特許第6101512号(P6101512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6101512
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20170313BHJP
   B62D 1/04 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   G08G1/16 C
   B62D1/04
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-34281(P2013-34281)
(22)【出願日】2013年2月25日
(65)【公開番号】特開2014-164466(P2014-164466A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社日本自動車部品総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】三摩 紀雄
(72)【発明者】
【氏名】伊口 整
【審査官】 相羽 昌孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−148911(JP,A)
【文献】 特開2004−203117(JP,A)
【文献】 特開2006−298166(JP,A)
【文献】 特開2009−096210(JP,A)
【文献】 特開2003−300468(JP,A)
【文献】 特表2009−538252(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0273458(US,A1)
【文献】 特開2014−069671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
B62D 1/00− 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて、該車両を運転する運転者を支援する運転支援装置であって、
前記運転者が回転操作することによって前記車両の進行方向を制御する操舵ハンドルと、
前記運転者に代わって前記操舵ハンドルを回転駆動する駆動手段と、
前記駆動手段による前記操舵ハンドルの回転駆動を制御する駆動制御手段と、
前記操舵ハンドルの回転操作が前記運転者によって実行される手動運転状態と、前記回転操作が前記駆動手段によって実行される自動運転状態との何れであるかを判断する判断手段と、
前記手動運転状態では、前記操舵ハンドルの回転操作に関する操舵情報を取得し、前記自動運転状態では、前記駆動制御手段が前記駆動手段を制御する制御量に基づいて、前記操舵情報を取得する操舵情報取得手段と、
前記操舵ハンドルに組み込まれて、前記手動運転状態では、前記運転者の触覚に対して前記操舵情報を出力し、前記自動運転状態では、前記運転者の視覚に対して前記操舵情報を出力する操舵情報出力手段と
を備える運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援装置であって、
前記操舵情報取得手段は、前記操舵ハンドルが回転操作されたことを検出することによって前記操舵情報を取得する手段である運転支援装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の運転支援装置であって、
前記操舵情報取得手段は、前記操舵情報として、前記操舵ハンドルの回転方向を取得する手段である運転支援装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の運転支援装置であって、
前記操舵情報取得手段は、前記操舵情報として、前記操舵ハンドルの回転速度を取得する手段である運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者が車両を運転する操作を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子技術や、情報処理技術、制御技術などの進歩を背景として、運転者が車両を運転する操作を助けるための様々な運転支援技術が開発されている。
たとえば、高速道路などの走行中に運転者が車速を指定すると常にその車速を保つように制御することで、運転者が道路勾配に応じてアクセル操作を修正する動作を不要とした技術が提案されている(特許文献1)。
また、ソナーや各種のレーダー、画像認識技術などを用いて車両の周辺を監視し、障害物や歩行者などの存在を運転者に報知する技術や(特許文献2)、更には、この技術を更に発展させて、縦列駐車や車庫入れなどの特定の運転操作については自動運転化することで、運転者によるハンドル操作を不要とした技術も提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−117285号公報
【特許文献2】特開2003−114276号公報
【特許文献3】特開2004−352120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし今日では、車両に搭載される運転支援技術の種類が多くなり、却って運転者に負担を掛けてしまう傾向が生じつつあるという問題があった。
これは次のような理由による。たとえば、上記の特許文献1のように車速を一定に維持する技術では、運転者が関与することなくアクセル操作が行われる。このため、そのことに運転者が不安を感じることがないように、車速の維持制御中である旨を(場合によってはアクセル操作量も)運転者が常に認識できるように表示しておく必要がある。また、上記の特許文献2のように車両の周辺を監視する技術では、監視結果を運転者に表示する必要がある。更に、上記の特許文献3の技術では、運転者が操作しないにも拘わらずハンドル操作が行われるので、そのことを運転者が不安に感じることがないように、自動運転中である旨を(場合によってはハンドルの操舵方向や操舵量も)運転者が常に認識できるように表示しておく必要がある。
このように、車両に搭載する運転支援技術が多くなるほど、運転者に提示される情報量も増加することとなって、そのことが運転者に負担を掛けるようになりつつあるという問題があった。
【0005】
この発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、車両に多くの運転支援技術が搭載されて、運転者に提示される情報量が増加した場合でも、運転者に掛かる負担の増加を抑制することが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した問題を解決するために本発明の運転支援装置は、操舵ハンドルに組み込まれた操舵情報出力手段を用いて、操舵ハンドルの回転操作に関する情報(操舵情報)を運転者に出力する。そして、運転者に対して操舵情報を出力するに際しては、手動運転状態(すなわち、運転者によって操舵ハンドルの回転操作が行われる運転状態)では運転者の触覚に対して操舵情報を出力する。また、自動運転状態(すなわち、駆動手段によって操舵ハンドルの回転操作が行われる運転状態)では運転者の視覚に対して操舵情報を出力する。
操舵ハンドルの回転操作は車両の進行方向に直接関係するので、操舵情報は運転者にとって重要性の高い情報ということができる。また、操舵情報は、操舵ハンドルの回転操作に関する情報であるから、操舵ハンドルの組み込んだ操舵情報出力手段を用いて出力してやれば、運転者は直感的且つ容易に操舵情報の内容を把握することができる。そして、重要性の高い操舵情報を容易に把握することができれば、より重要性の低い情報を把握する余裕が生まれる。その結果、多くの種類の運転支援技術が搭載されたために運転者に提示される情報が増加した場合でも、運転者はそれら情報を、余裕を持って把握することができるので、運転者に掛かる負担の増加を抑制することが可能となる。加えて、自動運転状態で運転者が操舵ハンドルから手を離している場合でも、運転者の視覚によって操舵情報を認識させることができる。また、手動運転状態では運転者が操舵ハンドルに手を触れているので、運転者の触覚に対して操舵情報を出力することで、確実に操舵情報を認識させることが可能となる。
更に、運転者の視覚に対して操舵情報を出力してやれば、多くの内容を短時間で伝えることができるので、より重要性の低い情報を把握するための余裕を生じさせることができる。その結果、多くの情報が提示された場合でも、運転者に掛かる負担の増加を抑制することが可能となる。
また、手動運転状態では、運転者の触覚は視覚に比べて有効に使われていないので、触覚に対して操舵情報を出力してやれば、運転者は余裕を持って操舵情報を把握することができる。その結果、視覚を用いてより多くの情報を把握することができるので、多くの情報が提示された場合でも、運転者に掛かる負担の増加を抑制することが可能となる。
【0007】
また、上述した本発明の運転支援装置においては、操舵ハンドルが回転操作されたことを検出することによって、操舵情報を取得することとしてもよい。
こうすれば、簡単に操舵情報を取得することができる。
【0008】
また、上述した本発明の運転支援装置においては、操舵情報として、操舵ハンドルの回転方向を取得することとしてもよい。
操舵ハンドルの回転方向は、車両がどの方向に曲がろうとしているかを示す情報であり、運転者にとっては把握しておくべき基本的な情報の1つである。従って、このような情報を取得して、操舵情報として運転者に対して出力してやれば、運転者が容易に把握することができるので、他の情報を把握するための余裕を生じさせることが可能となる。
【0009】
また、上述した本発明の運転支援装置においては、操舵情報として、操舵ハンドルの回転速度を取得することとしてもよい。
操舵ハンドルの回転速度は、車両が進路を変更する時の速さを示す情報であり、この情報も、運転者にとっては把握しておくべき基本的な情報の1つである。従って、このような情報を操舵情報として出力してやれば、運転者が容易に把握することができるので、他の情報を把握するための余裕を生じさせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施例の運転支援装置を搭載した車両の説明図である。
図2】本実施例の運転支援装置の車両制御装置と、車両に搭載された各種ディバイスとが接続されている様子を示すブロック図である。
図3】本実施例の運転情報出力部を搭載した操舵ハンドルを示す説明図である。
図4】第1出力部が操舵情報を視覚的に出力する様子を例示した説明図である。
図5】第2出力部が加減速情報を視覚的に出力する様子を例示した説明図である。
図6】操舵ハンドルを回転させた状態で第2出力部が加減速情報を視覚的に出力する様子を例示した説明図である。
図7】第3出力部および第4出力部が操舵情報を触覚的に出力する様子を例示した説明図である。
図8】運転情報出力部の内部構成を示したブロック図である。
図9】本実施例の運転支援装置が実行する運転情報出力処理のフローチャートである。
図10】変形例の運転情報出力部を搭載した操舵ハンドルを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために実施例について説明する。
A.装置構成 :
図1には、本実施例の運転支援装置10を搭載した車両1の構成が示されている。本実施例の運転支援装置10は、操舵ハンドル50に搭載されて、車両1の運転に関する情報(運転情報)を運転者に対して出力する運転情報出力部100や、車両1の全体の動きを制御する車両制御装置200などを備えている。尚、車両制御装置200は、いわゆるマイクロコンピューターである。車両制御装置200には、操舵ハンドル50を回転させた角度(操舵角)を検出する操舵角センサー12sが接続されており、操舵角センサー12sの出力から、操舵ハンドル50の回転操作に関する情報(操舵情報)を取得して運転情報出力部100に出力する。操舵角センサー12sは、操舵ハンドル50の回転を車両1に伝える操舵軸12に取り付けられている。
また、車両制御装置200には、アクセルペダル14の操作量を検出するアクセルセンサー14sや、ブレーキペダル16の操作量を検出するブレーキセンサー16sも接続されており、これらの出力に基づいて、車両1の加減速に関する情報(加減速情報)を生成して運転情報出力部100に出力する。
更に、本実施例の車両1には、進行方向の画像を撮影する前方カメラ20や、車両1の周囲に存在する障害物や移動体を検出するソナー22、GPS機能を備えたナビゲーションシステム24、車速を検出する車速センサー18sなども搭載されており、これらは車両制御装置200に接続されている。そして車両制御装置200は、車両1の運転者が自動運転モードを設定した場合には、操舵軸12に接続された操舵アクチュエータ12aや、アクセルペダル14に接続されたアクセルアクチュエータ14a、ブレーキペダル16に接続されたブレーキアクチュエータ16aを駆動して、車両1を自動運転することも可能である。尚、操舵アクチュエータ12aについては、自動運転モードに設定されていない場合でも、運転者による操舵ハンドル50の回転操作を補助するために用いることも可能である。
【0016】
図2には、車両1に搭載された運転情報出力部100などの各種ディバイスと、車両制御装置200との接続関係がまとめて表示されている。前方カメラ20、ソナー22、ナビゲーションシステム24、操舵角センサー12s、アクセルセンサー14s、ブレーキセンサー16sからのデータは、車両制御装置200に入力される。また、操舵アクチュエータ12aや、アクセルアクチュエータ14a、ブレーキアクチュエータ16aは、車両制御装置200によって制御される。そして、操舵アクチュエータ12aが操舵軸12を駆動した結果は操舵角センサー12sによって検出されて、車両制御装置200に出力される。アクセルアクチュエータ14aやブレーキアクチュエータ16aについても同様に、これらがアクセルペダル14やブレーキペダル16を駆動した結果は、アクセルセンサー14sやブレーキセンサー16sで検出されて、車両制御装置200に出力される。更に、運転情報出力部100は、車両制御装置200から受け取った情報に基づいて、操舵情報や加減速情報などの運転情報を表示する。
【0017】
図3には、操舵ハンドル50に組み込まれた本実施例の運転情報出力部100が示されている。本実施例の運転情報出力部100には、操舵ハンドル50の上部に搭載された第1出力部110と、操舵ハンドル50の中央に搭載された第2出力部120と、操舵ハンドル50の左右に搭載された第3出力部130および第4出力部140とが設けられている。
この中の第1出力部110には、8つの小さなLEDランプ110a〜hが等間隔で一列に配置されている。詳細には後述するが、本実施例ではこれら8つのLEDランプ110a〜hを、少しずつ時間をずらして点灯させることで、運転者に対して、操舵ハンドル50の操舵方向および操舵速度に関する情報を表示することができる。
第2出力部120には、複数の点灯部120dが格子状に配置されており、全体としてドットマトリックス表示装置を構成している。また、本実施例では、それぞれの点灯部120dには青色に発光するLEDと赤色に発光するLEDとが内蔵されており、点灯部120dを青色に光らせたり、赤色に光らせたりすることができる。詳細には後述するが、本実施例ではアクセルペダル14やブレーキペダル16の操作に関する情報を、第2出力部120を用いて表示する。
第3出力部130および第4出力部140には、それぞれ4つずつの振動子130a〜d,140a〜dが埋め込まれている。本実施例では、振動子130a〜d,140a〜dとして、小型のモーターの回転軸に偏心させて小さな円板を取り付けた振動子を使用しているが、これに限らず、たとえばピエゾ素子を用いた振動子を使用しても良い。詳細には後述するが、本実施例では左右の振動子130a〜d,140a〜dを、少しずつ時間をずらして振動させることで、運転者に対して、操舵ハンドル50の操舵方向および操舵速度に関する情報を出力することができる。
尚、本実施例の第1出力部110、第3出力部130、および第4出力部140は、本発明における「操舵情報出力手段」に対応する。
【0018】
図4には、第1出力部110の8つのLEDランプ110a〜hを点灯させることにより、操舵ハンドル50の操舵方向および操舵速度を表示する様子が例示されている。図示した例では、LEDランプ110a〜hを、この順番で少しずつ時間をずらして点灯させている。図3に示したようにLEDランプ110a〜hは、時計回りの方向に、この順番で等間隔に配置されているから、LEDランプ110a〜hを、この順番で少しずつ時間をずらして点灯させれば、運転者には、あたかも光が時計回り方向に移動しているかのように感じられる。
また、1つめのLEDランプ110aを点灯させてから8つめのLEDランプ110hを消灯させるまでの時間T1や、LEDランプ110a〜hを繰り返し点灯させる際の繰り返し周期に対応する時間T2を変更すれば、光の移動速度を変更することもできる。
もちろん、LEDランプ110a〜hを点灯する順番を逆にすれば、光の移動方向を反時計回り方向にすることもできる。
このことから、LEDランプ110a〜hを点灯させる順番や、時間T1、時間T2を適切に設定すれば、光の移動方向および移動速度によって、操舵ハンドル50の操舵方向および操舵速度を表示することができる。
【0019】
図5には、第2出力部120の複数の点灯部120dを点灯させることによって、アクセルペダル14やブレーキペダル16の操作量を表示する様子が例示されている。図中で、細い破線で示した点灯部120dは、消灯している点灯部120dを表している。また、斜線を付した点灯部120dは、青色または赤色で弱く点灯している点灯部120dを表しており、黒塗りの点灯部120dは、青色または赤色で強く点灯している点灯部120dを表している。
図5(a)に示した例では第2出力部120の下側の4列の点灯部120dが点灯しているが、点灯する点灯部120dを一列ずつ上方に向けて移動させる。こうすれば、図5(a)、図5(b)、図5(c)に示したように、水平な光の帯を下から上に向かって移動させることができる。もちろん、点灯する点灯部120dを一列ずつ下方に向けて移動させれば、水平な光の帯を上から下に向かって移動させることができる。
【0020】
また、前述したように点灯部120dは、青色または赤色に点灯させることができる。そこで本実施例では、点灯部120dを青色に点灯させることによってアクセルペダル14の操作量を表示し、点灯部120dを赤色に点灯させることによってブレーキペダル16の操作量を表示する。
たとえば、運転者がアクセルペダル14を踏み増している場合には、青い光の帯を下から上に向けて移動させ、運転者がアクセルペダル14の踏み込み量を減少させている場合は、青い光の帯を上から下に向けて移動させる。また、アクセルペダル14の踏み込み量を一定に保っている場合は、その踏み込み量に対応する位置で青い光の帯を表示する。更に、運転者がアクセルペダル14を踏み込む速度、あるいはアクセルペダル14を戻す速度に応じて、青い光の帯を移動させる速度を変化させる。
【0021】
ブレーキペダル16の操作についても、赤い光の帯を用いて同様にして表示する。すなわち、運転者がブレーキペダル16を踏み込んでいる場合は赤い光の帯を下から上に向けて移動させ、ブレーキペダル16の踏み込み量を減少させている場合は赤い光の帯を上から下に向けて移動させる。また、また、ブレーキペダル16の踏み込み量を一定に保っている場合は、その踏み込み量に対応する位置で赤い光の帯を表示する。更に、ブレーキペダル16の踏み込み速度、あるいは戻し速度に応じて、赤い光の帯を移動させる速度を変化させる。
【0022】
もちろん、操舵ハンドル50が操舵されると第2出力部120も回転する。しかし、第2出力部120が回転しても、第2出力部120の回転角度を考慮して点灯部120dを点灯してやれば、図6に示したように、青色または赤色の光の帯を下から上に向けて、あるいは上から下に向けて移動させることができる。
【0023】
図7には、第3出力部130の4つの振動子130a〜d、および第4出力部140の4つの振動子140a〜dを振動させることによって、操舵ハンドル50の操舵方向および操舵速度を表示する様子が例示されている。前述したように、本実施例の振動子130a〜d,140a〜dは、小さな円板を偏心させて回転軸に取り付けたモーターが使用されている。従って、モーターを1回転させることで、振動子130a〜d,140a〜dを1回だけ振動させることができる。また、図3に示したように、振動子130a〜dや振動子140a〜dは、運転者が操舵ハンドル50を握る部分に設けられている。
そこで、図7(a)に示されるように、振動子130a〜dを、この順番で少しずつ時間をずらして1回ずつ振動させる。振動子140a〜dについても同様に、この順番で少しずつ時間をずらして1回ずつ振動させる。こうすれば、運転者には、操舵ハンドル50を握っている部分で、振動する位置が時計回り方向に移動しているように感じられることになる。
また、1つめの振動子130a(または振動子140a)を振動させてから、4つめの振動子130d(または振動子140d)を振動させ終わるまでの時間T3や、これら振動子130a〜d(または振動子140a〜d)を繰り返し振動させる際の繰り返し周期に対応する時間T4を変更すれば、振動する位置の移動速度を変更することもできる。
【0024】
また、図7(b)に示されるように、振動子130a〜dおよび振動子140a〜dを、逆の順番で少しずつ時間をずらして1回ずつ振動させれば、振動する位置が反時計回り方向に移動しているように感じさせることもできる。
従って、第3出力部130の振動子130a〜d、および第4出力部140の振動子140a〜dを振動させる順番や、時間T3、時間T4を適切に設定してやれば、運転者の手で感じる振動位置の移動方向および移動速度によって、操舵ハンドル50の操舵方向や操舵速度を運転者に伝えることができる。
【0025】
図8には、以上のような形態で各種の情報を出力するための運転情報出力部100の内部構成が示されている。先ず始めに、運転情報出力部100の第1出力部110について説明すると、第1出力部110には、通信部112と、信号生成部114と、LEDランプ110a〜hとが設けられている。
このうちの通信部112は、車両制御装置200との間で通信を行って、操舵ハンドル50の操舵方向および操舵速度に関する情報(操舵情報)を受け取る。また、信号生成部114は、通信部112が受け取った操舵情報に基づいて、LEDランプ110a〜hに対する駆動信号を生成する。
たとえば、操舵方向が時計回り方向であった場合は、図4を用いて前述したように、LEDランプ110a〜hをこの順番で点灯させる。また、操舵速度が低い場合には時間T1,T2を大きな値に設定し、操舵速度が高くなるに従って時間T1,T2を小さくする。こうして生成した駆動信号をLEDランプ110a〜hに出力して、LEDランプ110a〜hを点灯させる。こうすれば、光の移動方向によって操舵ハンドル50の操舵方向を表示することができ、光の移動速度によって操舵ハンドル50の操舵速度を表示することができる。
【0026】
第2出力部120についても同様に、車両制御装置200との間で通信する通信部122と、格子状に配列された複数の点灯部120dに対する駆動信号を生成する信号生成部124と、複数の点灯部120dとが設けられている。
このうち通信部122は、アクセルペダル14およびブレーキペダル16のそれぞれについて、ペダルの踏み込み量や、踏み込み速度あるいは戻し速度などの情報(加減速情報)と、操舵ハンドル50の回転角度の情報とを車両制御装置200から受け取って、信号生成部124に出力する。
信号生成部124は、アクセルペダル14またはブレーキペダル16の何れが操作されているのかに応じて、点灯部120dを点灯させる色を決定し、ペダルの踏み込み量が増加しているのか減少しているのかに応じて、点灯部120dによる光の帯の移動方向(上方向または下方向)を決定し、更に、ペダルの踏み込み速度あるいは戻し速度に応じて、光の帯の移動速度を決定する。また、ペダルの踏み込み量が一定に保たれている場合には、踏み込み量に応じて、光の帯の表示高さを決定する。そして、操舵ハンドル50の回転角度を考慮して、それぞれの点灯部120dに対する駆動信号を生成した後、各点灯部120dに出力する。こうすれば、図5および図6を用いて前述したように、第2出力部120に表示される光の帯を用いて、アクセルペダル14の操作やブレーキペダル16の操作に関する情報を表示することができる。
【0027】
また、第3出力部130および第4出力部140についても、それぞれ通信部132、142と、信号生成部134,144と、振動子130a〜d,140a〜dとが設けられている。
通信部132,142は、車両制御装置200との間で通信を行って、操舵ハンドル50の操舵方向および操舵速度に関する情報(操舵情報)を受け取る。そして、信号生成部134は、通信部132が受け取った操舵情報に基づいて、振動子130a〜dに対する駆動信号を生成する。また、信号生成部144は、通信部142が受け取った操舵情報に基づいて、振動子140a〜dに対する駆動信号を生成する。このとき、操舵ハンドル50の操舵方向に応じて、振動子130a〜dおよび振動子140a〜dを駆動する順番を設定し、また、操舵ハンドル50の操舵速度に応じて、図7に示した時間T3,T4を設定する。
【0028】
こうして生成した駆動信号を振動子130a〜d,140a〜dに出力して、振動子130a〜d,140a〜dを振動させる。図3を用いて前述したように、振動子130a〜d,140a〜dは運転者が操舵ハンドル50を握る位置に設けられているから、このようにして振動子130a〜d,140a〜dを振動させれば、運転者が手で感じる振動位置の移動方向および移動速度によって、操舵ハンドル50の操舵方向および操舵速度を出力することができる。
【0029】
B.運転情報出力処理 :
図9には、本実施例の運転支援装置10が運転情報出力部100を用いて運転情報(操舵情報および加減速情報)を出力するために実行する運転情報出力処理のフローチャートが示されている。尚、この処理は、運転支援装置10の車両制御装置200によって実行される。
運転情報出力処理では、先ず始めに、運転者によって自動運転モードが設定されているか否かを判断する(S102)。その結果、自動運転モードに設定されていた場合は(S102:yes)、前方カメラ20や、ソナー22、ナビゲーションシステム24、車速センサー18s、操舵角センサー12s、アクセルセンサー14s、ブレーキセンサー16sなどからのデータに基づいて、車両1の走行状況を取得する(S104)。そして、これらのデータに基づいて、操舵アクチュエータ12aや、アクセルアクチュエータ14a、ブレーキアクチュエータ16aの駆動量を決定する(S106)。
【0030】
続いて、これら各アクチュエータの駆動量から、操舵情報(操舵ハンドル50の操舵方向および移動速度)や、加減速情報(アクセルペダル14またはブレーキペダル16の操作量、操作方向、および操作速度)を取得する(S108)。そして、取得した操舵情報を第1出力部110に向かって送信し(S110)、取得した加減速情報を第2出力部120に向かって送信する(S112)。
図8を用いて前述したように、第1出力部110に向かって送信された操舵情報は、通信部112によって受信されて、信号生成部114で駆動信号が生成された後、その駆動信号に基づいてLEDランプ110a〜hが点灯する。その結果、運転者は、自動運転によって操舵ハンドル50がどのように操舵されようとしているかに関する情報を、視覚的に認識することが可能となる。
また、第2出力部120に送信された加減速情報は、通信部122によって受信されて、信号生成部124で駆動信号が生成され、その駆動信号に基づいて複数の点灯部120dが点灯する。その結果、運転者は、自動運転によってアクセルペダル14やブレーキペダル16がどのように操作されようとしているかに関する情報を、視覚的に認識することが可能となる。
【0031】
尚、図3に示したように、運転情報出力部100には、運転者の触覚を用いて操舵情報を出力する第3出力部130や第4出力部140も搭載されているが、自動運転モード中は、第3出力部130や第4出力部140に向かって操舵情報を送信することはない。これは、自動運転中の運転者は操舵ハンドル50を握っていない場合が多いと考えられるので、第3出力部130や第4出力部140では操舵情報を運転者に伝えることができないと考えられるためである。
【0032】
こうして第1出力部110および第2出力部120に向かって操舵情報および加減速情報を送信したら、先に決定した駆動量に従って、操舵アクチュエータ12aや、アクセルアクチュエータ14a、ブレーキアクチュエータ16aを駆動する(S114)。こうして各アクチュエータを駆動した結果は、操舵角センサー12s、アクセルセンサー14s、ブレーキセンサー16sで検出され、更に、車速の変化は車速センサー18sで検出されて、次にS104で取得される車両1の走行状況に反映される。
続いて、運転終了か否かを判断し(S116)、運転終了でなければ処理の先頭に戻って、自動運転モード中か否かを判断し(S102)、自動運転モード中であった場合は(S102:yes)、上述した続く一連の処理(S104〜S116)を繰り返す。
尚、操舵アクチュエータ12aは、操舵ハンドル50に接続された操舵軸12を駆動しているから、本発明における「駆動手段」に対応する。また、操舵アクチュエータ12aは、車両制御装置200によって制御されているから、本実施例の車両制御装置200は、本発明における「駆動制御手段」に対応する。更に、自動運転モードに設定されているか否かは車両制御装置200が判断しているから、本実施例の車両制御装置200は、本発明における「判断手段」にも対応する。
【0033】
以上では、運転者によって自動運転モードに設定されていた場合(S102:yes)について説明した。これに対して、自動運転モードに設定されていない場合(S102:no)、車両制御装置200は、操舵角センサー12sや、アクセルセンサー14s、ブレーキセンサー16sの出力値を検出して、これらの出力値から、操舵情報(操舵ハンドル50の操舵方向および移動速度)や、加減速情報(アクセルペダル14またはブレーキペダル16の操作量、操作方向、および操作速度)を取得する(S118)。
そして、取得した操舵情報を第1出力部110に向かって送信し(S120)、加減速情報を第2出力部120に向かって送信する(S122)。この結果、操舵ハンドル50が操舵された操舵方向や操舵速度に関する情報や、アクセルペダル14やブレーキペダル16に対して実際に行われたペダル操作に関する情報を、運転者に対して視覚的に伝えることができる。
【0034】
更に、自動運転モード中でない場合には、第3出力部130および第4出力部140に対しても操舵情報を送信する(S124)。自動運転モード中でない場合には、運転者は操舵ハンドル50を握っていると考えられるので、第3出力部130および第4出力部140に操舵情報を送信すれば、振動子130a〜d,140a〜dの振動によって、操舵情報を触覚的に運転者に伝えることができる。
尚、操舵アクチュエータ12aの駆動量あるいは操舵角センサー12sの出力値から操舵情報を取得する処理(S108あるいはS118)は、車両制御装置200が運転情報出力処理の中で実行している。従って、本実施例の車両制御装置200は、本発明における「操舵情報取得手段」に対応する。
【0035】
その後、運転終了か否かを判断し(S116)、運転終了でなければ処理の先頭に戻って、自動運転モード中か否かを判断し(S102)、自動運転モード中でなければ(S102:no)、上述した続く一連の処理(S118〜S126)を繰り返す。
そして、こうした処理を繰り返すうちに、運転終了と判断したら(S116:yes)、図9に示した運転情報出力処理を終了する。
【0036】
以上に説明したように、本実施例の運転支援装置10では、操舵ハンドル50に搭載された第1出力部110や、第3出力部130、第4出力部140を用いて、操舵ハンドル50の操舵情報を、視覚的あるいは触覚的に運転者に伝えることができる。ここで、操舵情報は車両1の進行方向に直接関係するため、運転者にとってはたいへんに重要な情報である。その操舵情報を、本実施例の運転支援装置10では視覚的あるいは触覚的な方法を用いて、直感的に理解可能な態様で運転者に伝えることができるので、運転者の負担を軽減することができる。その結果、運転者は、操舵情報よりも重要性の低い情報も余裕を持って把握することが可能となる。このため、車両1に多くの種類の運転支援技術が搭載された場合でも、運転者に過度の負担が掛かることを回避することが可能となる。
【0037】
また、本実施例の運転支援装置10では、操舵ハンドル50に搭載された第2出力部120を用いて、アクセルペダル14やブレーキペダル16の操作に関する加減速情報も、視覚的に運転者に伝えることができる。アクセルペダル14やブレーキペダル16の操作は車両1の走行速度に直接関係するため、運転者にとっては、操舵情報とほとんど同じ程度に重要な情報である。本実施例の運転支援装置10では、その加減速情報も、視覚的な方法を用いて、直感的に理解可能な態様で運転者に伝えることができるので、運転者の負担を更に軽減することができる。その結果、運転者は、操舵情報や加減速情報よりも重要性の低い情報も余裕を持って把握することができるので、車両1に多くの種類の運転支援技術が搭載された場合でも、運転者に過度の負担が掛かることを回避することが可能となる。
【0038】
更に、本実施例の運転支援装置10では、第1出力部110や、第3出力部130、第4出力部140を用いて、運転者の視覚あるいは触覚に対して働きかけることにより、実際に操舵ハンドル50が操作されなくても操舵情報を運転者に認識させることができる。同様に、第2出力部120を用いれば、アクセルペダル14やブレーキペダル16の操作が実際には行われなくても、運転者の視覚に働きかけることによって加減速情報を運転者に認識させることができる。従って、自動運転モード中に、操舵ハンドル50の操舵や、アクセルペダル14あるいはブレーキペダル16の操作などの運転操作が行われる前に、それら運転操作の内容を運転者に対して事前に通知することができる。例えば、車両制御装置200が、操舵アクチュエータ12aや、アクセルアクチュエータ14a、ブレーキアクチュエータ16aの駆動内容を決定したら、それらアクチュエータを実際に駆動する前に、駆動内容の情報を運転情報出力部100に対してやればよい。
車両制御装置200は、運転者が認識可能な全ての情報を検知できるとは限らないから、自動運転による運転操作の内容が、常に運転者の意図に沿うものとは限らない。しかし、こうすれば、自動運転による運転操作の内容を運転者が事前に知ることができるので、運転者の意図に沿わない運転操作や、周囲の状況に適さない運転操作が行われることを回避することも可能となる。
【0039】
C.変形例 :
上述した実施例では、運転者に対して触覚的に操舵情報を伝えるために、振動子130a〜dが埋め込まれた第3出力部130や、振動子140a〜dが埋め込まれた第4出力部140が、操舵ハンドル50の左右の位置に搭載されているものとして説明した。しかし、運転者に対して触覚的に操舵情報を伝える方法は、振動子130a〜d,140a〜dを用いた方法には限られない。たとえば、操舵ハンドル50の外周に回転リング150を設けて、この回転リング150を操舵ハンドル50に対して回転駆動することによって、運転者に対して触覚的に操舵情報を伝えることとしてもよい。
【0040】
図10(a)には、回転リング150を備えた変形例の運転情報出力部100の全体形状が例示されている。図示されるように、変形例の運転情報出力部100にも、操舵ハンドル50の上部には第1出力部110が搭載されており、操舵ハンドル50の中央には第2出力部120が搭載されている。これら第1出力部110および第2出力部120は、前述した本実施例の第1出力部110および第2出力部120と同様であるため、説明は省略する。
また、変形例の運転情報出力部100には、操舵ハンドル50の外周に、操舵ハンドル50に対して回転可能な回転リング150が設けられている。この回転リング150は、内周側にギアが形成されており、操舵ハンドル50に搭載された小型のモーターによって回転駆動されるように構成されている。
【0041】
図10(b)には、モーター156が回転リング150を駆動する機構が拡大して示されている。図示されるようにモーター156の回転軸には小さな駆動ギア154が取り付けられている。また、駆動ギア154は中間ギア152に嵌合し、中間ギア152は、回転リング150の内側のギアに嵌合している。このため、モーター156を時計回り方向に回転させると、その回転が中間ギア152で減速されて、回転リング150が時計回り方向にゆっくりと回転する。モーター156の回転速度を変えれば、回転リング150の回転速度を変えることができる。また、モーター156を反時計回り方向に回転させれば、回転リング150を反時計回り方向に回転させることができる。
【0042】
このような変形例の運転情報出力部100では、操舵ハンドル50の操舵方向に応じた方向で回転リング150を回転させ、操舵ハンドル50の操舵速度に応じた速度で回転リング150を回転させれば、操舵ハンドル50を握った手の触覚によって、操舵ハンドル50の操舵情報を運転者に直感的に認識させることが可能となる。
【0043】
以上、本実施例および変形例について説明したが、本発明は上記の実施例あるいは変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0044】
1…車両、 10…運転支援装置、 12a…操舵アクチュエータ、
12s…操舵角センサー、 14a…アクセルアクチュエータ、
14s…アクセルセンサー、 16a…ブレーキアクチュエータ、
16s…ブレーキセンサー、 18s…車速センサー、
20…前方カメラ、 22…ソナー、 24…ナビゲーションシステム、
50…操舵ハンドル、 100…運転情報出力部、 110…第1出力部、
110a〜h…LEDランプ、 120…第2出力部、 120d…点灯部、
130…第3出力部、 130a〜d…振動子、 140…第4出力部、
140a〜d…振動子、 150…回転リング、 156…モーター、
200…車両制御装置。
図1
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