31dに対して略隙間なく外嵌される。つまり、ジョイント補強環具32,33は、床側ジョイント41と、第一支柱11又は第二支柱12の間に介在する。これにより、ジョイント補強環具32,33は、床側ジョイント41に作用した負荷により、第一支柱11又は第二支柱12に割れ等が発生することを防止する。
ジョイント補強環具32は、床側継手取付穴11iに対して装着(内嵌)される。ジョイント補強環具33は、第二支柱12の床側継手取付穴11iに対してのみ装着(内嵌)される。
【0050】
床側スペーサ(第二間座具)44は、断面H字形に形成されたアルミ押出材であって、天側スペーサ34の2倍の長さに梁21の厚みを合わせた長さ(例えば214mm)を有する。つまり、Y方向における第一支柱11及び第二支柱12の距離(例えば220mmスパン)とほぼ同一である。
床側スペーサ44の上側コ字形の内部(中間壁部44aと一対の上側壁44cで囲まれた空間)には、床側ジョイント41の突出部31gが収容される。床側スペーサ44の一対の上側壁44cの間の距離は、床側ジョイント41の突出部31gの幅と同一である。一対の上側壁44cの高さは、突出部31gよりも高く、上側壁44cの先端内側には、上側壁係合溝44dが形成される。
床側スペーサ44の下側コ字形の内部(中間壁部44aと一対の下側壁44eで囲まれた空間)には、床側ガイドレール46が収容される。床側スペーサ44の一対の下側壁44eの間の距離は、床側ガイドレール46の幅と同一である。一対の下側壁44eの高さは、床側ガイドレール46と同一の高さである。
また、中間壁部44aには、中間底部貫通穴44bが2つ設けられる。
【0051】
床側スペーサカバー45は、天側スペーサカバー35と同様に、断面コ字形に形成された板状のアルミ押出材である。
床側スペーサカバー45は、天側スペーサ34の2倍の長さに梁21の厚みを合わせた長さを有する。
床側スペーサカバー45の主面45aの幅は、床側スペーサ44の一対の上側壁44cの間の距離と同一である。床側スペーサカバー45の一対の側壁45bの先端外側には、側壁係合爪45cが形成される。
【0052】
床側ガイドレール(案内棒具)46は、断面四角形に形成された長尺の板状のアルミ押出棒材である。床側ガイドレール46の長さは、支柱群10のY方向の長さに応じて任意に設定できる。
床側ガイドレール46は、第一支柱11、第二支柱12に形成されたガイドレール取付溝11jに収容されると共に、床側スペーサ44の下側コ字形の内部に収容される。
床側ガイドレール46には、レール本体46aをZ方向に貫通する複数の連結具取付タップ穴46bとアジャスタ取付タップ穴46cが規則的に設けられる。
【0053】
床側連結部材40の組み立て方法、すなわち支柱群10の下端部11vをそれぞれ連結する手順は、以下の通りである。
【0054】
最初に、第一支柱11の床側継手取付穴11iに対して、ジョイント補強環具32を内嵌する。同様に、第二支柱12の床側継手取付穴11iに対して、ジョイント補強環具33を内嵌する。
【0055】
次に、第一支柱11及び第二支柱12に内嵌したジョイント補強環具32,33に対して、床側ジョイント41Aの突出部31gを挿入する。
具体的には、第一支柱11の一対の主面11sのうち、後側(+Y方向)から前側(−Y方向)に向けて、床側ジョイント41Aの挿入部31dをジョイント補強環具32に対して挿入する。この際、床側ジョイント41Aの突出部31gのコ字形が下方に開口するように挿入する。
また、4本の第二支柱12に内嵌したジョイント補強環具33に対して床側ジョイント41Aの挿入部31dを挿入する。
床側ジョイント41(41A,41B)の一対のフランジ脚部41eは、第一支柱11及び第二支柱12の下端部11vに形成されたガイドレール取付溝11jの幅方向の両辺に沿うように配置される。
【0056】
また、第一支柱11に内嵌したジョイント補強環具32に対して、床側ジョイント41Bの突出部31gを挿入する。
具体的には、第一支柱11の一対の主面11sのうち、前側(−Y方向)から後側(+Y方向)に向けて、床側ジョイント41Bの挿入部31dをジョイント補強環具32に対して挿入する。この際、床側ジョイント41Bの突出部31gのコ字形が下方に開口するように挿入する。
【0057】
また、4本の第二支柱12に形成された貫通孔11mに対して鬼目ナット36を挿入固定する。鬼目ナット36は、床側継手取付穴11iが形成された主面11sとは反対側の主面11sから挿入する。
【0058】
次に、第一支柱11に装着した2つの床側ジョイント41(41A,41B)同士を六角穴付ボルトにより締結する。
具体的には、第一支柱11に装着した床側ジョイント41Aの突出部31gの挿入部貫通孔31hに六角穴付ボルトを挿入し、床側ジョイント41Bの突出部31gの挿入部タップ穴31jに螺合する。
これにより、床側ジョイント41Aのフランジ31fと床側ジョイント41Bのフランジ31fが一対の主面11sに当接して挟み込むため、床側ジョイント41A,41Bが第一支柱11に強固に固定される。また、床側ジョイント41の挿入部31dと第一支柱11の床側継手取付穴11iが円柱形でなく略正菱形(多角形)に形成されているため、床側ジョイント41A,41Bが第一支柱11に対して回転することもない。
【0059】
4本の第二支柱12では、一方の主面11sに装着した床側ジョイント41Aの突出部31gの挿入部貫通孔31hに六角穴付ボルトを挿入し、鬼目ナット36のタップ穴に螺合する。これにより、床側ジョイント41Aのフランジ31fと鬼目ナット36のフランジ36f一対の主面11sに当接して挟み込むため、床側ジョイント41Aと鬼目ナット36が第一支柱11に強固に固定される。
【0060】
次に、隣接配置する部材(第一支柱11及び第二支柱12)に固定されて向い合う(対向する)床側ジョイント41同士に対して、下側から床側スペーサ44を覆い被せる。例えば、第一支柱11の床側ジョイント41の突出部31gと第二支柱12の床側ジョイント41の突出部31gに対して床側スペーサ44を覆い被せる。
さらに、床側スペーサ44に対して、下側から床側ガイドレール46を挿入する。具体的には、床側ガイドレール46を第一支柱11、第二支柱12に形成されたガイドレール取付溝11jに収容すると共に、床側スペーサ44の下側コ字形の内部に収容する。
そして、2つの突出部31gの突出部貫通孔31iにそれぞれ六角穴付ボルトを挿入し、更に床側ジョイント41の中間壁部44aの2つの中間底部貫通穴44bに挿通して、床側ガイドレール46の連結具取付タップ穴46bに螺合する。これにより、第一支柱11の床側ジョイント41と第二支柱12の床側ジョイント41が床側スペーサ44に対して床側ガイドレール46を含めて連結固定(共締め)される。
また、床側スペーサ44の長さ方向(Y方向)の両端が第一支柱11の床側ジョイント41のフランジ31fと第二支柱12の床側ジョイント41のフランジ31fにそれぞれ当接するので、隣接する第一支柱11と第二支柱12の距離が規定される。
【0061】
最後に、床側スペーサ44の一対の上側壁44cの先端に、床側スペーサカバー45を装着する。具体的には、床側スペーサ44の上側壁44cの先端内側に形成された上側壁係合溝44dに対して、床側スペーサカバー45の側壁45bの先端外側に形成された側壁係合爪45cを係合させる。
これにより、床側スペーサ44の上側コ字形の内部に収容された床側ジョイント41や六角穴付ボルトが、床側スペーサカバー45により覆われるので、見栄えがよくなる。
【0062】
上述した床側連結部材40の組み立て方法を繰り返すことにより、支柱群10の下端部11vをそれぞれ連結する。
上述したように、Y方向の最前部と最後部には必ず第二支柱12が配置され、この第二支柱12の間に複数の第一支柱11が配置される。
床側ガイドレール46に形成したアジャスタ取付タップ穴46cには、下方からアジャスタボルト47を取り付けてもよい。アジャスタボルト47のZ方向の位置を調節することにより、柱梁連結構造体1を床面に対して安定設置することができる。
以上により、柱梁連結構造体1が完成する。
【0063】
柱梁連結構造体1では、第一支柱11及び第二支柱12に対して、同一形状の継手取付穴(床側継手取付穴11i)が厚み方向に貫通するように形成される。そして、この継手取付穴に対して、床側連結部材40の床側ジョイント41が共通して装着される。さらに、床側連結部材40の床側スペーサ44が床側ジョイント41同士を連結する。
このような構成により、Y方向における第一支柱11の数を任意かつ容易に増減できる。
【0064】
図23は、支柱間板15を示す三面図である。
図24は、梁間板25を示す三面図である。
図25は、間板固定具50を示す図であって、(a)は分解図、(b)は組立図である。
【0065】
柱梁連結構造体1の意匠性を高めるために、支柱間板15や梁間板25を任意に追加配置できる。
支柱間板15は、間板固定具50により、第一支柱11同士の間、又は第一支柱11と第二支柱12の間に配置固定される。梁間板25は、間板固定具50により、梁21同士の間に配置固定される。
【0066】
支柱間板15と梁間板25は、それぞれ細長い平板部材である。支柱間板15と梁間板25には、木材や樹脂を用いることができる。支柱間板15よりも梁間板25の方がやや長いものの、幅と厚みは同一である。
支柱間板15と梁間板25の長さは、第一支柱11、第二支柱12及び梁21よりも短い。支柱間板15の幅は、第一支柱11同士の間の距離、又は第一支柱11と第二支柱12の間の距離と略同一である。梁間板25の幅は、梁21同士の間の距離と略同一である。
支柱間板15と梁間板25は、それぞれ幅方向の両側に厚み方向に貫通する複数の間板固定具取付穴15k,25kが形成される。複数の間板固定具取付穴15k,25kは、長さ方向に沿って規則的に配置される。間板固定具取付穴15k,25kの配置ピッチは、第一支柱11、第二支柱12及び梁21に形成された間板固定具取付穴11k,21kの配置ピッチと同一である。
【0067】
間板固定具50は、L型ジョイント51、ジョイントコネクタボルト52及びジョイントコネクタナット53を組み合わせたものである。
L型ジョイント51は、円柱形の挿入部51aとこの挿入部51aに対して連結されたL字形のL字部51bを有する。挿入部51aは、第一支柱11、第二支柱12及び梁21に形成された間板固定具取付穴11k,21kに挿入される。
また、L字部51bのうち、挿入部51aに直交する面には、貫通孔51cが形成される。
L型ジョイント51は、金属に限らず、樹脂により成形してもよい。
【0068】
ジョイントコネクタボルト52及びジョイントコネクタナット53は、それぞれフランジ形の頭部を有する。ジョイントコネクタボルト52は、L型ジョイント51の貫通孔51cに挿通される。
ジョイントコネクタボルト52及びジョイントコネクタナット53も、金属に限らず、樹脂により成形してもよい。
【0069】
支柱間板15及び梁間板25の組み立て方法、すなわち、第一支柱11同士の間、第一支柱11と第二支柱12の間、梁21同士の間に、支柱間板15及び梁間板25を間板固定具50により固定する手順は、以下の通りである。
【0070】
最初に、第一支柱11や第二支柱12の間板固定具取付穴11k又は梁21の間板固定具取付穴21kに対して、複数のL型ジョイント51を挿入する。
第一支柱11や第二支柱12に装着した複数のL型ジョイント51は、貫通孔51cがX方向を向くように配置する。梁21に装着した複数のL型ジョイント51は、貫通孔51cがZ方向を向くように配置する。
【0071】
次に、この複数のL型ジョイント51に対して、支柱間板15や梁間板25を押付ける。支柱間板15及び梁間板25に形成した間板固定具取付穴11k,21kがL型ジョイント51の貫通孔51cに一致するように押付ける。
【0072】
最後に、L型ジョイント51の貫通孔51cに対して、ジョイントコネクタボルト52を挿入し、さらに支柱間板15及び梁間板25の間板固定具取付穴11k,21kに挿通する。そして、ジョイントコネクタボルト52の先端にジョイントコネクタナット53を螺合する。
これにより、支柱間板15及び梁間板25がジョイントコネクタボルト52及びジョイントコネクタナット53により挟持されつつ、L型ジョイント51を介して第一支柱11、第二支柱12又は梁21に固定される。
【0073】
支柱間板15及び梁間板25は、それぞれ一種類の場合に限らない。第一支柱11同士の間の距離、第一支柱11と第二支柱12の間の距離、又は梁21同士の間の距離が同一寸法ではなく複数の寸法を有する場合には、その複数の寸法に合わせて、幅の異なる複数種類の支柱間板15及び梁間板25を設けてもよい。
また、長さや厚みが異なる複数種類の支柱間板15及び梁間板25を設けてもよい。更に、材質や模様等が異なる複数種類の支柱間板15及び梁間板25を設けてもよい。
また、支柱間板15及び梁間板25の配置箇所は、任意である。支柱間板15と梁間板25は、柱梁連結構造体1の意匠性を高めるためるものであるから、規則的に配置してもよいし、不規則に配置してもよい。
以上により、支柱間板15や梁間板25により意匠性を高めた柱梁連結構造体1が完成する。
【0074】
柱梁連結構造体1では、柱梁(第一支柱11、第二支柱12及び梁21)の数を任意かつ容易に増減できる。これにより、柱梁連結構造体1の意匠性を高めることができる。
また、支柱間板15や梁間板25を任意に配置することにより、さらに意匠性を高めることができる。
【0075】
上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0076】
図26〜
図34は、柱梁連結構造体1の第1〜第9変形例を示す正面図である。
以下では、上述した各部材の形状等を変更した場合であっても、同一の機能を有する場合には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0077】
図26に示すように、柱梁連結構造体1の第1変形例では、梁21は、直線形ではなく、中央で折れ曲がった形状に形成される。梁21の折れ曲がりの程度、位置や方向は任意に設定できる。梁群20のうち、一部の梁21のみを折れ曲がった形状にしてもよい。
【0078】
図27に示すように、柱梁連結構造体1の第2変形例では、梁21は、水平配置ではなく、左側に比べて右側が高くなるように設定される。この場合には、右列の第一支柱11と第二支柱12は、左列の第一支柱11と第二支柱12よりも長く形成される。
梁21が、右側に比べて左側が高くなるように設定してもよい。
【0079】
図28に示すように、柱梁連結構造体1の第3変形例では、右列の第一支柱11と第二支柱12は、床面に対して垂直ではなく、斜めに立設する。右列の第一支柱11と第二支柱12の上端部11uが外側に向けて傾く。
左列の第一支柱11と第二支柱12が、斜めに立設するようにしてもよい。
【0080】
図29に示すように、柱梁連結構造体1の第4変形例では、左右両列の第一支柱11と第二支柱12は、床面に対して垂直ではなく、斜めに立設する。左右両列の第一支柱11と第二支柱12の上端部11uがともに外側に向けて傾く。
【0081】
図30に示すように、柱梁連結構造体1の第5変形例では、右列の第一支柱11と第二支柱12は、床面に対して垂直ではなく、斜めに立設する。右両列の第一支柱11と第二支柱12の上端部11uが内側に向けて傾く。
左列の第一支柱11と第二支柱12が、斜めに立設するようにしてもよい。
【0082】
図31に示すように、柱梁連結構造体1の第6変形例では、左右両列の第一支柱11と第二支柱12は、床面に対して垂直ではなく、斜めに立設する。左右両列の第一支柱11と第二支柱12の上端部11uがともに内側に向けて傾く。
【0083】
図32に示すように、柱梁連結構造体1の第7変形例では、右列の第一支柱11と第二支柱12は、梁21の右端部21uよりも中央側に連結される。梁21の右端部21uが庇状に迫り出す。
左列の第一支柱11と第二支柱12が、梁21の左端部21vよりも中央側に連結されるようにしてもよい。
【0084】
図33に示すように、柱梁連結構造体1の第8変形例では、梁21の中央に第一支柱11と第二支柱12の列(第3の列)を配置する。第3の列のY方向の位置は、任意に設定できる。梁21を更に長尺にして、第4の列、第5の列を追加してもよい。つまり、支柱組10sは、2本以上の第一支柱11、第二支柱12から構成されてもよい。
【0085】
図34に示すように、柱梁連結構造体1の第9変形例では、第一支柱11、第二支柱12及び梁21は、それぞれの幅が一定ではなくなるように形成した。
左列の第一支柱11と第二支柱12では、+Y方向に向かうにしたがって上端部11uが徐々に太くなる。右列の第一支柱11と第二支柱12では、+Y方向に向かうにしたがって下端部11vが徐々に太くなる。梁群20(梁21)では、+Y方向に向かうにしたがって右端部21uが徐々に太くなる。
【0086】
柱梁連結構造体1の第1〜第9変形例で示すように、第一支柱11、第二支柱12及び梁21の形状、配置、数量及び姿勢等は、任意に設定することができる。